JP4858976B2 - 複合化した熱電変換材料 - Google Patents

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本発明は、高い熱電変換効率を有する新規な熱電変換材料及び熱電変換素子等の熱電変換部材に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、ホイスラー合金型の結晶構造を持つ熱電変換材料と添加物質とを複合化することにより、熱伝導率を低減し、且つ高い熱電変換効率を有する熱電変換材料として優れた性能を発揮する熱電変換材料、熱電変換素子、及び熱電発電モジュールに関するものである。
我が国では、一次供給エネルギーからの有効なエネルギーの得率は30%程度しかなく、約70%ものエネルギーを熱として大気中に廃棄している。また、工場やごみ焼却場などにおいて燃焼により生ずる熱も、その殆どが他のエネルギーに変換されることなく大気中に廃棄されている。このように、我々人類は、膨大な熱エネルギーを無駄に廃棄しており、限りある化石燃料の燃焼などの行為から僅かなエネルギーしか獲得していない。
エネルギーの得率を向上させるためには、大気中に廃棄されている熱エネルギーを利用できるようにすることが必要である。そのための有効な一つの技術的手段として、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する熱電変換がある。この熱電変換とは、ゼーベック効果を利用したものであり、熱電変換材料の両端に温度差を発生させることにより、熱起電力を生じさせて発電を行うエネルギー変換法である。
熱電発電では、例えば、熱電変換材料の一端を廃熱により生じた高温部に配置し、もう一端を大気中(室温部)に配置して、それぞれの両端に導線を接続するだけで電力を得ることができる。つまり、熱電発電では、一般的な発電装置に必要なモータやタービンなどの可動部品は不要である。このため、熱電発電では、設備コストも安く、燃焼などによるガスの排出もなく、熱電変換材料が劣化するまで継続的に発電を行うことができる。
このような長所から、熱電発電は、今後予測されるエネルギー資源の枯渇という重大な問題に対する解決策の一端を担う技術して期待されている。熱電発電を汎用的に実現するためには、高い熱電変換効率を有し、耐熱性、化学的耐久性などに優れた熱電変換材料を大量に供給することが必要となる。
熱電変換材料の特性は、熱電変換材料の両端に温度差を付けたときに発生する電圧の大きさを表す「熱起電力」と、電気の流れ易さである「導電率」、及び熱の伝わり易さである「熱伝導率」の3つの特性を用いて、下記式より算出される「熱電性能指数」により評価される。すなわち、熱起電力と導電率が大きく、熱伝導率が小さいものが、熱電変換材料に適している。
この3つの熱電特性において、熱起電力と導電率は、主に電子状態密度やキャリア濃度などによって制御される電気的な成分であり、熱伝導率は、主に結晶構造や構成元素などによって変化する熱的な成分である。電気的な成分は、発電される電力の大きさに関係し、熱伝導率は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換させる際の変換効率に影響を与え、得られる電力量に関係する。熱電性能指数を向上させる場合に、電気的な成分は、僅かなキャリアドーピングなどにより大幅に変化させられるため、比較的容易に制御されるが、熱的な成分は、結晶構造などに関係するため、容易には制御できない。
例えば、近年、室温近傍の低温域で高い発電性能を有する熱電変換材料として、FeやAlなどから構成されるホイスラー合金系材料が報告されている(特許文献1)。これらのホイスラー合金系は、キャリア濃度を制御することにより熱電特性の電気的な成分を数十倍程度向上させ、高い発電性能を実現しているが(非特許文献1)、熱伝導率が大きいために、熱を電気に変換する効率が低い。本発明者らが見積もったその変換効率は、1%未満であった。
熱伝導率の低減による変換効率の向上は、エネルギー再利用の有効性を高めるのみならず、最終的に得られる電力量を増加させ、発電コストを安くすることができる。つまり、ホイスラー合金系熱電材料などの様に、高熱伝導性の材料を実用化するには、熱伝導率の低減が必要不可欠である。
特開2004−253618号公報 まてりあ,第44巻,第8号,629(2005)
