JP3819748B2 - 管切断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、狭い場所でも例えば鋼管や鋳鉄管を任意の場所で高精度にかつ短時間で切断することができる管切断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば都市ガス配管において、埋設管の切換工事を行う場合には、図6に示すように、先ず、切換工事を行う管路1を掘削して露出させた後、切断連絡する箇所の管内圧力を低圧にし、その後、切取る管路1の前後をエアーバック2等を用いて仮閉鎖する。
【0003】
次に、図7に示すような、例えば2個で対を成し、夫々の一端側を枢支して他端側を接離揺動可能に構成した半円状の各フレーム3に、夫々2個のカッター刃4を同一円周上となるように回転が自在なように配置したパイプロータリーカッター5を管路1の切断位置aに抱持状に設置した後、フレーム3の外周面複数箇所に突設状に形成した凸部3aに順次ハンドル6を付け替えて廻すことにより、管路1の周りを、パイプロータリーカッター5を少しずつ公転させながら対を成すフレーム3の他端側を締付けてゆくことにより、カッター刃4を管に押し付けて切断している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したカッター刃を用いた押し切り方式の切断は全てが人力作業に頼っており、作業性に問題がある。また、カッター刃を用いて切断する際、管路に圧縮力が働いていた場合には、このカッター刃が管肉厚に噛み込んで破損したり、荷重(負荷)が大きくなって多大な時間が必要になったりする。場合によっては、折損したカッター刃が管体に噛み込んで外れないことも度々発生する。
【0005】
さらに、パイプロータリーカッターを公転させるためにハンドルを取り付けることから、切断すべき管路上に交差する管路等が存在する場合には、ハンドルが交差する管路等に干渉してパイプロータリーカッターを公転させることができないので、切断位置をずらせる必要があった。
【0006】
加えて、前記したカッター刃を用いた押し切り方式の切断作業では、切断によって切取られる幅が微小であることから、管路2箇所を切断してもそのままでは切断した管を吊り上げて撤去することができず、もう一箇所余分に切断した後、無理やり吊り上げて撤去する必要があった。
【0007】
本発明は、上記した課題に鑑みて成されたものであり、重量の軽い可搬型であって、狭い堀方の中における任意の場所(位置)で、切断すべき管路上に交差する管路等が存在する場合においても、切断位置をずらすことなく、しかも、可及的に短時間で管の切断が可能な管切断装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る管切断装置は、管の外周面に所定の間隔を存して平行に巻回される2本のローラチェーンと、これら2本のローラチェーンに係合するスプロケット及び回転自在な転動ローラを下面側適所に各4個ずつ枢支すると共に前記スプロケットの回転機構を備え、前記転動ローラを介して管外周面上に載置され、スプロケットの回転によりローラチェーンに沿って管外周面上を移動可能な架台と、前記各ローラチェーンに係合する2個のスプロケットの間隔を、一方のスプロケットを他方のスプロケットに対し接離移動させて前記各ローラチェーンに張力を付与すべく、架台に設けられた張力付与機構と、前記架台上に配置された回転刃を有する切断機構及びこの切断機構の回転刃を管軸心に対して接離移動させる切込み機構を具備させたこととしている。そして、このようにすることで、狭い場所においても管を容易にかつ短時間で切断することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る管切断装置は、可搬型の管切断装置であって、管の外周面に所定の間隔を存して平行に巻回される2本のローラチェーンと、これら2本のローラチェーンに係合するスプロケット及び回転自在な転動ローラを下面側適所に各4個ずつ枢支すると共に前記スプロケットの回転機構を備え、前記転動ローラを介して管外周面上に載置され、スプロケットの回転によりローラチェーンに沿って管外周面上を移動可能な架台と、
