JP5983661B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
当該トナーが、少なくともドメイン・マトリクス構造を有するトナー母体粒子及び外添剤微粒子を含有し、
当該マトリクスが少なくとも酸基を有するモノマーとアクリル酸エステルモノマーの重合反応物であるポリマーを含有し、当該ドメインがスチレン−アクリル重合セグメントと結晶性ポリエステル重合セグメントとが結合してなるポリマーを含有し、
当該外添剤微粒子が、シリカ・ポリマー複合体微粒子を含有し、
X線光電子分光分析装置を用いて、当該シリカ・ポリマー複合体微粒子の最表面及び最表面から深さ方向3nm以内に存在する炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在量を測定したときのケイ素原子存在比率が、少なくとも下記条件Aを満たすことを特徴とする画像形成方法。
条件A:
15.0atm%≦ケイ素原子存在比率({Si/(C+O+Si)}×100)≦30.0atm%
当該トナーが、少なくともトナー母体粒子及び外添剤微粒子を含有し、
当該外添剤微粒子が、シリカ・ポリマー複合体微粒子を含有し、
X線光電子分光分析装置を用いて、当該シリカ・ポリマー複合体微粒子の最表面及び最表面から深さ方向3nm以内に存在する炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在量を測定したときのケイ素原子存在比率が、少なくとも前記条件Aを満たすことを特徴とする。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体の表面を帯電ローラーによって帯電し、露光することにより形成した静電潜像を、トナーにより顕像化する画像形成方法であって、当該トナーが、少なくともトナー母体粒子及び外添剤微粒子を含有し、当該外添剤微粒子が、シリカ・ポリマー複合体微粒子を含有し、X線光電子分光分析装置を用いて、当該シリカ・ポリマー複合体微粒子の最表面及び最表面から深さ方向3nm以内に存在する炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在量を測定したときのケイ素原子存在比率が、少なくとも下記条件Aを満たすことを特徴とする。
15.0atm%≦ケイ素原子存在比率({Si/(C+O+Si)}×100)≦30.0atm%
以下、本発明の構成要素について詳細な説明をする。
本発明に係るシリカ・ポリマー複合体微粒子は、シリカ微粒子とポリマーによって構成され、トナー母体粒子の表面に外添剤として含有されており、トナー母体粒子の表面に付着している。シリカ・ポリマー複合体微粒子を構成するシリカ微粒子の表面は、第1の疎水化剤で修飾されており、第1の疎水化剤が有するビニル基、アクリルオキシ基などの重合性の官能基が重合してポリマーを形成し、シリカ・ポリマー複合体微粒子を形成している。
15.0atm%≦ケイ素原子存在比率({Si/(C+O+Si)}×100)≦30.0atm%
ケイ素原子存在比率は、以下のようにして求めた値である。
シリカ・ポリマー複合体微粒子のケイ素原子存在比率は、X線光電子分光分析装置「K−Alpha」(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、下記条件によってケイ素原子、炭素原子及び酸素原子の定量分析を行い、各々の原子ピーク面積から相対感度因子を用いて、シリカ・ポリマー複合体微粒子の最表面及び最表面から深さ方向3nm以内のシリカ・ポリマー複合体微粒子の表面元素濃度を算出する。
X線 :AlモノクロマチックX線源
加速 :12kV、6mA
分解能 :50eV
ビーム径 :400μm
パスエネルギー:50eV
ステップサイズ:0.1eV
ケイ素原子存在比率が、15.0atm%未満では、ケイ素原子量が少なすぎて、研磨効果が十分に発揮されない。また、30.0atm%を超えると研磨効果が大きくなりすぎて感光体や、帯電ローラーにダメージを与えてしまう。
本発明のシリカ・ポリマー複合体微粒子に好ましく用いられるシリカ微粒子は、公知の方法によって製造される。シリカ微粒子の製造方法としては、乾式法(「気相法」ともいう。)としては、燃焼法及びアーク法が挙げられ、湿式法としては、沈殿法、ゲル法、ゾルゲル法等が挙げられる。
R3 xSi(OR4)4−x
(ここで、R3は、C1〜C30の、分岐又は直鎖アルキル基、アルケニル基、C3〜C10のシクロアルキル基、又はC6〜C10のアリール基を表す。R4は、C1〜C10の分岐又は直鎖アルキル基を表す。xは1〜3の整数を表す。)
金属酸化物がシリカを含まないとき、第2の疎水化剤は、二又は三官能シラン、若しくはシロキサン、又はシリコーンオイルであることが好ましい。
[(CH2)a(CHX)b(CYZ)c]
(ここでX、Y、及びZは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基からなる群より各々独立して選ばれ、a、b及びcは0〜6の整数を表し、(a+b+c)は、2〜6の整数を表す。)
本発明に好ましい環状シラザンは、下記一般式(5)で表される5員又は6員環である。
[(CH2)a(CHX)b(CYZ)c]
(ここでX、Y、及びZは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基からなる群より各々独立して選ばれ、a、b及びcは0〜6の整数を表す。(a+b+c)は、3又は4の整数を表す。)
第2の疎水化剤として好適なシリコーンオイルは、非官能化シリコーンオイル及び官能化シリコーンオイルの両方を含む。シリカ微粒子を表面処理するのに用いられる条件及び使用される特定のシリコーンオイルに依存して、シリコーンオイルは、非共有結合的に結合された被覆として存在することができ、又はシリカ微粒子の表面に共有結合的に結合することができる。
