JP2000319498A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

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JP2000319498A
JP2000319498A JP11134949A JP13494999A JP2000319498A JP 2000319498 A JP2000319498 A JP 2000319498A JP 11134949 A JP11134949 A JP 11134949A JP 13494999 A JP13494999 A JP 13494999A JP 2000319498 A JP2000319498 A JP 2000319498A
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aromatic polycarbonate
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terphenyl compound
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Masaya Ueda
昌哉 上田
Hiroyoshi Maruyama
博義 丸山
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写生に優れ、そり、ひけが少なく、常温で
の制振性にも優れた光ディスク基板製造用に適した芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 粘土平均分子量が1万〜4.5万の芳香
族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ターフ
ェニル化合物を0.01〜40重量部と、ガラス移転温
度が−50℃〜50℃の間にある熱可塑性エラストマー
を0.5〜50重量部とを配合してなることを特徴とす
る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を要旨とする。 【効果】 上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、光ディス
クの基板の成形時のサイクル短縮が可能で、信号密度が
高いにも拘らず成形時の信号の転写性に優れ、そりやひ
けが少なく、高速回転時の制振性に優れ光ディスク基板
製品が得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、芳香族ポリカーボネート樹脂
は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、強度などに優れ、製品
は寸法安定性に優れていることから、光ディス基板を射
出成形法で製造する際の原料樹脂として広く利用されて
きた。光ディスク用ポリカーボネート樹脂は、分子量の
比較的低いものが使用されるので、光ディスク製造時の
流動性や転写性に優れており、CD(コンパクトディス
ク)、CD−R(追記型コンパクトディスク)、MD
(ミニディスク)、MO(光磁気ディスク)、またはD
VDといった光ディスク基板製造用に広く用いられてい
る。
【0003】しかし、近年基板の信号密度を上げる目的
で、基板自体の厚さを薄くしたり、情報信号のピットや
グルーブ(案内溝)の深さを深くしたり、ピットやグル
ーブ相互の間隔(ピッチ)をさらに小さくしたりするの
で、従来の光ディスク用ポリカーボネート樹脂では、ス
タンパーの信号を忠実に転写することが困難になってき
ている。さらには最近では、近接場記録またはファース
トサーフェスと呼ばれる新しい記録方式の光ディスクが
開発されている。この方式は基板を通さずに直接信号面
から記録、再生が行なわれる。
【0004】この新しい記録方式では、光ディスク基板
の透明性は必要ではないが、浮上ヘッドを使用するた
め、浮上ヘッドと基板の接触を避けるために基板のそり
および高速回転時の面ぶれを極端に小さくしなければな
らない。しかも信号密度も高いため、従来の光ディスク
用ポリカーボネート樹脂を原料とする場合には、特に基
板の外周部分の転写性を向上させるために、射出成形金
型の温度をさらに高くしなければならず、金型温度を高
くすると得られる光ディスク基板のそりが大きくなって
しまう欠点がある。
【0005】射出成形法で光ディスク基板を成形する際
の他の欠点として、光ディスク基板外周端部のひけの問
題がある。浮上ヘッドは基板との距離を一定にしながら
高速で移動するので、光ディスク基板の外周端部のひけ
を極力小さくしなければならない。スタンパーの信号の
転写性を向上させるために金型温度を高くすると、室温
との温度差が広がって成形収縮に起因するひけが大きく
なる傾向にある。さらには、原料のポリカーボネート樹
脂のみでは振動を吸収する制振性がないため、高速回転
時の面ぶれが大きくなるという問題が発生する。
【0006】高密度光ディスク基板の転写性を向上させ
るためには、原料のポリカーボネート樹脂に流動改質剤
を添加するなど種々の手法が提案されているが、高転写
性、低そり、低ひけの全てを満足する結果は得られてい
ない。また、光ディスク基板に制振性を付与する手法の
一つに、例えば光ディスク基板の剛性を高める手法があ
る。光ディスク基板の剛性を高める代表的な手法として
は、原料のポリカーボネート樹脂にガラス繊維や無機フ
イラーなどの充填剤を添加する方法があるが、添加した
充填剤が光ディスク基板の表面に浮き出ることがあり、
浮き出た充填剤が信号の正確な転写が阻害することがあ
るので、充填剤の添加による剛性向上は望ましくない。
【0007】高密度光ディスク基板の制振性を向上させ
る他の手法として、原料のポリカーボネート樹脂に熱可
