JP3625231B2 - 糸巻きゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸巻きゴルフボールに関する。さらに詳しくは、本発明は、打球感(打球時のフィーリング)およびコントロール性が良好で、かつ飛行性能が優れた糸巻きゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフボールのカバー用基材樹脂としては、アイオノマー樹脂が広範に使用されている(例えば、特開昭49−49727号公報)。特にソリッドコアを用いたツーピースソリッドゴルフボールでは、ほとんどの場合、アイオノマー樹脂が用いられている。これは、アイオノマー樹脂が他のカバー用基材樹脂に比べて、加工性に優れ、かつ耐久性、耐カット性、反撥性能などが優れているという理由によるものである。
【0003】
しかしながら、アイオノマー樹脂はかなり高い硬度と剛性を有するため、糸巻きゴルフボールのカバー用基材樹脂として主に用いられているバラタ(トランスポリイソプレン)に比べて、打球感やコントロール性(スピンのかけ易さ)の点で劣っている。特にアイオノマー樹脂をカバー用基材樹脂として用いたゴルフボールでは、打球時に“カチッ”という金属音がし、その“カチッ”という金属音は、プロや上級者に不快感を与えるものとして敬遠されている。
【0004】
そのため、特開平1−308557号公報には、アイオノマー樹脂に、2〜8個の炭素原子を有するオレフィンと3〜8個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸と2〜22個の炭素原子を有するアクリル酸エステルとの三元共重合体のナトリウム塩または亜鉛塩からなる軟質アイオノマー樹脂をブレンド(混合)することによって、アイオノマー樹脂を軟質化し、打球感やコントロール性を改善することが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記のような軟質アイオノマー樹脂をブレンドした場合、打球感やコントロール性は改善されるものの、飛行性能や耐カット性が低下するため、満足できる性能を有するゴルフボールは得られていない。
【0006】
また、特開平5−220240号公報には、アイオノマー樹脂にグリシジル基含有ポリマーをブレンドすることによって、アイオノマー樹脂を軟質化することが提案されているが、そのグリシジル基含有ポリマーのベースポリマーの選定などが不充分であるため、飛行性能などにおいて充分な成果をあげるにいたっていない。
【0007】
また、上記以外にも、アイオノマー樹脂を軟質化して、打球感やコントロール性を改善する試みが種々行われているが、現状では、それらのいずれによっても、充分な成果をあげるにいたっておらず、満足する性能を有するゴルフボールは得られていない。
【0008】
ところで、糸巻きゴルフボールは、固体センターまたは液体センターと、その周囲に糸ゴムを巻き付けることによって形成された糸ゴム層と、そのセンターと糸ゴム層とからなる糸巻きコアの糸ゴム層の周囲を被覆するカバーを有することを基本構成とするものであり、打球感やコントロール性はソリッドコアを用いたツーピースソリッドゴルフボールよりも優れているが、スピン量が多く、打出角が低いため、飛距離がツーピースソリッドゴルフボールよりも劣っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解消し、アイオノマー樹脂の有する優れた特性を実質的に低下させることなく、プロや上級者にも満足される打球感とコントロール性を有し、かつツーピースソリッドゴルフボール並の飛距離を有する飛行性能が優れた糸巻きゴルフボールを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、センターの直径を大きくするとともに、センターに適度な硬度を与え、かつカバーの基材樹脂として、アイオノマー樹脂に、軟質成分として無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂とさらにそれら両者と反応性を有するエポキシ基を有する軟質のエポキシ化熱可塑性樹脂とを加え、加熱混合して得られる樹脂混合物を用いることによって、打球感およびコントロール性が良好で、かつ飛行性能が優れた糸巻きゴルフボールが得られることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0011】
すなわち、本発明は、ゴム組成物の加硫成形物からなるセンターと、糸ゴム層と、カバーを有する糸巻きゴルフボールにおいて、上記センターの直径が30〜38mmで、かつ上記センターに初期荷重10kgをかけた状態から終荷重30kgをかけたときまでの歪み量が1〜2.5mmであり、上記カバーの基材樹脂がアイオノマー樹脂と無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂とJIS−A硬度が30〜90のエポキシ化熱可塑性樹脂との加熱混合物からなり、上記JIS−A硬度が30〜90のエポキシ化熱可塑性樹脂が、水素添加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体のメタクリル酸グリシジル付加物およびスチレン−ブタジエン共重合体のエポキシ変性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする糸巻きゴルフボールである。
【0012】
