JP3872515B2 - タマリンド種子多糖で粘稠化された点眼液 - Google Patents

タマリンド種子多糖で粘稠化された点眼液 Download PDF

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Description

本発明はタマリンド(tamarind)種子の多糖で粘稠化された点眼液(ophthalmic colution)に関する.さらに詳しくは,本発明は,タマリンドゴムとして知られる天然由来の原料中に高含量含まれる天然の多糖の,結膜嚢に投与される製剤の増粘剤としての使用に関する.上記多糖は天然の涙液の置換および安定化のために,または眼用医薬の作用部位における滞留時間を延長し,したがってそれらの活性を増強させる機能により,眼用医薬のビヒクルとして使用できる.
眼の涙液は,既に知られているように,結膜および眼球の露出部分を覆う組織化された液体構造を有する.正常条件では,涙液膜は以下の複雑な3層構造:
*結膜上皮に存在する特定の細胞(すなわち結膜杯細胞)によって産生される糖タンパク質(ムチン)の混合物から構成される粘液の内層−この層は角膜上に吸着され,したがって親水性の表面を形成する;
*上記親水性表面上に広がり,本質的に水,電解質,タンパク質,酵素およびムチンから構成される厚い中間の水層;
*涙液膜からの水の蒸発速度を調節する主機能を有する薄い外部脂質層;
からなるものと考えられている.
眼瞼の運動が結膜細胞からその粘液を絞り出し,それを円蓋(fornices)内に導入し,そこから粘液は眼の瞬目運動によって全角膜表面上に均一に分布される.
上述の3層構造は主として眼表面の保護,角膜表面の水和,潤滑化および清浄化の維持ならびに正しい視覚の形成における協調に向けられた複雑な生理的システムを構成する.上記生理的システムの完全な平衡および連続的な更新は,それがその機能を発揮するために必須の条件である.その平衡および更新を実現するためには,涙液の浸透圧が生理的レベルの約300mOsm/lに維持されるように涙液からの一定の,しかしながら過剰ではない水の蒸発が起こらなければならず,涙液膜は瞬目の結果として角膜表面上に連続的に再分布しなければならない.
内部ムチン層の統合性が涙液膜の安定性維持に必須の要素の1つである.これはムチンが角膜表面の湿潤性を増大させるので,水性の膜を露出表面上に連続かつ均一に接着保持すること,すなわち,その安定性を安全に保護することを可能にし,涙液の粘度を上昇させ,その結膜嚢からの早すぎる流出を防止する.ムチンが存在しないか不十分な場合には,角膜は湿潤性を失い,存在する電解質と糖タンパク質の間の不均衡の結果として涙液膜は不安定で破損しやすくなり,乾燥領域が形成される.
眼の様々な疾患または異常状態は,たとえば不十分な瞬目頻度,コンタクトレンズの長時間の使用,ある種の全身性薬物の投与,またはより高頻度に老人性の分泌減退の結果として,涙液の不連続性を伴って表示される.この関連で「ドライアイ」症状の語は涙液膜の減少または不安定性から生じる眼症状を指して一般に用いられるが,より適切には,この関連によって生じる角膜表面の典型的な変化は「乾性角結膜炎」の語によって表示される.
このような状態においては,結膜細胞の変性が起こり,落屑の増加,細胞表面の微小皺襞の喪失,上皮細胞膜の断裂およびムチン産生結膜杯細胞数の減少を生じる.結膜杯細胞の密度の低下およびムチンの欠乏に起因するこの細胞変性は,乾燥,刺激,羞明および異物感覚のようなドライアイ症候群にみられる大部分の臨床症状の原因として維持される.
不規則な構造の涙液の兆候として一致して考えられる他の現象には粘液のシダ状結晶の減少がある.正常状態では,粘液は室温で水溶液から蒸発させた場合,シダ状パターンに結晶化する特徴を示す.電解質と粘液の高分子量糖タンパク質との相互作用により生じると考えられるシダ状結晶化現象は,下円蓋部結膜から涙粘液を収集して短時間後に観察される.様々な異なるシダ状パターン(すなわち,I型,均一なシダ状結晶;II型,サイズの低下および空の空間はあるがかなりの量のシダ状結晶;III型,シダ状結晶は部分的にのみ存在;IV型,シダ状結晶は存在しない)は正常または病的な涙液の状態と関係づけられることが確認されている.濃厚シダ状結晶は,たとえば,粘液と電解質の間の完全な平衡を表し,一方,乾性角結膜炎に冒された眼に検出される涙液のシダ状結晶の部分的な存在または不存在は,涙粘液の定量的欠乏または糖タンパク質もしくはそれらの環境(すなわち,pH,水和,電解質平衡)の定性的変化を意味する.
診断的な観点から,ドライアイ症候群は,その典型的な症状の評価によるのみでなく,最も一般的には,涙液分泌の評価(シルマテスト),完全な瞬目後,涙液膜の破断までに要する時間の評価(破壊時間,BUT),およびローズベンガルまたはフルオレセインによる染色時の角膜表面の色調の評価を含めて,十分に確立された操作によっても検出され,モニターすることができる.
乾性角結膜炎は通常,天然の涙液の産生を置換または補充するために滴下する一般に「人工涙液」として知られる液体眼用製剤により処置される.最も単純な場合,上記製剤は,塩化ナトリウムのみまたは各種電解質の平衡混合物をベースとし,中性で涙液と等張性の生理食塩水から構成されるので,湿潤効果しかもたない.可能な限り涙液の電解質組成を忠実に再現するのに適当な濃度の,少なくとも4つの異なるイオン種(すなわちカリウム,ナトリウム,塩素および重炭酸イオン)からなるこの種の製剤の例がEP-A-0 205 279号に開示されている.このような製剤は,より単純な生理学的溶液と同様に,涙液容量の増加,眼表面の湿潤,粘液沈着の希釈および落屑や異物の洗浄除去の目的は達成する.しかしながら,生理学的溶液と同様,上記製剤は,容易に結膜嚢に排出されるので,作用の持続は著しく短い(数分のオーダー).その結果,点眼は10〜15分毎に反復しなければならず,これが患者のコンプライアンスを喪失させる.それに加えて組成物中に通常添加される保存剤によって,眼組織(結膜および角膜)に対する毒性作用が発揮される.
上述の欠点を克服するため,高分子量物質たとえば通常,合成,半合成または天然起源の水溶性ポリマーの添加によって粘性にした人工涙液製剤が導入されてきた.たとえばUS-A-4 409 205号には増粘剤をポリビニルアルコール,ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物から選択される非イオン合成ポリマーとした人工涙液物質および治療活性物質の担体の両者として作用できる眼用組成物が開示されている.
しかしながら,人工涙液として使用する組成物に有利な特徴を付与する上記増粘剤としては,上記増粘剤が製品の粘度を一般的に上昇させるのみでは十分でなく,形成した分散液は,ムチン分散液に可能な限り類似した性質をもたねばならないことが見出された.すなわち,上記分散液は可能な限り,ムコ模倣性物質と同様に挙動しなければならない.これにはまず第一に特定の流動学的挙動,すなわち天然の涙液の流動学的挙動に類似の非ニュートン粘性が要求される(たとえば,Bothnerら,Drug Dev.Ind.Pharm. 16, 755-768, 1990参照).実際,人工涙液が角膜表面で滞留時間の延長を示し,一方では同時に患者に優れた耐容性を有するためには,ニュートン粘性を示す液体のように一定の粘性を示すのではなくて,非ニュートン偽塑性液体(ずれ-薄層化液体)として挙動しなければならない.すなわち,ずれ速度の上昇とともに粘度の低下を示さなければならない.このようなタイプの流動性のみが,静止時の前角膜涙液膜に高粘度を提供し,応力の不存在下に液膜は落下することなく角膜表面に接着し,同時に,瞬目運動時には,液膜に応力が加えられると涙液膜に低粘度を提供し,したがって点眼液は優れた耐容性を示し,瞬目によって全角膜表面上に分布し,摩擦によって下眼瞼に向けて大量に排出されることがない.