R3 xSiR4 yX4−x−y
(ここで、R3及びR4は上記一般式(2)で規定したとおりであり、Xはハロゲン原子、好ましくは塩素原子を表す。yは、1、2又は3の整数を表す。x+yは3を表す。) 第2の疎水化剤と第3の疎水化剤は、シリカ・ポリマー複合体微粒子の形成後に用いられシリカ・ポリマー複合体微粒子のポリマー成分との間の相互作用に依存して、これらの疎水化剤はシリカ・ポリマー複合体微粒子から露出しているシリカ微粒子表面をさらに表面処理することができる。
シリカ・ポリマー複合体微粒子は、公知方法によって容易に製造することができる。一つの典型的な方法において、水性分散体が第1の疎水化剤とシリカの質量比で疎水化剤/シリカ=0.8〜20.0の範囲内が好ましく、更に好ましくは、1.2〜16.0の範囲内で調製される。pHは8.0〜8.5とされ、分散体はエマルションを形成するために撹拌され(通常1〜3時間)、温度は50〜60℃に維持される。撹拌に続いて、開始剤が、モノマーに対し1〜4質量%の量でエタノール若しくは他の水と混和し得る溶媒の溶液として導入される。好適な開始剤は、油溶性アゾ若しくはパーオキシド熱開始剤を含むが、本発明においては、それに限定されない。例えば、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーアセテート、及びシクロヘキサノンパーオキシドを用いることができる。これらの開始剤は、和光純薬工業(株)から入手可能である。開始剤はシリカの導入前にモノマーに溶解される。得られる溶液は、撹拌しながら4〜6時間、65〜95℃で温置される。得られるスラリーは、100〜130℃で、一夜乾燥され、残る固体は粉砕され粉末を形成する。第2の疎水化剤は、シリカ・ポリマー複合体微粒子の形成後に添加されるとき、乾燥段階前に添加されてもよい。例えば、第2の疎水化剤が添加され、スラリーは60〜75℃での温度でさらに2〜4時間撹拌される。
シリカ・ポリマー複合体微粒子の個数平均一次粒子径は、原料となるシリカ微粒子の水性分散液中に添加された第1の疎水化剤を含む液滴の粒径を制御することによって制御することができる。例えば、シリカ微粒子の水性分散液と第1の疎水化剤とを混合撹拌するときの撹拌強度によって制御することができる。また、第1の疎水化剤の質量をMMON、シリカの質量をMsilicaとしたとき、質量比MMON/Msilicaを変化させることによって、あるいは、コロイダルシリカの粒子径を変化させることによって、制御することができる。
シリカ・ポリマー複合体微粒子の個数平均一次粒子径は、具体的には下記の方法によって測定されるものである。
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、少なくともトナー母体粒子及び外添剤微粒子を含有し、当該外添剤微粒子が、シリカ・ポリマー複合体微粒子を含有し、X線光電子分光分析装置を用いて、当該シリカ・ポリマー複合体微粒子の最表面及び最表面から深さ方向3nm以内に存在する炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在量を測定したときのケイ素原子存在比率が、少なくとも下記条件Aを満たすことを特徴としている。
15.0atm%≦ケイ素原子存在比率({Si/(C+O+Si)}×100)≦30.0atm%
本発明においては、「トナー母体粒子」に、外添剤を添加したものを「トナー粒子」という。「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。
トナー母体粒子は、結着樹脂を含有し、必要に応じて、着色剤、離型剤、荷電制御剤等を含有する。トナー母体粒子は、一般的には、そのままでもトナー粒子として用いることもできるが、本発明においては、トナー母体粒子に本発明に係るシリカ・ポリマー複合体微粒子を外添剤として添加したものをトナー粒子として用いる。
本発明のトナーを構成するトナー母体粒子が粉砕法、溶解懸濁法などによって製造される場合には、トナー母体粒子を構成する結着樹脂として、例えば、スチレン系ポリマーやアクリル系ポリマー、スチレン−アクリル系コポリマー、ポリエステル、シリコーンポリマー、オレフィン系ポリマー、アミド系ポリマー及びエポキシポリマーなどが挙げられる。
本発明のトナー母体粒子を構成する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。着色剤としてはカーボンブラック、磁性粉の他、各種有機、無機の顔料、染料等が使用できる。着色剤の添加量はトナー母体粒子に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲とされる。
本発明に係るトナー母体粒子には、離型剤を添加することができる。離型剤としては、ワックスが好ましく用いられる。ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明に係るトナー母体粒子中には、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。
トナーを構成するトナー母体粒子を製造する方法としては、特に限定されるものではなく、粉砕法、懸濁重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル分子伸長法その他の公知の方法などを挙げることができる。当該トナーを構成するトナー母体粒子は、中でも乳化重合凝集法によって得ることが好ましく、特に、ミニエマルション重合粒子を乳化重合によって多段重合構成としたポリマー粒子を、会合(凝集/融着)するミニエマルション重合凝集法によって得ることが好ましい。
(1)結着樹脂となる重合性モノマーに、必要に応じて離型剤、荷電制御剤などのトナー母体粒子構成材料を溶解又は分散させて重合性モノマー溶液を得る溶解・分散工程
(2)重合性モノマー溶液を水系媒体中で油滴化し、ミニエマルション重合法によりポリマー微粒子の水系分散液を調製する重合工程
