JP3862350B2 - ソリッドゴルフボール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソリッドゴルフボールに関する。さらに詳しくは、本発明は、打球感(打球時のフィーリング)およびコントロール性が良好で、かつ飛行性能および耐カット性が満足すべき水準にあるソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフボールのカバー用基材樹脂としては、アイオノマー樹脂が広範に使用されている(例えば、特公昭49−27093号公報)。特にソリッドコアを用いたツーピースソリッドゴルフボールでは、ほとんどの場合、アイオノマー樹脂がカバーの基材樹脂として使用されている。これは、アイオノマー樹脂が、耐久性、耐カット性、反発性に優れ、かつ加工しやすいという理由によるものである。
【0003】
しかし、このアイオノマー樹脂は、かなり高い硬度と剛性を有するため、糸巻きゴルフボールのカバー用基材樹脂として使用されているバラタ(トランスポリイソプレン)に比べて、打球感やコントロール性(スピンのかけ易さ)の点で劣っている。
【0004】
そのため、アイオノマー樹脂を種々の手段で軟質化することによって、打球感やコントロール性を改良することが試みられている。
【0005】
例えば、特開平1−308577号公報や特開平5−3931号公報には、アイオノマー樹脂にα−オレフィンとアクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸とアクリレートエステルとの三元共重合体のナトリウムイオンまたは亜鉛イオン中和軟質アイオノマー樹脂をブレンド(混合)することによって、高剛性のアイオノマー樹脂を軟質化し、打球感やコントロール性を改善することが提案されている。
【0006】
しかしながら、上記のような軟質アイオノマー樹脂のブレンドによっても、特に打球感においてバラタカバーに近いものは得られず、しかも軟質アイオノマー樹脂のブレンドに伴って反発性能や飛行性能の低下が生じるため、充分な成果をあげるにいたっていない。
【0007】
また、特開平5−220240号公報には、アイオノマー樹脂とグリシジル基を構成成分として含有するポリマーとのブレンドにより、打球感やコントロール性を改良することが提案されている。この方法によれば、打球感やコントロールは多少改善されるものの、いまだ充分でなく、特に反発性能や飛行性能などにおいて充分な特性を有するものが得られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、アイオノマー樹脂をカバーの基材樹脂として用いたゴルフボールは、打球感やコントロール性が悪く、また、それを改良する提案も、反発性能や飛行性能の低下を招くなど、充分な成果をあげるにいたっていない。
【0009】
したがって、本発明は、打球感およびコントロール性が良好で、かつ飛行性能および耐カット性が満足すべき水準にあるソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記事情に鑑み、バラタカバーに近い優れた打球感やコントロール性とアイオノマー樹脂に基づく優れた飛行性能や耐カット性とを両立させるべく、カバーの基材樹脂について鋭意研究を重ねた結果、アイオノマー樹脂と、軟質の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、さらにそれら両者との反応性を有する軟質のエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体または軟質のエポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とを加え、それらを加熱混合して得られる樹脂混合物をカバーの基材樹脂の主成分として用いる時は、打球感およびコントロール性が良好で、かつ飛行性能、耐カット性、耐久性などが満足すべき水準にあるソリッドゴルフボールが得られることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0011】
すなわち、本発明は、ソリッドコアと該ソリッドコアを被覆するカバーを有するソリッドゴルフボールにおいて、上記カバーの基材樹脂が、アイオノマー樹脂と、酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、エポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体またはエポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体との加熱混合物を主成分として構成され、カバーを構成するカバー用組成物の曲げ剛性率が50〜300MPaで、かつショアーD硬度が40〜60であることを特徴とするソリッドゴルフボールである。上記エポキシ基を含有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体におけるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体部分は、SBS構造のブロック共重合体と略称されているものであり、また、エポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体におけるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体部分は、SIS構造のブロック共重合体と略称されているものである。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明するが、その説明にあたっては、アイオノマー樹脂を(A)成分とし、酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーを(B)成分とし、エポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体またはエポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を(C)成分として説明する。
