JP3832793B2 - 情報記録媒体用基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録媒体用基板に関する。さらに詳しくは、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を原料とし、射出成形法によって製造されてなる情報記録媒体用基板であって、グルーブやピットといったサブミクロンオーダーの情報信号を正確に転写し、平面性、剛性などに優れ、そりが少なくしかも振動時の面振れが少ない、光ディスクや近接場記録媒体などの情報記録媒体用基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンパクトディスク、レーザーディスク、光磁気ディスク、デジタルビデオディスク等の光ディスク、さらには情報面からの信号の読み取りや、書き込みを特徴とする近接場記録情報媒体用基板などの製造用には、芳香族ポリカーボネート樹脂を原料とし、射出成形法によって製造されている。このような情報記録媒体は、スタンパーと呼ばれる射出成形金型に、ピットやグルーブといったサブミクロンオーダーの深さや間隔の情報信号が刻印されたスタンパーを露出させた金型キャビティを使用し、溶融させた熱可塑性樹脂を射出し、情報信号を成形品(基板)表面に転写させる方法によって製造されている。
【0003】
基板製造用には、従来芳香族ポリカーボネート樹脂が使用されてきたのは、この樹脂は透明性、強度、耐熱性、寸法安定性、耐衝撃性などにおいて優れており、しかも成形性にも優れているため、射出成形法で基板を製造すると、スタンパーに刻設した微細な凹凸模様(情報信号)が正確に基板(成形品)表面に転写されて(転写性が良好で)、基板のそりや平面性に優れた高品質の情報記録媒体用基板が得られるからである。
【0004】
しかし、近年基板の信号密度を上げる目的で、基板自体の厚さを薄くしたり、情報信号のピットやグルーブの深さを深くしたり、ピットやグルーブ相互の間隔(ピッチ)をさらに小さくしてその情報記録密度を高める傾向にあり、射出成形による信号の正確な転写が困難になってきている。また近接場記録媒体のように、基板の平面性の要求もさらに厳しくなり、基板のそりが少なく、基板に振動を与えた時の面振れの少なさに対する要求も厳しくなっている。
【0005】
基板自体の厚さを薄くすると、射出成形法で製造する際に原料樹脂の流動性が低い場合は情報信号の転写性が劣ったり、厚みが薄くなるに従って剛性が低下し、基板のそりや面振れが大きくなる傾向にある。基板のそりが大きいと、レーザー光線の反射角が大きくなり、ディテクターで検知できなかったり、デジタルビデオディスクのように2枚の基板の貼り合わせが困難になる。また近接場記録媒体は高速で回転させながら信号面からの読み取りや書き込みを行うため、高速回転時の基板の面振れが小さいことが必要である。
【0006】
しかし、芳香族ポリカーボネート樹脂単独の基板(成形品)は、金属製やガラス製などの基板に比べると剛性が低いため、これを改良する目的で原料樹脂にガラス繊維や無機フイラーなどの添加物を配合する手法が試みられている。添加物を配合する手法で剛性を向上させれば、基板のそりや高速回転時の面振れは少なくなることが知られている。しかし、原料樹脂に上記のような添加物を基板の剛性が十分に改良される量まで配合すると、基板の透明性が著しく損なわれるため、透明性が必要とされる光ディスク基板に関しては不向きであった。これは芳香族ポリカーボネート樹脂と添加物の屈折率が異なることに起因する。
【0007】
また上記のような添加物を配合すると添加物の影響で原料樹脂の流動性が低下し、高密度のグルーブやピットといった情報信号の転写性が劣るという欠点もあった。透明性を向上させる目的で、原料樹脂の芳香族ポリカーボネート樹脂のポリカプロラクトンを配合する方法(特開平6−228424号公報参照)が提案されているが、剛性を向上させる目的で配合した無機フイラーなどの添加物の配合量が増えると十分な効果が発揮することができない。
【0008】
上記無機フイラーなどの添加物は、芳香族ポリカーボネート樹脂樹脂の剛性を向上させるが、射出成形時の流動性を低下させる傾向にあるので転写性も低下する。しかも成形品表面に浮き出ることが多く、基板の外観不良の原因にもなる。ガラス繊維のように異方性が高い添加物は、射出成形時に流動方向に配向するので特に光ディスク基板の様な薄物成形品の場合、そりが発生しやすいという欠点もある。ガラス繊維のような添加物を含有する基板の表面性を改良するためには、(a)フタル酸系可塑剤を配合する方法、(b)芳香族ポリカーボネート樹脂の低分子量体を配合する方法、などが提案され各方法とも効果あることが知られているが、いずれも同時に剛性が低下するのでそりや高速回転時の面振れが大きくなるという欠点がある。