(3)着色剤を水系媒体中で分散し、着色剤微粒子の水系分散液を調製する工程
(4)ポリマー微粒子の水系分散液と着色剤微粒子の水系分散液とを混合し、水系媒体中で塩析、凝集、融着させて凝集粒子を形成する凝集・融着工程
(5)凝集粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整しトナー母体粒子の水系分散液を得る熟成工程
(6)トナー母体粒子の水系分散液を冷却する冷却工程
(7)冷却されたトナー母体粒子の水系分散液から当該トナー母体粒子を固液分離し、当該トナー母体粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
(8)洗浄処理されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程
から構成される。
ドメイン・マトリクス構造を有するトナー母体粒子について、以下、詳細に説明する。
マトリクスを構成するポリマーは、酸基を有するビニル系ポリマーを含有することが好ましく、酸基を有するビニル系ポリマーを含有する非晶性ポリマーであることが好ましい。酸基を有するビニル系ポリマーは、少なくとも酸基を有するモノマーを重合して得られたポリマーを含有する。
ここで、酸基とは、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などのイオン性解離基を表し、酸基を有するモノマーとしては、カルボキシ基を有するものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。また、スルホン酸基を有するものとしては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。さらに、リン酸基を有するものとしてはアシドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、本発明に係る酸基を有するビニル系ポリマーは、上記酸基を有するモノマーの他、アクリル酸エステルモノマーを重合して得られたポリマーを含有することが好ましい。
酸基を有するビニル系ポリマーは、酸基を有するモノマー、上記アクリル酸エステル系モノマー以外の他のビニル系モノマーを用いてもよく、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ジエチルアミノエチル、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸又はメタアクリル酸誘導体等のビニル系モノマーが挙げられる。
酸基を有するビニル系ポリマーの重合方法としては、通常の重合方法が採用できるが、本発明においては、乳化重合法が好ましい。
酸基を有するビニル系ポリマーの重合工程において使用される重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤が好適に用いられる。具体的には、例えば過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化−tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ヒドロペルオキシド、過ギ酸−tert−ブチル、過酢酸−tert−ブチル、過安息香酸−tert−ブチル、過フェニル酢酸−tert−ブチル、過メトキシ酢酸−tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸−tert−ブチルなどの過酸化物類;2,2′−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、2,2′−アゾビス−(2−アミノジプロパン)硝酸塩、1,1′−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸及びポリ(テトラエチレングリコール−2,2′−アゾビスイソブチレート)などのアゾ化合物などが挙げられる。
酸基を有するビニル系ポリマーの重合工程においては、ビニル系ポリマーの分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン及びメルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。連鎖移動剤は、上記の混合工程においてポリマー形成材料とともに混合させておくことが好ましい。
酸基を有するビニル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、7500〜100000が好ましく、更に好ましくは、10000〜50000の範囲内である。重量平均分子量(Mw)がこの範囲内であると十分な耐熱保管性が得られる。またこの範囲内であると十分な耐高温オフセット性が得られる。
酸基を有するビニル系ポリマーの重量平均分子量の測定は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ)を用いて行う。
装置:HLC−8220(東ソー製)
カラム:TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連(東ソー製)
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.2mL/min
検出器:屈折率検出器(RI検出器)
試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
酸基を有するビニル系ポリマーのガラス転移点(Tg)としては、35〜70℃の範囲内であることが好ましい。ガラス転移点が、この範囲内であると十分な耐熱保管性の効果が得られる。
