JP3840017B2 - 両軸受リールのリール本体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リール本体、特に、ハンドルが一側面に配置され内部にスプールが配置された両軸受リールのリール本体に関する。
【0002】
【従来の技術】
両軸受リールは、釣り竿に装着されるリール本体と、リール本体の内部に配置されたスプールと、リール本体の一側に装着されたハンドルとを備えている。リール本体は、左右1対の側板と両側板を連結する連結部材とを有するリールフレームと、両側板の外方を覆う1対の側カバーとを有している。
【0003】
この種の両軸受リールにおいて、リール本体のハンドル装着側と逆側の他方の側板に、スプールが通過可能な円形の開口を形成し、スプールをハンドル装着側と逆側の側面から着脱できるようになっているものが従来知られている。従来の両軸受リールの他方の側カバーは、スプールを着脱するために他方の側板に着脱自在に装着されている。この他方の側板を開閉操作するための開閉機構は、一方又は他方の側カバーから露出して外部から操作可能に設けられている。一方(ハンドル装着側)の側カバーから露出して設けられた開閉機構は、たとえば、両側板を貫通して設けられ頭部が一方の側カバーから露出する複数本のネジにより構成されている。他方の側カバーから露出して設けられた開閉機構は、たとえば、折り畳み可能な操作部材と、操作部材に連動して回転する係止部材とにより構成されている。係止部材は、他方の側板に形成されたスプール通過用の開口の周囲に係止される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成では、着脱操作部が一方の側カバーに外部に露出して設けられている場合には、複数本のネジを外さなければならないので、着脱操作が煩わしい。また、他方の側カバーから露出して操作部材が設けられている場合には、操作部材が突出しやすいので、パーミング操作によりリール本体と釣り竿とを一緒に握ると、手のひらに操作部材が接触することがある。手のひらに操作部材が接触すると、手のひらに違和感を感じることがある。また、着脱操作部の構造によっては誤って着脱操作が行われてしまうことがある。
【0005】
本発明の課題は、他方の側カバーを簡単に開閉でき、かつリール本体を握ったときに掌に触ることなく側カバーを開閉操作できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る両軸受リールのリール本体は、釣り竿に装着され、ハンドルが一側面に配置され内部にスプールが配置された両軸受リールのリール本体であって、フレームと、1対の側カバーと、釣り竿装着部と、開閉機構とを備えている。フレームは、スプールが間に配置される1対の側板と、側板を連結する連結部材とを有している。1対の側カバーは、1対の側板の外方をそれぞれ覆いかつ一方にハンドルが装着され他方が1対の側板の他方に開閉自在に装着されたものである。釣り竿装着部は、1対の側板の間で釣り竿に装着される。開閉機構は、一方の側カバーから露出して設けられたひとつの操作部を有し、他方の側カバーを開閉するための機構である。他方の側カバーは、スプールの回転軸と平行な第1軸に沿って配置されかつ他方の側板に回動自在かつ軸方向移動自在に配置された揺動軸の先端に固定されており、操作部は、前記揺動軸の基端を保持する。
【0007】
この両軸受リールのリール本体では、一方(ハンドル装着側)の側カバーから露出して設けられたひとつの操作部を操作するだけで、他方の側カバーを開閉操作できる。このため、開閉操作が容易である。しかも、操作部がパーミングによりリールを握るときに掌に接触しにくいハンドル装着側の側カバーに設けられているので、操作部が突出していてもリールを握ったときに掌に操作部が接触しない。また、他方の側カバーがスプールの回転軸と平行な軸回り揺動するので、着脱時に回転軸方向のスペースがあまり必要ではなく、他方の側カバーをコンパクトに着脱できる。さらに、他方の側カバーが揺動軸の先端に固定されているので、揺動軸を所定の軸方向位置で位置決め固定することにより他方の側カバーを他方の側板に簡単に固定できる。
【0008】
発明2に係る両軸受リールのリール本体は、発明1に記載のリール本体において、両側カバー及び両側板の少なくとも一方は、回転軸方向から見た外形が円形又は略円形である。この場合には、丸形の両軸受リールの他方の側カバーに操作部を設けていないので、他方の側カバーで高級感がある外観を得やすくなる。
【0009】
発明3に係る両軸受リールのリール本体は、発明2に記載のリール本体において、両側カバー及びフレームは金属製である、この場合には、外観が金属の質感で表現されるので、高級感をさらに演出できる。
【0010】
発明4に係る両軸受リールのリール本体は、発明1かち3のいずれかに記載のリール本体において、他方の側カバーを他方の側板から離反する方向に付勢する第1付勢部材をさらに備える。この場合には、他方の側板から他方の側カバーが外れると、他方の側カバーが他方の側板から離反するので、自重により他方の側カバーが自動的に揺動して開く。
【0011】
発明5に係る両軸受リールのリール本体は、発明1から4のいずれかに記載のリール本体において、操作部は、一方の側カバーに回転自在かつ着脱不能に装着され、揺動軸の他端に螺合するねじ部材である。この場合には、一方の側カバーに設けられたねじ部材を揺動軸に螺合させることにより、他方の側カバーをハンドル側に引っ張って他方の側板に固定できる。
【0012】
発明6に係る両軸受リールのリール本体は、発明1から4のいすれかに記載のリール本体において、操作部は、一方の側カバーに揺動軸の径方向に移動自在に装着され揺動軸の他端を係止する係止部材である。この場合には、係止部材を径方向に移動させるだけで揺動軸を係止できるので、他方の側カバーの着脱操作が容易になる。
発明7に係る両軸受リールのリール本体は、発明1から6のいずれかに記載のリール本体において、揺動して開いた他方の側カバーを開状態で保持する保持手段をさらに備える。この場合には、開状態で第1側カバーが保持されるので、スプールの交換などが容易である。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
