JP3873588B2 - 車両の自動操縦制御装置 - Google Patents

車両の自動操縦制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右制駆動力を独立に制御し、所望のヨーモーメントを発生することで自車両を目標走行車線に誘導する自動操縦制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
左右の制駆動力を独立に制御することで、車両の自動操縦を行う従来技術としては、例えば、特開平6−227283号公報に記載のものがある。
【0003】
本従来技術は、自車両と外界との相対位置関係を検出し、目標とする走路と自車両の位置との偏差に基づいてこの偏差を減少させるような制駆動力を算出することにより、目標とする走路上へ車両を誘導するよう制御を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の自動操縦制御装置にあっては、路面状態などを考慮することなく制駆動力を算出しているため、雨で濡れた路面,雪道などの低摩擦係数路面で制御が作動した場合には、算出された制駆動力により発生するヨーモーメントが過大となり、挙動が不安定となる可能性がある。
【0005】
さらに、ドライバが操舵を行った場合にも、これに関わらず目標コースを保つようなヨーモーメントを算出するため、ドライバ操舵を打ち消すような制御が行われてしまい、ドライバにとって違和感を生じる恐れがある。
【0006】
本発明は上記のような問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、自動操舵制御中にドライバが操舵を行った場合や低摩擦係数路走行時等のような走行状況において、目標とする走行車線上に自車両を誘導する自動操舵制御をそのまま維持することによる操舵違和感や車両挙動の不安定等の弊害を除去することができる車両の自動操縦制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、左右制駆動力を独立制御して所望のヨーモーメントを発生するものであって、
自動操縦に適した走行状況か適していない走行状況かを値の大小によりあらわしたものを自動操縦可否判定指標とし、操舵角/操舵角速度/パワーステアリング油圧状態を検出する操舵状態検出手段からの検出量が大きくなるにつれて、自動操縦に適していない走行状況を示す自動操縦可否判定指標を演算する自動操縦可否判定手段と、
車両の横すべり状態を演算する車両横すべり状態演算手段と、
前記車両横すべり状態演算手段からの車両横すべり状態に基づき、車両を安定化させるために必要な第1ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力を制御する第1自動操縦制御手段と、
走行する自車両と外界との相対位置を演算する走行位置演算手段と、
前記走行位置演算手段からの自車両と外界との相対位置に基づいて、目標とする走行車線上に自車両を誘導するために必要な第2ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力を制御する第2自動操縦制御手段と、
前記自動操縦可否判定手段により自動操縦に適した走行状況との判定に基づいて第2自動操縦制御手段が選択されているとき、前記自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値になるほど、また、前記第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変化させて自動操縦制御を行う制御則変更手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明では、左右制駆動力を独立制御して所望のヨーモーメントを発生するものであって、
自動操縦に適した走行状況か適していない走行状況かを値の大小によりあらわしたものを自動操縦可否判定指標とし、検出される路面摩擦係数及び車速に基づき、路面摩擦係数が低摩擦係数を示すほど、また、車速が高車速を示すほど、自動操縦に適していない走行状況を示す自動操縦可否判定指標を演算する自動操縦可否判定手段と、
車両の横すべり状態を演算する車両横すべり状態演算手段と、
前記車両横すべり状態演算手段からの車両横すべり状態に基づき、車両を安定化させるために必要な第1ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力を制御する第1自動操縦制御手段と、
走行する自車両と外界との相対位置を演算する走行位置演算手段と、
前記走行位置演算手段からの自車両と外界との相対位置に基づいて、目標とする走行車線上に自車両を誘導するために必要な第2ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力を制御する第2自動操縦制御手段と、
前記自動操縦可否判定手段により自動操縦に適した走行状況との判定に基づいて第2自動操縦制御手段が選択されているとき、前記自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値になるほど、また、前記第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変化させて自動操縦制御を行う制御則変更手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の車両の自動操縦制御装置において、
前記制御則変更手段を、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量に対するフィルタリング手段とし、前記自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値になるほど、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量の低周波数成分が除去されるように作用させ、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更する手段としたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の車両の自動操縦制御装置において、
