JP3827881B2 - 真空処理装置及び基板起立装置 - Google Patents

真空処理装置及び基板起立装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は真空雰囲気内で基板を処理する真空処理装置の技術分野にかかり、特に、基板を立った状態で処理すると共に多層膜を形成するためのスパッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多層膜を形成するためのスパッタリング装置として、図14の符号100に示すような装置が用いられている。
このスパッタリング装置100は、仕込取出室101と搬送ロボット112と、成膜室103、113とを有している。
【0003】
仕込取出室101に搬入された基板は、搬送ロボット112で仕込取出室101から成膜室103に搬送されるように構成されている。
上記の成膜室103の詳細な構成を図8に示す。この成膜室103は、真空槽111を有している。真空槽111内には、ホットプレート兼用の基板ホルダ104が配置されている。また真空槽111は搬送室110に通じており、搬送室110内には搬送ロボット112が配置されている。
【0004】
搬送ロボット112は、水平方向に伸縮自在なアーム116を有しており、該アーム116先端部分のハンド117上に、基板106を水平に載置すると、基板106を水平方向に搬送することができ、基板ホルダ104上の所定位置まで移動させられるように構成されている。
【0005】
基板ホルダ104には複数の孔が設けられており、各孔内には、基板昇降機構120が有する複数のピン105が収納されている。
基板ホルダ104の上方に基板106を位置させた状態で、基板昇降機構120を動作させ、ピン105を上方に移動させると、基板106はピン105先端に乗せられる。その状態でアーム116を縮ませ、ハンド117を基板106と基板ホルダ104の間から抜き取り、搬送室110内に戻した後、ピン105を下方に移動させ、各ピン105を基板ホルダ104の孔内に収納すると、基板106は基板ホルダ104に移し替えられる。
【0006】
その後、基板ホルダ104に設けられた基板保持機構を動作させ、基板106を基板ホルダ104表面に密着保持させる。この基板ホルダ104には回転軸124が取り付けられ、回転軸124には、図示しないモータが直結されており、モータを駆動して回転軸124を回転させて基板ホルダ104を起立させると、基板106は基板ホルダ104と一緒に起立する。
【0007】
真空槽111の壁面にはカソード108が設けられており、基板106が基板ホルダ104に密着した状態で起立すると、その基板106は、カソード108に設けられたターゲットと平行に対向配置される。
【0008】
その状態でカソード108に電圧を印加すると、ターゲットがスパッタリングされ、起立した基板106表面に一層目の薄膜が形成される。
こうして基板106の表面に薄膜が形成された後に、この基板は搬送ロボット112で成膜室103から搬出されて成膜室113に搬入され、成膜室113で二層目の成膜処理がなされる。
その後基板は成膜室113から仕込取出室101に搬送され、装置外へと取り出される。
【0009】
以上説明した成膜室103、113では、基板106が移動や起立をする際に摺動しないため、真空槽111内でのダストの発生はなく、また、立った状態で基板106表面に薄膜が形成されるので、ターゲットやその近傍からダストが発生した場合でも基板106表面に付着しないので、欠陥のない高品質の薄膜が得られるようになっている。
【0010】
しかしながら、成膜室103、113は、図15に示すようにカソード108をそれぞれ1つしか有していないので、各成膜室103、113内では単層膜しか成膜できない。
【0011】
従って、多層膜を成膜する場合には、多くの成膜室が必要となり、例えば、液晶表示装置用のガラス基板のように、400mm×500mmから更に大きなものへと大面積化が要求される装置では、成膜室の占めるスペースが大きくなってしまう。さらに、複数の成膜室間を基板が移動しなければならないので、基板の移動時間が長くなり、スループットが低下してしまうという問題が生じていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の要求に応じるために創作されたものであり、その目的は、同じ真空槽内で複数の大きな基板に成膜できる真空処理装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、真空槽と、前記真空槽の側壁に配置された複数の処理手段と、前記真空槽内に配置された複数の基板起立装置と、鉛直方向の回転軸線を中心として回転する回転台とを有し、前記各基板起立装置は基板載置部をそれぞれ有し、前記各基板起立装置は、前記基板載置部を水平姿勢にも起立姿勢にもできるように構成され、処理対象物の基板は前記水平姿勢の前記基板載置部に配置され、前記基板載置部が起立姿勢にされると、前記基板は前記基板載置部と共に起立姿勢にされるように構成され、前記水平姿勢では、前記各基板載置部は上下に重ね合わされ、前記各基板起立装置は前記回転台の回転によって回転し、起立姿勢にされた前記基板を前記処理手段に対面させるように構成された真空処理装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の真空処理装置であって、前記真空槽の壁面には窓が設けられ、前記処理手段は前記窓の外側に位置し、前記窓を介して前記基板と面するように構成された真空処理装置である。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の真空処理装置であって、複数の前記基板載置部のうち、少なくとも一つの前記基板載置部は遮蔽部を有し、前記基板載置部が前記遮蔽部と共に起立姿勢にされ、前記処理手段に対向したときに、前記遮蔽部と前記処理手段の間の前記窓部は、前記遮蔽部によって覆われるように構成された真空処理装置である。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の真空処理装置であって、前記遮蔽部は板状に形成された真空処理装置である。
請求項5記載の発明は、請求項2記載の真空処理装置であって、前記真空槽内壁又は前記基板載置部のいずれか一方又は両方には、シール材が設けられ、前記シール材は、前記基板が起立の状態で前記処理手段と対向したときに、前記窓の周辺の前記真空槽の内壁と、前記基板載置部との間に配置されるように構成されたことを特徴とする真空処理装置である。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の真空処理装置であって、前記基板が起立の状態で、前記処理手段と対向したときに、前記シール材により、所定の基板の処理雰囲気を、他の基板の処理雰囲気と隔離することができるように構成された真空処理装置である。
請求項7記載の発明は、請求項5記載の真空処理装置であって、前記真空槽と前記処理手段の間に配置され、前記窓の周囲に取りつけられた枠を有し、前記基板載置部に前記基板を保持させて起立姿勢にしたとき、前記基板載置部、前記枠、前記処理手段で仕切られる空間内が気密になり、前記真空槽中の雰囲気と隔離されるように構成された真空処理装置である。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の真空処理装置であって、前記枠には排気口とガス導入口が設けられており、前記処理手段がスパッタリング用カソードであり、前記排気口から前記空間内を真空排気し、前記ガス導入口からスパッタガスと反応性ガスを導入できるように構成された真空処理装置である。
請求項9記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の真空処理装置でって、前記処理手段が、スパッタリング用カソードであることを特徴とする真空処理装置である。
