JP3833917B2 - 電子写真用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真の大きな課題の一つである低温定着性の向上を目指して、結晶性ポリエステルを結着樹脂としたトナーが検討されているが(特公平5−442032号公報、特公昭62−39428号公報等)、併用する樹脂や各種添加剤との可塑化効果により、保存安定性の低下が問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有し、かつ保存性、低温定着性に優れ、画像カブリのない高品質な画像が得られる電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、結晶性ポリエステルを含有したトナーの保存安定性が多量の無機微粒子の外添により改善されることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0005】
すなわち、本発明は、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを含有した結着樹脂及び着色剤を含有し、無機微粒子を外添してなる電子写真用トナーであって、
f(%)=√3/2π×(D・ρτ)/(d・ρs)×C×100
(式中、無機微粒子の平均粒径をd、未処理トナーの個数平均粒径をDとし、ρτ、ρsはそれぞれ未処理トナー、無機微粒子の真比重である。またCは無機微粒子/未処理トナー(重量比)である。)
により算出される前記無機微粒子によるトナーの被覆率(f)が170〜300%である電子写真用トナーに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、無機微粒子がトナー表面に多量に外添されている点に1つの特徴を有する。通常、結晶性ポリエステルを結着樹脂として含有していないトナーでは、外添剤が過剰に添加されていると、遊離した無機微粒子が増加して紙等の被着体への付着力が低下し、低温定着性の悪化だけでなく、キャリア等との摩擦力が低下し、画像カブリが生じる。しかしながら、結晶性ポリエステルを含有した本発明のトナーでは、外添剤が過剰に添加されていても、低温定着性や画像カブリに悪影響を与えることがなく、結晶性ポリエステルによる保存性の低下も抑制される。このような本発明の効果が奏される原因は不明なるも、本発明のトナーはその表面全体または一部に無機微粒子が2層以上に付着しているものの、結晶性ポリエステルと無機微粒子との相互作用が強いため、外添剤の遊離が抑制され、適度な被着体への付着力、キャリアや帯電ブレードとの摩擦性が維持されるためではないかと推測される。
【0007】
本発明において、結着樹脂は、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂からなる。
【0008】
本発明において、結晶性ポリエステルは、炭素数が2〜6、好ましくは4〜6の脂肪族ジオールを80モル%以上含有したアルコール成分と炭素数が2〜8、好ましくは4〜6、より好ましくは4の脂肪族ジカルボン酸化合物を80モル%以上含有したカルボン酸成分を縮重合させて得られた樹脂が好ましい。
【0009】
炭素数2〜6の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等が挙げられ、これらの中では、α,ω−直鎖アルカンジオール好ましく、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。
【0010】
炭素数2〜6の脂肪族ジオールは、アルコール成分中に、80モル%以上、好ましくは85〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されているのが望ましく、特にその中の1種の脂肪族ジオールが、アルコール成分中の70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85〜95モル%を占めているのが望ましい。
【0011】
アルコール成分には、炭素数2〜6の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分が含有されていてもよく、該多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等の2価の芳香族アルコールやグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
【0012】
炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中ではフマル酸が好ましい。なお、脂肪族ジカルボン化合物とは、前記の如く、脂肪族ジカルボン酸、その無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステルを指すが、これらの中では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
【0013】
炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物は、カルボン酸成分中に、80モル%以上、好ましくは85〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されているのが望ましく、特にその中の1種の脂肪族ジカルボン酸化合物が、カルボン酸成分中の60モル%以上、好ましくは80〜100モル%以上、より好ましくは90〜100モル%を占めているのが望ましい。なかでも、結晶性ポリエステルの保存性の観点から、フマル酸が、カルボン酸成分中、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは80〜100モル%、含有されているのが望ましい。
