JP3856183B2 - 高硬度透明フッ素樹脂塗装ステンレス鋼板及び製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、塗膜硬度が高く耐疵付き性,耐摩耗性に優れた透明フッ素樹脂塗装ステンレス鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス鋼板は、美麗な外観を活用し、外装材,内装材,厨房機器等として広範な分野で使用されている。しかし、外観を活かした使用形態では、成形時に生じるカジリ,疵や取扱い時,使用中等に付着する指紋や汚れが非常に目立ちやすい。
指紋,汚れ付着等による外観の劣化は、フッ素樹脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂等を用いてステンレス鋼板をクリア塗装することにより抑制される。なかでも、フッ素樹脂系塗料で塗装したステンレス鋼板は、加工性,耐食性,耐候性に優れていることから、過酷な条件下の使用雰囲気に曝される用途にも広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
フッ素樹脂塗装では、ポリフッ化ビニリデン樹脂が汎用されている。しかし、結晶性高分子であるポリフッ化ビニリデン樹脂を使用すると、結晶生成如何によって塗膜の加工性等に悪影響が現れると考えられている(日新製鋼技報No.51(1984),p114,色材協会誌69(1996),p429)。
そのため、従来のフッ素樹脂塗装においては、フッ素樹脂の融解温度以上で塗料を融解させた後、直ちに水冷することによりフッ素樹脂を非晶質状態に維持する方法が採用されている。たとえば、特公平4−74184号公報では、球状のα型結晶が生成されることを防止するため、冷却速度160℃/秒以上で70℃以下に急冷している。
しかし、融解後直ちに水冷することにより形成されたフッ素樹脂クリア塗膜は、鉛筆硬度B程度の低い初期硬度を示す。そのため、異物や保護フィルムの皺に起因する押込み疵が生じ易く、塗装直後では取扱い疵が生じ易い。また、塗装された鋼板をストックしておくと、プレッシャーマークが付きやすいことも問題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、フッ素樹脂塗膜の硬度を上げることにより、加工性,密着性等の特性を損うことなく、耐疵付き性,耐摩耗性を改善したフッ素樹脂塗装ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
本発明の高硬度透明フッ素樹脂塗装ステンレス鋼板は、その目的を達成するため、全Cr付着量:5〜40g/m 2 のクロメート皮膜を介しポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂の混合塗膜がステンレス鋼表面に形成されており、広角X線回折分析における非晶質ハローの強度I a( 2θ:19 . 0 o ) に対するβ型結晶の反射強度I c( 2θ:20 . 5 o ) の比として定義されるポリフッ化ビニリデンのβ型結晶化度が3.0以上であることを特徴とする。
この高硬度透明フッ素樹脂塗装ステンレス鋼板は、アルカリ脱脂又は酸洗されたステンレス鋼板をクロメート処理し、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂の混合塗料を塗布し、焼付け後に直ちに冷却して塗膜を形成した後、140℃以下の温度で再加熱することにより製造される。
【0005】
【作用】
フッ素樹脂塗膜は、ポリフッ化ビニリデン樹脂の結晶化度を増大させることにより硬度が高くなる。しかし、結晶化が進行すると、一般的には加工性が劣化する傾向を示す。実際、結晶化の進行に伴って硬度が上昇することが多くの研究者により報告されているが、同時に加工性が劣化して使用に耐えられなくなるため、如何にして結晶化の進行を抑制するかということに関心が払われてきた。
