JP3866406B2 - 凝集沈澱装置及びその運転方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理水中の懸濁物(SS)を凝集沈殿させる装置及びその運転方法に係わり、詳しくは、被処理水に砂等の不溶性粒状物を添加して高い沈降速度で効率的に凝集沈澱処理を行わせることができるSSの除去装置に関する。
【0002】
【従来技術】
微細な有機,無機等の懸濁物(SS)を除去する方法として知られる凝集沈澱法は、一般に、凝集沈澱処理における凝集およびフロック形成過程において生成した多数のフロックに粒径や密度の分布があるため、各フロックの沈降速度に大小の違いがあり、微細なフロック(以下「微フロック」という)を除去するには水面積負荷(上昇流速)を1m/h程度にする必要があって、単純には沈澱槽が極端に大きくなることが知られている。
【0003】
そこで、処理量や処理時間を効率化するための対策が従来からいくつか提案されていて、その一つに、生成フロックの粒径や密度分布を極力なくすために反応槽を多段に設置し、徐々に攪拌槽の攪拌強度を減少させるテーパードフロキュレーション法が知られている。しかしこの方法は、攪拌装置や槽数が多くなるという欠点がある。
【0004】
また他に、微細なフロックがある程度生じてしまう反応槽でも高い上昇流速が採れる方法として、スラッジブランケット法やスラッジブランケットと傾斜板との併用法が知られている。このスラッジブランケット法は、フロックをブランケットに接触させて吸合させるため、フロック形成層で比較的小さく、沈降速度が遅いフロックが生成しても、上昇流速を高くできるという特徴がある。しかし、実際の操作においては、供給装置の影響による短絡流や温度の影響による密度流によつて被処理水の流れに乱れが生ずる場合があり、このためブランケットから小さなフロックが離脱したり短絡し、処理水を悪化させる問題が避けられない。そこで更に、傾斜板を設置してこれらのリークしたフロックを再度沈降させるようにした方法も知られている。この傾斜板は、沈降面積を増大させる作用をなすものであり、例えば沈降面積を5〜10倍程度に増大させて小さなフロックを沈降させ、また上記の被処理水の乱れを防止する作用も果たして処理水の悪化を防止・改善することができる。
【0005】
しかし、上述したいずれの方法も、フロックを自然沈降で高速に分離することができないので、処理量や処理時間を効率化するには限界がある。
【0006】
これらに代わり、被処理水中のSSの迅速な沈澱分離を実現する方法として、砂等の不溶性粒状物と凝集剤を添加し、不溶性粒状物の懸濁状態下でSS凝集物の生成、フロックの成長を行わせ、これによりフロックに不溶性粒状物を含ませて沈降速度を向上させ、15〜150m/hのような高流速,高流量の通水を実現する方法も提案されている(特許2634230号公報、特開平9847606号公報)。またスラッジブランケット法において不溶性粒状物を含むフロックを形成させる方法も提案されている(特開平9−141006号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれらの方法においても、生成されるフロックは様々であって粒度分布が生ずることは避けられない。例えば、粒径の大きいものでは不溶性粒状物を巻き込んで粒径が1〜4mm程度と大きく、沈降速度が100〜500m/hに達するものもあるが、一方において、粒径が100〜200μm程度と小さいために不溶性粒状物と結合できず沈降速度が0.5〜2m/h程度の微フロックも生成する。なお微フロック生成の要因としては、例えば有機性排水等の原水のSS成分の性質、原水流量の変動、原水水質の変動による凝集剤添加量の不適等が挙げられる。
【0008】
したがって、上記のような15〜150m/hの高流速で処理をすると、これらの微フロックは容易にリークして処理水を悪化させる結果となる。またこの装置に傾斜板を付設しても、傾斜板により得られる沈降面積の増大は5〜10倍程度であって、上述の微フロックの沈降速度から分かるようにこれがリークしてしまう問題は解消できない。また、傾斜板は、その形状がゆえに種々の形の槽に設置するには手間がかかり、沈降面積の増大を大きくするために設置間隔を狭めるとフロックで閉塞し易くなるという問題がある。一般に閉塞した傾斜板の洗浄は容易でないことが知られている。