【0014】
カルボン酸成分には、炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物以外の多価カルボン酸成分が含有されていてもよく、該多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0015】
アルコール成分とカルボン酸成分は、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒、重合禁止剤等を用いて、120〜230℃の温度で反応させること等により縮重合させることができる。具体的には、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。
【0016】
なお、本発明において、「結晶性」とは、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が0.9以上1.1未満、好ましくは0.98〜1.05であることをいい、また「非晶質」とは、軟化点と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化点/ピーク温度)が1.1〜4.0、好ましくは1.5〜3.0であることをいう。
【0017】
結晶性ポリエステルの軟化点は、好ましくは85〜150℃、より好ましくは90〜140℃、特に好ましくは100〜135℃である。また、融解熱の最大ピーク温度は、好ましくは77〜166℃、より好ましくは82〜155℃、特に好ましくは91〜150℃である。
【0018】
なお、結晶性ポリエステルが2種以上の樹脂からなる場合は、その少なくとも1種、好ましくはそのいずれもが以上に説明した結晶性ポリエステルであるのが望ましい。
【0019】
非晶質樹脂としては、非晶質ポリエステル、非晶質ポリエステルポリアミド、非晶質スチレンアクリル樹脂、非晶質ハイブリッド樹脂等が挙げられ、これらの中では、定着性や結晶性ポリエステルとの相溶性の観点から、非晶質ポリエステル及び非晶質ハイブリッド樹脂が好ましく、非晶質ポリエステルがより好ましい。
【0020】
非晶質ポリエステルの原料モノマーとしては、結晶性ポリエステルの原料モノマーと同様の多価アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分を例示することができ、これらを縮重合させて得られる。
【0021】
なお、非晶質ポリエステルとしては、
▲1▼ アルコール成分及びカルボン酸成分のいずれにおいても、1種のモノマー量が各成分中10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%を占め、これらのモノマーを2種以上、好ましくは2〜4種用いて得られる樹脂、又は
▲2▼ 炭素数2〜6の脂肪族ジオール以外のモノマー、炭素数2〜8の脂肪族カルボン酸化合物以外のモノマー、好ましくはアルコール成分ではビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を、またはカルボン酸成分では芳香族カルボン酸、アルキル基もしくはアルケニル基で置換されたコハク酸を、アルコール成分中又はカルボン酸成分中、好ましくは両成分のそれぞれにおいて30〜100モル%、好ましくは50〜100モル%用いて得られた樹脂
が好ましい。
【0022】
非晶質ポリエステルも、結晶性ポリエステルと同様にして製造することができる。
【0023】
非晶質ハイブリッド樹脂としては、各々独立した反応経路を有する二つの重合系樹脂の原料モノマーの混合物、好ましくは、縮重合系樹脂、特に好ましくはポリエステルの原料モノマーと、付加重合系樹脂、特に好ましくはビニル系樹脂の原料モノマーとの混合物と、好ましくは、さらに原料モノマーの一つとして該二つの重合系樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得るモノマー(両反応性モノマー)、例えば(メタ)アクリル酸とを混合し、該二つの重合反応を行わせることにより得られる樹脂が好ましい。
【0024】
非晶質樹脂の軟化点は、好ましくは80〜170℃、より好ましくは90〜130℃、特に好ましくは95〜120℃であり、融解熱の最大ピーク温度は、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜75℃、ガラス転移点は、好ましくは45〜80℃、より好ましくは55〜75℃、THF不溶分は、好ましくは0〜50重量%である。なお、ガラス転移点は非晶質樹脂に特有の物性であり、融解熱の最大ピーク温度とは区別される。
【0025】
なお、非晶質樹脂が2種以上の樹脂からなる場合は、その少なくとも1種、好ましくはそのいずれもが以上に説明した物性を有する非晶質樹脂であるのが望ましい。
【0026】
結着樹脂中の結晶性ポリエステルの含有量は、保存性及び低温定着性の観点から、1〜40重量%が好ましく、5〜35重量%がより好ましく、10〜30重量%が特に好ましい。また、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂との重量比(結晶性ポリエステル/非晶質樹脂)は、1/99〜40/60が好ましく、5/95〜35/65が、10/90〜30/70がより好ましい。
【0027】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、金属複合酸化物等の黒色着色剤;フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等のカラー着色剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明において、トナーは黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