【0009】
基板表面に微細な凹凸模様(情報信号)を正確に転写させる(転写性を向上させる)には、(1)基板製造時の金型温度を高く設定する方法、(2)芳香族ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度を下げる方法、などがある。しかしながら、上記(1)の方法は基板のそりが大きくなるという欠点があり、上記(2)の方法は同時に剛性が低下するためそりが増大する欠点がある。つまり、転写性が良好であり、同時に剛性が高く、そりや面振れが小さい情報記録媒体用基板は未だ実現はされていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、かかる状況にあって、剛性、転写性などに優れ、そりや面振れが少ない光ディスクや近接場記録の情報記録媒体用基板を提供すべく鋭意検討の結果、芳香族ポリカーボネート樹脂にある種の添加物を併用配合した樹脂組成物を原料とし、射出成形法によって製造した情報記録媒体用基板は、剛性にすぐれ、同時に情報信号の転写性にも優れ、そりや面振れが小さいことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の目的は、次のとおりである。
1.平面性、剛性、そりが少なく、振動時の面振れの少ない光ディスクや近接場記録媒体などの情報記録媒体用基板を提供すること。
2.スタンパーに刻設された高密度のグルーブやピットといった情報信号が、正確に転写された情報記録媒体用基板を提供すること。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明では、粘度平均分子量が10,000〜40,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ビフェニル化合物、オルトターフェニル、メタターフェニルまたはこれらの混合物を0.01〜40重量部と、数平均分子量が2,000〜100,000のポリカプロラクトンを0〜20重量部とが配合された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を原料とし、射出成形法によって製造されてなることを特徴とする情報記録媒体用基板を提供する。
【0012】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る情報記録媒体用基板は、芳香族ポリカーボネート樹脂を原料として製造されたものである。芳香族ポリカーボネート樹脂は、種々のジヒドキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体または共重合体である。代表的なものとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0013】
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフォキシドのようなジヒドロキシジアリールスルフォキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルフォン類等があげられる。これらは単独でまたは2種類以上混合して使用されるが、これらの他にビペラジン、ジピペリジル、ハイドロキノン、レゾルシン、4、4’ージヒドロキシジフェニル等を混合することもできる。
【0014】
原料の芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、10,000〜40,000のものである。粘度平均分子量が10,000未満では、剛性が低く実用性のある基板が得られないので好ましくなく、40,000を超えると流動性に劣り、薄く基板表面に微細な凹凸を正確に転写した基板が得られないので、好ましくない。粘度平均分子量は、好ましくは12,000〜35,000であり、中でも特に好ましいのは15,000〜30,000である。なお、本発明でいう粘度平均分子量(M)とは、オストワルド粘度計を用い塩化メチレンを溶媒とする溶液の極限粘度(η)を求め、次のSchnellの粘度式、すなわち、(η)=1.23×10-5M0.83、から算出される値を意味する。
【0015】
