JPH0551853A - 形状記憶能を有するコポリエステル繊維積層物 - Google Patents

形状記憶能を有するコポリエステル繊維積層物

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JPH0551853A
JPH0551853A JP3231187A JP23118791A JPH0551853A JP H0551853 A JPH0551853 A JP H0551853A JP 3231187 A JP3231187 A JP 3231187A JP 23118791 A JP23118791 A JP 23118791A JP H0551853 A JPH0551853 A JP H0551853A
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fiber
shape
copolyester
heat
polyester
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Nobuhiro Matsunaga
伸洋 松永
Katsuyoshi Niikura
勝良 新倉
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 形状記憶能を有し,一旦高温でバインダー繊
維を融着させ型付けすると,型崩れしても軽い加熱で型
付けた形状に戻る不織布や固綿となりうる繊維積層物を
提供する。 【構成】 炭素数6以上の長鎖脂肪族ジカルボン酸を共
重合した融点150℃以上,単繊維強度2.5g/デニー
ル以上の形状記憶能を有するコポリエステル繊維と熱融
着性バインダー繊維からなる繊維積層物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,合成繊維からなる繊維
積層物に関し,さらに詳しくは,形状記憶能を有する不
織布や固綿となしうるコポリエステル繊維積層物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年,形状記憶能を有する合成樹脂が開
発,市販されつつある。この樹脂は,ガラス転移点前後
での弾性率変化の大きいものである。その機能は,例え
ば,まず,任意の形状Aに成形し,その形状Aの状態で
加熱して結晶化(結晶部分の絡み合い)あるいは分子間
架橋によって固定点を生ぜしめて形状を記憶させる。次
いで,ガラス転移点以上,上記加熱温度未満の温度雰囲
気下で外力を加え,形状Bに変形し,そのままガラス転
移点未満の温度にすると,形状Bに固定できる。これを
さらにガラス転移点以上に加熱することにより,外力を
加えることなく形状Aに回復するという機能,すなわち
「形状記憶能」を有するものである。
【0003】形状記憶能を有する樹脂材料としては,ポ
リトランスイソプレン系樹脂(特開昭55−93806
号),ポリノルボルネン系樹脂(特開昭59−5352
8号),ビニル系樹脂とアクリル酸系樹脂または合成ゴ
ムとの混合物からなるもの(特開昭63−17952
号)等が知られている。さらに,ポリウレタン系の形状
記憶ポリマー糸(特開平2−169713号)が開示さ
れている。
【0004】しかし,従来知られている樹脂材料では曳
糸性が悪く,またゴム弾性を有するものがほとんどであ
り,繊維としても強度の低いものであった。したがって
ある程度以上の高強度の繊維を生産性良く製造すること
は,ほとんど不可能であった。また,短繊維にした後,
例えばカード機を通して繊維積層物としようとすると強
度が低いため単繊維切れを生じたり,ゴム弾性があるた
めカード機の針布の根元近くに繊維がからみつくいわゆ
るカード沈み現象が見られ,まともな繊維積層物とする
ことはできず,この繊維積層物をニードルパンチ処理,
加熱処理により産業上有用な不織布や固綿とすることは
全く考えられなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,このような
課題を解決しようとするものである。すなわち,通常の
ポリエステルと同様に,生産性良く,高強度の繊維を溶
融紡糸できる形状記憶能を有するコポリエステルを用い
た繊維積層物を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は,前記課題を
解決すべく鋭意検討の結果,本発明に到達した。
【0007】すなわち,本願の第1発明は,融点が15
