JP3854885B2 - 照明装置および撮影装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明光の照射範囲の変更が可能な照明装置およびこれを用いた撮影装置に関し、特にカードサイズカメラ等の厚み方向の寸法に余裕が少ない撮影装置に好適な照明装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等の撮影装置に用いられている照明装置は、一般に、光源、反射傘およびフレネルレンズ等の光学部品で構成されている。
【0003】
このような照明装置において、光源から様々な方向に射出した光束を効率良く必要照射画角に対応させて変化させるために、従来、種々の提案がなされている。特に、近年では、今まで光源の前方に配置されていたフレネルレンズの代わりに、プリズムやライトガイド等の全反射を利用した光学部材を配置することによって、集光効率の向上および小型化を図ったものが提案されている。
【0004】
この種の提案としては、特開2000−298244号公報にて提案されているものがある。このものでは、光源中心から射出した光束のうち比較的光軸に近い成分は光学プリズムのシリンドリカルレンズの屈折によって、光軸から離れた周辺成分はシリンドリカルレンズの上下に形成された反射面によって、それぞれ光軸方向に略平行な光束に変換された後、光学プリズムの射出面に形成された複数の凸レンズとその前方に配置された光学パネルに形成された凹レンズにより光学作用を受けて被写体側に照射される。
【0005】
そして、光学プリズムと光学パネルとの光軸方向距離を変化させることによって、照明光の照射範囲(角度)を変化させるようになっている。このような構成により、照明光の照射範囲の変更が可能であり、小型で集光効率の高い照明装置が実現される。
【0006】
ところで、撮影装置においては、装置の小型および薄型化が従来にも増して一層進む傾向にある。特に近年、カードサイズカメラという従来にない極めて薄い形態のデジタルカメラも提案されつつある。
【0007】
これに伴い照明装置も、小型および薄型化が必須となり、しかも光学性能を低下させない照明光学系の実用化が強く望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報にて提案の照明装置では、従来タイプに対してかなり薄型化されてはいるものの、カードサイズカメラ等に搭載するにはまだ光軸方向の寸法が厚く、さらなる薄型化を図る必要がある。
【0009】
以上のことから、本発明は、所定の光学性能を十分に満足することができ、かつ照明光軸方向に極限まで薄型化できるようにした照明装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の照明装置は、光源と、光源の前側に配置された光学部材と、光源の後側および光源と光学部材との間の前側空間を覆うように配置され、光源からの光を前方に反射させる反射部材とを有し、光学部材の入射面側に、光軸位置を含む中心部において光源から入射する光に正の屈折力を与える正屈折部と、該正屈折部よりも周辺側に設けられ、反射部材のうち上記前側空間を覆う部分で反射した光を透過させる透過部と、正屈折部と透過部との間に設けられ、光源からの光が入射する屈折面および該屈折面から入射した光を前方に反射させる反射面を有し、光源の径方向を含む面内における光軸に直交する方向において光軸を挟んで一対又は複数対並ぶように設けられた反射部とが形成されており、光源と光学部材との光軸方向における相対的位置関係の変更により光学部材から射出する光の照射範囲を可変としたことを特徴とする
【0011】
これにより、従来の照明範囲可変型の照明装置に比べて大幅な薄型化を図ることが可能であるとともに、光源からのエネルギを高い効率で利用し、照射面上での均一な配光特性が得られる照明装置を実現することが可能となる。
【0012】
なお、上記光学部材において、上記反射部を、光源の径方向を含む面内における光軸に直交する方向において光軸を挟んで一対又は複数対並ぶように設けることにより、より薄型で均一な配光特性が得られる照明装置とすることが可能である。
【0013】
ここで、上記反射部として、光源からの光が入射する屈折面とこの屈折面から入射した光を前方に反射させる反射面とを有するプリズム状に形成してもよい。
【0014】
また、光源の中心から射出して上記反射部に入射する光の光軸に対してなす角度αが、
20°≦α≦70°
の範囲に含まれるようにすることにより、照明装置の薄型化と上下方向の小型化とを両立させることが可能となる。
【0019】
また、上記発明により、光源からの光束を複数の成分に分けてそれぞれの配光特性を独立に制御することが可能となり、配光特性をきめ細かく設定でき、設計自由度の高い照明装置を実現することが可能である。
【0020】
なお、上記発明は、スチルカメラ、ビデオカメラ等の撮影装置、さらにはカード型カメラといった光軸方向の厚みに余裕がない撮影装置に好適である。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図4には、本発明の第1実施形態である照明装置の光学系の構成を示している。図1および図2は、上記光学系の放電管の径方向を含む面での断面図であり、図1は照射角度範囲が狭い状態を、図2は照射角度範囲が広い状態をそれぞれ示している。
【0022】
また、図3は、上記光学系の放電管の中心軸を含む平面で切った断面図であり、図4は上記光学系の分解斜視図である。なお、図1(b)〜図3(b)には、光源である放電管の中心から射出した代表光線の光線トレース図も合わせて示している。
【0023】
さらに、図5には、上記照明装置を搭載したコンパクトカメラ(a)およびカード型カメラ(b)を示している。
【0024】
図5(a),(b)に示すように、上記照明装置は、カメラ本体11の上部に配置されている。これらの図において、1は照明装置、12は撮影レンズ、13はレリーズボタンである。
【0025】
図5(a)において、14は撮影レンズ12をズーミングするための操作部材であり、この操作部材を前側に倒すとテレ方向に、後ろ側に倒すとワイド方向にそれぞれズームさせることができる。
【0026】
図5(a),(b)において、15はカメラの各種のモードを切り替えるための操作ボタン、16はカメラの動作をユーザーに知らせるための液晶表示窓、17は外光の明るさを測定する測光ユニットの受光窓であり、18はファインダーの覗き窓である。
【0027】
次に、照明装置の光学特性を決める構成について、図1〜図4を用いて更に詳しく説明する。
【0028】
これらの図において、2は円筒直管形状の光源である放電管(キセノン管)である。3は放電管2から射出した光束を照明光の照射方向(前方)に反射させる反射傘であり、内側の面が高反射率面で形成された光輝アルミ等の金属材料または内側の面に高反射率の金属蒸着面が形成された樹脂材料等で構成されている。
【0029】
4はプリズム状に一体形成された光学部材であり、入射面側には放電管2の長手方向と略直交する方向(上下方向)に屈折力を有する屈折面4b,4b’と、この屈折面4b,4b’から入射した光に対してほぼ全反射条件を満たす反射面4c,4c’とからなる一対のプリズム部が射出光軸Lを挟んだ上下に形成されている。また、図3に示すように、光学部材4の射出面側には、放電管2の長手方向(左右方向)に屈折力を有するプリズム列4pが形成されている。この光学部材4の材料としては、アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料またはガラス材料が適している。
【0030】
上記構成において、カメラが例えば「ストロボオートモード」にカメラがセットされている場合には、レリーズボタン13がユーザーによって押された後に、不図示の測光装置で測定された外光の明るさと装填されたフィルムの感度やCCD等の撮像素子の特性に基づいて照明装置1を発光させるか否かを不図示の制御回路が判断する。
【0031】
制御回路が「照明装置を発光させる」旨の判定をした場合には、制御回路は発光信号を出し、反射傘3に取り付けられたトリガーリード線を介して放電管2を発光させる。
【0032】
放電管2から射出した光束のうち、照射光軸(L)方向後方および側方(図3参照)に射出された光束は反射傘3を介して、また、照射光軸方向前方に射出した光束は直接、放電管2の前方に配置された光学部材4に入射し、この光学部材4を介して所定の配光特性に変換された後、被写体側に照射される。
【0033】
以下、上記照明装置1における、特に照明光学系を極めて薄型化しつつ、必要照射範囲の配光特性を均一に保つための最適形状の設定に関して、図1から図3を用いてさらに詳しく説明する。
【0034】
まず、図1および図2を用いて、放電管の径方向(長手方向に直交する方向)である上下方向の照射角度変化の基本的な考え方を説明する。ここで、図1(a),(b)は最も狭い照射角度範囲に対応した状態を示し、図2(a),(b)は最も広い照射角度範囲に対応した状態を示している。
【0035】
各図の(a),(b)は同一断面で切ったときの図であり、(b)は(a)の断面図に光線トレース部を付加して示したものである。また、図中の各部の符号は、図3〜図4に対応している。
【0036】
これらの図においては、放電管2としてガラス管の内外径を示している。この種の放電管の実際の発光現象としては、効率を向上させるため、内径一杯に発光させる場合が多く、放電管の内径一杯の発光点からほぼ均一に発光していると考えて差し支えない。しかし、説明を容易にするため、光源中心から射出させた光束を代表光束と考え、図中ではあえて光源中心から射出した光束のみを示している。実際の配光特性としては、図に示したような代表光束に加え、放電管の周辺部から射出した光束によって配光特性は全体として若干広がる方向に変化するが、配光特性の傾向としてはほとんど一致するため、以下この代表光束に従って説明する。
【0037】
まず、上記照明装置の光学系の特徴的な形状を順を追って説明する。反射傘3のうち放電管2の後側を覆う部分は、放電管2とほぼ同心形状の半円筒形状(以下、半円筒部3aという)となっている。これは、反射傘3での反射光を再度、光源の中心部付近に戻すのに有効な形状であり、放電管2のガラス部の屈折による悪影響を受けにくくさせる効果がある。
【0038】