【0009】
ところで、沈降,沈澱の作用に基づく上述した凝集沈澱法とは異なり、主にろ過の作用を利用した凝集沈澱処理法が知られている(特開平6−304411号公報)。この処理法は、小さな充填材(接触材)を集積して充填材充填層を形成させ、これに被処理水を上昇流速200〜800m/d(8.3〜33.3m/h)程度の上向流で流し、充填材がその上向流を部分的に制約することで充填材の流れの裏側(下流側)によどみを形成させて、このよどみ部分で微フロックを滞留させるようにして微フロックの成長、沈降を行わせる方法である。この処理方法は、上述した不溶性粒状物を添加する処理方法とは全く異質な技術であるが、本発明者がこのろ過作用を有する充填材充填層を上記の不溶性粒状物を添加する処理方法と組合せて試験を行ったところ、高速,高流量の処理と、高清澄の処理水が同時に実現できるという極めて驚くべき結果が得られることを見い出した。すなわち、上記の充填材充填層を用いる方法は、上昇流速をあまり高くすると、微フロックだけでなくフロックの多くが充填材充填層に上昇して沈殿してしまい、比較的短時間のうちにフロックのリークを招くことになるため高い頻度で洗浄が必要になる。このため従来は、実施に際して考えられる流速はあまり高く設定することができないと考えられており、数十m/h〜200m/hのような高流速でこの充填材充填層に上向流を通水する試みはされていない。
【0010】
ところが、上記不溶性粒状物を添加する凝集沈澱法と、充填材充填層による凝集沈澱の処理とを組合せた場合、高速処理の場合であっても成長度合は異なるものの微フロックの滞留が起こって処理水側にこれがリークしないことを本発明者は見い出し、同時に、高清澄度の処理水が得られることも併せて知見したのである。しかもこれに加えて、上昇流速を高速としても従来のような充填材充填層に堆積するフロックが多量になるという問題がなく、洗浄頻度は従来の充填材充填層を用いる方法に比べて大幅に低減できることが確認されたのである。洗浄頻度の大小は工業的には極めて大きな意味をもち、洗浄頻度が高いと洗浄排水量が増大し、また洗浄時間(洗浄と洗浄後の装置立上げ)の間処理を中断せねばならず装置の稼働率が低下するという問題を招く。
【0011】
本発明者は以上のような知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1の凝集沈澱装置の発明は、被処理水に不溶性粒状物及び凝集剤を添加し、懸濁状態下で被処理水中の懸濁物の凝集とフロック成長を行わせる凝集槽と、この凝集槽から導入された流出水から不溶性粒状物を含むフロックを沈降させて水と分離する沈降槽とを備えた凝集沈澱装置において、多数の充填材がランダムに集積することでろ過及び凝集の作用を行う充填材充填層を上記沈降槽内の上部側に設け、上記フロックが沈降分離された被処理水を充填材充填層に上向流で通して沈降槽上部から処理水を排出することを特徴とする。
【0013】
上記構成において、不溶性粒状物は通常砂が用いられるが、砂に限定されるものではなく、粒径10〜200μm程度の砂、あるいは砂に近似する比重を有する無機又は有機の粒状物を用いることが好ましい。
【0014】
凝集剤としてはポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄、硫酸第二鉄等の無機凝集剤と、アニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等の高分子凝集剤が併用される。無機凝集剤は主に被処理水中の懸濁物(SS)を凝集させ、高分子凝集剤は主にこれらの凝集物や不溶性粒状物(以下「砂」で総称する)を大きなフロックに成長させる。
【0015】