このような偽塑性挙動を有する製品は,原点を通る直線(ニュートン粘性流動に相当する)から下方に向けて凹線を描いてカーブして方向を転じる典型的な流動曲線(すなわち,ずれ応力に対してずれ速度または速度勾配をプロットして得られ,各点におけるその傾斜は粘度の値に相当する)を特徴とする.このようなパターンは,ずれ速度の上昇に伴う薄層化の意味においてニュートン特性からの偏差に相当する.
人工涙液の増粘剤として現在までに提案されているわずか数種の巨大分子物質は,実際に,偽塑性型の非ニュートン粘性挙動を示すことができる.たとえば,先に引用したUS特許明細書に提案されたポリビニルアルコールは,通常の濃度および分子量の範囲内で,実際にはニュートン粘性を示す溶液を生じる.
非ニュートン粘性流動学的挙動を有する,人工涙液として使用される組成物の例はWO-A-8404681号およびUS-A-5 106 615号に開示されている.前者の明細書には,点眼液の増粘剤として,製剤中に0.05〜0.25重量%の量でカルボキシビニルポリマーたとえばCarbopol(登録商標)を包含させる使用が提案されている.得られた溶液は,上記明細書によれば,流動が起こらない値以下のずれ応力の産生値を特徴とする,最近では「可塑性」と定義される非ニュートン粘性挙動を示すという.US-A-5 106 615号には,人工涙液および眼用医薬の担体の両者として有用で,高分子量(500,000〜4,000,000)の陰イオン性ポリマーで増粘された組成物が開示されている.後者では,上述のカルボキシビニルポリマーおよびヒアルロン酸が好ましいと述べられている.ヒアルロン酸は,ヒトおよび動物両者の多くの組織および体液中に存在する天然起源の多糖であり,その水溶液の著しい偽塑性挙動により,広く点眼製剤に用いられている.セルロースエステルたとえばメチルセルロース,およびそのアルコール性誘導体たとえばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースは,得られた組成物に所望の非ニュートン粘性流動学を付与することができる増粘剤および粘性増強剤として均等に分散する.
先に指摘したように,涙液のムチン成分の適切な置換および模倣のために,点眼液として使用される製品は偽塑性流動学的挙動を示すのみではなく,ムチンに類似の他の性質も示さなければならない.このような性質の中には,固有的に疎水性の角膜表面を湿潤させる,すなわち涙液の均一な展開を増強する能力,および眼表面を覆う涙液層の統合性を維持する能力がある.人工涙液を投与される眼に考慮すべきすべての事柄は,通常,涙液の分泌が低下しその涙液のムチン含量は低い眼であるということである.上述の製品には有用なムコ模倣性が付与されているが,なお,かなりの量の製品をかなりの頻度で(1日6〜12回)投与しなければならない.その結果,患者は依然として,通常添加され,多くの場合多量用量容器中に互いに配合される保存剤に由来する傷害の危険に曝されている.
上述の理由により,乾性角結膜炎の処置に,結膜嚢内に配置される分解性眼内挿入体が提案されている.この挿入体はたとえばヒドロキシプロピルセルロースから調製された小さいシリンダーから構成され,結膜嚢内で溶解し,粘稠化および潤滑化を与えるムコ模倣性物質を絶えず提供する.このような挿入体は保存剤を全く含まない利点はあるが,挿入が困難な場合があり,またそれらの結膜嚢内における存在は,ドライアイ症候群の症例には常に存在する異物感覚を与える.さらに,分解性結膜嚢内挿入体は,角膜表面上の過剰のポリマーにより,一時的な視覚障害を生じる.
増強された長期の潤滑化作用を得るためには,ゲル型の製品(たとえばヒアルロン酸またはカルボキシメチルセルロースゲル製品)の使用も提案されている.しかしながら,上記製剤は視覚のぶれを生じる欠点があり,したがって覚醒時には使用できず,睡眠時しか使用できない.
したがって,本発明の目的は,適当なムコ模倣性及びとくに偽塑性流動学的挙動を有し,出発原料および製造過程の両者において比較的安価で,涙液置換体として至適の成果を示し,また,涙液膜中における治療剤の滞留時間を延長するため眼用製剤ののビヒクルとしても有利に使用できる人工涙液として用いるための眼用製剤を提供することにある.
この目的では,本発明によれば粘性増強剤として,タマリンド植物,すなわちTamarindus indicaの種子から得られる天然多糖ポリマーを使用することが提案される.上記製品の水溶液は,静止時の高粘度およびずれ速度の値の上昇時には粘度の漸進的低下とともに典型的な偽塑性流動性を示す.さらに,このような水溶液は涙液に対して至適な安定化作用を示す.しかも,関連する多糖には著しいムコ接着性が付与され,ムチン糖タンパク質と様々な性質の結合の形成が可能である.その結果,多糖は極めて長時間にわたって涙液中に滞留し,ムチンが天然に存在する部位に濃縮され,その最良のムコ模倣性を発現する.
タマリンド植物はよく知られているように,インド,アフリカおよびアジア東南部に広く分布し,主として食品製造,とくに果肉に出発して保存剤,エキス,ソース(すなわちチャツネ)および糖菓の製造のために栽培されている.本来は副産物と考えられるその種子は,粉末型に粉砕されると(「タマリンドゴム」または「タマリンド種子末」),様々な適用が見出されている.最も重要なこのような適用は,タマリンドゴムをサイジング剤として使用する繊維工業および製紙工業,ならびに他の多糖製品たとえばアルギン酸塩,ペクチン,グアールゴムまたはイナゴマメゴムと同様,任意の製品中に増粘剤,ゲル化剤,安定化剤および結合剤として用いる食品工業に認められる.タマリンド種子末はそのものとして市販されていて,65〜73重量%の多糖,15〜23%のタンパク質材料,3〜8%の油脂(fats and oil),ならびに2〜4%の灰分,ほかに天然繊維,タンニンおよび他の不純物の微量を含有する.
現在まで,タマリンドゴムから精製された多糖の眼用医薬製剤または人工涙液中の増粘剤としての適用は知られていない.
PCT出願WO-A-85 03640号には,封入された生物活性成分を含有するリポソームをついでゲルマトリックス中に導入してなる,主として非経口投与を意図した複合デリバリーシステムが開示されている.その開示によれば,ゲルマトリックスはリポソームからの活性成分のデリバリーを遮断することなく,リポソームの分散およびクリアランスを阻害するのが主たる目的であり,ゲル形成剤として知られる任意の材料から作成できる.既知の多糖増粘剤/ゲル化剤の大部分が,タマリンドゴムを含めて,ゲルマトリックスの可能な成分として挙げられている.
日本特許出願JP-A-7 048278号には,鼻粘膜上に長期に維持可能で,タマリンドゴムまたはキサンタンゴムの存在を特徴とする経鼻投与のための局所用組成物が開示されている.この明細書ではもっぱら粉末型に調製された製品について言及されている.
タマリンドゴムの上述の医薬的使用の提案に加えて,上記ゴムはずっと以前から食品添加物として使用されてきたという事実が,眼組織にも毒性がないよい証拠である(急性毒性試験は,たとえばT.Nodaら,Seikatsu Eisei, 32(3), 110-15, 1988に報告されている).
