JP3821656B2 - 非晶質合金の摩擦接合方法と接合部材 - Google Patents

非晶質合金の摩擦接合方法と接合部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非晶質合金材料同士および非晶質合金材料と結晶材料との接合を可能とする摩擦接合法の技術に関するものであり、非晶質合金材料の応用範囲を拡げるものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
最近、結晶化の前でガラス遷移が見られ、広い過冷却液体領域を有しており、大きい非晶質形成能を示す各種非晶質合金が開発された。これら非晶質合金は、従来の非晶質合金に比較して大きな非晶質形成能を有しているために、単ロール式液体急冷法などのような大きな冷却速度が得られる特殊な方法のみならず、Cu鋳型鋳造や水焼き入れ法などのような比較的冷却速度の遅い一般的な鋳造法によってでも非晶質化し、バルク非晶質合金を比較的容易に作製することができるようになってきており、種々の実用化の検討が実施されてきている。
【0003】
非晶質合金材料は、溶接すると、溶接部が結晶化するのみならず、その熱影響部まで結晶化してしまうために、一般的な金属材料のように溶接ができなかった。また、高温での原子拡散を利用する固相拡散接合法でも、原子拡散が活発に生じる高温まで加熱すると結晶化してしまい、非晶質相を保持したままでの接合はできなかった。
【0004】
約15年ほど前に超音波接合により非晶質薄帯同士の接合が試みられているが、非晶質合金は高強度であるために、接合が不十分であり、また、結晶化してしまうという問題があった。このように、非晶質合金材料同士の接合や非晶質合金材料と他の結晶材料との接合ができなかったために、非晶質合金の応用範囲がかなり制約されている。
【0005】
結晶化温度前に過冷却液体温度域を示すアモルファス合金(金属ガラスと言われている)の接合に関しては、Appl. Phys. Lett., 67 (1995), 2008-2010.やMater. Sci. Eng., A219 (1996), 39-43 において、金属ガラス粉末をガラス遷移温度以上の過冷却液体温度域に加熱し、押出法を用いて剪断変形させることにより、金属ガラス粉末同士が強固に接合することが報告されている。この粉末の固化成形では、下記の問題がある。
【0006】
(1)酸化皮膜が破壊されて新生面で接合するが、押出可能な押出比が5以下であり、変形量が少ないために、酸化皮膜の破壊と分散が充分ではない。
(2)破壊された酸化物などは接合界面近傍に分散物として残留してしまうために、強固な接合強度が得られない。
(3)最初に粉末全体を外部ヒーターによりガラス遷移温度以上に加熱している。さらに、加工が接合面のみならず粉末全体に加わるために、粉末全体の温度が上昇してしまい、非晶質構造を保つ条件が制約されている。
【0007】
また、特開平9-323174号公報では、上記論文と同じように、金属ガラスをガラス遷移温度以上に加熱して塑性流動により接合する方法が報告されている。特に、金属ガラスパイプの摩擦圧接が、実施例(実施の形態6)として述べられている。この実施例では、300 秒間でPd系非晶質合金パイプをアルミニウム合金パイプに摩擦圧接している。この摩擦圧接には、下記の問題がある。
【0008】
(1)パイプの実施例のみが述べられているが、パイプのみではその応用範囲に制約がある。
(2)摩擦時間が5 分間(300 秒)であり、一回当たりの接合時間が長すぎて、大量生産に向かない。
(3)雰囲気が真空或いは不活性ガス雰囲気となっているが、これも大量生産には向かず、生産コストも高くなる。
(4)当金により座屈や変形を防止する方法も示されているが、この方法では、破壊および分散された酸化皮膜などの排出が起こらず、それらが接合界面に残留してしまい、強固な接合が得られない。また、当金が無いと母材の変形を招く。