請求項10記載の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の真空処理装置であって、前記起立装置は複数の駆動軸を有し、前記各基板載置部は駆動軸に取りつけられ、前記駆動軸が中心軸線を中心に回転すると起立姿勢になるように構成された真空処理装置である。
【0014】
上述した本発明の真空処理装置によれば、真空槽内に配置した基板起立装置によって、真空槽側壁に設けられた複数の処理手段、例えばスパッタリング用カソードに基板の表面を順次対向させることができ、基板表面に順次スパッタリングによる成膜処理をすることができる。
【0015】
このように、基板表面を複数のカソードに向け、それぞれのターゲットを基板表面にスパッタすることができ、一つの真空槽内で、多層膜を成膜することができる。
【0016】
従って、多層膜を成膜する場合に、複数の成膜室を必要としないので、成膜室の占めるスペースを縮小することができる。さらに、基板を成膜室間で移動させるための時間が不要になるので、スループットを向上させることができる。
【0017】
また、本発明の別の構成では、真空槽と、基板起立装置とを有する真空処理装置が、水平面内で回転可能な回転台を有しており、基板起立装置は、回転台に取り付けられ、回転台とともに回転することができるようにされている。
【0018】
このため、基板を保持した基板起立装置が、水平な状態にあるときに、回転台を回転して基板起立装置を回転させ、カソードの位置にきたところで基板を起立の状態にすることで、真空槽内の任意のカソードの方向に基板の表面を向けることができる。
【0019】
基板起立装置の参考例を説明すると、基板起立装置には、基板載置部と、回転軸と、腕部と駆動軸とを有し、駆動軸の回転力は、回転軸にも腕部にも伝達できるように構成され、基板載置部と腕部とを水平にした水平姿勢から、駆動軸の回転力を腕部に伝達させ、基板載置部を起立させた第一の起立姿勢と、駆動軸の回転力を回転軸に伝達させ、腕部を水平にしたまま、基板載置部を起立させた第二の起立姿勢をとれるように構成されたものがある。
【0020】
その参考例の基板起立装置では、駆動軸の回転力を腕部に伝達させて回転させ、基板載置部を水平姿勢から鉛直に起立させた場合には、基板載置部は腕部と一体化して、駆動軸を中心にして立ち上がり、基板載置部の表面が、基板起立装置の外方を向く姿勢(第一の起立姿勢)をとる。
【0021】
他方、駆動軸の回転力を回転軸に伝達させ、腕部を水平にしたまま、基板載置部を起立させた場合には、基板載置部は回転軸を中心にして立ちあがり、基板載置部の表面が、基板起立装置の外方を向く姿勢(第二の起立姿勢)をとる。
【0022】
このように、第一の起立姿勢と第二の起立姿勢とでは、ともに基板載置部が鉛直に起立して、基板載置部の表面が、基板起立装置の外方を向くようにされているが、第一の起立姿勢では駆動軸を中心にして基板載置部が立ち上がり、第二の起立姿勢では回転軸を中心にして基板載置部が立ち上がるので、第一、第二の起立姿勢では、基板載置部の立ち上がる方向が互いに反対方向になり、基板載置部の表面に基板を載置すると、第一、第二の起立姿勢で、基板表面は互いに反対方向を向く。
【0023】
このような参考例の基板起立装置を、真空槽内に配置し、その真空槽内に、2つのカソードを対向配置させ、各カソードにターゲットを設けた場合には、基板を保持した状態で、基板載置部を第一の起立姿勢にすると、基板表面が一方のカソードに対向配置されるようにすることができ、他方、基板載置部を第二の起立姿勢にすると、基板表面が他方のカソードに対向配置されるようにすることができる。
【0024】
このため、基板表面を一方のカソードに対向配置させて、一方のターゲット材を基板表面にスパッタして一層目の成膜処理をした後に、基板表面を他方のカソードに対向配置させて、他方のターゲット材を基板表面にスパッタして二層目の成膜処理をすることができるので、単一の真空槽内で二層の積層膜を成膜することができる。
【0025】
従って、二層膜を成膜する場合に、従来のように二つの成膜室を必要としないので、成膜室の占めるスペースをその分縮小することができる。さらに、基板を二つの成膜室間で移動させるための時間が必要ないので、スループットを向上させることができる。
【0026】
本発明の基板起立装置は、水平な姿勢で上下に重ねられる少なくとも2枚の基板載置部を有している。各基板載置部には駆動軸をそれぞれ設け、該駆動軸を回動させることで、各基板載置部それぞれ起立するように構成することができる。
【0027】
基板載置部は、水平な姿勢でフックを基板通過孔へ突出させたときには基板を保持できるように構成することができる。フックを収納したときには基板を通過できるようにされているので、基板を保持している基板載置部と、他の基板載置部のフックを収納することで、保持されていた基板は基板通過孔を通って他の基板載置部に移動可能な状態になり、その基板を上下方向に移動し、他の基板載置部の基板通過孔内に位置させ、他の基板載置部のフックを基板通過孔に突出させることで、他の基板載置部で基板を保持することができ、基板載置部間で、基板の移動をすることができる。
【0028】
このように基板載置部間で基板の移動ができるので、複数の基板載置部の表面が、互いに異なる方向に起立するようにし、異なる方向に基板表面が向くようにし、基板表面が向く方向のそれぞれに1個ずつカソードを配置しておけば、基板をある基板載置部に載置させ、基板表面を所定のカソードに対向配置させて、そのカソードに設けられたターゲットを基板表面にスパッタして一層目の成膜処理をした後に、基板を載置していた基板載置部から他の基板載置部へと基板を移動させ、基板表面を他のカソードに対向配置させて、他のターゲットを基板表面にスパッタして二層目の成膜処理をすることができる。
【0029】
さらに、本発明の基板起立装置では、複数の基板起立装置と回転台と処理手段とを有しており、回転台が、鉛直方向の回転軸を中心にして水平面内で回転したときに、複数の基板起立装置を回転させることができ、各基板起立装置が基板を保持した状態で、基板を処理手段に対向させることができるようにされている。
【0030】
一例として、真空槽内に処理手段と、基板起立装置とが3つずつ設けられ、回転台上に、上から順に第1、第2、第3の基板起立装置が水平な状態で配置されている場合には、まず水平な状態で最上位に配置された第1の基板起立装置に1枚目の基板を保持させ、次に第1の基板起立装置が起立して第1の処理手段に対向するとともに、水平な状態で配置された第2の基板起立装置に、2枚目の基板を保持させる。
【0031】
次いで、第1の処理手段で1枚目の基板を処理し、その後回転台を所定角度回転させて、第1〜第3の基板起立装置を所定角度回転させ、1枚目の基板を第2の処理手段に対向させるとともに、第2の基板起立装置を起立させ、2枚目の基板を第1の処理手段と対向させる。
【0032】
この状態で、第2の処理手段で1枚目の基板を処理するとともに、第1の処理手段で2枚目の基板を処理することで、2枚の基板を同時に処理することができる。従って、特に複数の基板を連続的に処理する際に、処理に要する時間を従来に比して短縮することができる。
【0033】
また、本発明のその他の真空処理装置によれば、複数の基板起立装置は、基板載置部を有し、基板載置部のうち、少なくとも1つの基板載置部は、板状の基板載置部を有し、水平な状態にも起立の状態にもすることができるようにされ、起立の状態で処理手段に対向できるように構成されている。
【0034】
真空処理装置がスパッタリング装置であって、処理手段がスパッタリング用のターゲットであった場合には、新たなターゲットを真空槽に配置したときに、そのターゲットを予め一定量スパッタリングさせて、ターゲットの表面状態を良好にしておいてから(以下でプリスパッタと称する。)、成膜対象の基板に成膜させる必要がある。従来プリスパッタを行なうには、ダミーの基板をターゲットに対向して配置させ、所定膜厚の薄膜をダミーの基板上に成膜させていた。
【0035】