塑性エラストマーを添加する方法は良く知られている
(特許第2835596号参照)。しかしながら、原料
のポリカーボネート樹脂に熱可塑性エラストマーを添加
することによって光ディスク基板の制振性は改良される
が、転写性、そり、ひけなどが同時に改良されることは
ないのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記課題を解決するた
め、本発明者らは鋭意検討の結果、原料の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂にターフェニル化合物、特定の熱可塑性
エラストマーを配合すると、原料樹脂の優れた透明性を
維持したまま剛性を向上させ、さらには驚くべきこと
に、基体樹脂のガラス転移温度を低下させるので金型温
度を低くすることができ、従って成形サイクルを短縮す
ることができ、スタンパー表面の信号の形状を正確に製
品の光ディスク基板表面に転写できて転写性を著しく向
上させ、光ディスク基板の制振性も同時に改良できるこ
とを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0009】本発明の目的は、次のとおりである。 1.転写性、そり、ひけが少ない光ディスク基板が得ら
れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供するこ
と。 2.制振性の優れた光ディスク基板が得られる芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物を提供すること。 3.光ディスク基板製造時のサイクル短縮が可能な芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、粘度平均分子量が1万〜4万の芳香族
ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、ターフェ
ニル化合物を0.01〜40重量と、ガラス転位温度が
−50〜50℃の間にある熱可塑性エラストマーを0.
5〜50重量部とを配合してなることを特徴とする芳香
族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【0011】
【発明の実施の態様】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る樹脂組成物の基体となる樹脂は、芳香族ポ
リカーボネート樹脂である。芳香族ポリカーボネート樹
脂は、ジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反
応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化
合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを
反応させるエステル交換法によって得られる重合体また
は共重合体である。代表的なものとして、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール
A)から製造させるポリカーボネート樹脂が挙げられ
る。
【0012】上記ジヒドロキシジアリール化合物として
は、ビスフェノールAの他、ビス(4−ヒドロキシジフ
ェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメ
タン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−
第3ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロ
ロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリー
ル)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリー
ル)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジ
メチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリ
ールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシフェニルスル
フィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチル
ジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリール
スルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチ
ルジフェニルスルフォキシドのようなジヒドロキシジア
リールスルフォキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルフォン、4、4’−ジヒドロキシ−3,3’
−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジ
アリールスルフォン類等が挙げられる。これらは単独で
または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に
ビペラジン、ジピペリジル、ハイドロキノン、レゾルシ
ン、4、4’−ジヒドロキシジフェニル等を混合するこ
ともできる。
【0013】基体の芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度
平均分子量は、1万〜4万の範囲とする。粘度平均分子
量が1万未満では、剛性が低く実用性のある成形品が得
られないので好ましくなく、4万を超えると流動性に劣