また、このように構成することによって、反射傘3の後方からの反射光を光源からの直接光とほぼ等価な射出光として扱えるため考えやすく、この後に続く光学系の全体形状を小型化することも可能となり都合がよい。また、形状をちょうど半円筒としている理由は、これより小さいと側方に向かう光束を集光させるためには光学部材4が後方にまで延びてしまい、プリズム面で全反射を利用して前方に向かわせることが困難となり、逆にこれ以上大きいと反射傘3の内部にこもる光束が増え、効率低下が生じて、それぞれ望ましくないためである。
【0039】
一方、反射傘3の上下の周辺部3b,3b’は、光源中心から射出した光束がこの周辺部3b,3b’で反射した後、光学部材4の周辺部(透過部)4d,4d’に導かれるように曲面形状に形成されている。そして、後述するように、光学部材4の周辺部4d,4d’で屈折した光束は、最も集光した状態の配光特性が得られる。
【0040】
また、反射傘3の半円筒部3aと周辺部3b,3b’との間の部分(以下、平面部という)3c,3c’は、光軸Lに対してほぼ垂直な平面で構成されている。
【0041】
次に、光学部材4の詳細形状について説明する。図1に示すように放電管2と光学部材4とが所定量離れた状態では、最も集光した状態が得られる。
【0042】
まず、図1(a)に示すように、光学部材4の光軸中心付近(光軸位置を含む中心部)は、光源中心から射出した光束のうち光軸Lに対してなす角度が比較的小さい直接光成分の入射が多い部分であり、この成分を屈折させるために、光学部材4の光源側の光軸中心付近には、非球面形状のシリンドリカルレンズ面4aが形成されている。
【0043】
そして、このシリンドリカルレンズ面4aの周辺には、光源中心から射出した光束のうちシリンドリカルレンズ面4aに入射しない成分であって、光軸Lに対してなす角度がやや大きな成分が入射する屈折面4b,4b’が形成され、さらにその周辺には、この屈折面4b,4b’からプリズム部内に入射した屈折光を全反射させる反射面4c,4c’が形成されている。
【0044】
さらにその周には、前述したように、反射傘3b,3b’で反射した光束が入射する、曲面で構成された周辺部4d,4d’の屈折面が形成されている。これらシリンドリカルレンズ面4a、反射傘3b,3b’,周辺部4d,4d’の屈折面および反射面4c,4c’は、放電管2と光学部材4とが所定量離れた状態で、光源中心から射出した光束が光軸に対して略平行になるように形状が設定されている。
【0045】
そして、光学部材4の各部に入射した光束は、所定の角度成分に変換させるための屈折又は全反射した後、同一の射出面4eから射出される。
【0046】
図1(b)には、光源中心から射出した光束が光学部材4の各面から入射し、それぞれのどのような光路を通るかを示した光線トレース図を示している。図示のように、光源中心から射出した光束は、ほとんどすべて光軸に対して平行に変換されている。すなわち、最も集光された状態をこの光学配置によって得ることができる。
【0047】
一方、図1に示した光学配置では、光源中心から射出する光束が、光学部材4の射出面4eのほぼ全面から光軸に対して略平行に射出していることがわかる。このことは言い換えると、光源中心から射出した光線の射出方向と光学部材4の射出面4e上での位置とが1対1に対応し、かつ与えられた射出面4eに対して隙間なく光軸に対して平行に変換されている、すなわち、与えられた射出開口面積に対して、最も効率良く集光動作がなされていると言うことができる。
【0048】
なお、この図は、上記図1(a)に示した断面図に対して、光線のみを追加したものであり、その他の形状はすべて同一形状ある。
【0049】
一方、図2に示す状態は、放電管2と光学部材4とを上記所定距離よりも接近させた状態であり、照射角度範囲をある程度広げた状態が得られるように光学配置を設定したものである。なお、図2(b)は、図2(a)の断面図に光源中心から射出した光線トレースを追加したものであり、光学系の各部の形状はすべて同一である。
【0050】
このような光学配置の場合、反射面4c,4c’で全反射した光束の光路を決定する屈折面4b,4b’と反射面4c,4c’との交点で形成されるエッジ部4f,4f’が反射傘3の平面部3c,3c’に接近することになる。このことによって、図2(b)に示すように、光源中心から射出した光線のうち反射傘3c,3c’と光学部材4のエッジ部4f,4f’との隙間から、反射傘3の周辺部3b,3b’に向かうべき光束が極端に減少することになる。
【0051】
本来、この周辺部3b,3b’を介して光学部材4の周辺部4d,4d’に向かう成分は、光源2と反射傘3とが一体的に保持されているために、常に光軸方向に対して浅い角度を持った成分に変換されるべき集光された成分になっている。ところが、上述のように、光学部材4のエッジ部4f、4f’が反射傘3の平面部3c,3c’に接近するため、この成分は極端に減少し、これと隣接した別の光路である屈折面4b,4b’と反射面4c,4c’からなるプリズム部に振り向けられることになる。また、これと同時に、放電管2と光学部材4とが離れた状態では反射面4c,4c’で制御されていた光束の一部が、シリンドリカルレンズ面4aに直接入射することになり、このシリンドリカルレンズ面4aに入射する光束成分も増加することになる。
【0052】
このように、本来、図1に示した最も集光した状態では、光軸中心付近の屈折領域と、その周辺の光学部材4(プリズム部)による反射領域と、さらに周辺の反射傘3による反射領域の3つの領域をすべて集光させるように構成されていたのに対し、放電管2(および反射傘3)と光学部材4との光軸方向における相対位置関係を変更することよって、各領域による集光状態を徐々に変化させる(すなわち、照射角度範囲を変化させる)ことができる。
【0053】
以下、この集光状態の変化を上記3つの領域に分けて説明する。まず、光軸中心付近の屈折領域は、図1に示す光学配置において、光源中心から射出された光束を光軸と略平行になるように屈折させる、光源中心を焦点位置とする非球面シリンドリカルレンズ面4aで構成されている。この場合、図2に示すように、光源とシリンドリカルレンズ面4aとが接近することによりディフォーカス状態となり、全体に照射範囲が広がるように作用する。また、図1に示す状態では反射面4c,4c’の方向に導かれていた光束の一部が、図2に示す状態では新たにこの領域に入ることになるが、この成分もこの屈折光の領域によって制御される光束の延長であり、この屈折領域の中で最も照射角度の広い角度成分に変換される。
【0054】
しかし、この領域での角度変化は屈折による作用であるため、今回想定しているような比較的少ない移動量に対しては大幅な照射角度範囲の変化は生じず、この結果、照射面上のごく中心部付近の配光分布のみが均一に押し広げられることになる。
【0055】
次に、光学部材4(プリズム部)による反射領域について説明する。この領域は、光源と光学部材4との位置関係を変化させることにより、大幅に照射角度範囲を変化させることができる領域である。これは、反射による光線方向の変換で大幅に照射方向を変換できることに加え、屈折率の高い光学部材4中での反射現象が用いられるので、さらに大きな角度変換を望めるためである。
【0056】
図2(b)にも示すように、光源中心から射出してこの反射領域で反射した光束成分は、照射面上では周辺部のある一定の狭い角度領域の成分に変換される。この反射領域で反射した光束成分は、図2(b)のトレース図では光軸Lに対して所定角度をなす成分だけに変換されるように見えるが、実際には、光源にはある一定の大きさが存在するため、反射角度範囲もある程度広がり、また全体として見た場合には、上記屈折領域の光束成分とも重なり合うため、広い角度範囲でほぼ均一な角度分布を持った配光特性を得ることができる。
【0057】
最後に、最も外側にある反射傘3による反射領域で反射した光束成分は、上述したように、図1の状態から図2の状態に向かって光源と光学部材4とが接近していくにしたがって、徐々にその成分が減少する。
【0058】
しかし、この反射領域での反射成分をある程度残すことによって、上記2つの反射領域を介した光束成分の増加に伴う光軸中心付近の光束成分の減少を抑えることができ、光軸中心付近の光量の落ち込みを防止することができる。
【0059】
このように、本実施形態の構成では、光軸方向における光源(放電管2)と光学部材4との相対位置関係の僅かな変化によって、大幅な照射角度範囲の変化を得ることができると同時に、3つの領域に分けたそれぞれの成分が各部の配光特性の変化を補うことができ、全体として均一で必要照射範囲に対して光量ロスの少ない光学系を実現することができる。
【0060】
一方、前述したように、放電管2の中心から後方に射出された光束は、反射傘3の半円筒部3aで反射し、再度、放電管2の中心を通って前方に射出される。この後の光線の振る舞いは図1(b)および図2(b)に示したものと同様である。
【0061】
ここで、上記屈折領域、光学部材4のプリズム部による反射領域および反射傘3による反射領域の3つの領域の最適な配分割合について説明する。
【0062】
基本的には、シリンドリカルレンズ面4aの領域と、反射傘3の周辺部3b,3b’による反射領域とで基本的な集光光学系を形成し、これらの領域のつなぎの最小部分をプリズム部による反射領域で構成することが望ましい。
【0063】
そして、最も集光した図1に示す状態において、このプリズム部の屈折面4b,4b’に入射する光源中心からの光束が光軸となす角度αは、
20°≦α≦70° …(1)
であることが望ましい。
【0064】
ここで、角度αが上記(1)式の下限である20°より小さいと、プリズム部による反射領域を形成すること自体が困難となる。すなわち、プリズム部のエッジ部4f,4f’角度が極めて鋭くなると同時に、プリズム部を厚み方向に深い形状とする必要があり、薄型光学系を構成することが難かしくなるばかりでなく、製造も困難となる。
【0065】
また、角度αが上記(1)式の上限である70°より大きくなると、反射傘3による集光領域が減少し、反射領域を反射傘3による反射領域とプリズム部による反射面とに分割した意味自体が減少し、種々の問題点が発生する。
【0066】
すなわち、照射角変更に必要な光源と光学部材4間の距離が少なくなってしてしまい、大幅な照射角度の変更が困難になってしまうという機能上の問題と、光学部材4のプリズム部そのものが部分的に厚く長くなってしまうために成形時間が長くなり、製作が困難となるという問題とが生じうる。理想的な形態としては、プリズム部による反射領域を必要最小限にまで狭め、かつ光量ロスのない形態にまとめることが望ましい。このように構成することで、厚み方向を最短まで短縮しつつ、形状的にもシンプルな構成を持った加工し易いものとすることができる。
