JP3842627B2 - 成形用樹脂積層体及びそれを用いた成形品 - Google Patents

成形用樹脂積層体及びそれを用いた成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は成形用樹脂積層体に関する。詳しくは本発明は、ベース層にポリプロピレン系樹脂の優れた特徴である成形性を持つ材料を用い、表面層に特定のエチレン・ビニルアルコール共重合体を用いることによって塗装特性を改良した積層体に関する。特にプライマー等の前塗装なしに優れた塗料付着性、接着性、印刷性を示し、更には耐衝撃性を兼ね備えた成形用樹脂積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂は成形加工性、耐有機溶剤性に優れ、また安価なことから家電製品の外板、自動車の外装、及び内装部品等広く用いられている。特に自動車用外装部品の用途においては、軽量化とコストの両面からポリオレフィン系樹脂の利用はますます広まっている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は分子構造が非極性のため、ほかの物質との親和性が乏しく、塗料付着性、接着性、印刷性が著しく劣っている。
【0003】
これを改善する方法として、極性モノマーをグラフト重合したり、その重合物をブレンドする方法などが知られている(特開平5−39383、特開平7−109437)が、成形時にロールに張り付くなどキャスティングが難しくなる。また成形プロセスの流路内壁面に樹脂がこびり付いて劣化する恐れもあり、目ヤニが出やすく生産性やコストにも問題がある。更に、充分な塗装密着性を保持するためには多量添加が必要となり、ポリオレフィン系樹脂の機械的特性を損なう傾向にある。
逆に、塗装を必要としない方法として、透明層を外層に、中間層に着色層を配したフイルムを別途成形した熱可塑性樹脂成形品に貼り付ける方法(特開平10−250010)も提案されているが、色合わせが困難で、バリエーションが限定され応用範囲が狭い。バリエーションを増やすとコストがかかる欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
プライマー等の下塗りは、コストの点で不利なのはもちろんのこと、特にプライマー塗布工程では本塗装に比べ多くの溶剤を必要とするため、環境問題に対しても影響が大きい。
本発明は、ポリオレフィン系樹脂を多層に積層し、各層にそれぞれ必要な機能を持った材料を用いることを特徴とする。即ち、表面層には塗装性に特化した材料を、それ以外には耐衝撃性、成形性等に有効な材料を組み合わせて用いることによって、プライマー等の下塗り無しでも著しい塗装密着性をもち、優れた耐衝撃性と成形性をもった熱可塑性樹脂積層体を提供することを目的とする。
更なる目的は、かかる表面特性を有する積層体を、射出成形、ブロー成形等のインサート成形に組合せ、応用することによって塗装性に優れた各種の成形品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体30〜100重量%及びその他のポリオレフィン樹脂0〜70重量%からなる表面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂95〜50重量%及びポリオレフィン系又はスチレン系エラストマー5〜50重量%からなるベース層(B)とを一体に構成してなる塗装特性に優れた成形用樹脂積層体に存する。
又、本発明は、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体30〜100重量%及びその他のポリオレフィン樹脂0〜70重量%からなる表面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂95〜50重量%及びポリオレフィン系又はスチレン系エラストマー5〜50重量%からなるベース層(B)とを接着層(C)を介して一体に構成してなる塗装特性に優れた成形用樹脂積層体に存する。
更に本発明は、上記の成形用樹脂積層体を、該積層体のベース層(B)が結晶性ポリプロピレン系樹脂と接するようにインサート成形してなる成形品に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の成形用樹脂積層体は、表面層(A)とベース層(B)とから成る。
表面層(A)
表面層(A)は、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体からなる。好ましいエチレン含有量は27〜45モル%である。これは、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・酢酸ビニル共重合体を80%以上、好ましくは95%以上ケン化することにより製造することができる。即ち、本発明で使用されるエチレン・ビニルアルコール共重合体には少量の酢酸エステル基が残存していてもよい。
