JP2006027970A - 複合酸化物焼結体の製造方法 - Google Patents

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Yuji Mikami
祐史 三上
Ryoji Funahashi
良次 舟橋
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Abstract

【課題】高いゼーベック係数を有する酸化物を原料として、多結晶焼結体においても良好な電気伝導性を有し、高い熱電変換効率を発揮できる焼結体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記(i)及び(ii)の条件を満足する複合酸化物結晶粉末を成形した後、焼結させることを特徴とする複合酸化物焼結体の製造方法:
(i)一般式:CaaA1 bCocA2 dOe (式中、A1は、 Na、K、Li、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Pb、Sr、Ba、Al、Bi、Ag、Yおよびランタノイドからなる群から選択される一種又
は二種以上の元素であり、A2は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Mo、W、Nb、Ta、Bi及びAgからなる群から選択される一種又は二種以上の元素であり、2.2≦a≦3.6; 0≦b≦0.8; 2
≦c≦4.5; 0≦d≦2; 8≦e≦10である。)で表される組成を有すること、
(ii)最長辺の長さが3μm以上の結晶を90%以上含有し、結晶の最長辺の長さの平均値が5〜100μmであって、平均値±50%の範囲内にある結晶の割合が50%以上であること。
【選択図】図4

Description

本発明は、複合酸化物焼結体の製造方法、この方法によって得られる複合酸化物焼結体、該複合酸化物焼結体からなるp型熱電変換材料、及び熱電発電モジュールに関する。
我が国では、一次供給エネルギーからの有効なエネルギーの得率は30%程度しかなく、
約70%ものエネルギーを最終的には熱として大気中に廃棄している。また、工場やごみ焼
却場などにおいて燃焼により生ずる熱も、その殆どが他のエネルギーに変換されることなく大気中に廃棄されている。このように、我々人類は、非常に多くの熱エネルギーを無駄に廃棄しており、限りある化石燃料の燃焼などの行為から僅かなエネルギーしか獲得していない。
エネルギーの得率を向上させるためには、大気中に廃棄されている熱エネルギーを利用できるようにすることが有効である。そのための有効な一つの技術手段として、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する熱電変換がある。この熱電変換とは、ゼーベック効果を利用したものであり、熱電変換材料の両端に温度差を発生させることにより、電位差を生じさせて発電を行うエネルギー変換法である。この様な熱電変換を利用する発電、即ち、熱電発電では、熱電変換材料の一端を廃熱により生じた高温部に配置し、もう一端を大気中(室温部)に配置して、それぞれの両端に導線を接続するだけで電気が得られるので、一般的な発電に必要なモータやタービンなどの可動装置は不要である。このため、設備コストも安く、燃焼などによるガスの排出もなく、熱電変換材料が劣化するまで継続的に発電を行うことができる。また熱電発電は、高出力密度での発電が可能であるため、発電器(モジュール)そのものが小型、軽量化でき、携帯電話やノート型パソコン等の移動用電源としても用いることが可能である。
このように、熱電発電は、今後予測されるエネルギー資源の枯渇という重大な問題に対する解決策の一端を担う技術して期待されているが、熱電発電を実現するためには、高い熱電変換効率を有し、耐熱性、化学的耐久性などに優れた熱電変換材料を大量に供給することが必要となる。
現在、高い熱電変換効率を有する物質としては、金属間化合物が知られている。しかしながら、金属間化合物の熱電変換効率は最大でも10%程度であり、しかも空気中では約300℃以下の温度でしか利用できない。また、金属間化合物の種類によっては毒性元素や希少元素を構成元素とするものもある。
このため、廃熱を利用する熱電変換は未だ実用化されるには至っておらず、毒性が少なく現存量の多い元素により構成され、耐熱性、化学的耐久性などに優れ、高い熱電変換効率を有する材料の開発が期待されている。
近年、高い熱電変換効率を有する材料として、Ca、Bi、Sr、Naなどを含有するCo系複合酸化物が報告されている(非特許文献1)。しかしながら、これらの複合酸化物は、単結
晶状態では高い熱電変換効率を発揮できるものの、多結晶焼結体とすると単結晶の場合と比較して熱電変換効率が1/3程度まで低下する。この様な性能の低下は、多結晶焼結体では、単結晶の場合と比較して、電気抵抗が高いことが一因と考えられる。
熱電変換材料を実用化するためには、製造方法が比較的容易な多結晶焼結体の利用が望まれる。このため、多結晶焼結体においても良好な電気伝導性を有し、優れた熱電変換効
率を有する材料の開発が強く望まれている。
Xuら、Applied Physics Letters vol. 80, pp. 3760-3762 (2002)
