JP3840049B2 - スローアウェイチップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は切削加工に使用するスローアウェイチップに関し、特に切刃の摩耗を検知するセンサラインを設けたスローアウェイチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図7に示すように、略平板状を呈する母材1の一主面側にすくい面5、他の主面側に着座面6、およびすくい面5と交差する側面に逃げ面8を形成し、このすくい面5と逃げ面8との交差稜部分に切刃9を形成し、この逃げ面8の切刃9近傍に所定幅を有する導電性膜から成るセンサライン12を母材1に対して電気的に絶縁状態で設け、この母材1の一主面側および/または他の主面側に、所定の回路と電気的に接続可能な対をなす2つの接触領域13、14を母材1に対して電気的に絶縁状態で設け、2つの接触領域13、14とセンサライン12の一端および他端とをそれぞれ接続する接続ライン15、16を母材1の側面から母材1の一主面または他の主面にかけて母材に対して電気的に絶縁状態で設けたスローアウェイチップが提案されている。
【0003】
このように切刃9の近傍にセンサライン12を設けてこのセンサライン12部分の電気抵抗を測定すると、切削作業中にこのセンサライン12が摩耗もしくは断線したことを検知することができ、切削作業を中断して切刃9部分を目視で検査しなくても切刃9部分の破損や摩耗を検知することができる。
【0004】
この従来のスローアウェイチップでは、センサライン12を母材1の逃げ面8に形成し、外部回路との接続領域13、14を母材1の一主面側または他の主面側に形成した場合、このセンサライン12と接触領域13、14を接続する接続ライン15、16が母材1の側面と母材1の一主面側または他の主面側の交差稜部分を経由して形成されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来のスローアウェイチップでは、スローアウェイチップをホルダーに取り付けたり、取り外す際に、母材1の側面8と一主面側5または他の主面側6の交差稜部分がホルダーに度々衝突して接続ライン15、16が破損して断線したり、切削作業中の衝撃によって母材1の側面8と一主面側5または他の主面側6の交差稜部分がホルダーに擦れてこの交差稜部分の接続ライン15、16が摩滅して断線し易くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ホルダーへのチップ着脱時や切削作業中に、チップ側面と一主面側または他の主面側の交差稜部分の接続ラインがホルダーに接触して断線することを解消したスローアウェイチップを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係るスローアウェイチップでは、略平板状を呈する母材の一主面側にすくい面、他の主面側に着座面、および前記すくい面と交差する側面に逃げ面を形成し、前記すくい面と逃げ面との交差稜部分に切刃を形成し、前記逃げ面の切刃近傍に所定幅を有する導電性膜から成るセンサラインを前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記母材の一主面側および/または他の主面側に、所定の回路と電気的に接続可能な対をなす2つの接触領域を前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記2つの接触領域と前記センサラインの一端および他端とをそれぞれ接続する接続ラインを前記母材の側面から前記母材の一主面および/または他の主面にかけて前記母材に対して電気的に絶縁状態で設けたスローアウェイチップにおいて、前記接続ラインが通過する前記側面と一主面および/または他の主面との交差稜部分を窪ませたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係るスローアウェイチップでは、略角柱状を呈する母材の少なくとも一端部の上面側にすくい面を、端面側に前逃げ面を、および側面側に横逃げ面を形成し、このすくい面と前逃げ面との稜線部に前切刃を、すくい面と横逃げ面との稜線部に横切刃を形成し、前記前逃げ面と横逃げ面の切刃近傍に所定幅を有する導電性膜から成るセンサラインを前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記母材の上面側および/または底面側に、所定の回路と電気的に接続可能な対をなす2