本発明においては、センターの直径を30〜38mmと従来よりも大きくし、かつ上記センターに初期荷重10kgをかけた状態から終荷重30kgをかけたときまでの歪み量が1〜2.5mmになるようにしているので、打球時にスピン量が減少し、打出角が高くなるので、従来の糸巻きゴルフボールに比べて、飛距離が大きくなり、ツーピースソリッドゴルフボールに近い飛行性能が得られるようになる。
【0013】
また、カバーに関しても、アイオノマー樹脂に軟質成分として無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂をブレンドしているので、それによってアイオノマー樹脂が軟質化され、打球感およびコントロール性が改善される。しかも、上記アイオノマー樹脂と無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂に、軟質のエポキシ化熱可塑性樹脂を加えて加熱混合しているので、その加熱混合により、エポキシ化熱可塑性樹脂のエポキシ基がアイオノマー樹脂中の遊離したカルボキシル基および無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂中の無水マレイン酸と反応し、それによって軟質樹脂である無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂のアイオノマー樹脂への均一な微分散が達成され、かつ反撥性能の向上が達成されるので、アイオノマー樹脂の有する優れた飛行性能(反撥性能)や耐カット性などの低下が抑制される。
【0014】
本発明において、カバーの基材樹脂を構成するために用いるアイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンなどのα−オレフィン80〜90重量%とアクリル酸やメタクリル酸などの炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸10〜20重量%との共重合体や、エチレンなどのα−オレフィン70〜85重量%とメタクリル酸などの炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸5〜20重量%とアクリル酸エステルなどの炭素数2〜22のα,β−不飽和カルボン酸10〜25重量%との三元共重合体をベースポリマーとし、そのベースポリマー中のカルボキシル基の一部が金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオンなど)で中和されたものなどが挙げられる。
【0015】
これらのアイオノマー樹脂は既に上市されており、例えば、三井デュポンポリケミカル(株)からは“ハイミラン”の商品名で種々のタイプのものが市販され、デュポン社からは“サーリン”の商品名で種々のタイプのものが市販され、またエクソン化学社からは「アイオテック」の商品名で種々のタイプのものが市販されている。
【0016】
これらのアイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、例えば、三井デュポンポリケミカル(株)製のハイミラン1605(Na)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7318(Na)、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミランAM7315(Zn)、ハイミランAM7317(Zn)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミランAM7311(Mg)、ハイミランMK7320(K)や、三元共重合体系アイオノマー樹脂としてのハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)、ハイミランAM7316(Zn)、デュポン社製のサーリン8920(Na)、サーリン8940(Na)、サーリンAD8512(Na)、サーリン9910(Zn)、サーリンAD8511(Zn)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)や、三元共重合体系アイオノマー樹脂としてのサーリンAD8265(Na)、サーリンAD8269(Na)、エクソン化学社製のアイオテック7010(Zn)、アイオテック8000(Na)などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。なお、上記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mgなどは、それらの中和金属イオン種を示しており、また、上記のアイオノマー樹脂は例示にすぎず、それらのみに限定されるものではない。
【0017】
また、無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂の市販品としては、例えば、旭化成工業(株)から「タフテックMシリーズ」の商品名で水素添加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の無水マレイン酸付加物が種々のグレードで市販されており、また住友化学工業(株)から「ボンダイン」の商品名でエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体が種々のグレードで上市されており、また三井デュポンポリケミカル(株)から「ARシリーズ」の商品名で、エチレン−エチルアクリレート共重合体を無水マレイン酸でグラフト変性したものが種々のグレードで上市されており、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。