本発明の構成内で実施された実験によって示されたように,タマリンドゴムの多糖分画がもつと思われるムコ模倣性にはまた,上述の「シダ状結晶化」の特徴も包含される.したがって,上記多糖分画は,蒸発によって結晶化涙粘液の場合に極めて類似する形態をもつ結晶性生成物に変化させることができる.この問題については,良好なシダ状結晶化特性を有することが知られていて人工涙液として現在使用されている唯一の製品はヒアルロン酸であることを銘記すべきである.
タマリンド種子の多糖を人工涙液および一般的に局所眼用製品の製造に至適な出発物質とすることに寄与する他の非二次的態様は上記多糖の溶液が熱分解を受けることなくオートクレーブによる滅菌(たとえば120℃,20分)に付せることである.類似の抵抗性はたとえばヒアルロン酸溶液によっては示されない.熱分解の危険により,点眼溶液は通常,人工涙液のような粘稠な製品または持続放出性眼用薬剤のビヒクルには実施が困難な滅菌ろ過により滅菌される.単純なオートクレーブ処理による滅菌の可能性は,タマリンド種子の多糖をベースとする製剤を,その製造の観点からとくに有利にする.
したがって,本発明はとくに人工涙液または持続放出性局所用眼用薬剤のビヒクルとして使用される粘稠化された点眼溶液の製造のためのタマリンドゴムの多糖分画の使用を提供する.本発明はさらに,眼用製剤すなわち粘度増強剤およびムコ接着剤として精製タマリンドゴム多糖分画を含有する人工涙液および眼用ビヒクルを提供する.本出願で使用される「タマリンドゴム多糖分画」の語はタマリンドゴム(すなわちタマリンド種子末)から得られる任意の多糖富化分画を意味し,これは現在,粗製製品が市販されている.タマリンドゴムの部分精製された多糖分画は,たとえば,Dainippon Pharmaceutical Co. Ltd., Osaka, JapanによりGlyloid(登録商標)の商品名で販売されている.本発明の目的では,しかしながら,関連する多糖分画はさらに精製され事実上純粋なタマリンド種子多糖であることが好ましい.
本発明の高または低粘度点眼溶液に包含されるタマリンドゴム多糖分画の量は好ましくは0.1〜5.0重量%さらに好ましくは0.5〜3.0重量%の範囲である.
とくに人工涙液として使用される製剤に関しては,最善の挙動を示すタマリンドゴム多糖分画の濃度は0.7〜1.5重量%であり,至適濃度は1重量%である.このような濃度のタマリンド種子多糖の人工涙液溶液は,上に指摘したように,粘稠化されていない生理学的溶液で起こる鼻涙腺による迅速な排出を受けることなく,眼内に維持されるのに十分な粘性を示す.他方,その粘性は,視覚を妨害するほどは高くはなく,この処方はゲル製品に典型的な不都合を包含しない.しかも,1重量%溶液の粘度は既知のように製品に保存剤を添加する必要が回避される単位用量容器中での人工涙液の容易な投与を可能にする.さらに1重量%溶液の粘度は包装前に溶液の澄明化のために行われるろ過(0.8μmフィルター)を円滑化する.
タマリンドゴム多糖分画の1重量%溶液はpH5.5〜8の範囲,すなわち中性付近で極めて安定な粘性を示す.この粘度はさらに酸性のpH値にすると急速に低下する.この挙動は,製剤が酸性のpH(たとえばpH=4.5),すなわち,低粘度(たとえば225mPa・s)で処方され投与されるので,局所用眼用製剤としての使用を極めて有利にする.この製品は眼内に投与されると,涙液のより高いpH値(たとえばpH=7.4)により粘度が上昇する(たとえば297mPa・s).上述の特徴は,タマリンド種子多糖のムコ接着性に加えて,溶液の前角膜領域における滞留時間の著しい延長を可能にするので特に重要である.
前述のように,本発明のタマリンドゴムの多糖分画は持続放出性眼用薬剤のビヒクルとしても使用可能で,その薬剤の涙液膜(前角膜領域)内における滞留時間を延長させる機能がある.粘稠なムコ接着性多糖は実際に,薬剤の活性成分の作用部位との長時間にわたる接触の持続を可能にし,したがって,活性成分の有効性を増大させる.持続放出型局所投与眼用薬剤のビヒクル(すなわち,デリバリーシステム)としての使用においてはタマリンドゴムの多糖分画は1〜4重量%の範囲の濃度で有利に使用される.この濃度はビヒクルが液体型である場合には1.5〜2.5重量%,ゲル型のビヒクルを得ることが所望の場合には3〜4重量%とすることが好ましい.
このビヒクルは,結膜嚢に滴下により投与され,前角膜領域に長い滞留時間を示して,それらの最良の作用を発揮しなければならない多数の眼用薬剤のための「デリバリーシステム」として使用できる.持続放出ビヒクルとしてタマリンド種子多糖を利用できる可能のある活性成分には,抗緑内障薬および縮瞳剤たとえばピロカルピンおよびチモロール,ステロイド性抗炎症薬たとえばデキサメサゾン,非ステロイド性抗炎症薬たとえばジクロフェナック,抗微生物薬たとえばゲンタマイシン,オフロキサシンまたはクロラムフェニコール,充血除去薬および抗アレルギー薬たとえばナファゾリン,ならびにそれらの様々な組合せがある.
したがって,好ましい実施態様によれば,本発明は1種または2種以上の医薬活性成分の有効量とデリバリーシステムとしてタマリンドゴムの多糖分画を含有する持続放出型局所投与眼用薬剤の製造のためのタマリンドゴムの多糖分画の使用を提供する.本発明はさらに,タマリンドゴムの精製多糖分画から出発し,このようにして製剤化された持続放出型眼用薬剤を提供する.一般的に上記薬剤は,好ましくは1〜4重量%のタマリンドゴムの多糖分画を,医薬活性物質(単数または複数)の有効量および本技術分野で既知の他の任意処方成分(すなわち賦形剤)たとえば以下に特定される成分とともに含有する.
人工涙液処方および局所投与眼用薬剤のデリバリーシステムとしての使用のための処方中のいずれでも,溶液に正しい浸透圧の値を与えるように,1種また2種以上の浸透圧調整剤を加えなければならない.実際に,多糖のみしか含まない溶液は上述の好ましい濃度では涙液として低張性である.浸透圧調整剤として本技術分野で現在用いられている製品の任意の1種,たとえば塩化ナトリウム,塩化カリウム,マンニトール,デキストロース,ホウ酸,およびプロピレングリコールを使用することができる.
既知の技術に従い処方中に包含させることができる他の成分には,pH調整剤としての酸または塩基,ならびに緩衝剤たとえばリン酸一ナトリウム-リン酸二ナトリウム系または酢酸塩-酢酸系がある.組成物にはまた,保存剤および抗微生物剤たとえば塩化ベンザルコニウム,マーシオレートナトリウムもしくはチメロサール,メチル-,エチル-およびプロピルパラベン,クロロブタノールならびにキレート剤たとえばエデト酸塩またはEDTAを含有させることができる.上述した耐容性の問題により,人工涙液に使用される処方には保存剤は加えないことが好ましい.これは製品を単位用量容器中に包装する場合には明らかに可能である.しかしながら場合により,とくに製品が多重用量容器に充填される場合には,保存剤の添加が必要である.
