JP3871567B2 - ろ過器、ろ過器の逆洗方法および発電プラント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温水中に含まれる固形不純物を除去するためのろ過器とその逆洗方法、およびろ過器を設置した発電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発電プラントにおいて、復水器の構造材または配管材から生成される固形懸濁物、主に鉄の酸化物を除去する場合には、給水を加熱する前にポリエチレン製中空糸膜フィルタやプリーツ(襞)型フィルタなどのろ過器が用いられている。また、給水を加熱した後の高温水中において固形懸濁物を除去する場合には、金属フィルタ、電磁フィルタなどが用いられている(例えば、特開平10−339793号公報参照)。
【0003】
しかしながら、上述したフィルタを用いたろ過器では、伝熱阻害や配管内面での腐食の抑制を目的とし、懸濁物濃度を低下させる機構を有するフィルタもしくはろ材を設置しているものの、前記ポリエチレン製の中空糸膜ろ過器は、耐熱温度が60℃程度であるため、給水加熱器に配置して使用することができない。なお、給水中に存在する懸濁物は、給水加熱器にも発生する。
【0004】
また、金属フィルタは、化学的に不安定であったり、使用した金属材料が溶け出したり、または金属表面が腐食して酸化皮膜が形成されてフィルタの孔が閉塞してしまうという課題がある。さらに、電磁フィルタについては、その除鉄性能が懸濁物の性状に大きく左右される。
【0005】
また、一般的な耐熱性中空状多孔質膜フィルタモジュールでは、外筒と中空状多孔質膜との間隙にエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの低粘度の樹脂を注入して加熱硬化させて封止する製造方法が知られている(例えば、特公昭44−5526号公報、特公昭56−40602号公報参照)。
【0006】
しかし、高度に水質管理された発電所の給水やヒータドレンなど100℃以上の高温水から固形懸濁物を除去するフィルタとしては、中空状多孔質膜の素材自体が耐熱性および溶出性の観点から充分な性能を有していても、封止剤として使用されるこれらの樹脂からの溶出量が多く溶出性が不充分であり、よってこれらの樹脂をフィルタに適用することは困難である。
【0007】
これを解決するために、上記中空状多孔質膜をフッ素樹脂製とし、この中空状多孔質膜を熱溶融性フッ素樹脂で封止することにより、耐熱性を有し、かつ溶出量の少ないフッ素樹脂のみでフィルタモジュールを製造する方法が提案されている(例えば、特許第2993217号公報参照)。
【0008】
図21は上記の方法により得られる中空状多孔質膜のフィルタモジュール封止部の一例を示す断面図である。
【0009】
図21に示すように、中空状多孔質膜のフィルタモジュール104は、外筒101の内側にフッ素樹脂の一種であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の中空状多孔質膜102を熱溶融性樹脂のポリテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)で封止してFEPの支持部103を形成して構成される。外筒101は、ステンレス鋼などの金属、PTFE、FEP、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などを使用することができる。封止剤として使用できる熱溶融性樹脂は、フッ素樹脂のFEP、PFAが適している。
【0010】
この方法では、金属とフッ素樹脂のみ、あるいはフッ素樹脂のみでフィルタモジュールを構成することができるので、発電所の高温水中に含まれる固形懸濁物を分離するフィルタとして必要な耐熱性および溶出性の観点からは、上述した課題を有しているフィルタよりも改善されている。
【0011】
ところで、上述した従来の発電プラントにおいては、水中に含まれる懸濁物や溶解成分の配管への析出、堆積による伝熱性能の低下、またはポンプの振動などを防止するため、ろ過器や脱塩装置を設置して水中の懸濁物やイオンを除去するようにしている。
【0012】
しかしながら、低温の復水では、上記ポリエチレン製フィルタのろ過器を設置して固形懸濁物を除去することができるものの、高温水中で発生する固形懸濁物を除去するには、上記ポリエチレン製フィルタでは耐熱温度が低いため100℃以上の高温水には適用することができない。
【0013】
また、100℃以上の給水で適用されている金属フィルタは、化学的に不安定であったり、固形物が析出して目詰まりしたり、あるいは水質管理水準からみた素材からの溶出成分による水質汚染により、高温水への適用が困難であった。
【0014】
そして、電磁フィルタについても除去することができるのは、磁性を帯びた懸濁物のみであることからろ過性能が低く、さらに分離した固形懸濁物を除去するフィルタを再生するのが困難であった。
【0015】
さらに、図21に示すフィルタにおいては、発電所の高温水を処理する熱サイクルを回避することができず、熱膨張係数が異なる異種材料の外筒101と支持部103とが熱サイクルで伸縮して剥離し、フィルタモジュール104が破損しやすい。
【0016】
また、復水ろ過用として適用されるろ過器においては、フィルタを構成する中空糸膜を逆洗再生することが行われている。この場合、膜をガスが通過できる圧力(バブルポイント)より低い圧力ではガスが膜を通過できないことを利用して、バブルポイントより低い圧力をかけてろ過器の上部空間の水を押し出して膜表面に堆積した固形懸濁物を除去する方法が採用されている。
【0017】
一方、発電プラントにおいて用いられるバブルポイントが逆洗時の圧力より高ければ従来の方法が適用できるが、バブルポイントが低い充填材または膜では、逆洗でガスが通過すると疎水化してしまい、親水化処理の工程が必要になり、系統の浄化処理の時間が余分にかかり薬液処理も必要になる。
【0018】
また、高温で使用するフィルタでは高温のまま逆洗ができないので、冷却してから逆洗を行い、加熱して再起動する必要がある。そのため、冷却や加熱のための設備が必要であり、さらに冷却・加熱に長い時間がかかり、再起動までに長い時間を必要とする。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来の技術においては、ポリエチレン製の中空糸膜ろ過器の場合は耐熱温度が60℃程度であるため給水加熱器では使用することができず、また金属フィルタの場合は化学的に不安定であったり、使用した金属材料が溶け出したり、または孔の腐食(酸化皮膜形成)により閉塞し、さらに電磁フィルタの場合は除鉄性能が懸濁物の性状に大きく左右される等の課題がある。
【0020】
また、図21に示すフィルタにおいては、発電所の高温水を処理する熱サイクルを回避することができず、熱膨張係数が異なる異種材料の外筒101と支持部103とが熱サイクルで伸縮して中空状多孔質膜102が破損しやすく、フィルタ母材による水質汚染が起こる。またこのフィルタは再生が困難であり、高度な水質管理と長期間の安定した性能が要求される発電所の高温水に含まれる固形懸濁物を除去するフィルタとして使用することが困難であるという課題がある。
【0021】
さらに、従来のろ過器逆洗の技術においては、フィルタがバブルポイントの低い充填材または膜であると、逆洗によりガスが通過すると疎水化するためのフィルタの親水化処理の工程が必要になり、系統の浄化処理の時間が余分にかかって薬液処理も必要になり、また、高温で使用するフィルタでは高温のまま逆洗ができないので、冷却してから逆洗を行い、加熱して再起動する必要があり、冷却や加熱のための設備が必要であったり、冷却・加熱に長い時間がかかり、再起動までに長い時間を必要とするという課題がある。
【0022】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、化学的に安定で、フィルタからの溶出を考慮することなく、高温水中に含まれる懸濁物を良好に除去することができ、フィルタからの溶出が少なく管理水質を満足することができ、熱サイクルによるフィルタの破損および透水性能の低下を防止することが可能なろ過器と、ろ過器の逆洗方法を提供することにある。
【0023】
また、本発明の別の目的は、上記ろ過器を適用して、給水またはヒータドレンなどの高温水中から固形懸濁物を除去することができる発電プラントを提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、ろ材として、特に150℃を超える高温水中でもフィルタから材料が溶出することなく、化学的に安定な材料を種々選定した結果、フッ素樹脂がこの条件を満足することが判明した。しかし、フッ素樹脂製のフィルタは、フィルタ母材を引っ張って製造するため、使用時に高温水と接触すると、フィルタが変形して透水性能が低下したり、あるいは熱サイクルによりフィルタが破損することがある。
【0025】
そこで、請求項1に係る発明では、被処理液が流入する被処理液流入ラインと処理液を流出させる処理液流出ラインとをそれぞれ接続した容器内に、フィルタ母材とこのフィルタ母材を支持する支持部を有し前記被処理液をろ過するフッ素樹脂製フィルタを設け、かつこのフッ素樹脂製フィルは使用前に気中および液中の少なくとも一方で加熱される熱処理を施されたフィルタであって、前記フッ素樹脂製フィルタのフィルタ母材が多数の中空状多孔質膜から構成され、これらの中空状多孔質膜の端部を前記フッ素樹脂で溶着して支持部を形成し、前記中空状多孔質膜と前記支持部との間を、これらより低融点の熱溶融性フッ素樹脂で溶融封止して封止部を形成したことを特徴とするろ過器を提供する。
【0026】