【0067】
本実施形態では、以上説明した理由から、プリズム部を、光軸Lに対してなす角度が30°〜60°の約30°の範囲に含まれる光束に対応して形成し、最適化を図っている。
【0068】
次に、プリズム部において、光束を反射面4c,4c’に導く屈折面4b,4b’の最適な形状について説明する。図1(b)および図2(b)に示すように、光源中心から射出した光束は、屈折面4b,4b’で大きく屈折し、光軸Lから離れる方向に向かい反射面4c,4c’に到達する。この屈折面4b,4b’の理想的な形状としては、光源から射出される光束をできるだけ多く反射面4c,4c’に導く形状を採ることであり、このためにはこの屈折面4b,4b’で急激に光を屈折させる必要がある。
【0069】
このことはまた、反射面4c,4c’の光軸方向長さを短く、すなわち光学系の厚み方向の寸法を短縮させることにもつながり、本発明の趣旨とも合致する。具体的な形状としては、屈折面4b,4b’を光軸Lとの傾きが0°の平面とすることが望ましい。しかし、光学部材の成型性および加工精度の問題から、0°の平面とすることは困難である。本実施形態では、加工的な条件も考慮し、この屈折面4b,4b’を、光軸Lに対する傾きが10°以下の平面又は加工し易い曲面で構成している。
【0070】
一方、複数の部材で光の制御領域を構成し、光軸方向に重なり合わせて配置することによって、従来にはない本発明特有の効果を得ることができる。
【0071】
まず、第1に、反射面(プリズム部の反射面4c,4c’および反射傘3の周辺部3b,3b’)の構成を、従来のように光軸方向に連続的な1つの面で構成するのではなく、不連続な異種の材料の面で構成し、かつ一方の反射部材(反射傘3)を光源に対して一体的なものとし、他方の反射部材(光学部材4)を光源に対して移動させるように構成し、さらにこれらを光軸と垂直な方向(上下方向)に重なるように配置している点である。
【0072】
このように構成することによって、本発明の最大の特徴である照明光学系の奥行き方向(光軸方向)の厚みを極めて短縮することができる。すなわち、第1実施形態の図を用いて説明すると、第1の反射を行わせるための光学部材4の反射面4c,4c’をまず配置し、この外側でかつ光軸方向の位置がオーバーラップする位置に、第2の反射を行わせるための反射傘3の周辺部3b,3b’を配置することによって、全体として反射領域の光軸方向の厚みを短縮することが可能である。
【0073】
第2に、光学部材4自体を極めて薄型化できることである。すなわち、光学部材4に求められる光学作用部としては、光軸中心付近の正の屈折力を有するシリンドリカルレンズ面4aと、光源からの直接光および反射傘3による反射光を分離するための屈折面4b,4b’および反射面4c,4c’からなる鋭角プリズム部のみである。したがって、光学部材4を簡易な形状としながらも光学部材4に十分な光学機能を果たさせることができ、光学部材4の全体の厚さを極めて薄く抑えることが可能になる。
【0074】
このことによって、樹脂による光学部材4の成型性が向上するばかりでなく、樹脂材料の透過率による光量低下を最小限に抑えることができるとともに、照明装置ひいては撮影装置の軽量化にも寄与する。
【0075】
さらに、光学部材4の最外周面の形状が極めてシンプルであり、光学上の制約の少ない面で構成されているため、光学部材4の保持が容易であり、撮影装置に搭載した場合でも特殊な保持構造を採る必要がなく、大変取り扱い易い形態となっている。
【0076】
第3に、このように反射領域を複数の反射部材で構成することによって、従来のライトガイドタイプストロボの問題点、すなわち一般に樹脂光学材料で形成した光学部材を光源近くに配置した場合に光源から発する熱によって光学部材が溶け、発光条件によっては本来の光学特性を得ることができないという問題点をも未然に回避することができる。
【0077】
つまり、このように複数部材の反射面で反射領域を構成することによって、最も熱に弱い光学部材4の屈折面と反射面との境界部であるエッジ部4f,4f’を光源から遠ざけて配置することができる。また、放電管2の回りの空間も広げることができる。このため、連続発光時に生じる放射熱や対流熱による樹脂材料への影響を最小限に抑えることができ、光学特性の劣化を防止することができる。
【0078】
このように、本実施形態によれば、反射傘3と光学部材4という少ない構成部品でありながら、小型で必要照射範囲外への光照射による光量損失の少ない、極めて効率の良い照射角度可変型照明光学系を構成することができる。
【0079】
次に、図3を用いて、本実施形態における放電管2の長手方向での集光作用について説明する。
【0080】
図3は、放電管2の中心軸を含む平面で切った断面図である。なお、図3(a)および図3(b)は同一の断面図を示しており、図3(b)では光源中心からの光線トレース図を合わせて示している。
【0081】
図示のように、光学部材4の射出部は、光軸中心付近に形成された両斜面が略等角度である比較的鈍角のプリズム列4pと、その周辺部に形成された鋭角のフレネルレンズ部4g,4g’とから構成されている。
【0082】
また、光学部材4の両側面には、反射傘3と一体に成型された側面反射板3d,3d’が設けられている。この側面反射板3d,3d’は、放電管2から射出されて光学部材4に入射せず、側方に逃げてしまう光束の一部や、光学部材4の射出面側に形成されたプリズム列4pおよびフレネルレンズ部4g,4g’で生じる不要な反射成分を反射させて光学部材4の側面4h,4h’から再入射させ、有効に利用することを目的とするものである。
【0083】
本実施形態では、光軸中心付近のプリズム列4pの頂角を105°と一定に設定している。このような角度設定で形成したプリズム列4pには、入射角度の比較的大きな成分(入射後のプリズム内での角度が30°から40°前後の成分)を、入射面で屈折した角度のままの状態で射出面から射出させる、すなわち射出面での屈折の影響をほとんど受けずに射出面から射出させるような効果があり、入射光束をある一定の照射角度範囲の光束として集光させる効果がある。
【0084】
なお、このプリズム列4pの頂角は105°に限定されるわけではなく、この角度より角度の小さい、例えば90°に設定すれば、光学部材4からの光束の射出角度をより狭く設定することが可能となる。逆に頂角を大きく、例えば120°に設定すれば、光学部材4からの射出角度分布をより広く設定することも可能となる。
【0085】
一方、図3(b)にも示すように、プリズム列4pに到達する光束の中には、プリズム列4pの面で反射して再度、光源側に戻される成分も存在する。この光束は、反射傘3で反射した後、再度、光学部材4に入射し、プリズム列4p又はフレネルレンズ4g,4g’で所定の角度成分に変換された後、被写体側に照射される。
【0086】
このように、光源中心から射出された光束のほとんどが、ある一定の角度範囲の分布に変換されて光学部材4から射出されることになる。この際の配光分布は、プリズム列4pの角度設定のみに依存し、プリズム列のピッチ等には影響を受けない。このため、光学部材4としては、光軸方向の深さを必要とせず、非常に浅い領域の中で集光制御ができ、光学系の全体を光軸方向に関して大幅に小型化(薄型化)することができる。
【0087】
さらに、図示のように光学部材4の周辺部のフレネルレンズ部4g,4g’には急角度のフレネルレンズ面が形成されている。光学部材4は、形状が大変薄く構成されているものの、この周辺部はある程度の光束の指向性が得られる領域であり、この部分にフレネルレンズを形成することによって、効率良く集光作用を得ることができる。
【0088】
図では、この部分の顕著な集光作用は見られないが、これは、光源中心から射出した光束のみを示したためであり、放電管2の両端の端子部付近から照射された光束に関しては、かなりの光束が光軸付近に集まる成分に変換される。
【0089】
以上のように光学部材4の射出面形状を設定することで、光源近くに光学部材4を配置した極めて薄い光学系であるにもかかわらず、射出光束をある一定角度範囲に効率良く集光させることができる。
【0090】
さらに言えば、放電管2の長手方向(左右方向)に関する配光分布は、光学部材4の射出面側のプリズム列4pまたはフレネルレンズ面4g,4g’による集光作用により決定され、放電管2の長手方向に対して垂直な方向(上下方向)の配光分布は、光学部材4の光源側(入射面側)に設けたシリンドリカルレンズ面4aによる屈折領域と反射傘3による反射領域およびこれらの2つの領域の中間に設けられた光学部材4のプリズム部による反射領域との効率の高い集光作用によって決定される。したがって、本実施形態によれば、従来にないような薄型で、しかも光学特性の優れた照明光学系を得ることができる。
【0091】
上記のように構成された照明光学系で得られる配光特性の一例を、図6および図7に示す。
【0092】
図6に示した配光特性は、図1に示した光学配置に対応する最も集光した状態での配光特性であり、図7に示した配光特性は、図2に示した光学配置に対応する最も拡散した状態での配光特性である。
【0093】
図示のように構成することにより、上下方向に関しては大幅な照射角度変化を得ることができる。また、これと同時に、各必要照射角度範囲に対してほぼ均一な配光特性も得られている。
【0094】
図1に示した状態では、光源中心から射出した光束がすべて射出光軸に対して略平行になって射出するように各面の形状を設定し、図6に示した配光特性より狭い角度範囲に集光できるようにも考えられるが、実際には光源自体の大きさによって配光特性はある程度の広がりを持つ。図6に示すように、中心部の照度に対してその半値で決定される照射角度は12°まで広がっている。また、図7に示す拡散状態では、この半値の照射角度が3倍に近い34°まで広がっている。
【0095】
一方、左右方向に関しては光学系の構成上、大幅な角度変化は見られない。しかし、僅かではあるが、図1に対応する集光状態の角度範囲に対して図2に対応する拡散状態の角度範囲が広がっている。これは、上下方向の配光分布の変化に応じて中央部付近の集光・拡散の状態が大幅に変化する半面、周辺部付近の分布は大きく変化しないためと考えられ、この結果、相対的にこの照射角度範囲の変化が起こっているものとして理解できる。
【0096】
本実施形態では、放電管2の長手方向に対して垂直な方向の配光制御を、光源側に設けたシリンドリカルレンズ面4a、反射傘3の周辺部3b、3b’および反射面4c、4c’の3種5層の領域によって、図1に示すような最も集光された状態を基準に、光源と光学部材4の相対距離を変化させて照射角度範囲の変更を行う照明装置について示した。しかし、必ずしもこの実施形態に限定されるものではなく、基準状態は必ずしも全領域の光束が最も集光された状態にする必要はない。
