JP3864502B2 - 車両の車体構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝突時の車両への衝撃エネルギーを初期吸収するためのクラッシュボックスを備えた車両の車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のクラッシュボックスを備えた車両の車体構造として、エアバック装置を作動させる加速度センサの衝突検出機能と関係付けたものが提案されている(例えば特開平5−139242号公報参照)。このものは、車体のフロントサイドフレームの前端に対し、互いに異なる2種類の全塑性荷重特性のクラッシュボックス部分を直列に連結して車両の前方に突出させたものである。そして、前側のクラッシュボックス部分を薄肉厚の4枚の板材で小矩形断面の筒状に形成する一方、後側のクラッシュボックス部分を厚肉厚の4枚の板材で大矩形断面の筒状に形成し、前後のクラッシュボックス部分を両者間に剛性を高めた段部を介して連結している。これにより、衝突荷重を受けた際に、前側のクラッシュボックス部分だけがより低い荷重で先に潰れ、この前側のクラッシュボックス部分の潰れが完了した後に、後側のクラッシュボックス部分がより高い荷重で潰れるというように潰れが高低2段階の荷重で生じるようにし、この後側のクラッシュボックス部分の潰れ開始に伴い上記加速度センサが作動するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の提案された前側と後側との2つのクラッシュボックス部分を有するクラッシュボックスでは、変形量を横軸に、軸方向に圧縮変形させる荷重を縦軸にそれぞれ表した場合の荷重波形を図21に示すように、前側のクラッシュボックス部分が変形量の増加に従い耐荷重のピーク値P1 と、耐荷重の落ち込み部とを交互に繰り返して潰れ変形を順次繰り返し、上記前側クラッシュボックス部分がほぼ完全に潰れた後に、後側のクラッシュボックス部分が変形量の増加に従い上記ピーク値P1 よりも高いピーク値P2 と、耐荷重の落ち込み部とを上記と同様に交互に繰り返すことになる。そして、この後側クラッシュボックス部分も完全に潰れた状態に至ると、フロントサイドフレーム(車体フレーム)に衝突荷重が直に作用することになる。
【0004】
しかし、上記の従来のクラッシュボックスでは、上記荷重波形においてピーク値の生じる山部と、耐荷重が落ち込む谷部とを交互に繰り返すだけの前後方向変位量が前側及び後側の両クラッシュボックスのそれぞれにおいて必要になる上に、その前側及び後側の両クラッシュボックスを車両の前後方向に直列に連結する必要があるため、車両の車体フレームの前端からバンパーまでの間にかなり長い前後方向寸法(クラッシュスペース)を確保する必要がある。このため、車体全長の増大化を招く一方、全長に対する車体設計上の制約より車体フレームの前端側にあまり長いクラッシュスペースを確保できない場合には適用が困難もしくは不能となる。
【0005】
一方、上記の従来のクラッシュボックスの前後方向寸法を短くしてしまうと、前側のクラッシュボックス及び後側のクラッシュボックスのそれぞれの荷重波形が1つの耐荷重の山部と谷部とで構成されることになり、衝突時の衝突エネルギーの吸収が十分に行い得ないことになってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、衝突荷重の吸収により衝突荷重の車室側への伝達を遮断するための車体構造として、特にクラッシュボックスが取付けられた車体構造をよりよい潰れ特性にすることにあり、具体的には狭いクラッシュスペースでも有効に衝突荷重の吸収を行い得る車体構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車両の車幅方向両側位置にそれぞれ前後方向に延びるように配設されかつ横断面が矩形の閉断面形状に形成されたフロントサイドフレーム前端部に対し、衝突時に車体内方への荷重を受けて潰れることにより衝突エネルギーを吸収するクラッシュボックスが配設された車両の車体構造を前提とする。このものにおいて、上記クラッシュボックスは、第1のクラッシュボックスと、該第1のクラッシュボックスに対し内装もしくは外装され、上記第1のクラッシュボックスの潰れ変形時の荷重波形特性における耐荷重のピーク値以降の耐荷重値の落ち込みを補完する第2のクラッシュボックスとで構成され、上記第1及び第2の両クラッシュボックスはそれぞれ荷重作用方向である同一の車体外方側に延びる筒壁部を有し、上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部は、基端部が互いに独立してフロントサイドフレームの前端部に対し取付けられ、衝突時の荷重を受ける先端部が互いに独立しかつ車体の内外方向に対し互いにずれた位置に配設され、上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部の基端部である後端開口縁が、フロントサイドフレームの前端部の矩形の先端縁に対し交差するように配置されている構成とするものである。
【0008】
上記の構成の場合、図1に第1のクラッシュボックスに対し衝突荷重が作用した際の変形−荷重特性(荷重波形)を実線C1 で例示するように、変形量に対する耐荷重がピーク値Pc1に到達して第1のクラッシュボックスが潰れ出すことにより耐荷重値が落ち込むことになるものの、この耐荷重値の落ち込みが第2のクラッシュボックスにより補完され、すなわち、第2のクラッシュボックスの有する変形−荷重特性における耐荷重の山部(同図の一点鎖線参照)が上記落ち込み部分が生じる変形量の範囲に生じることになる。これにより、第1のクラッシュボックスだけの場合に生じる耐荷重の落ち込みが上記の第2のクラッシュボックスによる補完分だけ低減されることになり、このため、衝撃吸収エネルギーも上記第2のクラッシュボックスによる補完分の面積(同図のハッチング部分)だけ増大し、上記衝突荷重の初期吸収を有効に行うことが可能になる。
