JP3847611B2 - 耐跡残り性,加工性に優れたクリア塗装ステンレス鋼板 - Google Patents
耐跡残り性,加工性に優れたクリア塗装ステンレス鋼板 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、表面光沢を強調した家電機器の筐体,内装材,表装材等として好適なクリア塗装ステンレス鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
家電機器の筐体や内装材,表装材には、めっき鋼板に着色エナメル塗料を塗装したプレコート鋼板が従来から一般的に使用されている。嗜好の多様化が進む傾向にある最近では、ステンレス鋼素地の金属光沢を活かした高級感のある外観を呈する筐体や内装材に対する要求もあり、ステンレス鋼板の上にクリア塗膜を設けたクリア塗装ステンレス鋼板も使用され始めている。
クリア塗装ステンレス鋼板用には、ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,シリコーンポリエステル樹脂,アクリルシリコーン樹脂,フッ素樹脂等のクリア塗料が使用されている。塗装前処理したステンレス鋼板にクリア塗料を塗布し、1コート1ベーク又は2コート2ベークでクリア塗膜が形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
クリア塗装ステンレス鋼板は、通常のめっき鋼板に比較して表面が不活性のステンレス鋼板を塗装原板にしているので、良好な塗膜密着性が得られがたい。なかでも、鏡面外観を呈するBA仕上げステンレス鋼板は、緻密な不動態皮膜が形成されているため密着性の良好な塗膜を形成しがたい。密着性の低い塗膜では、クリア塗装ステンレス鋼板に曲げ加工,絞り加工等の加工を施したとき割れ,剥離等の加工欠陥を発生させ、外観を著しく劣化させる。
【0004】
また、筐体,内装材,表装材等に使用されるクリア塗装ステンレス鋼板は、高い表面光沢が特長の一つであるが、高い表面光沢がゆえに塗膜表面の疵や跡残りが目立ちやすい。たとえば、クリア塗装ステンレス鋼板の取扱いや運搬時に塗膜表面が疵付きやすい。梱包後に段積みすると発泡スチロールの亀甲状模様が残り、クリア塗装ステンレス鋼板の上に他の機器,器物等を載置すると接触部の塗膜表面が変形し、或いは塗膜からの可塑剤移行に起因する跡残りが生じる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、弾性率,膜厚が規制された二層構成のクリア塗膜を形成することにより、加工性,耐疵付き性,耐跡残り性を改善し、金属光沢のある美麗な外観を呈するクリア塗装ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
【0006】
本発明のクリア塗装ステンレス鋼板は、下層クリア塗膜及び上層クリア塗膜からなる二層構成のクリア塗膜が基材ステンレス鋼板の表面に設けられている。下層クリア塗膜の弾性率E1,膜厚T1と上層クリア塗膜の弾性率E2,膜厚T2の間にE2≧1200N/mm2,E1/E2=0.3〜0.95,T2≧2μm,T2/T1=0.30〜3.0を満足させるとき、加工性,耐疵付き性,耐跡残り性に優れたクリア塗装ステンレス鋼板となる。
下層クリア塗膜は、たとえばアクリル樹脂,エポキシ樹脂,ポリエステル樹脂,フッ素樹脂の1種又は2種以上を主成分にする塗料から形成される。上層クリア塗膜は、たとえばアクリル樹脂又はアクリルシリコーン樹脂を主成分とする塗料から形成される。
【0007】
【作用】
耐疵付き性,耐跡残り性は、塗膜の硬質化や光沢度調整等によって改善される。エナメル塗膜であれば顔料,骨材等を添加して硬質化し或いは光沢度を下げることによって耐疵付き性,耐跡残り性が向上するが、透明性,光沢が要求されるクリア塗膜では、顔料や骨材を添加できないため塗膜樹脂自体の硬度を高める必要がある。塗膜樹脂自体の硬度上昇は、絞り加工を始めとした加工性を低下させる原因となる。
基材ステンレス鋼板に対する密着性を確保するための下層クリア塗膜及び耐疵付き性に有効な硬度をもつ上層クリア塗膜の二層構成を採用することにより、下層クリア塗膜で加工性の低下をある程度抑えることができる。しかし、硬質の上層クリア塗膜では加工時に生じる応力が高く、下層クリア塗膜で応力を十分に緩和できず、塗膜剥離,割れ等の欠陥発生に至ることが多い。極めて硬質の上層クリア塗膜を設けた場合でも跡残りが生じることもある。