凝集槽において懸濁物の凝集とフロック成長を行わせる懸濁状態は、比重の大きな砂が沈殿しない程度に例えば攪拌機で攪拌することにより与えられる。また、被処理水に砂及び凝集剤を添加する方法は、凝集槽が一槽式の場合はこれらを該一槽に添加する方法、凝集槽への被処理水の導入配管の途中で無機凝集剤を添加し、槽内に砂と高分子凝集剤を添加する方法のいずれであってもよい。また、凝集槽を二槽形式にして初段の槽で砂と無機凝集剤と添加して凝集を行わせ、次段の槽に高分子凝集剤を添加してフロックの成長を行わせるようにしてもよいし、初段の槽に無機凝集剤を添加して凝集を行わせ、次段の槽で砂と高分子凝集剤を添加してフロックの成長を行わせるようにしてもよい。二槽形式の場合には懸濁状態を与える攪拌の強さを初段に比べて次段の槽において弱くすることもできる。また凝集槽は二槽以上の多槽としてもよい。
【0016】
砂を含むフロックを沈降させて水と分離する沈降槽は、一般的には凝集槽から下降流で被処理水を導入するように構成される。沈降槽に導入された被処理水中に含まれるフロックは、粒径が大きく比重が大きいために沈降速度の大きなフロックは迅速に該沈降槽の底部に沈降する。これにより被処理水中に含まれる大部分の懸濁物(SS)は沈降するフロックに含まれて水と分離される。一方、水は該沈降槽の上部から、例えば溢流形式で外部に排出されるが、この際、本発明においては沈降槽の上部側に設けられた充填材充填層を通ることで、沈降せずに水と共に沈降槽の上部側に流れる微フロックがこの充填材充填層で捕捉される。沈降沈殿したフロックは、汚泥引抜きポンプ等の引抜き手段で装置外に排出され、必要に応じて、上述した特許2634230号公報、特開平9847606号公報、特開平9−141006号公報に記載されているように、引抜いた汚泥からサイクロン等の分離器を用いて砂を分離し再利用することもできる。
【0017】
上記構成において、沈降槽の上部側に設けられる充填材充填層は、多数の充填材(接触材)がランダムに集積することで上向流を部分的に制約して充填材の流れの裏側によどみを形成し、このよどみ部分で微フロックを滞留させて微フロックの成長、沈降凝集というろ過の作用を行う。このような充填材充填層は、例えば直径4〜12mm程度で長さが15〜20mm程度のプラスチック製の短尺チューブ型小片を充填材として、これをランダムに集積させることで形成することができるが、特にこれに限定されるものではなく、内部中空の球体の球面に多数の孔を穿った充填材、あるいはテラレットパッキン等を用いることもできる。なお、この充填材充填層は、高流速の上向流を通す通水路として機能する必要があるから、層全体としてできるだけ高い空隙率を有していながら、上向流に対してよどみ部分を形成するために大きな表面積をもつことができる大きさ、形状の充填材が好ましく選択して使用される。
【0018】
本発明によれば、例えば30〜300m/hという高流速での被処理水の通水を行いながら、被処理水中の大部分の懸濁物(SS)は砂と凝集剤の添加で形成された粒径が大きく沈降速度が大きいフロックとして沈降槽で迅速に沈降させることができ、一方、粒径等の分布があるために生成が避けられない微フロックについては、上記の高流速の処理でありながら充填材充填層のろ過作用で確実に捕捉することができて処理水中へのリークを防ぐことができ、しかも、充填材の集積部内で通水に対して多数ランダムによどみ部分が存在するため、通水中に含まれる微フロックは充填材表面に沈着ないしその周囲に浮遊して他の微小フロックと邂逅結合しフロック成長する。そして、被処理水中のSSの大部分は上述のようにフロックとして沈降分離されるために微フロックの量自体が少なく、洗浄頻度を低くできる利点が得られる。
【0019】
請求項3の発明は、上記の各発明において、充填材充填層が、充填材流出防止ネットを上部に有し、充填材は上向流の通水状態でこのネットの下側に浮上して集積するようにしたことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、充填材を洗浄する際に上向流の通水を止め、洗浄水または洗浄空気を使用することで該充填材を振動、遊動させて、蓄積したフロックを沈降させることが容易になり、洗浄操作が簡単になる。この発明のために用いられる充填材としては、例えば真比重が1前後のものが好ましく用いられる。