前記制御則変更手段を、前記第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるか、もしくは、横すべり状態が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更する手段としたことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の車両の自動操縦制御装置において、
前記制御則変更手段を、前記第2自動操縦制御手段によって演算される制御量に対するフィルタリング手段とし、前記第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるか、もしくは、横すべり状態が大きくなるほど、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量を小さくすると共に、相対的に高周波数成分が多く除去されるように作用させ、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更する手段としたことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明では、請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両の自動操縦制御装置において、
前記走行位置演算手段を、車両前方を撮影するカメラと、このカメラによって得られた画像から車線形状を抽出する車線形状抽出手段により構成した手段とし、前記目標とする走行車線を、該車線形状情報に基づいて定めることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明では、請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両の自動操縦制御装置において、
前記走行位置演算手段を、路面に埋設された磁気ネールと、車両前部に搭載された磁気センサと、この磁気センサから得られた磁気情報から磁気ネールに対する自車両の相対位置を決定する相対位置決定手段により構成した手段とし、前記目標とする走行車線を、該相対位置情報に基づいて定めることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明では、請求項1乃至7の何れか1項に記載の車両の自動操縦制御装置において、
前記車両横すべり状態演算手段に代え、車輪のスリップ率を推定する車輪スリップ率推定手段を設け、
前記第1自動操縦制御手段を、車輪スリップ率推定手段からの車輪スリップ率を最適化するのに必要な第1ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力を制御する手段としたことを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明では、請求項8に記載の車両の自動操縦制御装置において、
前記制御則変更手段を、前記第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるか、もしくは、車輪スリップ率が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更する手段としたことを特徴とする。
【0018】
【発明の作用および効果】
請求項1記載の発明にあっては、自動操縦可否判定手段において、自動操縦に適した走行状況か適していない走行状況かを値の大小によりあらわしたものが自動操縦可否判定指標とされ、操舵角/操舵角速度/パワーステアリング油圧状態を検出する操舵状態検出手段からの検出量が大きくなるにつれて、自動操縦に適していない走行状況を示す自動操縦可否判定指標が演算される。
一方、第1自動操縦制御手段において、車両横すべり状態演算手段からの車両横すべり状態に基づき、車両を安定化させるために必要な第1ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力が制御される。
また、第2自動操縦制御手段において、走行位置演算手段からの自車両と外界との相対位置に基づいて、目標とする走行車線上に自車両を誘導するために必要な第2ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力が制御される。
そして、制御則変更手段において、自動操縦可否判定手段により自動操縦に適した走行状況との判定に基づいて第2自動操縦制御手段が選択されているとき、自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値になるほど、また、第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変化させて自動操縦制御が行われる。
即ち、通常の自動操舵による走行時には、自動操縦に適した走行状況との判定に基づき第1自動操縦制御手段と第2自動操縦制御手段による制御則が選択され、横すべりのない走行状況では目標とする走行車線上に自車両を誘導する第2ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力が制御され、横すべりが加わると第2ヨーモーメントに第1ヨーモーメントを加えて目標ヨーモーメントとし、目標とする走行車線上に自車両を誘導するばかりでなく、横すべりに対し車両を安定化させるべく制駆動力が制御される。
一方、自動操縦に適した走行状況との判定に基づき第2自動操縦制御手段が選択されているとき、自動操舵による走行中にドライバが操舵を行うことで自動操縦に適していない走行状況と判定されると、自動操縦可否判定指標指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値になり、目標車線上に自車両を誘導する第2ヨーモーメント(ドライバの操舵によるモーメント方向とは逆方向のモーメント)を得る第2自動操縦制御の寄与度が小さくなる。
よって、自動操舵中にドライバが操舵を行った場合、ドライバ操舵を打ち消す方向の第2ヨーモーメントを得る制御が抑制され、ドライバの操舵違和感を解消することができる。
また、2つの制御則の寄与度(重み付け)を変更することで、走行状況の自動操縦適性度に応じて徐々に制御則が変更される制御となり、制御則をON/OFF的に切替変更する場合の車両挙動変化や違和感を抑えることができる。