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、高いゼーベック係数を有する酸化物を原料として、多結晶焼結体においても良好な電気伝導性を有し、高い熱電変換効率を発揮できる焼結体及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、特定の組成を有する板状結晶のCo系複合酸化物は、電気的異方性を有し、一定の結晶軸方向についての電気伝導性が良好であることを見出した。そして、この様な複合酸化物について、結晶粒の最長辺の長さが一定の範囲内にあり、粒径の良く揃った酸化物結晶粉末を原料として用いる場合には、これを成形し、焼結させることによって、結晶軸の方向が良く揃った電気抵抗率の低い多結晶焼結体が得られることを見出した。更に、該酸化物結晶粉末を成形する前に結晶軸の方向を揃える方法や、焼結させる際に一軸加圧する方法を適用する場合には、より一層電気抵抗率が低く、優れた熱電変換性能を有する酸化物焼結体が得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の複合酸化物焼結体の製造方法、複合酸化物焼結体、p型熱電変換材料及び熱電発電モジュールを提供するものである。
1. 下記(i)及び(ii)の条件を満足する複合酸化物結晶粉末を成形した後、焼結させることを特徴とする複合酸化物焼結体の製造方法:
(i)一般式:CaaA1 bCocA2 dOe (式中、A1は、Na、K、Li、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu
、Zn、Pb、Sr、Ba、Al、Bi、Ag、Yおよびランタノイドからなる群から選択される一種又
は二種以上の元素であり、A2は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Mo、W、Nb、Ta、Bi及びAgからなる群から選択される一種又は二種以上の元素であり、2.2≦a≦3.6 ; 0≦b≦0.8 ; 2≦c≦4.5 ; 0≦d≦2 ; 8≦e≦10である。)で表される組成を有すること、
(ii)最長辺の長さが3μm以上の結晶を90%以上含有し、結晶の最長辺の長さの平均値が5〜100μmであって、平均値±50%の範囲内にある結晶の割合が50%以上であること。
2. 複合酸化物結晶粉末が、結晶の厚さに対して結晶の最長辺の長さが3倍以上の結晶を70%以上含むものである上記項1に記載の複合酸化物焼結体の製造方法。
3. 複合酸化物結晶粉末の結晶軸の方向を揃えた後、成形し、焼結させることを特徴とする上記項1又は2に記載の方法。
4. 複合酸化物結晶粉末の結晶軸の方向を揃える方法が、下記(i)〜(iv)のいずれかの方法である上記項3に記載の方法:
(i)結晶粉末を板状にプレスし、プレスした板状の結晶を更に重ねて加圧成形する方法、
(ii)結晶粉末を液体中に懸濁させ、この懸濁液を濾過する方法、
(iii)粘性流体に結晶粉末を懸濁させた後、スリットを通過させる方法、
(iv)結晶粉末を含む懸濁液に一方向に磁場を掛ける方法。
5. 一軸加圧下に複合酸化物結晶粉末を焼結させる上記項1〜4のいずれかに記載の方法。
6. 一軸加圧下に焼結させる方法が、ホットプレス焼結法又は加圧下に放電焼結させる方法である上記項5に記載の方法。
7. 上記項1〜6のいずれかの方法によって得られる複合酸化物焼結体。
8. 絶対温度300K以上の温度で100(V/K以上のゼーベック係数を有する上記
項7に記載の複合酸化物焼結体。
9. 絶対温度300K以上の温度で10mΩcm以下の電気抵抗率を有する上記項7又は8に記載の複合酸化物焼結体。
10.絶対温度300K以上の温度で3W/mK以下の熱伝導度を有する上記項7〜9のいずれかに記載の複合酸化物焼結体。
11.上記項7〜10のいずれかに記載の複合酸化物焼結体からなるp型熱電変換材料。12.上記項11に記載のp型熱電変換材料を含む熱電発電モジュール。
以下、本発明の複合酸化物焼結体の製造方法について具体的に説明する。
原料粉末
(1)組成
本発明の複合酸化物焼結体の製造方法では、原料として、一般式:CaaA1 bCocA2 dOe (式
中、A1は、Na、K、Li、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Pb、Sr、Ba、Al、Bi、Ag、Yお
よびランタノイドからなる群から選択される一種又は二種以上の元素であり、A2は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Mo、W、Nb、Ta、Bi及びAgからなる群から選択される一種又は二種以上の元素であり、2.2≦a≦3.6 ; 0≦b≦0.8 ; 2≦c≦4.5 ; 0≦d≦2 ; 8≦e≦10である。)で表される組成を有する複合酸化物結晶の粉末を用いる。尚、上記一般式において、ランタノイド元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu等を例示できる。