【0021】
請求項4の発明は、上記請求項1又は2の発明において、充填材充填層を上向流の通水時に固定する手段を有するようにしたことを特徴とする。
【0022】
充填材充填層を固定する手段は、例えば充填材充填層の上・下に充填材が通過できない網目のネットを一対に配置し、該ネットにより充填材充填層を上下からサンドイッチするように構成してもよいし、充填材が水に浮く場合は、上部のみにネットを配置することもできる。なお、充填材充填層の洗浄のためには、上記一対のネットを用いる場合は、通水処理時には実質的に遊動しないが、洗浄時においては洗浄水もしくは洗浄空気により充填材が振動、遊動ができるような充填密度とすることがよい。
【0023】
請求項5の凝集沈澱装置の運転方法の発明は、被処理水に砂及び凝集剤を添加し、攪拌状態下で被処理水中の懸濁物の凝集とフロック成長を行わせる凝集槽と、この凝集槽から導入された流出水から砂を含むフロックを沈降させて水と分離する沈降槽とを備え、この沈降槽内の上部側に多数の充填材がランダムに集積されてろ過及び凝集の作用を行う充填材充填層を設けた凝集沈澱装置において、前記充填材充填層に30〜300m/h、好ましくは50〜200m/h、最適には80〜150m/hの通水速度で上向流で被処理水を通して、沈降槽上部から処理水を排出することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、30m/h以上という高流速で凝集沈殿の処理を行いながら、同時に清澄度の高い処理水を得ることができる。
【0025】
本発明の装置及び運転方法は、種々の用途に用いられる被処理水の処理のために適用することができ、例えば河川水,湖沼水,地下水等から家庭用水、工業用水、農業用水に利用する処理水を得ることに用いられ、必要に応じて凝集沈殿処理の後段でこれらに適した処理が行われる。また下水,種々の工業廃水を処理して自然環境に排出することにも適用するできる。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施形態1
図1は、本発明の凝集沈殿装置の構成概要一例を示した図であり、被処理原水(以下単に「原水」という)は、原水供給配管1から一槽式の凝集槽2に供給される。またこの原水供給配管1の途中には、無機凝集剤添加配管3が接続されて無機凝集剤を原水に添加するようになっている。4は凝集槽2に高分子凝集剤を供給するための高分子凝集剤添加配管であり、5は同じく凝集槽2に砂を供給するための砂添加配管である。
【0027】
6は凝集槽2に設けられた攪拌装置であり、攪拌羽根601は、モータ602によって、該凝集槽2に供給された砂が沈殿せずに懸濁状態に保たれる所定の攪拌速度で回転される。
【0028】
以上のように構成された凝集槽2において、この凝集槽2に供給された原水に含まれている懸濁物(SS)の大部分は、砂,無機凝集剤及び高分子凝集剤が添加された被処理水中で砂を含んだ凝集体となり、フロックを形成して成長することで、粒径が大きくかつ沈降速度が大きなフロック(以下便宜的に「大フロック」という)となる。しかし一方において、上述のように粒度にある程度の分布が生ずることは避けられないために、粒径が小さく、沈降速度の小さい微フロックも生成する。
【0029】
7は沈降槽であり、凝集槽2との隔壁201の上部を越えて被処理水が下降流で導入されるようになっていると共に、底部は逆円錐形に設けられて沈降沈殿したフロックの逆円錐形頂部からの抜出しを容易とするように構成されている。すなわち、上記の大フロックと微フロックを含む被処理水が上記凝集槽2からこの沈降槽7に下降流で導入されると、大フロックはこれが大きな沈降速度をもつ性質のものであるために迅速に槽底部に沈降し、底部に接続された汚泥引抜配管701を介して汚泥引抜ポンプ702によって引き抜かれる。703はこの汚泥引抜きの作業を効率化するための掻寄せ器であり、モータ7031により掻寄せ羽根7032を回転させるようになっている。なお本例では、上記汚泥引抜ポンプ702で引抜かれた汚泥は返送管704を介して分離器であるサイクロン501に送られ、汚泥から分離した砂は上述した砂添加配管5から凝集槽2に供給するというリサイクル方式を採用している。砂と分離された汚泥は、汚泥排出管502を通して系外に排出される。