【0018】
この無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂は、アイオノマー樹脂の軟質化をはかるためのものであり、その曲げ剛性率はエチレン−アクリル酸共重合体系のアイオノマー樹脂やエチレン−メタクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂(これらのアイオノマー樹脂の曲げ剛性率は250〜350MPa程度である)よりも低く、約1〜100MPa程度であることが好ましい。
【0019】
JIS−A硬度が30〜90のエポキシ化熱可塑性樹脂の市販品としては、例えば、旭化成工業(株)から「タフテックZ513」や「タフテックZ514」などの商品名で水素添加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体のメタクリル酸グリシジル付加物が上市されており、またダイセル化学工業(株)から「ESBS ATシリーズ」の商品名で、スチレン−ブタジエン共重合体のエポキシ変性樹脂が種々のグレードで上市されており、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。本発明では、このエポキシ化熱可塑性樹脂をJIS−A硬度で30〜90のものに限定しているが、これはエポキシ化熱可塑性樹脂のJIS−A硬度が30より低い場合は、飛行性能などを低下させ、またエポキシ化熱可塑性樹脂のJIS−A硬度が90より高い場合は、打球感やコントロール性の改善が充分に行われなくなるからである。なお、JIS−A硬度とはJIS−A型硬度計で測定した硬度をいう。
【0020】
本発明では、上記3種類の樹脂を加熱混合することに基づいて、所望の性能が得られるようになるが、その加熱混合は、通常、混練型二軸押出機、バンバリー、ニーダーなどのインナーナルミキサーを用い、150〜250℃で0.5〜15分の加熱混合条件で処理することによって行われる。なお、無水マレイン酸とグリシジル基との反応に必要な水分は、通常、樹脂中に含まれる微量水分で充分であるが、必要に応じて、0.1〜0.2重量%程度の水分を添加して樹脂の加熱混合を行ってもよい。
【0021】
本発明において、上記アイオノマー樹脂と無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂とJIS−A硬度が30〜90のエポキシ化熱可塑性樹脂との混合割合としては、アイオノマー樹脂が30〜70重量%で、無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂が10〜69.5重量%で、JIS−A硬度が30〜90のエポキシ化熱可塑性樹脂が5〜20重量%であることが好ましい。アイオノマー樹脂の混合割合が上記範囲より少ない場合は、飛行性能や耐カット性などが低下する傾向があり、アイオノマー樹脂の混合割合が上記範囲より多い場合は、打球感やコントロール性の改善が充分に行われなくなる傾向がある。無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂の混合割合が上記範囲より少ない場合は、打球感やコントロール性の改善が充分に行われなくなる傾向があり、無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂への混合割合が上記範囲より多い場合は、飛行性能などが低下する傾向がある。また、上記エポキシ化熱可塑性樹脂の混合割合が上記範囲より少ない場合は、飛行性能などが低下する傾向があり、上記エポキシ化熱可塑性樹脂の混合割合が上記範囲より多くなっても、それに伴うアイオノマー樹脂の混合割合の減少により飛行性能などが低下する傾向がある。
【0022】
本発明において、カバーの形成に使用するカバー用組成物には、上記3種類の樹脂の加熱混合物からなる基材樹脂以外に、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウムなどの顔料や、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸光剤、光安定剤などを添加することができる。
【0023】
そして、上記カバー用組成物は曲げ剛性率が100〜250MPaであることが好ましい。カバー用組成物の曲げ剛性率100MPaより低い場合は、カバーが軟らかくなりすぎてスピン量が増加しすぎるため、飛距離が低下し、また耐カット性も低下する傾向があり、カバー用組成物の曲げ剛性率が250MPaより高い場合は、適切なバックスピン量が得られなくなって、コントロール性が悪くなり、また打球感も悪くなる傾向がある。なお、本発明において、曲げ剛性率に関しては、カバーの曲げ剛性率とせず、そのカバーを構成するカバー用組成物の曲げ剛性率としているが、これは一旦ボール成形をしてしまうと、現在の技術では、そのカバーから曲げ剛性率を測定することができず、曲げ剛性率の測定はカバー用組成物から試験片を作製して行わなければならないためである。このように、ゴルフボールのカバーからは曲げ剛性率の測定ができないけれど、カバーの曲げ剛性率も実質的にはカバー用組成物の曲げ剛性率と同じであると考えられる。また、上記カバー用組成物は基材樹脂が主成分を占め、それ以外には、顔料などの添加剤が必要に応じて少量添加されるだけなので、カバー用組成物の曲げ剛性率は実質的に基材樹脂、つまりアイオノマー樹脂と無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂とJIS−A硬度が30〜90のエポキシ化熱可塑性樹脂との加熱混合物の曲げ剛性率とほとんど同じであると考えられる。