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、熱伝導率を低減し、高い熱電変換効率を有する高熱伝導性材料を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねて来た。その結果、熱電変換材料に熱伝導率のより低い添加物質を適当な割合で複合させることにより、熱電特性の電気的な成分である熱起電力と導電性を損なわずに、熱伝導率を低減させ、熱電変換材料の特性を向上させることができることを見出し、ここに、本発明を完成するに至った。本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、熱電変換材料と添加物質との複合化により熱伝導率を低減し、高い熱電変換効率を有する、優れた新規な熱電変換材料を提供することである。また、本発明の他の目的は、上記の複合熱電変換材料からなる熱電変換素子、及び熱電発電モジュールを提供するものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)ホイスラー構造を主相とし、一般式(Fe1−x1−yAl1−z(但し、式中、Mは、Co、Ni、Pd、Ir及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Lは、Ti、Cr、Mn、Zr及びMoからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Rは、Mg、Si、P、S、Ca、Ge、Sn、Sb及びBiからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、0≦x≦0.2;0≦y≦0.2;0≦z≦0.2である。)で表される組成を有する熱電変換材料を主成分とする熱電変換材料において、その主成分に対して、体積比率で多くても10vol%の割合で、周期表における第4〜6周期の12〜16族からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、及びその化合物から選択される物質を少なくとも1種添加して複合化した複合化熱電変換材料であって、
上記添加成分が、10μm以下の粒子の状態で主成分と混在すること又は上記添加成分が、主成分の粒子間に5μm以下の厚さの粒界層の状態で存在することを特徴とする上記複合化熱電変換材料。
(2)上記一般式で表される組成を有する熱電変換材料を主成分とする熱電変換材料において、その主成分に対して体積比率で多くても10vol%の割合で、S、Zn、Se、Sb、Te、Pb及びBiからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、及びその化合物から選択される物質を少なくとも1種添加して複合化した、前記(1)に記載の複合化熱電変換材料。
)上記熱電変換材料が、多結晶体からなる、前記(1)又は(2)に記載の複合化熱電変換材料。
)上記添加物の複合割合が、2〜8重量%である、前記(1)又は(2)に記載の複合化熱電変換材料。
)前記(1)から()のいずれかに記載の複合化熱電変換材料を含むことを特徴とする熱電変換素子。
)前記(1)から()のいずれかに記載の複合化熱電変換材料を含むことを特徴とする熱電変換モジュール。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、複合化熱電変換材料であって、ホイスラー構造を主相とし、一般式(Fe1−x1−yAl1−z(但し、式中、Mは、Co、Ni、Pd、Ir及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、Lは、Ti、Cr、Mn、Zr及びMoからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、Rは、Mg、Si、P、S、Ca、Ge、Sn、Sb及びBiからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、0≦x≦0.2;0≦y≦0.2;0≦z≦0.2である。)で表される組成を有する熱電変換材料を主成分とし、その主成分に対して、体積比率で多くても10vol%の割合で、周期表における第4〜6周期の12〜16族からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、及びその化合物からなる物質を少なくとも1種添加したことを特徴とするものである。
本発明の複合熱電変換材料は、熱電変換材料に熱伝導のより低い物質を少なくとも1種以上複合させたものである。上記添加物質は、10μm以下の微小粒子の状態で熱電変換材料中に分散するか、もしくは5μm以下の粒界層の状態で熱電変換材料の粒子間に存在することが好ましい。それにより熱電変換材料中において上記添加物質が微細に分散し、異種物質界面や添加物質の微小粒子点で熱の伝導が散乱される回数が大幅に増加し、熱伝導率が飛躍的に低減させられる。