上述のように,タマリンド種子の多糖は市販のタマリンドゴム(またはタマリンド末;TSKP,タマリンド種子末と呼ぶこともある)の精製によって得られる.後者はTamarindus indicaの種子を最初インドで開発された技術に従い,粉末化することによって製造される.1943年のインド特許第29620号によれば,種子を150℃に10〜15分間加熱してその外皮もしくは「種皮」を焦がす.種皮は胚乳に強固に付着しているので種子の剥皮が製造過程の主要な問題である.上記特許に開示された方法によれば,種皮は焦がすと脆くなり,種子を粉砕してより細かく粉砕された外皮分画を吹き飛ばして除去できる.このようにして得られた種子の胚乳を洗浄し,乾燥し,製粉すると粗製のタマリンドゴムが得られる.それぞれ1943年および1944年のインド特許第30321号および30487号によれば,最初の乾燥操作は必要なく,種子を前もって加熱することなく粉砕すると種皮と胚乳の間の粉末化能の著しい差から,直接粉砕で粒子サイズの異なる2種の材料が生じる.この材料から,粉末化された種皮からの細かい粉末は篩過または空気分別によって容易に分離することができる.分離によって得られた粗大な胚乳分画をついでさらに製粉に付す.
このようにして得られた粉末は,上述したような平均組成を有し,非自由流動性(non free-flowing material)を示し,クリーム色を帯びた白色ないし淡い褐色で,特徴的な脂肪臭をもち,冷水に分散するが,完全には溶解しない.本出願に提案される使用のためには,上記製品を,多糖が富化された分画が得られるように,脂肪およびタンパク質成分ならびに繊維から可能な限り完全に精製しなければならない.実質的に純粋な多糖は,自由に流動する,淡いクリーム色を帯びた白色の粉末であり,味も臭いもない.
市販の部分精製はタマリンドゴム製品[たとえば,Glyloid(登録商標)3S, Dainippon Pharmaceutical Co.]に出発する本発明の眼用製剤への使用に適した精製タマリンド種子多糖の製造方法では,出発原料を冷脱イオン水中で攪拌しながら12時間分散し均一な分散液を得る.存在する可能性があるタンパク質を沈殿させて分離するため,得られた分散液を80℃に30分間加熱し,冷却後,5000rpmで30分間の遠心分離に付す.上澄液をついで,12,000〜14,000ダルトンカットオフ膜を用いて4℃で少なくとも48時間,水に対して透析する.得られた溶液を最後に凍結乾燥すると,半透明白色の,完全に水に溶解する最終生成物が得られる.夾雑するタンパク質の不存在はドデシル硫酸ナトリウムを含むポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって確認される.
他の精製方法も,とくに他の工業分野におけるタマリンドゴムまたはタマリンド種子多糖の使用に関連して本技術分野において知られている.本発明の医薬的適用のためには,痕跡のタンパク質または他の夾雑物質の除去に適当な,とくに高純度の生成物を提供できる任意の進歩した分離および精製方法で多糖を精製することが有利である.
タマリンドゴムの多糖分画の構造について実施されたいくつかの試験により,タマリンド種子の多糖は互いに(1→4)結合で結合したグルコピラノシル単位の主鎖から構成され,(1→6)結合で主鎖に結合したキシロピラノシル単位の短い側鎖を有することが確認されている.上記キシロピラノシル単位は単一であるか,またはさらに1個のガラクチピラノシル単位に(1→2)結合で結合していてもよい.キシロースまたはキシロース-ガラクトース分岐の正確な分布は,まだ確認されていない.グルコース:キシロース:ガラクトースの比は一部の研究者では3:2:1,他の研究者では4:3:1〜1.5および2.8:2.25:1とも報告されている.一部の研究者によって,さらにアラビノフラノシル単位の存在も報告されている.精製多糖の平均分子量は,測定に用いられた方法によって,約52,000〜56,000または約115,000と報告されている.本発明の枠組み内で実施されたタマリンド種子多糖の特徴についての詳細な情報はさらに以下に示す.
本発明はまた,その一部の特定の実施態様に関し,以下の非限定的実施例により開示される.この実施態様は,それぞれ人工涙液(系列1)および局所投与眼用医薬のビヒクル(系列2)として使用するための処方を例示する.以下の実施例において使用されるタマリンドゴムの多糖富化分画は,実際に上述の精製方法によって製造された精製タマリンド種子多糖である.この製品はTSP,タマリンド種子多糖と呼ぶ.
実施例1.1〜1.4−人工涙液製剤
実施例1.1
成分 重量%
TSP 1.00
マンニトール 5.04
脱イオン水 全量100とする
HCl,1N pH4.05±0.2とする
この製品は以下の工程によって調製される:
・適当なガラス容器に必要量のTSPを秤量する.
・使用する水の90%を加え,混合物を完全に溶解した製品が得られるまで数時間攪拌する.
・攪拌を続けながら固定された量のマンニトールを加え,混合物を完全に溶解した製品が得られるまで攪拌下に放置する.
・脱イオン水を最終重量(100%)まで加える.
・1N塩酸を所望のpHに達するまで加える.
・得られた溶液をオートクレーブ中で滅菌する.
実施例1.2
成分 重量%
TSP 1.00
塩化ナトリウム 0.90
脱イオン水 全量100とする
最初にTSP,ついで塩化ナトリウムを溶解させ,最後に残りの脱イオン水で総重量にし,実施例1.1と同様に製品を調製する.
実施例1.3
成分 重量%
TSP 0.70
塩化ナトリウム 0.85
塩化ベンザルコニウム 0.01
脱イオン水 全量100とする
最初にTSPついで塩化ナトリウムと塩化ベンザルコニウムを溶解させ,最後に残りの脱イオン水で総重量にし,実施例1.1と同様に製品を調製する.
実施例1.4
成分 重量%
TSP 1.50
リン酸一ナトリウム 0.71
リン酸二ナトリウム 0.09
塩化ナトリウム 0.50
塩化ベンザルコニウム 0.01
脱イオン水 全量100とする
最初にTSP,ついでリン酸一ナトリウム,リン酸二ナトリウム,塩化ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを溶解させ,最後に残りの脱イオン水で総重量にし,実施例1.1と同様に製品を調製する.
実施例2.1〜2.5−眼用医薬処方
実施例2.1
賦形剤成分 重量%
TSP 3.00
マンニトール 300 mOsm/lとする
脱イオン水 全量100とする
この製品は以下の工程によって調製する:
・適当なガラス容器に必要量のTSPを秤量する.
・使用する水の90%を加え,混合物を完全に溶解した製品が得られるまで数時間攪拌する.
・攪拌を続けながら固定された量のマンニトールを加え,混合物を完全に溶解した製品が得られるまで攪拌下に放置する.
・攪拌を続けながら所望の活性成分の所望量を添加する.
・脱イオン水を最終重量(100%)まで加える.
・得られた溶液をオートクレーブ中で滅菌する.
実施例2.2
賦形剤成分 重量%
TSP 4.00
塩化ベンザルコニウム 0.01
塩化ナトリウム 300 mOsm/lとする
脱イオン水 全量100とする
マンニトールに代えて塩化ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを添加して実施例2.1と同様に製品を調製する.
実施例2.3
賦形剤成分 重量%
TSP 3.50
リン酸一ナトリウム 0.71
リン酸二ナトリウム 0.09
エデト酸二ナトリウム 0.01
塩化ベンザルコニウム 0.01
塩化ナトリウム 300 mOsm/lとする
脱イオン水 全量100とする
マンニトールに代えてリン酸一ナトリウム,リン酸二ナトリウム,エデト酸二ナトリウム,塩化ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを添加して実施例2.1と同様に製品を調製する.
実施例2.4
賦形剤成分 重量%
TSP 2.00
リン酸一ナトリウム 0.71
リン酸二ナトリウム 0.09
マーシオレートナトリウム 0.002
エデト酸二ナトリウム 0.01
塩化ナトリウム 300 mOsm/lとする
脱イオン水 全量100とする
塩化ベンザルコニウムに代えてマーシオレートナトリウムを加え,実施例2.3と同様に製品を調製する.