前記各ローラチェーンに係合する2個のスプロケットの間隔を、一方のスプロケットを他方のスプロケットに対し接離移動させて前記各ローラチェーンに張力を付与すべく、架台に設けられた張力付与機構と、前記架台上に配置された回転刃を有する切断機構及びこの切断機構の回転刃を管軸心に対して接離移動させる切込み機構を具備してなるものである。
【0010】
本発明に係る管切断装置では、切断しようとする管端部に、ローラチェーンを巻回することで、切断機構を設けた架台を管外周面上に設置する。
【0011】
次に、刃先を管端に切り込ませた後、作業者が回転機構を作動して切断機構をローラチェーンに沿って管端の周りを移動させる。以上の操作によって、狭い場所であっても、容易にセッティングができて、管の任意の位置を可及的に短時間で切断することができる。
【0012】
また、本発明に係る管切断装置において、回転刃への冷却用切削剤供給装置を具備させた場合には、刃先を管端に切り込ませる際、回転刃に冷却用切削剤を供給しながら行なうことで、火花の発生を確実に防止できる。
【0013】
また、本発明に係る管切断装置において、案内部材に沿う管外周の移動が、回転刃の回転方向と反対方向にのみ行えるように回転機構に逆転防止機構を設けた場合には、切断機構や架台の逆方向への移動が防止され、作業者の労力が軽減されて切断時における安全性が確保できる。
【0014】
また、本発明に係る管切断装置において、冷却用切削剤供給装置を備えている場合に、回転刃への冷却用切削剤の供給がなされない限り回転刃の回転を行わないインターロック機構を設けた場合には、切断時、火花の発生を確実に防止できる。
【0015】
また、本発明に係る管切断装置において、切断機構として、エアーモータによりチップソーを回転させる構造を採用した場合には、切断時、管路を数ミリ幅切り取るので、2箇所のみの切断で切断した管を容易に吊り上げることができる。
【0016】
上記した本発明に係る管切断装置のうち回転刃への冷却用切削剤供給装置を具備したものを用いて管を切断するに際しては、チップソーを回転させつつ、このチップソーに冷却用切削剤を供給しながら、チップソーを移動させることにより、火花の発生は完全に抑制でき、かつ、切断作業も良好に行なえることになる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明に係る管切断装置を図1〜図5に示す実施例に基づいて説明すると共に、この管切断装置を用いて管の任意の位置や管を軸方向に切断する方法に及ぶ。
図1〜図5は本発明に係る管切断装置の一実施例を示した図で、図1は概略斜視図、図2は一部断面して示す平面図、図3は図2を一部断面して側面から見た図、図4は図1において架台から切断機構を取外した状態を示す図、図5は回転刃への冷却用切削剤供給機構の概略構成図である。
【0018】
図1〜図5において、11は本発明に係る可搬型の管切断装置であって、例えば、クランプを兼ねた案内部材12と、管Pの外周面に載置され前記案内部材12に沿って管Pの外周を移動可能な架台13と、回転刃14を有する切断機構15と、この切断機構15の切込み機構16と、前記回転刃14への冷却用切削剤供給装置17を備えている。
【0019】
前記クランプを兼ねた案内部材12は、例えば所定の間隔を存して配置される2本のローラチェーンによって構成され、これら2本のローラチェーンは巻回される管Pの外周長さより若干長い長さとなされている。これら対を成す2本のローラチェーンは管Pに巻回された際にほぼ同じ間隔を存するように巻回する必要があることから、2本のローラチェーンを例えばロッドで繋いで2本のローラチェーン間の間隔を一定に保つようにしても良い。
【0020】
また、架台13は、図1〜図5に示した実施例では、前記した案内部材12すなわち2本のローラチェーンに係合する回転部材であるスプロケット13aをその下面側の例えば四隅近傍位置にそれぞれ1個ずつで計4個、また、これらスプロケット13aの内側に回転自在な転動ローラ13bをそれぞれ1個ずつで計4個枢支すると共に、前記した各スプロケット13aの回転機構13c及び張力付与機構13dを備え、前記転動ローラ13bを介して管Pの外周面上に載置した状態で、回転機構13cによって各スプロケット13aを回転させることにより案内部材12である2本のローラチェーンに沿って管Pの外周面上を架台13が移動するようになっている。
【0021】