上記熱電変換材料は、一般式(Fe1−x1−yAl1−z、で表わされる組成を有するホイスラー構造を主相とする熱電変換材料において、添加される物質は、周期表における第4〜6周期の12〜16族からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、及びその化合物からなることが好ましい。
上記の式中、Mは、Co、Ni、Pd、Ir及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、Lは、Ti、Cr、Mn、Zr及びMoからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、Rは、Mg、Si、P、S、Ca、Ge、Sn、Sb及びBiからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素である。
また、式中、x値は0≦x≦0.2、y値は0≦y≦0.2、z値は0≦z≦0.2であり、大きな熱起電力と低い電気抵抗率を同時に併せ持つ、高い熱電効果を発揮する物質とすることができる。また、添加される物質は、低い熱伝導率に加えて、熱起電力と導電率がともに高い、S、Zn、Se、Sb、Te、Pb及びBiからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、及びその化合物からなることがより好ましい。
本発明の複合熱電変換材料は、主成分となる熱電変換材料と副成分となる低熱伝導率物質を複合することにより製造される。製造過程は、熱電変換材料と低熱伝導率物質を、それぞれ焼結、溶融固化、結晶化などにより準備する過程と、それらの主・副成分を混合する過程、更に、得られた混合物を焼結や溶融した後に、固化する過程、に分けられる。熱電変換材料と低熱伝導率物質の化学的な反応性が低い場合は、熱電変換材料の作製段階で、あらかじめ低熱伝導率物質を混合し、上記3つの過程を同時に進行させることができる。
本発明の複合熱電変換材料は、主成分となる熱電変換材料に副成分となる低熱伝導率物質が均一、且つ微細に分散して存在することが重要であるが、そのような複合化の方法としては、例えば、熱電変換材料と低熱伝導率物質をそれぞれ固体の粉末の状態で用意し、ボールミリングやスタンプミル、ミキサーなどの任意の方法で粉砕・混合を行い、その後に焼結するなどの手段を用いることができる。
更に、副成分である低熱伝導率物質を主成分である熱電変換材料中に微細に分散させるために、例えば、熱電変換材料と低熱伝導率物質の混合物の焼結時に、熱電変換材料が固相であり、且つ低熱伝導率物質が液相である温度において、十分な加圧を行い、低融点物質を熱電変換材料の粒子間に浸透させるなどの手段を用いることができる。
本発明の複合熱電変換材料の内で、後述する実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた複合熱電変換材料の熱伝導率を測定した結果を図1に示す。比較例1は、低熱伝導率物質が複合されていない主成分の熱電変換材料のみのアーク溶解材で、結晶粒が数百μmと大きい場合であり、比較例2は、同様に、主成分の熱電変換材料のみの焼結体で、結晶粒が数百nmと細かい場合である。
実施例1〜4は、主成分の熱電変換材料の粒子の大きさが、比較例2と同程度であるにもかかわらず、低熱伝導率物質を複合させることにより、いずれも15〜50%程度、熱伝導率が低減されていることが認められる。更に、表1に示すように、熱伝導率以外の熱電特性である熱起電力と電気抵抗率は、主成分の熱電変換材料とほぼ同程度であり、最終的な熱電特性が向上していることが認められる。
上記した複合熱電変換材料は、熱電変換材料と低熱伝導率物質間の異種物質界面や低熱伝導率物質の微小粒子点でのフォノン散乱などの、低熱伝導率物質との複合化の効果により、熱伝導率が低減され、エネルギー変換効率が向上する。その結果として、得られる電力量の増加による発電コストの低減など、実用性が向上されることにより、熱電変換材料として有効に利用することが期待される。
本発明の複合熱電変換材料からなる熱電変換材料を、p型及びn型熱電変換素子のいずれか、もしくはp型、n型のいずれにも用いた熱電発電モジュールの一例の模式図を、図2に示す。該熱電発電モジュールの構造は、公知の熱電発電モジュールと同様であり、高温部用基板、低温部用基板、p型熱電変換材料、n型熱電変換材料、電極、導線等により構成される熱電発電モジュールであり、本発明の複合熱電変換材料は、p型及びn型熱電変換材料として使用される。