【0013】
本発明においては、(A)成分のアイオノマー樹脂に、軟質成分として(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーを添加しているので、それによってアイオノマー樹脂が軟質化され、打球感およびコントロール性が改善される。しかも、上記(A)成分のアイオノマー樹脂、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーに、(C)成分の軟質のエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体または軟質のエポキシ基を有するポリイソプレンブロックを有するスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を加えて加熱混合しているので、その加熱混合時に(C)成分のエポキシ基を含有するブロック共重合体のエポキシ基が、(A)成分のアイオノマー樹脂中の遊離のカルボキシル基、および(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー若しくはエチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体中の酸、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマー中の−OH基と反応して、軟質成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーのアイオノマー樹脂への均一微分散が達成され、かつ酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーの反発性能の向上が達成されるので、アイオノマー樹脂の有する優れた飛行性能(反発性能)や耐カット性などの低下が抑制されて、打球感およびコントロール性が良好で、かつ飛行性能、耐カット性、耐久性などが優れたソリッドゴルフボールが得られるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において、カバーの基材樹脂を構成する成分のうち、(A)成分として用いるアイオノマー樹脂としては、例えば、α−オレフィンと炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和して得られるもの、またはα−オレフィンと炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数2〜22のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和して得られるものが挙げられる。そして、それらの組成比としては、アイオノマー樹脂のベースポリマーがα−オレフィンと炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸との共重合体の場合、α−オレフィンが80〜90重量%で、α,β−不飽和カルボン酸が10〜20重量%であることが好ましく、ベースポリマーがα−オレフィンと炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数2〜22のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の場合、α−オレフィンが70〜85重量%で、α,β−不飽和カルボン酸が5〜20重量%で、α,β−不飽和カルボン酸エステルが10〜25重量%であることが好ましい。また、これらのアイオノマー樹脂は、メルトインデックス(MI)が0.1〜20、特に0.5〜15であることが好ましい。
【0015】
上記のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどが用いられ、特にエチレンが好ましく、炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸などが用いられ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。また、炭素数2〜22の不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などのメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステルなどが用いられ、特にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが好ましい。上記α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体またはα−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸と炭素数2〜22のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。そして、アイオノマー樹脂が、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものである場合は、そのメルトインデックスが3〜7で、曲げ剛性率が200〜400MPaのいわゆる高剛性ハイフロータイプのものであることが好ましい。
【0016】