実施例2.5
賦形剤成分 重量%
TSP 1.00
メチルパラベンナトリウム塩 0.06
マンニトール 300 mOsm/lとする
NaOH pH7.4±0.2とする
脱イオン水 全量100とする
この製品は以下の工程によって調製する:
・適当なガラス容器に必要量のTSPを秤量する.
・使用する水の90%を加え,混合物を完全に溶解した製品が得られるまで数時間攪拌する.
・攪拌を続けながら固定された量のマンニトールとメチルパラベンナトリウム塩を加え,混合物を完全に溶解した製品が得られるまで攪拌下に放置する.
・攪拌を続けながら所望の活性成分の所望量を添加する.
・脱イオン水を最終重量(100%)まで加える.
・1N水酸化ナトリウムを所望のpHに達するまで加える.
・得られた溶液をオートクレーブ中で滅菌する.
本発明の多糖製品の特徴およびそれを含有する製剤の挙動を示す一部の実験結果を以下に,添付の図面に示す一部のグラフとともに掲げる.
図1は,本発明によるタマリンド種子多糖溶液の様々な濃度における流動曲線(sec-1で表示したずれ速度または速度勾配Dの関数としてのmPaで表示したずれ応力τ)の一部を示す.
図2は,上記溶液の濃度(重量%)の関数としてのTSP溶液の見掛けの粘度(η’)を示す.
図3は,pHの関数としてのTSP1重量%溶液の見掛けの粘度(η’)を示す.
図4は,オートクレーブによる滅菌前後におけるTSP1重量%溶液についての図1に示した種類の2つの流動曲線を示す.
図5は,本発明の製品で処置したまたは非処置の乾性角結膜炎ウサギの涙液分泌をシルマテストで評価した結果を例示する.
図6は,本発明の製品を含有するまたは含まないピロカルピン製剤で処置したウサギの縮瞳剤応答[Δ(瞳孔直径)]対時間の曲線を示す.
図7は,図6と同じウサギの涙液中のピロカルピン濃度対時間の曲線を示す.
図8は,本発明の製品を含有するまたは含まないチモロール製剤で処置したウサギの角膜におけるチモロール濃度対時間の曲線を示す.
図9は,図8と同一のウサギの虹彩-毛様体におけるチモロール濃度対時間の曲線を示す.
図10は図8と同一のウサギの眼房水中のチモロール濃度対時間の曲線を示す.
図11は,図8と同一のウサギの血漿中におけるチモロール濃度対時間の曲線を示す.
図12は,本発明の製品を含有するまたは含まないゲンタマイシン製剤で処置したウサギの眼房水中のゲンタマイシン濃度対時間の曲線を示す.
図13は,本発明の製品を含有するまたは含まないオフロキサシン製剤で処置したウサギの眼房水中のオフロキサシン濃度対時間の曲線を示す.
タマリンド種子多糖の特徴
Glyloid(登録商標)3S(Dainippon Pharmaceutical Co.)を上述の本発明の方法で精製して製造したタマリンド種子多糖のサンプルを,多糖の製造および性質の確認のために分析した.多糖組成物は,Blakeneyらによって提案された方法(Carbohydr.Res. 113, 291-299, 1983)に従いガスクロマトグラフィーで定量した.サンプルをトリフルオロ酢酸により100℃で16時間加水分解し,得られた単糖をアルジトールペルアセテートに変換した.ついで混合物を適当に装置したガスクロマトグラフで分析し,4つの異なる単糖単位すなわちグルコース,キシロース,ガラクトースおよびアラビノースの存在を証明した.上記単糖の相対量は内部標準法により,その目的では既知量のイノシトールをクロマトグラフに供給する混合物中に用いて測定した.見出された比率は,Ara:Gal:Xyl:Glc=1.0:4.4:9.0:12.9であり,平均標準誤差は±3%であった.上述の組成は,文献に推定されている構造に相当し(最近,Yorkら,Carbohydr.Res., 1993によって確認された),模式的に以下のように表示できる.
Figure 0003872515
ガラクトースについて示した1.5の値は4個のグルコース残基の各単位について1個のガラクトース残基+4個のグルコース残基の他の単位毎に他の1個のガラクトース残基の存在に相当する.4個のグルコース残基の3単位毎に1個のアラビノース残基が存在するものと思われる.
多糖は,FT-IRスペクトル(すなわち,フーリエ変換赤外スペクトル)によっても分析した.得られたIRスペクトルは,OH基の伸縮シグナル(〜3000cm-1),多糖環のエーテル基(すなわちC-O-C基)の伸縮シグナルおよび他の関連吸収シグナル(1205〜1041cm-1)ならびにβ型アノマー炭素(たとえば,主鎖中に存在する炭素)に帰属される896cm-1のシグナルの存在を示す.多糖の1H NMRおよび13C NMRスペクトルはタマリンド種子多糖について文献に報告されたスペクトルと類似することが見出された.とくに1H NMRスペクトルからは,その多糖が側方に非糖置換基たとえばアセチル,ピルベートまたはスクシネートをもたないものと思われる.
タマリンド種子多糖の様々な濃度の水溶液については排除クロマトグラフィーによっても分析したところ,得られた結果は多糖の濃度および溶液に添加された塩(NaCl)の存在によって強く影響される型の不規則な分布を示す多重分子量の存在が示された.これは水溶液中の多糖分子間の凝集の存在に起因するものと思われる.脱凝集が最大になる条件では,多糖の分子量はほぼガウス分布を示し,平均値は約76,500である.凝集が最大になる条件では,得られる見掛けの分子量は330,000に達する.
流動学的性質の研究
前項において述べたタマリンド種子多糖の様々な濃度(0.5,1.0および3.0重量%)の溶液の粘度を,共軸シリンダーをもつMS-O測定エレメントによってRheomat 115回転粘度計(Contravas)を用いて試験した.測定は25℃で行った.0.5重量%および1重量%のTSPを含む2種の溶液について,ずれ速度Dが増大する値で測定したずれ応力の値τを以下の表に示す.
Figure 0003872515
同様に,3重量%のTSPを含有する溶液について,ずれ速度の上昇時に測定したずれ応力の値を以下の表に示す.
Figure 0003872515
上記数値データは図1に例示されている.これから,試験した3種の濃度では製品は下方に向けて凹線を描いてカーブする流動によって特徴づけられる偽塑性型の非ニュートン粘性流動学的挙動を示すことが明らかである.実際,ずれ応力が上昇すると粘度は著しく低下し,したがって,製品は静止時には極めて粘稠であり,一方ずれ応力が高いと(瞬目時の涙液に起こるように値が10,000s-1まで高くなると)粘度は極めて低くなるようにみえる.試験した溶液はチキソトロピー挙動を示さず,すなわち,液体が長時間にわたって同じずれ速度に付される場合にはそれらは粘度の低下を受けない.
図1はまた,TSP濃度を1重量%から3%に経過させると粘度が急峻に上昇することを示した.この特徴は,mPa・sで表示した見掛けの粘度(η’)を試験した溶液のTSP濃度に対してプロットした図2に,さらに明瞭に証明されている.η’の値はD対τの対数プロットから速度勾配D=1での外挿によって計算した.グラフ上の実験点を通過する曲線は以下の二次多項式:
y=870,786x2−271,859x−54,297
によってよく近似される.
本発明の製品の流動学的挙動を,pH値を変動させて評価したところ,粘度は中性周辺の区間では極めて安定であり,酸性のpHになるに従い急峻に低下することが見出された.以下の表3および相当する図3には,1重量%のTSP溶液について様々なpHで測定した見掛けの粘度の値を示す.
