JPH1120733A - 車両の車体構造 - Google Patents

車両の車体構造

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JPH1120733A
JPH1120733A JP17800197A JP17800197A JPH1120733A JP H1120733 A JPH1120733 A JP H1120733A JP 17800197 A JP17800197 A JP 17800197A JP 17800197 A JP17800197 A JP 17800197A JP H1120733 A JPH1120733 A JP H1120733A
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正宏 大隅
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貴誉志 林
Hiroshi Nakatsuka
博 中塚
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泰知 小林
Sakae Terada
栄 寺田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特にクラッシュボックスが取付けられた車体
構造としてよい潰れ特性にして、狭いクラッシュスペー
スでも有効に衝突荷重の吸収を行い得るようにする。 【解決手段】 左右一対のフロントサイドフレーム1の
両前端部16をクロスメンバ3で連結し、各前端部にタ
イダウンフック18の上端部とラジエータブラケット1
7とを取付けて高剛性の受け部16aを形成する。板素
材をプレス成形することによりそれぞれ略お椀形状の第
1及び第2の両クラッシュボックス20,30を組み合
わせたクラッシュボックス2を左右の受け部に対しボル
ト・ナット35で固定し、左右のクラッシュボックスに
対しバンパレインフォースメントメンバ13aを連結す
る。第2のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値が第
1のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値発生後の耐
荷重の落ち込み部に生じるように筒壁部の先端部の間
隔、筒壁部の潰れに対する剛性等を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衝突時の車両への
衝撃エネルギーを初期吸収するためのクラッシュボック
スを備えた車両の車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のクラッシュボックス
を備えた車両の車体構造として、エアバック装置を作動
させる加速度センサの衝突検出機能と関係付けたものが
提案されている(例えば特開平5−139242号公報
参照)。このものは、車体のフロントサイドフレームの
前端に対し、互いに異なる2種類の全塑性荷重特性のク
ラッシュボックス部分を直列に連結して車両の前方に突
出させたものである。そして、前側のクラッシュボック
ス部分を薄肉厚の4枚の板材で小矩形断面の筒状に形成
する一方、後側のクラッシュボックス部分を厚肉厚の4
枚の板材で大矩形断面の筒状に形成し、前後のクラッシ
ュボックス部分を両者間に剛性を高めた段部を介して連
結している。これにより、衝突荷重を受けた際に、前側
のクラッシュボックス部分だけがより低い荷重で先に潰
れ、この前側のクラッシュボックス部分の潰れが完了し
た後に、後側のクラッシュボックス部分がより高い荷重
で潰れるというように潰れが高低2段階の荷重で生じる
ようにし、この後側のクラッシュボックス部分の潰れ開
始に伴い上記加速度センサが作動するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の提案
された前側と後側との2つのクラッシュボックス部分を
有するクラッシュボックスでは、変形量を横軸に、軸方
向に圧縮変形させる荷重を縦軸にそれぞれ表した場合の
荷重波形を図21に示すように、前側のクラッシュボッ
クス部分が変形量の増加に従い耐荷重のピーク値P1
と、耐荷重の落ち込み部とを交互に繰り返して潰れ変形
を順次繰り返し、上記前側クラッシュボックス部分がほ
ぼ完全に潰れた後に、後側のクラッシュボックス部分が
変形量の増加に従い上記ピーク値P1 よりも高いピーク
値P2 と、耐荷重の落ち込み部とを上記と同様に交互に
繰り返すことになる。そして、この後側クラッシュボッ
クス部分も完全に潰れた状態に至ると、フロントサイド
フレーム(車体フレーム)に衝突荷重が直に作用するこ
とになる。
【0004】しかし、上記の従来のクラッシュボックス
では、上記荷重波形においてピーク値の生じる山部と、
耐荷重が落ち込む谷部とを交互に繰り返すだけの前後方
向変位量が前側及び後側の両クラッシュボックスのそれ
ぞれにおいて必要になる上に、その前側及び後側の両ク
ラッシュボックスを車両の前後方向に直列に連結する必
要があるため、車両の車体フレームの前端からバンパー
までの間にかなり長い前後方向寸法(クラッシュスペー
ス)を確保する必要がある。このため、車体全長の増大
化を招く一方、全長に対する車体設計上の制約より車体
フレームの前端側にあまり長いクラッシュスペースを確
保できない場合には適用が困難もしくは不能となる。
【0005】一方、上記の従来のクラッシュボックスの
前後方向寸法を短くしてしまうと、前側のクラッシュボ
ックス及び後側のクラッシュボックスのそれぞれの荷重
波形が1つの耐荷重の山部と谷部とで構成されることに
なり、衝突時の衝突エネルギーの吸収が十分に行い得な
いことになってしまう。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、衝突荷重の吸
収により衝突荷重の車室側への伝達を遮断するための車