【0007】
次いで、表面硬度,耐衝撃性などを改良するために、その他のポリオレフィン系樹脂を0〜70重量%の範囲で添加しても良い。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α―オレフィン共重合体等で希釈することができる。エチレンとの共重合に用いられるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1等炭素数3〜18のものを挙げることができる。これらコモノマーは1種類に限られず、2種類以上用いて多元系共重合体、例えばターポリマーとしてもよい。
【0008】
更に、インサート成形時の延展性等を確保するためにその他の樹脂成分を添加しても良い。特にブロー貼合成形時の延展性をより良好なものとするには、熱可塑性エラストマー(TPE)等延展性の良い材料を0〜70重量%、好ましくは20〜40重量%添加する方がよい。ここで熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系TPE、ポリアミド系TPE、ポリエステル系TPE,エチレン―プロピレンラバー,スチレン―エチレン―ブチレン―スチレンブロックコポリマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、天然ゴムなどが挙げられるが、メタロセン系ポリエチレン等のポリオレフィン系エラストマーが相溶性という点からも好ましい。
【0009】
ポリオレフィン系エラストマーの市販品として、カーネル KF261(日本ポリケム社製、メタロセン系ポリエチレン)、JSR EP02P、JSR EBM2041P等(JSR社製)、タフマーP0180、P0480、A4085等(三井化学社製)、その他エチレン・1−オクテンゴムとして、EG8150、EG8100(デュポンダウエラストマー社製)などがある。
また、スチレン系TPEとしては、スチレン―ブタジエン―スチレンブロックコポリマー、スチレン・エチレン/ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)等を挙げることができる。これは、ポリスチレンブロック単位とポリエチレン/ブチレンゴムブロック単位とからなる。このようなSEBSでは、ハードセグメントであるポリスチレンブロック単位が物理架橋(ドメイン)を形成してゴムブロック単位の橋かけ点として存在しており、このポリスチレンブロック単位間に存在するゴムブロック単位はソフトセグメントであってゴム弾性を有している。
【0010】
SEBSのセグメント割合として、ポリスチレン単位を10〜40モル%の量で含有していることが望ましい。SEBSは、一般的にスチレン・ブタジエン系ブロック共重合体であるSBS(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)の水添物として知られている。例えば、SBR(スチレン・ブタジエンランダム共重合体)、SBS、PS−ポリイソブチレンブロック共重合体、SIS(スチレン・イソブチレン・スチレンブロック共重合体)及びSIS水添物(SEPS)などが挙げられる。市販品として、クレイトン(シェル化学社製)、キャリブレックスTR(シェル化学社製)、ソルブレン(フィリップスペトロリファム社製)、ユーロブレンSOLT(アニッチ社製)、タフブレン(旭化成社製)、ソルブレン−T(日本エラストマー社製)、JSRTR(JSR社製)、電化STR(電気化学社製)、クインタック(日本ゼオン社製)、タフテック(旭化成社製)などが挙げられる。
【0011】
更に表面層(A)には無機系充填材等を添加することも可能である。また、一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤等を配合することができる。
これら希釈剤やその他の添加剤は、表面層(A)全体の0〜20重量%の範囲で使用することができる。20重量%を超えるとエチレン・ビニルアルコール共重合体が有する特性を充分発揮することができず、貼合時の延展性にも不利である。
【0012】
ベース層(B)
ベース層(B)として、結晶性ポリプロピレン系樹脂が95〜50重量%、好ましくは85〜60重量%、及びポリオレフィン系又はスチレン系エラストマーが5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の組成物が用いられる。結晶性ポリプロピレン系樹脂とは、結晶化度(II又は立体規則性)が90%以上、好ましくは95%以上のプロピレンを主体とするポリマーである。具体的には結晶性ポリプロピレンホモポリマー、結晶性エチレンプロピレンブロック共重合体、結晶性エチレンプロピレンランダム共重合体が用いられる。また、ポリオレフィン系又はスチレン系エラストマーは、表面層(A)に配合されるものと同様の材料を用いることができる。