【0024】
また、本発明においては、センターの直径を30〜38mmにし、かつセンターに初期荷重10kgをかけた状態から終荷重30kgをかけたときまでの歪み量が1〜2.5mmになるようにしているが、これは打球時のスピンの生成量を抑制し、かつ打出角を大きくして、飛距離を大きくするためである。
【0025】
センターの直径が30mmより小さい場合は、糸ゴム層が厚くなり、その結果、打出角が小さく、スピン量が大きくなり、またセンターの直径が38mmより大きくなると、糸ゴム層が薄くなり、テンションがかかる前に糸ゴムを巻き終わってしまい、ボールとして必要とされる適正な硬度が得られなくなる。
【0026】
そして、センターの歪み量が上記条件下で2.5mmより大きい場合は、センターが軟らかいため、適正なボール硬度を得るためには糸ゴムをきつく巻き付けなければならず、その結果、糸ゴム層のテンションが大きくなりすぎて、打球時の変形が起こりにくくなり、所望とする飛距離の向上が得られず、またセンターの歪み量が上記条件下で1mmより小さい場合は、センターが硬くなりすぎて、打球感が悪くなる。
【0027】
また、上記センターはそれを254cmの高さからコンクリート板上に落下させたとき、そのはね返り高さが120cm以上のもの、特に140cm以上で240cm以下のものが好ましい。すなわち、センターがそのような大きい跳ね返り高さを持つということは、センターの反撥弾性が高いということを示しており、センターがそのような高い反撥弾性を持つことによって、打球時のボール初速が大きくなり、優れた飛行性能が得られるようになる。
【0028】
上記センターは、例えば、ゴム100重量部に対して、硬度調整用充填剤として熱可塑性樹脂を5〜80重量部、好ましくは15〜50重量部、硫黄を2〜12重量部、好ましくは6〜10重量部、加硫促進剤を1〜4重量部、好ましくは1〜2重量部および重量調整剤を10〜150重量部、好ましくは50〜120重量部配合し、要すれば、さらに加硫助剤を3〜10重量部、好ましくは5〜9重量部配合したゴム組成物を加硫成形するか、またはゴム100重量部に対して、α,β−不飽和カルボン酸金属塩を4〜25重量部、好ましくは5〜15重量部、開始剤を0.5〜3重量部、好ましくは0.8〜2重量部および重量調整剤を20〜100重量部、好ましくは35〜75重量部配合したゴム組成物を加硫成形することによって得られる。
【0029】
本発明において、センターは上記のように硬度調整用充填剤として熱可塑性樹脂を配合して硫黄加硫する方式か、またはα,β−不飽和カルボン酸金属塩による加硫方式によって得られる。そして、上記のように硫黄加硫する方式では、加硫成形は一般に加圧下で140〜170℃、好ましくは150〜160℃で5〜30分間、好ましくは10〜20分間加熱成形することによって行われ、後者のα,β−不飽和カルボン酸金属塩による加硫方式では、加硫成形は一般に加圧下で140〜180℃で10〜40分間加熱成形することによって行われる。
【0030】
上記センター用のゴムとしては、特に限定されることはないが、反撥性能の高いポリブタジエン、特にハイシスポリブタジエンが好ましく、上記センター用のゴム組成物の調製にあたっては、そのゴム成分としてハイシスポリブタジエンを用いるか、またはハイシスポリブタジエンを主成分として用いることが好ましい。そして、このゴムは硫黄加硫する方式のゴム組成物およびα,β−不飽和カルボン酸金属塩による加硫方式のゴム組成物のいずれの調製にあたっても使用することができる。
【0031】
つぎに、硫黄加硫する方式のゴム組成物の成分について詳しく説明する。
【0032】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ハイスチレンレジン、高分子量ポリエチレン、高分子量ポリプロピレンなどの高分子量ポリオレフィン、それらの混合物などが用いられる。上記センター用のゴム組成物において、従来のセンター用ゴム組成物と特に異なるところは、センターの硬度調整用充填剤として熱可塑性樹脂を配合していることである。
【0033】
上記熱可塑性樹脂の配合量は、前記のようにゴム100重量部に対して5〜80重量部、好ましくは15〜50重量部である。熱可塑性樹脂の配合量が上記範囲より少ない場合は、センターの硬度を適正な硬さに高めることがむつかしくなり、そのため、従来のセンターと変わらなくなって、所望とする飛距離の向上が得られなくなる傾向があり、熱可塑性樹脂の配合量が上記範囲より多い場合は、硬度が高くなりすぎて打球感が悪くなり、またゴム練り時の作業性も悪くなる傾向がある。
【0034】
また、硫黄の配合量は、前記のようにゴム100重量部に対して2〜12重量部、好ましくは6〜10重量部である。硫黄の配合量が上記範囲より少ない場合は、加硫度が低くなって、センターの硬度を適正な硬度にすることがむつかしくなり、また硫黄の配合量が上記範囲より多い場合は、センターの硬度が高くなりすぎて打球感が悪くなるなど、所望とする効果が得られなくなる傾向がある。
【0035】
加硫助剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物とステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸とが用いられる。この加硫助剤は、加硫をスムーズに進行させる上において使用することが好ましいものであるが、必ずしも必要とされるものではない。