上記一般式で表される複合酸化物は、正のゼーベック係数を有するものであり、該複合酸化物からなる材料の両端に温度差を生じさせた場合に、ゼーベック係数により生じる電位が、高温側の方が低温側に比べて低くなるp型熱電変換材料としての特性を示す。
上記一般式で表される複合酸化物の結晶は、Ca、Co及びOにより構成されるCa2CoO3という組成比の岩塩型構造を有する層と、六つの0が一つのCoに八面体配位し、その八面体がお互いに辺を共有するように二次元的に配列したCoO2層が交互に積層した構造を有するものであり、Caの一部がA1で置換され、さらにこの層のCoの一部及びCoO2層のCoの一部がA2によって置換されている。この様な構造を有する複合酸化物結晶は、層状構造の面方向、即ちab面方向に対する電気抵抗が非常に低い酸化物である。
(2)粒径
本発明の製造方法では、上記一般式で表される複合酸化物結晶の粉末として、最長辺の長さが3μm以上の結晶を90%以上含有するものを用いることが必要であり、好ましくは最長辺の長さが5μm以上の結晶を90%以上含有するものを用いる。更に、該複合酸化物結晶粉末は、結晶の最長辺の長さの平均値が5〜100μm、好ましくは5〜50μm、より好ましくは7〜25μmであって、平均値±50%の範囲内にある結晶の割合が50%以上であることが必要である。
尚、本明細書では、結晶の最長辺の長さは、走査型電子顕微鏡で観察される結晶像から測定したものであり、100個以上の結晶についての測定結果に基づいて評価する。
上記した条件を満足する複合酸化物結晶は、結晶粒が適度に成長し、しかも結晶粒の粒径がほぼ揃った状態であり、これを成形して焼成することによって、配向性の良い焼結体を得ることができる。
特に、本発明で用いる複合酸化物結晶粉末は、最長辺の長さが、最長辺に垂直方向の厚さに対して、3倍以上の板状結晶が70%以上含まれることが好ましく、90%以上含まれることがより好ましい。この様な複合酸化物結晶は、板状によく成長した結晶であり、
特に配向性が良好である。
(3)原料粉末の調製法
本発明で用いる複合酸化物結晶の粉末は、上記した条件を満足する限り、製造方法については特に限定はないが、特に、以下の方法によれば、上記した条件を満足し、板状に成長した結晶粒径のよく揃った複合酸化物を得ることができる。
まず、上記した条件を満足する複合酸化物結晶粉末を作製するための原料として、目的とする複合酸化物結晶と同様の組成を有し、最長径の長さが3μm未満の微結晶を60%以上含む微粉末状複合酸化物を用いる。
この様な微粉末状複合酸化物は、例えば、目的とする複合酸化物の元素成分比率と同様の元素成分比率となるように原料物質を混合し、焼成することによって製造することができる。原料物質としては、焼成により酸化物を形成し得るものであれば特に限定されず、元素単体、酸化物、各種化合物(炭酸塩等)等を使用できる。例えば、Ca源としては、カルシウム(Ca)、酸化カルシウム(CaO)、過酸化カルシウム(CaO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硝酸カルシウム(Ca(NO3)2)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、塩化カルシウム(CaCl2)およびその水和物、アルコキシド化合物(ジメトキシカルシウム(Ca(OCH3)2)、ジエトキシカルシウム(Ca(OC2H5)2)、ジプロポキシカルシウム(Ca(OC3H7)2)等)等を使用でき、Co源として
は、コバルト(Co)、酸化コバルト(CoO、Co2O3、Co3O4)、炭酸コバルト(CoCO3)、硝酸コバルト(Co(NO3)2)、水酸化コバルト(Co(OH)2)、塩化コバルト(CoCl2)、アルコキシド化合物(ジプロポキシコバルト(Co(OC3H7)2等)等を使用できる。その他の元素についても同様に
元素単体、酸化物、塩化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、アルコキシド化合物等を用いることができる。また本発明の複合酸化物の構成元素を二種以上含む化合物を使用しても良い。上記した原料物質は、各元素源の物質について、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
焼成温度及び焼成時間については、目的とする複合酸化物が形成される条件とすれば良く、特に限定されないが、例えば、800〜1200℃程度の温度範囲において、20時間〜40時
間程度焼成すれば良い。尚、原料物質として炭酸塩や有機化合物等を用いる場合には、焼成する前に予め仮焼きして原料物質を分解させた後、焼成して目的の複合酸化物を形成することが好ましい。例えば、原料物質として炭酸塩を用いる場合には、600〜800℃程度で10時間程度仮焼きした後、上記した条件で焼成すれば良い。
焼成手段は特に限定されず、電気加熱炉、ガス加熱炉等任意の手段を採用できる。焼成雰囲気は、通常、酸素気流中、空気中等の酸化性雰囲気中とすればよいが、原料物質が十分量の酸素を含む場合には、例えば、不活性雰囲気中で焼成することも可能である。生成する複合酸化物中の酸素量は、焼成時の酸素分圧、焼成温度、焼成時間等により制御することができ、酸素分圧が高い程、上記一般式における酸素比率を高くすることができる。