本発明に係る酸基を有するビニル系ポリマーのガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」((株)パーキンエルマー製)を用いて行うことができる。
ドメインを構成するポリマーは、スチレン−アクリル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合して形成されたポリマーを含有することが好ましい。スチレン−アクリル重合セグメントとポリエステル重合セグメントが結合したポリマー(以下、「スチレン−アクリル変性ポリエステル」ともいう。)は、スチレン−アクリル重合セグメントとポリエステル重合セグメントが両反応性モノマーを介して結合されたポリマーであることが好ましく、上記ポリエステル重合セグメントは結晶性ポリエステルであっても非晶性ポリエステルであってもよいが、結晶性ポリエステルであることが好ましい。また、ドメイン中にスチレン−アクリル変性ポリエステル以外にワックス等が添加されていてもよい。
スチレン−アクリル変性ポリエステルを構成するスチレン−アクリル重合セグメントは、アクリル系モノマーと芳香族系ビニルモノマーを共重合して得られたポリマーを含有し、アクリル系モノマーとしてアクリル酸エステルモノマーを重合して得られたセグメントを含有することが好ましい。
スチレン−アクリル変性ポリエステルを構成するビニル系重合セグメントの重合に用いられる重合開始剤としては、前述の酸基を有するビニル系ポリマーの重合に用いられる重合開始剤が使用できる。
また、スチレン−アクリル変性ポリエステルを構成するビニル系重合セグメントの重合においては、ビニル系重合セグメントの分子量を調整することを目的として、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、前述の酸基を有するビニル系重合セグメントの重合に用いられる連鎖移動剤が使用できる。
スチレン−アクリル変性ポリエステルを構成するビニル系重合セグメントの重量平均分子量は、1000〜20000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲内であると良好なドメイン・マトリクス構造を形成しやすくなるので好ましい。
本発明に係るスチレン−アクリル変性ポリエステルを構成するポリエステル重合セグメントは、多価カルボン酸化合物と多価アルコール化合物とを触媒の存在下で、重縮合反応を行うことにより製造された結晶性ポリエステルであることが好ましい。
ポリエステル重合セグメントを形成する多価カルボン酸化合物とは、1分子中にカルボキシ基を2個以上有する化合物である。多価カルボン酸化合物としては、多価カルボン酸化合物のアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物を用いることができる。
多価アルコール化合物とは、1分子中にヒドロキシ基を2個以上有する化合物である。多価アルコール化合物としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミンなどの3価以上のポリオールなどを挙げることができる。本発明においては、結晶性ポリエステルを形成する多価アルコールとしては、脂肪族多価アルコールが好ましい。
本発明において、両反応性モノマーとは、ポリエステル重合セグメントとビニル系重合セグメントとを結合するモノマーで、分子内に、ポリエステル重合セグメントを形成するヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選択される基とビニル系重合セグメントを形成するエチレン性不飽和基の両方を有するモノマーであって、好ましくは、ヒドロキシ基又はカルボキシ基とエチレン性不飽和基の両方を有するモノマーが好ましい。更に好ましくは、カルボキシ基とエチレン性不飽和基の両方を有するモノマーであることが好ましい。すなわち、ビニル系カルボン酸であることが好ましい。
スチレン−アクリル変性ポリエステルを製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の三つが挙げられる。
(1)ポリエステル重合セグメントをあらかじめ重合しておき、当該ポリエステル重合セグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、スチレン−アクリル重合セグメントを形成するための芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを反応させることにより、スチレン−アクリル変性ポリエステルを形成する方法。
(2)スチレン−アクリル重合セグメントをあらかじめ重合しておき、当該スチレン−アクリル重合セグメントに両反応性モノマーを反応させ、さらに、ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸化合物及び多価アルコール化合物を反応させることにより、ポリエステル重合セグメントを形成する方法。
(3)ポリエステル重合セグメント及びスチレン−アクリル重合セグメントをそれぞれあらかじめ重合しておき、これらに両反応性モノマーを反応させることにより、両者を結合させる方法。
ポリエステル重合セグメントを合成するための触媒としては、従来公知の種々の触媒を使用することができる。
ドメイン・マトリクス構造を有するトナー母体粒子の製造方法は、「酸基を有するビニル系ポリマーの水系分散液」と「スチレン−アクリル変性ポリエステル微粒子の水系分散液」と「着色剤微粒子の水系分散液」とを凝集、融着することによって作製することができる。
酸基を有するビニル系ポリマーの水系分散液は、前述したように乳化重合法又はミニエマルション重合法により調製することが好ましい。
水系媒体中には、分散させた微粒子の凝集を防ぐために、分散安定剤が添加されていることが好ましい。