本発明によれば、容器内に被処理液をろ過するフッ素樹脂製フィルタを設けたことにより、高温水中で耐久性を有し、特に150℃を超える高温水中に含まれる懸濁物を確実に除去することができる。200℃熱水に浸漬した時、フッ素樹脂から溶出されるフッ素は100ppt以下で配管材の腐食原因になる濃度ではなく、処理液の水質を良好に保つことができ、懸濁物を低減させることができる。また、本発明によれば、フッ素樹脂製のフィルタを、使用前にフッ素樹脂の融点(327℃)以下の温度にて気中および液中のいずれかで熱処理することにより、フッ素樹脂製フィルタ製造時の残留応力を予め除いておくことで、フィルタ使用時の高温水との接触によるフィルタの変形による透水性能の低下を防止するとともに、フィルタ母材と支持部との接着部の破損を発生しにくくすることが可能となる。
【0027】
また、本発明によれば、外筒がなく接着するのは中空状多孔質膜と封止部、および封止部と支持部との間のみであり、熱サイクルによる異種材料の伸縮は小さく中空状多孔質膜の破損を発生しにくくすることが可能となる。
【0028】
請求項2に係る発明では、被処理液が流入する被処理液流入ラインと処理液を流出させる処理液流出ラインとをそれぞれ接続した容器内に、フィルタ母材とこのフィルタ母材を支持する支持部を有し前記被処理液をろ過するフッ素樹脂製フィルタを設け、かつこのフッ素樹脂製フィルタは使用前に熱水および蒸気のいずれかからなる流体を透過させる流体透過処理を施されたフィルタであって、前記フッ素樹脂製フィルタのフィルタ母材が多数の中空状多孔質膜から構成され、これらの中空状多孔質膜の端部を前記フッ素樹脂で溶着して支持部を形成し、前記中空状多孔質膜と前記支持部との間を、これらより低融点の熱溶融性フッ素樹脂で溶融封止して封止部を形成したことを特徴とするろ過器を提供する。
【0029】
本発明によれば、外筒がなく接着するのは中空状多孔質膜と封止部、および封止部と支持部との間のみであり、熱サイクルによる異種材料の伸縮は小さく中空状多孔質膜の破損を発生しにくくすることが可能となる。
【0030】
請求項3に係る発明では、フィルタ母材とこのフィルタ母材を支持する支持部を有し使用前に気体および液体の少なくとも一方を用いて加熱処理が施されたフッ素樹脂製フィルタが配設され、ろ過処理時に被処理液を有し前記フッ素樹脂製フィルタによってろ過を施される第1の空間と、この第1の空間の上方に位置しろ過処理時に処理液を有する第2の空間とに分離されているろ過器の逆洗方法であって、水、空気、水蒸気のいずれかかその組合せからなる逆流体を前記ろ過器の前記第2の空間側から供給し、前記フッ素樹脂製フィルタのフィルタ母材を通した後に前記ろ過器の外部に排出する第1の逆洗処理と、水をろ過器の第1の空間側から供給し、前記フッ素樹脂製フィルタのフィルタ母材を通した後に前記ろ過器の前記第2の空間側から外部に排出する第2の逆洗処理とを有し、前記第2の逆洗処理に際して、前記ろ過器の前記第1の空間の圧力と前記第2の空間の圧力の差が、前記フッ素樹脂製フィルタのバブルポイント以上となるように前記ろ過器に供給する水の流量を調整することを特徴とするろ過器の逆洗方法を提供する。
【0031】
本発明によれば、ろ過操作に伴いフィルタ表面に付着する懸濁物の汚れを、2つの逆洗処理を併用することで効果的に落とすことができる。
【0032】
請求項4に係る発明では、前記第1の逆洗処理と前記第2の逆洗処理の間に、前記ろ過器の前記第 1 の空間側からバブリングガスを供給し、前記フッ素樹脂製フィルタを揺動させた後に前記バブリングガスを前記ろ過器の外部に排出するバブリング処理を行うことを特徴とする請求項3記載のろ過器の逆洗方法を提供する。
【0033】
これにより、フィルタを揺動させることでフィルタに付着した懸濁物をより確実に取り除くとともに、ろ過器の下部に沈降した懸濁物を外部に排出することができるから、逆洗処理をより効果的に行うことができる。
【0034】
請求項5に係る発明では、蒸気発生装置と、この蒸気発生装置から供給される蒸気により駆動されるタービンと、このタービンからの排蒸気を復水とする復水器と、この復水器から前記蒸気発生装置に復水を供給する給水ラインと、この給水ラインに設けられるヒー タと、前記給水ラインに接続し前記ヒータから排出されるドレン水を再び前記ヒータに供給するヒータドレンラインとを有する発電プラントであって、被処理液が流入する被処理液流入ラインと処理液を流出させる処理液流出ラインとをそれぞれ接続した容器内に、フィルタ母材とこのフィルタ母材を支持する支持部を有し前記被処理液をろ過するフッ素樹脂製フィルタを設け、かつこのフッ素樹脂製フィルタは使用前に気中および液中の少なくとも一方で加熱される熱処理を施されたフィルタであるろ過器を、前記給水ラインと、前記ヒータドレンラインの少なくとも一方に介挿し配置することを特徴とする発電プラントを提供する。
【0035】
請求項6に係る発明では、蒸気発生装置と、この蒸気発生装置から供給される蒸気により駆動されるタービンと、このタービンからの排蒸気を復水とする復水器と、この復水器から前記蒸気発生装置に復水を供給する給水ラインと、この給水ラインに設けられるヒータと、前記給水ラインに接続し前記ヒータから排出されるドレン水を再び前記ヒータに供給するヒータドレンラインとを有する発電プラントであって、前記給水ラインと、前記ヒータドレンラインの少なくとも一方にろ過器を介挿配置し、このろ過器は、被処理液が流入する被処理液流入ラインと処理液を流出させる処理液流出ラインとをそれぞれ接続した容器内に、フィルタ母材とこのフィルタ母材を支持する支持部を有し前記被処理液をろ過するフッ素樹脂製フィルタを設け、かつこのフッ素樹脂製フィルタは使用前に熱水および蒸気のいずれかからなる流体を透過させる流体透過処理を施されたフィルタであることを特徴とする発電プラントを提供する。
【0036】
本発明によれば、給水ラインまたはヒータドレンラインに前記ろ過器を介挿したことにより、給水中またはヒータドレンの懸濁物を低減させることができ、この懸濁物の低減効果に起因する配管内面でのエロージョンの低減、伝熱管表面への懸濁物付着による伝熱阻害の低減、伝熱管洗浄頻度の低減が可能となる。
【0037】
また、本発明の発電プラントによれば、フィルタの残留応力および溶出成分を予め除去しておくことにより、安定した透水性能で水質汚染なしにヒータドレンや給水などの高温水中から固形懸濁物を除去することが可能となる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るろ過器、ろ過装置および発電プラントの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
[第1実施形態(図1〜図3)]
図1は本発明の第1実施形態によるろ過器を示す構成図である。図1に示すように、ろ過器1は容器としてのタンク2を有し、このタンク2は内部にフッ素樹脂製フィルタ3が設けられる一方、底部に被処理液が流入する被処理液流入ライン4aが接続されるとともに、上部にフッ素樹脂製フィルタ3によりろ過した処理液を流出させる処理液流出ライン4bが接続されている。ここで、被処理液とはフィルタ3によるろ過処理を施す前の溶液、処理液とはフィルタ3によりろ過された溶液を指す。
【0040】
被処理液流入ライン4aは、例えば発電プラントの復水器から圧力容器または蒸気発生装置(図示せず)に繋がる給水ラインなどであり、給水中に鉄などの懸濁物を含むラインである。また、フッ素樹脂製フィルタ3は、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)により中空状またはプリーツ(襞)状に形成され、その表面に孔径0.01μm〜0.5μmの細孔が多数穿設されている。なお、孔径は0.05μm〜0.45μmと設定するのがより好適である。
【0041】
さらに、フッ素樹脂製フィルタ3には、使用温度近傍またはそれを超える温度の熱水または気体中で加熱処理を1時間以上加えたフィルタが用いられている。
【0042】
図2(A),(B)は本実施形態においてタンク2内に設置されたフッ素樹脂製フィルタが中空状に形成された例を示す概略図であり、図2(A)はフッ素樹脂製中空状フィルタがU字状に設置された例を示し、図2(B)はフッ素樹脂製中空状フィルタがI字状に設置された例を示している。
【0043】
図2(A)では、フッ素樹脂製中空状フィルタ3aの両端が封止部5により保持されることで、フッ素樹脂製中空状フィルタ3aがU字状に設置されている。
【0044】
また、図2(B)では、フッ素樹脂製中空状フィルタ3aの一端が封止部5により保持されることで、フッ素樹脂製中空状フィルタ3aがI字状に設置されている。
【0045】
フッ素樹脂製中空状フィルタ3aを保持する封止部5は、タンク2内の上部に配置され、被処理液と処理液との隔壁としての機能を有し、その材質は高温水中において耐久性を有する材料が選択され、例えばステンレス鋼または四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)あるいはPFAが挙げられる。
【0046】
図3は本実施形態においてタンク2内に設置されたフッ素樹脂製フィルタがプリーツ状に形成された例を示す概略図である。図3に示すように、フッ素樹脂製プリーツ状フィルタ3bは、一端が封止部5により保持される一方、他端がプリーツフィルタ支持板6に支持されたプリーツフィルタ固定板7により固定される。
【0047】
次に、本実施形態の作用を説明する。例えば、発電プラントの復水器から排出された被処理液が被処理液流入ライン4aを通してタンク2内に流入し、このタンク2内では被処理液がフッ素樹脂製フィルタ3によりろ過される。なお、フッ素樹脂製フィルタ3は、フッ素樹脂製中空状フィルタ3aでもフッ素樹脂製プリーツ状フィルタ3bでも同様にろ過を行う。
【0048】
ここで、フッ素樹脂製フィルタ3には、孔径0.01μm〜5μmの細孔が多数穿設されていることから、それ以上の径の懸濁物はフッ素樹脂製フィルタ3の表面に捕集される。このようにしてろ過された処理液は、タンク2の上部から処理液流出ライン4bを経て図示しない給水ラインに供給される。
【0049】