そして、図1〜図5に示した実施例では、各スプロケット13aの回転機構13cとして、同軸に設けた2個のハンドル13caによってウォーム13cbを介して各スプロケット13aと同軸のウォームホイール13ccを回転するものを示している。また、張力付与機構13dとして、図1〜図5に示した実施例では、ねじ軸13daの正逆回転により、一方側のスプロケット13aを枢支する台座13dbを架台13に設けた溝13fに沿ってスライドさせることで、他方側のスプロケット13aに対して接離移動可能とし、これらスプロケット13aに係合するローラチェーンに所定の張力を付与するものを示している。なお、13gは一方側のスプロケット13aのスライド量を測るスケールである。
【0022】
また、前記切断機構15は、前記した架台13上に例えばボルトによって取外し可能に配置され、回転刃14例えばチップソーをエアーモータ15aにより回転させるものである。
【0023】
また、前記切込み機構16は、前記回転刃14を管軸心に対して接離移動させることで行なうもので、図1〜図5に示す実施例では、例えばハンドル16aを正逆回転させることでウォーム16bを介してウォームホイール16cと同軸のピニオン16dを正逆回転させ、このピニオン16dに噛合すべく切断機構15の一方外側面に設けたリングギア16eを介して、切断機構15の他方外側面に設けた枢支ピン16gを支点として回転刃14を上下方向に揺動させることで回転刃14を管軸心に対して接離移動させるものを示している。なお、16fは回転刃14の管軸心に対する接離移動をロックするクランプレバーである。
【0024】
また、回転刃14への冷却用切削剤供給機構17は、例えば図5に示したように、冷却用切削剤17aの貯留用タンク17bと、切削時、このタンク17b内の冷却用切削剤17aを回転刃14に供給するためのポンプ17c及び配管17dと、回転刃14への冷却用切削剤17aの供給を感知して、回転刃14への圧縮空気の供給を開始すべくバルブを開放することで、回転刃14に冷却用切削剤17aが供給されない限り回転刃14の回転を行わせないようにするためのインターロック機構17eを具備した構成のものを示している。
【0025】
上記した構成の本発明に係る管切断装置11では、切断しようとする管Pの任意の位置に、クランプを兼ねた案内部材(ローラチェーン)12を巻回した後、ねじ軸13daを回転させて台座13dbを架台13の一方側に移動させることで同一のローラチェーンに係合するスプロケット13a同士を離反させ、ローラチェーンの張力を調整して予め切断機構15や切込み機構16を取り付けてある架台13を管Pの外周面上に設置する。
【0026】
次に、ポンプ17cを駆動して回転刃14に冷却用切削剤17aを供給しながら、エアーモータ15aを駆動させた状態でハンドル16aを廻し、回転刃14の刃先を管端に切り込ませる。管内面に2〜3mm、回転刃14の刃先が貫通したところで、クランプレバー16fを回動させて回転刃14(切断機構15)の位置を固定する。そして、この切り込ませた状態で、作業者がハンドル13caを廻して架台13ごと切断機構15を案内部材12に沿って管端の周りを移動させる。以上の操作によって管Pの任意の位置における切断が完了する。
【0027】
上記した管切断装置11を用いた管Pの任意の位置での切断時において、回転刃14として例えば外径が135mmのチップソーを採用した場合には、このチップソーをエアーモータ15aにより例えば1分間に1000回転させると、チップの半径方向中心位置の周速は約1000×135×π≒423900mm/分=7065mm/秒=7.065m/秒となることから、例えばチップソーを8.0m/秒以下の速度で回転させつつ、このチップソーに冷却用切削剤17aを供給しながら、チップソーを移動させることにより、回転刃14が管に乗り上げることもなく安全に切断できると共に、切断時における火花の発生も完全に抑制することができる。
【0028】
ところで、本発明に係る管切断装置11を用いて上記したように管Pの任意の位置を切断する際には、回転刃14の回転によりハンドル13caは架台13を移動させる方向と反対方向に回転しようとするので、切断時、作業者は常にこの力に抗してハンドル13caが反対方向に回転しないように保持しておく必要がある。
【0029】