【0008】
そこで、本発明者等は、二層構成のクリア塗膜を前提とし、下層クリア塗膜,上層クリア塗膜の諸特性について種々調査検討した。その結果、硬度,膜厚,加工性等、クリア塗装ステンレス鋼板の要求特性を満足させる上で、塗膜の弾性率及び膜厚が有効な指標となることを見出した。すなわち、弾性率E1,膜厚T1の下層クリア塗膜及び弾性率E2,膜厚T2の上層クリア塗膜をもつ二層構成のクリア塗膜において、E2≧1200N/mm2,E1/E2=0.3〜0.95,T2≧2μm,T2/T1=0.30〜3.0を満足させるとき、No.4(JIS R6001 150〜180メッシュの研磨剤を塗布したベルトによる研磨)仕上げ,HL(ヘアライン)仕上げ等のステンレス鋼板はもとより、密着性が得られがたい塗装原板として扱われているBA(光輝焼鈍)仕上げステンレス鋼板でも耐疵付き性,耐跡残り性及び加工性を満足させることができた。なお、弾性率は、20℃の雰囲気における塗膜の応力−歪曲線の傾きから求められる。
【0009】
クリア塗膜は、顔料を含まないため同じ樹脂ベースからなる塗膜にあっても、エナメル用に顔料を添加したプライマ塗膜に比較して弾性率が大幅に低くなる。本発明者等は、通常使用されているプライマ用樹脂を用い、耐疵付き性や耐跡残り性を満足する弾性率が高いE2≧1200N/mm2の上塗り塗膜との組合せで加工性を評価した。その結果、通常使用されているプライマをクリア塗料化したものを使用した場合、曲げ加工や絞り加工により基材ステンレス鋼板側にプライマ塗膜が残ったまま上層クリア塗膜が剥離する現象が生じることを見出した。
【0010】
上層クリア塗膜の剥離は、耐疵付き性、耐跡残り性を満足させるために非常に弾性率の高い樹脂塗料を上塗りに使用したことから、加工時の応力が大きな収縮応力となって上層クリア塗膜に作用し、上層クリア塗膜近傍の下塗り塗膜が収縮応力に耐え切れず凝集破壊することに原因があるものと推察した。
そこで、下層クリア塗膜用のクリア塗料に過剰量の硬化剤を配合し、或いは塗料樹脂の分子量や樹脂種の変更等によって、従来のクリア塗料に比較して弾性率を大幅に高めたクリア塗料を用いて下層クリア塗膜を形成したところ、曲げ加工や絞り加工時の塗膜剥離を防止できた。すなわち、上層クリア塗膜の高い応力を考慮して、その応力に耐え得る高弾性率の下層クリア塗膜を形成するとき、上層クリア塗膜の剥離防止が可能になることが判った。
【0011】
剥離防止に及ぼす弾性率の影響を調査した結果、弾性率比E1/E2≧0.3で上層クリア塗膜が剥離しないことを解明した。従来のプライマのクリア塗料が100〜300N/mm2程度の弾性率であることを考慮すると、弾性率比E1/E2≧0.3を満足する下層クリア塗膜は、少なくとも360N/mm2の弾性率が必要であり、従来のプライマに比較して大幅に高い弾性率の塗料といえる。
他方、下層クリア塗膜の弾性率E1は、上層クリア塗膜の応力を緩和させるために上層クリア塗膜の弾性率E2よりも低くする必要があり、E1=E2では応力緩和できずに加工部の上層クリア塗膜が剥離しやすい。このような剥離は、弾性率比E1/E2を0.95以下に調整することによって防止できる。すなわち、塗膜剥離の抑制には、下層クリア塗膜の弾性率E1を大幅に高め、且つ弾性率比E1/E2を0.3〜0.95の範囲に設定することが有効である。
【0012】
弾性率の他にも、上層クリア塗膜に比較して下層クリア塗膜が薄すぎると、下塗りに弾性率の高い塗膜を配しても基材ステンレス鋼板から塗膜が剥離する場合がある。すなわち、上層クリア塗膜が厚いと、その分収縮応力が強くなり、下層クリア塗膜の弾性率E1を適正範囲に維持した場合にあっても、薄い下層クリア塗膜では応力緩和能が不足し塗膜剥離に至るものと推察される。このような塗膜剥離は、上層クリア塗膜との関連で下層クリア塗膜の膜厚を確保し、応力緩和能を高めることによって防止できる。