このように本実施形態のろ過器1によれば、タンク2内に被処理液をろ過するフッ素樹脂製フィルタ3を設けたことにより、高温水中で耐久性を有し、特に150℃を超える高温水中に含まれる懸濁物を確実に除去することができる。200℃熱水に浸漬した時、フッ素樹脂から溶出されるフッ素は100ppt以下で配管材の腐食原因になる濃度ではなく、処理液の水質を良好に保つことができ、懸濁物を低減させることができる。また、フッ素樹脂製フィルタ3は、使用温度近傍またはそれを超える温度の熱水または気体中で1時間以上加熱処理されたものを用いたことにより、フィルタ材から溶出される不純物を低減させることができ、処理水の水質を良好に保つことが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態では、フッ素樹脂製フィルタ3の材質に四フッ化エチレン樹脂を用いたが、これ以外のフッ素樹脂を使用してもよい。
【0051】
[第2実施形態(図4)]
図4は本発明の第2実施形態によるろ過器を示す構成図である。
【0052】
なお、本実施形態では、前記第1実施形態と同一または対応する部分には同一の符号を用いるとともに、前記第1実施形態と異なる構成および作用のみを説明する。また、タンク2内の構造は、前記第1実施形態と同様である。
【0053】
本実施形態は、フッ素樹脂製フィルタ3表面に付着した懸濁物を除去するために、水、空気、水蒸気の中から選ばれる少なくとも1つからなる逆洗流体を施した逆洗を可能にする設備が設置されている。すなわち、図4に示すように、タンク2の上部に逆洗流体をタンク2内に送り込む逆洗ライン8の一端が接続され、この逆洗ライン8の他端が逆洗設備9に接続されている。また、タンク2下部と逆洗設備9とを逆洗ライン8aが連絡している。そして、タンク2の下部には、逆洗流体等をタンク2外に排出する流体排出ライン10がタンク2の処理液溜りの下方に位置する空間に接続されている。
【0054】
また、タンク2の下部には、タンク2内にバブリングガスを供給するバブリングガス供給ライン11の一端が内部まで延びており、このバブリングガス供給ライン11の他端には、バブリングガス供給設備12が接続されている。
【0055】
そして、タンク2の上部には、タンク2の処理液溜りにある流体等を排出する流体排出ライン13が接続される一方、タンク2の底部には、タンク2の底部に沈降した懸濁物を排出するためのドレンライン14が接続されている。
【0056】
次に、本実施形態の作用を説明する。被処理液中に含まれる懸濁物は、フッ素樹脂製フィルタ3表面に付着する。仮に、懸濁物を除去しないままろ過処理を続けた場合には、タンク2の内部での圧力損失が大きくなるため、タンク2の入口部と出口部との差圧が大きくなり、被処理液の流れを阻害するため、単位時間当たりの処理量が低下し、処理効率が低下する。また、懸濁物の一部が押し流されタンク2の出口部の水質を悪化させる要因となる。
【0057】
そこで、処理液の流量および水質を良好に維持するためには、一定差圧に達した時点でろ過器1への通水を停止し、水、空気、水蒸気等の流体を利用してフッ素樹脂製フィルタ3表面に付着した懸濁物を取り除くことが必要となる。ろ過器1は、ろ過処理時に被処理液を有する第1の空間と、その上方に位置しろ過処理時に処理液を有する第2の空間に分かれているが、この構造を有するろ過器に対して、ろ過操作を止めて以下説明する2つの逆洗処理を行う。
【0058】
すなわち、被処理液流入ライン4aに設けられた図示しない弁を閉じ、被処理液流入ライン4aからのタンク2への通水を停止した後、第1の逆洗処理として、水、空気、水蒸気のいずれかその組合せからなる逆洗流体を逆洗設備9から逆洗ライン8を通してタンク2内の第2の空間側に供給し、この逆洗流体が第1の空間側のフッ素樹脂製フィルタ3を通してその表面に付着した懸濁物を伴って流体排出ライン10から排出される。この操作により、フッ素樹脂製フィルタ3表面に付着した懸濁物は取り除かれる。
【0059】
そして、第2の逆洗処理として、水を逆洗設備9から逆洗ライン8aを通してタンク2の第1の空間側に供給し、フッ素樹脂製フィルタ3を通過させて、タンク2の空間側の流体排出ライン13もしくは処理液流出ライン4bから排出する。このとき、フッ素樹脂製フィルタ3のもつバブルポイント以上の圧力差が第1の空間側と第2の空間側に生じるような流量で流す。バブルポイントとは、フッ素樹脂製フィルタ3を構成する膜がアルコールで濡れた場合に空気が膜を通過するのに必要となる。第1の空間の圧力と第2の空間の圧力との圧力差をいう。バブルポイント以上の圧力差となるように相対的に逆洗流体の上流側、すなわち第1の空間の圧力を上げるように水の流量を調節することで、水が第1の空間から第2の空間へと通水し易くなり、第2の逆洗処理が好適に進行することとなる。
【0060】
なお、実験によれば、バブルポイントが0.1MPaであるようなフッ素樹脂製フィルタ3に対して第1の空間と第2の空間の差圧を0.2MPa以上とすることにより、第2の逆洗処理が格段に効率よく行われることが確認された。このことから、圧力差をバブルポイントの2倍以上とするように水の流量を調整するのがより好適であることが理解されよう。
【0061】
この第2の逆洗処理により、第1の逆洗処理により低下する透水性能が回復する。さらに、フッ素樹脂製フィルタ3の健全性も確認できる。
【0062】
なお、この第2の逆洗処理は第1の逆洗処理の後に続けて行うことが望ましいが、その際、例えば、第1の逆洗処理と第2の逆洗処理の間に以下説明するバブリング処理を行うことがより好適である。
【0063】
すなわち、バブリング処理として、バブリングガス供給設備12からバブリングガス供給ライン11を通してタンク2内にバブリングガスが供給され、このバブリングガスを流体排出ライン10から排出することにより、フッ素樹脂製フィルタ3が揺動し、フッ素樹脂製フィルタ3表面に付着した懸濁物が取り除かれる。そして、フッ素樹脂製フィルタ3表面から取り除かれ、タンク2下部に沈降した懸濁物はドレンライン14から排出される。ここでのバブリングガスとしては例えば空気を使用することが考えられる。
【0064】
なお、本実施形態では、フッ素樹脂製中空状フィルタ3aまたはフッ素樹脂製プリーツ状フィルタ3bのいずれでも適用可能である。また、本実施形態では、逆洗設備9に代えて化学薬品を用いてフィルタを洗浄する化学洗浄設備を設けるようにしてもよい。化学洗浄設備において用いられる化学薬品としては、例えば、過酸化水素水や、塩酸、硫酸、硝酸、シュウ酸等の酸、もしくは水酸化ナトリウム等のアルカリが挙げられる。
【0065】
このように本実施形態によれば、フッ素樹脂製フィルタ3を逆洗設備9または洗浄設備により逆洗または洗浄することにより、フッ素樹脂製フィルタ3表面に付着した懸濁物の汚れを落とすことができる。また、フッ素樹脂製フィルタ3表面にルーズに付着した懸濁物は、逆洗流体を用いた逆洗設備9または化学洗浄設備もしくはバブリングガス供給設備12により取り除くことができる。これにより、フッ素樹脂製フィルタ3を交換することなく再使用することができ、また処理液の水質を良好に保つことができる。
【0066】
[第3実施形態(図5、図6)]
図5は本発明の第3実施形態によるろ過器のフィルタモジュールを調製するための装置を示す構成図である。
【0067】
図5に示すように、密閉した中空状の熱処理容器15には、上下方向にヒータ16が埋設または設置されるとともに、内部に空気Aが満たされている。そして、熱処理容器15内にはフッ素樹脂の一種であるPTFE製のフィルタモジュール17が収納され、ヒータ16により内部の空気Aを加熱することで、フィルタモジュール17が熱処理される。
【0068】
(実施例1〜6)
図6は熱処理をしないフィルタモジュールをそのまま熱水透過した時と、図5に示す装置を用いて大気(空気A)中200℃で1時間保持して熱処理し、熱水を透過した時の差圧および透水能の関係を示す図である。
【0069】
図6に示すように、大気中で熱処理して残留応力を除き、熱水透過時の熱変形を抑えたフィルタモジュール17では、熱水の透過を繰り返しても透水能力は変化せず、PTFEから溶出されるフッ素が低減される。この場合の透水能力およびフッ素樹脂の溶出量を表1の実施例1のように基準値として100で示す。
【0070】
また、不活性ガス中100℃で2時間保持して調製したフィルタモジュール(実施例2)、不活性ガス中250℃で1時間保持して調製したフィルタモジュール(実施例3)、150℃の純水中で1時間保持して調製したフィルタモジュール(実施例4)、200℃の純水中で1.5時間保持して調製したフィルタモジュール(実施例5)、250℃の純水中で1時間保持して調製したフィルタモジュール(実施例6)では、下記表1を得た。
【0071】
(比較例1〜3)
一方、不活性ガス中90℃で2時間保持して調製したフィルタモジュール(比較例1)、不活性ガス中100℃で0.8時間保持して調製したフィルタモジュール(比較例2)、250℃の純水中で0.9時間保持して調製したフィルタモジュール(比較例3)では、下記表1を得た。
【0072】
なお、下記表1において、透水能力は基準値100以上であるのが好ましく、また溶出量は130以下が許容範囲である。
【0073】
【表1】
【0074】
図6および表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜6のように使用前に気中または純水中の雰囲気でPTFEの融点(327℃)以下の温度100℃〜250℃で1時間以上保持して熱処理して残留応力を除き、熱水透過時の熱変形を抑えたものでは、透水能力が向上するとともに、フッ素樹脂の溶出量が低減された。
【0075】
一方、表1に示すように熱処理温度を100℃未満とした場合には、フッ素樹脂から溶出されるフッ素の量が増加し、かつ透水性能が格段に低下してしまう(比較例1)。また、熱処理温度が100℃で、かつ保持する時間が1時間未満の場合には、フッ素樹脂から溶出されるフッ素の量が増加し、かつ透水性能が格段と低下してしまう(比較例2)。また、熱処理温度が250℃の場合においても、保持時間が1時間未満の場合には、透水性能は向上するものの、フッ素樹脂から溶出されるフッ素の量は増加している(比較例3)。