【0097】
これは、光源がある一定値以上の大きさを持つ光源であることや、各集光制御面と光源との距離が異なっているなどの理由から、基準となる状態の配光分布をすべて最も集光した状態にせず、あえて異ならせた方が都合が良い場合もあり得るためである。
【0098】
この一例として、光源の大きさが大きい場合に、光源の近くに位置するシリンドリカルレンズ面からの照射角度がかなり広がる傾向にある。特に、光源中心より前側から発光した光束は、この広がりの傾向が強く、最も集光させる光学配置と言えども、必要照射範囲外に向かう光束がないとは言えない。
【0099】
一方、光源から一番遠ざかった位置の反射傘によって制御される光束成分は、光源の大きさがある程度大きくなっても集光度合いは低下せず、その分布は最初に設定した照射角度分布から大きく外れないものとなる。
【0100】
このことから、光源に近い位置に制御面が存在するシリンドリカルレンズ面は、光源中心よりやや被写体側に焦点位置を形成するような形状をとることによって、このシリンドリカルレンズ面を介して射出する光束の分布が必要以上に広がることを防止することができる。
【0101】
また、最集光状態が必ずしも必要ではない広角側を重視した照射角度範囲の変更を行う場合においても、中央のシリンドリカルレンズ面以外の反射傘およびプリズム部の反射面によって制御される光束に関して、一律に配光分布を最集光状態とするのではなく、やや広めの配光特性が得られるように各面の形状を設定するようにした方が都合の良い場合がある。
【0102】
また、本実施形態では、光源側(入射面側)の各面の構成および射出面側の各面の構成が、光軸中心に対して対称形状となっている場合について示したが、本発明は必ずしもこのような対称形状に限定されない。例えば、光学部材4の反射面4c、4c’は光軸を挟んで対称に構成されているが、必ずしもこのように同じ位置に形成する必要はなく、非対称形状にしてもよい。これは、反射面だけに言えることではなく、反射傘の形状や中央部のシリンドリカルレンズ面の形状に関しても同様である。
【0103】
さらに、射出面側に形成した中央部のプリズム列に関しても、左右の角度設定が異なるプリズム列を用い左右方向の配光特性に変化を持たせることができる。また、周辺部のフレネルレンズ部に関しても集光度合いに変化を持たせて、全体の配光特性に変化を持たせてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、光学部材4の中央部に形成されたシリンドリカルレンズ面4aが非球面形状である場合について説明したが、このシリンドリカルレンズ面は必ずしも非球面形状に限定されるわけではなく、円筒面で形成してもよい。また、放電管2の長手方向の集光性も考慮して、トーリックレンズ面としてもよい。
【0105】
(第2実施形態)
図8〜図11には、本発明の第2実施形態である照明装置の光学系の構成を示している。図8および図9は、上記光学系の放電管の径方向を含む面での断面図であり、図8は照射角度範囲が狭い状態を、図9は照射角度範囲が広い状態をそれぞれ示している。
【0106】
また、図10は、上記光学系の放電管の中心軸を含む平面で切った断面図であり、図11は上記光学系の分解斜視図である。なお、図8(b)および図9(b)には、光源である放電管の中心から射出した代表光線の光線トレース図も合わせて示している。
【0107】
さらに、上記照明装置は、図5に示したコンパクトカメラ(a)およびカード型カメラ(b)に搭載される。
【0108】
本実施形態は、図9に示す照射角度範囲を広げた状態の配光特性を優先した照明光学系であり、この状態を基準として最も優れた配光特性が得られるように構成されている。
【0109】
上記各図において、2は円筒直管形状の光源である放電管(キセノン管)である。23は放電管2から射出した光束を照明光の照射方向(前方)に反射させる反射傘であり、内側の面が高反射率面で形成された光輝アルミ等の金属材料または内側の面に高反射率の金属蒸着面が形成された樹脂材料等で構成されている。
【0110】
24はプリズム状に一体形成された光学部材であり、入射面側には放電管2の長手方向と略直交する方向(上下方向)に屈折力を有する屈折面24b,24d,24f,24h,24b’,24d’,24f’,24h’と、この屈折面から入射した光に対してほぼ全反射条件を満たす反射面24c,24e,24g,24i,24c’,24e’,24g’,24i’とからなる複数対のプリズム部が射出光軸Lを挟んだ上下に形成されている。
【0111】
また、図10に示すように、光学部材24の射出面側の左右周辺部には、放電管2の長手方向(左右方向)に屈折力を有するフレネルレンズ部24q,24q’が形成されている。
【0112】
この光学部材24の材料としては、アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料またはガラス材料が適している。
【0113】
本実施形態は、第1実施形態よりも更に薄型化を図った照明光学系であって、必要照射範囲の配光特性を均一に保ったまま、光源と光学部材との最少の位置変化量で大きな照射角度変化が得られるものである。以下、図8〜図11を用いてこの照明光学系の各構成部材の最適形状の設定に関してさらに詳しく説明する。
【0114】
まず、図8および図9を用いて、放電管の径方向(長手方向に直交する方向)である上下方向の照射角度変化の基本的な考え方を説明する。ここで、図8(a),(b)は最も狭い照射角度範囲に対応した状態を示し、図9(a),(b)は最も広い照射角度範囲に対応した状態を示している。
【0115】
また、各図の(a),(b)は同一の断面で切ったときの図であり、(b)は(a)の断面図に光線トレース部を付加して示したものである。また、図中の各部の符号は、図10〜図11に対応している。
【0116】
また、これらの図において、第1実施形態と同様の理由から、光源中心から射出した光束を代表光束と考え、図中には光源中心から射出した光束のみを示している。実際の配光特性としては、図に示したような代表光束に加え、放電管2の周辺部から射出した光束によって、配光特性は全体として若干広がる方向に変化するが、配光特性の傾向としてはほとんど一致するため、以下この代表光束に従って説明する。
【0117】
まず、上記構成の光学系の特徴的な形状を順を追って説明する。反射傘23のうち放電管2の後側を覆う部分は、放電管2とほぼ同心形状の半円筒形状(以下、半円筒部23aという)となっている。これは、反射傘23での反射光を再度、光源の中心部付近に戻すのに有効な形状であり、放電管2のガラス部の屈折による悪影響を受けにくくさせる効果がある。
【0118】
一方、この反射傘23の上下方向に延びた周辺部23b,23b’は、光源中心から射出した光束がこの周辺部で反射した後、光学部材24の周辺部に形成した斜面(24j,24j’)に導かれるように曲面形状に形成されている。そして後述するように、光学部材24の周辺部24j,24j’で屈折した後、ある程度集光した状態の配光特性が得られるような形態をとっている。
【0119】
また、反射傘23の半円筒部23aと周辺部23b,23b’の間の領域は、光軸に対してほぼ垂直な平面(以下、平面部という)23c,23c’で構成されている。
【0120】
次に、本実施形態の照明装置の配光特性に最も影響を与える光学部材24の詳細形状について説明する。図8に示す状態は、放電管2と光学部材24との距離を所定量離した状態であり、所定の集光状態が得られるように各部の形状および光学配置を設定したものである。
【0121】
まず、図8(a)に示すように、光学部材24の光軸中心付近は、光源中心から射出した光束のうち光軸Lに対してなす角度が比較的小さい直接光成分の入射が多い部分であり、この成分を屈折させるために、光学部材24の光軸中心付近の光源側にはも円筒面の一部からなるシリンドリカルレンズ面24aが形成されている。
【0122】
そして、その周辺側には、光源中心から射出した光束のうちシリンドリカルレンズ面24aに入射せず光軸Lに対してなす角度がやや大きな成分を入射させるための屈折面24b,24b’が形成され、その後方には、この屈折光に対してほぼ全反射条件を満たす反射面24c,24c’が形成されている。ここまでは、第1実施形態の光学系とほぼ同様である。
【0123】
本実施形態の特徴は、この屈折面24b,24b’と反射面24c,24c’からなるプリズム部が上下一対だけではなく複数対形成されていることである。すなわち、光軸Lに近い位置に設けられた屈折面24b,24b’および反射面24c,24c’からなる上下一対のプリズム部の周辺側に屈折面24d,24d’および反射面24e,24e’からなる上下一対のプリズム部が形成され、またその周辺側に屈折面24f,24f’および反射面24g,24g’からなる上下一対のプリズム部が形成され、さらにその周辺側に屈折面24h,24h’および反射面24i,24i’からなる上下一対のプリズム部が形成されている。
【0124】
そして、それぞれの反射面24c,24c’,24e,24e’,24g,24g’,24i,24i’は、ここで反射した光束が所定の集光状態の配光特性となるように形状が設定されている。
【0125】
また、光学部材24の光源側における最も周辺側のプリズム部のさらに周辺には、前述のように反射傘23の周辺部23b,23b’で反射した光束が入射する周辺部(透過部)24j,24j’ の傾斜面が形成されている。この反射傘23の周辺部23b,23b’と上記周辺部24j,24j’ の傾斜面(屈折面)も、上記プリズム部を介した光路と同様に、所定の集光状態の配光特性が得られるような形状に設定されている。
【0126】
光学部材24の各部に入射した光束は、屈折又は反射によって所定の角度成分に変換された後、同一の射出面24kから射出される。
【0127】
このように、光学部材24に、光軸Lを挟んで上下方向に積み重なるように複数対のプリズム部を形成することにより、照明光学系の光軸方向の奥行きを極めて短縮することができるという利点がある。また、同時に、照射角度変化の可能な照明装置に適用した場合には、照射角度変更時の光源と光学部材24との光軸方向の相対位置関係の変更量を極めて短縮することができるという利点もある。これは、非常に薄型でありながら所望の配光特性を得ることができる最小体積の照射角度可変型の照明光学系の実現に対してきわめて有効な形態といえる。