【0009】
請求項2記載の発明は、車両の車幅方向両側位置にそれぞれ前後方向に延びるように配設されかつ横断面が矩形の閉断面形状に形成されたフロントサイドフレーム前端部に対し、衝突時に車体内方への荷重を受けて潰れることにより衝突エネルギーを吸収するクラッシュボックスが配設された車両の車体構造を前提とする。このものにおいて、上記クラッシュボックスは、第1のクラッシュボックスと、該第1のクラッシュボックスに対し内装もしくは外装され、上記第1のクラッシュボックスの潰れ変形時の潰れ行程途中において上記第1のクラッシュボックスとは別に耐荷重を発揮するように構成された第2のクラッシュボックスとで構成され、上記第1及び第2の両クラッシュボックスはそれぞれ荷重作用方向である同一の車体外方側に延びる筒壁部を有し、上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部は、基端部が互いに独立してフロントサイドフレームの前端部に対し取付けられ、衝突時の荷重を受ける先端部が互いに独立しかつ車体の内外方向に対し互いにずれた位置に配設され、上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部の基端部である後端開口縁が、フロントサイドフレームの前端部の矩形の先端縁に対し交差するように配置されている構成とするものである。
【0010】
上記の構成の場合、第1のクラッシュボックスの潰れ変形時の潰れ行程途中、例えば図1に実線C1 で例示するように衝突荷重の作用により変形量に対する耐荷重がピーク値Pc1に到達して第1のクラッシュボックスが潰れ出すことにより耐荷重値が落ち込むことになるという潰れ行程の途中において、上記第2のクラッシュボックスによる耐荷重が上記第1のクラッシュボックスとは別に発揮されるため、その第2のクラッシュボックスにより発揮される耐荷重の分だけ衝撃吸収エネルギーが増大し、上記衝突荷重の初期吸収を有効に行うことが可能になる。
【0011】
また、上記の請求項1または2記載の発明における構成の場合、衝突荷重が第1クラッシュボックスの先端部に入力し、この先端部とフロントサイドフレーム前端部に取付けられた基端部との間の筒壁部に作用する。この際、第2のクラッシュボックスの先端部は上記第1のクラッシュボックスの端部とは独立しかつ車体の内方にずらされているため上記衝突荷重は第2のクラッシュボックスには作用せず、しかも、その基端部もフロントサイドフレームに対し独立して前端部に取付けられているため、第1クラッシュボックス側からの影響もない。そして、上記第1クラッシュボックスがその耐荷重のピーク値Pc1(図1参照)に到達して潰れ出すと、この第1のクラッシュボックス自体の耐荷重値が落ち込み始めることになる。一方、上記第1のクラッシュボックスの変形の進行が上記第2のクラッシュボックスの先端部のずれ量に到達すると、第2のクラッシュボックスの先端部も衝突荷重を受けることになり、その第2のクラッシュボックスの荷重波形(図1にC2 で示す曲線参照)に基づき耐荷重のピーク値Pc2に向けて耐荷重を発揮し出すことになる。そして、この第2のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値Pc2が上記第1のクラッシュボックスによる耐荷重値の落ち込み部に生じることにより、第1のクラッシュボックスの耐荷重の落ち込みが補完されることになる。このため、第1及び第2の両クラッシュボックスを組み合わせることにより、第1のクラッシュボックスの荷重波形における耐荷重の落ち込み部(荷重波形の谷部)が第2のクラッシュボックスの荷重波形における耐荷重のピーク部(荷重波形の山部)により補完され、第1及び第2クラッシュボックスの両荷重波形が合算されて全体の荷重波形特性がより平坦なものとされる。
【0012】
しかも、上記の第1及び第2の両クラッシュボックスが共に同じ荷重作用方向に延びる筒壁部を有し、このような第2のクラッシュボックスか第1のクラッシュボックスに対し内装もしくは外装されているため、従来の如く2つの部分を荷重の作用方向に直列に連結する場合と比べ、例えば車体の前後方向の長さが短縮化されることになる。従って、このようにクラッシュスペースが狭いものになっても、上記の如く第1のクラッシュボックスの耐荷重の落ち込み部の補完により衝突エネルギーの初期吸収を十分有効に行い得ることになる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明における第2のクラッシュボックスを、第1のクラッシュボックスに対し内装し、上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部を第1のクラッシュボックスの筒壁部の潰れ変形に伴い相互に干渉することになる位置関係に配置するものである。
【0014】
上記の構成の場合、衝突荷重が第1のクラッシュボックスの先端部に作用して耐荷重のピーク値に到達し、その後、第1のクラッシュボックスの筒壁部が内方に曲がり出す潰れ変形が急速に進み出して耐荷重が落ち込むと、その潰れ変形に伴いその筒壁部が第2のクラッシュボックスの筒壁部と干渉し出し、この干渉により第2のクラッシュボックスの筒壁部が荷重の伝達を受けることになる。そして、この荷重の伝達を受けた第2のクラッシュボックスの筒壁部が耐荷重を発揮して第1のクラッシュボックスの耐荷重値の落ち込み部を補完することになる。このため、第1及び第2の両クラッシュボックスとの協働作用により衝突エネルギーの初期吸収を十分有効に行い得ることになる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、第1のクラッシュボックスの潰れに対する剛性を第2のクラッシュボックスに比して相対的に高くなるようにするものである。ここで、潰れに対する剛性の高低設定は、両筒壁部の例えば板厚を変化させることなどにより行われる。