【0076】
したがって、図6に示すように熱処理をしていないフィルタモジュールでは、熱水透過のたびに製造時の残留応力によって膜が変形して透水能が低下してしまうこととなる。
【0077】
実施例1〜6により得られたフィルタモジュール17では、ヒータドレンや給水などの頻繁に熱サイクルがかかるろ過器に適用した場合、製造時の残留応力を予め熱処理して除いておくことにより、耐熱サイクル性能が安定したフィルタモジュール17を提供することができる。
【0078】
なお、熱処理容器15内において温度を上昇させる時間は、1時間以上かけて上記処理温度に上昇させ、1時間以上一定温度で保持して残留応力を除いた後、3〜6時間かけて徐々に冷却する。因みに、フッ素樹脂間の熱膨張係数に差があるため急激な昇温は、フィルタモジュール7を破損する可能性があるので、1時間以上で、長ければ長いほど好ましい。
【0079】
また、使用時に熱変形しにくいフィルタモジュール7を得るためには、上記冷却時間が長いほど、残留応力を減らせるので可及的に徐々に冷却するのが好ましい。
【0080】
さらに、上記のように保持する熱処理温度は100℃〜250℃が適しており、フィルタモジュール17や膜の製造時の温度より0〜10℃高い温度が好ましい。また、気体中で熱処理後にさらに液体中で処理して、フィルタが使用される環境で熱処理を行っておくことも、フィルタモジュール17の耐熱サイクル性を向上させる観点から有効である。
【0081】
上記フィルタモジュール17は、耐熱性および耐薬品性を有するフッ素樹脂製であり、中空状、平膜状またはチューブ状に形成されるか、あるいは円筒状容器に粒状のフッ素樹脂を充填した充填塔のように構成してもよく、膜のモジュールへ固定する材料もフッ素樹脂であることが好ましい。
【0082】
また、熱処理容器15内に満たす気体は、上記空気Aの他、窒素、アルゴンなどの不活性ガス、水蒸気などのモジュールの材質を熱処理の際に劣化させないものが好ましい。そして、熱処理容器15内に満たすものは、大気(空気A)などの気体以外に液体も可能であり、使用できる液体は、純水、超純水などモジュールの汚染となる不純物を含まないものが適しており、さらにフィルタの使用環境のpH値、溶存酸素濃度や化学成分の水質の液体であれば、より一層好ましい。
【0083】
このように実施例1〜6によれば、モジュール使用前に熱処理して製造時の残留応力を除くことができるので、使用時に繰り返される熱サイクルに対しても安定した処理性能を得ることが可能となる。
【0084】
また、フッ素樹脂製のフィルタモジュール17は、中空状、プリーツ状、平膜状およびチューブ状のいずれかにより選択された形状であることにより、安定した透水性能および水質汚染の少ないフッ素樹脂製のフィルタが得られる。
【0085】
[第4実施形態(図7)]
図7は本発明の第4実施形態によるろ過器のフィルタモジュールを調製するための装置を示す系統図である。なお、前記第3実施形態と同一または対応する部分には同一の符号を用いて説明する。
【0086】
図7に示すように、熱水洗浄用圧力容器18内は、高温の熱水Wで満たされており、フィルタモジュール17が収納されている。そして、熱水洗浄用圧力容器18の出口側のラインL1には、冷却器19、フィルタ20およびイオン交換体を充填した脱塩装置21が介挿され、このラインL1がポンプ22の給水側と接続されている。このポンプ22の排出側には、ラインL2が接続され、このラインL2にはヒータ23が介挿され、このラインL2が熱水洗浄用圧力容器18と接続されている。
【0087】
したがって、ポンプ22を駆動することにより、熱水洗浄用圧力容器18内の高温の洗浄液が冷却器19で冷却された後、フィルタ20で洗浄液中に含まれるフィルタモジュール17の溶出物から固形懸濁物が除去され、脱塩装置21によりイオン成分が除去された洗浄水がポンプ22に供給される。そして、ポンプ22から排出された洗浄水は、熱水Wとして加熱されて熱水洗浄用圧力容器18の入口側に供給される。
【0088】
(実施例7〜12)
フッ素樹脂製中空糸膜のフィルタモジュール17を、沸騰しない圧力以上であって230℃で1時間熱水浸漬して、浸漬液中の溶出成分を調べた結果、フッ素以外の成分は検出されず、透水能力も向上した。これを下記表2の実施例9として示す。
【0089】
また、150℃および200℃で1時間熱水浸漬した場合を実施例7,8として示し、150℃、200℃および230℃で1時間蒸気を透過した場合を実施例10〜12として示し、これらの実施例では、表2から明らかなように透水能力が向上し、フッ素の溶出量も格段に低減した。
【0090】
【表2】
【0091】
図8はオートクレーブによる膜の熱水浸漬時におけるフッ素溶出速度の時間変化を示す図である。図8から明らかなように、初期の数時間で大部分のフッ素が溶出した後はほとんど溶出していない。このことから、数時間熱水で処理することにより溶出するフッ素の除去が可能であることが分かる。
【0092】
(比較例4〜10)
一方、表2の比較例4〜10に示すように、フィルタモジュール7に高純度の熱水Wおよび蒸気のいずれかを透過させる場合、熱水Wまたは蒸気の温度を100℃未満とした場合には、フッ素樹脂から溶出されるフッ素の量が増加し、かつ透水性能が格段と低下してしまう(比較例7,9)。また、熱水Wまたは蒸気の温度が250℃を超えた場合においても透過時間が1時間未満の場合においては、透水性能が良好となるものの、フッ素樹脂から溶出されるフッ素の量が増加することとなる(比較例6,8,10)。さらに、熱水Wまたは蒸気の温度が100℃〜250℃で、かつ保持する時間が1時間未満の場合には、フッ素樹脂から溶出されるフッ素の量が増加し、かつ透水性能が格段と低下してしまうこととなる(比較例4,5)。
【0093】
(実施例13〜16)
表3に示した実施例13,14は、不活性ガスによる熱処理を、温度を100℃〜250℃で1時間以上保持て行い、その後に熱水透過処理として沸騰しない圧力以上で100℃〜250℃の温度の熱水Wを1時間以上フィルタに通過させた場合を、また実施例15,16は、純水による熱処理を、温度を100℃〜250℃で1時間以上保持して行い、その後に蒸気透過処理として100℃〜250℃の温度の蒸気を1時間以上フィルタに通過させた場合を、それぞれ示している。
【0094】
【表3】
【0095】
表3から明らかなように、上記の条件でフィルタを熱処理することにより、製造時の残留応力を効率良く除去することができ、さらに上記の条件で熱水Wまたは蒸気を透過させることにより、フィルタ使用時にフッ素が溶出して水質を汚染する成分を短時間で除去することができる。
【0096】
このように本実施形態では、図7に示す装置により熱水Wをフィルタモジュール17に透過しながらフィルタ20で溶出成分を除去し、脱塩装置21により脱塩処理した熱水を循環して使用することができるので、バッチ処理よりも効率良く短時間で低濃度まで溶出成分を除去することができる。
【0097】
また、バッチ処理では、膜の内側の溶出成分を除去するのは困難であるが、上記循環方式では、内面まで効率良く短時間で溶出成分を除去することができる。そして、フッ素樹脂製フィルタを上述した充填塔のように充填物とした場合についても効率良く除去することができる。
【0098】
なお、本実施形態では、フッ素樹脂製のフィルタモジュール17の外側から内側に向けて洗浄しているが、熱水洗浄用圧力容器18の出口と入口を逆にしてフィルタモジュール17を内側から外側に洗浄することも可能である。
【0099】
また、本実施形態で使用される熱水Wの温度は、上記のように100℃〜250℃であり、処理時間は1時間〜1週間が適している。
【0100】
さらに、本実施形態の熱水Wは、純水または水蒸気、またはpH値、溶存酸素濃度、化学成分の少なくとも一部のうちの少なくとも1つに関して発電所の使用環境の模擬によって得られた液体とするのが好適である。
【0101】
また、透過の温度は、溶出成分を除去しながらステップ状または一定速度で徐々に増加させることにより、フィルタモジュール17の熱衝撃による破損を回避することができ、そして、溶出成分の除去を行いながら昇温することにより、溶出成分による系内の汚染を抑制することができるので、処理時間の短縮化が可能となる。
【0102】
また、フィルタモジュール17は、疎水性であるので、熱水Wで洗浄する前にイソプロピルアルコールなどのアルコール類に浸漬して親水化しておくのが望ましい。そして、本実施形態のヒータ23および冷却器19を熱交換器に代えることにより、系統を簡略化することができ、熱利用効率の向上も図れる。
【0103】
このように本実施形態によれば、熱水Wでフィルタモジュール17を洗浄して予め溶出成分を除去することができるので、発電所に設置して使用する場合にフィルタ設置による水質低下を防止することができる。
【0104】
また、熱水Wを、発電プラントのpH値、溶存酸素濃度および化学成分の一部または全部のうち少なくとも1つに関して使用環境の模擬によって得られた水質とした場合には、フィルタモジュール17の使用環境と同じまたは類似の水質の熱水Wで透過処理することにより、高温でのフィルタモジュール17の使用時に水中に溶出する成分を単なる熱水よりも効率良く洗浄または材料改質により予め除去することができ、使用時のフィルタモジュール17からの水質汚染を単なる熱水よりも低く抑えることが可能となる。
【0105】
[第5実施形態(図9)]
図9は本発明の第5実施形態によるろ過器のモジュール封止部を示す断面図である。図9に示すように、本実施形態では、フッ素樹脂の一種であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の中空状多孔質膜24の端部が、PTFEより低融点の熱溶融性フッ素樹脂であるテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる支持部25で溶着することにより直接封止されている。