このとき、ダミーの基板としてガラス基板を用いていたが、ガラス基板は強度が弱く、厚い膜を成膜することはできないため、複数枚のガラス基板を頻繁に交換しながら成膜させなければ、十分なプリスパッタをすることはできなかったため、ガラス基板の交換時間により、プリスパッタに長時間を要していた。
【0036】
また、ダミー基板として強度が強い金属板を用いることも考えられるが、元々ガラス基板用に設計された搬送ロボットでは、真空槽内に金属板を搬入することはできないため、金属板をダミー基板として用いることは実際には不可能であった。
【0037】
しかしながら本発明では、基板載置部の少なくとも一つが、例えば板状の遮蔽部を有しており、基板載置部を起立の状態にしてターゲットに対向させたときに、窓を覆うことができるように構成し、遮蔽部が窓を覆った状態でターゲットをスパッタできるようにすると、遮蔽部に薄膜を成膜させることができ、ダミーの基板を用いずにプリスパッタをすることができる。
従って、従来のように基板の交換に要する時間が必要ないため、従来に比して短時間でプリスパッタを行なうことができる。
【0038】
さらに、本発明の真空処理装置によれば、基板が起立の状態で、処理手段と対向したときに、例えばシール材を基板載置部又は真空槽の内壁に設けることによって、枠、処理手段及び基板とで構成される空間を気密な状態にすることができるようにされている。
【0039】
このため、複数の基板を複数の処理手段で同時に処理する場合には、一つの処理手段で所定の基板を処理する際に、所定の基板の処理雰囲気を、他の基板の処理雰囲気と隔離することができるので、所定の基板と、他の基板とで、個別に異なる処理をすることができる。一例として、スパッタリングで基板表面に薄膜を成膜する際には、所定の基板には反応性スパッタ処理をし、他の基板では通常のスパッタ処理をすることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明を説明する前に、本発明のように、基板起立装置を用いて基板を起立姿勢にして成膜する処理手順の参考例を説明する。
図1(a)の符号3はその参考となる処理手順を説明するための真空処理装置であり、真空処理装置の一実施形態を上方からみた断面図であり、真空槽11と、搬送室10とを有している。
【0041】
真空槽11内には、基板起立装置31と、図示しない基板昇降機構が設けられており、真空ポンプ(図示せず)によって、内部を真空排気できるように構成されている。
【0042】
真空槽11の相対する二壁面には、不図示の窓が一個ずつ設けられており、各窓には、それぞれ1個ずつのカソード81、82が装着されている。各カソード81、82は、窓から真空槽11内に面するように構成されている。
【0043】
基板起立装置31は、図1(b)、(c)に示すように、板状の基板ホルダ32と、腕部39と、回転軸34と、駆動軸35とを有している。
基板ホルダ32は、その一面が載置面37となっており、基板をその上に載置して、不図示の保持機構で保持することができるようにされている。
【0044】
この基板ホルダ32は通常は水平にされており(この状態を以下で水平姿勢と称する。)、その状態で載置面37は上方を向くようにされている。回転軸34の一端は基板ホルダ32の側面に取り付けられており、中心軸線21を中心に回動できるようにされている。
【0045】
回転軸34の他端には腕部39の一端が取り付けられ、腕部39の他端には、駆動軸35の一端が取り付けられており、駆動軸35は、その中心軸線22を中心に回動可能にされている。駆動軸35の他端はモータ36に取り付けられており、モータ36が回転すると、駆動軸35が回転できるようにされている。
【0046】
腕部39の内部には、ベルト等の動力伝達機構(図示せず)と、動力切替機構(図示せず)が設けられており、動力切替機構により、駆動軸35の回転力は、腕部39にも回転軸34にも伝達できるようにされている。
【0047】
駆動軸35の回転力が腕部39に伝達されるときには、動力切替機構によって回転軸34と基板ホルダ32とが固定された状態にされ、腕部39が回転すると基板ホルダ32が腕部39と一体化して起立するようにされており、他方、駆動軸35の回転力が回転軸34に伝達されるときには、動力切替機構によって回転軸34と基板ホルダ32との固定状態が解除され、駆動軸35の回転力が動力伝達機構で回転軸34に伝達され、駆動軸35が回転すると、腕部39は水平のままで基板ホルダ32のみが起立するようにされている。
【0048】
このような基板起立装置31で、基板ホルダ32と腕部39とが水平にされた水平姿勢から、モータ36を駆動すると、駆動軸35が中心軸線22を中心として回転する。動力切替機構が動作し、駆動軸35の回転力が腕部39に伝達される場合には、基板ホルダ32は腕部39と一体化して起立する。モータ36は、所定角度回転した後に駆動軸35を停止させるようにされており、駆動軸35が停止したときに、図1(d)に示すように、基板ホルダ32が70°〜90°の範囲で起立した状態(第一の起立姿勢)で静止させることができる。
【0049】
他方、基板ホルダ32を水平姿勢にした後に、動力切替機構の動作を切り替え、モータ36を駆動して駆動軸35を回転させると、駆動軸35の回転力が動力伝達機構を介して回転軸34に伝達され、回転軸34が中心軸線21を中心に回転し、腕部39は水平のままで基板ホルダ32のみが起立する。
【0050】
モータ36は、所定角度回転した後に駆動軸35を停止させるようにされ、駆動軸35が停止したときに、図1(e)に示すように基板ホルダ32が70°〜90°の範囲で起立した状態(第二の起立姿勢)で静止させることができる。
【0051】
上述した基板起立装置31では、第一の起立姿勢(図1(d))と第二の起立姿勢(図1(e))では、ともに基板ホルダ32は70°〜90°の範囲で起立した状態になっているものの、第一の起立姿勢では基板ホルダ32が駆動軸35を中心にして起立し、第二の起立姿勢では回転軸34を中心にして起立するので、第一、第二の起立姿勢では基板ホルダ32は互いに反対方向に起立し、載置面37もまた互いに反対方向を向く。
【0052】
このような基板起立装置31を有する真空処理装置3では、基板ホルダ32は、第一の起立姿勢で、載置面37が一方のカソード81に平行に対向し(図1(d))、第二の起立姿勢では、載置面37が他方のカソード82に平行に対向する(図1(e))ように真空槽11内に配置されている。
【0053】
かかる真空処理装置3で、スパッタリング法で基板に薄膜を成膜するには、最初に、図示しない搬送系で搬送室10から水平な状態の基板を真空槽11内に搬入させ、水平姿勢にある基板ホルダ32の載置面37に載置させ、不図示の保持機構で載置面37の表面に密着保持させる。
【0054】
次いで、駆動軸35を回転させて、基板ホルダ32を立ち上げ、第一の起立姿勢(図1(d))にさせる。上述したように第一の起立姿勢では載置面37は一方のカソード81に平行に対向配置されるので、基板表面はカソード81に平行に対向配置される。
【0055】
その状態で一方のカソード81に所定の電圧を印加する。一方のカソード81には、Al(アルミニウム)ターゲット(図示せず)が設けられており、このAlターゲットが基板表面にスパッタリングされ、基板表面に一層目の薄膜(Al)が形成される。
所定膜厚のAl薄膜が基板表面に成膜されたら、一方のカソード81への電圧印加を停止し、スパッタリングを中止する。
【0056】
その後、モータ36を駆動して駆動軸35を所定角度だけ回転させて、基板ホルダ32を倒して水平姿勢に復帰させる。水平姿勢に復帰したらモータ36を駆動して回転軸34を所定角度回転させ、基板ホルダ32を第二の起立姿勢(図1(e))にさせる。上述したように第二の起立姿勢では載置面37は他方のカソード82に平行に対向配置されるので、基板表面はカソード82に平行に対向配置される。
【0057】
その状態で他方のカソード82に電圧を印加すると、他方のカソード82にはTi(チタン)ターゲット(図示せず)が設けられており、Tiターゲットがスパッタリングされるので、起立した状態の基板表面に二層目の薄膜(Ti)が成膜される。