【0030】
8は上記沈降槽7の上部側に設けられた充填材充填層であり、本例では、上下に一対をなすネット(充填材が通過できない網目をもつ)801,802によって、直径4〜12mm程度、長さ15〜20mm程度のプラスチック製の短尺チューブ型構造の充填材803の多数を通水処理時に実質的に遊動できないサンドイッチ状態に保持するようにして形成されている。そして沈降槽7の充填材充填層8の更に上方には、溢流形式で処理水を排出する溢流樋705が設けられ、処理水排出配管706から処理水が排出される。
【0031】
上記構成の沈降槽7によれば、大部分の大フロックはその底部に迅速に沈降するが、被処理水が高流速であるために沈降しない微フロックはその高流速の流れに乗って排出側に流れ、充填材充填層8を通ることになる。その際に、図2に模式的に示したように、集積された充填材803はその姿勢がランダムであるために図2の垂直上方に流れる上向流を妨げる作用を示し、その流れの下流側(充填材の裏側)によどみが発生することになる。このよどみ部分では上向流の流れに比べて微フロックを流れの下流側に流す力が弱いため、微フロックは滞留し、あるいは充填材の表面に沈降して蓄積される。またそのような複数の微フロックが邂逅し、結合してフロックがより大きなものに成長する。
【0032】
したがって、微フロックが溢流樋705から処理水排出配管706を通して直接リークする虞れは大幅に低減されることになり、高清澄な処理水を得ることができる。
【0033】
また後述する実施例から分かるように、一般に、ろ過方式で高流速の処理を行った場合には短時間のうちにろ過層が目詰まりするのが普通であるのに対し、本例の装置においては、充填材充填層に蓄積するフロックの洗浄を行う頻度を著しく少なくすることができて工業的に極めて有利な利益を得ることができる。
【0034】
【実施例】
実施例1
図1の装置を簡略化した試験装置を図3のように構成した。すなわち、図1の凝集槽2と実質的に同じ凝集槽12に対し、原水供給配管11、無機凝集剤添加配管13、高分子凝集剤添加配管14、砂添加配管15を接続し、攪拌装置16を設けた。また、縦筒型の槽17の底部から汚泥引抜ポンプ1702により汚泥を引抜き、上部に充填材充填層18を設けた沈降槽17の充填材充填層下方位置に上記凝集槽12の上部から流出した被処理水を導入するように配管19を接続して装置を構成した。なお、1601は攪拌羽根、1602はモータ、1701は汚泥引抜配管、1702汚泥引抜ポンプ、1704は返送管、1706は処理水排出配管、1501はサイクロン、1502は汚泥排出管である。
【0035】
以上の概要で説明されるように構成した装置を用いて、以下の具体的な装置仕様と実施条件によって凝集沈殿処理を行った。
【0036】
また比較のために、砂の添加を行わないようにした図4の装置を構成して、同様に以下の具体的な装置仕様と実施条件によって比較例1の凝集沈殿処理を行った。
【0037】
〈装置の仕様〉
実施例1(図3の装置)
凝集槽12:200リットル
沈降槽17:200mmφ×2500mmH
充填材 :4mmφ×6mm短尺チューブ型構造品(ポリプロピレン製)
充填材充填層:314リットル(充填層高=1000mmH)
比較例1(図4の装置)
凝集槽 :80リットル
沈降槽 :200mmφ×2500mmH
充填材 :4mmφ×6mm短尺チューブ型構造品(ポリプロピレン製)
充填材充填層:314リットル(充填層高=1000mmH)
上記装置仕様のうちの凝集槽12の容量が実施例1と比較例1とで異なっているのは、それぞれの方式に最適な被処理水流速で試験を行うためである。
【0038】
〈実施条件〉