Figure 0003872515
先に述べたように,TSP溶液の粘度に対する上述のpHの影響は,酸性pHすなわち、低粘度条件における製品の工業的処理,包装および投与の実施に有利に利用できる.眼に滴下すると,製品のpHはほぼ中性に変化し,製品の粘度は直ちに上昇する.
本発明の溶液はまた,オートクレーブ中120℃で20分間滅菌し,ついで製品の流動曲線を測定して,製品の流動性に対する熱処理の影響を評価した.以下の表および相当する図4は1重量%のTSP溶液について,検討した多糖製品の偽塑性流動性挙動が熱処理によって実質的に影響されないことを示す.前に指摘したように,この性質は,従来技術の製品の通常適用されているより複雑な滅菌ろ過処理に代えて熱処理による滅菌を可能にすることから,製造の観点での著しい利点に相当する.
Figure 0003872515
人工涙液−生物試験
本発明の製品の人工涙液製剤としてのインビボにおける挙動を評価するため,動物に実施したある種の実験を以下に記述する.ここに記載する試験はすべて,雄性New Zealandアルビノウサギ(体重2〜2.5kg)に対してで実施した.これらのウサギには1%(w/w)硫酸アトロピン(AS)の反復滴下により乾性角結膜炎を誘発した.この試験では,実施例1.1の人工涙液処方(1重量%TSP含有)を本発明の製品として使用した.とくに述べたように,この製剤は投与後の粘度の上昇を利用するために,pH4.5〜5.0に処方した.
最初の実験は12羽のウサギについて実施した.動物の両眼に5日間続けて1日3回ASを1滴滴下した.投与5分後に,pH5.0の実施例1.1の等張性処方50μl(1滴に相当)を右眼のみに滴下した.処置の開始から2,3,4および5に,フルオレセインナトリウム染色後に眼表面を検査した.角膜の検査はブルーコバルトのフィルターを装着したスリットランプを用いて実施した.以下の表5には,試験した眼の総数に対するフルオレセイン陽性の眼(強く着色したスポットが観察され,角膜上皮の変化に相当)の数について10以上の動物で得られた結果をを示す.
Figure 0003872515
上記結果は,アトロピン誘発ドライアイ症候群を処置しなかった場合に眼に生じた変化とは異なり,TSPをベースとした人工涙液で処置した眼では角膜の病変が起こらなかったことを示す.
他の一連の実験では,タマリンド種子多糖1重量%含有製品(実施例1.1の処方)の人工涙液としての有効性を,非処置対照および従来技術の市販製品と比較して,涙液分泌に対するシルマテストにより評価した.またこの場合,5日間続けて1日3回1%ASを投与して乾性角結膜炎を誘発させた.
動物を3群に分けて以下のように処置した.
・第1群の動物には,ASの滴下5分後に,pH5.0の実施例1.1の等張性処方50μl(1滴に相当)を投与した.
・第2群の動物には,ASの滴下5分後に,0.5重量%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)により増粘した市販人工涙液50μl(1滴に相当)を投与した.
・第3群の動物は処置しなかった.
処置の開始から日0,2,3,4および5に,動物にシルマテストを行った.シルマテストに割り当てられた評点は以下のように計算した.10mmの高さに達するために涙液が要した各5秒について0.278ポイント(3分で最高10ポイント),3分後ろ紙が10mmまで濡れない場合10ポイント加え,濡れないろ紙1mm毎に+1ポイントとする.テストの数値の結果は以下の表に示す.相当するグラフは図5に例示する.
Figure 0003872515
以前のデータからまた図5のグラフからはさらに容易に明らかなように,対照のシルマテスト評点は硫酸アトロピン処置の2日目から統計的に有意に増加し,乾性角結膜炎の誘発のために用いる方法の有効性が確認された.また,結果は本発明の製剤がドライアイに対して保護活性をもつことを明らかに証明している.その活性は従来技術の人工涙液よりも持続性を示すようにみえる.実際,TSP製剤を投与された試験動物では,涙液分泌が処置4日目にそのベースライン値に回復し始める.
眼用医薬のためのデリバリーシステム−生物試験
以下のインビボ試験は,持続放出性局所投与用眼用製剤に使用するためのムコ接着性および増粘性ビヒクルとしての,本発明のタマリンド種子多糖の挙動に関するものである.
ピロカルピン製剤
縮瞳活性を有しよく知られた抗緑内障薬,すなわちピロカルピンを動物モデルとしてウサギを用い数種のインビボ試験を行った.デリバリーシステムとしての本発明のビヒクルの挙動を評価するために,時間に対してTSP含有ピロカルピン製剤の前角膜滞留時間および縮瞳活性を測定した.得られた結果を,増粘剤を含有するまたは含まない他の製剤の挙動と比較する.
ここに示す試験に用いた眼用製剤にはとくにすべて2.0重量%の硫酸ピロカルピン(PiNo3)を含有するが,以下の表でRS(すなわち,対照溶液)と表示した対照製剤は,増粘剤を加えない水溶液とし,一方,以下TSPと表示する本発明の製剤は実施例2.1に従って処方される.他の製剤はそれぞれ,表に示すように異なるポリマービヒクルを含有する.
Figure 0003872515
ここに記載した試験はすべて雄性New Zealandアルビノウサギ(体重3〜3.5kg)を無麻酔で標準安定条件,温度18〜20℃に維持して実施した.涙液中における薬物の縮瞳作用および滞留時間の両者を,ウサギの一方の眼の下結膜嚢に試験製剤25μlを滴下後(時間=0)に測定し,他方の眼は対照とした.
瞳孔直径の変動を適当な時間間隔でマイクロメーターによって測定し,この間光源の強度は一定に維持した.図6には,上述の4種の眼用製剤のいずれかを滴下したのちの縮瞳反応のグラフを示す.上述の反応は,製剤の滴下後の経過時間(分)の関数として瞳孔直径の変動(mm)として表示する.各実験点における縦線は標準誤差を示す.図6の曲線に相当する数値は以下の表に示す.
Figure 0003872515
図6の曲線からは,従来技術の製剤,すなわちPVAおよびHPMC,ならびに本発明のタマリンド種子多糖,すなわちTSPに基づく製剤はいずれも,増粘剤を含まない対照溶液(RS)に対して縮瞳反応の増大を生じる.TSP製剤中に含まれる製品のムコ接着作用は縮瞳反応の持続時間の延長を生じ,これは300分まで持続する.このような現象は,他のビヒクルでは起こらないかまたは全く無視できる程度で,縮瞳反応の持続が240分を越えることはない.この関連で,HPMCは一般にムコ接着性物質と考えられていることを銘記すべきである.
本発明の製品が,他のビヒクルと比較して前角膜領域における薬物の滞留時間を延長できたか否かを確証するため,以下の試験を実施した.試験される製剤の1種を滴下したのち,涙液のサンプル(1μl)を,角膜上皮に触れないように微小毛細管を用いて適当な間隔で下結膜嚢の縁部から収集した.涙液のサンプルをマイクロプローブに移し,水で希釈してHPLCで分析した.
上記試験の結果は,涙液中に検出されたピロカルピン濃度(μg/μl)を時間に対する関数として表9および相当する図7に示す.
Figure 0003872515
図7から明らかなように,PiNO3の対照水溶液(RS)の滴下後には涙液中の薬物濃度は急速に低下し,一方,溶液にポリマーを添加した場合はすべて薬物の生物学的利用性の上昇を生じた.各種ビヒクルの挙動の差は,上述の試験から計算される各種製剤中での涙液中のピロカルピンの薬物動力学的パラメーターを掲げた以下の表からより明瞭に証明される.上記パラメーターは以下の通りである.