り、スタンパー表面の信号を基板表面に正確に転写でき
ない。粘度平均分子量は、好ましくは1.2万〜3.5
万であり、中でも特に好ましいのは1.3万〜3万であ
る。なお、本発明で粘度平均分子量(M)とは、塩化メ
チレンを溶媒とし、オストワルド粘度計を使用して極限
粘度[η]を求め、次のSchnellの粘度式、すなわち、
[η]=1.23×10-50.85、から算出される値を
意味する。
【0014】上記の芳香族ポリカーボネート樹脂には、
ターフェニル化合物が配合される。実験によれば、基体
樹脂にターフェニル化合物を配合すると、驚くべきこと
に、優れた透明性を維持したまま剛性が向上し、基体樹
脂のガラス転移温度を低下させて光ディスク基板製造時
の流動性を向上させ、転写性を著しく向上させスタンパ
ー表面の信号の形状を正確に転写できるという効果を奏
することが分かった。また、剛性が向上するため得られ
る光ディスク基板のそりが小さくなり、ガラス転移温度
を低下させるので射出成形金型の温度を下げることが可
能となり、成形サイクルを短縮することができ、光ディ
スク基板の外周端部に発生するひけも小さくなるという
効果を奏することが分かった。
【0015】ターフェニル化合物は3つのベンゼン環が
結合した構造の化合物であり、塩素原子などの置換基を
有していてもよい。実験によれば、多数のターフェニル
化合物の中では、下記の構造式[I]で表されるオルトタ
ーフェニル化合物、および下記の構造式[II]で表される
メタターフェニル化合物が、本発明の目的を効果的に達
成することができて好ましいことが分かった。なお、構
造式[I]および構造式[II]において、Rは水素原子また
は塩素原子であり、好ましくは水素原子である。
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】ターフェニル化合物の中で特に好ましいの
は、メタターフェニル化合物である。メタ型のものが得
意な効果を発揮する理由は不明であるが、メタ型のター
フェニル化合物と基体樹脂の芳香族ポリカーボネート樹
脂との分子配置による相互作用、および可塑化効果が増
加するためと推定される。
【0019】基体樹脂の芳香族ポリカーボネート樹脂
と、ターフェニル化合物との相互作用については、基体
樹脂にターフェニル化合物を配合した本発明に係る樹脂
組成物は室温での剛性は高いが、100℃以上の温度で
は基体樹脂と添加物との相互作用が緩和され添加物が可
塑剤効果を発揮するためか、基体樹脂のガラス転移温度
が低下し、成形性が向上することが観察されている。例
えば、粘度平均分子量1.6万の芳香族ポリカーボネー
ト樹脂自体の曲げ弾性率は22,000kgf/cm 2程度で
あるが、これにメタターフェニル化合物を1重量部配合
した樹脂組成物とすると、その曲げ弾性率は25,50
0kgf/cm 2程度に高くなる。
【0020】また、芳香族ポリカーボネート樹脂自体の
ガラス転移温度は140〜150℃であるが、基体樹脂
にターフェニル化合物を配合した樹脂組成物は、ターフ
ェニル化合物の配合量に応じてガラス転移温度が低下す
る。例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂にメタターフ
ェニル化合物を1重量部配合すると、ガラス転移温度が
約7℃低下する。樹脂組成物のガラス転移温度が低下す
ることは、射出成形金型の温度を高くした場合と同等の
効果があり、スタンパー表面信号の光ディスク基板表面
への転写性が顕著に向上する。
【0021】上記ターフェニル化合物を基体樹脂に配合
する際には、単独でも2種以上の混合物としてもよい。
ターフェニル化合物の配合量は、基体の芳香族ポリカー
ボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜40重量
部の範囲で選ぶものとする。配合量が0.01重量部未
満では、剛性の向上とガラス転移温度の低下効果が顕著
でなく、配合量が40重量部を超えるとその効果は飽和
しかつ透明性も低下するので、いずれも好ましくない。
上記範囲で好ましいのは、0.05〜30重量部であ
り、特に好ましいのは0.01〜20重量部である。
【0022】上記ターフェニル化合物が塩素化されたも
のである場合には、ターフェニル化合物中の塩素含有量
が20重量%を超えるものがよく、中でも好ましいのは
40〜70重量%の範囲のものである。
【0023】前記の芳香族ポリカーボネート樹脂には、
ターフェニル化合物の他に、さらにガラス転位温度(T
g)が−50〜50℃の間にある熱可塑性エラストマー
を配合する。熱可塑性エラストマーを配合することによ
り、光ディスク基板の室温付近での制振性を改良するこ
とができる。熱可塑性エラストマーとしては、ブタジエ
ンゴム、イソプレンゴムなどの共役ジエンゴム、スチレ
ン−共役ジエンブロック共重合体およびこれらの水素化
物、エチレン−αオレフィン共重合ゴム、ナイロン系エ
ラストマー、シリコン樹脂系エラストマー、フッ素樹脂
系エラストマー、コアシェルタイプのエラストマーなど
が挙げられる。
【0024】上記の熱可塑性エラストマーの中でも好ま
しいのは、共役ジエンゴム、スチレン−共役ジエンブロ
ック共重合体およびこれらの水素化物であり、特に好ま
しいのは、1,2−ビニル構造および/または3,4−
ビニル構造を有する構造単位を50重量%以上含むスチ
レン−イソプレン共役ジエンブロック共重合体またはこ
れらの水素添加物である。これら特定の熱可塑性エラス
トマーを配合すると、得られる光ディスク基板は室温付
近で優れた制振性を発揮し、また不飽和結合に水素添加
したものは、高温成形で優れた熱安定性を発揮する。
【0025】上記熱可塑性エラストマーの配合量は、基
体の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に、0.