【0036】
加硫促進剤は、通常の硫黄加硫系の加硫促進剤として使用することができるものであればいずれも使用可能であるが、この加硫促進剤の代表的な具体例を挙げると、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジル・ジスルフィドなどのチアゾール系加硫促進剤、テトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤などが挙げられる。ただし、これら例示のものに限られることはない。
【0037】
これら加硫助剤や加硫促進剤などは、通常、硫黄の配合量に応じて配合され、これらの配合量はゴム100重量部に対して加硫助剤が3〜10重量部、好ましくは5〜9重量部、加硫促進剤が1〜4重量部、好ましく1〜2重量部である。これらの配合量が上記範囲より少ない場合は、硫黄による加硫を充分に進行させることがむつかしくくなり、また、これらの配合量が前記範囲より多い場合は、センターの硬度が高くなりすぎるため、打球感が悪くなる傾向がある。
【0038】
重量調整剤としては、例えば、硫酸バリウム、クレー、炭酸カルシウム、シリカ系充填剤などが用いられ、その配合量は前記のようにゴム100重量部に対し10〜150重量部、好ましくは50〜120重量部である。この重量調整剤の配合量が上記範囲より少ない場合は、センターの重量が軽くなり、ボールとして適正な重量が得られにくくなる傾向があり、重量調整剤の配合量が上記範囲より多い場合は、センターの重量が重くなり、ボール重量が規格値を超えてしまうおそれがある。
【0039】
つぎに、α,β−不飽和カルボン酸金属塩による加硫方式のゴム組成物の成分について説明する。
【0040】
α,β−不飽和カルボン酸金属塩としては、例えば、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウムなどのアクリル酸金属塩や、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウムなどのメタクリル酸金属塩の中から1種または2種以上が選択して使用される。
【0041】
上記α,β−不飽和カルボン酸金属塩は、ゴムを架橋する作用をするものであり、このα,β−不飽和カルボン酸金属塩の配合量は、前記のように、ゴム100重量部に対して4〜25重量部、好ましくは5〜15重量部である。α,β−不飽和カルボン酸金属塩の配合量が上記範囲より少ない場合は、センターが軟らかくなって、センターの歪み量が2.5mmより大きくなり、前述したように、所望とする飛距離の向上が得られにくくなる傾向があり、またα,β−不飽和カルボン酸金属塩の配合量が上記範囲より多い場合は、センターが硬くなりすぎ、センターの歪み量が1mmより小さくなって、打球感が悪くなる傾向がある。このα,β−不飽和カルボン酸金属塩は、硫黄を含まないので、架橋に硫黄は関与していないけれど、このα,β−不飽和カルボン酸金属塩による架橋作用も、ゴム業界では一般に加硫と呼ばれているので、本発明でもそれに従って、加硫という。
【0042】
開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの有機過酸化物などが挙げられ、特にジクミルパーオキサイドが好ましい。
【0043】
この開始剤の配合量は、前記のように、ゴム100重量部に対して0.5〜3重量部、好ましくは0.8〜2重量部である。この開始剤の配合量が上記範囲より少ない場合は、加硫を充分に起こすことがむつかしくなり、そのためセンターが軟らかくなって前述したように所望とする飛距離の向上が得られにくくなる傾向があり、開始剤の配合量が上記範囲より多い場合は、センターが硬くなりすぎて打球感が悪くなる傾向がある。
【0044】
重量調整剤としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、クレー、シリカ系充填剤などが用いられる。
【0045】
この重量調整剤の配合量は、前記のように、ゴム100重量部に対して20〜100重量部、好ましくは35〜75重量部である。重量調整剤の配合量が上記範囲より少ない場合は、センターの重量が軽くなり、ボールとして適正な重量が得られなくなる傾向があり、重量調整剤の配合量が上記範囲より多い場合は、センターの重量が重くなり、ボール重量が規格値を超えてしまうおそれがある。
【0046】
センター用のゴム組成物には、上記成分以外にも、例えば、老化防止剤、加硫調整剤、軟化剤などを適宜含有させることができる。
【0047】
糸ゴム層は、上記センターの周囲に糸ゴムを延伸状態で巻き付けることによって形成されるものであり、この糸ゴム層の形成にあたって使用する糸ゴムとしては、従来から使用されているものと同様のものを用いることができ、例えば、天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンに硫黄、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤などを配合したゴム組成物を加硫することによって得られたものを用いることができる。
【0048】
そして、このセンターと糸ゴム層とからなる糸巻きコアの糸ゴム層の周囲に前記のアイオノマー樹脂と無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂とJIS−A硬度が30〜90のエポキシ化熱可塑性樹脂との加熱混合物を基材樹脂とするカバー用組成物を被覆してカバーを形成することによって、糸巻きゴルフボールが得られる。
【0049】