スチレン−アクリル変性ポリエステルを微粒子分散液とする方法としては、機械的方法により粉砕し、界面活性剤を用いて水系媒体中で分散する方法、有機溶媒に溶解したスチレン−アクリル変性ポリエステル溶液を水系媒体中に投入、分散し、水系媒体分散液とする方法、スチレン−アクリル変性ポリエステルを溶融状態で水系媒体中と混合し、機械的分散方法により水系媒体分散液とする方法及び転相乳化法等が挙げられるが、本発明においてはいずれの方法を用いてもよい。
着色剤微粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
ドメイン・マトリクス構造のトナー母体粒子は、上記マトリクスを構成するポリマーとして、前述の酸基を有するビニル系ポリマー微粒子の水系分散液と、ドメインを構成する前述のスチレン−アクリル変性ポリエステル微粒子の水系分散液と着色剤微粒子の水系分散液とを混合して、これらを凝集・融着することによって製造することができる。
本発明の画像形成方法に用いられるトナー粒子を構成するトナー母体粒子の粒径は、個数平均粒径で3〜8μmであることが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー母体粒子を形成させる場合には、上述したトナーの製造方法において、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、又は融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。個数平均粒径が3〜8μmであることにより、細線の再現性や、写真画像の高画質化が達成できるとともに、大粒径トナーを用いた場合に比較してトナーの消費量を削減することができる。
トナー母体粒子の体積基準メディアン径(D50)は、例えば、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。測定手順としては、トナー母体粒子0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー母体粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー母体粒子分散液を作製する。このトナー母体粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmのものを使用する。測定範囲1〜30μmの範囲を256分割しての頻度数を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メディアン径(D50)とする。
本発明で用いられるトナー母体粒子の平均円形度は0.850〜0.990の範囲内が好ましい。ここで、トナー母体粒子の平均円形度はフロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定した値である。具体的には、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式(2)で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
<シリカ・ポリマー複合体微粒子の添加量>
本発明に係るシリカ・ポリマー複合体微粒子は、トナー母体粒子100質量部に対して、0.3〜5.0質量部の範囲内で含有されることが好ましい。この範囲内であると、トナーの帯電特性やトナーの流動性の観点から好ましく、また、帯電ローラーの耐摩耗性向上の効果を発揮することができる。
本発明の画像形成方法に用いられるトナーに含有される外添剤微粒子としては、以上説明したような特定の外添剤微粒子のみに限定されず、その他の外添剤微粒子を併用してもよい。その他の外添剤微粒子を併用する場合は、全外添剤微粒子としてトナー母体粒子100質量部に対して0.1〜10質量部添加されることが好ましい。そのうち、前述のように、特定の外添剤微粒子が0.3〜5.0質量部添加されることがより好ましい。
以上のようなシリカ・ポリマー複合体微粒子を含む外添剤微粒子を、トナー母体粒子に添加混合することにより、トナーが得られる。外添剤微粒子の添加処理において、使用される混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置を使用することができる。
本発明の画像形成方法において用いられるトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、公知の種々のキャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
図2は、本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。この画像形成装置は、感光層を有し、図示しない駆動源からの動力により時計方向に回転される静電潜像担持体である感光体ドラム10と、下記に詳述する、当該感光体ドラム10の表面に一様な電位を与える帯電ローラー11と、例えばポリゴンミラーなどによって感光体ドラム10の回転軸と平行に走査を行い、一様に帯電された感光体ドラム10の表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより潜像を形成させる露光手段12と、回転する現像スリーブ131を備え、この上に保持されたトナーを感光体ドラム10の表面に搬送する現像手段13とを有する構成とされている。なお、図2において、18は、転写後に感光体ドラム10上に残留したトナーを除去するクリーニング手段である。
帯電ローラー11は、図3に示されるように、芯金11aの表面上に積層された、帯電音を低減させるとともに弾性の付与して感光体ドラム10に対する均一な密着性を得るための弾性層11bの表面上に、必要に応じて帯電ローラー11が全体として高い均一性の電気抵抗を得るための抵抗制御層11cが積層され、この上に、感光体ドラム10上にピンホールなどの欠陥があってもリークが発生するのを防止することなどのための表面層11dが積層された構成とされており、押圧バネ11eによって感光ドラム10の方向に付勢されて感光ドラム10の表面に対して所定の押圧力で圧接されて帯電ニップ部が形成された状態とされ、感光ドラム10の回転に従動して回転される。
