JP3864221B2 - 複合酸化物単結晶とその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合酸化物単結晶とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
我が国では、一次供給エネルギーからの有効なエネルギーの得率は30%程度しかなく、約70%ものエネルギ−を最終的には熱として大気中に廃棄している。また、工場やごみ焼却場などにおいて燃焼により生ずる熱も、その殆どが他のエネルギーに変換されることなく大気中に廃棄されている。このように、我々人類は、非常に多くの熱エネルギーを無駄に廃棄しており、限りある化石燃料の燃焼などの行為から僅かなエネルギーしか獲得していない。
【0003】
エネルギーの得率を向上させるためには、大気中に廃棄されている熱エネルギーを利用できるようにすることが有効である。そのための有効な一つの技術手段として、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する熱電変換がある。この熱電変換とは、ゼーベック効果を利用したものであり、熱電変換材料の両端に温度差を発生させることにより、電位差を生じさせて発電を行うエネルギー変換法である。この熱電発電では、熱電変換材料の一端を廃熱により生じた高温部に配置し、もう一端を大気中(室温部)に配置して、それぞれの両端に導線を接続するだけで電気が得られるので、一般的な発電に必要なモーターやタービンなどの可動装置は、不要である。このため、設備コストも安く、燃焼などによるガスの排出も無く、熱電変換材料が劣化するまで継続的に発電を行うことができる。
【0004】
このように、熱電発電は、今後予測されるエネルギー源枯渇という重大な問題の軽減策の一端を担う技術として期待されているが、熱電発電を実現するためには、高い熱電変換効率を有し、耐熱性、化学的耐久性などに優れた熱電変換材料を大量に供給することが必要となる。
【0005】
現在、高い熱電変換効率を有する物質としては、金属間化合物が知られている。しかしながら、金属間化合物の熱電変換効率は、最大でも10%程度であり、しかも、空気中では500K程度以下の温度でしか利用できない。また、金属間化合物の種類によっては毒性元素や希少元素を構成元素とするものもある。
【0006】
このため、廃熱を利用する熱電発電は未だ実用化されるには至っておらず、毒性が少なく、存在量の多い元素により構成され、耐熱性、化学的耐久性などに優れ、高い熱電変換効率を有する材料の開発が期待されている。
【0007】
近年、耐熱性および耐久性に優れ、高い熱電変換効率を有する材料として、Ca、Bi、Sr、Naなどを含有するCo系複合酸化物が報告されており(非特許文献1)、その実用化が有望視されている。しかしながら、これらの複合酸化物は、単結晶では高い熱電変換性能を示すものの、合成の容易な多結晶体では1/3程度以下まで性能が低下してしまう。このため、上記の複合酸化物の単結晶の複合材料化に必要な配向性の高い導電性材料の開発が必要となっている。
【0008】
【非特許文献1】
Xuら、Applied Physics Letters vol.80,pp.3760-3762(2002)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解消乃至軽減し、簡単な方法によって、配向性の高い複合酸化物単結晶とその製造方法を提供することを主な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の従来技術の現状を考慮しつつ、鋭意研究を重ねた結果、Ca化合物およびCo化合物を含む原料物質に、Sr化合物の少なくとも一種を加えた原料混合物を加熱して溶融させた後、冷却する場合には、比較的簡単な方法で、組成式:Ca0.8 1.3Co23.8 4.2で表される複合酸化物の単結晶を製造できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、下記の複合酸化物単結晶の製造方法及び複合酸化物単結晶を提供するものである。
1.(1)Ca化合物、(2)Co化合物および(3)Sr化合物のそれぞれ少なくとも一種を含む原料配合物を加熱溶融した後、冷却することを特徴とする複合酸化物単結晶の製造方法。
2.原料配合物が、さらにアルカリ金属化合物およびホウ酸から選ばれた少なくとも一種の化合物を含む上記項1に記載の複合酸化物単結晶の製造方法。
3.原料配合物に含まれる金属成分のうち、Ca、CoおよびSrの原子比が下記式の範囲内にある上記項1または2に記載の複合酸化物単結晶の製造方法:
Ca:Co:Sr=4.8〜9.0:1.5〜2.5:1
4.原料配合物溶融体の冷却速度が、20℃/hr以下である上記項1〜3のいずれかに記載の複合酸化物単結晶の製造方法
5.得られる複合酸化物単結晶が、組成式
Ca0.8 1.3Co23.8 4.2
で表される上記項1〜4のいずれかに記載の複合酸化物単結晶の製造方法。
6.組成式
Ca0.8 1.3Co23.8 4.2