(5)摩擦時間が5 分と長いために、摩擦熱の母材への熱伝導により、接合界面のみならず母材の温度が上昇し、母材の大きな変形を招くのみならず、母材の熱影響部での材料の脆弱化を招く可能性が大きい、などの問題がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結晶化温度前に約30K 以上の過冷却液体温度域(結晶化温度とガラス遷移温度の差で表される)を持つ金属ガラスの接合法であり、金属ガラス同士あるいは金属ガラスと結晶材料との接合法である。
【0010】
すなわち、本発明は、加熱速度 0.67K/s の場合に、ガラス遷移現象を示し、ガラス遷移温度と結晶化温度の差が 30K 以上である非晶質合金材料同士の接合または非晶質合金材料と結晶材料との接合を、両材料の接合面を加圧しながら回転させることにより発生する摩擦熱を利用して行う摩擦接合方法において、摩擦圧力を 10MPa 以上かつ 500 MPa 以下、摩擦時間を 60 秒以下とし、摩擦熱により両材料の接合界面近傍の非晶質合金材料を過冷却液体状態にするとともに、過冷却液体の粘性流動による超塑性変形を該摩擦圧力により生ぜしめることにより接合界面近傍の両材料を同時に接合界面の外側に張り出させることによって接合面の酸化皮膜破壊分断し、かつ張り出し材とともに接合界面から外部に排出することにより新生面で接合し、かつ過冷却液体の接合部における自己温度制御機能により、非晶質合金材料の接合部の結晶化を避けて、接合を行うことを特徴とする摩擦接合方法である。
【0011】
また、本発明は、接合界面近傍の超塑性変形により、張り出し長さが0.2r(r は接合材の半径)以上の張り出しを形成することを特徴とする上記の接合方法である。
【0012】
また、本発明は、両材料の接合面の周縁部に 45 °以下のテーパーのエッジを付けることにより、パイプ材または丸棒材の接合を行うことを特徴とする上記の接合方法である。
【0014】
また、本発明は、 回転を止めると共にアップセット圧力を付加させることを特徴とする上記の接合方法である。
【0015】
さらに、本発明は、上記の接合方法によって接合された非晶質合金材料同士または非晶質合金材料と結晶材料とからなる接合部材である。
【0016】
【作用】
非晶質合金は、加熱して行くと、ガラス遷移温度で非晶質固体から過冷却液体に遷移し、さらに温度を上げて行くと、過冷却液体から結晶に遷移する。過冷却液体状態とは、ガラス遷移温度以上結晶化温度以下の領域のことである。過冷却液体状態になると原子が動きやすくなり、原子の協同現象により粘性流動が起きる。最近の研究では、この粘性流動により超塑性、すなわち、200%以上の伸びが一軸引っ張りで生じる現象が出現することが知られている。
【0017】
本発明の方法では、上記の現象により、接合界面近傍に摩擦圧力により生ぜしめた非晶質合金材料の超塑性変形による張り出し部が接合界面の外側に形成される。本発明の方法における接合機構は、以下のように考えられる。摩擦熱により接合部近傍が加熱され、その温度がガラス遷移温度以上で超塑性変形温度領域に入ると、加圧によって超塑性温度領域に加熱された接合界面近傍の領域が張り出される。加圧初期の接合界面の摩擦と張り出し形成により酸化皮膜の破壊と分断が行われ、かつ破壊、分断された酸化皮膜が張り出し材とともに接合界面から外部に排出されて接合界面が清浄になると同時に接合面が密着される。これにより非晶質合金材料が相手材料に接合される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、接合界面近傍の超塑性変形により、張り出しを形成することを特徴としており、この張り出しにより、酸化皮膜の破壊と分散が促進されるのみならず、それらの酸化物が張り出し材と共に接合界面から外部に排出され、酸化物などの不純物を含まない接合界面が得られ、その結果として、より強固な接合が得られる。