これに対し、本発明者等は、加工性の低下を招く主要因であるα型結晶の生成を抑制し、α型に比較して影響の小さいβ型結晶化度を増大させる手段として、ステンレス鋼に塗布された非晶質のフッ素樹脂を積極的に再加熱する方法を検討した。更に、透明フッ素樹脂塗膜が顔料を含んでいないことに着目し、顔料と樹脂との界面がなく、樹脂の延性を100%利用できるクリアー塗膜であれば加工性を犠牲にすることなく塗膜硬度を向上させることが可能と考えた。
【0006】
ポリフッ化ビニリデン樹脂は、温度履歴に応じて種々の形態を採るが、加工性に悪影響を及ぼすものは主としてα型結晶である。そのため、再加熱条件としては、フッ素樹脂塗膜が融解せず、α型結晶が生成しない条件に設定すべきである。このような前提で、種々の再加熱条件とβ型結晶化度や塗膜硬度との関係、更に塗膜として基本的に要求される密着性,加工性等に及ぼす再加熱条件の影響を調査した。その結果、広角X線回折分析でα型結晶に相当するピークが検出されず、β型結晶の反射強度Ic(2θ:20.5°)の非晶質ハローの強度Ia(2θ:19.0°)に対する比として規定したポリフッ化ビニリデンのβ型結晶化度が3.0以上であれば、塗膜硬度が鉛筆硬度F以上になり、加工性や密着性にも問題がないことが判った。これに対し、3.0未満のβ型結晶化度では、塗膜硬度がHBまでしか向上せず、人の爪程度で簡単に疵が付き、取扱い疵の発生が避けられない。
【0007】
3.0以上のβ型結晶化度は、ステンレス鋼板に塗布された非晶質のポリフッ化ビニリデン樹脂を含むフッ素樹脂塗膜を140℃以下の温度に再加熱することにより実現される。加熱温度が140℃を超えると、ポリフッ化ビニリデン樹脂の融解が始まり、その後の冷却速度が160℃/秒より遅い場合は加工性に有害なα型結晶が生成されやすくなり、しかも結晶化度が低く十分な塗膜強度が得られない。加熱温度の下限は20℃以上であることが好ましい。20℃以下の温度雰囲気でも結晶化は進行するが、時間がかかり工業的でない。また、10℃程度の温度雰囲気では、長時間保管してもβ型結晶化度が3.0を超えることはなく、疵付きを防止できる程度の塗膜硬度が得られない。
目標のβ型結晶化度を得るために必要な再加熱処理は、加熱温度が高いほど短い加熱時間で済む。具体的には、図1に示すように20℃で10日,30℃で2日,60℃で1時間,80℃で5分,120℃で80秒,140℃で60秒の再加熱処理により、β型結晶化度が3.0に達する。β型結晶化度は、各温度に対応する加熱時間を超えた時点で飽和し、長時間加熱による結晶化の過剰な進行、ひいては塗膜性能の劣化を引き起こすことはない。
【0008】
【実施の形態】
本発明は、ステンレス鋼板の種類や表面仕上げに関係なく適用できるが、密着性の良好な塗膜を形成するためステンレス鋼板に前処理が施される。前処理では、ステンレス鋼板の表面を清浄化するアルカリ脱脂又はステンレス鋼表面を活性化する酸洗後にクロメート処理が施される。
クロメート処理は、全Cr付着量が5〜40mg/m2 となるように調整される。5mg/m2 に満たない全Cr付着量では、十分な塗膜密着性が得られない。逆に全Cr付着量が40mg/m2 を超えると、クロメート皮膜特有の茶色が透明皮膜を透して観察され、ステンレス鋼板の質感が損われる。クロメート処理には反応型及び塗布型の何れも使用可能であるが、塗膜密着性及び耐食性の面から塗布型クロメート処理が好ましい。また、クロメート処理に先立って、Ni又はCo置換析出型表面調整処理を施しても良い。
【0009】