【0016】
上記の構成の場合、第1のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値Pc1に到達して第1のクラッシュボックス自体の耐荷重値の落ち込みが生じると、その耐荷重値の落ち込み部に第2のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値が生じることになる。ここで、第1及び第2のクラッシュボックスの潰れに対する剛性が共に同程度に設定されていると、通常、第2のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値は第1のクラッシュボックスの残存耐荷重が加わることにより、第1のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値Pc1よりも高くなる。ところが、請求項4記載の発明では、第1のクラッシュボックスの潰れに対する剛性が第2のクラッシュボックスに比して相対的に高く(強く)なるように、つまり、潰れに対する剛性が第2のクラッシュボックスの方がより低く(弱く)なるように設定されているため、第2のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値を図1にPc2で示すように第1のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値Pc1と略同じにすることが可能になる。これにより、耐荷重値の変化がより一層小さくなり、衝突エネルギーの初期吸収がより効果的に図られることになる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、第1及び第2のクラッシュボックスが取付けられたフロントサイドフレーム前端部に対し、両クラッシュボックスからの荷重伝達を受ける受け部を配設し、その受け部の剛性を車体内方側のフロントサイドフレームよりも高く設定するものである。
【0018】
上記の構成の場合、第1及び第2の両クラッシュボックスが受け部に取付けられ、この受け部がフロントサイドフレームよりも高い剛性を有するように形成されてるため、上記各クラッシュボックスが確実に支持されることになり、各クラッシュボックスを正確に設計通りに潰れ変形させることが可能になる。加えて、上記両クラッシュボックスを例えば車体の前端に荷重作用方向が車体の前後方向に向くように装着した場合、正確に正面衝突では無くて衝突方向が上記前後方向と多少異なる方向に衝突荷重が作用した場合(例えばいわゆるオフセット衝突の場合)であっても、その衝突荷重に対し両クラッシュボックスが上記受け部により確実に支持されて各クラッシュボックスの所定の潰れ変形特性を発揮させることが可能になる。つまり、正確に車体の内外方向のみならず、その内外方向に対し多少傾いた方向等のより幅広い方向から作用する衝突荷重に対しても、衝突エネルギーの吸収機能を発揮させることが可能になる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、第1及び第2の各クラッシュボックスを板素材のプレス絞り成形により一体に形成するものである。
【0020】
上記の構成の場合、各クラッシュボックスがプレス絞り成形により一体に形成されることにより、その各筒壁部が確実に均一に形成されるため、衝突荷重を受けた際の潰れ変形を均一化させることが可能になる。例えば、4枚の板素材を溶接することにより矩形断面の筒壁部を形成する場合には、その溶接品質の不均一さや、溶接ビードの存在等の影響を受けて均一な潰れ変形が阻害されるおそれがあるが、上記の如くプレス成形により均一な筒壁部を形成することにより、上記の如き不都合を解消して潰れ変形の均一化、ひいては、当初の狙い通りに正確な潰れ変形を生じさせることが可能になる。
【0021】
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明における第1及び第2の各クラッシュボックスとして、前面壁部と、この前面壁部の周縁から車体内方側に延びる筒壁部とからなる略お椀形状に形成する構成とするものである。
【0022】
上記の構成の場合、請求項6記載の発明におけるプレス絞り成形を行う場合の第1及び第2の各クラッシュボックスの形状が具体的に特定される。この場合、筒壁部の先端部である前面壁部の周縁に衝突荷重を受け、上記筒壁部の基端部の略お椀形状の開口周縁がフロントサイドフレーム前端部に取付けられるものとなる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係る車体構造を適用した車両前部における車体フレームの平面図を示す。同図において、1,1は車両の左右(車幅方向)両側位置にそれぞれ前後方向に延びるように配設されたフロントサイドフレーム、2,2は各フロントサイドフレーム1の前端に取付けられたクラッシュボックス、3は上記各フロントサイドフレーム1の両前端を連結するように左右方向に延びるフロントクロスメンバ、4はこのフロントクロスメンバ3の略上方位置を左右方向に延びるシュラウドアッパ、5は上記両フロントサイドフレーム1,1に跨がって取付けられたダッシュパネルである。
【0025】