さらに、操舵角/操舵角速度/パワーステアリング油圧状態を検出する操舵状態検出手段からの検出量が大きくなるにつれて、自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値とされる。
よって、操舵状態検出手段によりドライバの操舵意志と操舵量が検出された時には、自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値とされることで、自動操舵中にドライバが操舵を行った場合、確実にドライバ操舵を打ち消すような制御が抑制され、ドライバの操舵違和感を解消することができる
【0021】
請求項2記載の発明にあっては、自動操縦可否判定手段において、自動操縦に適した走行状況か適していない走行状況かを値の大小によりあらわしたものが自動操縦可否判定指標とされ、検出される路面摩擦係数及び車速に基づき、路面摩擦係数が低摩擦係数を示すほど、また、車速が高車速を示すほど、自動操縦に適していない走行状況を示す自動操縦可否判定指標が演算される。
一方、第1自動操縦制御手段において、車両横すべり状態演算手段からの車両横すべり状態に基づき、車両を安定化させるために必要な第1ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力が制御される。
また、第2自動操縦制御手段において、走行位置演算手段からの自車両と外界との相対位置に基づいて、目標とする走行車線上に自車両を誘導するために必要な第2ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力が制御される。
そして、制御則変更手段において、自動操縦可否判定手段により自動操縦に適した走行状況との判定に基づいて第2自動操縦制御手段が選択されているとき、自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値になるほど、また、第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変化させて自動操縦制御が行われる。
即ち、通常の自動操舵による走行時には、自動操縦に適した走行状況との判定に基づき第1自動操縦制御手段と第2自動操縦制御手段による制御則が選択され、横すべりのない走行状況では目標とする走行車線上に自車両を誘導する第2ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力が制御され、横すべりが加わると第2ヨーモーメントに第1ヨーモーメントを加えて目標ヨーモーメントとし、目標とする走行車線上に自車両を誘導するばかりでなく、横すべりに対し車両を安定化させるべく制駆動力が制御される。
一方、自動操縦に適した走行状況との判定に基づき第2自動操縦制御手段が選択されているとき、雨で濡れた路面や雪道等の走行時には、車両の横すべりが大きくて頻繁に生じることで、車両横すべり状態に基づき、車両を安定化させるために必要な第1ヨーモーメントを得る第1自動操縦制御の作動量が大きくなり、目標車線上に自車両を誘導する第2ヨーモーメント(第1ヨーモーメントとは同方向のモーメント)を得る第2自動操縦制御の寄与度が小さくなる。
よって、低摩擦係数路等での自動操舵制御中に横すべりが生じた場合、第2ヨーモーメントを得る制御が抑制され、第2ヨーモーメントがそのまま加算される場合に比べて制駆動トルクが小さく抑えられ、車両挙動の安定性を確保することができる。
また、2つの制御則の寄与度(重み付け)を変更することで、走行状況の自動操縦適性度に応じて徐々に制御則が変更される制御となり、制御則をON/OFF的に切替変更する場合の車両挙動変化や違和感を抑えることができる。
さらに、検出される路面摩擦係数及び車速に基づき、路面摩擦係数が低摩擦係数を示すほど、また、車速が高車速を示すほど、自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値とされる。
よって、路面摩擦係数が低摩擦係数を示すほど、また、車速が高車速を示すほど横すべりが発生し易い走行状況であり、この時には、自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値とされることで、実際の横すべりの発生を待つことなく、未然に制駆動トルクが過大になるのが抑制され、車両挙動の安定性を確保することができる。
【0022】
請求項3記載の発明にあっては、制御則変更手段が、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量に対するフィルタリング手段とされ、自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値になるほど、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量の低周波数成分が除去されるように作用させ、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更される。
よって、ドライバが操舵を行った場合においては、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量の低周波数成分が低減されるため、路面から受ける外乱等に対して進路を修正するための比較的高周波数の制御量のみが発生され、ドライバ操舵を打ち消すような制御が行われることがなく、ドライバにとって違和感のない特性とすることができる。
【0023】
請求項4記載の発明にあっては、制御則変更手段において、第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるか、もしくは、横すべり状態が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更される。
よって、第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなる前に、雨で濡れた路面,雪道等での自動操舵制御中に横すべりが発生した場合、横すべりの発生時点で第2自動操縦制御手段による制御量が小さくなるように補正され、横すべりの発生に対し応答良く車両挙動の安定性を確保することができる。
【0024】