クロメート処理されたステンレス鋼板に、透明フッ素樹脂塗料が塗布される。透明フッ素樹脂塗料としては、顔料を含まないポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂の混合塗料を使用する。ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂の混合塗料は、ポリフッ化ビニリデン樹脂の特性を活かしたまま塗装作業性,塗膜の連続性,可撓性,密着性等の性能が付与されるため、ステンレス鋼板の耐久性とバランスが採れ、工業塗装にも適する。他方、成形加工後に塗装を施すような場合にはアクリル樹脂を含まないポリフッ化ビニリデン樹脂の粉末塗料を使用し、耐熱性が要求されない用途では酢酸ビニル樹脂との混合塗料を使用することもできる。
透明フッ素樹脂塗料は、好ましくはポリフッ化ビニリデン樹脂60〜90重量%にアクリル樹脂40〜10重量%を配合することにより調製される。ポリフッ化ビニリデン樹脂が60重量%未満ではフッ素樹脂の特性が損われ、耐候性,耐食性,耐薬品性,耐汚染性,耐摩耗性等が低下する。逆にポリフッ化ビニリデン樹脂の配合量が90重量%を超えると、アクリル樹脂による成膜性が低下し、塗膜の密着性,加工性が悪くなる。また、より高級感及び耐摩耗性を付与するため、ポリテトラフルオロエチレン粒子を透明フッ素樹脂塗料に添加しても良い。ポリテトラフルオロエチレン粒子は、フッ素樹脂塗料との相溶性が高く、延性をもつため、粒子/樹脂界面が塗膜割れの起点となって加工性を低下させる原因にはならない。
【0010】
透明フッ素樹脂塗料は、具体的には乾燥膜厚が15〜25μmとなる塗布量で塗布された後、常法に従って到達板温240〜260℃×1〜2分で焼き付けられる。焼付け後、α型結晶の生成を抑制するため、160℃/秒以上の冷却速度で70℃以下の温度に冷却する。冷却には、一般に水冷が採用される。
このようにして得られたフッ素樹脂塗膜は、鉛筆硬度B程度の低い硬度を示す。そこで、このフッ素樹脂塗膜を再加熱処理することにより、ポリフッ化ビニリデン樹脂の結晶化を進行させ、塗膜硬度を鉛筆硬度F以上に高くする。
再加熱処理は、連続塗装ライン内及び連続塗装ライン外の何れでも実施できる。連続塗装ライン内で再加熱処理する場合には、一般的に加熱時間が最大5分程度に制約されることから、80〜140℃の範囲に加熱温度を設定することが好ましい。連続塗装ライン外で再加熱処理する場合、連続塗装ラインによる制約を受けないため、140℃以下の適宜の温度が選定される。
【0011】
再加熱処理には、具体的には次のような実施形態が採用される。
(1)連続塗装ラインで一般的な非晶質塗膜を得る方法でポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂からなる塗膜を形成した後、再度オーブンに通板して80〜140℃に再加熱する方法
(2)連続塗装ラインで塗装した後、同じラインの後続するオーブンに通板し、80〜140℃に再加熱する方法
(3)連続塗装ラインで塗装した後、コイル又は切板をそのままの荷姿で20〜140℃に再加熱する方法
(4)連続塗装ラインで塗装した後、温度80〜100℃の温水又は熱水をスプレーし、或いは温度80〜100℃の温水又は熱水に浸漬する方法
【0012】
再加熱処理された塗装ステンレス鋼板は、水冷,放冷の何れの方式で冷却しても良い。水冷した場合でも塗膜の結晶構造が変化しないので、必要に応じて水冷方式が採用される。
再加熱処理されたフッ素樹脂塗膜は、製造直後すでに鉛筆硬度F以上の塗膜硬度をもち、耐疵付き性が改善されている。高い塗膜硬度は、ストック時に発生しがちなプレッシャマークを防止する上でも有効である。なお、折板加工時の疵付きを防止するため、再加熱処理後のフッ素樹脂塗膜の表面に保護フィルムを貼り付けても良い。
【0013】
【実施例】
実施例1