【0128】
図8(b)は、光源中心から射出した光束が光学部材24の各面から入射し、それぞれのどのような光路を通るかを示した光線トレース図である。図示のように、光源中心から射出したほとんどの光束は、光軸Lに対してなす角度が比較的小さい成分に変換されている。すなわち、本実施形態の光学系において最も集光された状態をこの光学配置によって得ることができる。
【0129】
一方、図9に示す状態は、放電管2と光学部材24とを接近させた状態であり、図8に示した状態よりも照射角度範囲を広げた状態が得られる。本実施形態では、この状態における配光特性を、広角レンズ装着時の配光特性に対応させるとともに、最も均一な配光特性が得られるように最適化したものであり、設計の基準状態としている。
【0130】
このような光学配置の場合、各プリズム部の屈折面と反射面の交点で形成されるエッジ部24l,24l’,24m,24m’,24n,24n’,24o,24o’が反射傘23の平面部23c,23c’に接近することになる。このように光学部材24が反射傘23に接近することによって、図9(b)に示すように、光源中心から射出した光線のうちシリンドリカルレンズ面24aに入射する成分が増える一方、反射傘23の周辺部23b,23b’に向かうべき光束が極めて減少させられることになる。
【0131】
さらに詳しく説明すると、本来、この周辺部23b,23b’を介して光学部材24の周辺部24j,24j’に向かう成分は、放電管2と反射傘23とが一体的に保持されているために、常に光軸方向に対してなす角度が小さく集光されるべき成分となる。ところが、上述のように、光学部材24のエッジ部24o,24o’が接近するため、この成分が極端に減少させられ、これと隣接した別のプリズム部に順次振り向けられることになる。また、これと同時に、光学部材24が反射傘23から離れた状態では反射面24c,24c’で制御されていた光束の一部が、光軸中心付近に形成されたシリンドリカルレンズ面24aに直接入射することになり、このシリンドリカルレンズ面24aに入射する光束成分が増加することになる。
【0132】
このように、本来、図8に示した集光状態では、光軸中心付近の屈折領域と、その周辺側の光学部材24(プリズム部)による反射領域と、最も周辺側の反射傘23による反射領域の3つの領域の光束をすべてある一定範囲に集光させるような構成をとっていたのに対し、光源と反射傘23とからなる発光部と光学部材24とを光軸方向に接近させていくことよって、上記各領域の集光状態を徐々に変化させることができる。この現象は、それ以前の状態で屈折によって射出方向が制御されていた光束成分を、反射によって向きを変換し、大幅に照射方向を変換できることに加え、さらに屈折率の高い光学部材24中でこの反射現象を取り扱っているので、さらに大きな角度変換を望めるためである。
【0133】
この反射成分は、図9(b)にも示すように、照射面上では周辺部のある一定の狭い角度領域の成分に変換される。図9(b)のトレース図では、この反射成分は一定方向の所定角度成分だけに変換されるように見えるが、実際には、光源にはある一定の大きさが存在するため、角度領域はある一定領域まで広がり、また全体としてみた場合には、光軸中心付近の屈折領域の成分とも重なり合うため、広い角度範囲でほぼ均一な角度分布を持った配光特性を得ることができる。
【0134】
また、反射傘23の反射領域の光束成分は上述のように、光源と光学部材24との接近によって、徐々にその成分が減少する。ここで、この反射領域の光束成分をある程度残すことによって、光軸方向に対してなす角度が小さい成分の減少を抑えることができ、配光特性上の光軸中心付近の光束の落ち込みを防止することができるため、ある程度この成分を残すことは有効である。
【0135】
このように、本実施形態の構成では、光源と光学部材24との光軸方向への僅かな位置関係の変更によって、大幅に照射角度範囲を変更することができると同時に、多数の領域の各光束成分が他の領域の配光特性の変化を補うことができ、全体として均一で必要照射範囲に対して光量ロスの少ない光学系を実現することができる。
【0136】
特に、プリズム部を光軸方向に対して直交する方向(上下方向)に複数積層したように配置することにより、光軸方向の奥行きを極めて小さくした照明光学系を実現することができる。
【0137】
本実施形態の構成によれば、図8に示す光学系の光軸方向の最大寸法を5mm以下の4.9mmにまで短縮することが可能である。一方、最も照射角度の広い図9に示す状態は、図8の状態に対してわずか0.6mmの光源と光学部材24との光軸方向への位置関係の変更によって達成することができる。
【0138】
このように、本実施形態の構成では、数少ない構成部品で大幅な照射角度範囲の変更が可能であるため、以下の利点がある。
【0139】
1.光源からの光を多くの部品を介さずに照射することができ、効率が良い
2.照射角度範囲の変更機能を備えながらも超小型化できる
3.コスト的にも安くできる。
【0140】
次に、上記屈折領域、プリズム部による反射領域、反射傘23による反射領域の3つの領域の最適な配分割合について説明する。
【0141】
基本的には、本実施形態の最大の特徴は、プリズム部の反射面を複数形成し、光軸直交方向に層状に複数重なるように配置して、光学系の光軸方向の厚みを最小限に抑えたことである。このため、第1実施形態の考え方とは異なり、この複数層設けたプリズム部による反射領域をいかに広げるかが、どの程度の薄型化できるかを決定することになる。
【0142】
そして、最も集光した図8に示す状態において、このプリズム部の屈折面に入射する光源中心からの光束が光軸となす角度αは、
20°≦α≦80° …(2)
であることが望ましい。
【0143】
ここで、角度αが上記(2)式の下限である20°より小さいと、プリズム部による反射領域を形成すること自体が困難となる。すなわち、プリズム部のエッジ部の角度が極めて鋭くなると同時に、プリズム部に厚み方向に深い形状を必要とすることになる。このため、本発明の主眼である薄型光学系を構成することが困難になるばかりでなく、製造も困難となり望ましくない。また、上限である80°より大きくなると、反射傘23による集光光束成分が減少し、この結果、照射角度を広げた状態で中央部付近に向かう光束が減少してしまい、必ずしも均一な配光特性を得られなくなる。
【0144】
本実施形態では、上記理由から、複数対のプリズム部を、光軸Lに対してなす角度が25°〜75°の約50°の範囲に含まれる光束に対応して形成し、最適化を図っている。
【0145】
理想的な形態としては、このプリズム部による反射領域を極力広げることが望ましく、これにより、光学部材24の厚み方向の寸法を最も短縮した構成がとれるため、光学系の超薄型化が可能であるとともに、光学部材24を樹脂材料で成型する場合の成型時間を短くし、安価で加工し易い形態とすることができる。
【0146】
次に、プリズム部において光束を反射面24c,24c’,24e,24e’,24g,24g’,24i,24i’に導く屈折面24b,24b’,24d,24d’,24f,24f’,24h,24h’の最適な形状について説明する。図8(b)および図9(b)に示す光線トレース図からもわかるように、光源中心から射出した光束は、各屈折面で大きく屈折し、光軸から離れる方向に向かって同じプリズム部の反射面に到達する。
【0147】
この屈折面の理想的な形状としては、光源から射出される光束をできるだけ多く反射面に導く構成をとることであり、このためには、この屈折面で急激に光を屈折させる必要がある。このことはまた、各反射面の光軸方向長さを短く、すなわち光学系の厚み方向の寸法を短縮させることにもつながり、本発明の趣旨とも合致する。
【0148】
具体的な形状としては、各屈折面24b,24b’,24d,24d’,24f,24f’,24h,24h’は、光軸Lに対する傾きが0°の平面となることが望ましい。しかし、光学部材の成型性および加工精度の問題から、0°の平面とすることは困難である。本実施形態では、加工的な条件を考慮し、この屈折面24b,24b’,24d,24d’,24f,24f’,24h,24h’を、光軸Lに対する傾きが10°以下の平面又は加工し易い曲面で構成するようにしている。
【0149】
一方、本実施形態では、単一の光学部材に複数のプリズム部による反射領域を構成し、この光学部材と光源との相対位置関係を変化させることによって、従来にはない本発明特有の効果を得ることができる。
【0150】
まず、第1に、照射角度可変タイプの照明光学系に必要とされる体積を最小限に抑えることができることである。すなわち、反射面の構成を、従来のように光軸方向に連続的な1つの曲面(反射傘もしくは反射面)で構成するのではなく、不連続な複数の反射面、しかも全反射を利用した面で構成し、この複数の反射面を光軸と垂直な方向に重なるように配置している。このように構成することによって、照明光学系の奥行き方向(光軸方向)の厚みを極めて短縮することができ、照明光学系に必要とされる体積を最小限に抑えることができる。
【0151】
図8および図9を用いて説明すると、光軸に近い側に反射面24c,24c’をまず配置し、その周辺側でかつ光軸方向にてオーバーラップする位置に反射面24e,24e’を配置する。以下、同様に、光軸方向位置がオーバーラップするように反射面24g,24g’と24i,24i’を配置することによって、全体として反射面の光軸方向の厚みを極めて短縮する構成を採っている。
【0152】
第2に、光学部材24の形状が薄型であるため、成型性に優れ、安いコストで製作可能な点である。すなわち、光学部材24に求められる光学作用部としては、光軸中心付近の正の屈折力を有するシリンドリカルレンズ面24aと、屈折面および反射面からなる複数の鋭角プリズム部のみである。したがって、光学部材24を簡易な形状としながらも光学部材24に十分な光学機能を果たさせることができ、光学部材24の全体の厚さを極めて薄く抑えることが可能になる。
【0153】
このことによって、樹脂による光学部材24の成型性が向上するばかりでなく、樹脂材料の透過率による光量低下を最小限に抑えることができるとともに、照明装置ひいては撮影装置の軽量化にも寄与する。
【0154】
さらに、光学部材24の最外周面の形状が極めてシンプルであり、光学上の制約の少ない面で構成されているため、光学部材24の保持が容易であり、撮影装置に搭載した場合でも特殊な保持構造を採る必要がなく、大変取り扱い易い形態となっている。
【0155】