0℃以上であり,単繊維強度が2.5g/デニール以上の
形状記憶能を有するコポリエステル繊維と熱融着性バイ
ンダー繊維からなることを特徴とする繊維積層物を要旨
とするものであり,本願の第2発明は,第1発明のコポ
リエステルが炭素数6以上の長鎖脂肪族ジカルボン酸を
共重合したポリエチレンテレフタレートであるコポリエ
ステル繊維積層物を要旨とするものである。
【0008】以下,本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明に用いる形状記憶能を有するコポリ
エステルとは,以下のような特性を有するものである。 (a) 溶融成形後,加熱雰囲気下で結晶化させると,形状
を記憶する。 (b) ガラス転移点よりも高く,形状を記憶させた温度よ
り低い温度範囲で外力をかけると,比較的容易に変形す
る。 (c) 変形した形状を保持したままガラス転移点未満の温
度にすると,変形した形状に固定される。(形状固定
能) (d) さらに,これに外力をかけない状態でガラス転移点
より高い温度にすると,(a)で記憶した形状に回復す
る。(形状回復能)
【0010】なお,コポリエステルのガラス転移点が4
5℃程度以上の場合,室温あるいは体温付近までは,本
発明の繊維積層物から調製した不織布や固綿は通常のポ
リエチレンテレフタレート使用のものと同様のコシのあ
る風合となり,ガラス転移点以上に加熱すれば,記憶さ
せた状態に戻る。ガラス転移点が室温あるいは体温に満
たない場合は,通常使用時にガラス転移点以上の温度と
なるため,コシが柔らかく,また,常に記憶させた状態
に戻ろうとする性質があるので,例えば,本発明の繊維
積層物を高温で熱プレスして,厚みの薄い不織布とすれ
ば,その平たい状態を記憶し,ソフトでシワのよりにく
いものとなる。
【0011】また,コポリエステルの融点は150℃以
上とする必要がある。融点が150℃未満では,熱融着
性バインダー繊維を加熱,融着させる際に,形状記憶能
を有するコポリエステル繊維自身が軟化変形するため実
用的でない。
【0012】さらに,コポリエステル繊維の単繊維強度
は2.5g/デニール以上である必要がある。単繊維強度
が2.5g/デニールに満たない場合,短繊維とする製綿
工程あるいは繊維積層物を調製する工程での単繊維切れ
に伴う生産性,品位の低下が生じ,実用的でない。
【0013】次に,形状記憶能を有するコポリエステル
を得る方法としては,芳香族ポリエステルセグメント
(ハードセグメント)と脂肪族ポリエステルセグメント
(ソフトセグメント)とを適度な割合で共重合してポリ
マーとする方法や,芳香族ポリエステルセグメント(ハ
ードセグメント)とポリアルキレングリコールセグメン
ト(ソフトセグメント)とを適度な割合で共重合してポ
リマーとする方法等が挙げられるが,前者が好ましい。
【0014】芳香族ポリエステルセグメントとは,ポリ
エステルの繰り返し単位に少なくとも1つの芳香環を有
するポリエステルセグメントのことをいい,脂肪族ポリ
エステルセグメントとは,ポリエステルの繰り返し単位
が脂肪族化合物のみからなるポリエステルセグメントの
ことをいう。
【0015】ハードセグメントを構成する芳香族モノマ
ー成分としては,例えば,テレフタル酸,イソフタル
酸,ビスフエノールA,p−オキシ安息香酸等のジカル
ボン酸,ジオールおよびヒドロキシカルボン酸類が挙げ
られる。
【0016】芳香族モノマーとハードセグメントを構成
したり,あるいはそれ自体でソフトセグメントを構成す
る脂肪族モノマー成分としては,例えば,アジピン酸,
アゼライン酸,ドデカン二酸,エイコサン二酸,エチレ
ングリコール,ブタンジオール,ヘキサンジオール,ε
−カプロラクトン等のジカルボン酸,ジオールおよびオ
キシカルボン酸(またはラクトン)類が挙げられる。ま
た,ポリエチレングリコール,ポリテトラメチレングリ
コール等のポリアルキレングリコールも,ソフトセグメ
ント成分として機能し得る。
【0017】ハードセグメントとしては,エチレンテレ
フタレート単位やブチレンテレフタレート単位のポリエ
ステルが好ましいが,経済性,物性を考慮すれば,エチ
レンテレフタレート単位が最も好ましい。
【0018】ソフトセグメントとしては,アゼライン
酸,セバシン酸,ドデカン二酸等の長鎖脂肪族ジカルボ
ン酸,とりわけ炭素数6以上の脂肪族ジカルボン酸とエ
チレングリコールとのエステル単位が好ましい。
【0019】本発明に用いるコポリエステルにおいて