図1〜図3において、本発明の一実施形態を採用した両軸受リールは、ベイトキャスト用の丸形の両軸受リールである。このリールは、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用ハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを備えている。
【0014】
〔ハンドルの構成〕
ハンドル2は、板状のアーム部2aと、アーム部2aの両端に回転自在に装着された把手2bとを有するダブルハンドル形のものである。アーム部2aは、図3に示すようにハンドル軸30の先端に回転不能に装着されており、ナット28によりハンドル軸30に締結されている。ハンドル軸30の先端は他の部分より小径であり、その外周面に雄ねじ部30aと平行な面取り部30bとが形成されている。ナット28は、雄ねじ部30aに螺合してアーム部2aをハンドル軸30に締結している。
【0015】
アーム部2aのハンドル軸30装着部分には、図2に示すように、小判孔2cが形成されており、小判孔2cが面取り部30bに係合することによりアーム部2aは、ハンドル軸30に回転不能に係止される。この小判孔2cの周囲には、大径部と大径部から離反した小径部と両部を連結する包絡線とで構成された略雨滴状の収納凹部2dが形成されている。
【0016】
ナット28は、アーム部2aの収納凹部2dに装着されたリテーナ29により回り止めされている。ナット28は、所定長さで六角形状に形成されたナット部28aと、ナット部28aより小径で徐々に縮径する略円錐台形状の袋部28bとを有する六角袋ナットである。ナット部28aの軸方向の長さ(所定長さ)は、リテーナ29の厚みの0.8〜1.3倍の範囲である。このような範囲にナット部28aの軸方向長さが設定されると、ナット部28aがリテーナ29の外面からほとんど突出せず、その部分が手に触れたり、釣り糸に接触する可能性が少なくなる。袋部28bは先端が滑らかに丸められて釣り糸が引っ掛かりにくい構造である。
【0017】
リテーナ29は、大径部と大径部から離反した小径部と両部を連結する包絡線とで構成された収納凹部2dの縁部に沿った外形を有する略雨滴状のステンレス鋼などの金属製の板状部材であり、その板厚は、収納凹部2dの深さに略等しい。この結果、リテーナ29は、アーム部2aの外側面と略面一に装着されている。リテーナ29の大径部に対応する部分には、ナット部28aの外周角部を係止可能な12個の角部を星形の係止孔29aが形成されている。また、小径部に対応する部分には脱落防止及び回り止め用の頭部とねじ部とを有する小ねじ29bが装着され、小ねじ29bにより、リテーナ29はアーム部2aに止められている。このリテーナ29の小ねじ装着部分には円形の装着凹部29cが形成されており、小ねじ29bの頭部がアーム部2aの外面から突出しないようになっている。このように、リテーナ29及び小ねじ29bがアーム部2aから突出しないので、釣り糸がそれらに引っ掛かったり、食い込んだりしにくくなる。
【0018】
〔リール本体の構成〕
リール本体1は、例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金などの金属製の部材であり、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1側カバー6及び第2側カバー7とを有している。リール本体1の内部には糸巻用のスプール12がスプール軸20(図3)を介して回転自在かつ着脱自在に装着されている。第1側カバー6は、スプール軸方向外方から見て円形であり、第2側カバー7は、2つの交差する外周円で構成されたひょうたん型である。
【0019】
フレーム5内には、図3に示すように、スプール12と、サミングを行う場合の親指の当てとなるクラッチレバー17と、スプール12内に均一に釣り糸を巻くためのレベルワインド機構18とが配置されている。またフレーム5と第2側カバー7との間には、ハンドル2からの回転力をスプール12及びレベルワインド機構18に伝えるためのギア機構19と、クラッチ機構21と、クラッチレバー17の操作に応じてクラッチ機構21を制御するためのクラッチ制御機構22と、スプール12を制動するドラグ機構23と、スプール12の回転時の抵抗力を調整するためのキャスティングコントロール機構24とが配置されている。また、フレーム5と第1側カバー6との間には、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための遠心ブレーキ機構25が配置されている。
【0020】
〔フレームの構成〕
フレーム5は、図3〜図6に示すように所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された1対の側板8,9と、これらの側板8,9を一体で連結する上下の連結部10a,10bとを有している。1対の側板8,9のうち、ハンドル2装着側の図3右側の側板9と第2側カバー7とで、第1円筒部11aと第1円筒部11aと略同径の第2円筒部11bとが構成される。第1円筒部11aは、内部に円柱状の第1空間を有しており、第2円筒部11bは、第1円筒部11aの外周円と交差するように前下方に偏芯して外周円が配置されかつ第1円筒部11aのスプール軸方向に突出し内部に第1空間と連通する第2空間を有している。また、第1円筒部11aと第2円筒部11bとは、外周面の一部がスプール軸方向で重なり合っている。
【0021】
また、図3左側のハンドル装着側と逆側の側板8は、スプール軸方向から見て円形の内部に空間を有する扁平有底筒状の部材である。側板8の中心部よりやや上方には、スプール12を着脱するための円形の開口8aが形成されている。この開口8aの内周面には、雌ねじ部8bが形成されている。雌ねじ部8bには、スプール12の回転軸であるスプール軸20の左端を支持するスプール支持部13が着脱自在に装着されている。
【0022】
スプール支持部13は、図1,図3及び図6に示すように、開口8aに着脱自在に装着されるリング部14と、リング部14の内周側にリング部14と同芯に配置された有底筒状の軸受部15と、リング部14と軸受部15とを連結するとともにスプール支持部13を回動操作するための操作凸部16とを有している。これらの各部は一体成形された合成樹脂又は金属製の部材である。