上記ダッシュパネル5の前方であって、両フロントサイドフレーム1,1に挟まれた空間がエンジン等が配設されるエンジンルーム6とされ、上記ダッシュパネル5の後方空間が車室7とされる。また、8,8はそれぞれ前輪のタイヤハウス、9,9は各前輪を支持するサスペンションタワーであり、このサスペンションを支持するサスペンションブラケットが上記各フロントサイドフレーム1に支持されている。さらに、上記各フロントサイドフレーム1の車室7側位置と、サイドシル10との間には補強部材としてのトルクボックス11が掛け渡され、このトルクボックス11により上記各フロントサイドフレーム1とサイドシル10とを互いに連結するようにしている。上記各トルクボックス11はパネル素材により閉断面の筒状に構成され、その外方端が上記サイドシル10の上面を覆うように固定されている。これにより、上記各フロントサイドフレーム1の車幅方向軸回りの揺動に対する抵抗強度の増強が図られている。なお、図2において12はトンネル、13はバンパである。
【0026】
上記各フロントサイドフレーム1は、いわゆるダブルハット型に構成されたものであり、断面がハット状の一対のパネルを相対向させて上下両フランジ部で溶着し矩形の閉断面形状に形成したものである。そして、上記各フロントサイドフレーム1は、ダッシュパネル5側からサスペンションブラケットを支持する部位にかけては上下方向に長い縦長の矩形を有し、車両前端側に向かうにつれて縦横の比率が1に近い、つまり正方形に近い矩形形状を有するように前後方向に対し矩形断面の縦横比率が変化するように形成されている。加えて、上記サスペンションブラケットを支持する部位から前方に進むに従い、各フロントサイドフレーム1が車幅方向外方に膨出して横幅が増加するように形成されている。これにより、後側の上記サスペンションブラケットを支持する部位の近傍においてはサスペンションからの入力荷重等に対抗して車幅方向軸回りの揺動に対する抵抗強度の増大を図る一方、前端側においては車両前方もしくは斜め前方からの衝突荷重が入力しても車幅方向の曲げを生じ難くして前後方向の潰れ変形による衝突荷重の吸収が行われ易くしている。
【0027】
また、上記各フロントサイドフレーム1の前端側の所定の前後方向範囲の両側壁部には、図3〜図5に示すように、車幅方向に凹凸を繰り返すように折り曲げた第1ビード14,14が形成され、この第1ビード14,14により正面衝突による衝突荷重が各フロントサイドフレーム1にまで及ぶような重衝突荷重が入力した場合に、上記各フロントサイドフレーム1が確実に前後方向に潰れ変形を起こして上記重衝突荷重の吸収が行われるようになっている。なお、上記第1ビード14,14は両側壁部で車幅方向に対し互いに同じ凹凸形状になるように折曲され、これにより、両側壁部で互いに逆向きに折曲されるアコーディオン式にした場合に上下フランジ部が開いてしまうことになるというおそれを回避して、確実に前後方向に均一な潰れ変形が生じるようにされている。また、図3の14a,14a,…は上記第1ビード14の凹凸に対応して下側フランジ部に形成されたVの字状の折曲部である。
【0028】
さらに、上記第1ビード14,14の前端位置には各フロントサイドフレーム1の矩形断面の全周に連続する第2ビード15が形成されており、この第2ビード15により前方から衝突荷重が作用した場合に、まず上記第2ビード15が圧縮されて潰れることにより各フロントサイドフレーム1が確実に前後方向に潰れるようにきっかけを与えるようになっている。
【0029】
そして、上記第2ビード15が形成された部位から前方の部位である各フロントサイドフレーム1の前端部16には、その下面側にフロントクロスメンバ3の左右両端部が取付けられ、このフロントクロスメンバ3により左右のフロントサイドフレーム1,1が上記前端部16,16で連結されている。加えて、上記各フロントサイドフレーム1の前端部16の車幅方向内側面には図示省略のラジエータ取付け用のラジエータブラケット17が取付けられ、また、車幅方向外側面にはタイダウンフック18の上端部が取付けられている。上記ラジエータブラケット17及びタイダウンフック18の上端部は共にL型に屈曲され、これらが上記各フロントサイドフレーム1の前端部16の前面に対し面一の状態で左右両側方に突出した状態とされており、これらラジエータブラケット17及びタイダウンフック18と、上記前端部16の先端縁とによりクラッシュボックス2が取付けられる受け部16a(図5参照)が構成されている。この受け部16aは、上記ラジエータブラケット17及びタイダウンフック18が取付けられることにより、フロントサイドフレーム1の前端部16だけで受け部が構成される場合よりも剛性が高くされている。ここで、上記ラジエータブラケット17及びタイダウンフック18は上記受け部16aを補強して剛性を高めるため、及び、後述のクラッシュボックス2の固定部位を形成するために利用されるものであり、それらの目的だけの専用の補強部材もしくは取付部材を設ける場合に比べ、部品点数の低減化及び軽量化が図り得る。
【0030】
上記クラッシュボックス2は、第1のクラッシュボックス20と、第2のクラッシュボックス30とが組み合わされて構成されたものである。上記第1クラッシュボックス20は、図6に示すように、矩形状の前面壁21と、この前面壁21の周縁から連続して車体後方に対しやや末広がりになるように延びる矩形断面の筒壁部22と、この筒壁部22の後端開口縁から外周側に広がるフランジ壁部23とから略お椀形状に形成されたものである。また、上記第2のクラッシュボックス30は、上記第1クラッシュボックス20の筒壁部22内に内装されるように形成されたものであり、上記と同様に、矩形状の前面壁31と、この前面壁31の周縁から連続して車体後方に対しやや末広がりになるように延びる矩形断面の筒壁部32と、この筒壁部32の後端開口縁から外周側に広がるフランジ壁部33とから略お椀形状に形成されたものである。この場合、上記各筒壁部22,32の先端部が各前面壁21,31の周縁により、基端部が各筒壁部22,32の後端開口縁によりそれぞれ構成されることになる。これら第1及び第2の各クラッシュボックス20,30は、所定の大きさの1枚の板素材を用い例えばプレス絞り成形により上記の所定形状に一体に形成すればよく、特に上記筒壁部22,32を均一に形成する上で上記のプレス絞り成形によるのが好ましい。