請求項5記載の発明にあっては、制御則変更手段が、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量に対するフィルタリング手段とされ、第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるか、もしくは、横すべり状態が大きくなるほど、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量が小さくされると共に、相対的に高周波数成分が多く除去されるように作用させ、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更される。
よって、雨で濡れた路面,雪道等での自動操舵制御中に横すべりが発生した場合、第2自動操縦制御手段による制御量が小さくなるように補正されることで、横すべりの発生に対し車両挙動の安定性を確保することができると同時に、相対的に高周波数成分が多く除去されるように作用させることで、目標とする車線へ向かうための低周波数成分による第2ヨーモーメントが重畳され、目標車線へ自車両を向かわせることが可能となる。
【0025】
請求項6記載の発明にあっては、走行位置演算手段が、車両前方を撮影するカメラと、このカメラによって得られた画像から車線形状を抽出する車線形状抽出手段により構成され、目標とする走行車線が、該車線形状情報に基づいて定められる。
よって、高速道路等のように路面上に走行ラインが描かれているような道路の走行において、目標走行車線情報を用いて演算される第2ヨーモーメントを正確に演算することができる。
【0026】
請求項7記載の発明にあっては、走行位置演算手段が、路面に埋設された磁気ネールと、車両前部に搭載された磁気センサと、この磁気センサから得られた磁気情報から磁気ネールに対する自車両の相対位置を決定する相対位置決定手段により構成され、目標とする走行車線が、該相対位置情報に基づいて定められる。
よって、磁気ネールが埋設された道路の走行において、目標走行車線情報を用いて演算される第2ヨーモーメントを正確に演算することができる。
【0027】
請求項8記載の発明にあっては、第1自動操縦制御手段において、車輪スリップ率推定手段からの車輪スリップ率を最適化するのに必要な第1ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力が制御される。
即ち、第1自動操縦制御手段において、請求項1記載の車両横すべり状態に代え車輪スリップ率が用いられる。
よって、雨で濡れた路面,雪道等での自動操舵制御中に車輪スリップが発生するような場合、第1自動操縦制御手段において第1ヨーモーメントを得る制駆動トルクのみが与えられるため、第1ヨーモーメントに第2ヨーモーメントが加算されて制駆動トルクが過大になるのが抑制され、車両挙動の安定性を確保することができる。
【0028】
請求項9記載の発明にあっては、制御則変更手段において、第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるか、もしくは、車輪スリップ率が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更される。
よって、雨で濡れた路面,雪道等での自動操舵制御中に車輪スリップが発生して第1自動操縦制御手段による制御量が大きくなったり、車輪スリップ率が大きくなった場合、第2自動操縦制御手段による制御量が小さくなるように補正されることで、車両挙動を不安定とする過大な制駆動トルクの発生が抑えられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における車両の自動操縦装置を示す全体構成図である。
まず構成を説明すると、各輪のブレーキ液圧を制御することで制動トルクを可変制御する制動液圧制御装置1と、空気流量,燃料噴射量,点火時期を制御することによってエンジン出力を可変制御するエンジン出力制御装置2が備えられ、それぞれコントロールユニット3からの指令信号に基づいて各輪の制御力、エンジン出力を発生する。また、車両前方には、車線状況を撮影するCCDカメラ4が設けられ、車体上には鉛直軸回りの回転速度を検出するヨーレートセンサ5と左右方向の加速度を検出する横加速度センサ6が設けられ、また、エンジン7及び変速機8を介して回転駆動力が伝達されるプロペラシャフト9には車速を検出する車速センサ10が設けられ、それぞれの出力はコントロールユニット3に入力されている。さらに、図外の操舵機構には操舵角センサ11が設けられ、同じくコントロールユニット3に入力されている。
【0030】
図2には、コントロールユニット3の全体構成図を示す。
コントロールユニット3には、ヨーレートセンサ5,横加速度センサ6,操舵角センサ11,車速センサ10,CCDカメラ4からの信号を入力して、コントローラ内の演算に用いるデジタル値に変換する信号入力処理部301を備えている。
【0031】
そして、ヨーレートγ,横加速度Gy,操舵角δ,車速Vから車両の横すべり状態を算出する横すべり状態演算部308と、横すべり状態に基づき、車両の走行状態を安定化させるための第1ヨーモーメントM1を算出する第1ヨーモーメント演算部309と、第1ヨーモーメントM1に基づいて各輪の制駆動トルクT1を算出する第1制駆動トルク演算部310を備え、これらは第1自動操縦制御手段に相当する。
【0032】
また、車速VとCCDカメラ信号に基づき、自車の走行車線上の位置を演算する走行位置演算部311と、自車の走行車線上の位置に基づき、車両を車線上に追従させるための第2ヨーモーメントM2を算出するための第2ヨーモーメント演算部312と、第2ヨーモーメントM2に基づいて各輪の制駆動トルクT2を算出する第2制駆動トルク演算部313を備え、これらは第2自動操縦制御手段に相当する。
【0033】
さらに、操舵角δと車速Vに基づいて自動操縦の可否を判定するための指標Jを算出する自動操縦可否判断指標演算部302(自動操縦可否判定手段)が設けられ、前記指標J及び制駆動トルクT1,T2を入力し、これらに入力情報に基づいて目標制動トルク及び目標駆動トルクを算出する目標制駆動トルク演算部303(制御則変更手段)が設けられている。そして、出力処理部として、目標制動トルクに基づき、各輪の制動液圧を演算する制動液圧演算部304と、各輪の目標液圧に基づき制御信号を制動液圧制御装置1に出力する信号出力処理部305と、目標駆動トルクに基づき目標エンジントルクを演算するエンジン出力演算部306と、目標エンジントルクをエンジンコントロールユニット2に対して送信する信号通信処理部307が設けられている。