ベース層(B)にも、表面層(A)と同様に、耐衝撃強度、表面硬度の改良のため、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α―オレフィン共重合体等、無機系充填材、ゴム等を添加することができる。また、一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤等を配合することができる。
【0013】
接着層(C)
表面層(A)とベース層(B)は共にオレフィン系樹脂であるから積層物としたときの接着性はあるが、両層の親和性を高め更に接着強度を改善する目的で、両層の間に第3層として接着層(C)を設けることが好ましい。
接着層を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α―オレフィン共重合体等のオレフィン系樹脂に、極性モノマーをグラフトさせた変性オレフィン・グラフト共重合体を用いることができる。
【0014】
かかる極性モノマーとしては、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、グリセロールモノまたはジアクリレート、グリセロールモノまたはジメタクリレート、トリメチロールプロパンモノまたはジアクリレート、トリメチロールプロパンモノまたはジメタクリレート、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、オルト、メタ、およびパラヒドロキシメチルスチレン等またはこれらの混合物をあげることができる。
【0015】
変性オレフィン・グラフト共重合体は、ポリオレフィン系樹脂を有機過酸化物の存在下、極性モノマーと共に熱処理することにより得られる。具体的にはポリオレフィン系樹脂、有機過酸化物および極性モノマーをヘンシェルミキサー等で予め混合した後、2軸押出機、単軸押出機、バンバリーミキサー等の混練機で加熱混練することにより調製することができる。混練時の温度は用いる樹脂、有機過酸化物の種類によって異なるが、一般的には100〜300℃の間である。
【0016】
有機過酸化物としてはジベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が使用できる。
【0017】
市販品として、モディックAP(三菱化学社製)、UBE BOND(宇部興産社製)、ディックサーム(大日本インキ化学工業社製)、アロンメルトPPET(東亞合成社製)、メルセンM(東ソー社製)、アドテック(日本ポリオレフィン社製)、レクスパール(日本ポリオレフィン社製)、ナックエース(日本ユニカー社製)、アドマー(三井化学社製)、CMPS(三井・デュポンケミカル社製)などが挙げられる。
【0018】
積層体(シート)の製造方法
本発明の成形用樹脂積層体は、表面層(A)とベース層(B)とを積層してなるものであり、前記各成分を、必要に応じドライブレンドし、直接シート製造装置に供給しシートに成形することができる。場合によっては、表面層(A)とベース層(B)との間に接着層(C)を設けた3層構造の積層体とすることができ、これは本発明の好ましい態様である。積層体全体の厚さは延展性が重要なので、通常、110〜1000μm、好ましくは200〜500μmである。各層の厚さは、延展時に抜けが生じない程度の任意の厚さでかまわない。例えば、表面層(A)の厚さは、通常10〜100μmである。ベース層(B)は成形品の目的・用途に応じて特に制限的ではないが、通常100〜900μm程度である。接着層(C)は、通常10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
【0019】
表面層(A)、ベース層(B)及び、場合によっては、接着層(C)を構成する各樹脂原料を、シート製造装置に供給する前に、あらかじめ押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を用いて前記各成分を溶融混練物とし、あるいは溶融混練物をさらに適当な大きさの粒状に固化形成して、これらを成型装置に供給してもよい。すなわち、最終的に得られる積層体において、各成分の配合量、層構成が前記の範囲内であって、さらに実用上問題ない混合状態であれば、ポリオレフィン系樹脂組成物を構成する各成分の配合方法や工程はいかなるものであってもよい。
【0020】
本発明における積層体の製造は、公知の任意の成形方法に従うことができる。例えば、まず連続的に製造する方法としては、溶融状態の樹脂材料を平板状に押し出し、これを表面が平滑な回転する一対のロールで挟み込みながら連続的に冷却固化と表面への平滑性賦与を行う方法、ロールの代わりに表面が平滑なベルトを1つあるいは2つ用いる方法、一旦表面の平滑性にかまわず平板状に固化させたものを再度加熱した上で表面が平滑なロールやベルトを押し当て、最終的に表面が平滑なシートを得る方法、さらに溶融状態の樹脂材料を円筒状に押し出し周囲から水流や気流によって冷却固化する方法等が挙げられる。