上記のようなアイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、例えば、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7318(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミランAM7315(Zn)、ハイミランAM7317(Zn)、ハイミランAM7311(Mg)、ハイミランMK7320(K)や、三元共重合体系アイオノマー樹脂としてのハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)、ハイミランAM7316(Zn)などが挙げられる。米国デュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、サーリン8920(Na)、サーリン8940(Na)、サーリンAD8512(Na)、サーリン9910(Zn)、サーリンAD8511(Zn)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)や、三元共重合体系アイオノマー樹脂としてのサーリンAD8265(Na)、サーリンAD8269(Na)などが挙げられる。エクソン化学社から市販されているアイオノマー樹脂としては、アイオテック7010(Zn)、アイオテック8000(Na)などが挙げられる。なお、上記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mgなどは、それらの中和金属イオンの金属種を示している。また、本発明において、アイオノマー樹脂としては、上記例示のものを2種以上混合して用いてもよいし、もとより上記例示の一価の金属イオンで中和したアイオノマー樹脂と二価の金属イオンで中和したアイオノマー樹脂とを2種以上混合して用いてもよい。
【0017】
(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーにおける酸変性熱可塑性エラストマーとしては、例えば、無水マレイン酸変性熱可塑性エラストマーが挙げられ、また末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーとしては、例えば、SEBS構造を持つブロック共重合体、SEPS構造を持つブロック共重合体が挙げられる。このSEBS構造とはスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体中のブタジエン部分の二重結合に水素添加した構造であり、SEPS構造とはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体中のイソプレン部分の二重結合に水素添加した構造である。この末端に−OH基が付加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体中のブタジエン部分の二重結合に水素添加した構造または末端に−OH基が付加したスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体中のイソプレン部分の二重結合に水素添加した構造を持つブロック共重合体において、そのスチレン含量は10〜70重量%、特に15〜50重量%であることが好ましい。上記スチレン含量が10重量%より少ない場合は、カバーが軟らかくなりすぎて耐カット性が低下するおそれがあり、上記スチレン含量が70重量%より多い場合は、アイオノマー樹脂の軟質化が充分に達成できず、打球感やコントロール性が悪くなるおそれがある。なお、以下において、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体中のブタジエン部分の二重結合に水素添加した構造をSEBS構造と略記し、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体中のイソプレン部分の二重結合に水素添加した構造をSEPS構造と略記する。
【0018】
上記無水マレイン酸変性熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、旭化成工業(株)から「タフテックMシリーズ」の商品名で、水素添加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の無水マレイン酸付加物が種々のグレードで上市されており、また住友化学工業(株)からは「ボンダイン」の商品名で、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体が種々のグレードで上市され、三井デュポンポリケミカル(株)からも「ARシリーズ」の商品名で、エチレン−エチルアクリレート共重合体の無水マレイン酸によるグラフト変性物が種々のグレードで上市され、また(株)クラレからは「XE−1403」の商品名で、無水マレイン酸変性のハードセグメントが結晶性ポリオレフィンでソフトセグメントが非晶性ポリオレフィンのブロックポリマーが上市されている。
【0019】
上記エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体としては、例えば、三井デュポンポリケミカル(株)から「ニュークレルAN4212C」、「ニュークレルN0805J」などの商品名で、エチレン−イソブチルアクリレート−メタクリル酸三元共重合体などが市販されている。
【0020】
上記末端に−OH基が付加したSEBS構造またはSEPS構造を持つブロック共重合体の市販品としては、例えば、(株)クラレから「HG−252」の商品名で、水素添加したスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の末端に−OH基が付加したものが市販されている。
【0021】
(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーは、(A)成分のアイオノマー樹脂の軟質化を目的として使用されるものであり、カバーを構成するカバー用組成物の曲げ剛性率を50〜300MPaで、ショアーD硬度を40〜60にするには、JIS−A硬度が30〜90またはショアーD硬度が5〜40であることが好ましい。上記酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーのJIS−A硬度が30またはショアーD硬度が5より低い場合は、カバーが軟らかくなりすぎて、耐カット性が低下するおそれがあり、またJIS−A硬度が90またはショアーD硬度が40より高い場合は、(A)成分のアイオノマー樹脂の軟質化が充分に達成できず、打球感やコントロール性が充分に改善されなくなるおそれがあり、特にJIS−A硬度が40〜88またはショアーD硬度が10〜40であることが好ましい。なお、JIS−A硬度とはJIS−A型硬度計でJIS K−6301に準じて測定した硬度であり、ショアーD硬度はショアーD型硬度計でASTM D−2240に準じて測定した硬度である。