【0023】
リング部14の外周面には開口8aに形成された雌ねじ部8bに螺合する雄ねじ部14aが形成されている。リング部14の内周面には、遠心ブレーキ機構25のブレーキライナー68が固定されている。
【0024】
軸受部15の内周面には、スプール軸20の一端を回転自在に支持するための軸受26bが装着されている。また底部には、キャスティングコントロール機構24の摩擦プレート51が装着されている。
【0025】
操作凸部16は、リング部14と軸受部15とを連結するように直径に沿って配置されており、軸方向外方に向かって凸に湾曲して形成されている。この結果、操作凸部16の両側に開口16a,16aが形成される。この開口16aからスプール12の側部が臨めるとともに、そこに指先を入れることができる。
【0026】
右側の側板9は、図5に示すように、側板8と同径の扁平有底筒状の装着部9aと、装着部9aの斜め前下方の縁部に装着部9aの外周円と交差する外周円となるように偏芯して形成された突出部9bとを有している。突出部9bは、三日月状に円弧で形成されている。装着部9aの底部には、後述するピニオンギア32が支持されるボス部9cが形成されている。また、ボス部9cの両側には、第2側カバー7を位置決めするための2本の位置決めピン9d,9eが立設されている。位置決めピン9d,9eの先端は、小径の頭部が形成されており、頭部が第2側カバー7に形成された位置決め孔7eに挿入されることで、側板9と第2側カバー7とが位置決めされる。
【0027】
さらに、ボス部9cの斜め前下方には、ハンドル軸30の基端を支持するボス部9fが形成されている。ボス部9fは、装着部9aの外周円と突出部9bの外周円とが重複する部分に形成されている。また、ボス部9cと位置決めピン9eとの間には、クラッチ制御機構22のクラッチプレート55を案内する案内部9gが扇形に僅かに凹んで形成されている。装着部9aの前側の縁部から突出部9bの底部にかけて、レベルワインド機構25のギア部材63a(図11)を配置するための内外周を貫通する切欠き部9iが形成されている。この切欠き部9iを塞ぐために、ギア部材63aの外縁に沿うような円弧状に湾曲したカバー部材41が着脱自在に装着されている。突出部9bには、斜め前下方への偏り部分から三日月部分の外縁に沿って円弧状に湾曲した縁部9hが形成されている。この縁部9hは、突出部9bにおいて、2つの外周円が交差する位置まで形成されている。
【0028】
上側の連結部10aは、側板8,9の外形と同一面に配置されており、下側の連結部10bは、前後に1対設けられており、外形より内側に配置されている。下側の連結部10bには、図4及び図7に示すように、リールを釣り竿に装着するための前後に長い、たとえばアルミニウム合金等の金属製の竿装着脚部4がリベット止めされている。竿装着脚部4の裏面には、円形凹部からなる滑り止め部4aが両端部を中心に多数形成されている。この円形凹部からなる滑り止め部4aは、プレス加工により設けられており、加工硬化作用によって竿装着脚部4自体の曲げ剛性を向上させてもいる。
【0029】
〔第1側カバーの構成〕
第1側カバー6は、図6,図8,図9に示すように、スプール12の着脱を可能にするために側板8に揺動自在に装着されフレーム5に対して開閉可能である。第1側カバー6は、図3及び図4に示す閉姿勢から図1及び図6に示す開姿勢に揺動自在である。第1側カバー6は、側板8の外方を覆う円板状のカバー本体33と、カバー本体33を揺動自在に支持するための揺動軸34と、カバー本体33を側板8から離反する方向に付勢するコイルばね35とを有している。
【0030】
カバー本体33は、側板8を覆うように外方に僅かに凸に湾曲した金属製の部材であり、意匠性の向上を図るとともに軽量化を図るために外周部に直径が異なる多数の丸孔33bが周方向及び径方向に間隔を隔てて設けられている。カバー本体33の外周側の内面には、揺動軸34を固定するためのねじ穴33aが形成されている。ねじ穴33aの周囲には、外周縁部から中心側に突出するボス部33cが形成されており、ボス部33cの底部との境界部分には、略周方向に沿って直線的に切り欠かれた係止部33dが形成されている。また、カバー本体33aの中心よりやや偏倚した内面には、内方に突出する取付部33e(図3)が形成されている。取付部33eは、カバー本体33が側板8に装着されたとき、スプール支持部13の操作凸部16に近接した位置にスプール支持部13に当接可能に配置され、スプール支持部13が緩み方向に回転しないようにしている。
【0031】
カバー本体33の内面側には、丸孔33bから内部への異物や液体の浸入を防止するためのシール部材42が装着されている。シール部材42は、たとえば、ABS樹脂(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)等の合成樹脂製であり、かつ内部が見えるような透光性を有している。シール部材42は、図9に示すように、カバー本体33の湾曲に合わせた形状で外方に凸に湾曲しており、カバー本体33の縁部の内側に沿った外径を有している。シール部材42のボス部33cに沿った部分では、係止部33dに係止されるような凹部42aが形成されている。また内面には、取付部33eを覆うような筒部42bを有している。この筒部42bを貫通してビス42cが取付部33eにねじ込まれており、凹部42aと筒部42bとによりシール部材42は、第1側カバー6の裏面に固定されている。すなわち、シール部材42を第1側カバー6に装着する際には、凹部42aを係止部33dに差し込んだ後に、筒部42bを取付部33eにかぶせる。そして、ビス42cを取付部33eにねじ込んでシール部材42を第1側カバー6の内面に固定する。
【0032】
揺動軸34の先端には、図10に示すように、ねじ穴33aにねじ込まれるねじ部34aが形成されており、ねじ部34aに隣接して大径の工具係止部34bが形成されている。ねじ部34aはカバー本体33にねじ込まれ、これにより揺動軸34がカバー本体33に固定されている。
【0033】