【0019】
本発明の方法においては、非晶質合金材料同士または非晶質合金材料と結晶材料とを摩擦熱により加熱してガラス遷移温度以上結晶化温度以下の温度になるように条件を制御する。摩擦熱によりガラス遷移温度以上になるように条件を制御さえすれば、結晶化温度以下の温度に自動的に制御される自己温度制御機能が過冷却液体の接合部において働く。これは、ガラス遷移温度以上になると非晶質合金の粘性が急激に減少するために、それに伴い発生する摩擦熱も減少し、温度がそれ以上上昇しなくなるからである。
【0020】
温度上昇は力と時間に比例する。過冷却液体になると、力が急激に減少する。材料にもよるが、例えば、20Kの温度上昇により粘性が一桁減少する。このため、温度上昇が制御され、この機能により、非晶質合金材料の接合部の結晶化を避けて接合を行うことが可能になる。
【0021】
本発明の方法は、接合界面近傍の超塑性変形により、図3(a)に模式的に示す張り出しCの長さが0.2r(r は接合材の半径)以上、好ましくは1.0 ×r程度の張り出しを形成することを特徴とする。張り出しCが0.2r未満では、酸化物の排出が不十分であるために、接合界面に酸化物が残留してしまい、高い接合強度が得られない。張り出しが0.4r以上だと、接合界面に残留する酸化物が十分に減少し、高い接合強度が得られるので望ましい。これにより、酸化皮膜の破壊と分散が促進されるのみならず、それらの酸化物が張り出し材と共に接合界面から外部に排出され、酸化物などの不純物を含まない接合界面が得られ、その結果として、より強固な接合が得られる。
【0022】
摩擦圧力は10MPa 以上かつ500 MPa 以下、好ましくは150MPa程度であり、また、摩擦時間も60秒以下であることを特徴としている。これにより、脆弱化あるいは結晶化を避けることが容易になると共に、摩擦時間の短縮による生産性向上を可能にする。これは、加圧力が高くなると、加熱速度が速くなり、また、張り出し形成の流動速度が速くなり、より短時間で張り出し部を形成することができるようになるためである。
【0023】
同じ長さの張り出しを形成させる場合、圧力が小さいと、接合部の温度をより高くしたり、摩擦時間を長くする必要がある。特に、接合部の温度を高くするにはより高い回転数が必要となる。その結果、接合部が結晶化する危険性が高くなる。また、圧力が小さいと、接合部の摩擦による温度上昇が小さくなる。さらに、接合界面の温度を同じになるようにしても、圧力が小さいと、張り出しが小さくなり、その結果、接合面の酸化皮膜の排出が少なく、接合強度が小さくなる。一方、圧力を高くしすぎると、接合部の摩擦による温度上昇が大きくなり、結晶化の危険が高くなる。
【0024】
一般に、非晶質合金の結晶化温度は時間が長いほど低下する。よって、摩擦時間が長いと、接合部の結晶化の危険が高くなる。また、摩擦時間が長いと、その間に張り出しが形成され続け、接合材料が小さくなってしまう。さらに、熱伝導により接合界面の熱が母材の方へ伝わり、母材の温度が上昇し、母材が変形したり、母材の結晶化の危険性が高くなる。
【0025】
特に、加圧力を高めて、摩擦時間を60秒以内とすることにより、接合面近傍のみを加熱し、母材への熱伝達とそれによる母材の変形を防ぎ、接合界面近傍のみの変形に留めることも可能になる。さらに、短時間で接合が完了するために、接合時の雰囲気として、真空あるいは不活性ガス雰囲気を用いなくても、強固な接合が得られるようになる。
【0026】
また、本発明の方法では、金属ガラスの接合面の周縁部に45°以下、好ましくは30°程度のテーパーのエッジを切削などの手段によって付けることにより、中心部から酸化物の排出が進み、最終的には酸化物の接合界面からの排出を可能にし、強固な接合が得られる。さらに、接合時の雰囲気として、真空あるいは不活性ガス雰囲気を用いなくても、強固な接合が得られるようになる。よって、パイプのみならず、棒材や板材の接合も可能になる。
【0027】
