JP3817328B2 - 可変容量コンプレッサ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用空調装置に用いられる可変容量コンプレッサの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、カーエアコンに対する省動力ニーズおよびコンプレッサのON/OFF制御時の吹出風温度変化やショック低減といった快適性ニーズを満たすため、冷房能力の必要量に応じて冷媒吐出容量を可変しうる可変容量コンプレッサが広く普及しつつある。たとえば、斜板式の可変容量コンプレッサを例にとると、斜板の傾きを連続的に変えることにより、ピストンストロークを変化させ、連続的に容量を変えるようにしている。この場合、斜板の傾きが大きければ吐出量が多く(最大冷房時)、傾きが小さければ吐出量も少なくなる(容量制御時)。このように最大冷房時以外では冷媒循環量が減少するため、コンプレッサ所要動力が減少する。
【0003】
このような可変容量コンプレッサにおいて容量を変化させる(たとえば、斜板式の場合には斜板の傾きを変化させる)制御方法として、従来は、いわゆるメカニカルコントロールバルブ(MCV)を用いて制御を行うのが一般的である。このメカニカルコントロールバルブは、コンプレッサ本体に設けられた弁(たとえば、ベローズ式コントロールバルブ)であって、コンプレッサの吸入圧力を使って容量の可変制御を内部的に行うものである。たとえば、斜板式可変容量コンプレッサにベローズ式コントロールバルブを設けた場合、コンプレッサの吸入圧力の変化(設定圧力との大小関係)によるべローズの収縮・膨脹により、コンプレッサの吐出側に通じる高圧側とコンプレッサの吸入側に通じる低圧側のバルブの開閉を行うことで、クランクケース内の圧力(制御圧力)を制御し、ピストンに加わる圧力のバランスを変えて斜板の傾きを変化させている。これにより、吐出圧力が変わり、よって吸入圧力もそれに合わせて変化することになる。
【0004】
図4はメカニカルコントロールバルブの一般的な特性図である。メカニカルコントロールバルブは、一般に、上記した作動原理に基づき、冷房負荷(空気側の負荷)の変動に対して同図に示す特性の吸入圧力Ps となるように冷媒吐出容量(斜板の傾き)を制御する。これにより、冷房負荷(空気負荷)に応じたコンプレッサ性能つまり冷房能力が得られ、また、かかる冷房能力の制御によりエバポレータの凍結防止も図られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の可変容量コンプレッサの可変容量制御にあっては、べローズ式などのメカニカルコントロールバルブを用いての図4に示すような特性に基づく機械的制御であるため、省動力などを目的とした複雑な制御を行うことができない。
【0006】
たとえば、エアコン起動時においては、排出ガス中のNOx 量などを低減するという観点からも、省動力のニーズが強い。すなわち、エンジン始動時で触媒温度が低いときにエアコンを起動した場合には、起動時のコンプレッサトルクが大きいため、エンジン負荷が増大し、排出ガス量(NOx 量など)も増大するおそれがあるので、エアコン起動時のコンプレッサトルク(コンプレッサ負荷)を低減すること、つまり、省動力を図ることが望まれている。また、省エネの観点からは、エアコン起動時に限らず、車室内温度がそれほど高くない時のクールダウン制御においても、コンプレッサトルクを低減して省動力を図ることが望まれる。ところが、従来は、上記したように図4に示すような特性に基づく機械的制御であるため、このような省動力を目的とした複雑な制御はできない。
【0007】
本発明は、可変容量コンプレッサの可変容量制御における上記課題に着目してなされたものであり、省動力などを目的とした複雑な制御を行うことができる可変容量コンプレッサ制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、自動車用空調装置の冷凍サイクルを構成する可変容量コンプレッサの吐出容量の可変制御を行う可変容量コンプレッサ制御装置において、外部からの電気信号に基づいて、前記可変容量コンプレッサの吐出容量を変化させる制御圧力を制御するコントロール手段と、前記可変容量コンプレッサの吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、エンジン制御装置から送信される信号に基づきエンジン回転数を認識するエンジン回転数認識手段と、自動車車室内の温度を検出する車室内温度検出手段(13)と、前記エンジン回転数認識手段により認識されたエンジン回転数及び前記車室内温度検出手段によって検出された自動車車実内温度に基づき、コンプレッサトルクの低減に必要な吐出圧力目標値を算出し、前記吐出圧力検出手段の出力が前記目標値と一致するように前記コントロール手段を制御する電気信号を出力する制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
この発明にあっては、コントロール手段は、外部からの電気信号に基づき制御圧力を制御して容量を変化させる外部可変制御方式のものであり、より細かい制御が可能となっている。そして、吐出圧力検出手段は、可変容量コンプレッサの吐出圧力を検出し、制御手段は、エンジン回転数認識手段により認識されたエンジン回転数及び前記車室内温度検出手段によって検出された自動車車実内温度に基づいてコンプレッサトルクの低減に必要な吐出圧力目標値を算出し、吐出圧力検出手段の出力が前記目標値と一致するようにコントロール手段を制御する電気信号を出力する。この電気信号に基づいて、コントロール手段は、可変容量コンプレッサの吐出容量を変化させる制御圧力を制御する。これにより、可変容量コンプレッサの吐出容量が変化して吐出圧力を目標値に近づけ、コンプレッサトルクが低減される。より具体的には、コンプレッサトルクは吐出圧力と吸入圧力の比(=吐出圧力/吸入圧力)によって大きく左右されるため、目標値を低く設定して吐出圧力を下げる制御を行うことで、コンプレッサトルクを低減することができるのである。すなわち、外部可変制御方式のコントロール手段を採用し、吐出圧力を目標値と一致させる制御を行ってコンプレッサトルクを低減させるので、省動力化が図られる。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、エンジンからの排出ガスを清浄化するための触媒の温度を検出する触媒温度検出手段を有し、前記制御手段は、前記触媒温度検出手段の出力が所定値以下のときに当該制御を行うことを特徴とする。