カバーの被覆方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法で行うことができる。例えば、上記カバー用組成物をあらかじめ半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて上記コアを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、またはカバー用組成物を直接射出成形して上記コアを包み込む方法が採用される。カバーの厚みは通常1〜3mm程度である。そして、カバー成形時、必要に応じて、ボール表面にディンプルの形成が行われ、また、カバー成形後、ペイント仕上げ、スタンプなども必要に応じて施される。
【0050】
ここで、本発明の糸巻きゴルフボールの一例を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の糸巻きゴルフボールの一例を模式的に示す断面図であり、図中、1はセンター、2は糸ゴム層、3はカバーで、3aはディンプルである。
【0051】
センター1は、ゴム組成物の加硫成形物からなり、その直径は30〜38mmで、該センター1に初期荷重10kgをかけた状態から終荷重30kgをかけたときまでの歪み量が1〜2.5mmの範囲内のものである。
【0052】
糸ゴム層2は、上記センター1の周囲に糸ゴムを延伸状態で巻き付けることによって形成され、上記センターとこの糸ゴム層2とでいわゆる糸巻きコアと呼ばれるコアが形成されている。
【0053】
カバー3は、前記特定の加熱混合物を基材樹脂とするカバー用組成物を上記糸巻きコアの糸ゴム層2の周囲に被覆することによって形成され、ディンプル3aは、必要に応じ、また所望とする特性に合わせて、カバー3の表面に適数個設けられる。
【0054】
【発明の実施の形態】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
実施例1〜8および比較例1〜9
つぎの▲1▼〜▲4▼の工程を経て、実施例1〜8および比較例1〜9の糸巻きゴルフボールを作製した。
【0056】
▲1▼センターの作製
表1および表2に示す組成でセンター用ゴム組成物を調製し、得られたゴム組成物をセンター用金型に充填して、155℃で20分間加圧下で加熱成形することによって加硫し、センターを作製した。
【0057】
得られたセンターの直径、JIS−A硬度(JIS−A型硬度計で測定した硬度)、歪み量、はね返り高さ、重量を測定した。その結果を表1〜2に示す。
【0058】
表中に示す各配合成分の配合量は重量部によるものであり、これは以後の表においても同様である。表1には主として実施例1〜8の糸巻きゴルフボールに使用するセンター用の調製例1〜3のゴム用組成物の組成ならびに得られたセンターの直径、JIS−A硬度、歪み量、はね返り高さおよび重量を示し、表2には比較例1〜9の糸巻きゴルフボールに使用するセンター用の比較調製例1〜3のゴム用組成物の組成ならびに得られたセンターの直径、JIS−A硬度、歪み量、はね返り高さおよび重量を示す。なお、歪み量およびはね返り高さの測定方法は次に示す通りであり、また配合成分の説明は表2の後で行う。
【0059】
歪み量:
センターに初期荷重10kgをかけた状態から終荷重30kgをかけたときまでの歪み量を測定する。
【0060】
はね返り高さ:
センターを254cmの高さからコンクリート板上に落下させたときのはね返り高さを測定する。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
※1:商品名、日本合成ゴム(株)製のハイシスポリブタジエン(1,4−シス−ポリブタジエン含量:96%)
※2:商品名、日本ゼオン(株)製のハイスチレンレジン
※3:商品名、三井石油化学工業(株)製の高分子量ポリエチレン
※4:亜鉛華銀嶺R〔商品名、東邦亜鉛(株)製の酸化亜鉛〕5重量部、ステアリン酸〔日本油脂(株)製〕2重量部
※5:ノクセラーTT〔商品名、大内新興化学工業(株)製のテトラメチルチウラムジスルフィド〕0.25重量部、ノクセラーCZ−G〔商品名、大内新興化学工業(株)製のN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド〕1.25重量部
※6:硫酸バリウム〔堺化学工業(株)製〕
【0064】
▲2▼糸巻きコアの作製
上記▲1▼で得られたセンターの周囲に、基材ゴムが天然ゴム/低シス合成ポリイソプレン〔シェルIR−309(商品名)、シェル化学社製〕=50/50(重量比)からなる糸ゴムを延伸状態で巻き付けることによって糸ゴム層を形成し、外径39.5mmの糸巻きコアを作製した。
【0065】
▲3▼カバー用組成物の調整
表3および表4に示す組成の配合材料を二軸混練型押出機により、ミキシングして、ペレット状のカバー用組成物を得た。押出条件はスクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は押出機のダイの位置で220〜260℃に加熱された。
【0066】
得られたカバー用組成物の曲げ剛性率を測定した。その結果を表3および表4に示す。なお、曲げ剛性率の測定方法は、次の通りである。
【0067】
曲げ剛性率:
各カバー用組成物から約2mm厚の熱プレス成形シートを作製し、それを23℃で2週間保存後、ASTM D−747に準じて測定する。
【0068】
表3には実施例1〜8の糸巻きゴルフボールに使用する調製例1〜6のカバー用組成物の組成および曲げ剛性率を示し、表4には比較例1〜9の糸巻きゴルフボールに使用する比較調製例1〜6のカバー用組成物の組成および曲げ剛性率を示す。また、商品名で示した配合成分の詳細は表4の後で行う。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