【0058】
次いで、モータ36を駆動して回転軸34を所定角度だけ回転させて、基板ホルダ32を水平姿勢に復帰させてから、不図示の搬送系で基板を真空槽11から搬送室10へと搬出し、装置外へと取出す。
【0059】
以上説明したように、上述の真空処理装置3では、基板起立装置31を有しており、基板表面を、第一、第二の起立姿勢で、カソード81、82に、それぞれ平行に対向配置することができるようにされているので、基板ホルダ32を第一の起立姿勢にして一方のカソード81に設けられたAlターゲットを基板表面にスパッタリングしてAl膜を成膜した後に、同じ真空槽11内で、基板ホルダ32を第二の起立姿勢にして、他方のカソード82を基板表面にスパッタリングし、基板表面にTi膜を成膜することができ、単一の真空槽11内で、TiとAlの二層膜を基板表面に成膜することができる。
【0060】
従って、二層膜を成膜する場合に、従来のように二つの成膜室を必要としないので、成膜室の占めるスペースをその分縮小することができる。
さらに、基板を成膜室間で移動させるための時間が必要ないので、スループットを向上させることができる。
【0061】
なお、上述の基板起立装置31では、腕部39内部に、ベルトなどの動力伝達機構と、動力切替機構とが設けられているものとしているが、これに限らず、駆動軸35の回転力を腕部39と、回転軸34とのいずれか一方に伝達でき、第一の起立姿勢と第二の起立姿勢をとり得る機構を有していればよい。
また、板状の基板ホルダ32を用いているが、これに限らず、例えば枠状の基板ホルダを用いてもよい。
【0062】
次に、本発明のように、基板起立装置を用いて基板を起立姿勢にして成膜する処理手順の他の参考例を説明する。
図2(a)の符号33は、その参考例の処理手順に用いられる真空処理装置である。この真空処理装置33は、真空槽30と、搬送室40とを有している。
【0063】
真空槽30の一壁面は、搬送室40に面し、搬送室40に面していない真空槽30の三壁面には、不図示の窓が一個ずつ設けられており、各窓には、それぞれ第1〜第3のカソード381〜383が装着されている。各カソード381〜383内の表面は、窓から真空槽30内に面するように構成されている。
【0064】
真空槽30内には、基板起立装置41が設けられており、真空ポンプ(図示せず)によって、真空槽30内を真空排気できるように構成されている。
基板起立装置41は、図1(b)、(c)に示すように、第1〜第3の基板ホルダ421〜423と、回転軸451〜453とを有している。
【0065】
第1〜第3の基板ホルダ421〜423は、図2(c)に示すように、ともに水平な状態にされ、上から第1、第2、第3の基板ホルダ421、422、423の順に重なるように配置されている。
【0066】
第1〜第3の基板ホルダ421〜423の側面には、それぞれ第1〜第3の駆動軸451〜453が取り付けられており、第1〜第3の駆動軸451〜453が所定角度だけ回転すると、それぞれの中心軸線531〜533を中心にして、第1〜第3の基板ホルダ421〜423を起立させて、70°〜90°の範囲で起立した状態になるようにされている。
【0067】
第1〜第3の基板ホルダ421〜423は互いに異なる方向に起立し、各基板ホルダ421〜423は、互いに異なる方向に面するようにされている。ここでは、各基板ホルダ421〜423が起立の状態にされたときに、それぞれ第1、第2、第3のカソード381、382、383に平行に対向配置するようにされている。
【0068】
各基板ホルダ42は、図3(a)、(b)に示すように、基板より大きい基板通過孔49を中央に有する枠体48からなり、基板通過孔49の上下方向に、基板を通過できるようにされている。
【0069】
この枠体48の裏面には、基板通過孔49へと突出する4本のフック461〜464が設けられており、フック461〜464は、軸471〜474が設けられており、各フック461〜464は、軸471〜474で枠体48に取り付けられている。このフック461〜464は、軸471〜474を中心にして回動して、基板通過孔49内へと突出するようにされ、突出したときには、基板をフック461〜464は上に載置できるようにされている。
【0070】
上述した基板起立装置41を有する真空処理装置33を用いて、薄膜を成膜する場合には、予め、搬送室10から、図示しない搬送ロボットのハンドによって、水平な状態にされた基板が真空槽30内に搬入され、基板起立装置41の上方で静止している。このとき基板起立装置41の第1〜第3の基板ホルダ421〜423は、予め水平な状態にされており、基板は水平な状態で第1の基板ホルダ421の上方に配置される。
【0071】
基板起立装置41の下方には、基板昇降機構44が配置されており、この基板昇降機構44は、上下動可能な複数の基板昇降ピン511、512を有している。この昇降ピン511、512は、上方に移動したときに、各基板ホルダ421〜423の基板通過孔49を通って、その先端が第1の基板ホルダ421よりも上方に位置することができるようにされている。
【0072】
第1の基板ホルダ421上に基板50を位置させた状態で、昇降ピン511、512を上方に移動させると、基板は昇降ピン511、512の先端に乗せられる。
第1の基板ホルダ421のフック47を突出させた状態で、ハンドを基板50と第1の基板ホルダ421との間から抜き取って搬送室10内に戻した後、昇降ピン511、512を下方に移動させると、基板はフック47の上に乗り、ハンドから第1の基板ホルダ421に移される(図4(a)、図4(b))。
【0073】
この状態で、図示しない保持機構で基板を第1の基板ホルダ421に密着保持させ、第1の駆動軸451を所定角度回転させて第1の基板ホルダ421を起立の状態にすると、基板50の表面は、第1のカソード381に平行に対向配置される。
【0074】
第1のカソード381には、Mo(モリブデン)ターゲット(図示せず)が設けられており、基板表面と第1のカソード381とが平行に対向配置された状態で、第1のカソード381に電圧を印加すると、Moターゲットがスパッタリングされ、立った状態で基板表面に一層目の薄膜(Mo)が形成される。
【0075】
次に、第1の駆動軸451を回転させて第1の基板ホルダ421を水平な状態に復帰させる(図4(a)、図4(b))。
次いで、昇降ピン511、512を上方に移動させ、先端を基板50の裏面に当接させる(図4(c))。この状態で、それまで基板50を載置していた第1の基板ホルダ421のフック471、472を収納すると、基板50は、基板通過孔49を介して上下方向に自由に移動することができる。
【0076】
このとき、下方の第2の基板ホルダ422のフック571、572を突出させておき、昇降ピン511、512を下降させる(図4(d))。すると、基板50は第2の基板ホルダ422のフック571、572の上に載置される(図5(a))。
【0077】
このように基板50が第1の基板ホルダ421から第2の基板ホルダ422に載せ替えられるとともに、昇降ピン511、512を下降させて、基板保持機構44内に収納した後に、第1の基板ホルダ421を再び起立の状態にする(図5(b))と、第2の駆動軸452を所定角度回転させることで第2の基板ホルダ422を起立させることができ、保持された基板50の表面を、第2のカソード382に平行に対向配置することができる。
【0078】
第2のカソード382には、Al(アルミニウム)ターゲット(図示せず)が設けられており、基板50の表面が第2のカソード382に対向配置された状態で、第2のカソード382に所定電圧を印加すると、Alターゲットが基板50の表面にスパッタされ、二層目の薄膜(Al)が基板50の表面に成膜される。
【0079】
次いで、第2の駆動軸452を所定角度回転させて、第2の基板ホルダ422を水平な状態に復帰させ、以上と同様にして昇降ピン511、512を上昇させ、その先端を基板50の裏面に当接させ、第2の基板ホルダ422のフック571、572を収納し、基板50が基板通過孔49を介して上下動可能な状態にし、昇降ピン511、512を下降させて第3の基板ホルダ423のフック671、672の上に基板50を載置させる。