つの接触領域を前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記2つの接触領域と前記センサラインの一端および他端とをそれぞれ接続する接続ラインを前記母材の側面から前記母材の上面または底面にかけて前記母材に対して電気的に絶縁状態で設けたスローアウェイチップにおいて、前記接続ラインが通過する前記側面と上面および/または底面との交差稜部分を窪ませたことを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3に係るスローアウェイチップでは、略板状を呈する母材の外周面に、周方向に隣接して形成したすくい面と逃げ面との対を1組又は前記周方向に沿って複数組形成し、前記対をなすすくい面と逃げ面との交差位置にそれぞれ厚さ方向の切刃を形成し、前記逃げ面の切刃近傍に所定幅を有する導電性膜から成るセンサラインを前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記母材の上面側および/または底面側に、所定の回路と電気的に接続可能な対をなす2つの接触領域を前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記2つの接触領域と前記センサラインの一端および他端とをそれぞれ接続する接続ラインを前記母材の周面から前記母材の上面または底面にかけて前記母材に対して電気的に絶縁状態で設けたスローアウェイチップにおいて、前記接続ラインが通過する前記周面と上面および/または底面との交差稜部分を窪ませたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して発明の具体的な実施形態を説明する。
【0011】
図1(a)は、この発明の一実施形態にかかるスローアウェイチップ1を手前上方から見た斜視図であり、図1(b)はそのスローアウェイチップ1を手前下方から見た斜視図である。スローアウェイチップ1は、略平板状(略直方体状)の母材2を呈する。母材2は、本来上下の区別はされないが、説明の便宜上、一方を上面、他方を下面として以下に説明する。
【0012】
母材2の上面にはすくい面5が形成され、母材2の下面は着座面6とされている。また、母材2の4つの側面には、それぞれ逃げ面8が形成されている。そしてすくい面5と各逃げ面8との交差稜によって切刃稜9が形成されている。さらに、すくい面5および隣接する2つの逃げ面8の交差部分は切削に使用可能なコーナ部を形成している。
【0013】
母材2の中央には、上面から下面に貫通するクランプ孔11が形成されている。スローアウェイチップ1はクランプ孔11にクランプねじが螺合されることによりホルダー等に装着される。装着状態では、たとえば図1(a)の手前上側の切刃9が切削に用いられる。また、クランプねじを緩めて、クランプ孔11を中心にスローアウェイチップ1を90°回転させると、別のコーナ部の切刃9を切削に使用できる。このようにスローアウェイチップ1を90°ずつ回転させることにより、その上面側の4つのコーナ部を順次切削に使用することができる。
【0014】
さらに、スローアウェイチップ1の上下を反転させてホルダー等に装着することにより、図1(a)、(b)における下面側の4つのコーナ部を順に切削に使用することができる。下面側コーナ部が使用される場合は、上面が着座面とされ、下面がすくい面として機能する。このようにスローアウェイチップ1は、直方体状の母材2の8つのコーナ部分がそれぞれ切削に使用可能である。
【0015】
このため、8つのコーナ部には、切刃稜9に沿って延びる導電性膜のセンサライン12がそれぞれ設けられている。
【0016】
センサライン12は、所定幅を有する導電性膜から成る。このセンサライン12の切刃部分の上辺は、前記交差稜よりもすくい面5側に設けられている。
【0017】
このセンサラインの上辺側は、切り込み送り量を勘案して、切削抵抗がかかる部分よりもさらに内側(中央側)に形成する。
【0018】
このように、センサライン12の切刃9部分の上辺を交差稜よりもすくい面5側に設けると、このセンサライン12を後述するようにレーザ走査してパターニングする際に、レーザ光が切刃9部分に照射されることがないことから、切刃9部分がレーザ光によって粗面化することを防止できる。
【0019】
また、センサライン12の下辺はすくい面5と逃げ面8との交差稜とほぼ平行になるように逃げ面8に設けられている。つまり、センサライン12の下辺は、コーナ部の寿命基準量(逃げ面8の摩耗限界)に一致されている。通常、この種のスローアウェイチップ1のコーナ部の寿命基準量は、0.05〜0.7mmの範囲内であるから、センサライン12の下辺も、かかる寿命基準量と等しい位置になるように形成する。