従来、室温付近の低温域で高い発電性能を有する熱電変換材料として、Fe、Alなどから構成されるホイスラー合金系材料が報告されている。これらのホイスラー合金系材料は、高い発電性能を実現しているが、熱伝導率が大きいために、熱を電気に変換する効率が低く、その変換効率は1%未満であった。これに対し、本発明は、主成分となるホイスラー構造を主相とする熱電変換材料に副成分となる低熱伝導率物質を微細に分散させて複合化することにより熱伝導率低減と従来材よりも高いエネルギー変換効率を持った熱電変換材料を提供することを実現したものである。本発明において、上記副成分の複合割合は、図1に示されるように、10重量%以下、特に2〜8重量%で有効であることが分かった。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)本発明により、元の熱電変換材料に比べて低い熱伝導率を有し、エネルギー変換効率が高い複合熱電変換材料を提供することができる。
(2)該複合熱電変換材料は、この様な特性を利用して、従来の熱電変換材料よりも高いエネルギー変換効率を持った熱電変換材料として有効に利用することができる。
(3)該複合熱電変換材料を熱電発電モジュールの熱電変換素子としてシステム中に組み込むことにより、これまで廃棄されていた熱エネルギーを有効に利用することが可能となる。
(4)該複合熱電変換材料を熱電変換素子としてシステム中に組み込み、熱電変換モジュールの変換効率を向上させることにより、電力あたりの発電コストを下げることが可能となる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
熱電変換材料として、FeVAl0.9Si0.1、低熱伝導率物質として、Biを用いた。まず、純度99.99質量%のFeと純度99.99質量%のAl、純度99.9質量%のV、及び純度99.99質量%のSiを、FeVAl0.9Si0.1の組成となるように秤量し、メカニカルアロイングにより混合及び合金化を十分に行った。
更に、純度99.99質量%のBiを、FeVAl0.9Si0.1合金粉末に対して4質量%の割合で秤量し、先に用意したFeVAl0.9Si0.1合金粉末と十分に混合を行った。得られた混合粉末を、外径30mm、内径10mm、高さ30mmの黒鉛製の型に充填し、40MPaの加圧下にて通電焼結を行った。焼結の雰囲気は10Pa程度の真空中とし、1000℃まで加熱した。
図3に、作製した焼結体の微細構造について、走査電子顕微鏡を用いて撮影した反射電子像を示す。図3において、白色の部分はBi粒子であり、その他の灰色の部分がFeVAl0.9Si0.1合金である。図3から、Biが、2〜3μm、もしくは更に細かい大きさの粒子となって分散している様子が確認される。
また、図4に、図3の一部を拡大したものを示す。図4の左下部分では、FeVAl0.9Si0.1粒子を取り囲むようにBi層が複合化されている様子が観察される。更に、図4の右上部分では、100nm〜数十nmのBi粒子が分散している様子が観察される。このようなBi層とFeVAl0.9Si0.1粒子の界面やBi微小粒子は、熱の伝導を妨げる要因となり、熱伝導率の低減効果を発揮すると考えられる。
表1に示すように、実施例1で得られた焼結体の熱伝導率は、7.2W/mKであり、比較例2に示すBiを含まないFeVAl0.9Si0.1焼結体の熱伝導率14.5W/mKに比べて、50%程度低減されていた。また、熱伝導率以外の熱電特性である熱起電力と電気抵抗率は、比較例2に示すBiを含まないFeVAl0.9Si0.1焼結体とほぼ同程度であり、最終的な熱電特性が向上していることが認められる。
実施例2〜4
FeVAl0.9Si0.1合金に対するBi混合割合を、2質量%、6質量%、10質量%として、実施例1と同様にして焼結体を作製した。得られた焼結体は、下記表1に示す通り、比較例2に示すBiを含まないFeVAl0.9Si0.1合金の熱伝導率14.5W/mKに比べて、15〜30%程度、低い熱伝導率を有するものであった。また、熱伝導率以外の熱電特性である熱起電力と電気抵抗率は、比較例2に示すBiを含まないFeVAl0.9Si0.1合金とほぼ同程度であり、最終的な熱電特性が向上していることが認められる。また、上述の一般式で表される組成を有する熱電変換材料において、添加物質を指定された他の元素に代えて同様の試験を実施した結果、同様の結果が得られた。これは、ホイスラー構造を主相とする熱電変換材料と化学的な反応性が乏しい物質を添加し、結晶学的に異なる相を複合させることにより、熱伝導の低減に寄与する異種物質間の異相界面や微小散乱点が導入されたためである。
比較例1
熱電変換材料として、FeVAl0.9Si0.1を、低熱伝導率物質を含まずに試料を作製した。試料の結晶粒径が数μmと粗大になるようにアーク溶解法を用いた。まず、99.99質量%のFeと99.99質量%のAl、99.9質量%のV、及び99.99質量%のSiを、FeVAl0.9Si0.1の組成となるように秤量し、乳鉢を用いて混合した。得られた混合粉末を、外径30mm、内径15mm、高さ30mmの黒鉛製の型に充填し、40MPaの加圧下にて通電焼結を行った。