【0106】
次に、本実施形態の作用を説明する。発電所の高温水を処理するフィルタにおいては、熱サイクルを回避することができず、図21に示した従来のフィルタでは、熱膨張係数が異なる異種材料の外筒101と支持部103が熱サイクルで伸縮するため、フィルタモジュール104が破損しやすい。
【0107】
そこで、本実施形態では、熱サイクルで異種材料の伸縮の差が大きく、接着部が剥離してフィルタモジュールの破損を引き起こす外筒101を削除して、異種材料が接触するのは、中空糸状多孔質膜24と支持部25との間のみとすることにより、熱サイクルによる異種材料の伸縮を小さくしてフィルタモジュールの破損を発生しにくくすることが可能となる。
【0108】
なお、本実施形態の封止方法は、例えば特許第2993217号公報の方法により、中空状多孔質膜24を熱溶融性のPFAのみで溶融封止することにより、他の封止剤を使用せず、封止と支持部25の形成を同時に行うことができる。
【0109】
また、本実施形態で使用するフッ素樹脂製の中空状多孔質膜24は、上記のようにPTFEが望ましい。そして、支持部25を形成する封止剤として使用される熱溶融性フッ素樹脂は、例えばPFA、FEP、ETFE、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)などが挙げられる。この中でも、耐熱性を有し、酸およびアルカリに対する耐薬品性が優れたPFAとFEPは、PTFE中空糸と同種の樹脂であり、親和性が高く、封止剤として最適である。
【0110】
さらに、本実施形態により製造したフィルタモジュールに対して、前記第3実施形態または/および前記第4実施形態に記載の方法で熱処理と熱水透過を行えば、安定した透水性能が得られるとともに、水質汚染が少ない発電所の高温水に適したフィルタを提供することが可能となる。
【0111】
このように本実施形態によれば、中空状多孔質膜24の外周と封止剤との間の異種材料の接触する長さは非常に僅かであり、熱サイクルによる伸縮の長さの差も微小となり、熱サイクルに対して強いモジュール封止部を形成することができる。
【0112】
[第6実施形態(図10)]
図10は本発明の第6実施形態によるろ過器のモジュール封止部を示す断面図である。図10に示すように、本実施形態は、前記第5実施形態のPFA製の支持部25をPTFEからなる支持部25bとし、この支持部25bとPTFE製の中空状多孔質膜24との間がPTFEより低融点で熱溶融性フッ素樹脂としてのPFAからなる封止部26により封止されている。
【0113】
例えば、PTFE製の中空状多孔質膜24を封止する部分には、PFAチューブが被覆され、PFAチューブを支持部25bに形成された穴に挿入して前記第5実施形態と同様にPFAを熱溶融して中空状多孔質膜24をPTFEからなる支持部25bに封止する。
【0114】
なお、本実施形態で使用するフッ素樹脂製の中空状多孔質膜は、PTFEが望ましい。そして、支持部25bの材質は、ステンレス鋼などの金属やPTFE、PFA、FEPが好ましい。封止剤として使用される熱溶融性フッ素樹脂は、PTFE製の中空状多孔質膜24と同種の樹脂であり、親和性の高いPFAおよびFEPが好ましい。
【0115】
また、本実施形態により製造したフィルタモジュールに対して、前記第1実施形態または/および前記第2実施形態に記載の方法で熱処理と熱水透過を行えば、安定した透水性能が得られるとともに、水質汚染が少ない発電所の高温水に適したフィルタを提供することが可能となる。
【0116】
このように本実施形態によれば、中空状多孔質膜24の外周と封止部4との接着部間、および支持部25bと封止部26との接着部間のように異種材料が接触する長さは非常に僅かであるため、熱サイクルによる伸縮の長さの差も微小となり、熱サイクルに対して強いモジュール封止部を備えた支持部を形成することができる。
【0117】
[第7実施形態(図11)]
図11は本発明のろ過器を適用した第7実施形態によるろ過装置の構成を示す系統図である。
【0118】
本実施形態のろ過装置は、容器2内にフィルタ30を缶板30aにより吊設してなるろ過器31を備え、このろ過器31には、被処理液が流入する被処理液流入ライン4aと、処理液を流出させる処理液流出ライン4bとがそれぞれ接続されている。ろ過器31の缶板30a上は処理液溜り37となっており、この処理液溜り37側には、逆洗用の水32を供給するための逆洗ライン33が接続され、この逆洗ライン33には水32を貯留する逆洗タンク34が設けられている。
【0119】
逆洗タンク34は、水32等の液体を容易に通し、かつガス35等の気体を通しにくい仕切り36により、2部屋に分割されている。そして分割された一方の部屋(第1室)36aは、ガス35を供給するガス供給ライン38と、逆洗用の補給水39を供給する補給水ライン40とに連結されており、他方の部屋(第2室)36bは、逆洗ライン33を介してろ過器31の処理液溜り37側に連結されている。ガス供給ライン38にはガスタンク41が設けられ、供給するガス35の圧力制御が可能となっている。
【0120】
ろ過器31の処理液溜り37側と、逆洗タンク34の第1室36a側には、それぞれリーク弁42a,43aを有するリークライン42,43が設けられている。また、ろ過器31の下方には廃液受け槽44が配置され、この廃液受け槽44には、ろ過器31の被処理液側上部(缶板30aの下部)およびろ過器31の底部からドレンライン45,46がそれぞれ導かれている。各ライン4a,4b,33,38,40,45,46には、それぞれ開閉用の弁47a〜47gが設けられている。
【0121】
次に作用を説明する。通常の被処理液ろ過時においては、被処理液流入ライン4aの弁47aおよび処理液流出ライン4bの弁47bのみが開とされ、他の弁は全て閉とされ、被処理液流入ライン4aから系統水がろ過器31に供給され、フィルタ30によってろ過された後、処理液流出ライン4bから系統に流出される。
【0122】
一方、逆洗時においては、被処理液流入ライン4aの弁47aおよび処理液流出ライン4bの弁47bを閉とする。そして、まず逆洗の操作前段階で、ろ過器31の処理液溜り37に接続されているリークライン42のリーク弁42aを開くとともに、逆洗ライン33の弁47cを開けて逆洗タンク34から水32をろ過器31に供給する。これにより、ろ過器31の処理液溜り37にガスが残留している場合、そのガスを水32で置換することができる。これにより、フィルタ30の疎水化を効果的に防止することができる。
【0123】
次に、逆洗操作として、ろ過器31が100℃未満の状態で、逆洗タンク34とろ過器31とを連結する逆洗ライン33の弁47cを開とした状態で、ガス供給ライン38の弁47dを開き、ガスタンク41から所定圧のガス35を逆洗タンク34の第1室36aに供給する。これにより、ガス35の圧力によって逆洗タンク34内の水32がろ過器31に注入され、フィルタ30をろ過処理時とは逆の方向に通水する。この場合、ろ過器31の処理液側上部のドレンライン45の弁47fを開とし、オバーフローによりドレンを廃液受け槽44で受ける。
【0124】
すなわち、上述したように、逆洗タンク34の内部は水32を容易に通すがガス35を通しにくい仕切り36が設置されて2部屋に分割されており、第2室36bは水32で満たされ、ろ過器31に接続されている。また、第1室36aには、開閉用の弁47dを有するガス供給ライン38と、弁47eを有する補給水39供給用の補給水ライン40とが接続されている。そこで、逆洗に必要な量の補給水39が補給されるとともに、水32を加圧するためのガス35の供給が行われる。
【0125】
ガス35は仕切り36を通過し難いので、逆洗タンク34の第1室36a内の水32がなくなった時点で、ろ過器31への水32の供給は止まる。そこで、ガス供給ライン38の弁47dを閉じる。次に、ドレン弁47fを開いてフィルタ30から除去された固形懸濁物をろ過器31内の水と一緒に廃液受け槽44に回収する。フィルタ30が、水中に注入される気泡の上昇によって膜振動するような中空糸膜として構成されている場合には、逆洗タンク34からの逆洗操作に続き、ろ過器31の下部からガスを注入してバブリング操作を行うことはフィルタ30上の懸濁固形物の除去には効果的である。
【0126】
また、逆洗タンク34の第1室36aには、リーク弁43aを有するリークライン43が設けられているので、リーク弁43a開によりガス抜きを行うと同時に第1室36aに短時間で補給水39を供給することができる。したがって、繰り返し逆洗を行うことが可能となり、フィルタ30からの固形懸濁物の除去を効率的に行うことができる。
【0127】
なお、逆洗タンク34内部の仕切り36は、例えば親水性物質の充填物や膜から構成される親水性のものであれば、ガス35と水32との分離性が向上するので、フィルタ30の疎水化を回避するのに効果的である。さらに、仕切り36に平膜、ひだ状、円筒、中空糸などの膜を用いて仕切り36の膜面積を増大させる構造とすれば、仕切り36の圧力損失を下げることができるので、供給するガス35の圧力を低くすることができる。
【0128】
また、逆洗タンク34の水32を押出すガス圧は一定値とするのではなく、一旦ガスタンク41にガスを貯蔵してから、瞬時に逆洗タンク34の水32をろ過器31に供給するようにすれば、効率的な逆洗が可能となる。さらに、逆洗タンク34の第1室36aの水を押し出した時点の圧力を、仕切り36がガス35を通し始める最低圧力以下になるようにガスタンク41の圧力を例えば10倍とすると、ガスタンク41の容量は逆洗水の容量の1/9倍となり、ガスタンク41を小型化でき経済的である。水32を押し出した時点の圧力は、仕切り36をガス35が通過する圧力から0.1MPa以上1MPa以下程度であり、ガスタンク41の圧力は1MPa以上15MPa以下が適当である。