【0020】
たとえば、スローアウェイチップ1の逃げ面8の摩耗が0.2mmで寿命となる場合には、センサライン12の逃げ面8部分の幅Wも0.2mmとして作成される。コーナ部によって切削加工が行われると、加工時間の増加とともに切刃稜9および逃げ面8の摩耗が進行する。逃げ面8の摩耗が進行すると、それに応じてセンサライン12も摩耗する。そして逃げ面8の摩耗幅が寿命基準量以上に達すると、この寿命基準量に一致した下辺を有するセンサライン12は摩耗により断線する。センサライン12の両端の抵抗値は、後述するように外部回路で測定されているから、センサライン12の抵抗値が無限大になった時点をもって、コーナ部の切刃稜9が寿命に達したと判定することができる。
【0021】
図1(b)に示すように、着座面6には対をなす2つの接触領域13、14が設けられている。2つの接触領域13、14は、導電性膜で形成されており、母材2に対して絶縁状態で設けられている。接触領域13、14は、たとえばホルダーの外部に備えられる抵抗値の検知回路と電気的に接続可能な領域である。後述するようにスローアウェイチップ1がホルダーに装着されたとき、ホルダーのチップ座に設けられた検知回路のプローブが、この接触領域13、14に電気的に接続される。
【0022】
母材2の逃げ面8から着座面6にわたって、導電性膜により、母材2と絶縁状態で、接続ライン15、16が設けられている。接続ライン15は、センサライン12の一端121と一方の接触領域13とを電気的に接続するものであり、接続ライン16は、センサライン12の他端122と他方の接触領域14とを電気的に接続するものである。
【0023】
センサライン12の一端121に接続された接続ライン15は、その一部に折り返しライン17を有している。折り返しライン17は、センサライン12の一端121とつながっている。折り返しライン17は、センサライン12と所定間隔を隔てて、センサライン12の下辺と平行に延びている。接続ライン15の一端を折り返しライン17とすることにより、接続ライン15と接続ライン16とを所定の間隔で平行に逃げ面8上に設けることができ、接続ライン15、16を面積効率良く配置できるという利点がある。
【0024】
逃げ面8に形成された2本の接続ライン15、16は、センサライン12に対して(換言すれば切刃稜9に対して)、直交方向ではなく、所定の傾斜角度で交差する方向に延びる傾斜ラインとされている。この理由は、下面である着座面6に設けられた接触領域13、14の配置位置と、上面に設けられた接触領域l3、14の配置位置とを全く同じ配置にするためである。
【0025】
図2は接続ラインが通過する交差稜部分を拡大して示す図である。接続ライン15、16が通過する側面と一主面または他の主面との交差稜部分を窪ませている。このように、接続ライン15、16が通過する側面と一主面または他の主面との交差稜X部分がR形状に形成されるように窪ませると、チップがホルダーなどに接触しても、この接続ライン15、16が形成された交差稜X部分がホルダーに接触することを防止でき、接続ライン15、16の断線などを防止できる。なお、この交差稜X部分は、ホルダーとできるだけ接触しないように窪ませればよく、R形状に窪ませる場合に限らず、C面状に窪ませたり、多段階に窪ませてもよい。
【0026】
図3は、図1(a)、(b)に示すスローアウェイチップ1をホルダーに装着する様子を示す概略図である。
【0027】
ホルダー20の先端にはチップ装着用のポケット21が形成されている。ポケット21の底面はチップ座22となっている。またポケット21の側面はチップの側面に当接し、チップを拘束するための拘束面23となっている。スローアウェイチップ1はこのポケット21に納められ、着座面6がチップ座22に当接される。またその側面が拘束面23に当接される。そして上方からクランプねじ24がスローアウェイチップ1のクランプ孔11に差し込まれて、その先端がチップ座22の中央に形成されたねじ孔25に螺合される。これによりスローアウェイチップ1はホルダー20に装着される。
【0028】