は,ソフトセグメントが分子内可塑剤の作用をしてポリ
マーの結晶化を促進させ,かつ結晶化部分の絡み合いを
引き起こして固定点を生ぜしめるものと思われる。これ
らハードセグメントとソフトセグメントのみよりなるコ
ポリエステルでも,十分な形状記憶能を有するポリエス
テルとなし得るが,さらに,分子間架橋が可能な分子構
造を導入しても,ゴムが加硫により形状を記憶する原理
と同様,ポリエステルの分子間を要所で架橋させ,記憶
すべき形状を固定させる固定点として機能し得る。分子
間架橋が可能な分子構造の具体例としては,不飽和結合
を有するモノマー成分を共重合し,ポリエステルの主鎖
に不飽和結合を導入する構造が挙げられる。この不飽和
結合を形状を固定記憶させる際に適当な手段で開裂させ
ることにより,分子間架橋が可能となる。
【0020】ポリエステルに共重合が可能で,不飽和結
合を有するモノマー成分としては,例えば,無水マレイ
ン酸,マレイン酸,クロロマレイン酸,イタコン酸,フ
マル酸,シトラコン酸,ヘツト酸,無水ヘツト酸,2−
ブテン−1,4−ジオール,3−ブテン−1,2−ジオール
等の不飽和ジカルボン酸または不飽和ジオール類が挙げ
られる。
【0021】また,ポリエステルに3官能以上のモノマ
ー成分を共重合させて架橋点とすることも有力な手段で
ある。さらに,形状を固定記憶させる際に,ポリエステ
ルの水酸基あるいはカルボキシル基と反応するイソシア
ネート基,アミノ基等を有する架橋剤を添加,反応させ
ることにより分子間架橋を行ってもよい。
【0022】本発明におけるポリエステルには,必要に
応じて,本発明の目的を損なわない範囲であれば他の副
原料が共重合されていてもよいし,種々の添加剤等が含
まれていてもよい。
【0023】本発明に用いるポリエステルを構成するモ
ノマーの構成成分およびその共重合割合は,広範囲に選
択し得るが,経済性,汎用性,物性等を勘案すれば,例
えば次のようなものが好ましい。すなわち,ジカルボン
酸としてテレフタル酸を50〜95モル%,好ましくは
60〜90モル%,ドデカン二酸を5〜50モル%,好
ましくは10〜40モル%,ジオールとしてはエチレン
グリコールを100モル%の割合で使用したポリエステ
ルである。この例においては,エチレングリコールとテ
レフタル酸からなる繰り返し単位がハードセグメント,
エチレングリコールとドデカン二酸からなる繰り返し単
位がソフトセグメントという機能をそれぞれ分担してい
る。また,ドデカン二酸の共重合量により,ガラス転移
点を0〜55℃の範囲に適宜設定できる。
【0024】本発明に用いるポリエステル繊維は,汎用
のポリエステル繊維と同様に,溶融紡糸,延伸方法で製
造すればよい。紡糸条件や延伸条件は,使用する形状記
憶性ポリエステルの物性により異なるが,概ね従来技術
を踏襲できる。すなわち,汎用の紡糸装置あるいは複合
紡糸装置を用いて紡糸すればよい。紡出された繊維は,
必要に応じて連続的または別工程で延伸,熱処理され,
捲縮加工,薬液処理等の高次加工に付される。また,紡
糸に際し,安定剤,蛍光剤,顔料,強化剤といった添加
剤を共存させてもよい。
【0025】コポリエステル繊維の繊維形状は,丸断面
をはじめ,三角断面等の異形でもよく,中空繊維であっ
てもよい。さらに,他のポリマーと複合したり,重合度
の異なる2種の形状記憶能を有するポリエステルをサイ
ドバイサイドに複合してもよい。
【0026】本発明の繊維積層物は,さらに熱融着性バ
インダー繊維を含むものである。この熱融着性バインダ
ー繊維を混合することにより,加熱あるいは加熱成型す
ると,不織布,固綿あるいは所望の形状の成型物に形状
固定でき,産業上極めて有用なものとなる。
【0027】熱融着性バインダー繊維は,主体となる形
状記憶能を有するコポリエステルより10℃以上融点の
低いポリマーからなるものであれば何でもよく,ポリエ
チレン,ポリプロプレン,などのオレフイン系,ポリア
ミド系,ポリエステル系のバインダー繊維が好ましく,
ポリエチレンテレフタレートあるいはポリブチレンテレ
フタレートにイソフタル酸,ジエチレングリコール,1,
6−ヘキサンジオールなどを共重合したコポリエステル
系のバインダー繊維がより好ましい。この熱融着性バイ
ンダー繊維は,低融点のポリマーのみからなる繊維のみ
ならず,芯にポリエチレンテレフタレートあるいは主体
となる形状記憶能を有するこポリエステル自体,鞘に低
融点のポリマーといった芯鞘構造を持つ複合繊維として