体構造として、特にクラッシュボックスが取付けられた
車体構造をよりよい潰れ特性にすることにあり、具体的
には狭いクラッシュスペースでも有効に衝突荷重の吸収
を行い得る車体構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、車体フレームの端部に対
し、衝突時に車体内方への荷重を受けて潰れることによ
り衝突エネルギーを吸収するクラッシュボックスが配設
された車両の車体構造を前提とする。このものにおい
て、上記クラッシュボックスに対し、上記クラッシュボ
ックスの潰れ変形時の荷重波形における耐荷重のピーク
値以降の耐荷重値の落ち込みを補完する荷重吸収手段を
設ける構成とするものである。
【0008】上記の構成の場合、図1にクラッシュボッ
クスに対し衝突荷重が作用した際の変形−荷重特性(荷
重波形)を実線C1 で例示するように、変形量に対する
耐荷重がピーク値Pc1に到達してクラッシュボックスが
潰れ出すことにより耐荷重値が落ち込むことになるもの
の、この耐荷重値の落ち込みが荷重吸収手段により補完
され、すなわち、荷重吸収手段の有する変形−荷重特性
における耐荷重の山部(同図の一点鎖線参照)が上記落
ち込み部分が生じる変形量の範囲に生じることになる。
これにより、クラッシュボックスだけの場合に生じる耐
荷重の落ち込みが上記の荷重吸収手段による補完分だけ
低減されることになり、このため、衝撃吸収エネルギー
も上記荷重吸収手段による補完分の面積(同図のハッチ
ング部分)だけ増大し、上記衝突荷重の初期吸収を有効
に行うことが可能になる。
【0009】請求項2記載の発明は、車体フレームの端
部に対し、衝突時に車体内方への荷重を受けて潰れるこ
とにより衝突エネルギーを吸収するクラッシュボックス
が配設された車両の車体構造を前提とする。このものに
おいて、上記クラッシュボックスに対し、上記クラッシ
ュボックスの潰れ変形時の潰れ行程途中において上記ク
ラッシュボックスとは別に耐荷重を発揮するように構成
された荷重吸収手段を設ける構成とするものである。
【0010】上記の構成の場合、クラッシュボックスの
潰れ変形時の潰れ行程途中、例えば図1に実線C1 で例
示するように衝突荷重の作用により変形量に対する耐荷
重がピーク値Pc1に到達してクラッシュボックスが潰れ
出すことにより耐荷重値が落ち込むことになるという潰
れ行程の途中において、上記荷重吸収手段による耐荷重
が上記クラッシュボックスとは別に発揮されるため、そ
の荷重吸収手段により発揮される耐荷重の分だけ衝撃吸
収エネルギーが増大し、上記衝突荷重の初期吸収を有効
に行うことが可能になる。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1または請
求項2記載の発明における荷重吸収手段を、第1のクラ
ッシュボックスに対し内装もしくは外装された第2のク
ラッシュボックスにより構成するものである。そして、
上記第1及び第2の両クラッシュボックスとしてそれぞ
れ荷重作用方向である同一の車体外方側に延びる筒壁部
を有するものとし、上記第1及び第2のクラッシュボッ
クスの両筒壁部の基端部を互いに独立して車体フレーム
の同じ端部に対し取付け、衝突時の荷重を受ける先端部
を互いに独立しかつ車体の内外方向に対し互いにずれた
位置に配設するものである。
【0012】上記の構成の場合、衝突荷重が第1クラッ
シュボックスの先端部に入力し、この先端部と車体フレ
ームの端部に取付けられた基端部との間の筒壁部に作用
する。この際、第2のクラッシュボックスの先端部は上
記第1のクラッシュボックスの端部とは独立しかつ車体
の内方にずらされているため上記衝突荷重は第2のクラ
ッシュボックスには作用せず、しかも、その基端部も車
体フレームに対し独立して同じ端部に取付けられている
ため、第1クラッシュボックス側からの影響もない。そ
して、上記第1クラッシュボックスがその耐荷重のピー
ク値Pc1(図1参照)に到達して潰れ出すと、この第1
のクラッシュボックス自体の耐荷重値が落ち込み始める
ことになる。一方、上記第1のクラッシュボックスの変
形の進行が上記第2のクラッシュボックスの先端部のず
れ量に到達すると、第2のクラッシュボックスの先端部
も衝突荷重を受けることになり、その第2のクラッシュ
ボックスの荷重波形(図1にC2 で示す曲線参照)に基
づき耐荷重のピーク値Pc2に向けて耐荷重を発揮し出す
ことになる。そして、この第2のクラッシュボックスの
耐荷重のピーク値Pc2が上記第1のクラッシュボックス
による耐荷重値の落ち込み部に生じることにより、第1
のクラッシュボックスの耐荷重の落ち込みが補完される
ことになる。このため、第1及び第2の両クラッシュボ
ックスを組み合わせることにより、第1のクラッシュボ
ックスの荷重波形における耐荷重の落ち込み部(荷重波
形の谷部)が第2のクラッシュボックスの荷重波形にお
ける耐荷重のピーク部(荷重波形の山部)により補完さ
れ、第1及び第2クラッシュボックスの両荷重波形が合
算されて全体の荷重波形特性がより平坦なものとされ
る。
【0013】しかも、上記の第1及び第2の両クラッシ
ュボックスが共に同じ荷重作用方向に延びる筒壁部を有
し、このような第2のクラッシュボックスか第1のクラ
ッシュボックスに対し内装もしくは外装されているた
め、従来の如く2つの部分を荷重の作用方向に直列に連
結する場合と比べ、例えば車体の前後方向の長さが短縮
化されることになる。従って、このようにクラッシュス
ペースが狭いものになっても、上記の如く第1のクラッ
シュボックスの耐荷重の落ち込み部の補完により衝突エ
ネルギーの初期吸収を十分有効に行い得ることになる。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明における第2のクラッシュボックスを、第1のクラッ
シュボックスに対し内装し、上記第1及び第2のクラッ
シュボックスの両筒壁部を第1のクラッシュボックスの