チップ座22には、装着されたスローアウェイチップ1の切削に使用するコーナ部に設けられたセンサライン12と接続された接触領域13、14に対向する位置に、一対のプローブ26、27が突設されている。プローブ26、27は上方へ弾力付勢されていて、チップ座22からたとえば数mm突出している。スローアウェイチップ1がポケット21に装着されると、スローアウェイチップ1の着座面6によってプローブ26、27は押し下げられ、その上端はチップ座22と面一となる。このときプローブ26、27の上端はスローアウェイチップ1の着座面6に設けられた接触領域13、14とそれぞれ電気的に接触した状態となる。
【0029】
プローブ26、27には、一点鎖線で示すように、ホルダー20内に敷設されたリード線28がつながれていて、このリード線28はオーム計等の抵抗値の検知回路29に接続されている。
【0030】
よって、検知回路29により、ポケット21に装着されたスローアウェイチップ1の切削に使用するコーナ部10に設けられたセンサライン12の抵抗値を測定することができる。
【0031】
次に、この発明にかかるスローアウェイチップの母材ならびにセンサライン、接触領域および接続ライン等の材質や製造方法につき説明をする。
【0032】
スローアウェイチップの母材としては、アルミナ質焼結体、窒化珪素質焼結体、サーメット、超硬合金、立方晶窒化ホウ素質焼結体(CBN/cubic Boron Nitride)、ダイヤモンド焼結体(PCD/Polycrystalline Diamond)等が使用できる。
【0033】
アルミナ質焼結体としては、ZrO2を2ないし30重量%、Fe、Ni、Coの酸化物のうち少なくとも1種を0.01ないし5重量%、残部がAl23および不可避不純物からなるアルミナ質焼結体などが使用できる。
【0034】
窒化珪素質焼結体としては、窒化珪素を85〜96モル%、周期律表第3a族元素を酸化物換算で1〜5モル%、不純物的酸素をSiO2換算で3〜10モル%の割合で含有し、アルミニウム化合物の含有量が酸化物(Al23)換算で1重量%以下のものなどがある。
【0035】
サーメットとしては、Tiを炭化物、窒化物あるいは炭窒化物換算で50ないし80重量%、周期律表第6a族元素を炭化物換算で10ないし40重量%の割合で含有するとともに(窒素/炭素+窒素)で表される原子比が0.4ないし0.6の範囲内にある硬質相成分70ないし90重量%と、鉄族金属から成る結合相成分10ないし30重量%とから成るTiCN基サーメットなどある。
【0036】
超硬合金としては、硬質相と結合相で構成されるものなどがあり、硬質相は、炭化タングステン、または炭化タングステンの5〜15重量%を周期律表第4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物で置換したものなどからなり、結合相は、Co等の鉄族金属を主成分とするもので、例えば全量中に5〜15重量%の割合で含有される。
【0037】
スローアウェイチップの切刃部分に形成されるセンサライン12は、それ自体が所定の電気抵抗値を有する。この電気抵抗値の変化をオーム計で測定することによって、スローアウェイチップの摩耗度合い、欠損の発生の有無が検出できる。
【0038】
センサライン12は、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W等の4a、5a、6a族金属、Co、Ni、Fe等の鉄族金属、あるいはAlなどの金属材料やTiC、VC、NbC、TaC、Cr32、Mo2C、WC、W2C、TiN、VN、NbN、TaN、CrN、TiCN、VCN、NbCN、TaCN、CrCN等の4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、(Ti、Al)N等で形成される。
【0039】
この中でも、TiNはスローアウェイチップの母材に対する接合力が強いこと、被削材と反応せず、センサライン12の電気抵抗値が常に所定値を示し、スローアウェイチップの摩耗度合い、欠損の発生の有無を正確に検出することができること、被削材の加工表面に反応生成物による傷が形成されるのを有効に防止できること、耐酸化性に優れ、酸化物生成によるセンサライン12の電気抵抗値の変化がなく、スローアウェイチップの摩耗度合い、欠損の発生の有無を正確に検出することができること、等の理由から好適に使用し得る。
【0040】
このセンサライン12は、次のように作られる。まず、CVD法やイオンプレーティング、スパッタリング、蒸着等のPVD法、めっき法等を採用することによってスローアウェイチップの母材のほぼ全面に所定厚みに導電性膜が被着される。その後、レーザ加工によって、導電性膜が所定パターンに加工される。
【0041】