【0034】
図3は実施の形態1における自動操縦制御処理作動の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、このフローチャートに示す手順は、タイマ割り込みによって、一定時間毎にこのジョブが起動され、順次下記の内容で処理が実行される。
【0035】
ステップ101では、操舵角センサ11,横加速度センサ6,ヨーレートセンサ5,車速センサ10,CCDカメラ4からの信号を入力し、その後の演算処理に用いることのできる電気信号に変換される。
【0036】
ここで、ヨーレートセンサ5は、図4に示すように、ヨーレートに比例した電圧を出力するセンサで、左旋回時に正の値を出力する。また、横加速度センサ6は、図5に示すように、横加速度に比例した電圧を出力し、左旋回時に正の値を出力するよう取り付けられている。
また、CCDカメラ4は、車両前方に取り付けられ、図6に示すように、道路上の車線を撮影し、画像情報を出力する。また、操舵角センサ11と車速センサ10は、それぞれ操舵軸とプロペラシャフトの回転に応じてパルス出力するものであり、信号入力処理部301において操舵角値δ、車速値Vに変換される。
【0037】
ステップ102では、横すべり状態が演算される。即ち、ヨーレートγ,横加速度Gy,車速Vに基づき重心点横すべり角βの変化速度dβ/dt及び重心点横すべり角βを、
dβ/dt=Gy/V−γ
β=dβ/dtの積分値
として算出し、算出したβ,dβ/dtに基づき、制御作動の有無を判断する。ここで、制御作動/非作動を判断するしきい値は、β×(dβ/dt)=一定値の線をしきい値線とし、しきい値線未満の領域を制御非作動とし、しきい値線以上の領域を制御作動とする。そして、このしきい値線は、図7に示すように、車速Vまたは操舵角δが大きくなるにつれて上方へ移動し、制御作動領域を狭めるように設定されている。
【0038】
ステップ103では、ヨーレートγ,横すべり角β及びステップ102での判断結果に基づき、第1ヨーモーメントM1が算出される。第1ヨーモーメントM1は、車両の横すべり状態を緩和するように算出されるモーメントであり、次式により算出される。
M1=−Ka×γ−Kb×β
(Ka,Kbはゲイン)
【0039】
ステップ104では、第1ヨーモーメントM1の算出結果に基づき、このモーメントM1を発生するために必要な各輪の制駆動トルクT1が算出される。前後輪におけるトレッドをそれぞれTf,Trとして、
M1>0の場合
T1_1=−M1/Tf(前左輪)
T1_2=0 (前右輪)
T1_3=−M1/Tr(後左輪)
T1_4=0 (後右輪)
M1<0の場合
T1_1=0 (前左輪)
T1_2=M1/Tf(前右輪)
T1_3=0 (後左輪)
T1_4=M1/Tr(後右輪)
とする。なお、T1が正の値の場合は駆動トルク,T1が負の値の場合は制動トルクをあらわす。
【0040】
ステップ105では、CCDカメラ4が撮影した図6に示すような画像から、道路白線部分を抽出し、図8に示すように、車線内における自車の横偏差Y及びヨー角ψが算出される。
【0041】
ステップ106では、車線内における自車の横偏差Y及びヨー角ψに基づき、第2ヨーモーメントM2が算出される。第2ヨーモーメントM2は、横偏差Y及びヨー角ψを減少させるように発生されるモーメントであり、次式に基づいて算出する。
M2=−Kc×Y−Kd×ψ
(Kc,Kdはゲイン)
【0042】
ステップ107では、第2ヨーモーメントM2の算出結果に基づき、この第2ヨーモーメントM2を発生するために必要な各輪の制駆動トルクT2が算出される。
T2_1=−M2/Tf(前左輪)
T2_2=M2/Tf (前右輪)
T2_3=−M2/Tr(後左輪)
T2_4=M2/Tr (後右輪)
なお、T2が正の値の場合は駆動トルク、T2が負の値の場合は制動トルクをあらわす。
【0043】
ステップ108では、第2ヨーモーメントM2として算出されるヨーモーメントを実際に発生させるか否かを判断する判断指標Jが算出される。判断指標Jは、例えば、図9に示すように、操舵角検出値δの大きさ|δ|の増加に応じて増加すると共に、高速になるほど小さな舵角に対して判断指標Jが大きな値となる関数として定められる。
【0044】
ステップ109では、上記で算出されたT1_1〜4,T2_1〜4,M1,Jに基づいて、最終的な目標制駆動トルクT_1〜4が算出される。
即ち、図10に示すように、第1ヨーモーメントM1に基づいてゲインK1が計算され、判断指標Jに基づいてゲインK2が計算され、2つのゲインK1,K2を掛け合わせたゲインK(制御則寄与度)と、第2ヨーモーメントM2を発生するために必要な各輪の制駆動トルクT2_1〜4とを掛け合わせて制駆動トルクT2_1〜4が補正され、第1ヨーモーメントM1を発生するために必要な各輪の制駆動トルクT1_1〜4と、ゲインKにより補正された制駆動トルクT2_1〜4とを加算して最終的な目標制駆動トルクT_1〜4が算出される。
このとき、第1ヨーモーメントM1,判断指標Jに基づいて、ゲインK1,K2をそれぞれ算出する。これらのゲインK1,K2は、例えば、図11に示すように、ある一定以上のM1値,J値までは1を保ち、それ以上の値に対して減少する関数として定められる。
【0045】
ステップ110では、目標制駆動トルクT_1〜4が負の値の場合、制動液圧演算部304において、目標制動トルクに応じた制動液圧目標値が算出される。
【0046】
ステップ111では、目標制駆動トルクT_1〜4が正の値の場合、エンジン出力演算部306において、目標エンジントルクが算出される。
【0047】
ステップ112では、信号出力処理部305において制動液圧目標値に応じた各輪液圧指令信号が制動液圧制御装置1に出力され、また、信号通信処理部307において目標エンジントルクに応じたトルク指令がエンジン出力制御装置2に送信される。
【0048】
本実施の形態1によれば、雨,雪などによりすべりやすくなった路面上では、車両が横すべりしている状態から安定させるための第1ヨーモーメントM1が大きくなるにつれて、前方車線に追従するための第2ヨーモーメントM2が低減されるため、このような車線に追従する制御を行うことで目標ヨーモーメントが過大になり、車両挙動が不安定な状態になることがない。
【0049】