【0080】
その後、第2の基板ホルダ422を再び起立させて起立の状態にさせ、第3の基板ホルダ423を起立可能な状態にする。
この状態から第3の駆動軸453を所定角度回転させると、第3の基板ホルダ423が起立し、保持された基板50を、起立の状態にして基板表面を第3のカソード382に平行に対向配置させることができる。
【0081】
第3のカソード383には、Ti(チタン)ターゲットが設けられており、第3のカソード383に所定電圧を印加すると、Tiターゲットが基板50の表面にスパッタされ、三層目の薄膜(Ti)が基板50の表面に成膜される。
【0082】
こうして基板50の表面に、三層の薄膜が成膜されたら、再び第3の駆動軸453を所定角度回転させ、第3の基板ホルダ423を水平な状態に復帰させ、昇降ピン511、512を上方に移動させる。すると、基板50は昇降ピン511、512の先端に乗せられて上昇する。
【0083】
基板50が所定の高さまで上昇したら、再びハンドを真空槽31内に入れ、基板50の下方に位置させる。この状態で、昇降ピン511、512を下方に移動させると、基板50は水平な状態でハンドの上に載置される。ハンド上に基板50が載置されたら、ハンドを真空槽31から搬送室40に移動させて基板を搬送室40へと搬出し、装置外へと取出す。
【0084】
上述の真空処理装置33は基板起立装置41を有しており、基板50を起立の状態にして、基板50の表面を異なる三方向に向けることができるようにされているので、三方向に配置されたカソード381〜383にそれぞれ設けられた合計三種のターゲットを、一つの真空槽30内で基板50の表面に順次スパッタさせて、三層膜を成膜することができる。
【0085】
このようにして、一つの真空槽30内で、基板50表面に三層膜を積層することができるので、三層膜を成膜する場合に、従来のように三つの真空槽を必要としないので、真空槽の占めるスペースをその分縮小することができる。さらに、基板を真空槽間で移動させるための時間が必要ないので、スループットを向上させることができる。
【0086】
なお、上述の基板起立装置41では、基板を保持するフック46が、軸47を中心にして回動することにより、基板通過孔49に突出したり、枠体48側に収納できるようにされているが、フックはこれに限らず、突出可能であればよく、例えば、フック47が平行移動することで突出したり、収納されたりするような構成にしてもよい。
【0087】
次に、処理手順の更に他の参考例について説明する。
図6の符号63は、その参考例の処理手順に用いられる真空処理装置である。この真空処理装置63は、真空槽61と、搬送室70とを有している。
【0088】
真空槽61は、図6に示すように上方からみて五角形にされており、壁面を五つ有している。そのうちの一壁面は、搬送室70に面しており、残りの四壁面には、不図示の窓が一個ずつ設けられており、各窓には、それぞれ1個ずつカソード681、682、683、684が、反時計回りの順で装着されている。各カソード681、682、683、684の表面は、窓から真空槽61内に面するように構成されている。
【0089】
真空槽61内には、基板起立装置71と、回転台72とが設けられており、回転台72は真空槽61の底部に配置されている。回転台72の上方には基板起立装置71が取り付けられている。
【0090】
この基板起立装置71は、基板ホルダ80を有している。この基板ホルダ80は、従来装置の基板ホルダ104と同様の構成であって、基板を密着保持し、水平姿勢と70°〜90°の範囲の起立姿勢とのいずれか一方をとることができるようにされている。
【0091】
回転台72は、鉛直方向の回転軸73を中心にして水平面内で回転できるようにされており、基板起立装置71は、回転台72が回転すると、回転台72とともに回転し、基板ホルダ80が、水平面内のあらゆる方向に面するようにすることができる。
【0092】
上記の真空処理装置63で、基板80に多層膜を成膜するには、まず、搬送室70から、不図示の搬送機構で水平な状態の基板(図示せず)を真空槽61内に搬入して、基板ホルダ80に密着保持させる。
【0093】
予め真空槽61内は真空排気されており、基板が保持された状態で、基板ホルダ80をカソード681方向に起立させて、基板を立った状態にすると、基板表面がカソード681と平行に対向配置される。
【0094】
この状態でカソード681に所定の電圧を印加する。カソード681には、図示しないMo(モリブデン)ターゲットが設けられており、電圧が印加されるとMoターゲットがスパッタリングされ、起立の状態の基板表面に一層目の薄膜(Mo)が形成される。所定膜厚のMo薄膜が基板表面に成膜されたら、カソード681への電圧印加を停止してスパッタリングを中止させる。
【0095】
次いで、回転台72を図面反時計方向に回転させ、起立の状態の基板ホルダ80を回転させる。すると、基板ホルダ80に保持された基板表面もまた水平面内であらゆる方向に面するようにすることができるので、図面反時計方向に回転した基板ホルダ80は、一定時間後にカソード682に平行に対向配置される。対向配置されたら、回転台72の回転を停止して、基板ホルダ80を静止させる。
【0096】
この状態で、カソード682に所定の電圧を印加すると、カソード682内のTiターゲットがスパッタリングされ、起立の状態の基板表面に二層目の薄膜(Al)が形成される。所定膜厚のAl薄膜が基板表面に成膜されたら、カソード682への電圧印加を停止してスパッタリングを中止させる。
【0097】
その後、再び回転台72を回転させて、基板ホルダ80を回転させ、カソード683に基板表面を平行に対向配置させ、カソード683に電圧を印加してカソード683のターゲットを基板表面にスパッタリングさせて三層目の薄膜(Ti)を成膜し、所定膜厚のTi薄膜が成膜されたら、カソード683の電圧印加を停止してスパッタリングを中止させる。
【0098】
次いで、再び回転台72を回転させて、基板ホルダ80を回転させ、カソード683に基板表面を平行に対向配置させ、カソード684に電圧を印加してカソード684のターゲットを基板表面にスパッタリングさせて四層目の薄膜(ITO)を成膜し、所定膜厚のITO(インジウム、スズ酸化物)薄膜が成膜されたら、カソード684の電圧印加を停止してスパッタリングを中止させる。
【0099】
こうして四層の薄膜が基板表面に成膜されたら、基板起立装置71は基板ホルダ80を水平な状態にする。水平な状態にされた基板は、不図示の搬送系で真空槽61から取出されて搬送室70に搬送され、装置外へと取り出される。
【0100】
以上説明したように、この真空処理装置63は、回転台72を有しており、回転台72を回転させると、垂直な状態の基板ホルダ80を、水平面内であらゆる方向に向けることができる。
【0101】
このため、回転台の周囲に複数のカソードを配置することで、基板表面を複数のカソードへ向け、カソードと基板表面とを平行に対向配置させることができるので、一つの真空槽61内で1枚の基板に、複数のターゲットをスパッタリングさせて多層膜を成膜させることができ、小型、低コストで高スループットのスパッタリング装置を得ることができる。
【0102】
なお、上述の真空処理装置63では、五角形の真空槽61を用いており、その内壁面の四面に、計四個のカソード681〜684を配置したが、本発明はこれに限らず、例えば上方からみて四角形の真空槽の三壁面に、1個ずつカソード681、682、683を装着してもよい。図7〜図9は、その状態を説明する斜視図である。
【0103】
この場合には、予め搬送アーム87で図示しない真空槽内に基板80aを搬入し、真空槽内に配置された基板載置装置89に移し替え、基板載置装置89で基板ホルダ80に基板80aを載置させ、基板ホルダ80に基板80aを密着保持させておく。この状態で基板ホルダ80を鉛直方向に起立させると、基板80aはカソード681に平行に対向配置される(図7(a))。