回転体の摩擦では、外周部が先に加熱される。フラットな面であると接合面の酸化皮膜が外部に排出されなくなる。接合面の周縁部にテーパーのエッジを付けると、内部から変形が始まり、接合面の酸化皮膜が外部に押し出され易くなる。したがって、接合面が小面積の場合はテーパは無くても接合は可能であるが、大面積の場合はテーパを設けることが望ましい。また、テーパ大きくした場合、接合に不必要な過剰張り出しが形成され、接合部材が小さくなってしまう。
【0028】
本発明の方法においては、通常の熱分析で行われている0.67K/sの加熱速度で熱分析した場合、ガラス遷移温度と結晶化温度の差が30K 以上である非晶質合金材料を相手材料と接合する。接合材の材質と形状の組み合わせは種々可能であるが、その例を図9に示す。また、接合材Aと接合材Bが共に非晶質合金の組み合わせの形態1〜5を表1に、接合材Aが非晶質合金であり接合材Bが結晶質合金である組み合わせの形態6〜10を表2に、接合材Aが結晶質合金であり接合材Bが非晶質合金である組み合わせの形態11〜13を表3に示す。これらの組み合わせの形態で接合された部材はいずれも接合性および非晶質合金部の非晶質性は良好である。
【0029】
ちなみに、表中のZrTiCuNiBeのΔTx(=Tx-Tg)は120 Kであり、強度は1900MPa、FeAlGaPCB のΔTx(=Tx-Tg)は45Kであり、強度は不明、PdNiCuP のΔTx(=Tx-Tg)は95Kであり、強度は1600MPa 、CoFeNbB のΔTx(=Tx-Tg)は75Kであり、強度は不明、ZrAlNiCuのΔTx(=Tx-Tg)は82Kであり、強度は1500MPa 、PdNiP のΔTx(=Tx-Tg)は73Kであり、強度は1600MPa である。
【0030】
【表1】
Figure 0003821656
【0031】
【表2】
Figure 0003821656
【0032】
【表3】
Figure 0003821656
【0033】
【実施例】
実施例1
0.67K/s という加熱速度でガラス遷移温度と結晶化温度の差が約73K であるPd40Ni40P20 非晶質合金の丸棒材を、図1(b)のように、長さa=10mmの内の接合面側の長さb=4mmの部分の直径cを4.4mmとし、非接合面側の直径dを4mmとし、図3(a)に示すように、接合面F、Fの周縁に長さe=1.2mmの位置まで接合面に対する角度θとして45°のテーパーをつけて接合面F、Fの直径fを2mmに加工して接合試験片を作製した。
【0034】
この試験片を接合材Aと接合材Bとして、図1(a)に示すような、クラッチ1とブレーキ2を介してモータ3で回転させるチャック4と油圧プレス6で軸方向に押圧されるチャック5からなる摩擦接合装置に取り付けた。
図2に、横軸=時間、縦軸=回転数および荷重を示すように、片方の接合材Aをモータ3によりN1=6000rpmで回転させた状態で、油圧プレス6によりP1=100MPa の荷重を付加し、t1=0.2秒後に、ブレーキ2により回転を止めると共にP2=150MPa のアップセット圧力をt2=3秒間付加させることにより、非晶質合金材料を接合させた。
【0035】
得られた接合体の外観は、図3(b)の側面図に示すように、接合部に6mmの張り出しCを形成することができた。接合試験片をゲージ長さ4.0mm、ゲージ部直径1.7mmの引っ張り試験片に加工して引張試験を行った結果、引張強度が1500MPa であり、Pd40Ni40P20 非晶質合金材料自身の引張強度が得られ、強固に接合していることが明らかになった。
【0036】
また、引張試験後の破面には、図4の走査型電子顕微鏡写真に示すように、粘ばい非晶質合金に特有のベインパターンが観察され、脆弱化せずに接合していることが分かった。接合試験片の接合部の断面は、図5の光学顕微鏡写真(a)と走査型電子顕微鏡写真(b)に示すように、欠陥が観察されず、接合面全体に亘って強固に接合していることが分かった。