※7:商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、MI(メルトインデックス)=2.8、曲げ剛性率=310MPa
※8:商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、MI=0.8、曲げ剛性率=約260MPa
※9:商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸三元共重合体系アイオノマー樹脂、MI=1.0、曲げ剛性率=約90MPa
【0072】
※10:商品名、デュポン社製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、MI=3.4、曲げ剛性率=約220MPa
※11:商品名、デュポン社製のナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂、MI=4.4、曲げ剛性率=約280MPa
※12:商品名、住友化学工業(株)製のエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体、MI=7.0、曲げ剛性率<10MPa、エチルアクリレート+無水マレイン酸含量=32%(そのうち、無水マレイン酸1〜4%)
【0073】
※13:商品名、旭化成工業(株)製のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の無水マレイン酸付加物、JIS−A硬度=67、スチレン含量約20重量%
※14:商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製のエチレン−エチルアクリレート共重合体の無水マレイン酸によるグラフト変性物、JIS−A硬度=51
※15:商品名、旭化成工業(株)製のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体のメタクリル酸グリシジル付加物、JIS−A硬度=84、スチレン含量約30重量%、ブタジエン含量約70重量%、メタクリル酸グリシジル含量約1重量%
【0074】
※16:商品名、ダイセル化学工業(株)製のスチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ変性物、JIS−A硬度=70、スチレン含量約40重量%
※17:商品名、デュポン社製のエチレン−イソブチルアクリレート−メタクリル酸三元共重合体系アイオノマー樹脂、MI=5.0、曲げ剛性率=約17MPa
※18:トランスポリイソプレンを主材とする通常のバラタカバー用組成物である。
【0075】
▲4▼糸巻きゴルフボールの作製
上記▲3▼のカバー用組成物から半球殻状のハーフシェルを成形し、それを2枚用いて前記▲2▼の糸巻きコアを包み、ボール用の金型内でプレス成形し、ペイントを塗装して、外径42.8mmの糸巻きゴルフボールを作製した。
【0076】
得られた糸巻きゴルフボールのボール重量、ボールコンプレッション、ボール初速および飛距離(キャリー)を測定した。ボールコンプレッションの測定はPGA方式によるものであり、ボール初速はR&A初速測定法によるものである。そして、飛距離はツルーテンパー社製スイングロボットでウッド1番クラブによりヘッドスピード45m/sで打撃して落下点までの距離を測定したものである。
【0077】
また、得られたゴルフボールについて打球感およびコントロール性をトッププロ10人による実打テストで評価した。評価基準は次の通りである。評価結果を表中に表示する際も同様の記号で表示しているが、その場合は、評価にあたった10人のうち8人以上が同じ評価を下したことを示している。なお、打球感はウッド1番クラブでの実打により評価したものであり、コントロール性はアイアンでの実打により評価したものである。
【0078】
打球感:
○ : 良い。衝撃力が小さく、ソフトなフィーリングである。
× : 悪い。
【0079】
コントロール性:
○ : 良い。アイアンでスピンがかかり易く、ボールが止まり易い。
× : 悪い。
【0080】
表5に実施例1〜4のゴルフボールのボール重量、ボールコンプレッション、ボール初速、飛距離、打球感、コントロール性、ボール製造に際して使用したセンター用組成物およびカバー用組成物の種類を示す。また、表6に実施例5〜8に関するそれらを示し、表7に比較例1〜5に関するそれらを示し、表8に比較例6〜9に関するそれらを示す。ただし、センター用組成物およびカバー用組成物については、それぞれの調製例番号、比較調製例番号で示す。
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】
【表7】
【0084】
【表8】
【0085】
表5および表6に示す結果から明らかなように、実施例1〜8は、飛距離が227〜230ヤードであり、飛距離が大きく、飛行性能が優れ、かつ打球感、コントロール性とも良好であった。
【0086】
これに対して、比較例1は、センターの歪み量が大きいため、打球感やコントロール性は良好であったが、飛距離が小さく、飛行性能が充分でなかった。比較例2は、センターの直径が小さく、かつ歪み量が大きいため、飛行性能が充分でなかった。また、比較例3は、センターの直径が大きく、かつ歪み量が大きいため、飛行性能が充分でなかった。
【0087】