【0129】
以上の本実施形態によれば、フィルタ30を疎水化させずにガス圧のみで逆洗することができるので、設備が簡素化できるとともに、親水化処理、ろ過器内の浄化処理時間を削除することができ、ろ過器31の再起動時間の短縮が図れ、また薬品廃棄物の発生とその処理も不要となる。
【0130】
なお、本実施形態のフィルタ30には、第1〜第4実施形態で説明したように、使用前に気中および液中の少なくとも一方で加熱される熱処理を施され、または使用前に熱水および蒸気のいずれかからなる流体を透過させる流体透過処理を施されてなるフッ素樹脂製フィルタを適用することができる。
【0131】
[第8実施形態(図12)]
図12は本発明のろ過器を適用した第8実施形態によるろ過装置の構成を示す系統図である。
【0132】
本実施形態では、容器2内にフィルタ30を缶板30aにより吊設してなるろ過器31を備え、このろ過器31には、被処理液が流入する被処理液流入ライン4aと、処理液を流出させる処理液流出ライン4bとがそれぞれ接続されている。ろ過器31の缶板30a上は処理液溜り37となっている。
【0133】
そして、ろ過器31の低部から導かれるドレンライン45には、弁47gとともにドレン冷却用の冷却器50が設けられている。なお、水を用いる逆洗ライン33は省略できる。
【0134】
本実施形態においては、逆洗操作時に、系統の弁47a、47bを閉じ、ろ過器31を高温高圧状態のままで弁47gの開度で流量を制御しながら、冷却器50でろ過器31内の液を冷却して廃液受け槽44に排出する。ろ過器31内の圧力低下にともなって、ろ過器31の処理液溜り37側内の水が膨張してフィルタ30を通過し、これにより逆洗作用が行われる。すなわち、この圧力低下により、フィルタ30を通過する流体は液体から蒸気に変わり、液体に比べて体積が急激に増加する。したがって、フィルタ30を通過する媒体の体積も著しく増加し、液体で洗浄するよりも高い洗浄効果が期待できるようになる。固形懸濁物は蒸気とともに運ばれ、冷却器50で凝縮した液中に保持され、廃液受け槽44に回収される。
【0135】
本実施形態によれば、ろ過器31を冷却せずに高温状態のままで、ろ過器31内の高温高圧水のみを使用して逆洗することができるので、ろ過器31の再起動までの時間の大幅な短縮が可能である。また、逆洗水を外部から供給しないので廃液の発生が少ない。
【0136】
すなわち、本実施形態によれば、逆洗水を持ち込むことなく、ろ過器31内部の高温高圧水を利用して、ろ過器の逆洗を行うことができる。ろ過器内部の高温高圧水の圧力を下げて膨張させながら抜き出す際に、冷却器50で水に戻してドレンするので、大きなフラッシュタンクは不要である。
【0137】
また、ろ過器31上部の処理液溜り37部分の水は、最初は圧力が高いので液体であるが、圧力が低下すると沸騰して蒸気となり、体積が急激に膨張する。したがって、沸騰後にはフィルタを蒸気が大きな線速度で大量に通過するので、ろ過器の処理液溜りの高温高圧水でフィルタの逆洗が可能である。フィルタを通過するのは蒸気のみであるので疎水化することを避けることができる。
【0138】
なお、本実施形態のフィルタ30においても、第1〜第4実施形態で説明したように、使用前に気中および液中の少なくとも一方で加熱される熱処理を施され、または使用前に熱水および蒸気のいずれかからなる流体を透過させる流体透過処理を施されてなるフッ素樹脂製フィルタを適用することができる。また、本実施形態では第7実施形態と同様の逆洗装置を併設してもよい。
【0139】
[第9実施形態(図13)]
図13は本発明のろ過器を適用した第9実施形態によるろ過装置の構成を示す系統図である。
【0140】
本実施形態では、容器2内にフィルタ30を缶板30aにより吊設してなるろ過器31を備え、このろ過器31には、被処理液が流入する被処理液流入ライン4aと、処理液を流出させる処理液流出ライン4bとがそれぞれ接続されている。ろ過器31の缶板30a上は処理液溜り37となっている。ろ過器31の処理液溜り37には、弁47hを有するスチームライン51を介して蒸気発生器52が接続されている。ろ過器31の低部から導かれるドレンライン45には、弁47gとともにドレン冷却用の冷却器50が設けられている。
【0141】
このような構成において、逆洗操作時には、第8実施形態と同様の方法でろ過器31内の液をドレンした後、弁47hを開けて蒸気発生器52から蒸気53をスチームライン51を介してろ過器31に供給し、フィルタ30上の固形懸濁物を蒸気53によって洗浄除去し、冷却器50により蒸気53を凝縮させ、液中に保持させて廃液受け槽44に回収する。このようにして蒸気53を継続して得られるので、固形懸濁物の付着状態により洗浄する蒸気量を自由に調整することができる。
【0142】
また、ろ過器31を100℃未満としてろ過器31内の水を弁47gからドレンした後、蒸気発生器52の蒸気で逆洗することも可能である。低圧で蒸気53による逆洗が行えるので,フィルタ30の疎水化を避けることができ、ろ過器31内で蒸気53が凝縮するので、ドレン冷却用の冷却器50を削除し、または設備容量を小さくすることができる。
【0143】
本実施形態によれば、逆洗に蒸気を使用するので、フィルタ30の疎水化が防止でき、また蒸気53は凝縮して水になり、体積が著しく減少するので、廃棄物量の少ない逆洗が可能である。
【0144】
なお、本実施形態のフィルタ30においても、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態および第4実施形態で説明したように、使用前に気中および液中の少なくとも一方で加熱される熱処理を施され、または使用前に熱水および蒸気のいずれかからなる流体を透過させる流体透過処理を施されてなるフッ素樹脂製フィルタを適用することができる。
【0145】
[第10実施形態(図14)]
図14は本発明の第10実施形態による発電プラントを示す系統図である。
【0146】
図14に示すように、本実施形態の発電プラントは、復水器55から復水脱塩設備56、低圧ヒータ57および高圧ヒータ58を通して蒸気発生装置59へ給水が流れる給水ライン60を備えている。この給水ライン60では、後述するタービンを駆動した湿り蒸気が復水器55により冷却されて復水となり、この復水が復水脱塩設備56によりイオン性不純物が除去されて給水となり、この給水が低圧ヒータ57および高圧ヒータ58を経て高温の給水となって蒸気発生装置59に供給される。
【0147】
また、本実施形態の発電プラントは、蒸気発生装置59から高圧タービン61、低圧タービン62への主蒸気ライン63を備えており、この主蒸気ライン63では、蒸気発生装置59で発生した蒸気が高圧タービン61および低圧タービン62を駆動する。
【0148】
さらに、本実施形態の発電プラントは、高圧タービン61から抽気された蒸気が高圧ヒータ58を介して凝縮され給水ライン60に流れる高圧ヒータドレンライン64と、低圧タービン62から抽気された蒸気が低圧ヒータ57を介して凝縮され給水ライン60に流れる低圧ヒータドレンライン65を備えており、これらのヒータドレンライン64,65では、高圧タービン61および低圧タービン62から抽気された蒸気がそれぞれ高圧ヒータ58および低圧ヒータ57において給水を加熱した後凝縮され、その凝縮水(ドレン水)が給水ライン60に戻されるように構成されている。
【0149】
そして、本実施形態の発電プラントでは、復水器55から復水脱塩設備56、低圧ヒータ57および高圧ヒータ58を通して蒸気発生装置59へと流れる給水ライン60に、前記第1〜第9実施形態のうちのいずれかと同様に構成された給水ろ過器66が複数設置されている。
【0150】
すなわち、これらの給水ろ過器66は、低圧ヒータ57の前段、高圧ヒータ58の前段および後段における給水ライン60にそれぞれ介挿されている。
【0151】
このように本実施形態によれば、低圧ヒータ57の前段、高圧ヒータ58の前段および後段における給水ライン60に、それぞれ給水ろ過器66を介挿したことにより、給水中の懸濁物を低減させることができ、この懸濁物の低減効果に起因する配管内面でのエロージョンの低減、伝熱管表面への懸濁物付着による伝熱阻害の低減、伝熱管洗浄頻度の低減が可能となる。
【0152】
[第11実施形態(図15)]
図15は本発明の第11実施形態による発電プラントを示す系統図である。なお、本実施形態では、前記発電プラントの第10実施形態と同一または対応する部分には同一の符号を付して説明し、前記第10実施形態と異なる構成および作用のみを説明する。その他の発電プラントの各実施形態も同様である。
【0153】
図15に示すように、本実施形態の発電プラントは、高圧タービン61から高圧ヒータ58を介して給水ライン60に導かれる高圧ヒータドレンライン64と、低圧タービン62から低圧ヒータ57を介して給水ライン60に導かれる低圧ヒータドレンライン65に、それぞれ前記第1〜第9実施形態のいずれかと同様に構成されたヒータドレンろ過器67が介挿されている。
【0154】
このように本実施形態によれば、ヒータドレンライン64,65に、それぞれヒータドレンろ過器67を介挿したことにより、ヒータドレンの懸濁物を低減させることができ、この懸濁物の低減効果に起因する配管内面でのエロージョンの低減、伝熱管表面への懸濁物付着による伝熱阻害の低減、伝熱管洗浄頻度の低減が可能となる。
【0155】
[第12実施形態(図16)]
図16は本発明の第12実施形態による発電プラントを示す系統図である。
【0156】
図16に示すように、本実施形態の発電プラントは、図14に示す第10実施形態と同様に復水器55から復水脱塩設備56、低圧ヒータ57および高圧ヒータ58を通して蒸気発生装置59へと流れる給水ライン60に、前記第1〜第9実施形態のいずれかと同様に構成された給水ろ過器68が複数設置されている。
【0157】
すなわち、これらの給水ろ過器68は、低圧ヒータ57の前段、高圧ヒータ58の前段および後段における給水ライン60にそれぞれ介挿されている。