第3に、このように反射領域を複数の反射部材で構成することによって、従来のライトガイドタイプストロボの問題点、すなわち一般に樹脂光学材料で形成した光学部材を光源近くに配置した場合に光源から発する熱によって光学部材が溶け、発光条件によっては本来の光学特性を得ることができないという問題点をも未然に回避することができる。
【0156】
つまり、このように複数部材の反射面で反射領域を構成することによって、最も熱に弱い光学部材24の屈折面と反射面との境界部であるエッジ部24l,24l’を光源から遠ざけて配置することができる。また、放電管2の回りの空間も広げることができる。このため、連続発光時に生じる放射熱や対流熱による樹脂材料への影響を最小限に抑えることができ、光学特性の劣化を防止することができる。
【0157】
このように、本実施形態によれば、反射傘23と光学部材24という少ない構成部品でありながら、小型で必要照射範囲外への光照射による光量損失の少ない、極めて効率の良い照射角度可変型照明光学系を構成することができる。
【0158】
次に、図10を用いて、本実施形態における放電管2の長手方向での集光作用について説明する。
【0159】
図示のように、本実施形態では、光学部材24の射出部の中央部に平面部24pを形成し、周辺部にはフレネルレンズ部24q,24q’を設けて所定の配光特性が得られるように構成している。
【0160】
ここで、光学部材24は、形状が大変薄く構成されているものの、放電管2の左右両端の端子部付近に対応する周辺部は、ある程度の光束の指向性が得られる領域である。そして、この部分にフレネルレンズ部24q,24q’を形成することによって、比較的良好な集光作用を生じさせることができる。
【0161】
一方、光軸中心付近は平面部24pで構成されているが、これは以下の理由による。すなわち、本実施形態に示すような比較的広角のレンズに対応させて広い画角範囲での照射角度変更を行う照明光学系においては、光軸中心付近の光束の制御が困難な領域に対しては、複雑な面構成をとって集光させるよりむしろ平面のままにした方が均一な照射を行わせることができるためである。
【0162】
このように、光学部材24の射出面の各部形状を設定することで、光学部材24が光源に近い極めて薄い光学系であるにもかかわらず、射出光束をある一定角度範囲に均一に効率良く集光させることができる。
【0163】
このように、放電管2の長手方向(左右方向)に関しては、光学部材24の射出面側のフレネルレンズ部24q,24q’で集光制御し、放電管2の長手方向に対して垂直方向(上下方向)に関しては、光学部材24の光源側に設けたシリンドリカルレンズ面24aと反射傘23、そしてこれらの2つの領域の中間に設けられた光学部材24の複数の反射面(プリズム部)とを用いて集光制御することによって、従来にない光学特性の優れた、非常に薄型の照明光学系を得ることができる。
【0164】
以上のように、本実施形態では、光源の長手方向に垂直な方向の配光制御を、光源側に設けたシリンドリカルレンズ面24a、反射傘23および複数対のプリズム部の反射面の3種11層の領域によって、光源と光学部材24との相対距離を変化させて照射角度変更を行う。そして、本実施形態のように、本発明は、広角側の配光特性を優先した照射角度変更を行う光学系にも十分に対応させることができ、この状態を基準に光学部材24と光源との距離を所定量離す方向に移動させることによって、必要とされる集光作用を持たせるような照明光学系に対応させることも可能である。
【0165】
また、本実施形態では、光源側の各面の構成および射出面側の各面の構成が、光軸中心に関してすべて対称形状の例について示したが、本発明は必ずしもこのような対称形状に限定されない。例えば、光学部材24のプリズム部の反射面を、光軸を対して非対称に配置してもよく、さらに複数の反射面の数が光軸の上下で異なってもよい。また、上記反射面だけではなく、反射傘の形状やシリンドリカルレンズ面の形状に関しても非対称としてもよい。また、同様に、射出面側に形成したフレネルレンズ面に関しても左右で異なる角度設定のフレネルレンズを用いて、左右方向の配光特性に変化を持たせてもよい。
【0166】
また、光学部材24の中央部に形成されたシリンドリカルレンズ面24aは、本実施形態では円筒面の一部で構成しているが、シリンドリカルレンズ面を非球面形状としてもよく、さらに光源の長手方向の集光性も考慮してトーリックレンズ面としてもよい。
【0167】
(第3実施形態)
図12および図13には、本発明の関連発明の実施形態としての第3実施形態である照明装置の光学系の構成を示している。図12は照射角度範囲を狭めた集光状態を、図13は照射角度範囲を広げた拡散状態をそれぞれ示している。本実施形態は、図13に示す照射角度範囲を狭めた状態の配光特性を優先した照明光学系であり、この状態で最も集光性に優れた特性が得られるように各部の形状を設定したものである。また、図12(b)および図13(b)には、光源中心から射出した代表光線の光線トレース図も合わせて示している。
【0168】
さらに、上記照明装置は、図5に示したコンパクトカメラ(a)およびカード型カメラ(b)に搭載される。
【0169】
同図において、2は円筒直管形状の光源である放電管(キセノン管)である。33は放電管2から射出した光束を前方に反射させる半円筒状の反射傘であり、内側の面が高反射率面で形成された光輝アルミ等の金属材料または内側の面に高反射率の金属蒸着面が形成された樹脂材料等で構成されている。
【0170】
34は入射面側に放電管2の長手方向に略直交する方向(上下方向)に屈折力を有する屈折面と反射面とからなる複数対のプリズム部が形成された光学部材である。この光学部材34の材料としては、アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料、またはガラス材料が適している。
【0171】
本実施形態、特に照明光学系の全体形状を極めて薄型化しつつ、そのときの必要照射範囲の配光特性を均一に保ったまま、光源と光学部材34との最少相対位置変化量で大きく照射角度を変更することが可能なものであり、第1実施形態と最も異なる点は、反射傘33の周辺部を光学部材34の後方に回り込ませることなく、すべて光学部材34の全反射作用を用いて配光制御を行っている点である。
【0172】
なお、放電管2の軸方向の形状については、第1および第2実施形態の放電管2と同様である。以下、図12および図13を用いて、本実施形態の照明光学系の最適形状の設定に関してさらに詳しく説明する。
【0173】
図12および図13には、本実施形態における上下方向の照射角度変更の基本的な考え方を示している。ここで、図12(a),(b)は最も狭い照射角度範囲に対応した状態を示し、図13(a),(b)は最も広い照射角度範囲に対応した状態である。また、各図の(a),(b)は同一の断面で切ったときの図である。
【0174】
さらに、これらの図において、第1実施形態にて説明したのと同様の理由から、説明を容易にするため、光源中心から射出した光束を代表光束と考え、図中では光源中心から射出した光束のみを示している。
【0175】
まず、上記照明光学系の特徴的な形状を順を追って説明する。反射傘33は、放電管2の後側を覆うように形成されており、その形状は放電管2とほぼ同心形状の半円筒形状としている。これは第1実施形態にて説明したのと同様の理由による。
【0176】
次に、光学部材34の詳細形状について説明する。図12に示す状態は、放電管2と光学部材34との距離を所定距離離した状態であり、この状態で本実施形態において最も集光した状態が得られる。
【0177】
図12(a)に示すように、光学部材34の光源側の光軸中心付近には、光源中心から射出した光束のうち光軸に対してなす角度が比較的小さい直接光成分を屈折させるために、非球面形状を有するシリンドリカルレンズ面34aが形成されている。このシリンドリカルレンズ面34aの非球面形状により、光源中心から射出した光束がこの断面に関して光軸と略平行になるように屈折する。
【0178】
そして、シリンドリカルレンズ面34aの周辺には、光源中心から射出した光束のうちシリンドリカルレンズ面34aに入射せずに光軸に対してなす角度がやや大きな光束成分を入射させるための屈折面34b,34b’,34d,34d’,34f,34f’,34h,34h’とこれらそれぞれの屈折面から入射した光に対してほぼ全反射条件を満たす反射面34c,34c’,34e,34e’,34g,34g’,34i,34i’とからなる複数対のプリズム部が光軸Lを挟んで上下方向に形成されている。
【0179】
そして、反射面34c,34c’,34e,34e’,34g,34g’,34i,34i’は、ここで反射した光束が所定の集光状態となるように形状が設定されている。
【0180】
このように、光学部材34の各部に入射した光束は、光学部材34において屈折または全反射した後、同一の射出面34jから射出する。
【0181】
本実施形態では、光学部材34の光源側において、複数対のプリズム部を光軸Lに対して直交する上下方向に積み重なるように配置しているため、照明光学系の光軸方向の奥行きを極めて短縮することができるという利点がある。そして、この構成を照射角度変更が可能な照明光学系に適用した場合には、照射角度変更時における光源と光学部材34との光軸方向での相対位置関係の変更量を極めて小さくすることができるという利点もある。これは、非常に薄型でありながら所望の配光特性を得ることができる最小体積の照射角度可変タイプの照明光学系の実現に対して極めて有効である。
【0182】
しかも、本実施形態では、第1および第2実施形態に示した光軸Lに対して最も周辺側に位置する反射傘の周辺部と光学部材の屈折による光路が存在しないため、反射傘と光学部材との位置合わせ精度を気にしたり、反射傘と光学部材との相互干渉を心配したりする必要がなく、簡単に安定した光学特性を得ることができる。
【0183】
図12(b)は、光源中心から射出した光束が光学部材34の各面から入射
してどのような光路をたどるかを示した光線トレース図である。図示のように、光源中心から射出したほとんどの光束は、光軸Lに対してほぼ平行となるように変換されている。すなわち、本実施形態の光学系において最も集光された状態をこの光学配置によって実現することができる。
【0184】
一方、図13は、放電管2と光学部材34とを図12に示す状態から接近させた状態を示し、照射角度範囲を所定量広げた状態が得られるように光学配置が設定されている。本実施形態では、この状態における配光特性を、広角レンズ装着時の配光特性に対応させたものである。
【0185】