【0031】
上記第1及び第2の各クラッシュボックス20,30は、上記の両フランジ壁部23,33が互いに重合された状態でこの両フランジ壁部23,33で溶着されて組み合わされている。なお、上記の溶着は例えば周方向全域に所定間隔おきに点溶接する等すればよく、また、上記の溶着により組み合わせたもの20,30を上記受け部16aに取付ける際に、上記フランジ壁部33を覆う程度の大きさの平面板34を介在させるのは好ましい。
【0032】
さらに、上記の第1及び第2の各クラッシュボックス20,30の仕様について説明すると、第1クラッシュボックス20は前後方向(図6に矢印で示す方向)に対する筒壁部22の潰れに対する剛性が第2クラッシュボックス30のそれよりも相対的に高くなるように形成されている。具体的には、上記前後方向に直交する方向に広がる断面積を筒壁部22の方を筒壁部32よりも大きくなるようにすればよく、この手段として筒壁部22の矩形断面形状を筒壁部32のそれよりも大きくする、もしくは、これに加えて板厚が筒壁部22の方が筒壁部32よりも分厚く設定すればよい。
【0033】
そして、第1及び第2のクラッシュボックス20,30がそれぞれのフランジ壁部23,33で連結された状態のクラッシュボックス2は、図4,図5及び図7に示すように上記両フランジ壁部23,33を貫通するボルト及びナット35,35,…により、上記受け部16a、具体的にはラジエータブラケット17及びタイダウンフック18の上端部にそれぞれ固定されている。この際、図8に示すように、第1クラッシュボックス20の筒壁部22の基端部である後端開口縁と、第2クラッシュボックス30の筒壁部32の基端部である後端開口縁とが、フロントサイドフレーム1の前端部16の矩形の先端縁に対し図8にa,b,c及びdで示す4箇所でそれぞれ交差するように配置される。これにより、上記両筒壁部22,32の各基端部が互いに独立して上記フロントサイドフレーム1の前端部16の同じ部位に当接されるとともに、矩形の閉断面に形成された前端部16の先端縁に対し各筒壁部22,32が確実に当接して支持されるようになっている。
【0034】
一方、各フロントサイドフレーム1,1の前端に固定された両クラッシュボックス2,2の第1クラッシュボックス20,20には、図9及び図5に示すようにバンパレインフォースメント13aの各端部が覆うように被され、各前面壁部21に対しボルト・ナット131,131により固定されている。そして、このバンパレインフォースメント13aに対しバンパ13が取付けられている。これにより、正面衝突もしくはオフセット衝突等の際に上記バンパ13に対し入力した衝突荷重が上記バンパレインフォースメント13aを介して各クラッシュボックス2に入力するようにされている。
【0035】
上記構成の実施形態では、前方からの衝突荷重が上記各クラッシュボックス2に入力すると、図10に示すように、その衝突荷重が、まず、第1クラッシュボックス20の前面壁部21の全面に作用し、衝突荷重が前面壁部21の周縁から筒壁部22に伝達される。そして、この筒壁部22の潰れ変形に対する耐荷重が急勾配で増大し(図1の荷重波形C1 参照)、その際の上記筒壁部22の変形に伴い、すなわち、上記筒壁部22の前面壁部21側の部分が外方に膨み出すとともに、中間部分が内方側に折れ曲がって第2クラッシュボックス30の筒壁部32に当接し出す。次に、上記筒壁部22の耐荷重がピーク値Pc1に到達し出すと、その筒壁部22が上記第2クラッシュボックス30の筒壁部32に当接してこの筒壁部32に衝突荷重を伝達して筒壁部32を内方に折り曲げるようになる(図11参照)。そして、上記第1クラッシュボックス20側の耐荷重のピーク値Pc1を過ぎると、その次に、第2クラッシュボックス30の筒壁部32の耐荷重がピーク値Pc2(図1参照)が生じ、このピーク値Pc2を過ぎると両クラッシュボックス20,30が共に完全に潰れて受け部16aに対し衝突荷重が直に伝達されることになる。以上の各クラッシュボックス20,30の潰れ変形の過程で衝突エネルギーの吸収が行われる。
【0036】
ここで、衝突荷重が前方からではなく、例えば斜め前方から入力するようなオフセット衝突の際にも、上記各クラッシュボックス20,30がラジータブラケット17及びタイダウンフック18により確実に支持されているため、上記斜め前方から入力する衝突荷重に対しても各クラッシュボックス20,30の潰れ特性を有効に発揮して衝突エネルギーの吸収を図ることができる。
【0037】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、潰れ特性として第1クラッシュボックス20の荷重波形が図1の如く1つの耐荷重のピーク値Pc1を生じた後に落ち込み、この第1クラッシュボックス20の耐荷重の落ち込み部に第2クラッシュボックス30の荷重波形における耐荷重のピーク値Pc2が生じようにしているが、これに限らず、例えば図12に示すように第1クラッシュボックス及び第2クラッシュボックスの両荷重波形C1 ,C2 が共に変形量の増加に対し耐荷重が山部(ピーク)と、谷部(落ち込み部)とを交互に繰り返すようにし、かつ、第2クラッシュボックスの変形波形の位相をずらせて第2クラッシュボックスの変形波形における耐荷重の各山部が上記第1クラッシュボックスの耐荷重の各谷部に位置するような潰れ特性にしてもよい。