【0104】
次いで、基板ホルダ80を所定角度(10°〜20°)だけ傾け(図7(b))、基板ホルダ80を水平面内に90°回転させ(図7(c))、再び基板ホルダ80を鉛直方向に起立させる(図8(d))。すると、基板80aはカソード681に平行に対向配置される。
【0105】
次に、基板ホルダ80を所定角度だけ傾け(図8(e))、基板ホルダ80を水平面内に90°回転させ(図8(f))、再び基板ホルダ80を鉛直方向に起立させる(図9(g))。すると、基板80aはカソード683に平行に対向配置される。
【0106】
その後、基板ホルダ80を所定角度だけ傾け(図9(h))、基板ホルダ80を水平面内に90°回転させて基板ホルダ80を水平状態にすると、基板80aが水平状態になる(図9(i))。その後基板載置装置89で基板80aを上昇させ、搬送アーム87に移し替え、真空槽外へ搬出する。
【0107】
上述の図7〜図9に示す真空処理装置によれば、基板80aが各カソード681〜683に平行に対向配置された状態で、各カソード681〜683に所定電圧を印加して、各カソード681〜683内のターゲットをそれぞれスパッタリングすることにより、一つの真空槽内で三層膜を成膜することができる。
【0108】
さらに、多角形の真空槽を用いてその内壁面にカソードが配置されるような構成であればよく、例えば六角形の真空槽を用いて、その内壁面の五面にそれぞれカソードが配置されるようにしてもよい。この場合には、一つの真空槽で基板に五層の積層膜を成膜することができる。
【0109】
以下で、本発明の実施形態について説明する。
図10(a)の符号74に、本発明の実施形態の真空処理装置を示す。この真空処理装置74は、真空槽75と、搬送室79とを有している。
【0110】
真空槽75の一壁面は、搬送室79に面し、搬送室79に面していない真空槽75の三壁面には、窓75a、75b、75cが一個ずつ設けられている。各窓75a、75b、75cの周囲には、それぞれ第1〜第3の枠761〜763が配置され、各枠761〜763には、それぞれ第1〜第3のカソード781〜783が取り付けられており、各カソード781〜783内の表面は、それぞれ窓75a、75b、75cを介して真空槽75内に面するように構成されている。
【0111】
真空槽75には、図示しないガス導入口と排気口とが設けられており、ガス導入口からスパッタガスを導入でき、真空ポンプ(図示せず)によって、真空槽75内を真空排気できるようにされている。
【0112】
さらに、真空槽75の内部底面には、基板起立装置81が設けられている。
基板起立装置81は、図10(b)、(c)に示すように、回転台84と、第1〜第4の基板載置部 ( 以下、第1〜第4の基板ホルダと言う )821〜824とを有している。
回転台84は、真空槽75の内部底面に配置され、鉛直方向の回転軸線77を中心にして水平面内で回転できるようにされている。
【0113】
第1〜第4の基板ホルダ821〜824は、図10(c)に示すように、ともに水平な状態にされ、上から第1、第2、第3、第4の基板ホルダ821、822、823、824の順に重なるように回転台84の上に配置されている。第1〜第4の基板ホルダ821〜824のうち、最も下に配置された第4の基板ホルダ824は、板状に成形されており、他の3枚の基板ホルダ821〜823は、枠状に成形されている。
【0114】
第1〜第4の基板ホルダ821〜824の側端には、それぞれ第1〜第4の駆動軸851〜854が取り付けられており、第1〜第4の駆動軸851〜854が所定角度だけ回転すると、それぞれの中心軸線761〜764を中心にして第1〜第4の基板ホルダ421〜424を起立させて、70°〜90°の範囲で起立した状態になるようにされている。
【0115】
第1〜第4の基板ホルダ821〜824は互いに異なる方向に起立し、各基板ホルダ421〜424は、互いに異なる方向に面するようにされている。最初の状態では、第1〜第3の基板ホルダ821〜823が起立すると、それぞれ第1〜第3のカソード781〜783に面するようにされ、第4の基板ホルダ824が起立すると、搬送室79に面するようにされている。
【0116】
そして、第1〜第4の基板ホルダ821〜824は、回転台84が回転すると、回転台84とともに回転し、水平面内のあらゆる方向に面することができるようにされている。
【0117】
上述した基板起立装置81を有する本実施形態の真空処理装置74を用いて、複数の基板に三層膜を成膜する場合について以下で説明する。この場合には、予め、真空槽75内を真空排気しておき、ガス導入口からスパッタガスを導入しておく。この状態で、搬送室79から、図示しない搬送機構によって、水平状態にされた1枚目の基板901を真空槽75内に搬入し、第1の基板ホルダ821上に載置させ、第1の基板ホルダ821が1枚目の基板901を密着保持する(図11(a))。
【0118】
この状態で第1の基板ホルダ821を起立させると、1枚目の基板901の表面は窓75aを介して第1のカソード781と平行に対向配置される(図11(b))。
次に、第1のカソード781に所定の電圧を印加する。第1のカソード781には、図示しないMo(モリブデン)ターゲットが設けられており、電圧が印加されるとMoターゲットがスパッタリングされ、1枚目の基板901の表面に一層目の薄膜(Mo)が形成される。所定膜厚のMo薄膜が基板表面に成膜されたら、カソード681への電圧印加を停止してスパッタリングを中止させる。
【0119】
次いで、搬送室79から、図示しない搬送機構によって、水平状態にされた2枚目の基板902を真空槽75内に搬入して、水平状態にされた第2の基板ホルダ821上に載置する。第2の基板ホルダ821は載置された2枚目の基板902を密着保持する。
【0120】
次に、回転軸77を中心にして回転台72を90°回転させ、第1〜第4の基板ホルダ821〜824を90°だけ回転させる。すると、第1の基板ホルダ821に保持された1枚目の基板901の表面は、窓75bを介して第2のカソード782に平行に対向配置される。この状態で、第2の基板ホルダ822を起立させると、2枚目の基板902は窓75aを介して第1のカソード781に平行に対向配置される(図11(c))。
【0121】
この状態で、第2のカソード782に所定の電圧を印加する。第2のカソード782には、図示しないAl(アルミニウム)ターゲットが設けられており、第2のカソード782に所定の電圧を印加すると、Alターゲットがスパッタリングされて、1枚目の基板901の表面に二層目の薄膜(Al)が成膜される。
【0122】
第2のカソード782に所定の電圧を印加するとともに、第1のカソード781に所定の電圧を印加すると、第1のカソード781内のMoターゲットがスパッタリングされ、第1のカソード781に対向配置された2枚目の基板902の表面に一層目の薄膜(Mo)が成膜される。このように、第1、第2のカソード781、782のそれぞれに同時に所定電圧を印加することにより、1枚目の基板901、2枚目の基板902の両方に同時に成膜することができる。
【0123】
二層目の薄膜(Al)、一層目の薄膜(Mo)が、それぞれ所定膜厚だけ1枚目の基板901、2枚目の基板902に成膜されたら、第1、第2のカソード781、782への電圧印加を停止してスパッタリングを中止させる。
【0124】
次いで、搬送室79から、図示しない搬送機構によって、水平状態にされた3枚目の基板903を真空槽75内に搬入して、水平状態にされた第3の基板ホルダ823に載置させる。第3の基板ホルダ823は載置された3枚目の基板903を密着保持する。
【0125】
次に、回転台72を90°回転させ、第1〜第4の基板ホルダ821〜824を90°だけ回転させる。すると、第1の基板ホルダ821に保持された1枚目の基板901の表面は、窓75cを介して第3のカソード783に平行に対向配置され、第2の基板ホルダ822に保持された2枚目の基板902の表面は、第2のカソード782に平行に対向配置される。この状態で、第3の基板ホルダ823を起立させると、3枚目の基板903は第1のカソード781に平行に対向配置される(図11(d))。