【0021】
また、非連続的に製造する方法としては、一旦何らかの方法で平板状にした表面が平滑でないシートを、表面が平滑な一対の板の間に置き熱を加えながら板同士を押しつけることによって表面を平滑にする方法、溶融状態の樹脂原料を表面が平滑な一対の板の間に供給し板で圧力を加えながら冷却固化させる方法等が挙げられる。
以上に述べた製造方法のうち、品質の安定性や生産性の面からは、表面が平滑なロールやスチールベルトで連続的に成形する方法が好ましく、特に片面もしくは両面からスチールベルトで押さえ込む方法が好ましい。
【0022】
上記の積層体を製造する方法を別の観点から分類すると、樹脂原料を溶融状態でシート状に押出すと同時に積層し、その後に冷却固化して多層シートとする共押出法、一旦シート状にしたもの同士を溶融樹脂や接着剤等によって張り合わせるラミネーション法、一方のシートに他方を溶融状態で積層した後に直ちに冷却固化し積層シートを得る熱ラミネーション法もしくは押出コーティング法等が挙げられる。
【0023】
本発明の成形用樹脂積層体は、各種の熱成形法により所望形状の成形品に加工される。成形法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、片板熱成形法等を用いることができる。かくして成形された成形品は、その表面層(A)が特定の樹脂から構成されているので、従来の塗装工程では不可欠であったプライマー塗布を除くことができる。すなわち、上記樹脂積層体を成形加工した後、直接塗料を塗装できる。
【0024】
更に、本発明の成形用樹脂積層体は、射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形、プレス成形、真空成形、圧空成形等のインサート成形に組合せ、応用することによって塗装性に優れた各種の大型成形品を製造することができる。以下、インサート成形について説明する。
【0025】
ブロー成形
本発明の積層体をブロー成形品に貼合する手段としては、ブロー成形用樹脂と積層体のベース層(B)に同種のオレフィン樹脂を用いて、ブロー成形時にパリソンと積層体を熱融着させる方法が好ましい。成形方法としては、積層体を予備成形せずに片側の金型接合部の周囲に設けた枠等にテンションを有する状態で設置し、パリソン射出後低速で型締めし、パリソンからの熱により積層体が軟化し、更にパリソンと積層体が完全に熱融着した後、型締めを完了し賦形する方法が好ましい。
その他、目的とするブロー成形品の形状に合わせ、真空成形などにより事前に成形した積層体を、金型にインサート後ブロー成形する方法がある。この場合、パリソンと積層体シート間にエアが残存しないように密着性に注意することが肝要である。
【0026】
熱融着以外の手段としては、ブロー成形品の形状に合わせた積層体の真空成形品を接着剤等でブロー成形品に貼合する方法がある。この場合は、接着剤の選択が重要である。
本方法で得られた積層体を貼り合わせしたブロー成形品はパーティングライン部(PL部)から片側が完全に積層体で覆われているが、両方の金型に積層体を設置し、同様な方法で成形すればPLの切断面以外は全て積層体で覆われた成形品が取得可能である。又、成形品周囲のバリ部のリサイクル使用は、廃棄樹脂を削減する観点からブロー成形上重要であるが、ベース層(B)の材料として、ブロー材と同種の、比較的にメルトフローレート(MFR)の低い材料を用いれば、ブロー成形性に悪影響を与える可能性も少なく、リサイクル使用が可能である。かくして成形された成形品は、その表面層(A)が特定の樹脂から構成されているので、従来の塗装工程では不可欠であったプライマー塗布を除くことができる。すなわち、上記樹脂積層体を成形加工した後、直接塗料を塗装できる。
【0027】
射出成形、射出圧縮成形
平面状ないしは緩やかな曲面形状を有する成形品への貼合の場合には、基本的にそのまま平面状の積層体を用いるが、それ以外の3次曲面や微細凹凸面などの複雑な形状の場合には予め真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の熱成形により予備成形し、成形品と対応した形状の賦形体としておく方が好ましい。次に、この積層体ないしは予備成形した賦形体の貼合は、射出成形用金型のキャビテイ内にこの積層体ないしは予備成形された賦形体をインサ−トした後、金型を閉じ、溶融樹脂を射出充填することで上記積層体ないしは賦形体が貼合された塗装用成型品を得る。この際、金型内の積層成形体が金型から剥離したり、ずれたりしないように固定する必要がある。
【0028】
プレス成形