本発明の画像形成方法において用いられる画像支持体Pは、トナー像を保持する支持体であって、具体的には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
<シリカ・ポリマー複合体微粒子1の合成方法>
オーバーヘッド撹拌モーター、コンデンサー及び熱電対を備えた250mL四つ口丸底フラスコに、Ludox AS−40 コロイダルシリカ分散体(W.R.Grace & Co.)(個数平均一次粒子径25nm、BET SA 126m2/g,pH9.1、シリカ濃度40質量%)18.7g、脱イオン水125mL,及び第1の疎水化剤として、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン15.0g(CAS #2530−85−0、Mw=248.3)を添加した。質量比MMON/Msilicaは2.0であった。
シリカ・ポリマー複合体粒子1の合成方法において、表1に記載のように、コロイダルシリカの粒子径、及び質量比MMON/Msilicaを変化させることにより、個数平均一次粒子径の異なる「シリカ・ポリマー複合体微粒子2〜9」を得た。
また、表1に記載のように、第1の疎水化剤を(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(CAS #4369−14−6、Mw=234.3)、第2の疎水化剤として、イソブチルトリメトキシシランを用いた他は、シリカ・ポリマー複合体微粒子1と同様にして、シリカ・ポリマー複合体微粒子10を合成した。また、第1の疎水化剤として、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(CAS #21142−29−0、Mw=290.4)を用い、第2の疎水化剤として、オクチルトリエトキシシランを用いた他は、シリカ・ポリマー複合体微粒子1と同様にして、シリカ・ポリマー複合体微粒子11を合成した。
<1.トナー母体粒子(1)の製造例(スチレン−アクリル単独構造トナー母体粒子の製造例)>
(1)ポリマー微粒子分散液(1)の製造例
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温80℃とし、スチレン480質量部、n−ブチルアクリレート250質量部、メタクリル酸68.0質量部及びn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート16.0質量部よりなる重合性モノマー溶液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、ポリマー微粒子(1h)を含有するポリマー微粒子分散液(1H)を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、上記のポリマー微粒子分散液(1H)260質量部とスチレン245質量部、n−ブチルアクリレート120質量部、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート1.5質量部、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−11」(日本精蝋社製)67質量部を90℃にて溶解させた重合性モノマー溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CREARMIX」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
上記のポリマー微粒子分散液(1HM)に過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン435質量部、n−ブチルアクリレート130質量部、メタクリル酸33質量部及びn−オクチル−3−メルカプトプロピオネート8質量部からなる重合性モノマー溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却しポリマー微粒子aを含有するポリマー微粒子分散液(1)を得た。このポリマー微粒子分散液(1)におけるポリマー微粒子aの粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、体積基準のメディアン径で150nmであった。また、このポリマー微粒子aのガラス転移点温度を測定したところ、45℃であった。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解させた溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子分散液(1)を調製した。この着色剤微粒子分散液(1)における着色剤微粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、「ポリマー微粒子分散液(1)」を固形分換算で300質量部と、イオン交換水1400質量部と、「着色剤微粒子分散液(1)」を120質量部と、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解させた溶液を仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
(1)ポリマー微粒子分散液(2)の調製工程
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、あらかじめアニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
・スチレン 540質量部
・n−ブチルアクリレート 154質量部