また、ドライバが操舵を行った場合には、これに応じて第2ヨーモーメントM2が低減されるため、ドライバ操舵を打ち消すような制御が行われることが無く、ドライバにとって違和感を生じることがない。
【0050】
なお、本実施の形態1では、自動操縦可否判断指標演算部302において、ドライバが操舵していることを検出するために、ステアリング操舵角を検出する例を示したが、これは舵角速度を用いても同様の効果を得ることができる。また、図12に示すように、パワーステアリング機構20の油圧を計測し、これに応じて図13のように判断指標Jを定めることもできる。この方法によれば、操舵角が発生する以前にドライバの操舵意志を検出することができるため、ドライバにとってより違和感のない制御を行うことができる。
【0051】
また、前方の車線状況を検出する手段としてカメラを用いる例を示したが、これに代えて、図14に示すように、路面に埋設された磁気レール21と車両前部に搭載された磁気センサ22によって走行車線に対する自車位置を検出することも可能であり、この例では、車両前部に設けた3つの磁気センサ22,22,22における検出強度の比率より、車両の横変位を算出し、第2ヨーモーメントM2を、
M2=−K3×Y
の式により算出する。
【0052】
更に、上記実施の形態1では、第1ヨーモーメントM1に基づいてゲインK1の算出を行う例を示したが、図15に示すように、横すべり角βの絶対値|β|または横すべり角βの微分値dβ/dtの絶対値|dβ/dt|に基づいてゲインK1を定めることも可能である。この方法によれば、横すべり状態演算部308、第1ヨーモーメント演算部309において車両を安定化させるための第1ヨーモーメントM1が演算される以前に、横すべり状態に応じてゲインK1が変更されるため、横すべりが発生しそうな状態において、未然に第2ヨーモーメントM2に伴う制駆動トルクを低減することができる。
【0053】
(実施の形態2)
図16は実施の形態2におけるコントロールユニット3の全体構成を示す図である。
基本的構成は前述の実施の形態1と同様であるため、異なる点についてのみ説明すると、実施の形態2には路面摩擦係数推定部314を備えると共に、自動操縦可否判断指標演算部302において、路面摩擦係数推定値と車速に基づいて判断指標Jを算出するよう構成されている。
【0054】
路面摩擦係数推定部314では、図17に示すように、横すべり状態演算部308で算出された横すべり角βの値が急に増大し、スリップ状態に至ったと判断される時点における横加速度値に基づいて、路面摩擦係数が推定される。
【0055】
自動操縦可否判断指標演算部302では、路面摩擦係数推定値μと車速Vに基づき、図18に示すように、車速Vが速くなるにつれて、また、路面摩擦係数推定値μが小さくなるにつれて判断指標Jが大きくなるように定められる。
【0056】
実施の形態2では、上記のように構成したことで、路面摩擦係数推定値μ(路面のすべり易さ)と車速Vに基づいて、予め第2ヨーモーメントM2が低減されるため、高速走行時や低μ路走行時に目標ヨーモーメント(制駆動トルク)が過大になることを原因として車両挙動が不安定になることが防止される。
【0057】
(実施の形態3)
図19は実施の形態3の目標制駆動トルク演算部303を示す制御ブロック図である。
基本的構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点についてのみ説明すると、目標制駆動トルク演算部303において、第2ヨーモーメントM2に基づく制駆動トルクT2_1〜4にゲインK1,K2を乗じるのに代えて、第2ヨーモーメントT2_1〜4から高周波成分のみを除去するローパスフィルタ30
KL・{1/(1+TL・s)}
s;ラプラス演算子
TL;フィルタの時定数
KL;ゲイン
と低周波成分のみを除去するハイパスフィルタ31
KH・{T・s/(1+TH・s)}
TH;フィルタの時定数
KH;ゲイン
を備え、第1ヨーモーメントM1と判断指標Jの値に応じてそれぞれの時定数TL,THとゲインKL,KHを定めるようにしたものである。
【0058】
ここで、ローパスフィルタ30の時定数TLとゲインKLは、図20に示すように、第1ヨーモーメントM1の増加に対して時定数TLが大きくなり、第1ヨーモーメントM1の増加に対してゲインKLを低下するように定められる。
また、ハイパスフィルタ31の時定数THとゲインKHは、図21に示すように、判断指標Jの増加に対して時定数THが大きくなり、また、第1ヨーモーメントM1の増加に対してゲインKHが低下するように定められる。なお、第1ヨーモーメントM1の増加に対しては、ローパスフィルタ30におけるゲインKLの低下に対してハイパスフィルタ31におけるゲインKHの低下が相対的に大きくなるように定められる。
【0059】
よって、本実施の形態3によれば、雨,雪などによりすべりやすくなった路面上では、車両が横すべりしている状態から安定させるための第1ヨーモーメントM1が大きくなるにつれて、前方車線に追従するための第2ヨーモーメントM2から高周波成分が除去されると共に、低周波成分については低減して加えられるため、車両が不安定な状態になることをと防ぎつつ、車線に追従する作用を維持することができる。
【0060】
また、ドライバが操舵を行った場合には、これに応じて第2ヨーモーメントM2からの低周波成分のみが低減されるため、ドライバ操舵を打ち消すような制御を行うことを防止しながら、路面の凹凸等により進路が乱される現象に対しては制御力による補正を行うことが可能になる。
【0061】
(実施の形態4)
図22は実施の形態4における車両の自動操縦装置の全体構成図である。
この自動操縦装置においては、各輪に車輪速センサ12を備え、図23のコントロールユニット3の全体構成図に示すように、横すべり状態演算部308及び第1ヨーモーメント演算部309に代え車輪スリップ率推定部315を設け、制動時の車輪ロックと駆動時の車輪空転を防ぐと共に、CCDカメラ4から得た車線に対する自車位置情報に基づくヨーモーメントを発生する。
【0062】
車輪スリップ率算出部315では、4輪の車輪速のうち最大のものVWmaxと最小のものVWminとし、
駆動時であれば、
α=(VWmax−VWmin)/VWmin
制動時であれば
α=(VWmax−VWmin)/VWmax
の式によりスリップ率αを算出する。これに基づき、第1制駆動トルク演算部310では、駆動時であれば、上記スリップ率αが適正値0.1を越える場合、駆動トルクを低減する方向に補正トルクを算出する。即ち、後輪駆動であれば、