焼結の雰囲気は10Pa程度の真空中とし、1000℃まで加熱した。得られた焼結体をアーク溶解法により溶解・凝固し、ボタン状の塊とした。更に、1000℃で48時間、引き続き400℃で6時間の熱処理を行い、試料がホイスラー構造を主相とする状態とした。得られたアーク溶解材の熱電特性である、熱伝導率、熱起電力及び電気抵抗率は、それぞれ19.7W/mK、−116μV/K及び0.303mΩcmであった。
比較例2
熱電変換材料として、FeVAl0.9Si0.1を、低熱伝導率物質を含まずに試料を作製した。試料の結晶粒径が実施例1〜4と同程度になるように、実施例1〜4と同様の方法を用いた。まず、99.99質量%のFeと99.99質量%のAl、99.9質量%のV、及び99.99質量%のSiを、FeVAl0.9Si0.1の組成となるように秤量し、メカニカルアロイングにより混合及び合金化を十分に行った。
得られた粉末を、外径30mm、内径10mm、高さ30mmの黒鉛製の型に充填し、40MPaの加圧下にて通電焼結を行った。焼結の雰囲気は10Pa程度の真空中とし、1000℃まで加熱した。
得られた焼結体の熱電特性である、熱伝導率、熱起電力及び電気抵抗率は、それぞれ14.5W/mK、−125μV/K、0.481mΩcmであった。比較例1のアーク溶解材の結晶粒径が数百μmであるのに対して、比較例2の焼結体の結晶粒径は数百nmであり、結晶粒の微細化により熱伝導率が低減していることが分かる。
実施例1〜4及び比較例1〜2より得られた低熱伝導率物質Biの複合割合と熱伝導率との関係を示すグラフである。 本発明の複合熱電変換材料を用いて作製される一般的な熱電変換素子を模式的に示す図面である。 実施例1で得られた複合熱電変換材料の微細構造を、走査電子顕微鏡を用いて撮影した反射電子像である。 実施例1で得られた複合熱電変換材料の微細構造を、走査電子顕微鏡を用いて撮影した反射電子像で、図3をより拡大した図である。

Claims (6)

  1. ホイスラー構造を主相とし、一般式(Fe1−x1−yAl1−z(但し、式中、Mは、Co、Ni、Pd、Ir及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Lは、Ti、Cr、Mn、Zr及びMoからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Rは、Mg、Si、P、S、Ca、Ge、Sn、Sb及びBiからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、0≦x≦0.2;0≦y≦0.2;0≦z≦0.2である。)で表される組成を有する熱電変換材料を主成分とする熱電変換材料において、その主成分に対して、体積比率で多くても10vol%の割合で、周期表における第4〜6周期の12〜16族からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、及びその化合物から選択される物質を少なくとも1種添加して複合化した複合化熱電変換材料であって、
    上記添加成分が、10μm以下の粒子の状態で主成分と混在すること又は上記添加成分が、主成分の粒子間に5μm以下の厚さの粒界層の状態で存在することを特徴とする上記複合化熱電変換材料。
  2. 上記一般式で表される組成を有する熱電変換材料を主成分とする熱電変換材料において、その主成分に対して体積比率で多くても10vol%の割合で、S、Zn、Se、Sb、Te、Pb及びBiからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、及びその化合物から選択される物質を少なくとも1種添加して複合化した、請求項1に記載の複合化熱電変換材料。
  3. 上記熱電変換材料が、多結晶体からなる、請求項1又は2に記載の複合化熱電変換材料。
  4. 上記添加物の複合割合が、2〜8重量%である、請求項1又は2に記載の複合化熱電変換材料。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の複合化熱電変換材料を含むことを特徴とする熱電変換素子。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の複合化熱電変換材料を含むことを特徴とする熱電変換モジュール。
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