【0158】
また、本実施形態では、各給水ろ過器68に逆洗ライン69がそれぞれ接続され、これらの逆洗ライン69は逆洗設備9に接続されている。
【0159】
このように本実施形態によれば、第10実施形態と同様の効果が得られるのに加え、各給水ろ過器68に逆洗設備9を設置したことにより、各給水ろ過器68の本来の性能を常に維持することが可能となる。
【0160】
なお、本実施形態では、逆洗設備9に代えてあるいは加えて、化学洗浄設備またはバブリングガス供給設備12を発電プラントに設ける構成としてもよい。
【0161】
[第13実施形態(図17)]
図17は本発明の第13実施形態による発電プラントを示す系統図である。
【0162】
図17に示すように、本実施形態の発電プラントは、図15に示す第11実施形態と同様に高圧タービン61から高圧ヒータ58を介して給水ライン60に導かれる高圧ヒータドレンライン64と、低圧タービン62から低圧ヒータ57を介して給水ライン60に導かれる低圧ヒータドレンライン65に、それぞれ前記第1〜第9実施形態のいずれかと同様に構成されたヒータドレンろ過器70が介挿されている。
【0163】
また、本実施形態では、各ヒータドレンろ過器70に逆洗ライン71がそれぞれ接続され、これらの逆洗ライン71は逆洗設備9に接続されている。
【0164】
このように本実施形態によれば、第11実施形態と同様の効果が得られるのに加え、各ヒータドレンろ過器68に逆洗設備9を設置したことにより、各ヒータドレンろ過器70の本来の性能を常に維持することが可能となる。
【0165】
なお、第12実施形態および本実施形態では、逆洗設備9に代えてあるいは加えて、化学洗浄装置またはバブリングガス供給設備12を発電プラントに設ける構成としてもよい。
【0166】
[第14実施形態(図18)]
図18は本発明の第14実施形態による発電プラントを示す系統図である。本実施形態の発電プラントでは、沸騰水型原子力発電所(BWR)に第1〜第9実施形態のいずれかに示したろ過器が設置された例を示している。
【0167】
図18に示すように、本実施形態の発電プラントは、復水器55から復水脱塩設備56、低圧ヒータ57および高圧ヒータ58を通して原子炉圧力容器72へ給水が流れる給水ライン60を備えている。
【0168】
また、本実施形態の発電プラントは、原子炉圧力容器72から高圧タービン61、低圧タービン62への主蒸気ライン63を備えるとともに、高圧タービン61から高圧ヒータ58を介して給水ライン60に導かれる高圧ヒータドレンライン64と、低圧タービン62から低圧ヒータ57を介して給水ライン60に導かれる低圧ヒータドレンライン65を備えている。
【0169】
また、本実施形態の発電プラントでは、復水器55から復水脱塩設備56、低圧ヒータ57および高圧ヒータ58を通して原子炉圧力容器72へと流れる給水ライン60に、前記第1〜第9実施形態のいずれかと同様に構成された給水ろ過器66が複数設置されている。
【0170】
すなわち、これらの給水ろ過器66は、低圧ヒータ57の前段、高圧ヒータ58の前段および後段における給水ライン60にそれぞれ介挿されている。
【0171】
さらに、本実施形態の発電プラントでは、高圧タービン61から高圧ヒータ58を介して給水ライン60に導かれる高圧ヒータドレンライン64と、低圧タービン62から低圧ヒータ57を介して給水ライン60に導かれる低圧ヒータドレンライン65に、それぞれ前記第1〜第9実施形態のいずれかのろ過器と同様に構成されたヒータドレンろ過器67が介挿されている。
【0172】
このように本実施形態によれば、低圧ヒータ57の前段、高圧ヒータ58の前段および後段における給水ライン60に、それぞれ給水ろ過器66を介挿するとともに、ヒータドレンライン64,65にそれぞれヒータドレンろ過器67を介挿したことにより、給水中およびヒータドレンの懸濁物を低減させることができ、この懸濁物の低減効果に起因する配管内面でのエロージョンの低減、伝熱管表面への懸濁物付着による伝熱阻害の低減、伝熱管洗浄頻度の低減、および放射能の低減が可能となる。
【0173】
[第15実施形態(図19)]
図19は本発明の第15実施形態による発電プラントを示す系統図である。本実施形態の発電プラントでは、加圧水型原子力発電所(PWR)に第1〜第9実施形態に示したろ過器が設置された例を示している。
【0174】
図19に示すように、本実施形態の発電プラントは、復水器55から復水脱塩設備56、低圧ヒータ57、脱気器71および高圧ヒータ58を通して蒸気発生器74へ給水が流れる給水ライン60を備えている。ここで、脱気器71は非凝縮ガスを若干の蒸気とともに大気に排出するものである。また、高圧タービン61と低圧タービン62の間に位置し、湿分分離器ドレンライン76を介して脱気器73と連絡する湿分分離器75は蒸気中に存在する液滴を取り除くものである。
【0175】
また、本実施形態の発電プラントは、蒸気発生器74から高圧タービン61、低圧タービン62への主蒸気ライン63を備えるとともに、高圧タービン61から高圧ヒータ58を介して給水ライン60に導かれる高圧ヒータドレンライン64と、低圧タービン62から低圧ヒータ57を介して給水ライン60に導かれる低圧ヒータドレンライン65を備えている。
【0176】
また、本実施形態の発電プラントでは、復水器15から復水脱塩設備56、低圧ヒータ57、脱気器71および高圧ヒータ58を通して蒸気発生器74へと流れる給水ライン60に、前記第1〜第9実施形態のいずれかのろ過器と同様に構成された給水ろ過器66が複数設置されている。
【0177】
すなわち、これらの給水ろ過器66は、低圧ヒータ57の前段、高圧ヒータ58の前段および後段における給水ライン60にそれぞれ介挿されている。
【0178】
さらに、本実施形態の発電プラントでは、高圧タービン61から高圧ヒータ58を介して給水ライン60に導かれる高圧ヒータドレンライン64と、低圧タービン62から低圧ヒータ57を介して給水ライン60に導かれる低圧ヒータドレンライン65と、湿分分離器75から脱気器73に導かれる湿分分離器ドレンライン676とに、それぞれ前記第1〜第9実施形態の同様に構成されたヒータドレンろ過器67あるいは湿分分離器ドレンろ過器77が介挿されている。
【0179】
このように本実施形態によれば、低圧ヒータ57の前段、高圧ヒータ58の前段および後段における給水ライン60に、それぞれ給水ろ過器66を介挿するとともに、ヒータドレンライン64,65にそれぞれヒータドレンろ過器67を、また湿分分離器ドレンライン76に湿分分離器ドレンろ過器77を、それぞれ介挿したことにより、給水中およびヒータドレンの懸濁物を低減させることができ、この懸濁物の低減効果に起因する配管内面でのエロージョンの低減、伝熱管表面への懸濁物付着による伝熱阻害の低減、伝熱管洗浄頻度の低減、および蒸気発生器74の化学除染頻度の低減が可能となる。
【0180】
[第16実施形態(図20)]
図20は本発明の第16実施形態による発電プラントを示す系統図である。本実施形態の発電プラントでは、火力発電所に第1〜第9実施形態に示したろ過器が設置された例を示している。
【0181】
図11に示すように、本実施形態の発電プラントは、復水器55から復水脱塩設備56、低圧ヒータ57、脱気器73、高圧ヒータ58および節炭器78を通して蒸発器77へ給水が流れる給水ライン60を備えている。ここで、節炭器78は、余剰酸素を再使用するために集めるものである。
【0182】
また、本実施形態の発電プラントは、蒸発器77から高圧タービン61、低圧タービン62への主蒸気ライン63を備えるとともに、高圧タービン61から高圧ヒータ58を介して給水ライン60に導かれる高圧ヒータドレンライン64と、低圧タービン62から低圧ヒータ57を介して給水ライン60に導かれる低圧ヒータドレンライン65を備えている。
【0183】
また、本実施形態の発電プラントでは、復水器55から復水脱塩設備56、低圧ヒータ57、脱気器31、高圧ヒータ58および節炭器73を通して蒸発器74へと流れる給水ライン60に、前記第1〜第9実施形態のいずれかのろ過器と同様に構成された給水ろ過器66が複数設置されている。
【0184】
すなわち、これらの給水ろ過器66は、低圧ヒータ57の前段、高圧ヒータ58の前段および後段における給水ライン60にそれぞれ介挿されている。
【0185】
さらに、本実施形態の発電プラントでは、高圧タービン61から高圧ヒータ58を介して給水ライン60に導かれる高圧ヒータドレンライン64と、低圧タービン62から低圧ヒータ57を介して給水ライン60に導かれる低圧ヒータドレンライン65に、それぞれ前記第1〜第9実施形態と同様に構成されたヒータドレンろ過器67が介挿されている。
【0186】
このように本実施形態によれば、低圧ヒータ57の前段、高圧ヒータ58の前段および後段における給水ライン60に、それぞれ給水ろ過器66を介挿するとともに、ヒータドレンライン64,65にそれぞれヒータドレンろ過器67を介挿したことにより、給水中およびヒータドレンの懸濁物を低減させることができ、この懸濁物の低減効果に起因する配管内面でのエロージョンの低減、伝熱管表面への懸濁物付着による伝熱阻害の低減、伝熱管洗浄頻度の低減、および火力発電プラントの起動前洗浄時間の短縮が可能となる。
【0187】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、上記発電プラントの第14、15実施形態および本実施形態では、給水ライン60およびヒータドレンライン64,65の双方にろ過器を設置した例について説明したが、少なくとも一方にろ過器を設置すればよい。
【0188】
また、上記発電プラントの第10〜第16実施形態において適用される第1〜第9実施形態のろ過器またはろ過装置は、予め例えば図4に示すような装置によってフィルタモジュールの使用前の熱処理あるいは流体透過処理を施されたものを設置することとしてもよく、またプラントにろ過器を設置した後に、フィルタモジュールの使用前の熱処理あるいは流体透過処理を施すこととしてもよい。