T1_1,T1_2=0
T1_3,T1_4 …減少方向に補正
また、前輪駆動であれば、
T1_1,T1_2 …減少方向に補正
T1_3,T1_4=0
となるように補正値を出力する。
【0063】
以下、第2制駆動トルク演算部313及び自動操縦可否判断指標演算部302においては、実施の形態1と同様に処理を行い、目標制駆動トルクT_1〜4の演算を行う。
【0064】
目標制駆動トルクT_1〜4の演算では、実施の形態1と同様に、図24に示すブロックに従って目標制駆動トルクT_1〜4を演算する。即ち、スリップ率αに基づいてゲインK1が計算され、判断指標Jに基づいてゲインK2が計算され、2つのゲインK1,K2を掛け合わせたゲインK(制御則寄与度)と、第2ヨーモーメントM2を発生するために必要な各輪の制駆動トルクT2_1〜4とを掛け合わせて制駆動トルクT2_1〜4が補正され、第1ヨーモーメントM1を発生するために必要な各輪の制駆動トルクT1_1〜4と、ゲインKにより補正された制駆動トルクT2_1〜4とを加算して最終的な目標制駆動トルクT_1〜4が算出される。
ここで、ゲインK1は、図25に示すように、スリップ率αの増加に対して減少するように定められている。
【0065】
実施の形態4では、上述のような構成を採用したことにより、雨で濡れた路面,雪道等でスリップが生じた場合には、第2ヨーモーメントM2を発生するために必要な各輪の制駆動トルクT2_1〜4が小さくなるよう補正されるため、過大な制駆動力を発生しようとすることを防ぐことができる。
【0066】
(他の実施の形態)
【0067】
以上、本発明を実施の形態1乃至実施の形態4により説明してきたが、具体的な構成や制御内容については、これら実施の形態に限られるものではなく、請求項に記載の構成要件を備えているものであれば本発明に含まれる。
【0068】
例えば、実施の形態1乃至実施の形態4では、判断指標Jの値が設定値を超える場合、判断指標Jの値が大きくなるほど徐々に第2自動操縦制御(目標走行車線上に自車両を誘導する制御則)の寄与度を小さく変更する例を示したが、判断指標Jの値が設定値を超える場合、第2自動操縦制御を止め、第1自動操縦制御のみとする例も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の自動操舵制御装置を示す全体構成図である。
【図2】実施の形態1におけるコントロールユニット内の処理ブロック図である。
【図3】実施の形態1におけるコントロールユニットで行われる自動操縦制御処理作動の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1におけるヨーレートセンサの出力電圧特性図である。
【図5】実施の形態1における横加速度センサの出力電圧特性図である。
【図6】実施の形態1におけるCCDカメラでの撮影画像の例を示す図である。
【図7】実施の形態1における第1自動操縦制御の作動判断しきい値の設定例を示す図である。
【図8】実施の形態1における目標車線に対する自車両の位置の定義を示す図である。
【図9】実施の形態1における操舵角の大きさに対する判断指標Jの設定例を示す図である。
【図10】実施の形態1における目標制駆動トルク演算部を示す制御ブロック図である。
【図11】実施の形態1におけるゲインK1,K2の定義の一例を示す図である。
【図12】パワーステアリング機構の油圧を計測する方法の一例を示す図である。
【図13】圧力差に対する判断指標の設定例を示す図である。
【図14】磁気マーカにより車両位置を検出する一例を示す図である。
【図15】スリップ状態に応じてゲインK1を定める一例を示す図である。
【図16】実施の形態2におけるコントロールユニット内の処理ブロック図である。
【図17】実施の形態2における横すべり角から路面摩擦係数を推定する方法の一例を示す図である。
【図18】実施の形態2における判断指標の設定例を示す図である。
【図19】実施の形態3における目標制駆動演算部を示すブロック図である。
【図20】実施の形態3におけるローパスフィルタ特性設定図である。
【図21】実施の形態3におけるハイパスフィルタ特性設定図である。
【図22】実施の形態4の自動操舵制御装置を示す全体構成図である。
【図23】実施の形態4におけるコントロールユニット内の処理ブロック図である。
【図24】実施の形態4における目標制駆動演算部を示すブロック図である。
【図25】実施の形態4におけるゲインK1の定義を示す一例図である。
【符号の説明】
1 制動液圧制御装置
2 エンジン出力制御装置
3 コントロールユニット
4 CCDカメラ
5 ヨーレートセンサ
6 横加速度センサ
7 エンジン
8 変速機
9 プロペラシャフト
10 車速センサ
11 操舵角センサ
301 信号入力処理部
302 自動操縦可否判断指標演算部(自動操縦可否判定手段)
303 目標制駆動トルク演算部(制御則変更手段)
304 制動液圧演算部
305 信号出力処理部
306 エンジン出力演算部
307 信号通信処理部
308 横すべり状態演算部
309 第1ヨーモーメント演算部
310 第1制駆動トルク演算部
311 走行位置演算部
312 第2ヨーモーメント演算部
313 第2制駆動トルク演算部

Claims (9)

  1. 左右制駆動力を独立制御して所望のヨーモーメントを発生するものであって、
    自動操縦に適した走行状況か適していない走行状況かを値の大小によりあらわしたものを自動操縦可否判定指標とし、操舵角/操舵角速度/パワーステアリング油圧状態を検出する操舵状態検出手段からの検出量が大きくなるにつれて、自動操縦に適していない走行状況を示す自動操縦可否判定指標を演算する自動操縦可否判定手段と、
    車両の横すべり状態を演算する車両横すべり状態演算手段と、
    前記車両横すべり状態演算手段からの車両横すべり状態に基づき、車両を安定化させるために必要な第1ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力を制御する第1自動操縦制御手段と、
    走行する自車両と外界との相対位置を演算する走行位置演算手段と、
    前記走行位置演算手段からの自車両と外界との相対位置に基づいて、目標とする走行車線上に自車両を誘導するために必要な第2ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力を制御する第2自動操縦制御手段と、