【0022】
本発明において、(C)成分のエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体とは、両末端にポリスチレンを持つブロック共重合体で、その中間層がエポキシ基を含有するポリブタジエンであり、そのポリブタジエン部分の二重結合の一部または全部に水素添加したものであってもよい。また、エポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とは、両末端にポリスチレンを持つブロック共重合体で、その中間層がエポキシ基を含有するポリイソプレンであり、そのポリイソプレン部分の二重結合の一部または全部に水素添加したものであってもよい。
【0023】
ここで(C)成分のエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の基本構造を示すと、次の式(I)に示す通りである。
【0024】
【化1】
Figure 0003862350
【0025】
また、(C)成分のエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体は、上記基本構造を示す式(I)中のポリブタジエン部分の二重結合の一部または全部に水素添加したものであってもよい。そして、(C)成分のエポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、その基本構造が上記式(I)中のポリブタジエンブロックがポリイソプレンブロックに置き換わったものであり、また、(C)成分のエポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体は、その基本構造式中のポリイソプレン部分の二重結合の一部または全部に水素添加したものであってもよい。以下、この(C)成分に関して、簡略化して、エポキシ化SBS構造またSIS構造のブロック共重合体と略称する。
【0026】
上記(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体のスチレン含量は10〜50重量%、特に15〜45重量%であることが好ましい。上記スチレン含量が10重量%より少ない場合は、カバーが軟らかくなりすぎて、耐カット性が低下するおそれがあり、上記スチレン含量が50重量%より多い場合は、(A)成分のアイオノマー樹脂の軟質化が充分に達成できず、打球感やコントロール性が悪くなるおそれがある。
【0027】
また、上記(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体のエポキシ基含量は0.05〜10重量%、特に0.2〜5重量%であることが好ましい。上記エポキシ基含量が0.05重量%より少ない場合は、エポキシ基の反応量が少なくなり、(A)成分のアイオノマー樹脂中への(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーや、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体の分散性が低下して、耐久性が悪くなるおそれがある。また、上記エポキシ基含量が10重量%よりも多い場合は、エポキシ基との反応量が多くなりすぎ、流動性が悪くなって、ボールの成形が困難になるおそれがある。
【0028】
この(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体は、前記(B)成分と同様に軟質化の目的も持っているので、JIS−A硬度が30〜90であることが好ましい。(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体のJIS−A硬度が30より低い場合は、カバーが軟らかくなりすぎて、耐カット性が低下するおそれがあり、またJIS−A硬度が90より高い場合は、(A)成分のアイオノマー樹脂の軟質化が充分に達成できず、打球感やコントロール性が充分に改善されなくなるおそれがあり、特にJIS−A硬度が40〜88であることが好ましい。
【0029】
この(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体の市販品としては、例えば、ダイセル化学工業(株)から「ESBS A1005」(この「ESBS A1005」は「ESBS AT014」から名称変更されたものである)、「ESBS A1010」(この「ESBS A1010」は「ESBS AT015」から名称変更されたものである)、「ESBS
A1020」(この「ESBS A1020」は「ESBS AT000」から名称変更されたものである)などの商品名で市販されているエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、または「ESBS AT018」、「ESBS AT019」などの商品名で市販されているエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックの一部に水素添加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などがあり、いずれも本発明において好適に使用される。
【0030】
本発明においては、カバーの基材樹脂が上記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物を主成分として構成され、それを含有するカバー用組成物は曲げ剛性率が50〜300MPaで、ショアーD硬度が40〜60であることを必要としている。上記カバー用組成物の曲げ剛性率が50MPaより低い場合は、カバーが軟らかくなりすぎてスピン量が増加しすぎるため、飛距離が低下し、かつ耐カット性が低下し、曲げ剛性率が300MPaより高い場合は、適切なバックスピン量が得られなくなって、コントロール性が損なわれ、打球感も悪くなる。