比較例4は、カバーの基材樹脂として高剛性のアイオノマー樹脂のみを用いているため、飛行性能は優れていたが、打球感やコントロール性が悪かった。
【0088】
また、比較例5〜8は、実施例1〜8に比べて飛距離が4〜8ヤード小さく、飛行性能が充分でなかった。これは、カバーの基材樹脂としてエポキシ化熱可塑性樹脂を含んでいないことによるものと考えられる。
【0089】
また、プロゴルファーによる実打テストの結果について詳細に説明すると、次の通りである。
【0090】
本発明の実施例1〜8は、バラタカバーで被覆した比較例9に近い打球感とコントロール性を有しており、飛距離も満足する水準に達していたが、高剛性のアイオノマー樹脂のみをカバーの基材樹脂とした比較例4は、打球感が硬く、スピンがかかりにくくてコントロール性が悪く、比較例1〜3および比較例5〜8は、打球感およびコントロール性は良好であるが、飛距離が劣るという評価であった。
【0091】
さらに、実施例1〜8および比較例1〜9の糸巻きゴルフボールの耐カット性を調べるために、ツルーテンパー社製スイングロボットにピッチングウェッジを取り付けて、ボールをヘッドスピード30m/sでトップ打ちして、カット傷の発生状態を調べた。
【0092】
その結果、実施例1〜8および比較例4の糸巻きゴルフボールにはカット傷が発生しなかったが、比較例1〜3および比較例5〜8の糸巻きゴルフボールには小さなカット傷が発生した。
【0093】
また、バラタカバーで被覆した比較例9の糸巻きゴルフボールについても同一条件で耐カット性を調べたが、この比較例9の糸巻きゴルフボールには使用に耐えないほどの大きなカット傷が発生した。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、打球感およびコントロール性が良好で、かつ飛行性能が優れた糸巻きゴルフボールを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る糸巻きゴルフボールの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 センター
2 糸ゴム層
3 カバー
Claims (7)
- ゴム組成物の加硫成形物からなるセンターと、糸ゴム層と、カバーを有する糸巻きゴルフボールにおいて、上記センターの直径が30〜38mmであり、かつ上記センターに初期荷重10kgをかけた状態から終荷重30kgをかけたときまでの歪み量が1〜2.5mmであり、上記カバーの基材樹脂がアイオノマー樹脂と無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂とJIS−A硬度が30〜90のエポキシ化熱可塑性樹脂との加熱混合物からなり、上記JIS−A硬度が30〜90のエポキシ化熱可塑性樹脂が、水素添加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体のメタクリル酸グリシジル付加物およびスチレン−ブタジエン共重合体のエポキシ変性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする糸巻きゴルフボール。
- 上記カバーの基材樹脂の各成分の割合が、アイオノマー樹脂が30〜70重量%で、無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂が10〜69.5重量%で、JIS−A硬度が30〜90のエポキシ化熱可塑性樹脂が0.5〜20重量%であり、カバーを構成するカバー用組成物の曲げ剛性率が100〜250MPaである請求項1記載の糸巻きゴルフボール。
- 上記アイオノマー樹脂のベースポリマーが、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびエチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル三元共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の糸巻きゴルフボール。
- 上記無水マレイン酸変性熱可塑性樹脂が、水素添加したスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の無水マレイン酸付加物、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体およびエチレン−エチルアクリレート共重合体を無水マレイン酸でグラフト変性したものよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の糸巻きゴルフボール。
- 上記センターが、ゴム100重量部に対して、ハイスチレンレジンおよび高分子量ポリオレフィンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を5〜80重量部、硫黄を2〜12重量部、加硫促進剤を1〜4重量部および重量調整剤を10〜150重量部配合したゴム組成物の加硫成形物である請求項1記載の糸巻きゴルフボール。
- 上記センターが、ゴム100重量部に対して、α,β−不飽和カルボン酸金属塩を4〜25重量部、開始剤を0.5〜3重量部および重量調整剤を20〜100重量部配合したゴム組成物の加硫成形物である請求項1記載の糸巻きゴルフボール。
- 上記センターのゴムが、ハイシスポリブタジエンまたはハイシスポリブタジエンを主成分とするものである請求項1、5または6記載の糸巻きゴルフボール。
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