揺動軸34の外周側には、側板8を貫通してパイプ部材36が同芯に配置されている。揺動軸34の先端はパイプ部材36に回転自在に支持され、基端側は側板9に回転自在に支持され、さらに、第2側カバー7から外方に突出している。パイプ部材36は、揺動軸34を回転自在支持するとともに軸方向移動不能に支持する。パイプ部材36の先端には大径部36aが形成されており、大径部36a内に揺動速度を規制するためのOリング37が装着されている。
【0034】
大径部36aと側板8との間には揺動軸34の外周側にコイルばね35が圧縮状態で装着されている。パイプ部材36の大径部36aを除く部分の外周面には、平行な面取り部36bが形成されており、側板8には面取り部36bを軸方向移動自在かつ回転不能に支持するための小判孔38aを有する支持部材38がねじ止めされている。パイプ部材36の基端には揺動軸34の軸方向の移動を規制する規制円板39が止め輪39aにより固定されている。この規制円板39と工具係止部34bとでパイプ部材36を挟持することで、揺動軸34は、パイプ部材36に対して軸方向に移動不能に支持される。またこの規制円板39が側板8に当接することにより、第1側カバー6が開くときの軸方向位置が決定される。これにより、第1側カバー6は、側板8に揺動自在かつ軸方向に所定距離移動可能に装着され側板8に対して脱落することなく開閉自在となっている。
【0035】
揺動軸34の基端部には、ねじ部34cが形成されており、ねじ部34cは、第1側カバー6を開閉操作するための操作部材である着脱ナット40にねじ込まれている。着脱ナット40は、第2側カバー7に回転自在かつ軸方向移動不能に装着されている。この着脱ナット40を反時計回りに回転させて着脱ナット40からねじ部34cを離反させると、揺動軸34は、コイルばね35に付勢されて図4左方に移動する。するとカバー本体33も左方に移動して第1側カバー6が開く。第1側カバー6が開くと自重により揺動する。このときの揺動速度はOリング37によりゆったりとした速度に規制される。
【0036】
〔第2側カバーの構成〕
第2側カバー7は、図2〜図5に示すように、側板9と同一の2つの外周円が交差する偏芯した円形の側面を有している。第2側カバーは、たとえば3本のねじにより側板9に固定されている。第2側カバー7は側板9の突出部9bに沿った形状で同径の扁平有底筒状の装着部7cと、装着部7cの斜め後上方の縁部に偏芯した円弧で側板9の装着部9aに対向して三日月状に形成された突出部7dとを有している。装着部7cの底部には、ハンドル軸30を支持するための筒状のボス部7aと、スプール軸20を支持するための筒状のボス部7bとが間隔を隔てかつ外方に突出して固定されている。ボス部7aは、側板9に形成されたボス部7bと、またボス部7bは、ボス部9cとそれぞれ同一軸芯上に配置される。ボス部9cの前側には、第2側カバー7を位置決めするための位置決め孔7eが形成されている。さらに、ボス部7aの後方には、第1側カバー6を開閉操作するための着脱ナット40が回転自在に支持されるつまみ孔7gが形成されている。
【0037】
突出部7dには、斜め後上方への偏り部分から三日月部分の外縁に沿って円弧状に湾曲した縁部7hが形成されており、縁部7hは、側板9の装着部9aと同芯に配置され、かつ突出部9bの縁部9hとひょうたん型に接続されている。このような構成により、2つの円筒部11a,11bの外周面(縁部9h,7h)がスプール軸方向に重なり合う構成が実現されている。この縁部9h,7hは、それぞれ円弧で構成されているので、容易に切削加工できる。
【0038】
突出部7dのボス部7bを挟んで位置決め孔7eと逆側の位置には、位置決め孔7fが形成されている。前述したように、側板9に立設された位置決めピン9d,9eの頭部が位置決め孔7e,7fに挿入されることにより、側板9と第2側カバー7とが位置決めされ、各ボス部9c,7b、9f,7aがそれぞれ芯出しされ同一軸芯上に配置される。
【0039】
このように構成されたリール本体1では、側板9と第2側カバー7とで内部にそれぞれ円柱状の空間を有し2つの外周円が交差するように偏芯した2つの円筒部11a,11bが形成される。このため、このうち外方に突出した第2円筒部11bで突出部を構成することにより、突出部を設けて回転効率を向上させても外周面の切削加工が容易になる。このため、突出部を有する両軸受リールのリール本体において、外観の意匠性及び装飾性の向上を図ることができる。
【0040】
〔スプールの構成〕
スプール12は、図3に示すように、両側部に皿状のフランジ部12aを有しており、両フランジ部12aの間に筒状の糸巻き胴部12bを有している。また、スプール12は、糸巻き胴部12bの内周側の軸方向の実質的に中央部に一体で形成された筒状のボス部12cを有しており、ボス部12cを貫通するスプール軸20にたとえばセレーション結合により回転不能に固定されている。この固定方法はセレーション結合に限定されず、キー結合やスプライン結合等の種々の結合方法を用いることができる。
【0041】
スプール軸20は、側板9を貫通して第2側カバー7の外方に延びている。その延びた一端は、第2側カバー7に装着されたボス部7bに軸受26aにより回転自在に支持されている。またスプール軸20の他端は前述したように軸受26bにより回転自在に支持されている。
【0042】
スプール軸20の大径部分20aの右端は、側板9の貫通部部分に配置されており、そこにはクラッチ機構21を構成する係合ピン20bが固定されている。係合ピン20bは、直径に沿って大径部分20aを貫通しており、その両端が径方向に突出している。
【0043】
〔その他の構成〕
クラッチレバー17は、図3に示すように、1対の側板8,9間の後部でスプール12後方に配置されている。クラッチレバー17は側板8,9間で上下方向にスライドする。クラッチレバー17のハンドル装着側には、係合軸17aが側板9を貫通して一体形成されている。この係合軸17aは、クラッチ制御機構22に係合している。
【0044】
レベルワインド機構18は、図3及び図7に示すように、スプール12の前方で両側板8,9間に配置され、外周面に交差する螺旋状溝46aが形成された螺軸46と、螺軸によりスプール軸方向に往復移動する釣り糸案内部47とを有している。螺軸46は、両端が側板8,9に装着された軸支持部48,49により回転自在に支持されている。螺軸46の図3左端は、E型止め輪50により抜け止めされている。螺軸46の図3右端には、ギア部材63aが装着されており、ギア部材63aは、ハンドル軸30に回転不能に装着されたギア部材63bに噛み合っている。このような構成により、螺軸46は、ハンドル軸30の糸巻取方向の回転に連動して回転する。