で表され、かつCoとOの原子比が1:2の層とCaのみからなる層とが交互に積層した結晶構造を有する複合酸化物単結晶。
7.微細な結晶子が配向した上記項6に記載の複合酸化物単結晶。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明による複合酸化物単結晶の製造方法では、まず、(1)Ca化合物の少なくとも一種、(2)Co化合物の少なくとも一種、および(3)Sr化合物の少なくとも一種を含む原料配合物を調製する。
【0013】
原料として用いる各化合物の種類については、特に限定的ではなく、原料配合物を加熱した際に均一な溶融物を形成し得るものであればよく、例えば、金属単体、酸化物、各種化合物(炭酸塩など)などを使用することができる。
【0014】
Ca化合物としては、酸化カルシウム(CaO)、過酸化カルシウム(CaO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硝酸カルシウム(Ca(NO32)、水酸化カルシウム(CaOH)2)、塩化カルシウム(CaCl2)およびその水和物、アルコキシド化合物(ジメトキシカルシウム(Ca(OCH32)、ジエトキシカルシウム(Ca(OC252)、ジプロポキシカルシウム(Ca(OC372)など)などを具体例として挙げることができる。
【0015】
Co化合物としては、酸化コバルト(CoO、Co23、Co34)、炭酸コバルト(CoCO3)、硝酸コバルト(Co(NO32)、水酸化コバルト(Co(OH)2)、塩化コバルト(CoCl2)、アルコキシド化合物(ジプロポキシコバルト(Co(OC372など)などが例示される。
【0016】
Ca化合物としては、塩化カルシウムとその水和物がより好ましく、Co化合物としては、酸化コバルトがより好ましい。Ca化合物とCo化合物とは、塩化カルシウムとその水和物の少なくとも1種と酸化コバルトの少なくとも1種とを組み合わせて使用することが、さらに好ましい。
【0017】
また、Ca源およびCo源としては、それぞれ異なる化合物を用いることなく、CaとCoとの両方を含む化合物を用いても良い。Ca-Co含有化合物としては、Ca3Co26、Ca2Co25などが例示される。
【0018】
Sr化合物としては、酸化ストロンチウム(SrO)、過酸化ストロンチウム(SrO2)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、硝酸ストロンチウム(Sr(NO32)、水酸化ストロンチウム(Sr(OH)2)、アルコキシド化合物(ジメトキシストロンチウム(Sr(OCH32)、ジエトキシストロンチウム(Sr(OC252)、ジプロポキシストロンチウム(Sr(OC372)など)などを挙げることができる。これらのSr化合物中でも、炭酸ストロンチウム、酸化ストロンチウム、過酸化ストロンチウム、硝酸ストロンチウムが好ましく、さらに炭酸ストロンチウムがより好ましい。
【0019】
本発明では、上記した(1)Ca化合物群、(2)Co化合物群および(3)Sr化合物群のそれぞれからから選ばれた少なくとも一種ずつを含む原料配合物混合物に、さらに必要に応じて、溶融物の融点を調整することなどを目的として、その他の成分を添加しても良い。
【0020】
この様な任意添加成分については、所望の複合酸化物の特性を阻害しない限り、特に限定されず、アルカリ金属化合物、ホウ素含有化合物などが挙げられる。アルカリ金属化合物の具体例としては、塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)などのアルカリ金属塩化物およびそれらの水和物、炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)などのアルカリ金属炭酸塩などを挙げることができる。ホウ素含有化合物の具体例としては、ホウ酸(B23)などを挙げることができる。これらの任意的添加成分についても、それぞれを単独であるいは二種以上混合して用いることができる。
【0021】
原料配合物中の各必須成分の混合割合は、原料配合物に含まれる各金属の原子比が下記式の範囲内となるように調整することが好ましい。
【0022】
Ca:Co:Sr=4.8〜9.0:1.5〜2.5:1
さらに、原料配合物中における各金属の原子比は、下記式の範囲内となるように、原料配合比を調整することがより好ましい。
【0023】
Ca:Co:Sr=5.2〜8.3:1.7〜2.2:1
原料配合物の調製は、上記した各化合物を均一に混合できる任意の方法により行うことができる。必要ならば、各化合物を予め粉砕した後混合するか、あるいは各化合物を粉砕しつつ混合することによって、後述する加熱時の溶融反応の効率を向上させることができる。
【0024】
本発明方法では、まず、上記した原料配合物を加熱して溶融させる。加熱は、溶融した原料配合物が均一な溶液状態となる条件下に行えばよい。溶融容器からの汚染を回避するとともに、原料成分の蒸発を防止するために、例えばアルミナ製るつぼを用いる場合には、原料配合物の加熱溶融温度は、通常650〜910℃程度であり、好ましくは810〜900℃程度である。加熱時間は、特に限定されず、原料配合物が均一な溶液状態となるに必要な時間(通常1〜3時間程度)とすればよい。