筒壁部の潰れ変形に伴い相互に干渉することになる位置
関係に配置するものである。
【0015】上記の構成の場合、衝突荷重が第1のクラ
ッシュボックスの先端部に作用して耐荷重のピーク値に
到達し、その後、第1のクラッシュボックスの筒壁部が
内方に曲がり出す潰れ変形が急速に進み出して耐荷重が
落ち込むと、その潰れ変形に伴いその筒壁部が第2のク
ラッシュボックスの筒壁部と干渉し出し、この干渉によ
り第2のクラッシュボックスの筒壁部が荷重の伝達を受
けることになる。そして、この荷重の伝達を受けた第2
のクラッシュボックスの筒壁部が耐荷重を発揮して第1
のクラッシュボックスの耐荷重値の落ち込み部を補完す
ることになる。このため、第1及び第2の両クラッシュ
ボックスとの協働作用により衝突エネルギーの初期吸収
を十分有効に行い得ることになる。
【0016】請求項5記載の発明は、請求項3記載の発
明において、第1のクラッシュボックスの潰れに対する
剛性を第2のクラッシュボックスに比して相対的に高く
なるようにするものである。ここで、潰れに対する剛性
の高低設定は、両筒壁部の例えば板厚を変化させること
などにより行われる。
【0017】上記の構成の場合、第1のクラッシュボッ
クスの耐荷重のピーク値Pc1に到達して第1のクラッシ
ュボックス自体の耐荷重値の落ち込みが生じると、その
耐荷重値の落ち込み部に第2のクラッシュボックスの耐
荷重のピーク値が生じることになる。ここで、第1及び
第2のクラッシュボックスの潰れに対する剛性が共に同
程度に設定されていると、通常、第2のクラッシュボッ
クスの耐荷重のピーク値は第1のクラッシュボックスの
残存耐荷重が加わることにより、第1のクラッシュボッ
クスの耐荷重のピーク値Pc1よりも高くなる。ところ
が、請求項4記載の発明では、第1のクラッシュボック
スの潰れに対する剛性が第2のクラッシュボックスに比
して相対的に高く(強く)なるように、つまり、潰れに
対する剛性が第2のクラッシュボックスの方がより低く
(弱く)なるように設定されているため、第2のクラッ
シュボックスの耐荷重のピーク値を図1にPc2で示すよ
うに第1のクラッシュボックスの耐荷重のピーク値Pc1
と略同じにすることが可能になる。これにより、耐荷重
値の変化がより一層小さくなり、衝突エネルギーの初期
吸収がより効果的に図られることになる。
【0018】請求項6記載の発明は、請求項3記載の発
明において、第1及び第2のクラッシュボックスが取付
けられた車体フレームの端部に対し、両クラッシュボッ
クスからの荷重伝達を受ける受け部を配設し、その受け
部の剛性を車体内方側の車体フレームよりも高く設定す
るものである。
【0019】上記の構成の場合、第1及び第2の両クラ
ッシュボックスが受け部に取付けられ、この受け部が車
体フレームよりも高い剛性を有するように形成されてい
るため、上記各クラッシュボックスが確実に支持される
ことになり、各クラッシュボックスを正確に設計通りに
潰れ変形させることが可能になる。加えて、上記両クラ
ッシュボックスを例えば車体の前端に荷重作用方向が車
体の前後方向に向くように装着した場合、正確に正面衝
突では無くて衝突方向が上記前後方向と多少異なる方向
に衝突荷重が作用した場合(例えばいわゆるオフセット
衝突の場合)であっても、その衝突荷重に対し両クラッ
シュボックスが上記受け部により確実に支持されて各ク
ラッシュボックスの所定の潰れ変形特性を発揮させるこ
とが可能になる。つまり、正確に車体の内外方向のみな
らず、その内外方向に対し多少傾いた方向等のより幅広
い方向から作用する衝突荷重に対しても、衝突エネルギ
ーの吸収機能を発揮させることが可能になる。
【0020】請求項7記載の発明は、請求項3記載の発
明において、第1及び第2の各クラッシュボックスを板
素材のプレス絞り成形により一体に形成するものであ
る。
【0021】上記の構成の場合、各クラッシュボックス
がプレス絞り成形により一体に形成されることにより、
その各筒壁部が確実に均一に形成されるため、衝突荷重
を受けた際の潰れ変形を均一化させることが可能にな
る。例えば、4枚の板素材を溶接することにより矩形断
面の筒壁部を形成する場合には、その溶接品質の不均一
さや、溶接ビードの存在等の影響を受けて均一な潰れ変
形が阻害されるおそれがあるが、上記の如くプレス成形
により均一な筒壁部を形成することにより、上記の如き
不都合を解消して潰れ変形の均一化、ひいては、当初の
狙い通りに正確な潰れ変形を生じさせることが可能にな
る。
【0022】また、請求項8記載の発明は、請求項7記
載の発明における第1及び第2の各クラッシュボックス
として、前面壁部と、この前面壁部の周縁から車体内方
側に延びる筒壁部とからなる略お椀形状に形成する構成
とするものである。
【0023】上記の構成の場合、請求項7記載の発明に
おけるプレス絞り成形を行う場合の第1及び第2の各ク
ラッシュボックスの形状が具体的に特定される。この場
合、筒壁部の先端部である前面壁部の周縁に衝突荷重を
受け、上記筒壁部の基端部の略お椀形状の開口周縁が車
体フレームの端部に取付けられるものとなる。
【0024】さらに、請求項9記載の発明は、請求項1
または請求項2記載の発明における荷重吸収手段を、ク
ラッシュボックスの先端部よりも車体内方側に位置付け
られて上記クラッシュボックスが所定量変形した際に弾
性吸収力を発揮する弾性体により構成するものである。
ここで、上記弾性体としては、塊状等に形成したポリウ
レタンもしくはラバー等を用いればよい。
【0025】上記の構成の場合、クラッシュボックスが
衝突荷重を受けて荷重波形における耐荷重のピーク値が
生じた後の耐荷重値の落ち込み部において、すなわち、
上記クラッシュボックスが衝突荷重を受けて所定量変形
した際に、弾性体により構成された荷重吸収手段が弾性
吸収力を発揮することになる。これにより、上記クラッ
シュボックスの耐荷重の落ち込み量が低減されることに
なり、狭いクラッシュスペースに配設されたクラッシュ
ボックスであっても、衝突エネルギーの初期吸収を有効