・メタクリル酸 77質量部
・n−オクチルメルカプタン 17質量部
からなるモノマー溶液〔1〕を3時間かけて滴下した。滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第1段重合)を行うことにより、「ポリマー微粒子〔a1〕」の分散液を調製した。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
・スチレン 94質量部
・n−ブチルアクリレート 27質量部
・メタクリル酸 6質量部
・n−オクチルメルカプタン 1.7質量部
からなる溶液に、オフセット防止剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させてモノマー溶液〔2〕を調製した。
上記の「ポリマー微粒子〔a11〕」の分散液に、重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
・スチレン 230質量部
・n−ブチルアクリレート 78質量部
・メタクリル酸 16質量部
・n−オクチルメルカプタン 4.2質量部
からなるモノマー溶液〔3〕を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にポリマー微粒子(2)が分散された「ポリマー微粒子分散液(2)」を作製した。
(2−1)スチレン−アクリル変性ポリエステル(1)の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応容器に、
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 500質量部
・テレフタル酸 117質量部
・フマル酸 82質量部
・エステル化触媒(オクチル酸スズ) 2質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
・アクリル酸 10質量部
・スチレン 30質量部
・n−ブチルアクリレート 7質量部
・重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 10質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、アクリル酸、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、スチレン−アクリル変性ポリエステルポリマー(1)を得た。
得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル(1)100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)を用いてV−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメディアン径(D50)が250nmであるスチレン−アクリル変性ポリエステル(1)が分散された「スチレン−アクリル変性ポリエステル微粒子分散液(1)」を作製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、「ポリマー微粒子分散液(2)」を固形分換算で288質量部と「スチレン−アクリル変性ポリエステル微粒子分散液(1)」を固形分換算で72質量部をイオン交換水2000質量部を投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
(1)酸基を有するビニル系ポリマー微粒子分散液(1)の調製
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させたものを添加し、液温75℃とし、
・スチレン 584質量部
・アクリル酸n−ブチル 160質量部
・メタクリル酸 56質量部
からなるモノマー混合液を1時間かけて滴下後、75℃にて2時間加熱、撹拌しながら重合を行うことにより、ポリマー微粒子〔b1〕の分散液を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、80℃に加熱後、上記のポリマー微粒子〔b1〕42質量部(固形分換算)、マイクロクリスタリンワックス「HNP−0190」(日本精蝋社製)70質量部を、
・スチレン 239質量部
・アクリル酸n−ブチル 111質量部
・メタクリル酸 26質量部
・n−オクチルメルカプタン 3質量部
からなるモノマー溶液に80℃にて溶解させた溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
上記のポリマー微粒子〔b2〕の分散液に、さらに、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、80℃の温度条件下に、
・スチレン 380質量部
・アクリル酸n−ブチル 132質量部
・メタクリル酸 39質量部
・n−オクチルメルカプタン 6質量部
からなるモノマー混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合した後、28℃まで冷却することにより、酸基を有するビニル系ポリマー微粒子分散液(1)を得た。
ポリエステル重合セグメントの材料の多価カルボン酸化合物としてのセバシン酸(分子量202.25)259質量部と、多価アルコール化合物としての1,12−ドデカンジオール(分子量202.33)259質量部を窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応容器に入れ160℃に加熱し、溶解させた。あらかじめ混合したビニル系重合セグメントの材料となる、スチレン46質量部、アクリル酸n−ブチル12質量部、ジクミルパーオキサイド4質量部及び両反応性モノマーとしてアクリル酸3質量部の溶液を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。