【0028】
外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子が挙げられ、これらの中では、埋め込み防止の観点から、比重の小さいシリカが含有されているのが好ましい。
【0029】
シリカは、耐環境安定性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。疎水化の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、シリコーンオイル、メチルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらの中ではヘキサメチルジシラザンが好ましい。疎水化処理剤の処理量は、シリカの表面積当たり1〜7mg/m2 が好ましい。
【0030】
無機微粒子の平均粒径は、流動性と感光体等の保護の観点から、6〜200nmが好ましく、7〜100nmが、特には8〜50nmがより好ましい。
【0031】
無機微粒子によるトナーの被覆率は、130〜300%であり、好ましくは150〜250%、より好ましくは170〜230%である。被覆率が低すぎると保存安定性が低下し、一方、高すぎると定着性が低下し、画像カブリが発生する。
【0032】
本発明において、無機微粒子によるトナーの被覆率(f)は、次の式で算出されたものとする。
f(%)=√3/2π×(D・ρτ)/(d・ρs)×C×100
(式中、無機微粒子の平均粒径をd、未処理トナーの個数平均粒径をDとし、ρτ、ρsはそれぞれ未処理トナー、無機微粒子の真比重である。またCは無機微粒子/未処理トナー(重量比)である。)
【0033】
なお、無機微粒子が平均粒径の異なる2種以上の無機微粒子よりなる場合、トナー全体での被覆率(f)は、それぞれの無機微粒子の被覆率の総和となる。例えば、無機微粒子(1)と無機微粒子(2)が外添されている場合、それぞれの被覆率をf1 、f2 とすると、トナー全体の被覆率(f)は、f1 +f2 となる。
【0034】
無機微粒子の含有量は、トナーの被覆率に基づいて適宜決定されるが、一つの目安としては、未処理トナー100重量部に対して、0.7〜5重量部程度が好ましく、1〜3重量部程度より好ましく、1.1〜2.7重量部程度が特に好ましい。
【0035】
さらに、本発明のトナーには、荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
【0036】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等の正帯電性荷電制御剤及び含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、ベンジル酸のホウ素錯体等の負帯電性荷電制御剤が挙げられる。
【0037】
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、アルコール系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して含有されていてもよい。
【0038】
本発明におけるトナーは、未処理トナーと外添剤とをヘンシェルミキサー等を用いて混合する表面処理工程を経て得られる。未処理トナーは、粉砕トナーが好ましく、例えば、結着樹脂、着色剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、さらにジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級して得られる。トナーの個数平均粒子径は、3〜15μmが好ましい。
【0039】
本発明の電子写真用トナーは、磁性体微粉末を含有するときは単独で現像剤として、また磁性体微粉末を含有しないときは非磁性一成分系現像剤として、もしくはキャリアと混合して二成分系現像剤として使用され得る。
【0040】
【実施例】
〔軟化点〕
高化式フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
【0041】
〔融解熱の最大ピーク温度及びガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定し、融解熱の最大ピーク温度を求める。また、ガラス転移点は、前記測定で最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分から、ピークの頂点まで、最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
【0042】
〔トナーの個数平均粒子径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテルHLB 13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子を20秒間で測定し終える濃度条件で、粒子の粒径を20秒間測定し、その個数平均粒子径を求める。
【0043】
結晶性ポリエステルの製造例
表1に示す原料モノマー及びハイドロキノン2gを窒素雰囲気下、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させた。得られた樹脂を樹脂aとする。
【0044】
【表1】
【0045】
非晶質樹脂の製造例
▲1▼ 表2に示す原料モノマー及び酸化ジブチル錫4gを窒素雰囲気下、220℃で8時間かけて反応させた後、さらに8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させた。得られた樹脂を樹脂Aとする。
【0046】