従って、案内部材12に沿う管Pの外周面上の移動が、回転刃14の回転方向と反対方向にのみ行うように回転機構13cに例えば一方向クラッチなどの逆転防止機構を設けた場合には、切断機構15の逆方向への移動が防止され、作業者の労力が軽減されて切断時における安全性が確保できる。なお、本実施例では、ウォーム歯車を使用することで、逆転を防止している。すなわち、本実施例では、ウォーム13cbとウォームホイール13ccが逆転防止機構を兼ねている。
【0030】
本発明に係る管切断装置11の実施例では、防爆仕様のものとして、エアーモータ15aを使用して回転刃14を回転させるものを示したが、防爆仕様でない場合には、電気モータを使用しても良く、また、インターロック機構17eを設ける必要もない。
【0031】
また、第1の管切断装置11の回転機構13c、張力付与機構13dや切込み機構16も同様の作用を奏するものであれば適宜設計変更は任意である。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、狭い場所においても、切断すべき管路上に交差する管路等が存在する場合においても、切断位置をずらすことなく、容易に、しかも、可及的に短時間で管を切断することができる。そして、案内部材に沿う管外周面上の移動を、回転刃の回転方向と反対方向にのみ行うように回転機構に逆転防止機構を設けた場合には、切断機構の逆方向への移動が防止され、切断時における安全性を確保できるようになる。
【0033】
また、冷却用切削剤供給装置を備えている場合に、回転刃への冷却用切削剤の供給がなされない限り回転刃の回転を行わないようにするインターロック機構を設けた場合には、切断時、火花の発生を確実に防止できる。さらに、回転刃としてチップソーを使用した場合には、切断時、管路を数ミリ幅切り取るので、2箇所のみの切断で切断した管を容易に吊り上げることができる。
【0034】
加えて、本発明によれば、インサーション配管(二重管)の分岐取り出し工事の際における管軸方向の切断も可能で、従来のように管軸方向2箇所を切落とした後、たがね等によって縁切り部を叩いて切断するような煩わしい作業が不要になる。
【0035】
上記した本発明に係る管切断装置を用いて管を切断するに際しては、チップソーを回転させつつ、このチップソーに冷却用切削剤を供給しながら、チップソーを移動させることにより、火花の発生は完全に抑制でき、かつ、切断作業も良好に行なえることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る管切断装置の一実施例を示した概略斜視図である。
【図2】 本発明に係る管切断装置の一実施例を一部断面して示した平面図である。
【図3】 図2を一部断面して側面から見た図である。
【図4】 図1において架台から切断機構を取外した状態を示す図である。
【図5】 回転刃への冷却用切削剤供給機構の概略構成図である。
【図6】 埋設管の切換工事の際における従来の概略説明図である。
【図7】 従来の管切断に使用したパイプロータリーカッターの概略説明図である。
【符号の説明】
P 管
11 管切断装置
12 案内部材(ローラチェーン)
13 架台
13a スプロケット
13b 転動ローラ
13c 回転機構
13d 張力付与機構
13e 滑動部材
14 回転刃
15 切断機構
15a エアーモータ
16 切込み機構
17 冷却用切削剤供給装置
17e インターロック機構
Claims (1)
- 可搬型の管切断装置であって、
管の外周面に所定の間隔を存して平行に巻回される2本のローラチェーンと、
これら2本のローラチェーンに係合するスプロケット及び回転自在な転動ローラを下面側適所に各4個ずつ枢支すると共に前記スプロケットの回転機構を備え、前記転動ローラを介して管外周面上に載置され、スプロケットの回転によりローラチェーンに沿って管外周面上を移動可能な架台と、
前記各ローラチェーンに係合する2個のスプロケットの間隔を、一方のスプロケットを他方のスプロケットに対し接離移動させて前記各ローラチェーンに張力を付与すべく、架台に設けられた張力付与機構と、
前記架台上に配置された回転刃を有する切断機構及びこの切断機構の回転刃を管軸心に対して接離移動させる切込み機構を具備してなることを特徴とする管切断装置。
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