【0045】
釣り糸案内部47は、図7に示すように、螺軸46の周囲に配置され一部が軸方向の全長にわたって切り欠かれたパイプ部材53と、螺軸の上方に配置されたガイド軸54とによりスプール軸20方向に案内されている。釣り糸案内部47には、螺旋状溝46aに係合する係止部材47aが回動自在に装着されており、螺軸46の回転によりスプール軸方向に往復移動する。釣り糸案内部47の上部には、釣り糸が通過する、たとえばSiC等の硬質セラミックス製の長円形のガイドリング47bが装着されている。
【0046】
パイプ部材53は、両端が軸支持部48,49に係止されている。ガイド軸54は、側板8,9に固定されており、ガイド軸54の側板9側の端部はさらに側カバー7側に突出している。図11に示すように、軸支持部49は略雨滴状であり、大径部で螺軸46を回転自在に支持し、小径部をガイド軸54が貫通して軸支持部49を回り止めしている。
【0047】
ギア機構19は、図3に示すように、ハンドル軸30と、ハンドル軸30に固定されたメインギア31と、メインギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32とを有している。ハンドル軸30は、ボス部9f及びボス部7aに回転自在に装着されており、ローラ型のワンウェイクラッチ86及び爪式のワンウェイクラッチ87により糸繰り出し方向の回転(逆転)が禁止されている。
【0048】
ワンウェイクラッチ86は、ボス部7aとハンドル軸30との間に装着されている。ワンウェイクラッチ87は、図11に示すように、メインギア31とギア部材63bとの間でハンドル軸30に回転不能に装着されたラチェットギア88と、位置決めピン9dに揺動自在に装着されたラチェット爪89とを有している。ラチェットギア88の外周部には、略平行四辺形状に突出して形成されたラチェット歯88aが周方向に間隔を隔てて配置されており、ラチェット爪89がラチェット歯88aに噛み合うことによりハンドル軸30の糸繰り出し方向の回転が禁止される。ラチェット爪89は、ラチェットギア88を両側から挟む制御片89aを先端部に有している。制御片89aは、糸巻取方向の回転時にラチェット爪89をラチェットギア88に接近させ、糸繰り出し方向の回転時に離反させる。この離反時にラチェット爪89が離反しすぎないようにするために、ラチェット爪89は、離反時にガイド軸54に当接するように配置されている。
【0049】
メインギア31は、ハンドル軸30に回転自在に装着されており、ハンドル軸30とドラグ機構23を介して連結されている。
【0050】
ピニオンギア32は、図3に示すように、側板9の外方から内方に延び、中心にスプール軸20が貫通する筒状部材であり、スプール軸20に軸方向に移動自在に装着されている。また、ピニオンギア32の図3左端側は、軸受27により側板9に回転自在かつ軸方向移動自在に支持されている。ピニオンギア32の図3左端部には係合ピン20bに噛み合う噛み合い溝32aが形成されている。この噛み合い溝32aと係合ピン20bとによりクラッチ機構21が構成される。また中間部にはくびれ部32bが、右端部にはメインギア31に噛み合うギア部32cがそれぞれ形成されている。
【0051】
クラッチ制御機構22は、図11に示すように、係合軸17aに係合するクラッチプレート55と、クラッチプレート55に係合してスプール軸20を中心に回動するクラッチカム56と、クラッチカム56によりスプール軸20方向に沿って移動するクラッチヨーク57とを有している。また、クラッチ制御機構22は、スプール12の糸巻取方向の回転に連動してクラッチ機構21をクラッチオンさせるクラッチ戻し機構58を有している。
【0052】
クラッチプレート55は、扇形に形成された板状部材であり、側板9に形成された案内部9gにより回転方向に案内されている。また、クラッチプレート55は、位置決めピン9eに形成された鍔部9iにより案内部9gとの間に隙間が形成され、浮き上がりが防止されている。クラッチプレート55の一端は、クラッチレバー17の下方への移動に連動して図11反時計回りに移動するようにクラッチレバー17の係合軸17aの下端に接触する位置に延びている。クラッチプレート55の他端は、クラッチカム56に係止されており、クラッチプレート55とクラッチカム56とは連動してスプール軸20回りに回動する。
【0053】
クラッチカム56は、略リング状の板部材であり、ボス部9cにスプール軸20回りに回動自在に装着されている。クラッチカム56の外側面のスプール軸20を挟んで対向する位置には、1対の傾斜したカム突起56a,56aが形成されている。また、クラッチカム56の外周部には、クラッチプレート55に係合する係合ピン56bが形成されている。さらに、クラッチカム56の外周部には、クラッチ戻し機構58を構成する戻し爪59を連結するための連結部56cが形成されている。
【0054】
クラッチヨーク57は、クラッチカム56の軸方向外方に対向して配置されている。クラッチヨーク57は、側板9と第2側カバー7との間にスプール軸20を挟んで立設された2本のガイド軸60により案内されてスプール軸20方向に移動自在である。また、第2側カバー7とクラッチヨーク57との間でガイド軸60の外周側に圧縮状態で配置されたコイルばね61(図3)により軸方向内方に付勢されている。クラッチヨーク57は、ピニオンギア32のくびれ部32bに係合する半円弧状の係合部57aが形成されている。クラッチヨーク57のクラッチカム56と対向する側面には、カム突起56a,56aに乗り上げる傾斜面(図示せず)が形成されており、クラッチカム56が図11反時計回りに回動してカム突起56a,56aに傾斜面が乗り上げると、クラッチヨーク57は図3右方のクラッチオフ位置に移動し、傾斜面がカム突起56a,56aから下りると、コイルばね61により付勢されてクラッチオン位置に戻る。このクラッチヨーク57の移動に連動してピニオンギア32がスプール軸方向に移動しクラッチ機構21がクラッチオフ状態とクラッチオン状態とに切り換わる。
【0055】