【0037】
また、この断面のマイクロエリアX線回折図形を図6に示す。回折図形には、結晶相に対応する回折ピークは見られず、非晶質合金に特有のハロー図形のみが見られ、非晶質相を保持して接合していることが明らかになった。
【0038】
実施例2
0.67K/s という加熱速度でガラス遷移温度と結晶化温度の差が約82K であるZr55Al10Ni5Cu30 非晶質合金の丸棒材を用いた他は実施例1と同様に、接合試験片を作製した。
【0039】
この試験片を、摩擦接合装置に取り付け、片方の試験片を7000rpm で回転させた状態で、100MPaの荷重を付加し、0.2 秒後に、ブレーキにより回転を止めると共に150MPaのアップセット圧力を3 秒間付加させることにより、非晶質合金材料を接合させた。
【0040】
接合試験片を引張試験した結果、引張強度が1500MPa であり、Zr55Al10Ni5Cu30 非晶質合金材料自身の引張強度が得られ、強固に接合していることが明らかになった。また、接合試験片の接合部の断面には欠陥が観察されず、接合面全体に亘って強固に接合していることが分かった。
【0041】
また、この断面のマイクロエリアX 線回折実験の結果、回折図形には、結晶相に対応する回折ピークは見られず、非晶質合金に特有のハロー図形のみが見られ、非晶質相を保持して接合していることが明らかになった。
【0042】
実施例3
0.67K/s という加熱速度でガラス遷移温度と結晶化温度の差が約73K であるPd40Ni40P20 非晶質合金材料と通常の軟鋼材の丸棒材を用いた他は実施例1と同様に接合試験片を作製した。
【0043】
この試験片を、摩擦接合装置に取り付け、片方の試験片を6000rpm で回転させた状態で、100MPaの荷重を付加し、0.2 秒後に、ブレーキにより回転を止めると共に150MPaのアップセット圧力を3 秒間付加させることにより、非晶質合金材料と軟鋼材を接合させた。張り出しは2mmであった。
【0044】
接合試験片を引張試験した結果、軟鋼材自身の引張強度が得られ、強固に接合していることが明らかになった。また、接合試験片の接合部の断面には、欠陥が観察されず、接合面全体に亘って強固に接合していることが分かった。
【0045】
また、この断面のマイクロエリアX 線回折実験の結果、非晶質合金材料の部分の回折図形には、結晶相に対応する回折ピークは見られず、非晶質合金に特有のハロー図形のみが見られ、非晶質相を保持して接合していることが明らかになった。
【0046】
実施例4
0.67K/s という加熱速度でガラス遷移温度と結晶化温度の差が約73K であるPd40Ni40P20 非晶質合金材料と通常のアルミニウム材の丸棒材を用いた他は実施例1と同様に、接合試験片を作製した。
【0047】
この試験片を、摩擦接合装置に取り付け、片方の試験片を6000rpm で回転させた状態で、100MPaの荷重を付加し、0.2 秒後に、ブレーキにより回転を止めると共に150MPaのアップセット圧力を3 秒間付加させることにより、非晶質合金材料とアルミニウム材を接合させた。張り出しは2mmであった。
【0048】
接合試験片を引張試験した結果、引張強度が400MPaであり、アルミニウム材自身の引張強度が得られ、強固に接合していることが明らかになった。また、図7 に示すように、接合試験片の接合部の断面には、欠陥が観察されず、接合面全体に亘って強固に接合していることが分かった。
【0049】
また、この断面のマイクロエリアX 線回折実験の結果、非晶質合金材料の部分の回折図形には、結晶相に対応する回折ピークは見られず、非晶質合金に特有のハロー図形のみが見られ、非晶質相を保持して接合していることが明らかになった。
【0050】
実施例5
0.67K/s という加熱速度でガラス遷移温度と結晶化温度の差が約120KであるZr47Ti8Cu7.5Ni10Be27.5非晶質合金の丸棒材を用いた他は実施例1と同様に、接合試験片を作製した。