平面状ないしは緩やかな曲面形状を有する成形品への貼合の場合には、基本的にそのまま平面状の積層体を用いるが、それ以外の3次曲面や微細凹凸面などの複雑な形状の場合には予め真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の熱成形により予備成形し、成形品と対応した形状の賦形体としておく方が好ましい。次に、この積層体ないしは予備成形した賦形体の貼合は、プレス金型のキャビテイ内にこの積層体ないしは予備成形された賦形体をインサ−トした後、半溶融樹脂を乗せ,金型を閉じ、上記積層体ないしは賦形体が貼合された塗装用成形品を得る。この際、金型内の積層成形体が金型から剥離したり、ずれたりしないように固定する必要がある。
【0029】
真空、圧空成形
平面状ないしは緩やかな曲面形状を有する成形品への貼合の場合には、基本的にそのまま平面状の積層体を用いるが、それ以外の3次曲面や微細凹凸面などの複雑な形状の場合には予め真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の熱成形により予備成形し、成形品と対応した形状の賦形体としておく方が好ましい。次に、この積層体ないしは予備成形した賦形体の貼合は、プレス金型内にこの積層体ないしは予備成形された賦形体をインサ−トした後、半溶融樹脂を乗せ,金型を閉じ、圧空または真空、乃至は真空圧空両用にて成形し、上記積層体ないしは賦形体が貼合された塗装用成型品を得る。この際、金型内の積層成形体が金型から剥離したり、ずれたりしないように固定する必要がある。
【0030】
塗料の塗布方法としては、スプレーによる吹き付け塗装、刷毛塗り、ローラーによる塗布等があるが、いずれの方法も使用可能である。使用できる塗料としては、一般に使用されている塗料、例えば、アクリル系塗料、エポキシ系塗料、ポリエステル系塗料、ウレタン系塗料、メラミン系塗料、アルキド系塗料等が使用できる。いずれの塗料を用いてもベース層(B)のみからなる成形品に比べて塗膜の剥離強度に優れており、工業的有用性は大きい。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における、積層体の製造、インサート成形、塗膜物性の評価等は以下の方法によって行った。
【0032】
I.積層体の製造
(1) 成形装置:
ポリッシング3本ロール式シート成形機を用いた。装置の基本構成は、単軸押出機(40φ・L/D=28・2台使用)/フィードブロック/コートハンガーダイ/金属ポリッシング3本ロール引き取り機/巻き取り機である。
【0033】
(2) 成形条件:
a.原料調整:
表面層(A)、ベース層(B)及び接着層(C)の原料となる各樹脂チップに、標準的な処方に従い酸化防止剤、中和剤をドライブレンドによって混合し、これをシート成形機の押出機に供給し、各成分をそれぞれ溶融混練しながら共押出成形し、3層構造の積層体シートを製造した。
【0034】
b.押出温度の設定:
押出機は最上流を190℃とし、徐々に設定を上げながら先端を230℃とした。以降、途中の接続管、フィードブロック、ダイまで全て230℃とした。
c.ダイリップの開度: 2.0mmとした。
d.エアギャップ:
ダイリップ先端からロールまでの距離は150mmとした。
【0035】
e.引取機:
溶融樹脂の冷却固化は、金属ポリッシング(鏡面)ロール3本縦直列式引き取り機で行った。ロール内部は、一定温度のオイルの循環によって冷却される構造となっており、この時のオイル温度は全て60℃とした。なお、ロール直径は、30cm、ロールの隙間は2.0mmとし、厚さ2.00mmのシートを得た。
f.引き取り速度: 0.5m/分
【0036】
II.ブローインサート成形法
a.成形機:日本製鋼所製ブロー成形機NB30S、ダイス径150mm
b.成形金型 : 200×350×700mmの直方型ガソリンタンク成形型ベント孔を片側8個で両側に16個有する鏡面仕上げ品
c.パリソン射出の樹脂温度:200℃
d.ブロー圧:6kg/cm2
e.冷却:空冷180秒
【0037】
III.射出インサート成形法
タテ100mm×ヨコ102mmの積層体切片を射出金型(タテ100mm×ヨコ100mm、0.5mm厚×100mmのサイドフィルムゲ−ト、フィルムゲ−トより50mmの距離までのキャビティ厚が3.0mm、50mmから100mmの距離のキャビティ厚が1.0mmの片面段差キャビティ)の段差側内表面に挿入固定後、金型を閉じて射出成型機(型締め圧170トン、成形温度210℃)で、プロピレン・エチレンブロック共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP「BC4」、メルトフローレート6.5g/10分)を射出注入して、タテ100mm×ヨコ100mmの片面肉厚段差を有するプレ−ト状の塗装用射出成形品を得た。
【0038】
IV.成形品の外観評価
成形品の外観は、目視により、○エッジ等が正確に金型形状を再現し、表面のばたつき等も見られない、△表面等のばたつき等は見られないが、エッジ等が若干金型を再現していない、×表面ばたつき等が見られ,エッジ等も金型を再現していない、という基準で3段階で評価した.