【0031】
また、上記カバー用組成物のショアーD硬度が40より低い場合は、カバーが軟らかくなりすぎて、耐カット性が悪くなり、ショアーD硬度が60より高い場合は、適切なバックスピン量が得られなくなって、コントロール性が悪くなり、また打球感も悪くなる。
【0032】
上記カバー用組成物は、(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物が主要部分を占め、多くの場合、それに二酸化チタンや硫酸バリウムなどが少量添加されるだけなので、その曲げ剛性率やショアーD硬度は、実質上、上記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物の曲げ剛性率やショアーD硬度とほとんど変わらない。
【0033】
本発明において、(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との混合にあたり、それらの量は、(A)成分のアイオノマー樹脂が30〜90重量%、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーが1〜49重量%、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体が1〜49重量%であることが好ましい。(A)成分のアイオノマー樹脂が上記範囲より多い場合は、軟質化が充分に達成できず、アイオノマー樹脂の性質が強く現れて、打球感やコントロール性が悪くなるおそれがあり、(A)成分のアイオノマー樹脂が上記範囲より少ない場合は、カバーが軟らかくなりすぎて、スピン量が増加しすぎるため、飛距離が低下し、かつ耐カット性が低下するおそれがある。また、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーが上記範囲より少ない場合は、アイオノマー樹脂の軟質化が充分に達成されず、打球感やコントロール性が充分に改善されなくなるおそれがあり、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーが上記範囲より多い場合は、カバーが軟らかくなりすぎて、耐カット性が悪くなるおそれがある。そして、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体が上記範囲より少ない場合は、(A)成分のアイオノマー樹脂の軟質化が充分に達成されず、打球感やコントロール性が充分に改善されなくなるおそれがあり、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体が上記範囲より多い場合は、エポキシ含量が多くなって、上記(A)成分のアイオノマー樹脂や、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーとの反応量が多くなりすぎ、流動性が悪くなって、ボールの成形が困難になるおそれがある。
【0034】
本発明においては、上記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体とを加熱混合することに基づいて、所望の特性が得られるようになるのであるが、その加熱混合は、通常、混練型二軸押出機、バンバリー、ニーダーなどのインターナルミキサーを用い、例えば、150〜260℃で加熱混合することによって行われる。
【0035】
本発明において、カバーを形成するためのカバー用組成物には、上記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物以外に、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、顔料、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを添加することができる。また、上記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物の特性を損なわない範囲内で他の樹脂を添加してもよい。そのように他の樹脂を添加してカバーの基材樹脂とする場合、上記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物が70重量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。本発明において、上記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物をカバーの基材樹脂の主成分とするとは、カバーの基材樹脂を上記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物のみで構成する場合と上記加熱混合物に他の樹脂を添加してカバーの基材樹脂とする場合の両者を含む意味である。また、本発明においては、上記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物はあらかじめ加熱混合してから他の添加剤などと混合してもよいし、また、カバー用組成物の調製時に他の添加剤などと一緒に加熱混合してもよい。
【0036】
ソリッドコアとしては、1層構造のものはもとより、2層以上の多層構造のものであってもよく、例えば、ツーピースボール用ソリッドコアとしては、ポリブタジエン100重量部に対して、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸またはその金属塩や、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの官能性モノマーなどからなる加硫剤(架橋剤)を単独または合計で10〜60重量部、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどの充填剤を10〜30重量部、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化物を0.5〜5重量部配合し、要すれば、さらに老化防止剤を0.1〜1重量部配合したゴム組成物をプレス加硫(架橋)により、例えば、140〜170℃の温度で10〜40分間加熱圧縮して、球状加硫物に成形することによって得られたものを用いることができる。