もさしつかえない。熱融着性バインダー繊維は,通常1
0〜40重量%程度混合される。
【0028】繊維積層物は,形状記憶能を有するポリエ
ステルと熱融着性バインダー繊維とを,通常のカード
法,エアーレイ法,湿式抄紙法等によって開繊し積層す
ることにより製造することができる。また,その接着方
法は目的に応じて適宜選択するとよい。不織布あるいは
固綿は,得られた繊維積層物を必要に応じてニードルパ
ンチ処理や水流交絡処理等行った後,前記熱融着性バイ
ンダー繊維の融点以上の温度で熱風ドライヤー,サクシ
ヨンドラムドライヤー,ヤンキードライヤー等のドライ
ヤーやフラツトカレンダーロール,エンボスロール等の
ヒートロール等の熱処理装置を使用し,また曲面等を有
する成型品は所定の形状に加熱成型できる熱処理装置を
使用して熱処理することにより製造できる。この熱処理
工程で形状記憶能を有するコポリエステルの結晶化ある
いは架橋反応が促進されるので,その熱処理時の形状を
記憶するのである。そして使用時あるいは洗濯等により
記憶した形状が崩れてもガラス転移点以上の軽い加熱に
より記憶した形状を回復する。
【0029】なお,本発明の繊維積層物は形状記憶能を
阻害しない範囲で,形状記憶能を有しない通常のポリエ
チレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等
のポリエステル繊維,ナイロン繊維,レーヨン繊維,ウ
ール,木綿,麻等の合成繊維,再生繊維,天然繊維と混
合したものであっても差し支えない。
【0030】
【作用】本発明の繊維積層物は,固定点が生じるような
熱処理を施した工程で形状を記憶させておくと,ガラス
転移点以上の温度になったとき,もとの形状に戻ろうと
する作用が働き,もとの形状に復帰することができるよ
うになる。
【0031】
【実施例】次に,実施例を挙げて本発明を記述する。な
お,実施例において,ポリエステルの特性値は次のよう
にして測定したものである。 (1)極限粘度 フエノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒と
し,温度20℃で測定した。 (2)融点およびガラス転移点 示差走査熱量計(パーキンエルマー社製,DSC−2
型)を用いて,昇温速度20℃/min で測定した。
【0032】実施例1 テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応
により得られたビス(β−ヒドロキシエチルテレフタレ
ート)およびそのオリゴマー45.0kgに,ドデカン二酸
5.8kg,マレイン酸0.4kg,エチレングリコール9.0k
g,触媒としてテトラブチルチタネート26gを加え,
250℃,窒素ガス制圧下3.6kg/cm2 で2時間,エス
テル化反応を行った。ドデカン二酸の共重合量は10モ
ル%,マレイン酸の共重合量は1.5モル%であった。
【0033】得られたエステル化物を重縮合反応器に移
して,280℃,0.4トルで3時間,重縮合反応を行
い,コポリエステルAを得た。得られたコポリエステル
Aは,ガラス転移点49℃,融点232℃,極限粘度0.
65であった。
【0034】コポリエステルAのチツプを減圧乾燥した
後,通常の溶融紡糸装置を使用して溶融し,紡糸孔数2
65の紡糸口金を通し,紡糸温度270℃,総吐出量5
20g/分で溶融紡出した。紡出繊維糸条を冷却後,引
取速度1000m/分で引き取って未延伸繊維糸条を得
た。得られた糸条を集束し,10万デニールのトウにし
て,延伸倍率3.1,延伸温度60℃で延伸し,150℃
のヒートドラムで熱処理してから,押込式クリンパを使
用して捲縮を付与した。続いて,長さ51mmに切断し
て,単糸繊度6デニール,単繊維強度4.2g/デニー
ル,伸度83%の形状記憶能を有するコポリエステル繊
維を得た。
【0035】この繊維とメルテイ<4080>(ユニチ
カ株式会社製熱融着バインダー繊維,単繊維繊度4デニ
ール,切断長51mm)を80:20の割合で混綿した
後,カード機に通して目付50g/m2のウエブとし,温
度140℃の回転乾燥機を使用して1分間熱処理し不織
布を作成した。 この不織布を2つ折りにし,170℃
のアイロンをかけて折り目を記憶させた。続いて不織布
を拡げて折り目の部分を70℃でアイロンかけすると折
り目は全く消滅した。これを70℃の乾燥機中に静置
し,2分後に取り出すと明瞭な折り目が認められ,形状
記憶能が確認できた。