導電性膜は、その厚みが0.05μm未満の薄いものでは、母材表面への接合が弱くなるとともにセンサライン12の電気抵抗値が高くなり、スローアウェイチップの摩耗度合いや欠損を正確に検出するのが困難となってしまう危険性がある。また20μmを超える導電性膜を形成しようとすると、形成時に導電性膜の内部に大きな応力が発生して残留し、該残留応力によって、導電性膜の母材表面への接合が弱いものとなってしまう危険性がある。
【0042】
スローアウェイチップの母材表面に被着されたTiNや(Ti、Al)N、(Ti、Al)CN等の導電性膜は、レーザ加工等によって、センサライン12、接触領域13、14、接続ライン15、16等の所定パターンに加工される。レーザ加工により所定パターンに加工する場合には、母材表面に被着されたTiN等に対し、波長が1.06μmのYAGレーザを35kHz、10Aの出力で幅50μm、描画スピード100〜300mm/sで照射走査することによって、あるいはCO2レーザを20Wの出力で照射面積径0.3mm、描画スピード0.3m/minで照射走査することによって行われる。
【0043】
センサライン12等は、スローアウェイチップの母材がアルミナ質焼結体、窒化珪素質焼結体、cBN等の絶縁物で形成されている場合には、その表面に直接形成される。また、母材が超硬合金やサーメット等の導電物で形成されている場合は、アルミナ等の絶縁物からなる中間層を間に挟んで形成される。
【0044】
前記アルミナ等の絶縁物からなる中間層は、センサライン等を電気的に独立させる作用をなす。中間層は、CVD法等の方法を採用することによって、母材表面とセンサライン等(導電性膜)との間に所定の厚みに形成される。
【0045】
中間層の具体的な形成方法は、中間層がアルミナからなる場合、スローアウェイチップの母材を、温度が約1050℃、圧力が6.5kPaに設定されている耐熱合金製反応容器内に配置する。次に、反応容器内にH2を40〜50l/min、CO2を1〜3l/min、AlCl3を0.5〜2l/minを2時間流入させ、Al23を生成するとともに、それを母材表面に被着させることによって行われる。
【0046】
また中間層は、その厚みが1μm未満では、母材とセンサライン等との間に電気的な短絡が発生して、センサラインによりスローアウェイチップの摩耗度合いや欠損の検出を正確に行うことができなくなる危険性がある。また10μmを超える中間層を形成しようとすると、形成の際に中間層内部に応力が発生して残留し、該残留応力によって中間層の母材に対する接合強度が弱いものとなり、小さな外力印加によっても中間層が母材表面より容易に剥離してしまう危険性がある。従って、中間層は、その厚みを1μmないし10μmの範囲としておくことが好ましい。
【0047】
図4(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に、この発明を適用可能なスローアウェイチップの各種形状の例を、それぞれ、平面図および正面図(正面側の側面図)により示す。
【0048】
図4(a)は図1で説明した形状であり、母材の平面形状が略正方形のスローアウェイチップを示している。接続ラインが通過する側面と一主面または他の主面との交差稜X部分をR形状にして窪ませている。
【0049】
図4(b)は、母材の平面形状が正三角形のスローアウェイチップであり、このチップは上面および下面各3つのコーナ部分を切削に使用できる。つまり合計6つのコーナ部があり、それぞれにセンサラインが設けられ、着座面には各センサラインに対応した接触領域が設けられている。接続ラインが通過する側面と一主面または他の主面との交差稜X部分をR形状にして窪ませている。
【0050】
図4(c)は母材の平面形状が菱形のチップを示す。図4(c)に示すスローアウェイチップでは、対角方向に位置する鋭角のコーナ部4つが切削に使用される。接続ラインが通過する側面と一主面または他の主面との交差稜X部分をR形状にして窪ませている。
【0051】
図4(d)は、図4(b)と同様、平面形状が正三角形の母材で構成されたスローアウェイチップである。図4(d)は、図4(a)〜(c)とは異なり、いわゆるポジタイプと呼ばれる片面だけが切削に使用されるスローアウェイチップである。このチップは、上面がすくい面、下面が着座面となっていて、それを上下逆にして使うことはできない。上面の3つのコーナ部が切削に利用される。このため3つのコーナ部には、それぞれセンサラインが設けられている。また下面の着座面には接触領域が設けられ、側面の逃げ面には接続ラインが設けられている。接続ラインが通過する側面と一主面または他の主面との交差稜X部分をR形状にして窪ませている。