5〜50重量部の範囲で選ぶものとする。熱可塑性エラ
ストマーの配合量が0.5重量部より少ないと、制振性
の向上が期待できず、50重量部を越えると剛性の低下
が著しくなるので実用的ではない。上記範囲で特に好ま
しいのは、3〜30重量部である。
【0026】本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に
応じて難燃剤、難燃助剤、着色剤、可塑剤、滑剤、熱安
定剤、帯電防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、耐候助剤な
どの各種樹脂添加剤を配合することができる。本発明に
係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を調製するに
は、基体の芳香族ポリカーボネート樹脂に、ターフェニ
ル化合物、上記共役ジエン化合物、さらに要すれば上記
の各種樹脂添加剤を所定量秤量し、例えばV型ブレンダ
ーなどの混合機によって混合し、得られた混合物を押出
機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラス
トグラムなどの混練機によって溶融・混練して粒状化す
る方法によればよい。
【0027】本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物は、射出成形法によって光ディスク基板を製造す
る際の原料として好ましく使用される。光ディスク基板
製造の際の射出成形機のシリンダー温度や金型温度は、
光ディスク基板の情報密度、そり、ひけ、面振れなどの
要求度に応じて適宜選ぶことができる。例えば、金型キ
ャビティの一方または双方の面に、ビットやグルーブと
いったサブミクロンオーダーの深さや間隔の情報信号が
刻印されたスタンパーを露出させて配置し、射出成形機
のシリンダー温度を250〜400℃の範囲、金型温度
を50〜150の範囲に設定し、金型キャビティに溶融
させた上記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出
し、情報信号が転写された光ディスク基板(成形品)を
製造することができる。この際、射出圧縮成形技術を採
用すると、転写性により一層の向上が基体できる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳し
く説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下
の記載例に限定されるものではない。
【0029】以下に記載の例において使用した原料の芳
香族ポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量が1.6
万の光ディスク用ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニ
アリングプラスチックス社製、NOVAREX7020
AD2)であり、添加剤のターフェニル化合物は東京化
成社製のものであり、共役ジエン系エラストマーは1,
2−ビニル構造単位および3,4−ビニル構造単位の含
有量が70重量%のスチレン−イソプレン−スチレンブ
ロック共重合(クラレ社製、商品名:HYBRAR V
S−1、Tgは8℃、以下SISと略称する)である。
なお、比較例2において使用した共役ジエン系エラスト
マーは、1,2−ビニル構造単位および3,4−ビニル
構造単位の含有量が0重量%のスチレン−ブタジエンブ
ロック共重合(シェル化学社製、商品名:クレイトンG
1651、Tgは−60℃)である。
【0030】[実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例
3]芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、
添加剤を表−1に記載した割合(重量部)でそれぞれ秤
量して配合し、タンブラーによって基材樹脂と混合し、
得られた混合物を、40mmφベント式押出機によってシ
リンダー温度270℃の条件で溶融・混練してペレット
化した。得られたペレットを原料とし、射出成形機(住
友重機社製、型式:SD40)によって、シリンダー温
度360℃の条件下で直径12cm、厚さ0.6mmの光デ
ィスク基板を成形した。溝の深さが160nmのスタンパ
ーを使用した。
【0031】原料添加物、得られた光ディスク基板は、
次に記載の方法で評価した。 (a)ガラス転移温度(Tg): (b)転写性(nm):光ディスク基板(成形品)の半径方向
58mmの位置の溝の深さを、原子間力顕微鏡(オリンパ
ス社製、型式:NV2100)を用い、カンチレバー:
コニカル、荷重値30nN、走査ライン数:128、走
査速度:5sec/lineの条件で測定した。
【0032】(c)そり(degree):光ディスク基板のそり
角度測定装置(アドモンサイエンス社製)を使用し、光
ディスク基板を60rpmで回転させながら、基板の半
径方向25mm、37mm、49mm、57mmの位置であって
波長780nmの半導体レーザーを照射し、そり角度(絶
対値の最大値)を求めた。 (d)ひけ(μm):光ディスク基板の半径方向58〜6
0mmの位置の外周端部の位置を、レーザー変位計(キー