クラッチ戻し機構58は、クラッチカム56の連結部56cに回動自在に連結された戻し爪59と、戻し爪59を付勢するトグルばね62とを有している。戻し爪59は、クラッチカム57の回動により側板9に案内されてラチェットギア88のラチェット歯88aに接触する位置とそこから離反した位置とに移動する。トグルばね62は、戻し爪59を2つの位置で保持する。
【0056】
このクラッチ戻し機構58では、クラッチレバー17の押圧操作によりクラッチ機構21がクラッチオフ状態になると、側板9に案内されてラチェット歯88aに接触する位置に前進する。この状態で、ハンドル2の操作によりハンドル軸30が糸巻取方向に回転すると、ラチェット歯88aにより押圧されて離反する位置に移動し、クラッチカム56を図11時計回りに回動し、クラッチ機構21をクラッチオン状態に戻す。
【0057】
キャスティングコントロール機構24は、スプール軸20の両端を挟むように配置された複数の摩擦プレート51と、摩擦プレート51によるスプール軸20の挟持力を調節するための制動キャップ52とを有している。左側の摩擦プレート51は、スプール支持部13内に装着されている。
【0058】
遠心ブレーキ機構25は、図3及び図6に示すように、スプール12と一体回転するようにスプール軸20に固定された回転部材66と、回転部材66に周方向に間隔を隔てて配置され径方向に移動自在に装着された筒状の摺動子67と、リング部14の内周面に固定され摺動子67に接触可能なブレーキライナー68とを有している。回転部材66は、軸受部15の外周側に配置される円板部66aを有しており、円板部66aには、周方向に間隔を隔てて、たとえば6つの凹部66bが形成されている。各凹部66bには、対向する2対の係止突起70a,70bが径方向に間隔を隔てて形成されている。係止突起70aは、外周部に互いに突出して形成され、摺動子67を抜け止めするための突起である。係止突起70bは、係止突起70aより内周側に形成され、摺動子67がブレーキライナー68に接触しないようにするための突起である。また、凹部66bの底面には、径方向に延びるガイド軸69が放射状に配置されている。このガイド軸69に摺動子67が移動自在に案内される。
【0059】
摺動子67は、筒状の部材であり、その内周側の端部に他の部分より大径で係止突起70a,70bに係止される鍔部67aを有している。摺動子67はスプール12が回転すると遠心力によりブレーキライナー68に接触してスプール12を制動する。このとき、鍔部67aが係止突起70bを乗り越えてそれより内周側に配置されると、遠心力が作用しても鍔部67aが係止突起70bに接触してブレーキライナー68に接触できない。この摺動子67の径方向位置を切り換えることにより、遠心ブレーキ機構25の制動力を調整できる。
【0060】
〔スプールの着脱操作〕
バックラッシュ等により釣り糸がスプール12に絡まる等してスプール12をリール本体1から取り外す際には第1側カバー6を開けて側板8の開口8aを開放する。
【0061】
第1側カバー6を開けるには、まず着脱ナット40を反時計回りに回して着脱ナット40から揺動軸34を外す。揺動軸34が着脱ナット40から外れると、コイルばね35の付勢力により揺動軸34が図4左方に移動し、第1側カバー6も左方に移動する。すると、第1側カバー6は自重により揺動軸34回りに揺動し、第1側カバー6が開姿勢に開く。第1側カバー6が開いた状態を図1及び図5に示す。第1側カバー6が開くと、スプール支持部13が露出する。この状態で開口16aから指を入れて遠心ブレーキ機構25の摺動子67のスプール径方向の位置の切り換えると、制動力の調整が可能である。すなわち、係止突起70bより内周側に配置すると、その摺動子67がブレーキライナー68に接触できなくなり、制動力がその分弱くなる。
【0062】
第1側カバー6を開けると、スプール支持部13を操作凸部16を指でつまんで反時計回りに回す。するとスプール支持部13が側板8から外れて開口8aが外部に露出する。この状態でスプール軸20をつまんで引き出せばスプール12を取り外せる。
【0063】
スプール12を装着する際には、スプール12をリール本体1内に装着した後スプール支持部13を側板8に装着して第1側カバー6を閉める。このときには、カバー本体33を閉姿勢側に手で揺動させ、さらに側板8側に押圧する。この状態で、着脱ナット40を時計回りに回すと、着脱ナット40に揺動軸34の先端がねじ込まれ、第1側カバー6が側板8に装着され閉姿勢になる。
【0064】
〔実釣時のリールの操作及び動作〕
キャスティングを行うときには、クラッチレバー17を下方に押圧する。すると、クラッチプレート55が図11反時計回りに移動する。このとき、クラッチプレート55は、位置決めピン9eにより浮き上がりが防止された状態で案内部9g内を移動する。クラッチプレート55が移動すると、それに連動してクラッチカム56が反時計回りに回動し、クラッチヨーク57が図3外方のクラッチオフ位置に移動する。この結果、クラッチ機構21を構成するピニオンギア32が軸方向外方に移動し、クラッチオフ状態になる。このクラッチオフ状態では、スプール12が自由回転状態になり、キャスティングを行うと仕掛けの重さにより釣り糸がスプール12から勢いよく繰り出される。
【0065】
仕掛けが着水すると、ハンドル2を糸巻取方向に回転させる。すると、ラチェットギア88が糸巻取方向(図時計回り)に回転し、ラチェット爪89が制御片89aの作用によりラチェットギア88の外方に位置決めピン9dを中心に揺動し、ガイド軸54に接触する。この結果、糸巻取時にラチェット爪89がラチェットギア88に接触しなくなり、糸巻取時に両者の接触によるクリック音が生じなくなる。また、ラチェットギア88が糸巻取方向に回転すると、ラチェット歯88aが戻し爪59の先端に当接し、戻し爪59を後方に押圧する。すると、戻し爪59はトグルばね62の死点を越えて後退し、トグルばね62により離反位置側に付勢される。この移動に連動してクラッチカム56が図11時計回りに回動し、クラッチヨーク57がコイルばね61の付勢力によりクラッチオン位置に移動し、クラッチ機構21がクラッチオン状態になる。このため、ハンドル2の回転がスプール12に伝達され、スプール12が糸巻取方向に回転する。
【0066】