【0052】
図4(e)は平面形状が略三角形の母材で構成されたねじ切りチップである。このねじ切りチップでは、三角形の頂部近傍にねじ溝を旋削するための切刃が設けられている。接続ラインが通過する側面と一主面または他の主面との交差稜X部分をR形状にして窪ませている。
【0053】
以上説明した形状の他、たとえば平面形状が丸形や楕円形のスローアウェイチップ、あるいは溝入れチップ等にもこの発明を適用することが可能である。
【0054】
図5は、請求項2に係るスローアウェイチップの一実施形態を示す図である。このスローアウェイチップは溝入れ加工などに用いられる。このスローアウェイチップでは、略角柱状のチップ本体1の両端部の上面側にすくい面5が、端面側に前逃げ面8aが、および側面側に横逃げ面8bが形成され、このすくい面5と前逃げ面8aとの稜線部に前切刃9aが、すくい面5と横逃げ面8bとの稜線部に横切刃9bが形成されている。
【0055】
前切刃9a部分と横切刃9b部分に沿って延びる上辺と下辺とで区画された所定幅を有する導電性膜から成るセンサライン12を母材に対して電気的に絶縁状態で設けている。このセンサライン12の下辺は稜線部とほぼ平行になるように逃げ面に形成している。このセンサライン12の切刃部分9a、9bの上辺は稜線部よりもすくい面5側に形成している。
【0056】
このスローアウェイチップでは、一方の接続領域13がチップ本体1の上面側に設けられ、他方の接続領域(不図示)がチップ本体1の裏面側に設けられ、センサライン12とこれらの接続領域とが接続ライン15、16で接続されている。
【0057】
このスローアウェイチップでも、接続ライン15、16が通過する側面8と上面5または底面との交差稜X部分を窪ませている。
【0058】
図6は、請求項3に係るスローアウェイチップの一実施形態を示す図である。このスローアウェイチップも溝入れ加工などに用いられる。このスローアウェイチップでは、全体として略板状を呈するチップ本体1の外周面に、周方向に隣接して形成されるすくい面5と逃げ面8との対が3組形成され、この対をなすすくい面5と逃げ面8との交差位置にそれぞれ厚さ方向の切刃9が形成されている。
【0059】
この切刃9部分に上辺と下辺とで区画された所定幅を有する導電性膜から成るセンサライン12をこの母材に対して電気的に絶縁状態で設けている。このセンサライン12の下辺はこの交差位置とほぼ平行になるようにこの逃げ面8に形成している。このセンサライン12の切刃9部分の上辺はこの交差位置よりもすくい面5側に形成している。
【0060】
このスローアウェイチップでも、一対の接続領域(不図示)がチップ本体1のの裏面側に設けられ、センサライン12とこれらの接続領域とが接続ライン15で接続されている。
【0061】
このスローアウェイチップでも、接続ラインが通過する周面と上面または底面との交差稜部分を窪ませている。
【0062】
以上、各発明の実施形態につき、具体的かつ詳細に説明したが、かかる実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係るスローアウェイチップによれば、略平板状を呈する母材の一主面側にすくい面、他の主面側に着座面、および前記すくい面と交差する側面に逃げ面を形成し、前記すくい面と逃げ面との交差稜部分に切刃を形成し、前記逃げ面の切刃近傍に所定幅を有する導電性膜から成るセンサラインを前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記母材の一主面側および/または他の主面側に、所定の回路と電気的に接続可能な対をなす2つの接触領域を前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記2つの接触領域と前記センサラインの一端および他端とをそれぞれ接続する接続ラインを前記母材の側面から前記母材の一主面または他の主面にかけて前記母材に対して電気的に絶縁状態で設けたスローアウェイチップにおいて、前記接続ラインが通過する前記側面と一主面および/または他の主面との交差稜部分を窪ませたことから、凹部内の導電膜回路は直接ホルダ拘束面と接触しないため、チップ交換時のホルダとの接触によって導電膜回路が断線することを防止できる。また、チップ交換時以外でも他の物体と接触する可能性が低くなる為、切削以外の要因で導電膜回路が断線することを防止できる。
【0064】