に行い得るようになる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0027】図2は、本発明の実施形態に係る車体構造
を適用した車両前部における車体フレームの平面図を示
す。同図において、1,1は車両の左右(車幅方向)両
側位置にそれぞれ前後方向に延びるように配設された車
体フレームとしてのフロントサイドフレーム、2,2は
各フロントサイドフレーム1の前端に取付けられたクラ
ッシュボックス、3は上記各フロントサイドフレーム1
の両前端を連結するように左右方向に延びるフロントク
ロスメンバ、4はこのフロントクロスメンバ3の略上方
位置を左右方向に延びるシュラウドアッパ、5は上記両
フロントサイドフレーム1,1に跨がって取付けられた
ダッシュパネルである。
【0028】上記ダッシュパネル5の前方であって、両
フロントサイドフレーム1,1に挟まれた空間がエンジ
ン等が配設されるエンジンルーム6とされ、上記ダッシ
ュパネル5の後方空間が車室7とされる。また、8,8
はそれぞれ前輪のタイヤハウス、9,9は各前輪を支持
するサスペンションタワーであり、このサスペンション
を支持するサスペンションブラケットが上記各フロント
サイドフレーム1に支持されている。さらに、上記各フ
ロントサイドフレーム1の車室7側位置と、サイドシル
10との間には補強部材としてのトルクボックス11が
掛け渡され、このトルクボックス11により上記各フロ
ントサイドフレーム1とサイドシル10とを互いに連結
するようにしている。上記各トルクボックス11はパネ
ル素材により閉断面の筒状に構成され、その外方端が上
記サイドシル10の上面を覆うように固定されている。
これにより、上記各フロントサイドフレーム1の車幅方
向軸回りの揺動に対する抵抗強度の増強が図られてい
る。なお、図2において12はトンネル、13はバンパ
である。
【0029】上記各フロントサイドフレーム1は、いわ
ゆるダブルハット型に構成されたものであり、断面がハ
ット状の一対のパネルを相対向させて上下両フランジ部
で溶着し矩形の閉断面形状に形成したものである。そし
て、上記各フロントサイドフレーム1は、ダッシュパネ
ル5側からサスペンションブラケットを支持する部位に
かけては上下方向に長い縦長の矩形を有し、車両前端側
に向かうにつれて縦横の比率が1に近い、つまり正方形
に近い矩形形状を有するように前後方向に対し矩形断面
の縦横比率が変化するように形成されている。加えて、
上記サスペンションブラケットを支持する部位から前方
に進むに従い、各フロントサイドフレーム1が車幅方向
外方に膨出して横幅が増加するように形成されている。
これにより、後側の上記サスペンションブラケットを支
持する部位の近傍においてはサスペンションからの入力
荷重等に対抗して車幅方向軸回りの揺動に対する抵抗強
度の増大を図る一方、前端側においては車両前方もしく
は斜め前方からの衝突荷重が入力しても車幅方向の曲げ
を生じ難くして前後方向の潰れ変形による衝突荷重の吸
収が行われ易くしている。
【0030】また、上記各フロントサイドフレーム1の
前端側の所定の前後方向範囲の両側壁部には、図3〜図
5に示すように、車幅方向に凹凸を繰り返すように折り
曲げた第1ビード14,14が形成され、この第1ビー
ド14,14により正面衝突による衝突荷重が各フロン
トサイドフレーム1にまで及ぶような重衝突荷重が入力
した場合に、上記各フロントサイドフレーム1が確実に
前後方向に潰れ変形を起こして上記重衝突荷重の吸収が
行われるようになっている。なお、上記第1ビード1
4,14は両側壁部で車幅方向に対し互いに同じ凹凸形
状になるように折曲され、これにより、両側壁部で互い
に逆向きに折曲されるアコーディオン式にした場合に上
下フランジ部が開いてしまうことになるというおそれを
回避して、確実に前後方向に均一な潰れ変形が生じるよ
うにされている。また、図3の14a,14a,…は上
記第1ビード14の凹凸に対応して下側フランジ部に形
成されたVの字状の折曲部である。
【0031】さらに、上記第1ビード14,14の前端
位置には各フロントサイドフレーム1の矩形断面の全周
に連続する第2ビード15が形成されており、この第2
ビード15により前方から衝突荷重が作用した場合に、
まず上記第2ビード15が圧縮されて潰れることにより
各フロントサイドフレーム1が確実に前後方向に潰れる
ようにきっかけを与えるようになっている。
【0032】そして、上記第2ビード15が形成された
部位から前方の部位である各フロントサイドフレーム1
の前端部16には、その下面側にフロントクロスメンバ
3の左右両端部が取付けられ、このフロントクロスメン
バ3により左右のフロントサイドフレーム1,1が上記
前端部16,16で連結されている。加えて、上記各フ
ロントサイドフレーム1の前端部16の車幅方向内側面
には図示省略のラジエータ取付け用のラジエータブラケ
ット17が取付けられ、また、車幅方向外側面にはタイ
ダウンフック18の上端部が取付けられている。上記ラ
ジエータブラケット17及びタイダウンフック18の上
端部は共にL型に屈曲され、これらが上記各フロントサ
イドフレーム1の前端部16の前面に対し面一の状態で
左右両側方に突出した状態とされており、これらラジエ
ータブラケット17及びタイダウンフック18と、上記
前端部16の先端縁とによりクラッシュボックス2が取
付けられる受け部16a(図5参照)が構成されてい
る。この受け部16aは、上記ラジエータブラケット1
7及びタイダウンフック18が取付けられることによ
り、フロントサイドフレーム1の前端部16だけで受け
部が構成される場合よりも剛性が高くされている。ここ
で、上記ラジエータブラケット17及びタイダウンフッ
ク18は上記受け部16aを補強して剛性を高めるた
め、及び、後述のクラッシュボックス2の固定部位を形
成するために利用されるものであり、それらの目的だけ
の専用の補強部材もしくは取付部材を設ける場合に比