【0051】
この試験片を、摩擦接合装置に取り付け、100MPaの荷重を付加した状態で片方の試験片を6000rpm で回転させて、0.1 秒後に、150MPaのアップセット圧力を3 秒間付加させることにより、非晶質合金材料を接合させた。張り出しは5mmであった。
【0052】
接合試験片を引張試験した結果、引張強度が1900MPa であり、Zr47Ti8Cu7.5Ni10Be27.5非晶質合金材料自身の引張強度が得られ、強固に接合していることが明らかになった。また、接合試験片の接合部の断面には欠陥が観察されず、接合面全体に亘って強固に接合していることが分かった。
【0053】
また、この断面のマイクロエリアX 線回折実験の結果、回折図形には、結晶相に対応する回折ピークは見られず、非晶質合金に特有のハロー図形のみが見られ、非晶質相を保持して接合していることが明らかになった。
【0054】
実施例6
0.67K/s という加熱速度でガラス遷移温度と結晶化温度の差が約95K であるPd40Ni10Cu30P20 非晶質合金の丸棒材を用いた他は実施例1と同様に接合試験片を作製した。
【0055】
この試験片を、摩擦接合装置に取り付け、片方の試験片を6000rpm で回転させた状態で、100MPaの荷重を付加し、0.2 秒後に、ブレーキにより回転を止めると共に150MPaのアップセット圧力を3 秒間付加させることにより、非晶質合金材料を接合させた。張り出しは7mmであった。
【0056】
接合試験片を引張試験した結果、引張強度が1600MPa であり、Pd40Ni10Cu30P20 非晶質合金材料自身の引張強度が得られ、強固に接合していることが明らかになった。また、接合試験片の接合部の断面には欠陥が観察されず、接合面全体に亘って強固に接合していることが分かった。
【0057】
また、この断面のマイクロエリアX 線回折実験の結果、回折図形には、結晶相に対応する回折ピークは見られず、非晶質合金に特有のハロー図形のみが見られ、非晶質相を保持して接合していることが明らかになった。
【0058】
実施例7
0.67K/s という加熱速度でガラス遷移温度と結晶化温度の差が約73K であるPd40Ni40P20 非晶質合金の丸棒材を用いた他は実施例1と同様に、接合試験片を作製した。
【0059】
この試験片を、摩擦接合装置に取り付け、片方の試験片を6000rpm で回転させた状態で、10MPa の荷重を付加し、60秒後以内に、ブレーキにより回転を止めると共に15MPa のアップセット圧力を3 秒間付加させることにより、非晶質合金材料を接合させた。張り出しは2〜10mmであった。摩擦時間はそれぞれ0.1,0.3,1.0,5,10,60秒とした。
【0060】
接合試験片を引張試験を行った結果、図8に示すように、引張強度は摩擦時間が60秒では1600MPa であり、Pd40Ni40P20 非晶質合金材料自身の引張強度が得られ、強固に接合していることが明らかになった。
【0061】
接合試験片の接合部の断面は、欠陥が観察されず、接合面全体に亘って強固に接合していることが分かった。また、回折図形には、結晶相に対応する回折ピークは見られず、非晶質合金に特有のハロー図形のみが見られ、非晶質相を保持して接合していることが明らかになった。
【0062】
比較例1
摩擦時間を60秒を超えるようにした以外は実施例7と同様に接合した。摩擦時間はそれぞれ70秒、80秒、100秒、500秒とした。図8に示すように、摩擦時間が60秒以上では、引張強度が減少した。回折図形には、結晶相に対応する回折ピークが見られ、結晶化したことが明らかになった。
【0063】
【発明の効果】
本発明の非晶質を保持した状態で充分な強度が得られる非晶質合金材料の接合方法によれば、その作用として、接合に関しては、(1)摩擦による酸化皮膜の破壊と分散、(2)摩擦熱によって接合界面の温度が過冷却液体温度域まで上昇することによる接合界面の著しい軟化と超塑性変形による酸化物の破壊と分散の促進、(3)その時の超塑性変形による張り出し形成に伴う酸化物の排出、による強固な接合が達成できる。