ハンドル軸30が糸巻取方向に回転すると、その回転がギア部材63a,63bを介して螺軸46に伝達され螺軸46が回転する。螺軸46が回転すると、釣り糸案内部47がスプール軸方向に往復移動して釣り糸がスプール12に均一に巻き取られる。
【0067】
〔実施形態2〕
実施形態1では、揺動軸34の基端をねじにより保持したが、図12に示すように、揺動軸34の基端をスライドする係止部材85により保持してもよい。また、開姿勢のとき、その揺動位置を強制的に保持するようにしてもよい。
【0068】
図12において、揺動軸34の基端には、係止円板45が揺動軸34に対して偏芯した状態で固定されている。係止円板45の外周面には、開姿勢で第1側カバー6を保持するためのOリング45aが装着されている。また、第2側カバー7の内周面には、Oリング45aが接触する当接部7dが形成されている。係止円板45は、第1側カバー6が閉姿勢にあるとき、最も当接部7dから離反した状態で揺動軸34に装着されている。第1側カバー6が閉姿勢から開姿勢に揺動すると、揺動軸34とともに係止円板45も軸方向左方に移動してさらに図12に2点鎖線で示すように回動し、Oリング45aが当接部7dに接触して開姿勢に保持される。これにより、開姿勢のときの揺動位置が強制的に保持され、第1側カバー6がふらつきにくくなる。なお、係止円板45を揺動軸34に同芯に配置し、外周部の一部を切り欠いてD字状に形成し、その外周の切欠き部分を閉状態の時に当接部7dに対向させてもよい。
【0069】
係止部材85は、第2側カバー7の側面にスライド自在に装着されたスライド部85aと、スライド部85aに固定された係止片85bとを有している。スライド部85aは、たとえば径方向に形成された長孔7cに案内されて径方向移動自在である。また、図示しない保持機構によりスライド部85aは、図12に実線で示す係止解除位置と2点鎖線で示す係止位置との間で保持される。係止片85bは、弾性を有する金属製の板状部材であり、基端は揺動軸34に沿って配置され、先端は揺動軸に向かって折れ曲がりさらに係止円板45に向けて山形に凸に折れ曲がっている。この山形に折れ曲がったの先端は、揺動軸34を跨ぎ得るように2つに分かれており、山形の凸部分85cが係止円板45の図7左側面に当接する。このとき、係止片85bは弾性によりたわんで係止円板45を介して揺動軸34を図7右方に付勢し、揺動軸34を閉姿勢に保持する。
【0070】
なお、係止の形態は、係止片に限定されず、揺動軸34を閉姿勢で保持できる形態であればどのような形態でもよい。
【0071】
〔実施形態3〕
図13及び図14に示すように、第1側カバー6に加えてスプール支持部13も側板8に揺動自在に装着してもよい。なお、実施形態4では、両者を同じ揺動軸34回りに揺動させているが、別の揺動軸で揺動させてもよい。また、第1側カバー6を、実施形態2に示すようにスプール軸20と直交する軸に平行な軸回りに揺動させてもよい。
【0072】
図13及び図14において、スプール支持部13は、揺動フレーム90に回動自在かつ軸方向移動不能に装着されている。揺動フレーム90は、大小2つの円をつなげた略雨滴状の板状部材であり、大円部分にスプール支持部13を装着するための円形の開口90aが形成されている。スプール支持部13のリング部14の外周面には、段差部14bが形成されており、段差部14bに隣接して止め輪92が装着されている。この段差部14bに開口90aがはめ込まれてスプール支持部13が揺動フレーム90に回転自在に装着される。段差部14bに隣接して止め輪92が装着されている。この止め輪92により開口90でのスプール支持部13の軸方向の移動が規制される。小円部分には、揺動軸34が貫通したボス部90bが形成されている。この貫通部分にボス部90bが回転自在に装着され、揺動フレーム90が揺動軸34に揺動自在に支持されている。
【0073】
揺動軸34の先端には、実施形態1と同様に、ねじ穴33aにねじ込まれるねじ部34aが形成されており、ねじ部34aに隣接して大径の工具係止部34bが形成されている。ねじ部34aは、カバー本体33にねじ込まれている。ボス部90bと工具係止部34bとの間には、揺動軸34の外周側にコイルばね35が圧縮状態で装着されている。このコイルばね35は、実施形態1と同様に第1側カバー6を外方に付勢するための部材である。
【0074】
ボス部90bに隣接して揺動軸34の外周側には、側板8を貫通してパイプ部材36が同芯に配置されている。揺動軸34の先端はパイプ部材36に回転自在に支持され、基端側は側板9に回転自在に支持され、さらに、第2側カバー7から外方に突出している。パイプ部材36は、揺動軸34を回転自在支持するとともに軸方向移動不能に支持する。パイプ部材36の先端には大径部36aが形成されており、大径部36a内に揺動速度を規制するためのOリング37が装着されている。
【0075】
大径部36aと側板8との間にはコイルばね94が圧縮状態で装着されている。このコイルばね94は、揺動フレーム90を軸方向外方に付勢するための部材である。パイプ部材36の大径部36aを除く部分の外周面には、平行な面取り部36bが形成されており、側板8には面取り部36bを軸方向移動自在かつ回転不能に支持するための小判孔38aを有する支持部材38がねじ止めされている。パイプ部材36の基端には間隔を隔てて揺動軸34の軸方向の移動を規制する規制円板39が止め輪39aにより固定されている。パイプ部材36の基端と規制円板39との間の隙間分、第1側カバー6が軸方向に移動する。第1側カバー6の移動後に規制円板39と大径部36aとでパイプ部材36を挟持することで、揺動軸34は、パイプ部材36に対して軸方向に移動不能に支持される。またこの規制円板39が側板8に当接することにより、第1側カバー6が開くときの軸方向位置が決定される。これにより、第1側カバー6は、側板8に揺動自在かつ軸方向に所定距離移動可能に装着され側板8に対して脱落することなく開閉自在となっている。
【0076】
揺動軸34の基端部には、ねじ部34cが形成されており、ねじ部34cは着脱ナット40にねじ込まれている。着脱ナット40は、第2側カバー7に回転自在かつ軸方向移動不能に装着されている。
【0077】