べ、部品点数の低減化及び軽量化が図り得る。
【0033】上記クラッシュボックス2は、第1のクラ
ッシュボックス20と、荷重吸収手段としての第2のク
ラッシュボックス30とが組み合わされて構成されたも
のである。上記第1クラッシュボックス20は、図6に
示すように、矩形状の前面壁21と、この前面壁21の
周縁から連続して車体後方に対しやや末広がりになるよ
うに延びる矩形断面の筒壁部22と、この筒壁部22の
後端開口縁から外周側に広がるフランジ壁部23とから
略お椀形状に形成されたものである。また、上記第2の
クラッシュボックス30は、上記第1クラッシュボック
ス20の筒壁部22内に内装されるように形成されたも
のであり、上記と同様に、矩形状の前面壁31と、この
前面壁31の周縁から連続して車体後方に対しやや末広
がりになるように延びる矩形断面の筒壁部32と、この
筒壁部32の後端開口縁から外周側に広がるフランジ壁
部33とから略お椀形状に形成されたものである。この
場合、上記各筒壁部22,32の先端部が各前面壁2
1,31の周縁により、基端部が各筒壁部22,32の
後端開口縁によりそれぞれ構成されることになる。これ
ら第1及び第2の各クラッシュボックス20,30は、
所定の大きさの1枚の板素材を用い例えばプレス絞り成
形により上記の所定形状に一体に形成すればよく、特に
上記筒壁部22,32を均一に形成する上で上記のプレ
ス絞り成形によるのが好ましい。
【0034】上記第1及び第2の各クラッシュボックス
20,30は、上記の両フランジ壁部23,33が互い
に重合された状態でこの両フランジ壁部23,33で溶
着されて組み合わされている。なお、上記の溶着は例え
ば周方向全域に所定間隔おきに点溶接する等すればよ
く、また、上記の溶着により組み合わせたもの20,3
0を上記受け部16aに取付ける際に、上記フランジ壁
部33を覆う程度の大きさの平面板34を介在させるの
は好ましい。
【0035】さらに、上記の第1及び第2の各クラッシ
ュボックス20,30の仕様について説明すると、第1
クラッシュボックス20は前後方向(図6に矢印で示す
方向)に対する筒壁部22の潰れに対する剛性が第2ク
ラッシュボックス30のそれよりも相対的に高くなるよ
うに形成されている。具体的には、上記前後方向に直交
する方向に広がる断面積を筒壁部22の方を筒壁部32
よりも大きくなるようにすればよく、この手段として筒
壁部22の矩形断面形状を筒壁部32のそれよりも大き
くする、もしくは、これに加えて板厚が筒壁部22の方
が筒壁部32よりも分厚く設定すればよい。
【0036】そして、第1及び第2のクラッシュボック
ス20,30がそれぞれのフランジ壁部23,33で連
結された状態のクラッシュボックス2は、図4,図5及
び図7に示すように上記両フランジ壁部23,33を貫
通するボルト及びナット35,35,…により、上記受
け部16a、具体的にはラジエータブラケット17及び
タイダウンフック18の上端部にそれぞれ固定されてい
る。この際、図8に示すように、第1クラッシュボック
ス20の筒壁部22の基端部である後端開口縁と、第2
クラッシュボックス30の筒壁部32の基端部である後
端開口縁とが、フロントサイドフレーム1の前端部16
の矩形の先端縁に対し図8にa,b,c及びdで示す4
箇所でそれぞれ交差するように配置される。これによ
り、上記両筒壁部22,32の各基端部が互いに独立し
て上記フロントサイドフレーム1の前端部16の同じ部
位に当接されるとともに、矩形の閉断面に形成された前
端部16の先端縁に対し各筒壁部22,32が確実に当
接して支持されるようになっている。
【0037】一方、各フロントサイドフレーム1,1の
前端に固定された両クラッシュボックス2,2の第1ク
ラッシュボックス20,20には、図9及び図5に示す
ようにバンパレインフォースメント13aの各端部が覆
うように被され、各前面壁部21に対しボルト・ナット
131,131により固定されている。そして、このバ
ンパレインフォースメント13aに対しバンパ13が取
付けられている。これにより、正面衝突もしくはオフセ
ット衝突等の際に上記バンパ13に対し入力した衝突荷
重が上記バンパレインフォースメント13aを介して各
クラッシュボックス2に入力するようにされている。
【0038】上記構成の実施形態では、前方からの衝突
荷重が上記各クラッシュボックス2に入力すると、図1
0に示すように、その衝突荷重が、まず、第1クラッシ
ュボックス20の前面壁部21の全面に作用し、衝突荷
重が前面壁部21の周縁から筒壁部22に伝達される。
そして、この筒壁部22の潰れ変形に対する耐荷重が急
勾配で増大し(図1の荷重波形C1 参照)、その際の上
記筒壁部22の変形に伴い、すなわち、上記筒壁部22
の前面壁部21側の部分が外方に膨み出すとともに、中
間部分が内方側に折れ曲がって第2クラッシュボックス
30の筒壁部32に当接し出す。次に、上記筒壁部22
の耐荷重がピーク値Pc1に到達し出すと、その筒壁部2
2が上記第2クラッシュボックス30の筒壁部32に当
接してこの筒壁部32に衝突荷重を伝達して筒壁部32
を内方に折り曲げるようになる(図11参照)。そし
て、上記第1クラッシュボックス20側の耐荷重のピー
ク値Pc1を過ぎると、その次に、第2クラッシュボック
ス30の筒壁部32の耐荷重がピーク値Pc2(図1参
照)が生じ、このピーク値Pc2を過ぎると両クラッシュ
ボックス20,30が共に完全に潰れて受け部16aに
対し衝突荷重が直に伝達されることになる。以上の各ク
ラッシュボックス20,30の潰れ変形の過程で衝突エ
ネルギーの吸収が行われる。
【0039】ここで、衝突荷重が前方からではなく、例
えば斜め前方から入力するようなオフセット衝突の際に
も、上記各クラッシュボックス20,30がラジータブ
ラケット17及びタイダウンフック18により確実に支
持されているため、上記斜め前方から入力する衝突荷重
に対しても各クラッシュボックス20,30の潰れ特性