【0036】実施例2 実施例1と同様にして2種類の繊維を混綿し,カードに
通して1300g/m2のウエブを調整し,熱乾燥機中で
160℃10分間熱処理し厚さ8cmの固綿を得た。得た
固綿に荷重をのせて2.5cmの厚さに圧縮し, そのままの
状態で温度70℃の熱乾燥機で30分処理後取り出し,
室温で30分冷却してから荷重を外した。さらに30分
経過後厚さNを測ると2.9cmであり,圧縮固定されてい
た。圧縮固定された固綿を荷重をのせない状態で温度7
0℃の熱乾燥機で30分処理後取り出し,室温で30分
冷却して後,厚さMを測ると7.8cmとなり始めの形状を
回復することを確認した。
【0037】実施例3〜4および比較例1 実施例1においてマレイン酸を添加せず,ドデカン二酸
の共重合量を変更すること以外は実施例1と同様にして
コポリエステルB〜Dを得た。これらのコポリエステル
の物性を表1に示す。さらに実施例1においてコポリエ
ステルAの代わりにこれらのコポリエステルB〜Dを用
い,延伸工程でのヒートドラム温度および固綿にする時
の熱オーブン処理温度を変更すること以外は実施例2と
同様にして実施例2〜3および比較例1の固綿を得た。
形状記憶能は,実施例2と同様にして,厚さNおよびM
を測定し評価した。その結果を併せて表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】実施例3および4は,実施例2と同様,圧
縮状態下でガラス転移点以上で処理すると圧縮固定さ
れ,無荷重で処理すると元の厚さに戻り,形状記憶能が
確認できたが,ドデカン二酸の共重合量の多いコポリエ
ステル繊維である比較例1の場合,圧縮固定性,形状回
復性ともに劣るものであった。
【0040】比較例2 実施例1において,重縮合反応の時間を1.5時間として
極限粘度0.44のコポリエステルEを得た。このコポリ
エステルEのガラス転移点は47℃で,融点は230℃
であった。このコポリエステルEを用いること以外は,
実施例1と同様にして実施し,単繊維強度1.5g/デニ
ール,伸度80%のコポリエステル繊維を得た。この繊
維を用いて実施例1と同様にして不織布を作成しようと
したが,カード機での単繊維切れがひどく満足なウエブ
を調整できない状態であり,以後の試験を取り止めた。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば,形状記憶能を有するポ
リエステル繊維積層物を得ることができる。これを用い
て調製した不織布は,一旦型付けすると,その型が失わ
れても軽い加熱で元の型付けした状態に戻る。また,こ
れを用いて調製した固綿は,形状固定性や形状回復性が
みとめられる。具体的な用途と効果としては,不織布芯
地やキルテイング中綿として用い,型崩れしても軽い加
熱で形状を回復させ,その形状保持性,保温性等の効果
を長続きさせたり,布団綿やクツシヨン材に利用して,
使用時にへたっても軽い加熱で元の嵩高い状態に戻ると
いった効果を利用できる。
【0042】また,本発明の繊維積層物のうち形状記憶
能を有するポリエステルのガラス転移点が室温を越える
ものを用いた繊維積層物を加熱接着して固綿とし,さら
にガラス転移点以上で熱融着性バインダー繊維の接着に
必要な温度には満たない温度で圧着して固綿の嵩を下
げ,その状態のままガラス転移点未満の温度に冷却すれ
ば,嵩の低い状態で形状が固定される。これを使用直前
に無緊張状態で加熱すれば加熱接着の時の嵩に戻るた
め,固綿の輸送・保管コストの低減に利用することもで
きる。体温付近にガラス転移点を設定すれば,着用時に
ソフトで嵩高な紙おむつやナプキ等の衛生材料を得るこ
とができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が150℃以上であり,単繊維強度
    が2.5g/デニール以上の形状記憶能を有するコポリエ
    ステル繊維と熱融着性バインダー繊維からなることを特
    徴とする繊維積層物。
  2. 【請求項2】 コポリエステルが炭素数6以上の長鎖脂
    肪族ジカルボン酸を共重合したポリエチレンテレフタレ
    ートである請求項1記載のコポリエステル繊維積層物。
JP3231187A 1991-08-16 1991-08-16 形状記憶能を有するコポリエステル繊維積層物 Pending JPH0551853A (ja)

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