【0037】
ソリッドコアにカバーを被覆する方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法で行うことができる。例えば、前記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物を含んだカバー用組成物をあらかじめ半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてソリッドコアを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記カバー用組成物を直接ソリッドコア上に射出成形してソリッドコアを包み込む方法が採用される。カバーの厚みは通常1〜4mm程度である。そして、カバー成形時、必要に応じて、ボール表面にディンプルの形成が行われ、また、カバー成形時、ペイント仕上げ、スタンプなども必要に応じて施される。
【0038】
図1は本発明のソリッドゴルフボールの他例を模式的に示す断面図であり、この図1に示すゴルフボールは、ゴム組成物の加硫成形体からなるソリッドコア1とそれを被覆するカバー2とからなるツーピースソリッドゴルフボールである。ソリッドコア1は、特に特定のものに限られることなく、例えば、前記のようなポリブタジエンを主材とするゴム組成物の加硫成形体が用いられ、それを被覆するカバー2は前記(A)成分のアイオノマー樹脂と、(B)成分の酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、(C)成分のエポキシ化SBS構造またはSIS構造のブロック共重合体との加熱混合物を含んだ曲げ剛性率が50〜300MPaでショアーD硬度が40〜60のカバー用組成物から形成されたものである。そして、2aは上記カバー2に設けられたディンプルである。この図1に示すソリッドゴルフボールでは、ソリッドコア1は1層構造のゴム組成物の加硫成形体からなるが、それに代えて、例えば、ポリブタジエンを主材とするゴム組成物の加硫成形体からなる内部コアの周囲にさらにポリブタジエンを主材とするゴム組成物の加硫成形体からなる外部コアを形成した2層構造のソリッドコアであってもよい。
【0039】
上記ディンプル2aは、必要に応じ、あるいは所望とする特性が得られるように、適した個数、態様でカバー2に設けられるものであり、また、必要に応じ、ボール表面にペイントやマーキングが施される。
【0040】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
実施例1〜10および比較例1〜4
つぎの▲1▼〜▲3▼に示す工程を経て、実施例1〜10および比較例1〜4のソリッドゴルフボールを作製した。
【0042】
▲1▼ソリッドコアの作製:
表1に示す組成のゴム組成物を調製し、それを金型に充填して加硫成形することにより、直径39.0mmの球状のソリッドコアを得た。加硫条件は表1に示すように2段階で行われ、142℃で20分間加硫した後、さらに165℃で8分間加硫した。上記ソリッドコアの10〜130kg荷重時の変形量(すなわち、上記ソリッドコアに初期荷重10kgをかけた状態から終荷重130kgをかけた時までの変形量)は2.7mmであった。表1中の各成分の配合量は重量部によるものであり、使用したポリブタジエンは日本合成ゴム(株)製のBR−11(商品名)であり、老化防止剤は吉富製薬(株)製のヨシノックス425(商品名)である。
【0043】
【表1】
Figure 0003862350
【0044】
▲2▼カバー用組成物の調製:
表2〜表4に示す組成の配合材料を二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー用組成物を調製した。表2〜表4中の配合量は重量部によるものであり、表2〜表4中に商品名で表示したものについては、表4の後にその詳細を示す。
【0045】
押出条件はスクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は押出機のダイの位置で220〜260℃に加熱された。そして、得られたカバー用組成物の曲げ剛性率およびショアーD硬度を測定した。上記曲げ剛性率の測定は、各カバー用組成物から約2mm厚さの熱プレス成形シートを作製し、それを23℃で2週間保存後、ASTM D−747に準じて行い、ショアーD硬度の測定は、各カバー用組成物から約2mm厚さの熱プレス成形シートを作製し、それを23℃で2週間保存後、ASTM D−2240に準じて行った。それらの結果をカバー用組成物の組成と共に表2〜表4に示す。
【0046】
【表2】
Figure 0003862350
【0047】
【表3】
Figure 0003862350
【0048】
【表4】
Figure 0003862350
【0049】
※1:ハイミラン1605(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、MI(メルトインデックス)=2.8、曲げ剛性率=310MPa、ショアーD硬度=62
※2:ハイミラン1706(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、MI=0.8、曲げ剛性率=260MPa、ショアーD硬度=61
※3:ハイミラン1855(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸三元共重合体系アイオノマー樹脂、MI=1.0、曲げ剛性率=90MPa、ショアーD硬度=55
※4:サーリンAD8511(商品名)