を有効に発揮して衝突エネルギーの吸収を図ることがで
きる。
【0040】<他の実施形態>なお、本発明は上記実施
形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態
を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、
潰れ特性として第1クラッシュボックス20の荷重波形
が図1の如く1つの耐荷重のピーク値Pc1を生じた後に
落ち込み、この第1クラッシュボックス20の耐荷重の
落ち込み部に第2クラッシュボックス30の荷重波形に
おける耐荷重のピーク値Pc2が生じようにしているが、
これに限らず、例えば図12に示すように第1クラッシ
ュボックス及び第2クラッシュボックスの両荷重波形C
1 ,C2 が共に変形量の増加に対し耐荷重が山部(ピー
ク)と、谷部(落ち込み部)とを交互に繰り返すように
し、かつ、第2クラッシュボックスの変形波形の位相を
ずらせて第2クラッシュボックスの変形波形における耐
荷重の各山部が上記第1クラッシュボックスの耐荷重の
各谷部に位置するような潰れ特性にしてもよい。
【0041】上記のような潰れ特性を実現する構造とし
て、例えば図13に示すような第1クラッシュボックス
40と、第2クラッシュボックス50とでクラッシュボ
ックス2′を構成すればよい。上記第1クラッシュボッ
クス40は、横断面形状が例えば矩形で軸方向Xに延び
る筒壁部41と、この筒壁部41の基端開口縁から外周
側に突出するフランジ壁部42とで両端が開口した筒状
に形成されたものである。また、上記第2クラッシュボ
ックス50は、上記第1クラッシュボックス40の筒壁
部41の内周面と所定の隙間を隔てて内装される程度の
横断面形状が例えば矩形の筒壁部51と、上記フランジ
壁部42と重合可能なフランジ壁部52とで両端が開口
した筒状に形成されたものである。そして、上記第2ク
ラッシュボックス50が第1クラッシュボックス40内
に同軸X上に内装されて両フランジ壁部42,52が溶
接等により接合されて、もしくは、平面板54に対しボ
ルト・ナット35,35により固定されて一体化されて
いる。ここで、上記第1クラッシュボックス40の板厚
t1 が第2クラッシュボックスの板厚t2 よりも分厚く
設定され(t1 >t2 )、第1クラッシュボックス40
の筒壁部41の軸X方向長さL1 が第2クラッシュボッ
クスの筒壁部51の軸X方向長さL2 よりも所定寸法長
くなるように設定され(L1 >L2 )、上記筒壁部41
の先端開口41aから筒壁部51の先端開口51aまで
の長さ(L1 −L2 )が上記の荷重波形の位相をずらす
分に相当する比較的短い寸法になるように上記L2 に比
してかなり短くなるように設定されている(L1 −L2
>>L2 )。以上の構造にすることにより、上記の如く
両クラッシュボックス40,50のそれぞれで山部と谷
部とが交互に繰り返す荷重波形となり、かつ、第2クラ
ッシュボックス50の荷重波形の山部が第1クラッシュ
ボックス40の谷部に位置するように位相がずらされる
ことになる。
【0042】上記実施形態では、第1クラッシュボック
ス20を独立した一体の部品として形成しているが、こ
れに限らず、第1のクラッシュボックスを例えば図14
に示すようにバンパレインフォースメント13bの端部
を延設しこの端部に第1クラッシュボックス20aの左
右一側部分に相当する形状の分割片部132を形成し、
ボルト・ナット35によりタイダウンフック18の上端
部に固定する一方、上記第1クラッシュボックス20a
の左右他側部分に相当する形状の分割片25を上記分割
片部132に対しボルト・ナット131aにより、ま
た、ラジエータブラケット17に対しボルト・ナット3
5によりそれぞれ固定することにより第2クラッシュボ
ックス20aを形成するようにしてもよい。
【0043】また、上記実施形態では、第1及び第2の
クラッシュボックス20,30を共に前面壁部21,3
1と筒壁部22,32と取付け用のフランジ壁部23,
33とを有する略お椀形状にしているが、これに限ら
ず、少なくとも潰れ変形を生じさせる筒壁部22,32
を有していればよく、従って、上記各クラッシュボック
スを両端が開口した筒状に形成するようにしてもよい。
【0044】さらに、上記実施形態では、荷重吸収手段
としての第2クラッシュボックス30を第1クラッシュ
ボックス20と同様に板素材を用いて略お椀形状に成形
したものを用いているが、これに限らず、荷重吸収手段
として例えば図15に示すようにポリウレタンもしくは
ラバー等により所定形状(例えば第2クラッシュボック
ス30と同じ外形形状)に成形しその弾性係数を所定の
値に設定した弾性体30aを用いてもよい。
【0045】
【実施例】図6に示す第1クラッシュボックス20の板
厚を1.4mmに、第2クラッシュボックス30の板厚
を1.2mmにそれぞれ設定し、また、第2クラッシュ
ボックス30のフランジ壁部33から前面壁部31まで
の高さL2 を25mmに、第1クラッシュボックス20
のフランジ壁部23から前面壁部21までの高さL1 を
50mmにそれぞれ設定したものを実施例として、CA
E(Computer AidedEngineering)解析によりクラッシ
ュボックス2の潰れ特性を確認した。
【0046】図16に示す無負荷の状態から第1クラッ
シュボックス20の前面(同図の左端面)に平板状態の
衝撃荷重を図面の右方向に載荷した場合の経過時間に対
する変形性状との関係をみると、1msec後には図1
7に示すように第1クラッシュボックス20の筒壁部2
2が潰れ変形して第2クラッシュボックス30の筒壁部
32に干渉し出し、2msec後には図18に示すよう
に筒壁部22と共に筒壁部32も潰れ変形し出し、3m
sec後には図19に示すように両クラッシュボックス
20,30共にほぼ完全に潰れてひしゃげた状態になっ
た。その次に、フロントサイドフレーム1に対する上記