また、請求項2および請求項3に係る発明も請求項1に係る発明と同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明の一実施形態にかかるスローアウェイチップを手前上方から見た斜視図であり、(b)はそのスローアウェイチップを手前下方から見た斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態にかかるスローアウェイチップの切刃部分を拡大して示す図である。
【図3】この発明の一実施形態にかかるスローアウェイチップを、ホルダーに装着する様子を示す図解的な斜視図である。
【図4】(a)〜(e)は、それぞれ、この発明を適用可能なスローアウェイチップの各種形状の例を示す平面図および正面図である。
【図5】請求項2に係るスローアウェイチップの一実施形態を示す図であり、(a)は平面視した状態を示す図、(b)は側面視した状態を示す図、(c)は端面視した状態を示す図である。
【図6】請求項3に係るスローアウェイチップの一実施形態を示す図であり、(a)は側面視した状態を示す図、(b)は平面視した状態を示す図である。
【図7】従来のスローアウェイチップを示す図である。
【符号の説明】
1:スローアウェイチップ、2:母材、5:すくい面、6:着座面、8:逃げ面、9:切刃稜、10:コーナ部、12、123、125:センサライン、13、14:接触領域、15、16:接続ライン、17:折り返しライン、18:折り返し部

Claims (3)

  1. 略平板状を呈する母材の一主面側にすくい面、他の主面側に着座面、および前記すくい面と交差する側面に逃げ面を形成し、前記すくい面と逃げ面との交差稜部分に切刃を形成し、前記逃げ面の切刃近傍に所定幅を有する導電性膜から成るセンサラインを前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記母材の一主面側および/または他の主面側に、所定の回路と電気的に接続可能な対をなす2つの接触領域を前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記2つの接触領域と前記センサラインの一端および他端とをそれぞれ接続する接続ラインを前記母材の側面から前記母材の一主面および/または他の主面にかけて前記母材に対して電気的に絶縁状態で設けたスローアウェイチップにおいて、前記接続ラインが通過する前記側面と一主面および/または他の主面との交差稜部分を窪ませたことを特徴とするスローアウェイチップ。
  2. 略角柱状を呈する母材の少なくとも一端部の上面側にすくい面を、端面側に前逃げ面を、および側面側に横逃げ面を形成し、このすくい面と前逃げ面との稜線部に前切刃を、すくい面と横逃げ面との稜線部に横切刃を形成し、前記前逃げ面と横逃げ面の切刃近傍に所定幅を有する導電性膜から成るセンサラインを前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記母材の上面側および/または底面側に、所定の回路と電気的に接続可能な対をなす2つの接触領域を前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記2つの接触領域と前記センサラインの一端および他端とをそれぞれ接続する接続ラインを前記母材の側面から前記母材の上面または底面にかけて前記母材に対して電気的に絶縁状態で設けたスローアウェイチップにおいて、前記接続ラインが通過する前記側面と上面および/または底面との交差稜部分を窪ませたことを特徴とするスローアウェイチップ。
  3. 略板状を呈する母材の外周面に、周方向に隣接して形成したすくい面と逃げ面との対を1組又は前記周方向に沿って複数組形成し、前記対をなすすくい面と逃げ面との交差位置にそれぞれ厚さ方向の切刃を形成し、前記逃げ面の切刃近傍に所定幅を有する導電性膜から成るセンサラインを前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記母材の上面側および/または底面側に、所定の回路と電気的に接続可能な対をなす2つの接触領域を前記母材に対して電気的に絶縁状態で設け、前記2つの接触領域と前記センサラインの一端および他端とをそれぞれ接続する接続ラインを前記母材の周面から前記母材の上面または底面にかけて前記母材に対して電気的に絶縁状態で設けたスローアウェイチップにおいて、前記接続ラインが通過する前記周面と上面および/または底面との交差稜部分を窪ませたことを特徴とするスローアウェイチップ。
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