【0039】
V.成形品の塗装
(1) 塗料;
本実施例で用いた塗料は一般的に自動車メーカー等で用いられている塗料である。メラミン系塗料は日本ビーケミカル社製(主剤R−320、溶剤T−630TMを100:40で混合したもの)、ウレタン系塗料は日本油脂社製(プライマックス4000,主剤T−301、硬化剤PB)を使用した。
【0040】
(2)塗装方法:
試験片の表面をイソプロピルアルコールで脱脂し、剥離強度の測定のためスプレー式金型剥離材を試験片上半分に吹き付け、エアスプレーガンを用いて、塗膜厚さが約50μmになるようにスプレー塗装を行い、約10分間自然乾燥させた後、塗膜厚さが全体で約100μmになるよう更に2回目の塗装を行った。その後、約10分間自然乾燥させ、メラミン系の塗料では120℃、ウレタン系の塗料では90℃で、窒素ガスの還流下40分間
焼き付け乾燥を行った。
【0041】
(3)塗膜物性の評価(碁盤目剥離試験)
塗装を行った試験片にカッターで、縦・横2mm間隔に11列ずつ傷を付け、2mm角の正方形100個分の部分を作成した。その後、正方形100個分の部分の全てを覆うように、幅24mmの粘着テープ(ニチバン株式会社製セロテープ)を貼り付け、更にテープを押圧して塗膜との密着を図った。次いで、テープを手前45度の方向に強く引きはがし、試験片上に残存した塗膜部分の数を測定した。その工程を3回繰り返し、評価した。残存数「100」は塗膜部分100個すべてが試験片に残り、塗膜の接着性に優れることを示す。
【0042】
[実施例1]
表面層(A)に、エチレン含有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製、ソアノールAT4403、メルトフローレート3.5g/10分、密度1.14g/cm3、融点164℃)70重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261、メルトフローレート2.2g/10分、密度0.898g/cm3)を30重量%、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP EX6 メルトフローレート1.8g/10分、密度0.90〜0.91g/cm3)80重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を20重量%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モディックP−524H)を、共押出法でシート成形した。 得られた3層積層体は、表面層(A)が40μm、ベース層(B)が420μm、接着層(C)が40μm、全体の厚さが0.5mmの3層シート構造である。
【0043】
ブロー成形は、ブロー材として、日本ポリケム社製、ポリプロピレン(EC9)を用いた。金型の片面側結合部周囲にシート設置用の枠を設け、上記3層積層体を張力5kg/cmで設置した。樹脂温度200℃で、肉厚5mmのパリソンを10秒間で射出し、上部及び下部のピンチ板にてピンチを実施し、1.5kg/cm2の内圧にてプリブローしながら、金型温度40℃で型閉め速度100mm/秒にて型を閉め始めた。3層積層体とパリソンの接触面が金型の有効面を完全に覆う様にプリブローを調節しながら型を閉め、完全に型閉めが終了した時点で、6kg/cm2の圧力にてブローイングを行った。180秒間冷却した後、金型を開き、製品を取り出した。
得られたブロー貼合成形品の外観評価を実施したところ、エッジ等が正確に金型形状を再現し、表面のばたつき等も見られず、良好な外観であった。
得られたブロー貼合成形品に、ウレタン系塗料で塗装を行った。
碁盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が得られた。
【0044】
[実施例2]
表面層(A)に、エチレン含有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製、ソアノールAT4403)100重量%、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP EX6)80重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を20重量%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モディックP−524H)を、共押出法でシート成形した。得られた3層積層体は、表面層(A)が20μm、ベース層(B)が260μm、接着層(C)が20μm、全体の厚さが0.3mmの3層シート構造である。この3層積層体を、実施例1と同様にブロー貼合成形し,同様の評価を行った。碁盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が得られた。また、成形品の外観に関しても良好であった。
【0045】
[実施例3]
表面層(A)に、エチレン含有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製、ソアノールAT4403)100重量%、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP EX6)80重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を20重量%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モディックP−524H)を、共押出法でシート成形した。得られた3層積層体は、表面層(A)が40μm、ベース層(B)が420μm、接着層(C)が40μm、全体の厚さが0.5mmの3層シート構造である。この3層積層体を、実施例1と同様にブロー貼合成形し,同様の評価を行った。碁盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が得られ、成形品の外観に関しては、ほぼ良好であった。
以上、実施例1〜3の結果を表1に示した。
【0046】
[比較例1]
表面層(A)の配合を、エチレン含有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製、ソアノールAT4403)20重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を80重量%とした以外,実施例1と同様に成形,評価を行った。外観は良好であるが、碁盤目剥離試験による塗装密着性は不満足であった.