衝撃荷重の伝達によりフロントサイドフレーム1の潰れ
変形が始まった。
【0047】上記の潰れ特性を変形量と荷重との関係で
表すと図20のようになる。この図18では、第2クラ
ッシュボックス30のない第1クラッシュボックス20
だけでクラッシュボックスを構成した場合を実線で示
し、上記の第1及び第2の両クラッシュボックス20,
30を組み合わせたクラッシュボックス2の場合を一点
鎖線で示している。これをみると第1クラッシュボック
ス20だけで構成した場合では、第1クラッシュボック
ス20による耐荷重のピーク値Pc1が生じた後に耐荷重
が急激に落ち込み、その第1クラッシュボックス20が
ほぼ完全に潰れてから変形量δ1 でフロントサイドフレ
ーム1による耐荷重のピーク値Pf1が生じ、以後、その
フロントサイドフレーム1の潰れ変形特性に基づき耐荷
重の落ち込みとピーク値Pc2とが交互に生じる。これに
対し、第1及び第2のクラッシュボックス20,30を
組み合わせた本実施例の場合では、上記ピーク値Pc1が
生じた後の耐荷重の落ち込み量が低減される上に、その
耐荷重の落ち込み部に第2クラッシュボックス30によ
る耐荷重のピーク値Pc2が生じることになる。
【0048】以上の解析結果より、第2クラッシュボッ
クス30によるピーク値Pc2の値を第1クラッシュボッ
クス20によるピーク値Pc1の値と同程度にするには、
潰れ変形に対する剛性(例えば板厚)を第1クラッシュ
ボックス20に対し第2クラッシュボックス30の方を
相対的に弱く、もしくは、第2クラッシュボックス30
に対し第1クラッシュボックス20の方を相対的に強く
すればよいと考えられる。また、この際、上記潰れ変形
に対する剛性を第1クラッシュボックス20に対し第2
クラッシュボックス30を相対的に弱くすることにより
第2クラッシュボックス30によるピーク値Pc2が発生
する変形量の位置を図18の場合よりもさらに小値側に
移行させて第1クラッシュボックス20の耐荷重の落ち
込み部における最低耐荷重が発生する変形量の位置に移
行させることができ、これにより、上記の第1クラッシ
ュボックス20の耐荷重の落ち込み部を確実に補完させ
ることができると考えられる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明における車両の車体構造によれば、クラッシュボック
スだけの場合に生じる耐荷重の落ち込みを荷重吸収手段
による補完分だけ低減させることができ、衝撃吸収エネ
ルギーも上記荷重吸収手段による補完分だけ増大させる
ことができる。この結果、衝突荷重の初期吸収を有効に
行うことができるようになる。
【0050】請求項2記載の発明によれば、クラッシュ
ボックスだけの場合に生じる耐荷重の落ち込みを荷重吸
収手段による耐荷重発揮分だけ低減させることができ、
衝撃吸収エネルギーも上記荷重吸収手段による耐荷重発
揮分だけ増大させることができる。この結果、衝突荷重
の初期吸収を有効に行うことができるようになる。
【0051】請求項3記載の発明によれば、請求項1ま
たは請求項2記載の発明による効果を具体的に実現させ
ることができる上に、クラッシュスペースが狭いものに
なっても、第1のクラッシュボックスの耐荷重の落ち込
み部が第2のクラッシュボックスにより補完されること
によって、衝突エネルギーの初期吸収を十分有効に行う
ことができることになる上に、全体の荷重波形特性をよ
り平坦なものにすることができる。
【0052】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の発明による効果の加え、第1及び第2の両クラッシ
ュボックスとの両筒壁部の干渉による協働作用により第
1のクラッシュボックスの耐荷重値の落ち込み部を補完
して衝突エネルギーの初期吸収を十分有効に行うことが
できるようになる。
【0053】請求項5記載の発明によれば、請求項3記
載の発明による効果に加え、第2のクラッシュボックス
の耐荷重のピーク値を第1のクラッシュボックスの耐荷
重のピーク値と略同じにすることが可能になり、耐荷重
値の変化がより一層小さくなり、衝突エネルギーの初期
吸収がより効果的に図ることができるようになる。
【0054】請求項6記載の発明によれば、請求項3記
載の発明による効果に加え、第1及び第2の両クラッシ
ュボックスを受け部によりそれぞれ確実に支持すること
ができ、各クラッシュボックスを正確に設計通りに潰れ
変形させることができるようになる。加えて、正確に車
体の内外方向のみならず、その内外方向に対し多少傾い
た方向等のより幅広い方向から作用する衝突荷重に対し
ても、衝突エネルギーの吸収機能を発揮させることがで
きるようになる。
【0055】請求項7記載の発明によれば、請求項3記
載の発明による効果に加え、各クラッシュボックスの各
筒壁部を確実に均一に形成することができ、衝突荷重を
受けた際の潰れ変形を確実に均一化させることができる
ようになり、この結果、当初の狙い通りに正確な潰れ変
形を生じさせることができるようになる。
【0056】また、請求項8記載の発明によれば、請求
項7記載の発明におけるプレス絞り成形を行う場合の第
1及び第2の各クラッシュボックスの形状を具体的に特
定することができる。
【0057】さらに、請求項9記載の発明によれば、請
求項1または請求項2記載の発明による効果に加え、請
求項3記載の発明とは異なる構成によりクラッシュボッ
クスの耐荷重の落ち込みを補完してその落ち込み量を低
減させることができ、狭いクラッシュスペースに配設さ
れたクラッシュボックスであっても、衝突エネルギーの
初期吸収を有効に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の架台を説明するための潰れ特性及び本
発明による潰れ特性を示す変形量に対する耐荷重特性の
説明図である。
【図2】実施形態の車両前部の車体構造の平面説明図で
ある。
【図3】図2のA−A線における一部省略拡大矢視図で
ある。