上記した方法によって、目的とする複合酸化物結晶と同様の組成を有する複合酸化物を得ることができる。この様にして得られた複合酸化物は、必要に応じて更に粉砕することによって、最長径の長さが3μm未満の微結晶を60%以上含む微粉末状複合酸化物とすればよい。
この様にして得られる微粉末状複合酸化物を用いて、上記した条件を満足する複合酸化物結晶粉末、即ち、最長辺の長さが3μm以上の結晶を90%以上含有し、結晶の最長辺の長さの平均値が5〜100μmであって、平均値±50%の範囲内にある結晶の割合が50%以上である、という条件を満足する複合酸化物結晶粉末を作製するには、まず、該微粉末状複合酸化物を、該複合酸化物より低融点であって、その溶融物中に上記微粉末状
複合酸化物を溶解可能な物質(以下、「フラックス成分」ということがある)と混合する。フラックス成分は、上記条件を満足する化合物であって、目的とする複合酸化物の特性を阻害しない物質である限り特に限定なく使用できる。特に、フラックス成分は、目的とする複合酸化物を溶解し難い溶媒、例えば、水、エタノール等に可溶性の物質であることが好ましい。この様な物質を用いることにより、目的とする複合酸化物結晶粉末を作製した後、洗浄などの方法で容易にフラックス成分を分離除去することができる。
フラックス成分の具体例としては、アルカリ金属化合物、ホウ素含有化合物などを挙げることができる。これらの内で、アルカリ金属化合物の具体例としては塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)などのアルカリ金属塩化物、それ
らの水和物;炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)などのアルカリ金属炭酸塩などを挙げることができる。ホウ素含有化合物の具体例と
しては、ホウ酸(B2O3)等を挙げることができる。フラックス成分は、一種単独又は2種以上混合して用いることができる。
フラックス成分の使用量は、使用するフラックス成分の種類、目的とする複合酸化物の組成、加熱温度などに応じて異なるので一概に規定できないが、加熱により溶融したフラックス成分中に、微粉末状複合酸化物の一部分のみが溶解する量とする。特に、フラックス成分の使用量は、フラックス成分の溶融物中への微粉末状複合酸化物の溶解量が50%未満となる量、即ち、微粉末状複合酸化物の50%以上が溶解することなく、溶け残る量とすることが好ましい。
微粉末状複合酸化物とフラックス成分の混合物の加熱温度は、フラックス成分の溶融温度以上であって、微粉末状複合酸化物の一部のみがフラックス成分の溶融物中に溶解する温度とする。好ましくは、フラックス成分の溶融物中への微粉末状複合酸化物の溶解量が50%未満となる温度とする。
この際、溶融容器からの汚染を回避すると共に配合成分の蒸発を防止するために、例えばアルミナ製坩堝を用いる場合には、加熱温度は、通常700℃〜950℃程度とすればよく、好ましくは800℃〜900℃程度とすればよい。
加熱時間は特に限定されず、微粉末状複合酸化物がフラックス成分の溶融物中に溶解するために必要な時間とすればよい。通常は1〜50時間程度とすればよい。加熱手段も特に限定されず、電気加熱炉、ガス加熱炉などの公知の手段を適宜採用することができる。
加熱時の雰囲気は、空気中や酸素気流中などの酸素含有雰囲気とすればよいが、上記混合物が十分量の酸素を含む場合には、不活性雰囲気中で加熱しても良い。
上記した方法で加熱することにより、フラックス成分の溶融物中には、微粉末状複合酸化物の内で粒径の小さい成分、例えば、1μm程度以下の小さい結晶が溶解し、比較的大きな結晶は溶解することなく残留する。このような小さい結晶成分が溶解し、比較的大きい結晶成分が残留した状態の混合物を冷却することによって、固体のままで溶け残った比較的大きな結晶上に、フラックス成分の溶融物中に溶解した複合酸化物成分が再結晶化する傾向があり、さらに大きな結晶へと成長する。この様な方法によって、最長辺の長さが3μm以上の結晶を90%以上含有し、最長辺の長さの平均値が5〜100μmであって、平均値±50%の範囲内にある結晶の割合が50%以上という条件を満足する複合酸化物結晶を得ることができる。
形成される複合酸化物結晶の具体的な大きさは、フラックス成分の種類、フラックスの添加量、加熱時間、加熱温度、冷却速度などによって変わり得るが、例えば、微粉末状複
合酸化物100重量部に対して、フラックス成分として、K2CO3を16重量部とKCl
を4重量部加え、850℃で20時間加熱した後、毎時300℃で冷却した場合には、
最長辺の長さが3μm以上の結晶を93%含有し、最長辺の長さの平均値が7μmで、最長辺の長さが3.5〜10.5μmの範囲にある結晶が全体の60%を占める複合酸化物結晶の粉末を得ることができる。
焼結方法
本発明によれば、上記した条件を満足する複合酸化物結晶粉末を所定の形状に成形した後、焼結させることによって、目的とする複合酸化物焼結体を得ることができる。この様な方法によれば、原料とする複合酸化物結晶が適度に成長した板状結晶であることから、成形し、焼結させる際に、結晶軸の方向が揃いやすく、優れた配向性を有する焼結体を得ることができる。得られた焼結体は、電気抵抗の低いab面が良く揃っており、ab面と平行方向に対する電気抵抗が非常に低い焼結体となる。