まず、このような光学配置の場合、反射光の光路を決める屈折面34b,34b’と反射面34c,34c’との交点で形成されるエッジ部34k,34k’が反射傘33に接近することになる。このように光学部材34が反射傘33に接近することによって、図13(b)に示すように、光源中心から射出した光線のうちシリンドリカルレンズ面34aに入射する成分が増える一方、光学部材34の周辺部の屈折面34h,34h’に入射する光束が極端に減少させられることになる。
【0186】
このように、図12に示した集光した状態では、光軸中心付近の屈折領域と、その周辺側のプリズム部による反射領域からの光束をすべて光軸に対して略平行になるのに対し、図13に示すように、光源と反射傘33とからなる発光部と光学部材34との位置関係を光軸方向に接近させることよって、上記各領域からの光の集光状態を徐々に変化させることができる。
【0187】
これにより、光源と光学部材34との光軸方向におけるわずかな相対位置変化によって大幅な照射角度範囲の変更が可能となる。特に、プリズム部の反射面を光軸側から周辺側に複数重ね合わせるように積層して配置することにより、光軸方向の奥行きが極めて小さい照明光学系を実現することができる。
【0188】
本実施形態では、光学部材34に上下4層ずつの反射面を形成しているが、本発明は必ずしも4層の反射面に限定されるわけではない。反射面の層数を増やすほど、さらに薄型化された光学系を構成することが可能である。
【0189】
また、光学系の全体の小型化を図るのであれば、反射面の多層化とともに、各反射面のピッチ間隔も考慮する必要がある。本実施形態では、光学部材34の光軸中心付近に形成したシリンドリカルレンズ面34aに近い領域の反射層のピッチを細分化し、周辺に向かうにつれてこのピッチ間隔を広げていくようにして、全体形状のバランスを図っている。これは、以下の理由による。
【0190】
まず、光源と光束を反射面に導く各屈折面との位置関係から、各屈折面への入射角度が変化し、光軸から遠ざかるほど入射角度が小さくなる。これは図12(b)からも明らかであり、光軸に近い屈折面34bに入射する光線は入射角度が非常に大きく、周辺部の屈折面34hに入射する光線は入射角度が小さくなっている。このように、各屈折面に入射する光線の入射角度が異なることは、この屈折面に対応して設けられた反射面の形状にも大きな影響を与えることになる。
【0191】
すなわち、入射角度が急角度である屈折面に対応した反射面は、より深い面、すなわち射出面側まで延ばした面として形成する必要がある。しかし、このように反射面を延ばすと、本発明の最大の目的である照明光学系の光軸方向の薄型化が困難になる。
【0192】
そこで、この問題点を回避するため、本実施形態では、光束の入射角度の大きい光軸中心付近に近い屈折面の入射領域を狭めている。言い換えれば、光軸中心付近のプリズム部のピッチ間隔を狭めて、反射面が所定の長さ以上に深くならないようにしている。
【0193】
このような理由から、光軸に近い側のプリズム部のピッチ間隔を狭め、周辺部のプリズム部のピッチ間隔を広げることによって、反射面の射出面側の端部の光軸方向位置をほぼ一定に保つことができ、光学部材の薄型化が可能となる。また、同様の理由から、反射面数を増加させることによって、それぞれの反射面の深さを浅くし、光学部材の全体の厚さを薄く抑えることができる。このため、照明光学系の全体を最小限まで小型化することを目的とするならば、このピッチ間隔を狭めることが望ましい。
【0194】
なお、反射面数を増加させると、光軸方向の小型化は達成されるものの、光軸に対して直交する上下方向の寸法が大きくなる。そこで、本実施形態では、光軸から離れるにしたがって、反射面のピッチ間隔を広げることにより、この無用な大型化を防止している。特に、最も外側の屈折面34h,34h’と反射面34i,34i’の層を光源に対して大きな角度範囲までカバーすることによって、この光軸直交方向の大型化を防止している。
【0195】
本実施形態では、反射面数を4層にした光学部材34に関し、光学特性を最適化した場合について説明したが、上記の工夫により、光軸方向の厚みを最小限に抑えつつ、上下方向寸法の小型化をも達成している。
【0196】
本実施形態の特有の効果としては、以下のことが挙げられる。
【0197】
まず第1に、構成が非常にシンプルな点である。反射傘33としては、光源である放電管2と同心の最小の半円筒形状のものを用いればよい。また、照射角度範囲の変更も、光源と光学部材34の位置関係を変更するだけでよく、非常に簡単な構成で照射角度範囲を変更可能な照明光学系を実現することができる。
【0198】
第2に、光源から射出した光束を効率良く被写体側に照射できることである。本実施形態は、光源から前側に射出された光束(反射傘33により反射された光束も含む)のすべてを光学部材34による屈折もしくは反射によって配光制御される。このため、従来のような反射傘による金属面での反射に比べて効率良く光束を導くことができ、限られたエネルギを有効に利用することが可能である。
【0199】
第3に、反射傘33と光学部材34の周辺部に広い領域で空気層を形成できる点である。従来のライトガイドストロボは、樹脂材料を光源の近くに配置する場合が多く、光源から発する熱によって光学部材が変形し、発光条件によっては本来の光学特性を得ることができないという問題点あったが、本実施形態の構成を採用することによって、放電管回りの空間も広げることができるため、連続発光時に生じる放射熱や対流熱による樹脂材料への影響を最小限に抑えることができ、光学特性の劣化を防止することができる。
【0200】
(第4実施形態)
図14および図15には、本発明の第4実施形態である照明装置の光学系の構成を示している。本実施形態は、上記第3実施形態を一部変更したものである。図14は照射角度範囲を狭めた集光状態を、図15は照射角度範囲を広げた拡散状態をそれぞれ示している。本実施形態は、図14に示す照射角度範囲を狭めた状態の配光特性を優先した照明光学系であり、この状態で最も集光性に優れた特性が得られるように各部の形状を設定している。また、図14(b)および図15(b)では、光源中心から射出した代表光線の光線トレース図も合わせて示している。
【0201】
これらの図において、2は円筒直管形状の光源である放電管(キセノン管)である。33は放電管2から射出した光束を前方に反射させる半円筒形状の反射傘である。
【0202】
44は入射面側に放電管2の長手方向に直交する上下方向に屈折力を有する屈折面と反射面とからなる複数対のプリズム部が形成された光学部材であり、反射板45が一体的に固定されている。この反射板45は、第3実施形態における最も周辺部に形成したプリズム部(34h,34i)と等価の機能を持たせた反射面を構成するものである。この反射板45の反射面は、放物面形状の金属反射面で構成されている。また、光学部材44の材料としては、アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料またはガラス材料が適している。
【0203】
本実施形態、特に撮影装置の照明光学系の全体形状を極端に薄型化しつつ、必要照射範囲の配光特性を均一に保ったまま、光源と光学部材44および反射板45との光軸方向における位置関係の最少変化量で大きな照射角度変更を可能としたものである。上記第3実施形態と最も異なる点は、光学部材の反射面の一部を反射部材で置き換えたことである。
【0204】
なお、放電管2の軸方向の形状については、第1および第2実施形態と同様である。以下、本実施形態の照明光学系の最適形状の設定に関してさらに詳しく説明する。
【0205】
図14および図15は、上下方向の照射角度変更の基本的な考え方を示す図である。ここで、図14(a),(b)は最も狭い照射角度範囲に対応させた状態を示し、図15(a),(b)は最も広い照射角度範囲に対応させた状態を示している。各図の(a),(b)は同一の断面で切ったときの図であり、(b)は(a)の断面図に光線トレース部を付加したものである。
【0206】
また、図14(b)および図15(b)において、第1実施形態と同様の理由から、説明を容易にするため、光源中心から射出した光束を代表光束と考え、図中では光源中心から射出した光束のみを示している。
【0207】
ここでは、光学的な構成のうち第3実施形態と異なる部分を中心に説明する。図14に示す状態は、放電管2と光学部材44との距離を所定距離離した状態であり、本実施形態において最も集光した状態が得られる。
【0208】
まず、図14(a)に示すように、光軸中心付近のシリンドリカルレンズ面44aおよびその周辺の3対のプリズム部(屈折面44b,44d,44f,44b’,44d’,44f’および反射面44c,44e,44g,44c’,44e’,44g’により構成される)は第3実施形態のものとほぼ同一形状である。そして、本実施形態では、光学部材44の最も周辺側の領域は平面部(透過部)44h,44h’で構成されている。
【0209】
また、この平面部44h,44h’の光源側の面には、反射板45が光学部材44と一体的に形成されている。この反射板45の形状は、図14に示す最も集光した状態で、光源中心から射出した光束が光軸に対して略平行な光束に変換されるように、光源中心を焦点とする放物面となっている。
【0210】
このように各部の形状を設定することで、第3実施形態とほぼ同様の光学特性を持たせることができる。図15に示す照射角度の広い状態においても、反射板45は照射角度範囲を広げるように機能し、ほぼ第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0211】
ここで、本実施形態において、光学部材44と一体的に構成した反射板45を用いた理由について説明する。
【0212】
まず、第1の理由として、第3実施形態の光学部材のうち最も周辺側の反射面の領域の厚肉が大きくなっているために、成型時間が長くかかり、コスト高の要因となり得ることが挙げられる。すなわち、本実施形態は、成型時間の短縮を図るために、光学部材44の全体の肉厚の均一化を図っている。
【0213】
なお、本実施形態では反射板45として金属反射面を有するものを用い、コスト優先の構成としているが、本発明は必ずしもこの形態に限定されることはない。この周辺部をプリズムでなく反射面として利用する方法、すなわち薄肉材料で構成し、その一部を蒸着面とする方法や、高反射率の反射板を使うことなく薄い高反射材料を貼るような構成を採ってもほぼ同様な光学特性を持たせることができる。
【0214】