【図4】前方に向いて左側のクラッシュボックス部分の
部分斜視図である。
【図5】図3のB−B線における一部省略断面図であ
る。
【図6】クラッシュボックスの平面方向の断面説明図で
ある。
【図7】図2のC−C線における一部省略拡大矢視図で
ある。
【図8】図7のクラッシュボックスを基端部側位置で切
った拡大断面説明図である。
【図9】図2の前端部の部分斜視図である。
【図10】クラッシュボックスの潰れ変形の過程を概念
的に描いた断面説明図である。
【図11】図10の次の過程における潰れ変形を概念的
に描いた断面説明図である。
【図12】上記実施形態とは異なる潰れ特性である変形
量に対する耐荷重特性の説明図である。
【図13】図12の潰れ特性を実現する上記実施形態と
は異なる実施形態の断面説明図である。
【図14】図5等に示す実施形態とは異なる実施形態を
示す図5対応図である。
【図15】さらに異なる実施形態を示す図6対応図であ
る。
【図16】クラッシュボックス及びフロントサイドフレ
ーム部分についてのCAE解析での骨組図である。
【図17】図16のものに衝撃荷重を作用させた場合の
1msec後の図16対応図である。
【図18】同じく2msec後の図16対応図である。
【図19】同じく3msec後の図16対応図である。
【図20】CAE解析結果を変形量に対する耐荷重の関
係で示した潰れ特性図である。
【図21】従来のクラッシュボックスの潰れ特性の変形
波形を示す関係図である。
【符号の説明】
1 フロントサイドフレーム(車体フレー
ム) 2,2′ クラッシュボックス 16 フロントサイドフレームの前端部(車
体フレームの前端部) 16a 受け部 20,20a,40 第1のクラッシュボック
ス 21,31 前面壁部 22,32,41,51 筒壁部 30,50 第2のクラッシュボック
ス(荷重吸収手段) 30a 弾性体(荷重吸収手段) Pc1 第1のクラッシュボック
スの耐荷重のピーク値 Pc2 第2のクラッシュボック
スの耐荷重のピーク値
フロントページの続き (72)発明者 小林 泰知 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 寺田 栄 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体フレームの端部に対し、衝突時に車
    体内方への荷重を受けて潰れることにより衝突エネルギ
    ーを吸収するクラッシュボックスが配設された車両の車
    体構造において、 上記クラッシュボックスには、上記クラッシュボックス
    の潰れ変形時の荷重波形特性における耐荷重のピーク値
    以降の耐荷重値の落ち込みを補完する荷重吸収手段が設
    けられていることを特徴とする車両の車体構造。
  2. 【請求項2】 車体フレームの端部に対し、衝突時に車
    体内方への荷重を受けて潰れることにより衝突エネルギ
    ーを吸収するクラッシュボックスが配設された車両の車
    体構造において、 上記クラッシュボックスには、上記クラッシュボックス
    の潰れ変形時の潰れ行程途中において上記クラッシュボ
    ックスとは別に耐荷重を発揮するように構成された荷重
    吸収手段が設けられていることを特徴とする車両の車体
    構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、 荷重吸収手段は、第1のクラッシュボックスに対し内装
    もしくは外装された第2のクラッシュボックスにより構
    成され、 上記第1及び第2の両クラッシュボックスはそれぞれ荷
    重作用方向である同一の車体外方側に延びる筒壁部を有
    し、上記第1及び第2のクラッシュボックスの両筒壁部
    は、基端部が互いに独立して車体フレームの同じ端部に
    対し取付けられ、衝突時の荷重を受ける先端部が互いに
    独立しかつ車体の内外方向に対し互いにずれた位置に配
    設されていることを特徴とする車両の車体構造。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 第2のクラッシュボックスは、第1のクラッシュボック
    スに対し内装されて、上記第1及び第2のクラッシュボ
    ックスの両筒壁部が第1のクラッシュボックスの筒壁部
    の潰れ変形に伴い相互に干渉することになる位置関係に
    配置されていることを特徴とする車両の車体構造。
  5. 【請求項5】 請求項3において、 第1のクラッシュボックスは、潰れに対する剛性が第2
    のクラッシュボックスに比して相対的に高くなるように
    構成されていることを特徴とする車両の車体構造。
  6. 【請求項6】 請求項3において、 第1及び第2のクラッシュボックスが取付けられた車体
    フレームの端部には、両クラッシュボックスからの荷重
    伝達を受ける受け部が配設され、 上記受け部の剛性が車体内方側の車体フレームよりも高
    く設定されていることを特徴とする車両の車体構造。
  7. 【請求項7】 請求項3において、 第1及び第2の各クラッシュボックスは板素材のプレス
    絞り成形により一体に形成されていることを特徴とする
    車両の車体構造。
  8. 【請求項8】 請求項7において、 第1及び第2の各クラッシュボックスは、前面壁部と、
    この前面壁部の周縁から車体内方側に延びる筒壁部とか
    らなる略お椀形状に形成されていることを特徴とする車
    両の車体構造。
  9. 【請求項9】 請求項1または請求項2において、 荷重吸収手段は、クラッシュボックスの先端部よりも車
    体内方側に位置付けられて上記クラッシュボックスが所
    定量変形した際に弾性吸収力を発揮する弾性体により構
    成されていることを特徴とする車両の車体構造。
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