エンス社製)によって走査し、水平部分に比べて最も変
位の高い部分との距離をひけの大きさと見なした。 (e)制振性:動的粘弾性装置(東洋ボールドウィン社
製)によって、周波数11hz、2℃/minによってt
anδを測定し、100℃以下での極大点での値を求め
た。
【0033】
【表1】
【0034】表−1より、次のことが明らかとなる。 (1)本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物よ
り得られる光ディスク基板は、芳香族ポリカーボネート
樹脂単独のもの(比較例1)より得られる基板に比較し
て転写性が向上し、そりやひけが小さく、制振性に優れ
ている(実施例1〜実施例3)。 (2)これに対して、基体樹脂にSISのみを配合した樹
脂組成物(比較例3)は制振性は向上するが、転写性、
そりやひけに劣っている。 (3)芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に共役ジエン系
エラストマーを配合すると、転写性が向上し、そりやひ
けが小さくなるが、ガラス転移温度(Tg)が−50よ
り低いものを配合した場合は、制振性に劣る(比較例
2)。
【0035】
【発明の効果】本発明は以上詳細に説明したとおりであ
り、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の
利用価値は極めて大である。 1.本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、ターフェニル化合物が配合されているので、樹脂の
ガラス転移温度が低くなり、低温においても優れた流動
性を発揮するので、射出成形法によって光ディスク基板
を製造する際に、シリンダー温度、金型温度を比較的低
く設定することができるので、そりやひけが生じ難い。 2.本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、共役ジエン系エラストマーが配合されてなるので、
剛性が向上し、制振性の優れた光ディスク基板を製造す
ることができる。 3.本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、ターフェニル化合物と共役ジエン系エラストマーが
配合されてなるので、情報信号の転写性に優れており、
近接場記録またはファーストサーフェスと呼ばれる新し
い記録方式の光ディスク基板の製造用に好適である。 4.本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、光ディスク基板を製造する際に、シリンダー温度、
金型温度を比較的低く設定することができるので、サイ
クル短縮が可能で大幅に生産性を向上することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 博義 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4J002 AC032 AC062 BB152 BD122 BP012 CG011 CG021 CG031 CL002 CP032 EA046 EB126 FD026 GS02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均分子量が1万〜4万の芳香族ポ
    リカーボネート樹脂100重量部に対して、ターフェニ
    ル化合物を0.01〜40重量と、ガラス転位温度が−
    50〜50℃の間にある熱可塑性エラストマーを0.5
    〜50重量部とを配合してなることを特徴とする芳香族
    ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ターフェニル化合物が、オルトターフェ
    ニル化合物またはメタターフェニル化合物である、請求
    項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ターフェニル化合物が下記構造式[I]で
    表されるオルトターフェニルまたは下記構造式[II]で表
    されるメタターフェニルであって、それぞれの単体また
    はこれらの混合物である、請求項1に記載の芳香族ポリ
    カーボネート樹脂組成物。 【化1】 【化2】 (構造式[I]および構造式[II]において、Rは水素原子
    または塩素原子を表す。)
  4. 【請求項4】 熱可塑性エラストマーが、1,2−ビニ
    ル構造単位および/または3,4−ビニル構造単位を5
    0重量%以上含有するスチレン−イソプレン共役ジエン
    ブロック共重合体またはこれらの水素添加物である、請
    求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の芳香族ポ
    リカーボネート樹脂組成物。
JP11134949A 1998-12-24 1999-05-14 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 Pending JP2000319498A (ja)

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