本発明者等による調査検討の結果によれば、下層クリア塗膜の膜厚T1と上層クリア塗膜の膜厚T2との膜厚比T2/T1を0.30以上にすることによって十分な応力緩和能が下層クリア塗膜に付与され、塗膜剥離を防止できることが判った。また、塗膜剥離と耐跡残り性とのバランスから下層クリア塗膜の膜厚T1と上層クリア塗膜の膜厚T2との間には適正領域があり、膜厚比T2/T1を0.30〜3.0の範囲に維持することにより、塗膜剥離がなく耐跡残り性に優れた塗膜が得られる。
【0013】
【実施の形態】
クリア塗膜が形成される塗装原板には、鋼種や仕上げ方法の如何を問わず各種ステンレス鋼板が使用される。なかでも、BA仕上げしたステンレス鋼板を使用すると、クリア塗膜の透明性が活用され、美麗な外観を呈する家電機器の筐体,内装材,表装材等に使用される。
ステンレス鋼板は,塗膜の密着性を高めるため必要に応じて種々の塗装前処理が施される。塗装前処理には、脱脂,クロメート処理,リン酸塩処理,タンニン酸処理,非クロム処理(シリカ系,ジルコニア系,チタン系等)等がある。
【0014】
塗装前処理されたステンレス鋼板にロールコート,カーテンコート,スプレー,浸漬法等によってクリア塗料が塗布され、2コート2ベークで二層構成のクリア塗膜が形成される。焼付けも、使用する塗料に応じて200〜300℃の温度範囲で選定される。
下層クリア塗膜は、上層クリア塗膜の弾性率E2,膜厚T2に対してE1/E2=0.3〜0.95,T2≧2μm,T2/T1=0.30〜3.0を満足する弾性率E1,膜厚T1に調整される。弾性率比E1/E2が0.3未満であれば、上層クリア塗膜に対して下層クリア塗膜が軟らかすぎ、絞り加工等の際に上層クリア塗膜の収縮応力に比較して下層クリア塗膜の耐力が不足し、下層クリア塗膜と上層クリア塗膜との間で層間剥離が生じやすくなる。逆に0.95を超える弾性率比E1/E2では、下層クリア塗膜が硬くなりすぎて上層クリア塗膜の応力を緩和できず、塗膜割れや基材ステンレス鋼板からの塗膜剥離が生じやすくなる。
【0015】
膜厚比T2/T1が0.30未満では、比較的柔らかい下層クリア塗膜の膜厚が厚すぎ、下層クリア塗膜の変形に起因した塗膜の跡残りが発生しやすくなる。逆に、3.0を超える膜厚比T2/T1では、下層クリア塗膜の膜厚T1が不足し、上層クリア塗膜の応力を十分に緩和できず、塗膜剥離が生じやすくなる。
下層クリア塗膜用の樹脂塗料としては、アクリル樹脂,エポキシ樹脂,ポリエステル樹脂,フッ素樹脂,フッ素変性アクリル樹脂等を樹脂ベースに使用する塗料がある。この種の樹脂塗料には、通常使用のクリア塗料或いは硬度調整したクリア塗料が使用される。下塗りクリア塗料には、透明性を損なわない程度の着色顔料,染料,パール顔料,メタリック顔料,骨材等の各種添加材を配合しても良い。
【0016】
下塗りのクリア塗料樹脂の分子量,ガラス転移温度等に特段の制約はないが、一般に分子量が小さくガラス転移温度が高いほど硬質のクリア塗膜になり,分子量が大きくガラス転移温度が低いほど加工性の良好なクリア塗膜になる。分子量、ガラス転移温度の影響を考慮して,目標とする塗膜性能に合わせてクリア塗料を適宜調整する。下層クリア塗膜の伸びは、3%以上が好ましく、弾性率E1,膜厚T1が目標条件を満足する範囲で適宜選定される。
下層クリア塗膜を形成した後、アクリル樹脂,アクリルシリコーン樹脂,シリコーン変性アクリル樹脂,シリコーンを添加したアクリル樹脂等を樹脂ベースとする上層クリア塗膜用の樹脂塗料が塗布される。上塗り用樹脂塗料にも、透明性を損なわない程度の着色顔料,染料,パール顔料,メタリック顔料,骨材等の各種添加材を配合することができる。
【0017】
上塗り用クリア塗料樹脂は、目標とする塗膜性能に合わせて分子量,ガラス転移温度等が調整される。上層クリア塗膜の伸びは、1%以上が好ましく、E2≧1200N/mm2,T2≧2μmでE1/E2=0.3〜0.95,T2/T1=0.30〜3.0を満足するように弾性率E2,膜厚T2が選定される。弾性率E2が1200N/mm2未満では塗膜硬度が不足し、耐疵付き性,耐跡残り性が低下する。2μmに満たない膜厚T2では、塗膜硬度が十分であっても薄すぎるために塗膜層としての強度が不足し、発泡スチロール等に接触した状態で保管,運搬される条件下では跡残り等の表面変形が塗膜面に発生しやすくなる。
【0018】
【実施例】