デュポン社製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、MI=3.4、曲げ剛性率=220MPa、ショアーD硬度=60
※5:サーリンAD8512(商品名)
デュポン社製のナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、MI=4.4、曲げ剛性率=280MPa、ショアーD硬度=62
【0050】
※6:ニュークレルAN4212C(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製のエチレン−イソブチルアクリレート−メタクリル酸三元共重合樹脂〔重合組成比:76/20/4(重量比)〕、MI=12、ショアーD硬度=30
※7:ニュークレルAN0825J(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製のエチレン−イソブチルアクリレート−メタクリル酸三元共重合樹脂〔重合組成比:72/20/8(重量比)〕、MI=25、ショアーD硬度=25
※8:AR−201(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製のエチレン−エチルアクリレート共重合体の無水マレイン酸によるグラフト変性物、JIS−A硬度=51
※9:ボンダインAX8390(商品名)
住友化学工業(株)のエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体、MI=7.0、ショアーD硬度=14、エチルアクリレート+無水マレイン酸含量=32%(そのうち、無水マレイン酸1〜4%)
【0051】
※10:ESBS A1005(商品名)
ダイセル化学工業(株)製のエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、JIS−A硬度=70、スチレン/ブタジエン=40/60(重量比)、エポキシ含量約0.7〜0.9重量%
※11:ESBS A1010(商品名)
ダイセル化学工業(株)製のエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、JIS−A硬度=67、スチレン/ブタジエン=40/60(重量比)、エポキシ含量約1.5〜1.7重量%
※12:ESBS AT018(商品名)
ダイセル化学工業(株)製のエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックの一部に水素添加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、JIS−A硬度=70、スチレン/ブタジエン=40/60(重量比)、エポキシ含量約0.7〜0.9重量%
※13:ESBS AT019(商品名)
ダイセル化学工業(株)製のエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックの一部に水素添加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、JIS−A硬度=67、スチレン/ブタジエン=40/60(重量比)、エポキシ含量約1.5〜1.7重量%
※14:ESBS A1020(商品名)
ダイセル化学工業(株)製のエポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、JIS−A硬度=65、スチレン/ブタジエン=40/60(重量比)、エポキシ含量約2.9〜3.4重量%
【0052】
※15:ハイミランAM7317(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、MI=1.2、曲げ剛性率=310MPa、ショアーD硬度=64
※16:XE−1403(商品名)
(株)クラレ製の無水マレイン酸変性の結晶性熱可塑性エラストマー、ハードセグメントは結晶性ポリオレフィン、ソフトセグメントは非晶性ポリオレフィンのブロックポリマー、JIS−A硬度=60
※17:HG−252(商品名)
(株)クラレ製の末端に−OH基が付加した水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、JIS−A硬度=80、スチレン含量:40重量%
※18:サーリンAD8269(商品名)
デュポン社製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸三元共重合体系アイオノマー樹脂、MI=1.0、曲げ剛性率=26MPa、ショアーD硬度=36
【0053】
▲3▼ソリッドゴルフボールの作製:
前記▲1▼のソリッドコアに前記▲2▼のカバー用組成物を射出成形し、ソリッドコアを被覆してカバーを形成し、表面にペイントを塗装して、外径42.7mmのツーピースソリッドゴルフボールを作製した。
【0054】
得られたゴルフボールのボール重量、ボール初速、飛距離(キャリー)およびスピン量を測定した。ボール初速はR&A初速測定法によるものである。飛距離はツルーテンパー社製スイングロボットにウッド1番クラブを取り付け、ボールをヘッドスピード45m/sで打撃して測定し、スピン量は上記ツルーテンパー社製スイングロボットにアイアン9番クラブを取り付け、ボールをヘッドスピード34m/sで打撃し、打撃されたボールに付された印を高速度カメラで撮影することによって測定した。
【0055】
また、実施例1〜10および比較例1〜4のゴルフボールの耐カット性を評価するため、ツルーテンパー社製スイングロボットにピッチングウェッジを取り付け、ボールをヘッドスピード30m/sでトップ打ちして、カット傷の発生状況を調べて評価した。その評価基準は次の通りである。
【0056】
評価基準:
○ : カット傷の発生なし
△ : 小さなカット傷の発生あり
× : 大きなカット傷の発生あり
××: 使用に耐えないほどの大きなカット傷の発生あり
【0057】