【0047】
[比較例2]
実施例1において、各層厚みを、表面層(A)が40μm、ベース層(B)が1120μm、接着層(C)が40μm、全体の厚さが1.2mmの3層シート構造とした以外,実施例1と同様に成形,評価を行った.ブロー貼合成形時、シートの延展性が乏しく、完全な賦形に至らなかった。
【0048】
[比較例3]
実施例1において、ベース層(B)を結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP EX6)100重量%とした以外,実施例1と同様に成形,評価を行った。ブロー貼合成形時、シートの延展性が乏しく、完全な賦形に至らなかった。
以上、比較例1〜3の結果を表2に示した。
【0049】
[実施例4]
表面層(A)に、エチレン含有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製、ソアノールAT4403)70重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を30重量%、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPPEX6)80重量%、熱可塑性エラストマーとして同じメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を20重量%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モディックP−524H)を前述の積層体の成形方法に従って、表面層(A)が40μm、ベース層(B)が420μm、接着層(C)が40μm、全体の厚さが0.5mmの3層積層体を得た。
この3層積層シ−トを同じく前述の射出インサ−ト成形方法により塗装用射出成形品とし、その貼合表面にウレタン系塗料及びメラミン系塗料でそれぞれ塗装を行った。
碁盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が得られた。また、成形品の外観に関しても良好であった。
【0050】
[実施例5]
表面層(A)に、前述のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製、ソアノールAT4403)100重量%、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP EX6)80重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を20重量%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モディックP−524H)を前述の積層体の成形方法に従って、表面層(A)が20μm、ベース層(B)が260μm、接着層(C)が20μm、全体の厚さが0.3mmの3層積層を得た。
この3層積層体を、実施例4と同様に射出インサ−ト成形し塗装用射出成形品とし同様の評価を行った。碁盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が得られた。また、成形品の外観に関しても良好であった。
【0051】
[実施例6]
表面層(A)に、前述のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製、ソアノールAT4403)100重量%、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP EX6)80重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を20重量%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モディックP−524H)を前述の積層体の成形方法に従って、表面層(A)が40μm、ベース層(B)が420μm、接着層(C)が40μm、全体の厚さが0.5mmの3層積層体を得た。
この3層積層体を、実施例4と同様に射出インサ−ト成形し塗装用射出成形品を得て同様の評価を行った。碁盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が得られ、成形品の外観に関してもほぼ良好であった。
【0052】
[比較例4]
表面層(A)の配合を、前述のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製、ソアノールAT4403)20重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を80重量%とした以外,実施例4と同様に成形,評価を行った。外観は良好であるが、碁盤目剥離試験による塗装密着性は不満足であった。
【0053】
[比較例5]
実施例4において、各層厚みを、表面層(A)が40μm、ベース層(B)が1120μm、接着層(C)が40μm、全体の厚さが1.2mmの3層積層体とした以外,実施例4と同様に成形,評価を行った。射出インサ−ト成形時、積層体の肉厚段差部分で貼合性に乏しく、完全な貼合に至らなかった。
【0054】
[比較例6]
実施例4において、ベース層(B)を結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP EX6)100重量%とした以外,実施例4と同様に成形,評価を行った。射出インサ−ト成形時、積層体の肉厚段差部分で貼合性に乏しく、完全な貼合に至らなかった。
以上、実施例4〜6及び比較例4〜6の結果を表3に示した。
【0055】
[実施例7]