上記芳香族ポリカーボネート樹脂には、ビフェニル化合物および/またはターェニル化合物が配合される。原料樹脂の芳香族ポリカーボネート樹脂のビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物を配合すると、驚くべきことに、原料樹脂の優れた透明性を維持したまま剛性が向上し、原料樹脂のガラス転移温度を低下させて基板製造時の流動性を向上させる効果もあり、スタンパーに刻設された高密度のグルーブやピットといった情報信号を、基板表面に正確に転写することができる。
【0016】
ビフェニル化合物は2つのベンゼン環が結合した化合物であり、塩素原子などの置換基を有していてもよく、好ましくは下記の構造式[I]で表される化合物である。ターフェニル化合物は3つのベンゼン環が結合した化合物であり、塩素原子などの置換基を有していてもよく、好ましくは下記の構造式[II]で表されるオルトターフェニル、下記の構造式[III]で表されるメタターフェニルなどが挙げられる。なお、構造式[I]ないし構造式[III] において、Rは水素原子または塩素原子を表わし、好ましくは水素原子を表わす。
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0021】
ターフェニル化合物には、上記のとおり3種の異性体が存在するが、オルトターフェニルおよびメタターフェニルが好ましく、中でも特にメタターフェニルが優れた効果を発揮する。メタ型のものが特異的な効果を発揮する理由は不明であるが、メタ型のターフェニル化合物と原料の芳香族ポリカーボネート樹脂との分子配置による相互作用、および可塑化効果が増加するためと推定される。
【0022】
原料の芳香族ポリカーボネート樹脂とビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物との相互作用については、原料樹脂にビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物を配合した樹脂組成物は室温での剛性は高いが、100℃以上の温度では原料樹脂と添加物との相互作用が緩和され可塑剤効果を発揮するためか、樹脂組成物のガラス転移温度を低下し、成形性が向上することが観察されている。例えば、粘度平均分子量が2万の芳香族ポリカーボネート樹脂自体の曲げ弾性率は24,000kgf/cm 2 であるが、これにビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物を5重量部配合した樹脂組成物とすると、曲げ弾性率は28,000kgf/cm 2 と高くなる。
【0023】
また、原料の芳香族ポリカーボネート樹脂自体の転移温度は140〜150℃であるが、この原料樹脂にビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物を配合した樹脂組成物は、ビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物の配合量に応じてガラス転移温度が低下する。例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂にターフェニル化合物5重量部配合すると、ガラス転移温度が約10℃低下する。樹脂組成物のガラス転移温度の低下することは、金型温度を高くした場合と同等の効果があり、金型キャビティ表面の情報信号の基板表面への転写性が顕著に向上する。
【0024】
上記ビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物を原料樹脂に配合する際には、それぞれ単独でまたはこれらの混合物として配合することができる。原料樹脂に対するビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01〜40重量部の範囲で選ぶものとする。配合量が0.01重量部未満では、剛性の向上効果とガラス転移温度の低下効果が顕著でなく、配合量が40重量部を超えるとそのこれらの効果は飽和し、いずれも好ましくない。上記範囲で特に好ましいのは、0.05〜30重量部であり、特に好ましいのは0.1〜20重量部である。
【0025】
上記原料樹脂組成物にポリカプロラクトンを配合すると、さらに驚くべきことに、原料樹脂組成物のガラス転移温度を低下させ、成形性や転写性を一層向上させることができる。
【0026】
ポリカプロラクトンの数平均分子量は2,000〜100,000である。数平均分子量が2,000未満であると、基板のそりや面振れ改良効果が低く、100,000を超えるとビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物を配合したことによるガラス転移温度低下効果を阻害し易い。上記の数平均分子量は、より好ましくは8,000〜50,000である。ここでポリカプロラクトンの数平均分子量は、GPCによりポリスチレン換算の数平均分子量を求める方法で測定した値を意味する。