▲2▼ 表2に示す原料モノマー及び酸化ジブチル錫4gを窒素雰囲気下、180℃から210℃まで昇温しながら8時間かけて反応させた後、さらに8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させた。得られた樹脂を樹脂Bとする。
【0047】
【表2】
【0048】
実施例1〜5及び比較例1〜4
表3に示す結着樹脂、着色剤、荷電制御剤及び離型剤を、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、同方向回転二軸押出機(混練部分の全長:1560mm、スクリュー径:42mm、バレル内径:43mm)を用い、ロール回転速度を200回転/分、ロール内の加熱温度を100℃、混合物の供給速度を10kg/時に調整して溶融混練した。混合物の平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を、冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにより粉砕し分級して、個数平均粒子径が7.5μmの未処理トナーを得た。
【0049】
得られた未処理トナー100重量部に、表3に示す外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
【0050】
試験例1
トナー4gを20cc容のポリビン((株)サンプラテック社製)に入れ、ふたを開けて温度45℃湿度60%の環境下で72時間放置し、トナーの凝集の程度を目視により判断し、以下の評価基準により、保存性を評価した。結果を表3に示す。
【0051】
〔評価基準〕
◎:凝集が全く認められない。
○:凝集が殆ど認められない。
△:凝集が認められる。
×:全体が凝集している。
【0052】
試験例2
トナー4重量部とシリコンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径:90μm )96重量部とを10分間ターブラーミキサーにて混合して現像剤を得た。次いで、複写機「AR−505」(シャープ(株)製)を改造した装置に現像剤を実装し、定着ロールの温度を90℃から240℃へと順次上昇させながら画像出しを行った。定着紙には、「CopyBond SF−70NA」(シャープ社製、75g/m2 )を用いた。
【0053】
各定着温度で得られた画像を、500gの荷重をかけた底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで5往復擦り、擦る前後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(マクベス社製)を用いて測定した。両者の比率(擦り後/擦り前)が最初に70%を超える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準により、低温定着性を評価した。結果を表3に示す。
【0054】
〔評価基準〕
◎:最低定着温度が130℃未満
○:最低定着温度が130℃以上、150℃未満
×:最低定着温度が150℃以上
【0055】
試験例3
試験例2と同じ装置に現像剤を実装し、黒ベタ画像を印刷後、続けて白紙印刷を行い、180℃にて定着し、紙面中央の1点、上から5cm、左右から5cmの2点、下から5cm、左右から5cmの2点の計5点について、「MINOLTA DP−300」(ミノルタ社製)を用いてLab測定を行い、ΔEを測定した。得られたΔEの値から、以下の評価基準をもとに、画像カブリの発生の程度を評価した。結果を表3に示す。
【0056】
〔評価基準〕
◎:ΔEが0.3未満
○:ΔEが0.3以上、0.6未満
△:ΔEが0.6以上、1.0未満
×:ΔEが1.0以上
【0057】
【表3】
【0058】
以上の結果より、実施例1〜5のトナーは、保存性を損なうことをなく優れた低温定着性を発揮し、画像カブリのない優れた画像が得られることが分かる。これに対し、シリカの被覆率が低すぎる比較例1、2では可塑化された結晶性ポリエステルが表面に出やすく、保存性が悪化し、シリカの被覆率が高すぎる比較例3では摩擦帯電力の低下により画像カブリが生じている。また、結晶性ポリエステルを含有していない比較例4では、実施例と同程度のシリカ被覆率にかかわらず、低温定着性に欠け、画像カブリが生じている。
【0059】
【発明の効果】
本発明により、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有し、かつ保存性、低温定着性に優れ、画像カブリのない高品質な画像が得られる電子写真用トナーを提供することができる。
Claims (4)
- 結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを含有した結着樹脂及び着色剤を含有し、無機微粒子を外添してなる電子写真用トナーであって、
f(%)=√3/2π×(D・ρτ)/(d・ρs)×C×100
(式中、無機微粒子の平均粒径をd、未処理トナーの個数平均粒径をDとし、ρτ、ρsはそれぞれ未処理トナー、無機微粒子の真比重である。またCは無機微粒子/未処理トナー(重量比)である。)
により算出される前記無機微粒子によるトナーの被覆率(f)が170〜300%である電子写真用トナー。 - 無機微粒子がシリカである請求項1記載の電子写真用トナー。
- 結晶性ポリエステルと非晶質樹脂の重量比(結晶性ポリエステル/非晶質樹脂)が1/99〜40/60である請求項1又は2記載の電子写真用トナー。
- 非晶質樹脂がポリエステルである請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナー。
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