・Ke:見掛けのクリアランス速度定数
・AUCt3min→t:時間の関数としての涙液中薬物濃度の曲線下面積,
積分間隔3分→∝
・AUCrel=対照溶液と比較した相対AUC
・t1/2=涙液中薬物の半減期
・MRT=涙液中薬物の平均滞留時間
Figure 0003872515
上記データはムコ接着性が最高のビヒクル(すなわちTSPおよびHPMC)は対照溶液と比較して半減期をほぼ2倍に増大させることを示している.著しい増大は涙液中の活性成分の平均滞留時間にも認められ,この増大は試験した他のビヒクルの場合よりも本発明の製品で大である.この結果は,縮瞳活性に関して上述した結果とともに,増粘剤およびムコ接着剤としてタマリンド種子多糖の使用が前角膜領域におけるピロカルピンの滞留時間を延長し,したがって上記眼用薬物の各投与用量の作用を延長することが確認された.
チモロール製剤
チモロールは最近,局所用抗緑内障薬として眼に使用されているβ-アドレナリン遮断剤である.高眼圧症の処置におけるβ-遮断剤の活性は,眼房水が産生される毛様体の受容体部位における活性成分の存在と密接に相関することが知られている.他方,眼表面への薬物の局所投与後には,鼻涙管を通しての製品の排出が薬物の一部の全身性吸収を生じる.その結果,局所用眼用製剤中のβ-遮断剤の使用は通常,ある種の望ましくない副作用,たとえば心拍の変動,喘息,気腫およびうっ血性心不全をもたらす.以下に記述する実験の実施は,チモロールをベースとする眼用製剤中における本発明の多糖の存在は,一方では活性成分の眼における生物学的利用性を上昇させ,他方ではチモロールの血中への吸収を著しく低下させることを示すことを意図したものである.
この試験に使用された眼用製剤はすべて,約0.68重量%のチモロールマレイン酸塩を含有し,これはチモロール0.5重量%に相当する.以下の表中にRSと表示される製剤(すなわち,対照溶液)は,増粘剤を含まない市販の点眼用製剤[すなわち,Droptimol(登録商標)]であり,一方”GELLAN”と表示される製剤は,デリバリーシステムとしてゲランゴム由来の精製陰イオン性ヘテロ多糖を含有する市販の製剤[すなわち,Timoptic-XE(登録商標)]である.本発明の製剤はTSPと表示し,以下のように処方する.
チモロールマレイン酸塩 0.684g(チモロール0.500gに相当)
TSP 2.000g
マンニトール 5.000g
マーシオレートナトリウム 0.002g
脱イオン水 全量100とする
Figure 0003872515
試験は着色ウサギ(体重2.0〜2.5kg)の両眼の下結膜嚢に(各製剤および各試験時間毎に少なくとも4動物)試験製剤50μlを滴下した.投与から5分後,それぞれのウサギの耳の辺縁静脈から血液サンプルを採取した.固定した時間間隔で(すなわち,10,30,60,120,180および240分),耳の辺縁静脈から適量のチオペンタールナトリウムを投与して動物を屠殺した.眼球を体外培養し,他の血液サンプルを採取した.角膜,虹彩および毛様体(虹彩と毛様体は互いに分離が困難なので全体として)ならびに眼房水150〜200μlのアリコートを体外培養した眼球から分離した.両眼の解剖は10分以内で完結させた.
体外培養した角膜中,虹彩-毛様体中,眼房水中ならびに血漿中に検出されるチモロール(ベースとして)の濃度を時間の関数として,試験群の各群について図8〜11に示す.グラフに示したデータはそれぞれ,少なくとも4回の測定の平均として表示し,各実験点における縦線は標準誤差を示す.試験した各種組織中,および試験した各種製剤中のチモロールの薬動力学的パラメーターは実験結果から計算し,以下の表に示す.上記パラメーターは以下の通りである.
・Cmax=最大薬物濃度
・Tmax=Cmaxに達する時間
・Ke:見掛けのクリアランス速度定数
・AUC=時間の関数としての薬物濃度の曲線下面積,
・MRT=眼組織または血漿中薬物の平均滞留時間
Figure 0003872515
Figure 0003872515
Figure 0003872515
Figure 0003872515
図8のグラフから,角膜中のチモロール濃度は投与から短時間後にそのピークレベルに達し(すなわち10分後,これは本発明の製剤では30分に延長される),ついで急速に低下する.平均滞留時間はすべての製剤で60分のオーダーであり,以下の順:RS>GELLAN>TSPに低下する.
チモロール濃度は虹彩-毛様体中で(図9参照)検討した他の組織より高かった(表12〜15中のAUC値との比較例により明らかである).差はとくに投与から時間が経過すると顕著であった(すなわち,120〜240分).この領域に存在するメラニン色素への薬物の結合によることが確実なこの現象は毛様体がチモロールの作用部位であることから,治療的観点から極めて重要である.図9に示すように,非粘稠化水溶液(RS)は投与後約30分に毛様体でチモロールは最高濃度に達し,一方,2種の粘稠ビヒクル(すなわち,TPSおよびGELLAN)の使用はそれぞれ上記最高濃度を60分および120分後に達成する.さらに,2種の粘稠ビヒクルを含む製剤で得られたAUC値は,それぞれ,水溶液で得られたAUC値より大きく,その1.57および1.82倍であり,MRT値は上記デリバリーシステムの一つを用いた場合,虹彩-毛様体中でのチモロールの滞留時間の延長を示す.
試験した様々な製剤についての眼房水中でのチモロール濃度像を図10に示す.この場合も,水溶液は投与後短時間(すなわち30分)で定量的に中等度のピークレベルを与えるが,TPSおよびGELLANでは長時間(すなわち60分)後により高いピークレベルに到達できる.眼房水中におけるチモロールの薬動力学的パラメーターは2種の粘稠化担体の極めて類似した挙動を示す(表14).
この局所投与に際してチモロールにより達成される血中のレベルに関しては,図11は,非増粘対照溶液ではかなりの血中レベルが達成されるのに対し,一方,2種のデリバリーシステムでははるかに小さいAUC値が得られることを示している.表15に示すように,血中からの薬物のクリアランスは,粘稠なデリバリーシステムを薬物に配合した場合の方が早い.これにより,TPSおよびGELLAN製剤で認められるはるかに短い血中半減期が確認される.
抗生物質製剤
抗生物質を使用した場合も,眼症状の処置において満足できる治療効果を達成するために克服しなければならない最も重要な問題は,所望の作用部位において薬物の最小有効濃度以上の濃度をいかにして得るかということである.これは,角膜上皮が極性もしくは親油性の乏しい分子の通過に著しい抵抗性を示すことから,角膜感染の場合とくに重要である.すべての細菌性角膜炎の80%以上の原因がStaphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniaeならびにPseudomonas aeruginosaである.このような微生物は著しい接着性を有し,高頻度の角膜炎は上記微生物の角膜上皮への接着能に関係するものと思われる.このような状態の治療的アプローチは通常,抗生物質の配合使用または市販の医薬よりも高濃度の活性成分を含有する「強化」ガレヌス製剤の使用によって行われる.このような高濃度はその眼毒性により通常の市販製品には使用されない.抗生物質薬の角膜透過性を高めるために様々な試みが行われてきたにもかかわらず,重篤な型の角膜炎の回復は依然として困難である.上述の観点から,以下に記述する実験的試みは,本発明の多糖が角膜上皮に通常存在するムチン層に接着し,局所投与した抗生物質の角膜透過性を増大させるのに有効かどうかの確認を意図して行われた.