(1)配向化処理
本発明では、特に、上記複合酸化物結晶粉末を成形する前に、結晶粒子の結晶軸の方向を揃え、その後成形して、焼結させることが好ましい。
結晶軸の方向を揃える方法については特に限定はないが、例えば、効果的に配向させることが可能な方法として、下記の方法を例示できる。
(i)結晶粉末を板状にプレスし、この様なプレスした板状の結晶を更に重ねて加圧成形する方法。
(ii)結晶粉末を液体中に懸濁させ、この懸濁液を濾過することにより、板状結晶のよく成長した面を濾紙又はフィルター面に平行に配向させる方法。
(iii)一般的にドクターブレード法と呼ばれる方法により、粘性流体に結晶粉末を懸濁
させた後、スリットを通過させることにより、結晶を配向させる方法。
(iv)一般に磁気配向法と呼ばれる方法により、結晶の磁化の異方性を利用し、懸濁液に一方向に1〜10テスラ程度の磁場を掛けることによって、板状結晶のよく成長した面を配向させ、その後液体を除去する方法。
上記した各種方法を採用して結晶粒子の結晶軸の方向を揃える場合に、その処理の程度については特に限定的ではなく、目的とする焼結体の配向性の程度の応じて適宜決めればよい。
以下、本発明方法によって得られる焼結体の配向性の評価方法の一例について、測定方法の概略を模式的に示す図1を参照して説明する。
まず、試料(焼結体)表面に平行な面内で任意の軸(χ軸)を決定する。そのχ軸を含む面内に、試料に対してX線又は中性子線を照射する。このとき、その試料を構成する物質
の結晶構造に依存したある特定のθ角において強い回折が得られる。本発明方法によって得られる焼結体は、ab面からの回折が強く、この時のθをθabとする。通常このθabを中心としてθab±1°の範囲内で正規分布の形をした回折ピークが得られる。この回折ピー
クを積分することにより回折面積強度が得られる。
このようなθab±1°の範囲内でのX線又は中性子線回折測定を、χ軸を中心に試料を回転させて、χ=0°〜90°の範囲において行う。この時χ=0°は試料表面とθ軸が垂直になる配置の時である。あるχ角のときの回折面積強度をI(χ)とし、以下の式を用い
てI(χ)のχ=0°〜90°での平均値Irを求める。
そして、最も強い回折面積強度を示すχをχmaxとし、その時の回折面積強度をImax (=I(χmax))としたとき、以下の式により得られる値がその試料の配向性を定量化した値DDmaxとなる。
全く配向性が無く、結晶粒の向きが完全にランダムな試料をこの方法を用いて評価した場合、得られるDDmax値は1である。これに対して、試料の配向性が高いほど値は大きくなる。例えば後述する実施例1の試料ではDDmax値は11であり、配向性の劣る比較例のDDmax
値は4であった。
本発明方法によって得られる焼結体が、十分に低い電気抵抗率となるためには、上記方法で求めたDDmax 値が6程度以上であることが好ましく、8程度以上であることがより好
ましく、10程度以上であることが更に好ましい。従って、上記(i)〜(iv)の方法を採用して結晶軸の方向を揃える場合には、得られる焼結体のDDmax 値が十分に高い値となるように処理を行うことが好ましく、特に、8程度以上となる程度まで処理を行うことが好ましい。
本発明では、上記した各種の方法を採用して結晶の方向を揃え、成形した後、焼成することによって、より一層電気抵抗率が低く、熱電変換効率に優れた多結晶焼結体を得ることができる。
(2)成形及び焼結方法
成形方法については特に限定はなく、目的とする焼結体の形状に応じて、一軸加圧成形等の方法を適宜適用できる。
焼結温度及び焼結時間については、特に限定はなく、目的とする焼結体が形成される条件とすれば良い。例えば、700〜1200℃程度の温度範囲で目的とする焼結体が得られるまで焼成すればよい。焼結時の雰囲気は、通常、大気中、酸素気流中などの酸化性雰囲気中とすればよいが、十分量の酸素を含む場合には、不活性雰囲気中で加熱しても良い。
特に、本発明では、結晶のよく成長した面、即ち、ab面に垂直方向に一軸加圧した状態で焼結させることが好ましい。一軸加圧下で焼結させることによって、結晶粉末の粒成長方向を制御することが可能となり、結晶粒が配向性よく成長し、結晶粒の方向がよく揃った高配向性の複合酸化物焼結体を得ることができる。
一軸加圧した状態で焼結させる方法としては、ホットプレス焼結法や加圧下での放電プラズマ焼結法(SPS)等を採用できる。ホットプレス焼結の条件としては、例えば、3〜100MPa程度の加圧下において、加熱温度700〜950℃程度、好ましくは80
0℃〜900℃程度で、加熱時間1〜40時間程度とすればよい。加圧下での放電プラズマ焼結の条件としては、例えば、3〜100MPa程度の加圧下において、加熱温度70
0〜950℃程度、好ましくは800℃〜900℃程度で、加熱時間10分〜1時間程度とすればよい。これらの方法によれば、結晶粒のab面が加圧軸に対して垂直に良く揃った状態の焼結体を得ることができる。
複合酸化物焼結体
図2に、一軸加圧下に焼結させた焼結体の例として、後述する実施例1で得られた焼結体について、加圧軸に垂直な面のX線回折パターン(a)と加圧軸に平行な面のX線回折パターン(b)を示す。加圧軸に垂直な面のX線回折パターン(a)では、(00l)で指数付