原水濁度:20度(水道水にカオリンを添加して人工濁水を調製した)
原水供給流量:
実施例1:2.51m3 /h(LV=80m/h)
比較例1:(1) 0.94m3 /h(LV=30m/h)
(2) 0.47m3 /h(LV=15m/h)
無機凝集剤:ポリ塩化アルミニウム
添加量:15mg/l
高分子凝集剤:ポリアクリルアミド系アニオン性高分子凝集剤
添加量:1mg/l
上記において原水供給流量をこれの実施例1と比較例1の間で違えているのは、図4に示した比較例1の装置形式ではLV=30m/hを越えた流速での実施が困難な場合が多いのに対し、実施例1ではより高流速の範囲で容易に実施でき、これによって両者装置の差異を明瞭に示すためである。
【0039】
以上の装置仕様と実施条件の下で、洗浄のために装置を停止する処理水濁度の目安を3度とし、濁度が3度以上になったところで処理を停止するようにして実施した結果を図5に示した。
【0040】
この図5から明らかであるように、図4の装置で通水流速LV=30m/hで行った比較例1(1) では約18時間という極めて短時間で装置停止が必要な濁度3度に至り、また、通水流速を小さく(LV=15m/h)した比較例1(2) においても約28時間で装置を停止する限界(濁度3度)に達してしまった。
【0041】
これに対し、図3の本発明装置では、LV=80m/hという比較例1に比べてはるかに高流速の処理を行いながら、約9日間停止することなく装置を運転することができ、洗浄頻度を著しく低減できることが確認された。
【0042】
実施例2
本発明の装置によって、凝集沈殿処理を高流速で行いつつ、同時に高清澄な処理水が得られかつ洗浄頻度が小さくてすむことを示すために、以下の試験を行った。
【0043】
すなわち、本発明の試験としては、実施例1と同じ仕様の装置を用い、実施条件を以下のようにして行った。
【0044】
また比較のために、図3の充填材充填層18に代えて傾斜板装置9を付設した図6の構成の装置を用いた他は同様にして比較例2の凝集沈殿処理を行った。
結果を下記表1に示す。
【0045】
結果を下記表1に示す。
【0046】
〈装置の仕様〉
実施例2:実施例1と同じ
比較例2
凝集槽 :200リットル
沈降槽 :200mmφ×2500mmH(傾斜板高さ1000mmを含む)
傾斜板 :50mmピッチ×3枚(有効面積約4300cm2
〈実施条件〉
原水濁度:20度(水道水にカオリンを添加して人工濁水を調製した)
原水供給流量:
実施例2:(1) 1.26m3 /h(LV=50m/h)
(2) 2.51m3 /h(LV=80m/h)
比較例2:(1) 1.26m3 /h(LV=50m/h)
(2) 2.51m3 /h(LV=80m/h)
無機凝集剤:ポリ塩化アルミニウム
添加量:15mg/l
高分子凝集剤:ポリアクリルアミド系アニオン性高分子凝集剤
添加量:1mg/l
なお、各装置の実施条件での処理水濁度は、運転開始より48時間までの平均値とした。
【0047】
【表1】
Figure 0003866406
【0048】
以上の結果から分かるように、実施例2の装置では、処理水に現れる微フロックのリークが少ないだけでなく、被処理水の流通速度が50m/hから80m/hに変わっても大きな変化が認められないのに対し、比較例2の装置では、もともと本発明例に比べて大きなリークが処理水に現れるだけでなく、被処理水の流速を大きく(LV=80m/h)すると濁度の低下が著しく、微フロックのリークが極めて大きくなっていることが分かる。
【0049】
【発明の効果】
本願の請求項1の発明によれば、例えば30〜300m/hという高流速での被処理水の通水を行いながら、被処理水中の大部分の懸濁物(SS)は、砂と凝集材の添加で形成された粒径が大きく沈降速度が大きいフロックとなって沈降槽で迅速に沈降し、一方、粒径等の分布があるために生成が避けられない微フロックは、高流速の処理でありながら充填材充填層のろ過作用で確実に捕捉することができて処理水中へのリークを防ぐことができる。また、充填材充填層に捕捉される微フロックの量は、SSの大部分がフロックと共に沈降分離されるために少なく、洗浄頻度が低くなるという効果が奏される。