BA仕上げ,HL仕上げ,No.4仕上げの各仕上げを施した板厚0.5mmのSUS430ステンレス鋼板を塗装原板に使用した。塗装原板にCr換算付着量20mg/m2の塗布型クロメート処理を施した後、下塗り用クリア塗膜を塗布し、215〜250℃で30〜60秒焼き付けることにより下層クリア塗膜を形成した。次いで、上塗り用クリア塗膜を塗布し、同様な条件下の焼付きにより上層クリア塗膜を形成した。
使用した下塗り用,上塗り用クリア塗膜を表1に示す。なお、表1の弾性率は、幅5mm,膜厚20μmの遊離薄膜を温度20℃,引張り速度10mm/分で引張試験して得られた応力−歪曲線の傾きから算出した。また,基材ステンレス鋼板の表面に形成されたクリア塗膜の層構成を表2に示す。
【0019】
【0020】
【0021】
二層構成のクリア塗膜が形成された各クリア塗装ステンレス鋼板から試験片を切り出し、次の試験方法で耐跡残り性,耐疵付き性,曲げ加工性,絞り加工性を評価した。
耐跡残り性試験
塗膜面に発泡スチロールを置き、荷重2kg/cm2を加えて60℃に96時間放置した後、発泡スチロール取外し直後に塗膜の外観を目視観察した。跡残りが少しでも観察された塗膜を×,跡残りが観察されなかった塗膜を○として耐跡残り性を評価した。
耐疵付き性試験
先端8mmRのステンレス鋼製柱の先端をキムワイブS200(株式会社クレシア製)で覆い、常温で1kgの荷重をかけて30往復塗膜面を擦った後で塗膜面を観察した。疵が発生しなかった塗膜を○,疵が検出された塗膜を×として塗膜の耐疵付き性を評価した。
【0022】
曲げ加工試験
20℃で試験片を180度(2t)曲げ加工し、曲げ部外側に接着テープを貼り付け引き剥がすテープ剥離試験によって塗膜の剥離状況を調査した。塗膜剥離が検出されなかったものを○,10%未満の塗膜剥離が生じたものを△,10%以上の塗膜剥離が生じたものを×として曲げ加工性を評価した。
絞り加工試験
20℃で試験片を角筒状に絞り加工し、コーナー部及び端面部の塗膜を観察し、割れ,塗膜剥離の有無を調査した。割れや塗膜剥離が発生したものを×,塗膜や塗膜剥離が発生しなかったものを○として絞り加工性を評価した。
【0023】
表3の試験結果にみられるように、本発明で規定した弾性率,膜厚の条件を満足する試験番号1〜14のクリア塗装ステンレス鋼板は、何れも良好な耐跡残り性,耐疵付き性,加工性を示した。
他方、弾性率比E1/E2が0.3〜0.95の範囲を外れる試験番号15,19や膜厚比T2/T1が7.0と大きな試験番号16では加工性に劣り、膜厚比T2/T1が0.14と小さすぎる試験番号17や上層クリア塗膜の膜厚T2が1μmと薄い試験番号18では耐跡残り性に劣っていた。
この対比から明らかなように、下層クリア塗膜の弾性率E1,膜厚T1と上層クリア塗膜の弾性率E2,膜厚T2との間に所定の関係を成立させるとき、耐跡残り性及び加工性の双方共に優れたクリア塗装ステンレス鋼板が得られることが確認された。
【0024】
【0025】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のクリア塗装ステンレス鋼板は、基材ステンレス鋼板に二層構成のクリア塗膜を設け、下層クリア塗膜の弾性率E1,膜厚T1と上層クリア塗膜の弾性率E2,膜厚T2との間に所定の関係を維持させることによって、耐疵付き性のために上層クリア塗膜を硬質化した場合にあっても良好な加工性を維持している。そのため、ステンレス鋼板本来の優れた金属光沢のある外観を活用し、意匠性の高い家電機器の筐体,内装材,表装材等として使用される。
Claims (3)
- E2≧1200N/mm2,E1/E2=0.3〜0.95,T2≧2μm,T2/T1=0.30〜3.0を満足する弾性率E1,膜厚T1の下層クリア塗膜及び弾性率E2,膜厚T2の上層クリア塗膜が基材ステンレス鋼板の表面に設けられていることを特徴とする耐跡残り性,加工性に優れたクリア塗装ステンレス鋼板。
- アクリル樹脂,エポキシ樹脂,ポリエステル樹脂,フッ素樹脂の1種又は2種以上を主成分にする塗料から下層クリア塗膜が形成されている請求項1記載のクリア塗装ステンレス鋼板。
- アクリル樹脂又はアクリルシリコーン樹脂を主成分とする塗料から上層クリア塗膜が形成されている請求項1記載のクリア塗装ステンレス鋼板。
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