連続塗装ラインで板厚0.5mmのSUS430ステンレス鋼板に、アルカリ脱脂,水洗,Ni置換析出型表面調整,水洗,乾燥の工程を経て塗布型クロメート処理を施し、100℃で乾燥した。塗布型クロメート処理では、全Cr付着量が20mg/m2 のクロメート皮膜を形成させた。クロメート処理されたステンレス鋼表面に重量比でポリフッ化ビニリデン樹脂8:アクリル樹脂2の混合樹脂塗料を塗布し、250℃×1分間で焼付け乾燥し、直ちに水冷して非晶質で膜厚18μmの透明フッ素樹脂塗膜を形成した。
透明フッ素樹脂塗膜が形成されたステンレス鋼板を連続塗装ラインに再度通板し、120℃で4分間再加熱処理し、水冷した。
【0014】
実施例2
実施例2では、2コート2ベーク仕様の連続塗装ラインを用いた。実施例1と同様な条件下で前処理したステンレス鋼板を1コータ及び第1オーブンで塗装した後、後続の第2オーブンで120℃×2分間の再加熱処理を施し、水冷した。
実施例3
実施例1と同じ条件下で透明フッ素樹脂塗膜を形成したステンレス鋼板のコイルをそのままの荷姿で保温シートを掛け、30℃で48時間保温保管した。
実施例4
実施例1と同じ条件下で透明フッ素樹脂塗膜を形成した後、80℃の温水を5分間スプレーする再加熱処理を施し、水冷した。
実施例5
アルカリ脱脂を2%塩酸溶液を用いた酸洗に代える以外は、実施例1と同じ条件下で透明フッ素樹脂塗装ステンレス鋼板を製造した。
【0015】
比較例1
実施例1と同じ条件下でフッ素樹脂塗装を施した後、再度連続塗装ラインに通板し、板温150℃,加熱時間2分で再加熱処理し、直ちに水冷した。
比較例2
実施例1と同じ条件下でフッ素樹脂塗装を施した後、再度連続塗装ラインに通板し、板温200℃,加熱時間1分で再加熱処理し、徐冷した。
比較例3
実施例1と同じ条件下でフッ素樹脂塗装を施した後、再度連続塗装ラインに通板し、板温200℃,加熱時間1分で再加熱処理し、水冷した。
比較例4
実施例1と同じ条件下でフッ素樹脂塗装を施した後、コイルをそのままの荷姿で15℃の環境に1ヶ月間保管した。
比較例5
全Cr付着量が3.5mg/m2 のクロメート皮膜を形成する以外は実施例1と同じ条件下でフッ素樹脂塗装を施した後、再度連続塗装ラインに通板し、最高到達温度120℃で4分再加熱し、水冷した。
比較例6
ポリフッ化ビニリデン樹脂8重量部,アクリル樹脂2重量部の混合樹脂にPWC30%のTiO2 顔料を配合した白色フッ素樹脂塗料を用いる以外は、実施例1と同じ条件下でフッ素樹脂塗装を施し、乾燥後直ちに水冷し、非晶質の塗膜を形成した。次いで、連続塗装ラインに再度通板し、120℃×4分で再加熱した後、水冷した。
以上の各実施例及び比較例の製造条件を、表1に対比して示す。
【0016】
【0017】
製造された各透明フッ素樹脂塗装ステンレス鋼板から試験片を切り出し、次の各試験に供した。
β型結晶化度測定試験
各試験片について広角X線回折分析し、ポリフッ化ビニリデン樹脂のβ型結晶の反射強度Ic(2θ:20.5°)及び非晶質ハローの強度Ia(2θ:19.0°)を測定した。非晶質ハローの強度Iaに対する反射強度Icの比を算出し、β型結晶化度を求めた。
鉛筆硬度試験
「JIS K5400 8.4.2 鉛筆引っかき値 手かき法」に準拠し、各種硬度の鉛筆で透明フッ素樹脂塗膜の表面を引っ掻いた。塗膜に擦り疵が付かない限界の鉛筆硬度を求め、これを塗膜硬度とした。
加工性試験
「JIS K5400 8.1 耐屈曲性」試験に準拠して、塗装鋼板を180℃密着折り曲げする密着性試験で塗膜の密着性を調査した。折曲げ部の塗膜を観察し、割れが検出されないものを密着性良好(○),割れが発生したものを密着性不良(×)と評価した。
【0018】
耐衝撃性試験
「JIS K5400 8.1 耐衝撃性デュポン式」試験に準拠し、塗装鋼板を衝撃変形させ、塗膜の割れ,剥離の有無を観察した。割れや剥離がなかったものを耐衝撃性良好(○),割れや剥離が検出されたものを耐衝撃性不良(×)と評価した。