【0027】
上記原料樹脂組成物へのポリカプロラクトンの配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0〜20重量部の範囲で選ぶものとする。配合量が20重量部を超えると、剛性が低下し基板のそりや面振れを改良することが困難である。ポリカプロラクトン配合量は、好ましくは0.1〜15重量部、中でも特に好ましいのは0.2〜10重量部である。
【0028】
原料樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて難燃剤、難燃助剤、着色剤、可塑剤、滑剤、拡散剤、熱安定剤、離型剤、紫外線吸収剤、耐候助剤などの各種樹脂添加剤を配合することができる。原料樹脂組成物を調製するには、芳香族ポリカーボネート樹脂、ビフェニル化合物および/またはターフェニル化合物、さらに要すれば各種樹脂添加剤を所定量秤量し、例えばV型ブレンダーなどの混合機によって混合し、得られた混合物を押出機などの混練機によって溶融・混練してペレット化する方法によればよい。
【0029】
本発明に係る情報記録媒体用基板は、上記原料樹脂組成物を原料として射出成形法によって製造することができる。基板製造の際の射出成形機のシリンダー温度や金型温度は、情報信号の密度やそりや面振れの要求度に合わせて、適宜選ぶことができる。基板製造用の射出成形金型は、金型キャビティの一方または双方の面に、ピットやグルーブといったサブミクロンオーダーの深さや間隔の情報信号が刻印されたスタンパーを露出させて配置し、射出成形機のシリンダー温度を250〜400℃の範囲、金型温度を50〜140℃の範囲に設定し、金型キャビティに溶融樹脂を射出し、情報信号が転写された基板(成形品)を製造することができる。この際射出圧縮成形技術を採用すると、転写性のより一層の向上が期待できる。
【0030】
基板は透明であっても不透明であってもよく、光ディスク基板のようにレーザーが基板内部を通る場合は透明である必要があり、近接場記録のようにレーザーが信号面から直接読み取りまたは記録を行う場合は不透明であってもよい。即ち、透明な基板においては信号面または信号面とは反対の面側から、情報の読み取りまたは書き込みなどを行い、不透明な基板においては信号面から情報の読み取りまたは書き込みなどを行う。基板の厚さは情報信号の密度が高まるにつれてさらに薄くなるが、本発明に係る情報記録媒体用基板は、厚さが0.3〜1.5mmの単独基板で、またはこの単独基板を2枚貼り合わせて、最終製品である情報記録媒体を製造することができる。
【0031】
本発明に係る情報記録媒体用基板は、コンパクトディスク、レーザーディスク、光磁気ディスク、デジタルデオディスクなどの光ディスク、情報信号面側からの情報信号の読み取りや書き込みを特徴とする近接場記録媒体などの情報記録媒体用基板として使用することができる。光ディスクの場合は、透明性な基板を単独でまたは2枚貼り合わせて製造することができ、情報記録媒体が近接場記録媒体の場合は、不透明な基板を2枚貼り合わせて製造するかまたは単板で使用する。本発明に係る情報記録媒体用基板は、波長が300nm〜800nmの範囲レーザー、特に好ましくは385〜780nmの範囲のレーザーを使用して、不透明基板の情報信号面側から情報信号の読み取りまたは書き込みを行うことができる。
【0032】
【実施例】
以下本発明について実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
以下に記載の例において使用した芳香族ポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量1.6万の光ディスク用ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、NOVAREX7020AD2)であり、添加物のビフェニル、メタターフェニル、オルトターフェニルはいずれも東京化成社製であり、ポリカプロラクトンは平均分子量1万(ダイセル化学社製、プラクセルH−1)であり、ガラス繊維はチョップドストランド(旭ファイバーガラス
社製、チョップドストランドECR)である。
【0034】
[実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例3]
芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、添加物を表−1に記載した割合(重量部)でそれぞれ秤量して配合し、タンブラーによって原料樹脂と混合し、得られた混合物を40mmφベント式押出機を使用して、シリンダー温度270℃の条件で溶融・混練してペレット化した。得られたペレットを原料とし、光ディスク用製造用金型を装備した射出成形機(住友重機社製、型式:DISK3)によって、シリンダー温度380℃、金型温度118℃の条件下で透明光ディスク基板を成形した。
【0035】
得られた光ディスク基板につき、下記の項目について評価試験を行った。
(1)曲げ弾性率(kgf/cm 2 ):ASTM D−790に準拠して測定した。
(2)ガラス転移温度(℃):DSC(セイコー社製、型式:SSC−5000)によって、ペレットを窒素気流下に室温から10℃/minで昇温し、変曲点をガラス転移温度とした。
【0036】
(3)情報信号の転写性の評価法(グルーブ深さnm):グルーブ深さ200nm、ピッチ0.74μmのスタンパーを用いて厚さ0.6mm、直径120mmの光ディスク基板を成形し、この光ディスク基板の半径方向57mmの円周に沿った4箇所で、グルーブ深さを測定した。数値の大きい方が、情報信号の転写性に優れていることを意味する。測定条件は、下記の通りとした。
原子間力顕微鏡(オリンパス社製、型式:NV2100)を用い、カンチレバー:コニカル、荷重値:30nN、走査ライン数:128、走査速度:5sec/lineとした。
【0037】
(4)基板のそりおよび面振れの測定法:ディスク反り角自動測定装置(アドモンサイエンス社)を使用し、光ディスク基板を60rpmで回転させながら、光ディスク基板の半径方向25mm、37mm、49mm、57mmの位置であって円周に沿った4箇所に、半導体レーザーからの波長780nmのレーザー光線を照射して測定した。上記の測定値の最大値を、半径方向のそり角度(degree)、接線方向のそり角度(degree)、および面振れ(μm)量とした。これらの数値は小さい方が、優れていることを意味する。
【0038】
【表1】
【0039】
表−1より、次のことが明らかである。
(1)本発明の実施例の情報記録媒体基板は(実施例1〜実施例5)、芳香族ポリカーボネート樹脂単独よりなるもの(比較例1)のものより剛性に優れているにも拘らずガラス転移温度が低く、情報信号の転写性に優れている。
(2)また、本発明の実施例の情報記録媒体基板は(実施例1〜実施例5)、半径方向のそり角度、接線方向のそり角度および面振れも小さい。
【0040】
(3)原料樹脂にメタターフェニルのみを配合したもの(実施例1)と、メタターフェニルとポリカプロラクトンの両者を配合したもの(実施例2)と比較すると、後者のほうがガラス転移温度の低下の度合いが大きく、情報信号の転写性、基板のそりおよび面振れにも優れている。
(4)これに対してガラス繊維を配合した比較例2の基板は、剛性は優れているがガラス転移温度が高く、情報信号の転写性が著しく劣る。
(5)また原料樹脂にポリカプロラクトンのみを配合した比較例3の基板は、ガラス転移温度は低下しているが、基板のそりおよび面振れなどが劣る。
【0041】
本発明は、以上詳細に説明したとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る情報記録媒体用基板は、剛性、基板のそりおよび面振れになどが優れており、高速回転させて振動が生じても面振れの少ない光ディスクや近接場記録媒体などの製造用に好適である。
2.本発明に係る情報記録媒体用基板は、スタンパーに刻設された高密度のグルーブやピットといった情報信号が正確に転写されるので、情報記録密度の高い光ディスクや近接場記録媒体が得られる。
Claims (3)
- 粘度平均分子量が10,000〜40,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ビフェニル化合物、オルトターフェニル、メタターフェニルまたはこれらの混合物を0.01〜40重量部と、数平均分子量が2,000〜100,000のポリカプロラクトンを0〜20重量部とが配合された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を原料とし、射出成形法によって製造されてなることを特徴とする情報記録媒体用基板。
- 厚さが0.3mm〜1.5mmの単独基板、またはこの単独基板を2枚張合わせて形成されてなる基板であって、波長が300nm〜800nmの範囲のレーザー光線を使用して、情報の読み取りまたは書き込みが可能な、請求項1または請求項2に記載の情報記録媒体用基板。
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