【0126】
この状態で、第3のカソード783に所定の電圧を印加すると、反応性スパッタにより、1枚目の基板901の表面に三層目の薄膜(TiN)が成膜される。反応性スパッタによってTiN膜が成膜される詳細については、後述する。
【0127】
こうして第3のカソード783に所定電圧を印加するとともに、第1、第2のカソード781、782にそれぞれ所定電圧を印加すると、第1、第2のカソード781、782内のMoターゲット、Alターゲットがそれぞれスパッタリングされ、第1のカソード781に対向配置された3枚目の基板903の表面に一層目の薄膜(Mo)が成膜され、第2のカソード782に対向配置された2枚目の基板902の表面に二層目の薄膜(Al)が成膜される。このように、第1〜第3のカソード781、782に同時に所定の電圧を印加することにより、1枚目〜3枚目の基板901〜903の全ての表面に同時に成膜させることができる。
【0128】
三層目の薄膜(TiN)、二層目の薄膜(Al)、一層目の薄膜(Mo)が、それぞれ所定膜厚だけ1枚目、2枚目、3枚目の基板901、902、903に成膜されたら、第1〜第3のカソード781〜783への電圧印加を停止してスパッタリングを中止させる。
【0129】
次いで、第1の基板ホルダ821を水平状態にし、三層膜が成膜された1枚目の基板901を水平状態にさせ、図示しない搬送機構により、1枚目の基板901を真空槽75から搬送室79に搬出し、搬送室79から、図示しない搬送機構によって、水平状態にされた4枚目の基板904を真空槽75内に搬入して、水平状態にされた第1の基板ホルダ821に密着保持させる(図11(e))。
【0130】
以上説明したように、図10(a)に示す真空処理装置74では、複数枚の基板表面に成膜処理をする際に、1枚目の基板901に一層目の薄膜(Mo)を成膜したら、2枚目の基板901を真空槽内に搬入して、1枚目の基板901に二層目の薄膜(Al)を成膜すると同時に2枚目の基板902に一層目の薄膜(Mo)を成膜させることができ、薄膜を一層ずつ成膜するごとに次の基板を真空槽内に搬入し、順次薄膜を成膜することができるので、成膜に要する時間を短縮することができる。
【0131】
ところで、スパッタリング装置において、新たなターゲットをカソードに設けた場合には、何ら処理をせずにそのままスパッタリングをすると、表面状態が悪いことにより放電が安定せずに、表面にアーク放電が生じ、スパッタリングの結果成膜される膜質が劣化してしまったり、膜剥がれが生じてしまうなどの問題がある。
【0132】
図12に、ターゲットを備えた真空槽内部を大気雰囲気にした後に、再び真空槽内を真空状態にした時点から、ターゲットに供給される積算電力と、アーク放電の発生回数との関係を示す。図12によれば、積算電力が1kWh以下であれば、アーク放電の発生回数は1分間に100回以上となり、頻繁にアーク放電が発生しているが、積算電力が20kWh以上になると、1分間に2回以下まで低減されており、積算電力が小さければアーク放電の発生回数が多くなり、積算電力が大きくなると、アーク放電の発生回数が少なくなることがわかる。
【0133】
ターゲットの積算電力を大きくして、アーク放電の発生回数を低減する方法として、予めターゲットを一定量スパッタリング(以下でプリスパッタと称する。)が広く用いられている。
【0134】
従来ではプリスパッタにダミー用のガラス基板を用い、その表面に薄膜を成膜させていた。ガラス基板は強度が弱く、膜厚が1μm程度の薄い膜しか成膜できず、充分なプリスパッタを行うには、50μm程度の厚い膜を成膜する必要があるため、従来は複数枚のガラス基板を頻繁に交換しながら成膜する必要があった。そのため従来では、ダミー用のガラス基板の交換時間により、プリスパッタに長時間を要していた。
【0135】
しかしながら、図10(a)に示す真空処理装置74では、上述したように第4の基板ホルダ824が板状に成形されているので、プリスパッタ時に、板状に形成された第4の基板ホルダ824を起立させてターゲットに対向させ、ターゲットをスパッタリングさせて第4の基板ホルダ824の表面に成膜させることができる。
【0136】
さらに第4の基板ホルダ824の表面にはAl溶射がなされ、膜剥がれ対策が施されている。このためプリスパッタによって第4の基板ホルダ824の表面に薄膜が成膜されても、薄膜が剥がれて装置内を汚染することがない。このように、第4の基板ホルダ824により、ダミー用のガラス基板を用いることなくプリスパッタをすることができる。
【0137】
上述したように図10(a)に示す真空処理装置74では、ダミー用のガラス基板を用いる必要がないので、ダミー用の基板の交換時間が不要になり、プリスパッタに要する時間を短縮することができる。
【0138】
なお、図10(a)に示す真空処理装置74では、第4の基板ホルダ824を板状に成形しているが、本発明はこれに限らず、枠状の基板ホルダに、金属板が着脱可能に取付られるような構成にされていてもよい。この場合には、装置のメンテナンスの際に、金属板を交換することができる。
【0139】
さらにまた、図10(a)に示す真空処理装置74の真空槽75内には、上述した反応性スパッタを行なうために、Oリングが設けられている。図13に、Oリング99が設けられた真空処理装置74の要部断面図を示す。
【0140】
図13には、基板ホルダ82と、第3のカソード783のみを示し、基板ホルダ82が駆動機構84aにより起立して、カソード78と平行に対向配置された状態を示している。Oリング99は、第3のカソード783に面する窓の周囲を取り囲むように、真空槽75の内壁に設けられており、第1、第2のカソード781、782に面する窓の周囲には設けられていない。
【0141】
Oリング99が設けられていることにより、基板90を保持した状態で基板ホルダ82が起立し、第3のカソード783と対向配置されると、基板ホルダ82、枠76、第3のカソード783で仕切られる空間94内が気密になり、空間94中の雰囲気が真空槽75中の雰囲気と隔離されるようにされている。
【0142】
枠76には、図示しない排気口と、2個のガス導入口とが設けられており、2個のガス導入口から空間94内に、スパッタガスと、N2等の反応性ガスとをそれぞれ導入し、排気口から真空排気することができる。
【0143】
この状態で、第3のカソード783に所定電圧を印加する。第3のカソード783には、図示しないTi(チタン)ターゲットが設けられており、第3のカソード783に所定の電圧を印加すると、Tiターゲットがスパッタリングされ、スパッタリングされたTiがN2ガスと反応することで、上述した反応性スパッタリングがなされることにより、基板90の表面にTiN膜が成膜される。
【0144】
基板ホルダ82、枠76、第3のカソード783で仕切られる空間94内は気密になっており、この空間94内に導入されるスパッタガスや反応性ガスは真空槽75内には入らないので、第3のカソード783に所定電圧を印加して反応性スパッタをするとともに、第1、第2のカソード781、782に所定電圧を印加し、それぞれのカソード781、782に対向された基板表面ににMo膜、Al膜をそれぞれ成膜することができる。
【0145】
なお、図10(a)に示す真空処理装置74は、処理手段としてカソードを有しており、スパッタリング装置を構成しているが、本発明はこれに限らず、他の成膜装置、例えばCVD装置などに適用してもよい。
【0146】
また、第3のカソード783が設けられた窓75cの周囲にOリング99を設け、第3のカソード783のみを気密な状態にして、第1、第2のカソードと異なる処理をしているが、本発明はこれに限らず、いずれの窓にOリングを設けてもよく、必要があれば全部の窓75a、75b、75cにOリングを設ける構成にしてもよい。
【0147】
さらに、四角形の真空槽75を用いて、その内壁面の三面に第1〜第3のカソード781〜783が面するように構成しているが、真空槽を多角形にして、壁面にそれぞれ設けるような構成であればよい。例えば六角形の真空槽を用いて、その内壁面の五面にそれぞれカソードが配置されるようにしてもよい。