塗膜密着性試験
「JIS K5400 8.5.2 付着性 碁盤目テープ法」試験に準拠し、塗装鋼板の塗膜を貫通して素地面に達する切り疵を碁盤目状に付け、100個の桝目を作った後、塗膜上に粘着テープを貼り付け、瞬間的に引き剥がした。テープ剥離後に塗膜の付着状態を観察し、残存する桝目の個数で塗膜密着性を評価した。
【0019】
耐摩耗性試験
「JIS K5400 8.9 耐摩耗性」試験に準拠し、テーパー摩耗試験機を用いて耐摩耗性を調査した。摩耗条件としては、CS10を摩耗輪とし、荷重1kg,回転数2000を採用した。摩耗試験後の塗膜を観察し、塗膜に剥離が観察されなかったものを摩耗性良好(○)、剥離が発生したものを摩耗性不良(×)として耐摩耗性を評価した。
表1の調査結果にみられるように、本発明に従った実施例1〜5のフッ素樹脂塗装鋼板は、何れもβ型結晶化度が3.0を超える高い値を示し、鉛筆硬度F以上の塗膜硬度を示した。高い塗膜硬度のため耐疵付き性,耐摩耗性に優れ、しかも良好な加工性,塗膜密着性が確保されていた。
これに対し、再加熱温度が高すぎる比較例1〜3及び低すぎる比較例4では、β型結晶化度が不足しており、塗膜硬度の改善が十分でなく、耐摩耗性に劣っていた。比較例2は、β型結晶化度が1.5と低いにも拘わらず、若干のα型結晶が生成しているため鉛筆硬度がFと高くなっていた。また、全Cr付着量が少ないクロメート皮膜を形成した比較例5及び体質顔料を含む塗膜を形成した比較例6では、硬質の塗膜が形成されるものの、塗膜密着性,加工性,耐衝撃性の何れかが劣っていた。
【0020】
【0021】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の透明フッ素樹脂塗装鋼板においては、β型結晶の反射強度Ic(2θ:20.5°)の非晶質ハローの強度Ia(2θ:19.0°)に対する比として規定したポリフッ化ビニリデンのβ型結晶化度を3.0以上にすることによって塗膜硬度を上げ、加工性や塗膜密着性を損うことなく、フッ素樹脂塗膜の耐疵付き性及び耐摩耗性を改善している。このようにして得られた透明フッ素樹脂塗装鋼板は、美麗な外観を活用して外装材,内装材,厨房機器等として広範な分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 再加熱処理時の加熱温度及び加熱時間がβ型結晶化度に及ぼす影響を示したグラフ
Claims (2)
- 全Cr付着量:5〜40g/m 2 のクロメート皮膜を介しポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂の混合塗膜がステンレス鋼表面に形成されており、広角X線回折分析における非晶質ハローの強度I a( 2θ:19 . 0 o ) に対するβ型結晶の反射強度I c( 2θ:20 . 5 o ) の比として定義されるポリフッ化ビニリデンのβ型結晶化度が3.0以上である高硬度透明フッ素樹脂塗装ステンレス鋼板。
- アルカリ脱脂又は酸洗されたステンレス鋼板をクロメート処理し、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂の混合塗料を塗布し、焼付け後に直ちに冷却して塗膜を形成した後、広角X線回折分析における非晶質ハローの強度I a( 2θ:19 . 0 o ) に対するβ型結晶の反射強度I c( 2θ:20 . 5 o ) の比として定義されるβ型結晶化度が3.0以上となるように140℃以下の温度で再加熱することを特徴とする高硬度透明フッ素樹脂塗装ステンレス鋼板の製造方法。
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