表面層(A)に、エチレン含有量32モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、エバールEP−J102、メルトフローレート2.0g/10分、密度1.17g/cm3、融点183℃)、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP EC9、メルトフローレート0.5g/10分、密度0.90〜0.91g/cm3)80重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を20重量%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モディックP−513V)を、共押出法でシート成形した。得られた3層積層体は、表面層(A)が40μm、ベース層(B)が1920μm、接着層(C)が40μm、全体の厚さが2mmの3層積層体構造である。
得られた3層積層体を真空成型法により成形した。成型条件は、ヒーター温度400℃とし、余熱40秒、成形1秒とした。成形性は良好であった。得られた成型品を、ウレタン系塗料で塗装を行った。碁盤目剥離試験では1回目,2回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が得られた。
【0056】
[実施例8]
表面層(A)に、エチレン含有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製ソアノールAT4403)70重量%、熱可塑性エラストマーとしてスチレン系エラストマー(三菱化学社製、ラバロンSJ6400B−N、メルトフローレート3.0g/10分)を30重量%、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製ノバテックPPEX6)80重量%、熱可塑性エラストマーとしてスチレン系エラストマー(三菱化学社製ラバロンSJ6400B−N)を20重量%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モディックP−524H)を、共押出法でシート成形した。得られた3層積層体は、表面層(A)が20μm、ベース層(B)が260μm、接着層(C)が20μm、全体の厚さが0.3mmの3層積層体構造である。この3層積層体を、実施例1と同様にブロー貼合成形し,同様の評価を行った。碁盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が得られた。また、成形品の外観に関しても良好であった。
【0057】
【表1】
Figure 0003842627
【0058】
【表2】
Figure 0003842627
【0059】
【表3】
Figure 0003842627
【0060】
【発明の効果】
本発明の成形用樹脂積層体は優れた耐衝撃性と成形性とを有し、得られた成形品は表面層の特殊加工によりプライマー等の下塗り無しでも著しく良好な塗装密着性を有する。更に、インサート成形と組み合わせることにより、広く各種の成形品を製造できる。特に、バンパー材、スポイラー等の自動車外装部品及び家電製品等の外観部品などに有用である。

Claims (11)

  1. エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体30〜100重量%及びその他のポリオレフィン樹脂0〜70重量%からなる表面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂95〜50重量%及びポリオレフィン系又はスチレン系エラストマー5〜50重量%からなるベース層(B)とを一体に構成してなる塗装特性に優れた成形用樹脂積層体であって、ベース層(B)の厚さが100〜900μmであることを特徴とする成形用樹脂積層体。
  2. エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体30〜100重量%及びその他のポリオレフィン樹脂0〜70重量%からなる表面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂95〜50重量%及びポリオレフィン系又はスチレン系エラストマー5〜50重量%からなるベース層(B)とを接着層(C)を介して一体に構成してなる塗装特性に優れた成形用樹脂積層体であって、ベース層(B)の厚さが100〜900μmであることを特徴とする成形用樹脂積層体。
  3. 表面層(A)とベース層(B)、必要に応じて接着層(C)を共押出法で一体に構成して成る請求項1又は2に記載の成形用樹脂積層体。
  4. 積層体の厚さが110〜1000μmである請求項に記載の成形用樹脂積層体。
  5. 積層体の厚さが120〜1000μmである請求項に記載の成形用樹脂積層体。
  6. 表面層(A)の厚さが10〜100μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形用樹脂積層体。
  7. 接着層(C)の厚さが10〜200μmである請求項2又は3に記載の成形用樹脂積層体。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の成形用樹脂積層体を真空成形、圧空成形、真空圧空成形又はブロー成形して成る成形品。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形用樹脂積層体を、該積層体のベース層(B)が結晶性ポリプロピレン系樹脂と接するようにインサート成形してなる成形品。
  10. インサート成形がブロー成形、射出成形、射出圧縮成形、プレス成形、真空成形又は圧空成形である請求項に記載の成形品。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の成形品に含まれる表面層(A)に塗装してなる塗装成型品。
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