【0025】
加熱手段も、特に限定されず、電気加熱炉、ガス加熱炉などの公知の手段を適宜採用することができる。溶融時の雰囲気は、空気中や酸素気流中などの酸素含有雰囲気とすれば良いが、原料物質が十分量の酸素を含む場合には、不活性雰囲気で溶融しても良い。
【0026】
上記した原料の溶融方法はいわゆる“フラックス法”と称される方法である。この方法によれば、加熱により、原料配合物に含まれる成分の一部が溶融し、その化学的変化、溶解作用などによって、原料物質全体が溶液状態となるので、この様な溶液状態の原料物質を冷却速度の制御下に冷却することによって、冷却に伴う過飽和状態を用いて目的とする単結晶を成長させることができる。この冷却過程においては、原料物質が溶融して形成された溶液と相平衡にある固相組成のCaとCoとを含む複合酸化物の単結晶が成長するので、互いに平衡状態にある融液相と固相(単結晶)の組成に対応する目的とする複合酸化物単結晶の組成に応じて、原料物質におけるCa化合物とCo化合物との割合を決めることができる。その際、原料中に含まれるSrは融液成分として残り、成長する単結晶の構成成分には含まれない。
【0027】
溶融した原料配合物を冷却し、固化させることにより形成される複合酸化物単結晶の大きさ、収率などは、原料物質の種類と組成比、溶融成分の組成、冷却速度などによって変わり得るが、例えば、毎時20℃以下の冷却速度で試料が固化するまで冷却する場合には、長さ、幅ともに50μm程度以上、厚さ1〜20μm程度の板状の形状を有する単結晶を得ることができる。冷却速度をより遅くするほど、単結晶をより大型化することができる。
【0028】
次いで、冷却により形成された固化物から、目的とする複合酸化物単結晶以外の成分を除去することによって、組成式:Ca0.8 1.3Co23.8 4.2で表される複合酸化物の単結晶を得ることができる。
【0029】
目的物以外の成分を除去する方法としては、複合酸化物単結晶に付着している水溶性の成分、例えば、塩化物などは、蒸留水による洗浄とろ過を繰り返して行い、さらに、必要に応じてエタノール洗浄などを併用することによって、目的生成物から除去することができる。また、非水溶性の残留物は、通常単結晶に比べて十分に大きい顆粒状或いは十分に小さい粉体状となって存在するので、例えば、ふるいなどを用いる分離手法により、目的とする複合酸化物単結晶から除去することができる。
【0030】
得られた複合酸化物単結晶は、図1(a)に示す層状構造を有する。すなわち、CoとOの原子比が1:2からなる層とCaイオンからなる層とが交互に積層した構造である。そのため、得られる単結晶も、大きさに関係なく、板状の外形を有する。
【0031】
本発明による複合酸化物単結晶は、温度の上昇に伴って、電気伝導性が向上する非金属的挙動を示し、300K程度の温度では、0.25Ωm以下の電気伝導性を示す。より高温域では、電気伝導度は、さらに向上するものと推測される。
【0032】
この様に本発明による複合酸化物単結晶は、層状構造を持ち、板状の外形を有するので、容易に配向する導電性材料である。
【0033】
本発明方法によって得られる複合酸化物単結晶は、上記した特性を利用して、例えば、従来の金属間化合物材料では実用化不可能であった、空気中、高温で用いる熱電変換材料、例えば、p型熱電変換材料などとして有効に用いることができる。よって、当該複合酸化物単結晶を熱電発電モジュールのp型材料としてシステム中に組み込むことにより、これまで大気中に廃棄されていた熱エネルギーを有効に利用することが可能になる。また、ペルチェ効果を用いた熱電モジュールへの応用も可能である。
【0034】
さらに、本発明による複合酸化物単結晶は、その導電性を利用するバインダー、導電助剤などとしての用途も考えられる。例えば、図1(b)に示すCa3Co49と称される公知物質(S. Li他、J. Mater. Chem., vol. 9 pp. 1659-1660 (1999))などのCo系の酸化物熱電変換材料との複合化が可能である。この様な複合化は、例えば、本発明による複合酸化物の板状単結晶とCa3Co49の板状結晶とを混合し、沈降或いは加圧により配向させることにより、行うことができる。得られた複合体において、本発明の複合酸化物単結晶は、Ca3Co49の配向性を損なわない導電性のバインダーとしての機能を発揮する。
【0035】
本発明の複合酸化物を熱電変換材料として用いた熱電変換素子の一例の模式図を図2に示す。熱電変換素子の構造自体は、公知の熱電変換素子と同様であり、高温部用基板、低温部用基板、p型熱電変換材料、n型熱電変換材料、電極、導線などにより構成される。この熱電変換素子において、本発明の複合酸化物は、単独で或いは上述の通り複合材料化して、p型熱電変換材料として用いることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明による層状構造の複合酸化物を単独で使用することにより、或いは高いゼーベック係数(S)と高い電気伝導度を有し、優れた熱電変換性能を発揮するCo系の酸化物熱電変換材料と複合化することにより、優れた性能を有する熱電変換材料の実用化が可能となる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0038】