2種の異なる局所投与のための眼用抗生物質,すなわちゲンタマイシンおよびオフロキサシンを,本発明のデリバリーシステムと組合わせて試験した.上記薬物のそれぞれについて,以下の表ではRSと呼ぶ非粘稠化対照製剤(対照溶液)を比較のために使用した.ゲンタマイシンRSは,0.3重量%のゲンタマイシン(硫酸ゲンタマイシンとして)を含有する市販の点眼製剤[すなわち,Ribomicin(登録商標)]とし,オフロキサシンRSは0.3重量%のオフロキサシンを含有する市販の点眼製剤[すなわち,Exocin(登録商標)]とする.本発明の2種の製剤(いずれも相当する水溶液と区別してTSPと呼ぶ)は以下のように処方する.
ゲンタマイシン製剤
硫酸ゲンタマイシン 0.500g(ゲンタマイシン0.30gに相当)
TSP 2.000g
マンニトール 5.000g
マーシオレートナトリウム 0.002g
脱イオン水 全量100とする
NaOH pH6.7にする
初期のpHは4.5であったのでNaOHの添加が必要であった.最終の浸透圧は324mOsm/kgであった.
オフロキサシン製剤
オフロキサシン 0.300g
TSP 2.000g
マンニトール 5.000g
マーシオレートナトリウム 0.002g
脱イオン水 全量100とする
NaOH pH7.6にする
活性成分を溶解させるためにNaOHの添加が必要であった.最終の浸透圧は298mOsm/kgであった.
試験はNew Zealandアルビノウサギ(体重2〜2.5kg)で実施した.試験する製剤50μlをウサギの両眼の下結膜嚢に滴下した(試験した各製剤および各時間毎に少なくとも4〜5羽の動物).製品は計12回,30分間隔で滴下した.最後の投与から一定の時間間隔(すなわち,30,60,120および180分)で動物を過剰用量のエチルウレタンで屠殺し,穿刺によって眼から眼房水を採取し,そこの開く物濃度を評価した.薬物の角膜濃度は最後の投与から60分後に屠殺した動物についてのみ評価した.この目的では体外培養した角膜をホモジナイズして遠心分離で処理した.
2種の活性成分の角膜の透過程度を評価するために,角膜抽出物および眼房水の抗菌活性を微生物学的アッセイで測定した.アミノグリコシドおよびフッ素化キノロン抗菌剤の濃度の評価に対照として頻繁に使用される標準ATCC株であるBacillus subtilis ATCC 6638を適当な培地中で1週間培養した.得られた胞子懸濁液を一定の濃度に希釈し,希釈した胞子懸濁液のアリコートを適当な寒天培地を含むペトリ皿に取った.寒天に小さな刻みを入れて,そこに眼房水または角膜のサンプルを添加した.プレートを37℃で1日インキュベートし,サンプルの抗菌活性を腔部の周囲に形成された阻害輪の直径を測定して評価した.ゲンタマイシンおよびオフロキサシンの相当する濃度は,既知量の上記薬物によって得られた検量曲線により測定した.検出可能なゲンタマイシンの最小濃度は0.03μg/ml,検出可能なオフロキサシンの最小濃度は0.08μg/mlであった.
上記試験から得られた結果は図12および13に,また眼房水中に検出された薬物濃度に関しては以下の表16〜19に,角膜中に検出された薬物濃度に関しては表20〜21にまとめる.とくに以下の表16は,対照溶液の投与時に眼房水中で得られたゲンタマイシンのレベルを本発明のタマリンド種子多糖ビヒクルを用いて得られたレベルと比較した図12のグラフに相当する数値データを示す.
Figure 0003872515
上記データに基づいて,試験した2種の製剤中のゲンタマイシンの薬物動力学的パラメーターを計算した.
Figure 0003872515
同様に,表18および19はそれぞれ,図13(対照溶液の投与時に眼房水中で得られたオフロキサシンのレベルを本発明のビヒクル用いて得られたレベルと比較)のグラフに相当する数値データおよびそれから計算された薬物動力学的パラメーターを示す.
Figure 0003872515
Figure 0003872515
最後の薬物投与から60分後に屠殺したウサギから体外培養された角膜組織中に検出される薬物濃度を以下の2つの表に記載する.
Figure 0003872515
Figure 0003872515
以上に要約した実験結果は,活性成分を本発明のタマリンド種子多糖に基づくデリバリーシステムと配合した場合,角膜組織内および眼房水中における薬物濃度が有意に上昇することを示している.このようなビヒクルの使用により,抗菌性眼用薬物の角膜を通しての透過速度,したがってそれらの生物学的利用性を著しく増大させることができる.

Claims (21)

  1. 粘稠化点眼液の製造のためのタマリンドゴムの多糖分画の使用。
  2. 粘稠化点眼液が人工涙液である請求項1記載の使用。
  3. 粘稠化点眼液が局所投与眼用医薬のビヒクルである請求項1記載の使用。
  4. 点眼液が、タマリンドゴムの多糖分画0.1〜5.0重量%を含有する請求項1−3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 点眼液が、タマリンドゴムの多糖分画0.7〜1.5重量%を含有する人工涙液として用いる製剤である請求項2記載の使用。
  6. 製剤が、1重量%のタマリンドゴムの多糖分画を含有する請求項5記載の使用。
  7. 点眼液が、タマリンドゴムの多糖分画1〜4重量%を含有する持続放出性の局所投与眼用医薬のビヒクルである請求項3記載の使用。
  8. ビヒクルは液体型で、タマリンドゴムの多糖分画1.5〜2.5重量%を含有する請求項7記載の使用。
  9. ビヒクルはゲル型で、タマリンドゴムの多糖分画3〜4重量%を含有する請求項7記載の使用。
  10. タマリンドゴムの多糖分画は、市販のタマリンドゴムを精製して得られるものである請求項1−9のいずれか一項に記載の使用。
  11. 1種または2種以上の医薬的に活性な成分の有効量およびデリバリーシステムとして多糖分画を含有する持続放出性の局所投与眼用医薬の製造のためのタマリンドゴムの多糖分画の使用。
  12. 眼用医薬は、1〜4重量%のタマリンドゴムの多糖分画を含有する請求項11記載の使用。
  13. 1種または2種以上の医薬的に活性な成分は、ピロカルピン、チモロール、オフロキサシンおよびゲンタマイシンからなる群より選択される請求項11または12に記載の使用。
  14. タマリンドゴムの多糖分画は、市販のタマリンドゴムを精製して得られるものである請求項11−13のいずれか1項に記載の使用。
  15. 増粘剤およびムコ接着剤として市販のタマリンドゴムから精製して得られるタマリンドゴムの多糖分画を含有する、人工涙液または局所投与眼用医薬のビヒクルとして使用するための点眼液。
  16. タマリンドゴムの多糖分画0.1〜5.0重量%を含有する請求項15記載の点眼液。
  17. タマリンドゴムの多糖分画0.7〜1.5重量%を含有する、人工涙液として使用するための請求項15記載の点眼液。
  18. タマリンドゴムの多糖分画1〜4重量%を含有する、持続放出性の局所投与眼用医薬のビヒクルとして使用するための請求項15記載の点眼液。
  19. 1種または2種以上の医薬的に活性な成分の有効量およびデリバリーシステムとして市販のタマリンドゴムから精製して得られるタマリンドゴムの多糖分画を含有する持続放出性の局所投与眼用医薬。
  20. タマリンドゴムの多糖分画1〜4重量%を含有する請求項19記載の眼用医薬。
  21. 1種または2種以上の医薬的に活性な成分はピロカルピン、チモロール、オフロキサシンおよびゲンタマイシンからなる群より選択される請求項19または20に記載の眼用医薬。
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