けされる回折ピークが強く現れ、加圧軸に平行な面のX線回折パターン(b)では、(00l)以外のピークの回折強度が大きくなった。この結果は、本発明方法で得られる複合酸化
物焼結体では、結晶粒のab面が加圧軸に対して垂直に揃っていることを意味している。
本発明の目的物である複合酸化物焼結体は、二種類の異なる副格子がc軸方向に交互積
層した構造を有するため、ab面がよく成長する。焼結時の一軸加圧により結晶の向きが加圧軸に垂直な面内に制限され、さらに結晶粉末の粒径が大きいことや、最長辺と厚さの比が大きいこと、粒径が揃っていることなどが加圧効果を増幅させるため粒の加圧面内での配向が助長される。その結果、一軸加圧下に焼結させる方法を採用することによって、結晶軸の方位が非常によく揃った焼結体を得ることができ、
図3に、後述する実施例1で得られた複合酸化物焼結体について、加圧軸に平行な面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。図3からは、板状結晶粒が加圧軸方向に積み重なっ
ている様子が観察され、よく成長したab面が手前から奥へ広がっていることが判る。
本発明方法によって得られる複合酸化物焼結体は、高いゼーベック係数を有するものであり、p型熱電変換材料として有効に用いることができる。
上記した方法で得られる複合酸化物焼結体は、電気抵抗が低いab面の方向が、多くの結晶粒で配向性良く揃っているために電気抵抗率が低く、300K以上の温度において、
10mΩcm程度以下の低い電気抵抗率を有するものとなる。特に、一軸加圧下に焼結させた場合には、結晶粒の配向性が非常に高くなり、更に、高密度化されることにより、電気抵抗率が非常に低くなり、300K以上の温度において、5mΩcm程度以下という非
常に低い電気抵抗率を有するものとすることができる。
以上の通り、本発明方法によって得られる複合酸化物焼結体は、高いゼーベック係数と良好な電気伝導性を同時に有するものであり、高い熱電変換効率を有する材料である。このため、該複合酸化物焼結体は、この様な特性を利用して、空気中において高温で用いるp型熱電変換材料として有効に利用することができる。
本発明の複合酸化物焼結体からなる熱電変換材料をp型熱電変換素子として用いた熱電
発電モジュールの一例の模式図を図4に示す。該熱電発電モジュールの構造は、公知の熱電発電モジュールと同様であり、高温部用基板、低温部用基板、p型熱電変換材料、n型熱電変換材料、電極、導線等により構成される熱電発電モジュールであり、本発明の複合酸化物はp型熱電変換材料として使用される。
以上の通り、本発明方法によって得られる複合酸化物焼結体は、正のゼーベック係数と低い電気抵抗率を有し、耐熱性、化学的耐久性などにも優れた多結晶体の焼結体である。
該複合酸化物焼結体は、この様な特性を利用して、従来の金属間化合物では不可能であ
った、高温の空気中で用いるp型熱電変換材料として有効に利用することができ、高い熱
電変換効率を発揮することができる。
よって、該複合酸化物焼結体を熱電発電モジュールのp型熱電変換素子としてシステム
中に組み込むことにより、これまで大気中に廃棄されていた熱エネルギーを有効に利用することが可能となる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。
実施例1
複合酸化物結晶の粉末の製造方法
下記の方法によって、平均組成:Ca3Co49で表される複合酸化物結晶の粉末を作製
した。
まず、CaCO3及びCo3O4の原料粉末をCa:Co=3:4となるように混合し、800℃で10時間空気中で加熱し、冷却後、焼成物を乳鉢と乳棒を用いて粉砕混合した。その後、さらに880℃
で20時間酸素中で加熱してCa3Co4O9の焼成物を作製した。
この焼成物を自動粉砕器により粉砕して、十分細かい粉末を得た。この粉末では、最長辺の長さが3μm以上の結晶の比率は20%であった。
次にK2CO3とKClを4:1のモル比の割合で混合した粉末を、上記方法で得たCa3Co4O9粉末
100重量部に対して20重量部混合し、850℃で20時間加熱した後、300℃/時間の速度で冷却した。
得られた生成物を蒸留水で超音波洗浄することにより、K2CO3とKClを洗い流した。その後、乾燥させ水分を蒸発させることにより、Ca3Co4O9粉末を得た。
得られたCa3Co4O9粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真は図5に示す通りである。この様なSEM写真約50枚を用い、約1000個の結晶粒子について結晶粒の大きさを測定したところ、最長辺の長さが3μm以上の結晶粒子の個数が93%であった。また、最長辺の長さの平均は7μmであり、7μm±50%の範囲内にある結晶の数は60%であった。
焼結体の製造方法
上記した複合酸化物結晶粉末を原料として、厚さ0.3mm程度で直径15mmの円板状に200MPaの圧力でプレス加工し、この様な円柱状に加工された原料30枚(合計約10g)を重ねてさらに250MPaの圧力で加圧して直径20mmまで展延した。この展延過程で板状結晶粒のab面が加圧面に対して平行になるように揃い、加圧成形体の配向性が向上した。