【0148】
また、図13ではOリング99を真空槽75の内壁に設けているが、本発明はこれに限らず、基板ホルダ82側にOリングを設けてもよい。
さらに、シール材としてOリングを用いているが、基板ホルダ82、枠76、第3のカソード783で仕切られる空間94内を気密にできるものであればこれに限られるものではない。
【0149】
【発明の効果】
小型、高スループットの真空処理装置が得られる。特に、スパッタリング装置に適用した場合には、単一の真空槽で多層膜を成膜することができる。
また、ダミーのガラス基板を用いることなくプリスパッタができ、さらに、単一の真空槽で処理雰囲気が異なる処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a):処理手順の参考例を説明するための真空処理装置の断面図
(b):その真空処理装置に用いられる基板起立装置を説明する斜視図
(c):その真空処理装置に用いられる基板起立装置を説明する平面図
(d):その真空処理装置に用いられる基板起立装置の第一の起立姿勢を説明する図
(e):その真空処理装置に用いられる基板起立装置の第二の起立姿勢を説明する図
【図2】(a):別の参考例を説明するための真空処理装置の断面図
(b):その真空処理装置に用いられる基板起立装置の起立姿勢の側面図
(c):その真空処理装置に用いられる基板起立装置の水平姿勢の側面図
(d):その真空処理装置に用いられる基板起立装置の斜視図
【図3】(a):処理手順の更に他の参考例を説明するための真空処理装置に用いられる基板ホルダの、基板通過可能な状態を説明する平面図
(b):その基板ホルダの基板通過可能な状態を説明する断面図
(c):その基板ホルダの基板載置可能な状態を説明する平面図
(d):その基板ホルダの基板載置可能な状態を説明する断面図
【図4】(a):その基板ホルダの基板の移し替え作業を示す第1の断面図
(b):その基板ホルダの基板の移し替え作業を示す平面図
(c):その基板ホルダの基板の移し替え作業を示す第2の断面図
(d):その基板ホルダの基板の移し替え作業を示す第3の断面図
【図5】(a):その基板ホルダの基板の移し替え作業を示す第4の断面図
(b):その基板ホルダの基板の移し替え作業を示す第5の断面図
【図6】(a):処理手順の更に他の参考例を説明するための真空処理装置の第一の断面図
(b):その真空処理装置の第二の断面図
【図7】(a):参考例において、カソードを3個有する真空処理装置の動作を説明する第1の斜視図
(b):参考例において、カソードを3個有する真空処理装置の動作を説明する第2の斜視図
(c):参考例において、カソードを3個有する真空処理装置の動作を説明する第3の斜視図
【図8】(d):参考例において、カソードを3個有する真空処理装置の動作を説明する第4の斜視図
(e):参考例において、カソードを3個有する真空処理装置の動作を説明する第5の斜視図
(f):参考例において、カソードを3個有する真空処理装置の動作を説明する第6の斜視図
【図9】(g):参考例において、カソードを3個有する真空処理装置の動作を説明する第7の斜視図
(h):参考例において、カソードを3個有する真空処理装置の動作を説明する第8の斜視図
(i):参考例において、カソードを3個有する真空処理装置の動作を説明する第9の斜視図
【図10】(a):本発明の実施形態の真空処理装置を説明する断面図
(b):その実施形態の基板起立装置の起立の状態を説明する側面図
(c):その実施形態の水平な状態の基板起立装置を説明する側面図
(d):その実施形態の起立状態の基板起立装置を説明する斜視図
【図11】(a):その実施形態の真空処理装置の動作を説明する第1の図
(b):その実施形態の真空処理装置の動作を説明する第2の図
(c):その実施形態の真空処理装置の動作を説明する第3の図
(d):その実施形態の真空処理装置の動作を説明する第4の図
(e):その実施形態の真空処理装置の動作を説明する第5の図
【図12】大気開放後のターゲットの積算電力と、アーク放電の発生回数との関係を説明するグラフ
【図13】本発明のその他の実施形態の真空処理装置を説明する要部断面図
【図14】従来の真空処理装置の一例を示す図
【図15】従来技術の成膜室の一例を示す図
【符号の説明】
31、41、71、81……基板起立装置 32、421、422、423、80、82、82 1 〜82 4 ……基板ホルダ(基板載置部) 30、41、61、75、93……真空槽 34……回転軸 35……駆動軸 47、57、67……フック 49……基板通過孔 72、84……回転台 75a、75b、75c……窓 761、762、763……枠 77……回転軸線 99……Oリング(シール材)

Claims (10)

  1. 真空槽と、
    前記真空槽の側壁に配置された複数の処理手段と、
    前記真空槽内に配置された複数の基板起立装置と、
    鉛直方向の回転軸線を中心として回転する回転台とを有し、
    前記各基板起立装置は基板載置部をそれぞれ有し、
    前記各基板起立装置は、前記基板載置部を水平姿勢にも起立姿勢にもできるように構成され、
    処理対象物の基板は前記水平姿勢の前記基板載置部に配置され、前記基板載置部が起立姿勢にされると、前記基板は前記基板載置部と共に起立姿勢にされるように構成され、
    前記水平姿勢では、前記各基板載置部は上下に重ね合わされ、
    前記各基板起立装置は前記回転台の回転によって回転し、起立姿勢にされた前記基板を前記処理手段に対面させるように構成された真空処理装置。
  2. 前記真空槽の壁面には窓が設けられ、前記処理手段は前記窓の外側に位置し、前記窓を介して前記基板と面するように構成された請求項1記載の真空処理装置。
  3. 複数の前記基板載置部のうち、少なくとも一つの前記基板載置部は遮蔽部を有し、前記基板載置部が前記遮蔽部と共に起立姿勢にされ、前記処理手段に対向したときに、前記遮蔽部と前記処理手段の間の前記窓部は、前記遮蔽部によって覆われるように構成された請求項2記載の真空処理装置。
  4. 前記遮蔽部は板状に形成された請求項3記載の真空処理装置。
  5. 前記真空槽内壁又は前記基板載置部のいずれか一方又は両方には、シール材が設けられ、
    前記シール材は、前記基板が起立の状態で前記処理手段と対向したときに、前記窓の周辺の前記真空槽の内壁と、前記基板載置部との間に配置されるように構成されたことを特徴とする請求項2記載の真空処理装置。
  6. 前記基板が起立の状態で、前記処理手段と対向したときに、前記シール材により、所定の基板の処理雰囲気を、他の基板の処理雰囲気と隔離することができるように構成された請求項5記載の真空処理装置。
  7. 前記真空槽と前記処理手段の間に配置され、前記窓の周囲に取りつけられた枠を有し、
    前記基板載置部に前記基板を保持させて起立姿勢にしたとき、前記基板載置部、前記枠、前記処理手段で仕切られる空間内が気密になり、前記真空槽中の雰囲気と隔離されるように構成された請求項5記載の真空処理装置。
  8. 前記枠には排気口とガス導入口が設けられており、前記処理手段がスパッタリング用カソードであり、前記排気口から前記空間内を真空排気し、前記ガス導入口からスパッタガスと反応性ガスを導入できるように構成された請求項7記載の真空処理装置。
  9. 前記処理手段が、スパッタリング用カソードであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の真空処理装置。
  10. 前記起立装置は複数の駆動軸を有し、前記各基板載置部は駆動軸に取りつけられ、前記 駆動軸が中心軸線を中心に回転すると起立姿勢になるように構成された請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の真空処理装置。
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