【0064】
一方、接合界面の脆弱化や結晶化防止に関しては、(1)高い摩擦圧力と短時間摩擦圧接による加熱時間と加熱領域の低減、(2)張り出し形成による温度上昇部の排出による接合界面での加熱部体積減少による冷却効率向上、(3)過冷却液体状態における、接合界面の加工発熱による温度上昇の粘性激減による自己抑制、による接合界面近傍の熱履歴の減少が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、実施例1〜7の摩擦接合法を示す模式図、(b)は、接合試験片形状を示す側面図である。
【図2】実施例1〜7の摩擦接合法の接合条件を示す模式図である。
【図3】実施例1の接合前の接合試験片(Pd40Ni40P20/Pd40Ni40P20 )と接合後の接合試験片の形状を示す側面図である。
【図4】実施例1の接合後の接合体の破断面を示す図面代用の走査型電子顕微鏡写真(Pd40Ni40P20/Pd40Ni40P20)である。
【図5】実施例1の接合後の接合体の接合界面の断面組織を示す図面代用の写真(Pd40Ni40P20/Pd40Ni40P20 :光学顕微鏡写真(a)と走査型電子顕微鏡写真(b)である。
【図6】実施例1の接合後の接合体の接合界面のマイクロエリアX 線回折図形(Pd40Ni40P20/Pd40Ni40P20 )を示すグラフである。
【図7】実施例4の接合後の接合体(Pd40Ni40P20/アルミニウム)の接合界面の断面組織を示す図面代用の光学顕微鏡写真である。
【図8】実施例7の接合後の接合材の引張強度の摩擦時間(t1)依存性を示すグラフである。
【図9】本発明の方法における接合材の材質と形状の組み合わせの例を示す概念図である。

Claims (5)

  1. 加熱速度0.67K/s の場合に、ガラス遷移現象を示し、ガラス遷移温度と結晶化温度の差が30K 以上である非晶質合金材料同士の接合または該非晶質合金材料と結晶材料との接合を、両材料の接合面を加圧しながら回転させることにより発生する摩擦熱を利用して行う摩擦接合方法において、
    摩擦圧力を10MPa 以上かつ500 MPa 以下、
    摩擦時間を60秒以下とし、
    摩擦熱により両材料の接合界面近傍の非晶質合金材料を過冷却液体状態にするとともに、過冷却液体の粘性流動による超塑性変形を該摩擦圧力により生ぜしめることにより接合界面近傍の両材料を同時に接合界面の外側に張り出させることによって
    接合界面の酸化皮膜を破壊、分断し、かつ張り出し材とともに接合界面から外部に排出することにより新生面で接合し、かつ過冷却液体の接合部における自己温度制御機能により、非晶質合金材料の接合部の結晶化を避けて、接合を行うことを特徴とする摩擦接合方法。
  2. 接合界面近傍の超塑性変形により、張り出し長さが0.2r(rは接合材の半径)以上の張り出しを形成することを特徴とする請求項1記載の接合方法。
  3. 両材料の接合面の周縁部に45°以下のテーパーのエッジを付けることにより、パイプ材または丸棒材の接合を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の接合方法。
  4. 回転を止めると共にアップセット圧力を付加させることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の接合方法。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載の接合方法によって接合された非晶質合金材料同士または非晶質合金材料と結晶材料とからなる接合部材。
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