【0189】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るろ過器によれば、高温水中で耐久性を有し、高温水中に含まれる懸濁物を確実に除去することができる。その結果、処理液の水質を良好に保つことができ、懸濁物を低減させることができる。
【0190】
また、本発明に係るろ過器によれば、フッ素樹脂製のフィルタを、使用前にフッ素樹脂の融点以下の温度で熱処理したことにより、フィルタからの溶出が少なく管理水質を満足することができ、熱サイクルによるフィルタの破損および透水性能の低下を未然に防止することができる。すなわち、フッ素樹脂製フィルタ製造時の残留応力を予め除いておくことによって、フィルタ母材と支持部との接着部の破損を発生しにくくすることができる。
【0191】
さらに、本発明に係る発電プラントによれば、給水中またはヒータドレンの懸濁物を低減させることができ、この懸濁物の低減効果に起因する配管内面でのエロージョンの低減、伝熱管表面への懸濁物付着による伝熱阻害の低減、伝熱管洗浄頻度の低減が可能となる。また、フィルタの残留応力および溶出成分を予め除去しておくことにより、安定した透水性能で水質汚染なしにヒータドレンや給水などの高温水中から固形懸濁物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態によるろ過器を示す構成図。
【図2】 (A),(B)は第1実施形態においてタンク内に設置されたフッ素樹脂製フィルタが中空状に形成された例を示す概略図。
【図3】 第1実施形態においてタンク内に設置されたフッ素樹脂製フィルタがプリーツ状に形成された例を示す概略図。
【図4】 本発明の第2実施形態によるろ過器を示す構成図。
【図5】 本発明の第3実施形態によるろ過器のフィルタモジュールを調製するための装置を示す構成図。
【図6】 本発明の第4実施形態によるフィルタモジュールの非熱処理と熱処理による差圧と透水性能の関係を示す図。
【図7】 本発明の第4実施形態によるろ過器のフィルタモジュールを調製するための装置を示す系統図。
【図8】 本発明の第4実施形態によるフッ素樹脂製の中空状多孔質膜から熱水中でのフッ素溶出速度の時間変化を示す図。
【図9】 本発明の第5実施形態によるろ過器のモジュール封止部を示す断面図。
【図10】 本発明の第6実施形態によるろ過器のモジュール封止部を示す断面図。
【図11】 本発明の第7実施形態によるガス逆洗設備を備えた高温のろ過装置の系統図。
【図12】 本発明の第8実施形態による高温高圧水の膨張を利用して逆洗を行う高温のろ過装置の系統図。
【図13】 本発明の第9実施形態による蒸気逆洗設備を備えた高温のろ過装置の系統図。
【図14】 本発明の第10実施形態による発電プラントを示す系統図。
【図15】 本発明の第11実施形態による発電プラントを示す系統図。
【図16】 本発明の第12実施形態による発電プラントを示す系統図。
【図17】 本発明の第13実施形態による発電プラントを示す系統図。
【図18】 本発明の第14実施形態による発電プラントを示す系統図。
【図19】 本発明の第15実施形態による発電プラントを示す系統図。
【図20】 本発明の第16実施形態による発電プラントを示す系統図。
【図21】 従来の中空状多孔質膜のフィルタモジュール封止部の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1…ろ過器、2…タンク、3…フィルタ、3a…フッ素樹脂製中空状フィルタ、3b…フッ素樹脂製プリーツ状フィルタ、4a…被処理液流入ライン、4b…処理液流出ライン、5…封止部、6…プリーツフィルタ支持板、7…プリーツフィルタ固定板、8…逆洗ライン、9…逆洗設備、10…流体排出ライン、11…バブリングガス供給ライン、12…バブリングガス供給設備、13…流体排出ライン、14…ドレンライン、15…熱処理容器、16…ヒータ、17…フィルタモジュール、18…熱水洗浄用圧力容器、19…冷却器、20…フィルタ、21…脱塩装置、22…ポンプ、23…ヒータ、24…中空状多孔質膜、25…支持部、26…封止部、30…フィルタ、30a…缶板、31…ろ過器、32…水、33…逆洗ライン、34…逆洗タンク、35…ガス、36…仕切り、36a…第1室、36b…第2室、37…処理液溜り、38…供給ライン、39…補給水、40…補給水ライン、41…ガスタンク、42a,43a…リーク弁、42,43…リークライン、44…廃液受け槽、45,46…ドレンライン、47a〜47g…弁、50…冷却器、51…スチームライン、52…蒸気発生器、53…蒸気、55…復水器、56…復水脱塩設備、57…低圧ヒータ、58…高圧ヒータ、59…蒸気発生装置、60…給水ライン、61…高圧タービン、62…低圧タービン、63…主蒸気ライン、64…高圧ヒータドレンライン、65…低圧ヒータドレンライン、66…給水ろ過器、67…ヒータドレンろ過器、69…逆洗ライン、70…ヒータドレンろ過器、71…逆洗ライン、72…原子炉圧力容器、73…脱気器、74…蒸気発生器、75…湿分分離器、76…湿分分離器ドレンライン、77…湿分分離器ドレンろ過器、78…節炭器。
Claims (6)
- 被処理液が流入する被処理液流入ラインと処理液を流出させる処理液流出ラインとをそれぞれ接続した容器内に、フィルタ母材とこのフィルタ母材を支持する支持部を有し前記被処理液をろ過するフッ素樹脂製フィルタを設け、かつこのフッ素樹脂製フィルタは使用前に気中および液中の少なくとも一方で加熱される熱処理を施されたフィルタであるろ過器であって、前記フッ素樹脂製フィルタのフィルタ母材が多数の中空状多孔質膜から構成され、これらの中空状多孔質膜の端部を前記フッ素樹脂で溶着して支持部を形成し、前記中空状多孔質膜と前記支持部との間を、これらより低融点の熱溶融性フッ素樹脂で溶融封止して封止部を形成したことを特徴とするろ過器。
- 被処理液が流入する被処理液流入ラインと処理液を流出させる処理液流出ラインとをそれぞれ接続した容器内に、フィルタ母材とこのフィルタ母材を支持する支持部を有し前記被処理液をろ過するフッ素樹脂製フィルタを設け、かつこのフッ素樹脂製フィルタは使用前に熱水および蒸気のいずれかからなる流体を透過させる流体透過処理を施されたフィルタであるろ過器であって、前記フッ素樹脂製フィルタのフィルタ母材が多数の中空状多孔質膜から構成され、これらの中空状多孔質膜の端部を前記フッ素樹脂で溶着して支持部を形成し、前記中空状多孔質膜と前記支持部との間を、これらより低融点の熱溶融性フッ素樹脂で溶融封止して封止部を形成したことを特徴とするろ過器。
- フィルタ母材とこのフィルタ母材を支持する支持部を有し使用前に気体および液体の少なくとも一方を用いて加熱処理が施されたフッ素樹脂製フィルタが配設され、ろ過処理時に被処理液を有し前記フッ素樹脂製フィルタによってろ過を施される第1の空間と、この第1の空間の上方に位置しろ過処理時に処理液を有する第2の空間とに分離されているろ過器の逆洗方法であって、水、空気、水蒸気のいずれかかその組合せからなる逆流体を前記ろ過器の前記第2の空間側から供給し、前記フッ素樹脂製フィルタのフィルタ母材を通した後に前記ろ過器の外部に排出する第1の逆洗処理と、水をろ過器の第1の空間側から供給し、前記フッ素樹脂製フィルタのフィルタ母材を通した後に前記ろ過器の前記第2の空間側から外部に排出する第2の逆洗処理とを有し、前記第2の逆洗処理に際して、前記ろ過器の前記第1の空間の圧力と前記第2の空間の圧力の差が、前記フッ素樹脂製フィルタのバブルポイント以上となるように前記ろ過器に供給する水の流量を調整することを特徴とするろ過器の逆洗方法。
- 前記第1の逆洗処理と前記第2の逆洗処理の間に、前記ろ過器の前記第1の空間側からバブリングガスを供給し、前記フッ素樹脂製フィルタを揺動させた後に前記バブリングガスを前記ろ過器の外部に排出するバブリング処理を行うことを特徴とする請求項3記載のろ過器の逆洗方法。
- 蒸気発生装置と、この蒸気発生装置から供給される蒸気により駆動されるタービンと、このタービンからの排蒸気を復水とする復水器と、この復水器から前記蒸気発生装置に復水を供給する給水ラインと、この給水ラインに設けられるヒータと、前記給水ラインに接続し前記ヒータから排出されるドレン水を再び前記ヒータに供給するヒータドレンラインとを有する発電プラントであって、被処理液が流入する被処理液流入ラインと処理液を流出させる処理液流出ラインとをそれぞれ接続した容器内に、フィルタ母材とこのフィルタ母材を支持する支持部を有し前記被処理液をろ過するフッ素樹脂製フィルタを設け、かつこのフッ素樹脂製フィルタは使用前に気中および液中の少なくとも一方で加熱される熱処理を施されたフィルタであるろ過器を、前記給水ラインと、前記ヒータドレンラインの少なくとも一方に介挿し配置することを特徴とする発電プラント。
- 蒸気発生装置と、この蒸気発生装置から供給される蒸気により駆動されるタービンと、このタービンからの排蒸気を復水とする復水器と、この復水器から前記蒸気発生装置に復水を供給する給水ラインと、この給水ラインに設けられるヒータと、前記給水ラインに接続し前記ヒータから排出されるドレン水を再び前記ヒータに供給するヒータドレンラインとを有する発電プラントであって、前記給水ラインと、前記ヒータドレ ンラインの少なくとも一方にろ過器を介挿配置し、このろ過器は、被処理液が流入する被処理液流入ラインと処理液を流出させる処理液流出ラインとをそれぞれ接続した容器内に、フィルタ母材とこのフィルタ母材を支持する支持部を有し前記被処理液をろ過するフッ素樹脂製フィルタを設け、かつこのフッ素樹脂製フィルタは使用前に熱水および蒸気のいずれかからなる流体を透過させる流体透過処理を施されたフィルタであることを特徴とする発電プラント。
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