【0038】
上記のような潰れ特性を実現する構造として、例えば図13に示すような第1クラッシュボックス40と、第2クラッシュボックス50とでクラッシュボックス2′を構成すればよい。上記第1クラッシュボックス40は、横断面形状が例えば矩形で軸方向Xに延びる筒壁部41と、この筒壁部41の基端開口縁から外周側に突出するフランジ壁部42とで両端が開口した筒状に形成されたものである。また、上記第2クラッシュボックス50は、上記第1クラッシュボックス40の筒壁部41の内周面と所定の隙間を隔てて内装される程度の横断面形状が例えば矩形の筒壁部51と、上記フランジ壁部42と重合可能なフランジ壁部52とで両端が開口した筒状に形成されたものである。そして、上記第2クラッシュボックス50が第1クラッシュボックス40内に同軸X上に内装されて両フランジ壁部42,52が溶接等により接合されて、もしくは、平面板54に対しボルト・ナット35,35により固定されて一体化されている。ここで、上記第1クラッシュボックス40の板厚t1 が第2クラッシュボックス50の板厚t2 よりも分厚く設定され(t1 >t2 )、第1クラッシュボックス40の筒壁部41の軸X方向長さL1 が第2クラッシュボックス50の筒壁部51の軸X方向長さL2 よりも所定寸法長くなるように設定され(L1 >L2 )、上記筒壁部41の先端開口41aから筒壁部51の先端開口51aまでの長さ(L1 −L2 )が上記の荷重波形の位相をずらす分に相当する比較的短い寸法になるように上記L2 に比してかなり短くなるように設定されている(L1 −L2 >>L2 )。以上の構造にすることにより、上記の如く両クラッシュボックス40,50のそれぞれで山部と谷部とが交互に繰り返す荷重波形となり、かつ、第2クラッシュボックス50の荷重波形の山部が第1クラッシュボックス40の谷部に位置するように位相がずらされることになる。
【0039】
上記実施形態では、第1クラッシュボックス20を独立した一体の部品として形成しているが、これに限らず、第1のクラッシュボックスを例えば図14に示すようにバンパレインフォースメント13bの端部を延設しこの端部に第1クラッシュボックス20aの左右一側部分に相当する形状の分割片部132を形成し、ボルト・ナット35によりタイダウンフック18の上端部に固定する一方、上記第1クラッシュボックス20aの左右他側部分に相当する形状の分割片25を上記分割片部132に対しボルト・ナット131aにより、また、ラジエータブラケット17に対しボルト・ナット35によりそれぞれ固定することにより第2クラッシュボックス20aを形成するようにしてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、第1及び第2のクラッシュボックス20,30を共に前面壁部21,31と筒壁部22,32と取付け用のフランジ壁部23,33とを有する略お椀形状にしているが、これに限らず、少なくとも潰れ変形を生じさせる筒壁部22,32を有していればよく、従って、上記各クラッシュボックスを両端が開口した筒状に形成するようにしてもよい。
【0041】
<参考例>
上記実施形態では、第2クラッシュボックス30を第1クラッシュボックス20と同様に板素材を用いて略お椀形状に成形したものを用いているが、これに限らず、例えば図15に示すようにポリウレタンもしくはラバー等により所定形状(例えば第2クラッシュボックス30と同じ外形形状)に成形しその弾性係数を所定の値に設定した弾性体30aを用いてもよい。
【0042】
【実施例】
図6に示す第1クラッシュボックス20の板厚を1.4mmに、第2クラッシュボックス30の板厚を1.2mmにそれぞれ設定し、また、第2クラッシュボックス30のフランジ壁部33から前面壁部31までの高さL2 を25mmに、第1クラッシュボックス20のフランジ壁部23から前面壁部21までの高さL1 を50mmにそれぞれ設定したものを実施例として、CAE(Computer Aided Engineering)解析によりクラッシュボックス2の潰れ特性を確認した。
【0043】
図16に示す無負荷の状態から第1クラッシュボックス20の前面(同図の左端面)に平板状態の衝撃荷重を図面の右方向に載荷した場合の経過時間に対する変形性状との関係をみると、1msec後には図17に示すように第1クラッシュボックス20の筒壁部22が潰れ変形して第2クラッシュボックス30の筒壁部32に干渉し出し、2msec後には図18に示すように筒壁部22と共に筒壁部32も潰れ変形し出し、3msec後には図19に示すように両クラッシュボックス20,30共にほぼ完全に潰れてひしゃげた状態になった。その次に、フロントサイドフレーム1に対する上記衝撃荷重の伝達によりフロントサイドフレーム1の潰れ変形が始まった。
【0044】
上記の潰れ特性を変形量と荷重との関係で表すと図20のようになる。この図18では、第2クラッシュボックス30のない第1クラッシュボックス20だけでクラッシュボックスを構成した場合を実線で示し、上記の第1及び第2の両クラッシュボックス20,30を組み合わせたクラッシュボックス2の場合を一点鎖線で示している。これをみると第1クラッシュボックス20だけで構成した場合では、第1クラッシュボックス20による耐荷重のピーク値Pc1が生じた後に耐荷重が急激に落ち込み、その第1クラッシュボックス20がほぼ完全に潰れてから変形量δ1 でフロントサイドフレーム1による耐荷重のピーク値Pf1が生じ、以後、そのフロントサイドフレーム1の潰れ変形特性に基づき耐荷重の落ち込みとピーク値Pc2とが交互に生じる。これに対し、第1及び第2のクラッシュボックス20,30を組み合わせた本実施例の場合では、上記ピーク値Pc1が生じた後の耐荷重の落ち込み量が低減される上に、その耐荷重の落ち込み部に第2クラッシュボックス30による耐荷重のピーク値Pc2が生じることになる。