次いで、得られた成形体を5MPaで一軸加圧しながら、880℃で20時間加熱して、ポットプレス焼結させた。得られた焼結体の大きさは、直径25mm、厚さ4mmであ
った。
焼結体の特性
得られた焼結体のX線回折パターンは図2に示す通りであり、加圧軸に垂直な面(a)では、(00l)で指数付けされる回折ピークが強く現れており、結晶粒のab面が加圧軸に対し
て垂直に揃っていること判る。
図3は、得られた焼結体の加圧軸に平行な面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、板
状結晶粒が加圧軸方向に積み重なっている様子が観察される。
図3には、比較例として、最長辺の平均値が2μmであり、最長辺の長さが3μm以上の結晶の割合が20%の結晶粉末を用いて、実施例1の焼結体の製造方法と同様にして作製した複合酸化物焼結体について、加圧軸に平行な面のSEM写真を示す。この写真から明らかなように、結晶粒径の小さい複合酸化物結晶粉末を用いて得られた比較例の焼結体は、実施例1で得られた焼結体と比べると明らかに配向性が劣るものであった。比較例の焼結体の作製に用いた複合酸化物粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図5示す。実施例1の焼結体の作製に用いた複合酸化物粉末と比較して、微細な結晶粒子であることが確認できる。
尚、実施例1で得られた焼結体について、上述した方法で測定したDDmax値は11で
あるのに対して、比較例の焼結体のDDmax値は4であり、この点からも本発明方法で得
られた焼結体の配向性が良好であることが確認できた。
得られた焼結体について300Kから1073Kにおけるゼーベック係数(S)の温度依存性を表すグラフを図6に示す。図6には、上記した比較例の焼結体についてのゼーベック係数の測定値も示す。
後述する図7〜9においても、比較例として、同様にして得られた焼結体についての測定値を示す。
図6から、実施例1の複合酸化物は、300K以上の温度において100μV/K以上の正のゼーベック係数を有するものであり、高温側が低電位となるp型熱電変換材料であることが確
認できた。なお、後述するすべての他の実施例においても、ゼーベック係数は、300K以上において、100μV/K以上という高い値を示し、実施例1と同様の傾向が示された。
上記焼結体の300Kから1073Kにおける電気抵抗率の温度依存性を示すグラフを図7に示
す。図7から、実施例1で得られた焼結体は、300K以上の温度において、5mΩcm程度の低い電気抵抗率であることが判る。これに対して、原料として、結晶粒径の小さい複合酸化物粉末を用いた比較例の焼結体は、実施例1と同様の方法でプレス成形した場合であっても、電気抵抗率は10mΩcmを上回る値であり、電気伝導性が劣るものであった。なお、後
述するすべての他の実施例においても、得られた焼結体の電気抵抗率は、300K以上において10mΩcm以下という低い値を示し、実施例1と同様の傾向が示された。
図8は、実施例1の焼結体の300Kから1073Kにおける熱伝導率の温度依存性を示すグラ
フである。図8から、実施例1で得られた焼結体の熱伝導率は、300K以上の温度で、3W/mK以下の低い値であることがわかる。なお、すべての他の実施例においても、熱伝導率は
、300K以上において、3W/mK以下という低い熱伝導率を示し、実施例1と同様の傾向が示された。
さらに、実施例1の焼結体と比較例の焼結体について、300Kから1073Kにおける熱電無
次元性能指数の温度依存性を示すグラフを図9に示す。
ここでZTは、下記の式によって定義されるものであり、材料の熱電変換効率を示し、この値が高いほど変換効率が高くなる。
ZT = S2T/ρκ
S : ゼーベック係数、T : 絶対温度、ρ : 電気抵抗率、κ : 熱伝導率
実施例1の焼結体では、熱電無次元性能指数は温度と共に増加し、1073Kでは0.4を上回った。尚、すべての他の実施例においても、熱電無次元性能指数は1073Kでは0.4を上回った。
実施例2〜210
焼結体作製のための原料とする複合酸化物結晶の粉末の元素比、平均粒径、及び最長辺の長さが3μm以上の粒子の割合、結晶粒径の平均値±50%の範囲内にある結晶の割合が下記表1〜表12に示す値であること以外は、実施例1と同様にして、各焼結体を作製した。
各焼結体作製時の結晶の配向方法についても各表に示す。表中の配向方法の項に、積層法とあるのは実施例1と同様の方法で配向させたものであり、スリット法とあるのは、複合酸化物結晶粉末をフロリーナート中で撹拌混合し、1〜3mm幅のスリットを通過させて結晶を配向化させたものである。
尚、実施例3では、成形体を作製する際に結晶粒の配向を高めるための処理は行わず、250MPaの圧力でプレス加工して、厚さ5mm程度、直径20mm程度のペレット状の試料を作製した。また、その後の焼結過程は大気圧下で行った。その他、温度等の条件については実施例1と同様とした。
実施例4については、実施例3と同様に、成形体を作製する際に結晶粒の配向を高める