この着脱ナット40を反時計回りに回転させて着脱ナット40からねじ部34cを離反させると、揺動軸34は、コイルばね35に付勢されて図14左方に移動する。そして、係止円板45がパイプ部材36に接触すると、パイプ部材36は揺動フレーム90に当接しており左方には移動できないので、揺動軸34はを停止する。するとカバー本体33も左方に移動して第1側カバー6が開く。第1側カバー6が開くと自重により揺動する。このときの揺動速度はOリング37によりゆったりとした速度に規制される。この状態では、第1側カバー6だけが開く。
【0078】
続いて、スプール支持部13を反時計回りに回転させて、スプール支持部13を側板から外す。すると、外れた時点で、コイルばね94により付勢されて規制円板39が側板8に当接するまで左方に移動する。この状態でボス部90bが側板8外方に移動して自重により揺動する。
【0079】
ここでは、1つの揺動軸34で2つの部材を揺動自在に支持しているので、支持部分の構成が簡素になる。また、スプール支持部13が側板8から分離しないので、スプール支持部13を紛失するおそれがない。
【0080】
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、スプール支持部13を第1側カバー6と別に操作できるように構成したが、スプール支持部13を第1側カバー6に装着してもよい。この場合、スプール支持部13を第1側カバー6に固定してもよく、また回転自在に装着してもよい。
【0081】
(b)前記実施形態では、丸形の両軸受リールを例に説明したが、丸形ではない両軸受リールにも本発明を適用できる。
【0082】
(c)前記実施形態では、スプール支持部13に開口16aを形成したが、開口16aを形成しなくてもよい。
【0083】
(d)前記実施形態では、スプール支持部13をねじにより側板8に装着したが、簡単に着脱できる構造であれば、バヨネット構造などの他の係止構造により側板8に装着してもよい。
【0084】
(e)前記実施形態では、着脱操作部としての操作凸部16をスプール支持部13に設けたが、スプール支持部13の係止構造によっては、側板8側に着脱操作部を設けることもできる。たとえば、側板8に進出方向に付勢された爪部材を設け、この爪部材でスプール支持部を開口部分で係止するように構成し、爪部材を側板8側に設けた着脱操作部により退入方向に移動させてスプール支持部を外せるようにしてもよい。
【0085】
(f)前記実施形態では、操作凸部16が装着されたときに上下(垂直)に配置されているが、前後(水平)に配置されていてもよい。この場合には、軸受部15に前後方向の力が作用したときの強度が高くなる。また、上下左右に十字状に配置してもよい。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、一方(ハンドル装着側)の側カバーから露出して設けられたひとつの操作部を操作するだけで、他方の側カバーを開閉操作できる。このため、開閉操作が容易である。しかも、操作部がパーミングによりリールを握るときに掌に接触しにくいハンドル装着側の側カバーに設けられているので、操作部が突出していてもリールを握ったときに掌に操作部が接触しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を採用した両軸受リールの斜視図。
【図2】 その左側面図。
【図3】 その平面断面図。
【図4】 その底面図。
【図5】 リール本体の斜視図。
【図6】 第1側カバーを開けたときの右側面図。
【図7】 両軸受リールの横断面図。
【図8】 両軸受リールの縦断面図。
【図9】 第1側カバーの内側面を見た正面図。
【図10】 図3の断面部分図。
【図11】 第2側カバーを開けたときの側面断面図。
【図12】 実施形態2の図10に相当する図。
【図13】 実施形態3の図6に相当する図。
【図14】 実施形態3の図10に相当する図。
【符号の説明】
2 リール本体
5 フレーム
6 第1側カバー
7 第2側カバー
8,9 側板
12 スプール
34,75 揺動軸
40 着脱ナット
35,94 コイルばね
80b 操作つまみ
85 係止部材
Claims (7)
- 釣り竿に装着され、ハンドルが一側面に配置され内部にスプールが配置された両軸受リールのリール本体であって、
前記スプールが間に配置される1対の側板と、前記側板を連結する連結部材とを有するフレームと、
前記1対の側板の外方をそれぞれ覆いかつ一方に前記ハンドルが装着され他方が前記1対の側板の他方に開閉自在に装着された1対の側カバーと、
前記1対の側板の間で前記釣り竿に装着される釣り竿装着部と、
前記一方の側カバーから露出して設けられたひとつの操作部を有し、前記他方の側カバーを開閉するための開閉機構と、を備え、
前記他方の側カバーは、前記スプールの回転軸と平行な第1軸回りに揺動自在かつ軸方向に移動自在に前記他方の側板に装着され、前記第1軸に沿って配置されかつ前記他方の側板に回動自在かつ軸方向移動自在に配置された揺動軸の先端に固定されており、
前記操作部は、前記揺動軸の基端を保持する、両軸受リールのリール本体。 - 前記両側カバー及び前記両側板の少なくとも一方は、前記回転軸方向から見た外形が円形又は略円形である、請求項1に記載の両軸受リールのリール本体。
- 前記両側カバー及びフレームは金属製である、請求項2に記載の両軸受リールのリール本体。
- 前記他方の側カバーを前記他方の側板から離反する方向に付勢する第1付勢部材をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の両軸受リールのリール本体。
- 前記操作部は、前記一方の側カバーに回転自在かつ着脱不能に装着され、前記揺動軸の他端に螺合するねじ部材である、請求項1から4のいずれかに記載の両軸受リールのリール本体。
- 前記操作部は、前記一方の側カバーに前記揺動軸の径方向に移動自在に装着され前記揺動軸の他端を係止する係止部材である、請求項1から4のいずれかに記載の両軸受リールのリール本体。
- 前記揺動して開いた第1側カバーを開状態で保持する保持手段をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の両軸受リールのリール本体。
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