スチレン−アクリル変性ポリエステル2、30質量部を溶融させて溶融状態のまま、乳化分散機「キャビトロンCD1010」((株)ユーロテック製)に対して毎分100質量部の移送速度で移送した。また、この溶融状態のスチレン−アクリル変性ポリエステル2の移送と同時に、当該乳化分散機に対して、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水70質量部をイオン交換水で希釈した濃度0.37質量%の希アンモニア水を、熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で移送した。そして、この乳化分散機を、回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cm2の条件で運転することにより、体積基準のメディアン径が200nm、固形分量が30質量部のスチレン−アクリル変性ポリエステル微粒子分散液(2)を調製した。
(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、「酸基を有するビニル系ポリマー微粒子分散液(1)」300質量部(固形分換算)と、「スチレン−アクリル変性ポリエステル微粒子分散液(2)」60質量部(固形分換算)と、イオン交換水1100質量部と、前述の「着色剤微粒子分散液(1)40質量部」(固形分換算)とを仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
上記トナー母体粒子(3)の分散液をバスケット型遠心分離機「MARK III 型式番号60×40+M」((株)松本機械製作所製)で固液分離し、トナー母体粒子(3)のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」((株)セイシン企業製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥することにより、「トナー母体粒子(3)」を作製した。
トナー母体粒子(1)に、シリカ・ポリマー複合体微粒子1を0.8質量部、その他にフュームドシリカ(HMDS処理、疎水化度69%、個数平均一次粒子径30nm)0.65質量部及び疎水性チタニア(オクチルシラン処理、疎水化度60%、個数平均一次粒子径30nm)0.25質量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、「トナー(Bk−1)」を作製した。
「トナー(Bk−1)」の作製において、トナー母体粒子とシリカ・ポリマー複合体微粒子の種類と添加量を表2のようにした他は同様にして、「トナー(Bk−2)」〜「トナー(Bk−19)」を作製した。
トナー(Bk−1)〜(Bk−16)の各々に対して、シリコーンポリマーを被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6%となるよう混合することにより、現像剤〔Bk−1〕〜〔Bk−19〕を調製した。
以上のようにして得られた現像剤〔Bk−1〕〜〔Bk−19〕と各々対応するトナー(Bk−1)〜(Bk−19)を組み合わせて、デジタル複写機「bizhub PRO
C450」(コニカミノルタ社製)の帯電装置を図3に示す帯電ローラー方式のものに変更したものを用いて、下記の実写テストを行い、帯電ムラの評価を行った。
常温常湿環境(温度20℃、湿度55%RH)下において、画像支持体としてA4サイズの普通紙を用いて、1枚目(初期)に絶対反射濃度0.50のハーフトーン画像(これを「初期画像」という。)を印字し、次いで、画素率5%の画像を1枚間欠モードで5万枚印字し、その後、反射濃度0.50のハーフトーン画像(これを「5万枚後画像」という。)を1枚印字し、この初期画像及び5万枚後画像において、それぞれ20か所の反射濃度を測定し、その最大値と最小値の差を測定した。この最大値と最小値の差が0.05を超えた場合に、実用上問題が生じるため不良と判断される。濃度測定は、反射濃度計「RD−919」(マクベス社製)を用いて行った。
2 シリカ微粒子
3 ポリマー
10 感光体ドラム(静電潜像担持体)
11 帯電ローラー
11a 芯金
11b 弾性層
11c 抵抗制御層
11d 表面層
11e 押圧バネ
S1 電源
12 露光手段
13 現像手段
131 現像スリーブ
P 画像支持体
14 転写手段
16 分離手段
17 定着手段
18 クリーニング手段
Claims (2)
- 静電潜像担持体の表面を帯電ローラーによって帯電し、露光することにより形成した静電潜像を、トナーにより顕像化する画像形成方法であって、
当該トナーが、少なくともドメイン・マトリクス構造を有するトナー母体粒子及び外添剤微粒子を含有し、
当該マトリクスが少なくとも酸基を有するモノマーとアクリル酸エステルモノマーの重合反応物であるポリマーを含有し、当該ドメインがスチレン−アクリル重合セグメントと結晶性ポリエステル重合セグメントとが結合してなるポリマーを含有し、
当該外添剤微粒子が、シリカ・ポリマー複合体微粒子を含有し、
X線光電子分光分析装置を用いて、当該シリカ・ポリマー複合体微粒子の最表面及び最表面から深さ方向3nm以内に存在する炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在量を測定したときのケイ素原子存在比率が、少なくとも下記条件Aを満たすことを特徴とする画像形成方法。
条件A:
15.0atm%≦ケイ素原子存在比率({Si/(C+O+Si)}×100)≦30.0atm% - 前記シリカ・ポリマー複合体微粒子の個数平均一次粒子径が、50〜500nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
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