ための処理は行わず、250MPaの圧力でプレス加工して、厚さ5mm程度、直径20mm程度のペレット状の試料を作製した。その後の焼結過程は実施例1と同様に一軸加圧下で行った。その他、温度等の条件については実施例1と同様とした。
各焼結体についての熱電無次元性能指数(ZT)及びDDmax値を表1〜12に示す。
尚、各実施例において用いた製造原料は下記に示すものである。
・Ca源…炭酸カルシウム(CaCO3)ただし実施例83−100では硝酸カルシウム(Ca(NO3)2)
・Bi源…酸化ビスマス(Bi2O3)
・Co源…酸化コバルト(Co3O4)ただし実施例83−100では硝酸コバルト(Co(NO3)2)
・Li源…炭酸リチウム(Li2CO3)
・Na源…炭酸ナトリウム(Na2CO3)
・Sr源…炭酸ストロンチウム(SrCO3)
・La源…硝酸ランタン(La(NO3)3)
・Ba源…炭酸バリウム(BaCO3)
・Ag源…酸化銀(Ag2O)
・Ni源…酸化ニッケル(NiO)
・Cu源…酸化銅(CuO)
・Pb源…酸化鉛(PbO)
・Al源…酸化アルミニウム(Al2O3)
焼結体の配向性の評価方法を模式的に示す図面。 実施例1で得られた複合酸化物焼結体の加圧軸に垂直な方向(a)と平行な方向(b)についてのX線回折パターン。 実施例1で得られた複合酸化物焼結体と比較例の焼結体について、加圧軸に平行な面の走査型電子顕微鏡写真。 本発明方法で得られる複合酸化物焼結体を熱電変換材料として用いた熱電変換モジュールの模式図。 実施例1で用いた複合酸化物結晶粉末と比較例で用いた粉末についての走査型電子顕微鏡写真。 実施例1で得られた複合酸化物焼結体と比較例の焼結体について、ゼーベック係数の温度依存性を示すグラフ。 実施例1で得られた複合酸化物焼結体と比較例の焼結体について、電気抵抗率の温度依存性を示すグラフ。 実施例1で得られた複合酸化物焼結体と比較例の焼結体について、熱伝導率の温度依存性を示すグラフ。 実施例1で得られた複合酸化物焼結体と比較例の焼結体について、熱電性能指数ZTの温度依存性を示すグラフ。

Claims (12)

  1. 下記(i)及び(ii)の条件を満足する複合酸化物結晶粉末を成形した後、焼結させることを特徴とする複合酸化物焼結体の製造方法:
    (i)一般式:CaaA1 bCocA2 dOe (式中、A1は、Na、K、Li、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu
    、Zn、Pb、Sr、Ba、Al、Bi、Ag、Yおよびランタノイドからなる群から選択される一種又
    は二種以上の元素であり、A2は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Mo、W、Nb、Ta、Bi及びAgからなる群から選択される一種又は二種以上の元素であり、2.2≦a≦3.6 ; 0≦b≦0.8 ; 2≦c≦4.5 ; 0≦d≦2 ; 8≦e≦10である。)で表される組成を有すること、
    (ii)最長辺の長さが3μm以上の結晶を90%以上含有し、結晶の最長辺の長さの平均値が5〜100μmであって、平均値±50%の範囲内にある結晶の割合が50%以上であること。
  2. 複合酸化物結晶粉末が、結晶の厚さに対して結晶の最長辺の長さが3倍以上の結晶を70%以上含むものである請求項1に記載の複合酸化物焼結体の製造方法。
  3. 複合酸化物結晶粉末の結晶軸の方向を揃えた後、成形し、焼結させることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 複合酸化物結晶粉末の結晶軸の方向を揃える方法が、下記(i)〜(iv)のいずれかの方法である請求項3に記載の方法:
    (i)結晶粉末を板状にプレスし、プレスした板状の結晶を更に重ねて加圧成形する方法、
    (ii)結晶粉末を液体中に懸濁させ、この懸濁液を濾過する方法、
    (iii)粘性流体に結晶粉末を懸濁させた後、スリットを通過させる方法、
    (iv)結晶粉末を含む懸濁液に一方向に磁場を掛ける方法。
  5. 一軸加圧下に複合酸化物結晶粉末を焼結させる請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 一軸加圧下に焼結させる方法が、ホットプレス焼結法又は加圧下に放電焼結させる方法である請求項5に記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの方法によって得られる複合酸化物焼結体。
  8. 絶対温度300K以上の温度で100(V/K以上のゼーベック係数を有する請求項7に
    記載の複合酸化物焼結体。
  9. 絶対温度300K以上の温度で10mΩcm以下の電気抵抗率を有する請求項7又は8に記載の複合酸化物焼結体。
  10. 絶対温度300K以上の温度で3W/mK以下の熱伝導度を有する請求項7〜9のいずれかに記載の複合酸化物焼結体。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載の複合酸化物焼結体からなるp型熱電変換材料。
  12. 請求項11に記載のp型熱電変換材料を含む熱電発電モジュール。
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