さらに、上記ゴルフボールの耐久性を評価するため、ツルーテンパー社製スイングロボットにウッド1番クラブを取り付け、ボールをヘッドスピード45m/sで打ち出し、破壊が生じるまでの回数を調べた。その結果を比較例1の耐衝撃回数(破壊が生じるまでの回数)を100とした時の指数で表示する。
【0058】
また、得られたゴルフボールについて打球感およびコントロール性をトッププロ10人による実打テストで評価した。評価基準は次の通りである。評価結果を表中に表示する際も同様の記号で表示しているが、その場合は評価にあたった10人のうち8人以上が同じ評価を下したことを示している。
【0059】
評価基準:
○ : バラタカバーに類似した打球感とコントロール性があり、良い。
△ : コントロール性はバラタカバーに近いが、打球感がかけ離れている。すなわち、硬すぎて衝撃が強すぎるか、または軟らかすぎて重い感じがする。
× : 打球感、コントロール性、共に悪い。
【0060】
上記のように測定・評価したボール物性を表5〜表7にカバー物性(曲げ弾性率およびショアーD硬度)と共に示す。
【0061】
【表5】
Figure 0003862350
【0062】
【表6】
Figure 0003862350
【0063】
【表7】
Figure 0003862350
【0064】
表5〜表6に示すように、実施例1〜10のゴルフボールは、打球感およびコントロール性が良好で、スピン量が適当に多くてスピン性能も良好であり、しかも飛距離が232〜236ヤードであって、高剛性のアイオノマー樹脂のみを基材樹脂として用いた比較例1のゴルフボールとほぼ同等の飛距離を示し、また耐カット性においても、充分に満足できる水準に達していた。さらに、耐久性に関しても、実施例1〜10のゴルフボールは、比較例1のゴルフボールよりかなり優れた水準にあった。
【0065】
これに対し、高剛性のアイオノマー樹脂のみを基材樹脂として用いた標準的なツーピースソリッドゴルフボールである比較例1のゴルフボールは、表7に示すように、飛行性能、耐カット性とも良好であったが、打球感およびコントロール性が劣っていた。また、高剛性アイオノマー樹脂と三元共重合体系の軟質アイオノマー樹脂とを組み合わせて用いた比較例2〜3のゴルフボールや三元共重合体系の軟質アイオノマー樹脂のみを組み合わせて用いた比較例4のゴルフボールは、打球感およびコントロール性、耐久性などが実施例1〜10のゴルフボールより劣り、飛距離も実施例1〜10のゴルフボールに比べてかなり劣っていた。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、打球感およびコントロール性が良好で、かつ飛行性能および耐カット性が満足すべき水準にあり、しかも耐久性が優れたソリッドゴルフボールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のソリッドゴルフボールの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 ソリッドコア
2 カバー

Claims (5)

  1. ソリッドコアと該ソリッドコアを被覆するカバーを有するソリッドゴルフボールにおいて、上記カバーの基材樹脂が、
    (A)アイオノマー樹脂と、
    (B)酸変性熱可塑性エラストマー、エチレンと不飽和カルボン酸エステルと不飽和カルボン酸との三元共重合体、または末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーと、
    (C)エポキシ基を含有するポリブタジエンブロックを有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体またはエポキシ基を含有するポリイソプレンブロックを有するスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
    との加熱混合物を主成分として構成され、カバーを構成するカバー用組成物の曲げ剛性率が50〜300MPaで、かつショアーD硬度が40〜60であることを特徴とするソリッドゴルフボール。
  2. アイオノマー樹脂が、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、および/またはエチレンとアクリル酸またはメタクリル酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものであって、そのベースポリマーがエチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体の場合は酸含量が10〜20重量%で、かつメルトインデックスが0.1〜20であり、ベースポリマーがエチレンとアクリル酸またはメタクリル酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の場合は酸含量が5〜20重量%で、かつメルトインデックスが0.1〜20である請求項1記載のソリッドゴルフボール。
  3. アイオノマー樹脂が、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものであって、そのメルトインデックスが3〜7で、曲げ剛性率が200〜400MPaのいわゆる高剛性ハイフロータイプのものである請求項1または2記載のソリッドゴルフボール。
  4. 酸変性熱可塑性エラストマーが、無水マレイン酸変性熱可塑性エラストマーである請求項1記載のソリッドゴルフボール。
  5. 末端に−OH基が付加した熱可塑性エラストマーが、末端に−OH基が付加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体中のブタジエン部分の二重結合に水素添加した構造または末端に−OH基が付加したスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体中のイソプレン部分の二重結合に水素添加した構造を持つブロック共重合体である請求項1記載のソリッドゴルフボール。
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