【0045】
以上の解析結果より、第2クラッシュボックス30によるピーク値Pc2の値を第1クラッシュボックス20によるピーク値Pc1の値と同程度にするには、潰れ変形に対する剛性(例えば板厚)を第1クラッシュボックス20に対し第2クラッシュボックス30の方を相対的に弱く、もしくは、第2クラッシュボックス30に対し第1クラッシュボックス20の方を相対的に強くすればよいと考えられる。また、この際、上記潰れ変形に対する剛性を第1クラッシュボックス20に対し第2クラッシュボックス30を相対的に弱くすることにより第2クラッシュボックス30によるピーク値Pc2が発生する変形量の位置を図18の場合よりもさらに小値側に移行させて第1クラッシュボックス20の耐荷重の落ち込み部における最低耐荷重が発生する変形量の位置に移行させることができ、これにより、上記の第1クラッシュボックス20の耐荷重の落ち込み部を確実に補完させることができると考えられる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における車両の車体構造によれば、第1のクラッシュボックスだけの場合に生じる耐荷重の落ち込みを第2のクラッシュボックスによる補完分だけ低減させることができ、衝撃吸収エネルギーも上記第2のクラッシュボックスによる補完分だけ増大させることができる。この結果、衝突荷重の初期吸収を有効に行うことができるようになる。
【0047】
請求項2記載の発明によれば、第1のクラッシュボックスだけの場合に生じる耐荷重の落ち込みを第2のクラッシュボックスによる耐荷重発揮分だけ低減させることができ、衝撃吸収エネルギーも上記第2のクラッシュボックスによる耐荷重発揮分だけ増大させることができる。この結果、衝突荷重の初期吸収を有効に行うことができるようになる。
【0048】
請求項1または請求項2記載の発明によれば、クラッシュスペースが狭いものになっても、第1のクラッシュボックスの耐荷重の落ち込み部が第2のクラッシュボックスにより補完されることによって、衝突エネルギーの初期吸収を十分有効に行うことができることになる上に、全体の荷重波形特性をより平坦なものにすることができる。
【0049】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明による効果の加え、第1及び第2の両クラッシュボックスとの両筒壁部の干渉による協働作用により第1のクラッシュボックスの耐荷重値の落ち込み部を補完して衝突エネルギーの初期吸収を十分有効に行うことができるようになる。
【0050】
請求項4記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明による効果に加え、第2のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値を第1のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値と略同じにすることが可能になり、耐荷重値の変化がより一層小さくなり、衝突エネルギーの初期吸収がより効果的に図ることができるようになる。
【0051】
請求項5記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明による効果に加え、第1及び第2の両クラッシュボックスを受け部によりそれぞれ確実に支持することができ、各クラッシュボックスを正確に設計通りに潰れ変形させることができるようになる。加えて、正確に車体の内外方向のみならず、その内外方向に対し多少傾いた方向等のより幅広い方向から作用する衝突荷重に対しても、衝突エネルギーの吸収機能を発揮させることができるようになる。
【0052】
請求項6記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明による効果に加え、各クラッシュボックスの各筒壁部を確実に均一に形成することができ、衝突荷重を受けた際の潰れ変形を確実に均一化させることができるようになり、この結果、当初の狙い通りに正確な潰れ変形を生じさせることができるようになる。
【0053】
また、請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の発明におけるプレス絞り成形を行う場合の第1及び第2の各クラッシュボックスの形状を具体的に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の架台を説明するための潰れ特性及び本発明による潰れ特性を示す変形量に対する耐荷重特性の説明図である。
【図2】 実施形態の車両前部の車体構造の平面説明図である。
【図3】 図2のA−A線における一部省略拡大矢視図である。
【図4】 前方に向いて左側のクラッシュボックス部分の部分斜視図である。
【図5】 図3のB−B線における一部省略断面図である。
【図6】 クラッシュボックスの平面方向の断面説明図である。
【図7】 図2のC−C線における一部省略拡大矢視図である。
【図8】 図7のクラッシュボックスを基端部側位置で切った拡大断面説明図である。
【図9】 図2の前端部の部分斜視図である。
【図10】 クラッシュボックスの潰れ変形の過程を概念的に描いた断面説明図である。
【図11】 図10の次の過程における潰れ変形を概念的に描いた断面説明図である。
【図12】 上記実施形態とは異なる潰れ特性である変形量に対する耐荷重特性の説明図である。