【0050】
また、傾斜板のように設置する手間が必要なく、洗浄も容易に行えるという効果が得られる。
【0051】
請求項3又は4の発明によれば、充填材充填層を洗浄する際に充填材を振動、遊動させて、蓄積したフロックを容易に沈降させることができ、洗浄操作が簡単に行えるという効果が奏される。
【0052】
請求項5の発明によれば、30〜300m/hという高流速で凝集沈殿の処理を行いながら、同時に清澄度の高い処理水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の凝集沈澱装置の構成概要一例を示した図。
【図2】図1の充填材充填層に集積された充填材と、ここに上向流で流れる被処理水の流れの状態を説明するための図。
【図3】図1の装置と実質的に同じ構成の実施試験に用いた凝集沈澱装置の構成概要を示した図。
【図4】図3の装置において、砂の添加を行わないようにした比較試験のための装置の構成概要を示した図。
【図5】図3及び図4の装置を用いて行った試験の結果を示した図。
【図6】図3の装置において、充填材充填層に代えて傾斜板装置を付設した比較試験のための装置の構成概要を示した図。
【符号の説明】
1・・・原水供給配管
2・・・凝集槽
201・・・隔壁
3・・・無機凝集剤添加配管
4・・・高分子凝集剤添加配管
5・・・砂添加配管
501・・・サイクロン
502汚泥排出管
6・・・攪拌装置
601・・・攪拌羽根
602モータ
7・・・沈降槽
701・・・汚泥引抜配管
702・・・汚泥引抜ポンプ
703・・・掻寄せ器
7031・・・モータ
7032・・・掻寄せ羽根
704・・・返送管
705・・・溢流樋
706・・・処理水排出配管
8・・・充填材充填層
801,802・・・ネット
803・・・充填材
9・・・傾斜板装置
11・・・原水供給配管
12・・・凝集槽
13・・・無機凝集剤添加配管
14・・・高分子凝集剤添加配管
15・・・砂添加配管
1501・・・サイクロン
1502汚泥排出管
16・・・攪拌装置
1601・・・攪拌羽根
1602モータ
17・・・沈降槽
1701・・・汚泥引抜配管
1702・・・汚泥引抜ポンプ
1704・・・返送管
1706・・・処理水排出配管
18・・・充填材充填層
1803・・・充填材
19・・・配管

Claims (5)

  1. 被処理水に不溶性粒状物及び凝集剤を添加し、懸濁状態下で被処理水中の懸濁物の凝集とフロック成長を行わせる凝集槽と、この凝集槽から導入された流出水から不溶性粒状物を含むフロックを沈降させて水と分離する沈降槽とを備えた凝集沈澱装置において、多数の充填材がランダムに集積することでろ過及び凝集の作用を行う充填材充填層を上記沈降槽内の上部側に設け、上記フロックが沈降分離された被処理水を充填材充填層に上向流で通して沈降槽上部から処理水を排出することを特徴とする凝集沈澱装置。
  2. 請求項1において、充填材は、短尺チューブ型の構造であることを特徴とする凝集沈澱装置。
  3. 請求項1又は2において、充填材充填層は充填材流出防止ネットを上部に有し、充填材は上向流の通水状態でこのネットの下側に浮上して集積するものであることを特徴とする凝集沈澱装置。
  4. 請求項1又は2において、充填材充填層を上向流の通水時に固定する手段を有することを特徴とする凝集沈澱装置。
  5. 被処理水に不溶性粒状物及び凝集剤を添加し、攪拌状態下で被処理水中の懸濁物の凝集とフロック成長を行わせる凝集槽と、この凝集槽から導入された流出水から不溶性粒状物を含むフロックを沈降させて水と分離する沈降槽とを備え、この沈降槽内の上部側に多数の充填材がランダムに集積されてろ過及び凝集の作用を行う充填材充填層を設けた凝集沈澱装置において、前記充填材充填層に30〜300m/hの通水速度で上向流で被処理水を通し、沈降槽上部から処理水を排出することを特徴とする凝集沈澱装置の運転方法。
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