実施例1
炭酸ストロンチウム(SrCO3)、酸化コバルト(Co34)および塩化カルシウム二水和物(CaCl2・2H2O)を、金属分の原子比として、Ca:Co:Sr=6:2:1となる割合で均一に混合した後、アルミナ製るつぼに入れ、電気炉内で、空気中で850℃で3時間加熱保持して、溶融させた。
【0039】
次いで、6℃/hrの速度で室温まで徐々に冷却し、室温で固化物を取り出した。得られた固化物に対して、蒸留水による洗浄およびろ過を3回繰り返した後、最終的にエタノールによる洗浄とろ過を行うことによって、組成式:Ca1.2Co24で表される複合酸化物の単結晶を得た。
【0040】
得られた複合酸化物単結晶の透過型電子顕微鏡写真を図3に示し、X線回折図を図4に示す。
【0041】
図4は、公知物質(Motohashi他、Applied Physics Letters vol. 79, pp. 1480-1482 (1997))であるNa2Co24単結晶体の粉末X線回折図と酷似しており、図3との比較からも、それは容易に類推される。
【0042】
これらの結果から、本実施例で得られた複合酸化物単結晶は、図1(a)に示した様に、Na2Co24と同様の層状の結晶構造を有することが確認された。
【0043】
図5は、本実施例で得られた複合酸化物の走査型電子顕微鏡写真を示す。微細な結晶子が集合している状態が明らかである。一方、図4に示したように、複合酸化物単結晶のX線回折パターンのピークが(00l)という指数のみで表せることから、この結晶子の集合体はc面(c軸方向に向いた面)に配向していることがわかる。
【0044】
本実施例で得られた板状の複合酸化物を用いて、熱電変換素子試料を作製した。すなわち、板状生成物(約8mm×約2mm×約10μm)の両端に熱電対を白金ペーストで接着して、その温度差と電位差とから、熱起電力を決定した。図6に示す結果から明らかな様に、本発明複合酸化物を用いて得られた熱電変換素子は、400℃(673K)以上では、100μV/K以上の高い値を示した。
【0045】
実施例2〜6
表1に示す原料組成、加熱温度および処理時間で、実施例1と同様にして加熱処理を行った。
【0046】
次いで、表1に示す冷却速度で冷却し、室温で固化物を取り出して、実施例1と同様にして、蒸留水による洗浄およびろ過と、エタノールによる洗浄およびろ過を行うことにより、それぞれの複合酸化物の単結晶を得た。
【0047】
表1に、各実施例で得た複合酸化物単結晶の平均組成を示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003864221

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による複合酸化物単結晶の結晶構造(a)と公知の熱電変換材料であるCa3Co49の結晶構造(b)とを模式的に示す図面である。
【図2】本発明の複合酸化物単結晶を熱電変換材料として用いる熱電変換素子を模式的に示す図面である。
【図3】実施例1で得られた複合酸化物単結晶の透過型電子顕微鏡による観察結果を示す図面代用写真である。
【図4】実施例1で得られた複合酸化物単結晶のX線回折図である。
【図5】実施例1で得られた複合酸化物単結晶の走査型電子顕微鏡による観察結果を示す図面代用写真である。
【図6】実施例1で得られた複合酸化物単結晶を用いて作製した熱電変換素子試料につき、その熱起電力の温度依存性を示すグラフである。

Claims (5)

  1. (1)Ca化合物の少なくとも一種、(2)Co化合物の少なくとも一種、および(3)Sr化合物の少なくとも一種からなる原料配合物を加熱溶融した後、冷却することを特徴とする複合酸化物単結晶の製造方法であって、原料配合物に含まれる金属成分のうち、Ca、CoおよびSrの原子比が、Ca:Co:Sr=5.5〜7:1.8〜2:1の範囲内にあり、得られる複合酸化物単結晶が、組成式Ca 1.0〜1.2 Co で表され、かつCoとOの原子比が1:2の層とCaのみからなる層とが交互に積層した結晶構造を有する複合酸化物単結晶の製造方法。
  2. 原料配合物が、さらにアルカリ金属化合物およびホウ酸から選ばれた少なくとも一種の化合物を含む請求項1に記載の複合酸化物単結晶の製造方法。
  3. 原料配合物溶融体の冷却速度が、20℃/hr以下である請求項1〜のいずれかに記載の複合酸化物単結晶の製造方法。
  4. 組成式
    Ca 1.0〜1.2 Co
    で表され、かつCoとOの原子比が1:2の層とCaのみからなる層とが交互に積層した結晶構造を有する複合酸化物単結晶。
  5. 微細な結晶子が配向した請求項に記載の複合酸化物単結晶。
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