第2の理由としては、光学部材の軽量化を図っていることが挙げられる。光学部材の重さはこの最外周のプリズム部によるところが大きく、この部分の軽量化を図ることも目的のひとつである。
【0215】
以上のように、本実施形態では、光学部材44に3対の反射面(プリズム部)を設け、その周辺側に一対の反射板45を設けて全体として上下4層ずつの反射面を有する光学系を構成しているが、本発明は必ずしもこのような4層ずつのものに限定されるわけではない。例えば、反射板を2層以上に分けて設けたり、最外周ではなくもう少し内側の反射面を反射板によって形成するようにしてもよい。なお、反射面の数を増やすほど、さらに薄型化された光学系を構成することも可能である。また、第3実施形態でも説明したように、反射面のピッチ間隔を変化させるようにしてもよい。
【0216】
(第5実施形態)
図16および図17には、本発明の関連発明の実施形態としての第5実施形態である照明装置の構成を示している。本実施形態は、上記第1実施形態の変形例である。図16は照明装置の光学系の分解斜視図であり、図17は光学部材のみを背面から見た図である。光線トレース図および配光特性等については、他の実施形態とほぼ同等であるため、詳細な説明は省略する。
【0217】
本実施形態は、第1実施形態にて説明した照明装置の照明光学系の反射面を2対形成するとともに、光学部材54における入射面側の形状を3次元的に変形させたものである。本実施形態は、主に、被写体面上の対角4隅方向の配光特性の改善を目的としたものである。
【0218】
照射角度の変更動作としては、第1〜第4実施形態と同様に、放電管52と反射傘53とを一体化して保持するとともに、これらと光学部材54との光軸方向の相対位置関係を変化させることによって行う。照射角度範囲の変化については、他の実施形態と同様である。
【0219】
図16および図17において、52は円筒直管形状の光源である放電管、53は反射傘、54は全体としてプリズム形状にに一体形成された光学部材である。これら構成要素の機能は、第1実施形態とほぼ等価であるが、本実施形態では、光学部材54の放電管52側の各面形状に特徴がある。
【0220】
同図において、反射傘53は、放電管52の後側を覆う部分が放電管52とほぼ同心の半円筒形状(以下、半円筒部53aという)に形成され、さらに光学部材54の上下方向における最も周辺側の反射面54e,54e’の背面を覆うトーリック面53b,53b’と、これらトーリック面53b,53b’と半円筒部53aとを結ぶ平面部53c,53c’とを有している。
【0221】
一方、光学部材54の入射面側の光軸中心付近には、光軸直交方向(上下方向)に正の屈折力を有するレンズ面54aが形成されているとともに、入射面側の周辺部には、屈折面と反射面とからなる上下2層ずつ(2対)のプリズム部が形成されている。
【0222】
本実施形態では、中央のレンズ面54aおよび周辺の反射面54c,54c’,54e,54e’が3次元的な曲面で構成されている点で第1実施形態と異なる。
【0223】
具体的には、光軸中心付近には、レンズ面54aとしてのトーリック面が形成され、その周辺側には、プリズム部を構成する円錐状の第1屈折面54b,54b’とトーリック面状の第1反射面54c,54c’とが光軸に関して上下対称に形成されている。
【0224】
さらにその周辺には、プリズム部を構成する円錐状の第2の屈折面54d,54d’とトーリック面状の第2の反射面44e,44e’とが光軸に関して上下対称に形成されている。また、射出面54hには、複数のプリズム列が形成されている。
【0225】
光学部材54をこのような形状にすることによる集光動作および効果について説明する。
【0226】
まず、トーリックレンズ面54aは、光軸中心と左右方向の周辺部との間で形状が徐々に変化して上下の幅が小さくなるとともに、左右方向の各位置における光軸直交方向(上下方向)の屈折力も徐々に変化する。
【0227】
このことによって、全体としての配光特性が均一化されるとともに、プリズム部の屈折面と反射面との境界エッジ部で発生しやすい被写体照射面上での湾曲した配光ムラを防止することができる。
【0228】
また、中央部のトーリック面化と同時に周辺部の反射面54c,54c’,54e,54e’についても、左右および上下の各断面形状がその位置に応じて徐々に変化するトーリック面で構成することにより、照射範囲の4隅までの配光特性を均一化させることが可能になる。
【0229】
このように、放電管52の中心から射出した光束に関し、トーリックレンズ面54aおよび2対のトーリック面としての反射面の作用によって、全体として照射角度範囲の狭い、集光性の高い配光分布を持った照明光学系を構成することができる。
【0230】
また、光学部材54の反射面を従来に比べて細分化し、上下方向に分割配置することにより、上記第1〜第4実施形態と同様に、光学部材54の薄型化が可能となる。また、プリズム部における屈折面と反射面の境界エッジ部が光源中心から離れるため、光学樹脂材料における光源の発熱による影響を受けにくくなり、光学特性への悪影響をも軽減させることができる。
【0231】
また、本実施形態の特有の効果として、光軸中心付近のレンズ面および各反射面をトーリック面で構成することによって、照射範囲の4隅まで考慮した均一な配光分布を持つ照明光学系を、特別な光学系を追加することなく簡単に構成することができる。
【0232】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来の照明範囲可変型の照明装置に比べて大幅な薄型化を図ることができるとともに、光源からのエネルギを高い効率で利用し、照射面上での均一な配光特性が得られる照明装置を実現することができる。
【0233】
さらに、上記光学部材において、反射部を光源の径方向を含む面内における光軸に直交する方向において光軸を挟んで一対又は複数対並ぶように設けるようにことにより、より薄型で均一な配光特性が得られる照明装置とすることができる。
【0234】
また、光源の中心から射出して上記反射部に入射する光の光軸に対してなす角度αが、
20°≦α≦70°
の範囲に含まれるようにすることにより、照明装置の薄型化と上下方向の小型化とを両立させることができる。
【0235】
そして、本発明によって、小型の撮影装置、特にカード型の撮影装置に、照射範囲の変更が可能な照明装置を搭載することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態である照明装置(集光状態)の放電管径方向の断面図。
【図2】 上記第1実施形態の照明装置(拡散状態)の放電管径方向の断面図および代表光線のトレース図。
【図3】 上記第1実施形態の照明装置の放電管中心軸を含む平面で切ったときの断面図。
【図4】 上記第1実施形態の照明装置の光学系の分解斜視図。
【図5】 上記第1実施形態の照明装置を搭載した(a)コンパクトカメラおよび(b)カードサイズカメラの斜視図。
【図6】 上記第1実施形態の照明装置(集光状態)の配光特性図。
【図7】 上記第1実施形態の照明装置(拡散状態)の配光特性図。
【図8】 本発明の第2実施形態である照明装置(集光状態)の放電管径方向の断面図。
【図9】 上記第2実施形態の照明装置(拡散状態)の放電管径方向の断面図および代表光線のトレース図。
【図10】 上記第2実施形態の照明装置の放電管中心軸を含む平面で切ったときの断面図。
【図11】 上記第2実施形態の照明装置の光学系の分解斜視図。
【図12】 本発明の関連発明の実施形態としての第3実施形態である照明装置(集光状態)の放電管径方向の断面図。
【図13】 上記第3実施形態の照明装置(拡散状態)の放電管径方向の断面図および代表光線のトレース図。
【図14】 本発明の第4実施形態である照明装置(集光状態)の放電管径方向の断面図。
【図15】 上記第4実施形態の照明装置(拡散状態)の放電管径方向の断面図および代表光線のトレース図。
【図16】 本発明の関連発明の実施形態としての第5実施形態である照明装置の光学系の分解斜視図。
【図17】 上記第5実施形態の照明装置を構成する光学部材の背面図。
【符号の説明】
2,52 放電管
3,23,33,53 反射傘
4,24,34,44,54 光学部材
4c,4c’,24c,24e,24g,24i,24c’,24e’,24g’,24i’,34c,34c’,34e,34e’,34g,34g’,34i,34i’ 反射面
45 反射板
11 カメラ本体
12 撮影レンズ
13 レリーズボタン
16 液晶表示窓

Claims (6)

  1. 光源と、
    光源の前側に配置された光学部材と、
    前記光源の後側および前記光源と前記光学部材との間の前側空間を覆うように配置され、前記光源からの光を前方に反射させる反射部材とを有し、
    前記光学部材の入射面側に、
    光軸位置を含む中心部において前記光源から入射する光に正の屈折力を与える正屈折部と、
    該正屈折部よりも周辺側に設けられ、前記反射部材のうち前記前側空間を覆う部分で反射した光を透過させる透過部と
    前記正屈折部と前記透過部との間に設けられ、前記光源からの光が入射する屈折面および該屈折面から入射した光を前方に反射させる反射面を有し、前記光源の径方向を含む面内における光軸に直交する方向において光軸を挟んで一対又は複数対並ぶように設けられた反射部とが形成されており
    前記光源と前記光学部材との光軸方向における相対的位置関係の変更により前記光学部材から射出する光の照射範囲を可変としたことを特徴とする照明装置。
  2. 前記反射部の屈折面が、光軸に対する傾きが10°以下の平面により構成されていることを特徴とする請求項に記載の照明装置。
  3. 前記反射部の反射面が、前記光源の径方向を含む面内における曲率を有する曲面により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
  4. 前記光源の中心から射出して前記反射部に入射する光の光軸に対してなす角度αが、
    20°≦α≦70°
    の範囲に含まれることを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の照明装置。
  5. 請求項1からのいずれか1つに記載の照明装置を備えたことを特徴とする撮影装置。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の照明装置を備えたことを特徴とするカード型の撮影装置。
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