【図13】 図12の潰れ特性を実現する上記実施形態とは異なる実施形態の断面説明図である。
【図14】 図5等に示す実施形態とは異なる実施形態を示す図5対応図である。
【図15】 さらに異なる実施形態を示す図6対応図である。
【図16】 クラッシュボックス及びフロントサイドフレーム部分についてのCAE解析での骨組図である。
【図17】 図16のものに衝撃荷重を作用させた場合の1msec後の図16対応図である。
【図18】 同じく2msec後の図16対応図である。
【図19】 同じく3msec後の図16対応図である。
【図20】 CAE解析結果を変形量に対する耐荷重の関係で示した潰れ特性図である。
【図21】 従来のクラッシュボックスの潰れ特性の変形波形を示す関係図である。
【符号の説明】
1 フロントサイドフレーム
2,2′ クラッシュボックス
16 フロントサイドフレームの前端部
16a 受け部
20,20a,40 第1のクラッシュボックス
21,31 前面壁部
22,32,41,51 筒壁部
30,50 第2のクラッシュボックス
30a 弾性体
Pc1 第1のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値
Pc2 第2のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値

Claims (7)

  1. 車両の車幅方向両側位置にそれぞれ前後方向に延びるように配設されかつ横断面が矩形の閉断面形状に形成されたフロントサイドフレーム前端部に対し、衝突時に車体内方への荷重を受けて潰れることにより衝突エネルギーを吸収するクラッシュボックスが配設された車両の車体構造において、
    上記クラッシュボックスは、第1のクラッシュボックスと、該第1のクラッシュボックスに対し内装もしくは外装され、上記第1のクラッシュボックスの潰れ変形時の荷重波形特性における耐荷重のピーク値以降の耐荷重値の落ち込みを補完する第2のクラッシュボックスとで構成され、
    上記第1及び第2の両クラッシュボックスはそれぞれ荷重作用方向である同一の車体外方側に延びる筒壁部を有し、上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部は、基端部が互いに独立してフロントサイドフレームの前端部に対し取付けられ、衝突時の荷重を受ける先端部が互いに独立しかつ車体の内外方向に対し互いにずれた位置に配設され、
    上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部の基端部である後端開口縁が、フロントサイドフレームの前端部の矩形の先端縁に対し交差するように配置されている
    ことを特徴とする車両の車体構造。
  2. 車両の車幅方向両側位置にそれぞれ前後方向に延びるように配設されかつ横断面が矩形の閉断面形状に形成されたフロントサイドフレーム前端部に対し、衝突時に車体内方への荷重を受けて潰れることにより衝突エネルギーを吸収するクラッシュボックスが配設された車両の車体構造において、
    上記クラッシュボックスは、第1のクラッシュボックスと、該第1のクラッシュボックスに対し内装もしくは外装され、上記第1のクラッシュボックスの潰れ変形時の潰れ行程途中において上記第1のクラッシュボックスとは別に耐荷重を発揮するように構成された第2のクラッシュボックスとで構成され、
    上記第1及び第2の両クラッシュボックスはそれぞれ荷重作用方向である同一の車体外方側に延びる筒壁部を有し、上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部は、基端部が互いに独立してフロントサイドフレームの前端部に対し取付けられ、衝突時の荷重を受ける先端部が互いに独立しかつ車体の内外方向に対し互いにずれた位置に配設され、
    上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部の基端部である後端開口縁が、フロントサイドフレームの前端部の矩形の先端縁に対し交差するように配置されている
    ことを特徴とする車両の車体構造。
  3. 請求項1または2において、
    第2のクラッシュボックスは、第1のクラッシュボックスに対し内装されて、
    上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部が第1のクラッシュボックスの筒壁部の潰れ変形に伴い相互に干渉することになる位置関係に配置されていることを特徴とする車両の車体構造。
  4. 請求項1または2において、
    第1のクラッシュボックスは、潰れに対する剛性が第2のクラッシュボックスに比して相対的に高くなるように構成されている
    ことを特徴とする車両の車体構造。
  5. 請求項1または2において、
    第1及び第2のクラッシュボックスが取付けられたフロントサイドフレーム前端部には、両クラッシュボックスからの荷重伝達を受ける受け部が配設され、
    上記受け部の剛性が車体内方側のフロントサイドフレームよりも高く設定されている
    ことを特徴とする車両の車体構造。
  6. 請求項1または2において、
    第1及び第2の各クラッシュボックスは板素材のプレス絞り成形により一体に形成されている
    ことを特徴とする車両の車体構造。
  7. 請求項6において、
    第1及び第2の各クラッシュボックスは、前面壁部と、この前面壁部の周縁から車体内方側に延びる筒壁部とからなる略お椀形状に形成されている
    ことを特徴とする車両の車体構造。
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