    前記自動操縦可否判定手段により自動操縦に適した走行状況との判定に基づいて第2自動操縦制御手段が選択されているとき、前記自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値になるほど、また、前記第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変化させて自動操縦制御を行う制御則変更手段と、
    を備えていることを特徴とする車両の自動操縦制御装置。
  2. 左右制駆動力を独立制御して所望のヨーモーメントを発生するものであって、
    自動操縦に適した走行状況か適していない走行状況かを値の大小によりあらわしたものを自動操縦可否判定指標とし、検出される路面摩擦係数及び車速に基づき、路面摩擦係数が低摩擦係数を示すほど、また、車速が高車速を示すほど、自動操縦に適していない走行状況を示す自動操縦可否判定指標を演算する自動操縦可否判定手段と、
    車両の横すべり状態を演算する車両横すべり状態演算手段と、
    前記車両横すべり状態演算手段からの車両横すべり状態に基づき、車両を安定化させるために必要な第1ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力を制御する第1自動操縦制御手段と、
    走行する自車両と外界との相対位置を演算する走行位置演算手段と、
    前記走行位置演算手段からの自車両と外界との相対位置に基づいて、目標とする走行車線上に自車両を誘導するために必要な第2ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力を制御する第2自動操縦制御手段と、
    前記自動操縦可否判定手段により自動操縦に適した走行状況との判定に基づいて第2自動操縦制御手段が選択されているとき、前記自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値になるほど、また、前記第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変化させて自動操縦制御を行う制御則変更手段と、
    を備えていることを特徴とする車両の自動操縦制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両の自動操縦制御装置において、
    前記制御則変更手段を、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量に対するフィルタリング手段とし、前記自動操縦可否判定指標が自動操縦に適していない走行状況を示す値になるほど、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量の低周波数成分が除去されるように作用させ、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更する手段としたことを特徴とする車両の自動操縦制御装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の車両の自動操縦制御装置において、
    前記制御則変更手段を、前記第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるか、もしくは、横すべり状態が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更する手段としたことを特徴とする車両の自動操縦制御装置。
  5. 請求項1または請求項2に記載の車両の自動操縦制御装置において、
    前記制御則変更手段を、前記第2自動操縦制御手段によって演算される制御量に対するフィルタリング手段とし、前記第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるか、もしくは、横すべり状態が大きくなるほど、第2自動操縦制御手段によって演算される制御量を小さくすると共に、相対的に高周波数成分が多く除去されるように作用させ、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更する手段としたことを特徴とする車両の自動操縦制御装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両の自動操縦制御装置において、
    前記走行位置演算手段を、車両前方を撮影するカメラと、このカメラによって得られた画像から車線形状を抽出する車線形状抽出手段により構成した手段とし、前記目標とする走行車線を、該車線形状情報に基づいて定めることを特徴とする車両の自動操縦制御装置。
  7. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両の自動操縦制御装置において、
    前記走行位置演算手段を、路面に埋設された磁気ネールと、車両前部に搭載された磁気センサと、この磁気センサから得られた磁気情報から磁気ネールに対する自車両の相対位置を決定する相対位置決定手段により構成した手段とし、前記目標とする走行車線を、該相対位置情報に基づいて定めることを特徴とする車両の自動操縦制御装置。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の車両の自動操縦制御装置において、
    前記車両横すべり状態演算手段に代え、車輪のスリップ率を推定する車輪スリップ率推定手段を設け、
    前記第1自動操縦制御手段を、車輪スリップ率推定手段からの車輪スリップ率を最適化するのに必要な第1ヨーモーメントを目標ヨーモーメントとして制駆動力を制御する手段としたことを特徴とする車両の自動操縦制御装置。
  9. 請求項8に記載の車両の自動操縦制御装置において、
    前記制御則変更手段を、前記第1自動操縦制御手段による作動量が大きくなるか、もしくは、車輪スリップ率が大きくなるほど、目標ヨーモーメントに対する第2自動操縦制御手段の寄与度が小さくなるように変更する手段としたことを特徴とする車両の自動操縦制御装置。
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