【0011】
この発明にあっては、触媒温度検出手段は、エンジンからの排出ガスを清浄化するための触媒の温度を検出し、制御手段は、触媒温度検出手段の出力が所定値以下のときに当該制御、つまり、コンプレッサトルク低減のための吐出圧力制御を行う。このように、触媒が機能を始める所定温度(所定値)以下のときに当該制御を行ってコンプレッサトルクを低減させることで、起動時において、エンジンにかかる負荷が低減され、エンジンからの排出ガス量(NOx 量など)も低減される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る可変容量コンプレッサ制御装置のシステム構成を示すブロック図である。
【0013】
このシステムは、自動車用空調装置(カーエアコン)に搭載された冷凍サイクル1を有する。この冷凍サイクル1は、可変容量コンプレッサ2、コンデンサ3、リキッドタンク4、膨脹弁5、およびエバポレータ6などを配管で連結し、その中に冷媒を封入して構成されている。可変容量コンプレッサ2は、図示しないエンジンにより図示しないベルトおよびマグネットクラッチ7を介して選択的に駆動され、その駆動時にエバポレータ6で蒸発した低温低圧のガス冷媒を吸入し圧縮して、高温高圧になったガス冷媒をコンデンサ3に圧送し、該冷媒をコンデンサ3およびエバポレータ6を介して繰返し循環させる。コンデンサ3にはコンデンサファン8が付設されており、コンデンサ3は、コンデンサファン8によって供給される冷却空気との熱交換により、コンプレッサ2から送り込まれてきた高温高圧のガス冷媒を冷却し凝縮液化させる。コンデンサ3と膨脹弁5の間に設けられたリキッドタンク4は、コンデンサ3で液化した冷媒を気液分離して液冷媒を一度貯え、液冷媒のみを膨脹弁5に送り出す。一般的に使用される温度式の膨脹弁5の場合には、リキッドタンク4を通ってきた中温高圧の液冷媒を減圧膨脹させて、低温低圧の霧状の冷媒にするとともに、エバポレータ6の下流に設けた図示しない感温筒のフィードバックにより、エバポレータ出口で、冷媒の蒸発状態が適度な過熱度を持つよう冷媒流量を調節する。エバポレータ6は、コンデンサ3で液化され膨脹弁5で低温低圧になった霧状の冷媒を蒸発させて、外側に図示しないブロアファンにより送られてくる空気を流して前記霧状冷媒と熱交換させることで、車室内に吹き出される空気を冷却し、同時に除湿する。
【0014】
この可変容量コンプレッサ2は、たとえば、斜板式の可変容量コンプレッサであって、その斜板の傾きが電気信号で外から制御できるようになっている(外部可変制御方式)。つまり、この可変容量コンプレッサ2は、コントロール手段として、従来のメカニカルコントロールバルブ(MCV)に代えて電気信号による外部制御が可能な電磁弁などの電子操作式コントロールバルブ(ECV)9を有している。たとえば、ECV9として高圧側と通じている電磁弁を用いた場合、クランクケース内と低圧側とは所定の開度の通路で連通しており、クランクケース内の圧力は低圧側に逃げるようになっている。よって、かかる電磁弁9をON−OFFして高圧側圧力を導入・遮断することでクランクケース内の圧力(制御圧力)を制御することにより、ピストンに加わる圧力のバランスを変えて斜板の傾きを変化させ、これによってコンプレッサ2の吐出容量を制御することができる。このとき、電磁弁9には、外部からの電気信号として、たとえば、後述するオートアンプから演算された適当な値のデューティ比を持ったデューティ信号が与えられる。容量(斜板の傾き)を小さくする必要があるときは、大きなデューティ比を持ったデューティ信号を与えて電磁弁9の開弁時間を長くしてクランクケース内の圧力(制御圧力)を上昇させ、容量(斜板の傾き)を大きくする必要があるときは、小さなデューティ比を持ったデューティ信号を与えて電磁弁9の開弁時間を短くしてクランクケース内の圧力(制御圧力)を低下させる。
【0015】
この可変容量コンプレッサ2は、制御手段としてのオートアンプ10によって制御される。ここでは、エンジン(およびエアコン)起動時の省動力(コンプレッサトルク低減)を目的とした制御(以下、単に「トルク低減制御」という)に必要な構成要素のみを図示してある。すなわち、オートアンプ10には、エンジンを始動させるためのイグニッションスイッチ11、コンプレッサ2をONしてエアコンを作動させるためのエアコンスイッチ12、車室内の温度を検出する内気センサ13、エンジンからの排出ガスを清浄化するための触媒の温度を検出する触媒温度検出手段としての触媒温度センサ14、可変容量コンプレッサ2の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段としての高圧側圧力センサ(高圧トランスデューサ)15などが接続されている。また、オートアンプ10には、図示しないエンジン制御装置からエンジン回転数信号が入力されるようになっている。このエンジン回転数信号によってコンプレッサ2の回転数が認識できる。触媒温度センサ14は、たとえば、触媒コンバータ16内にあってエンジンからの排出ガス中に含まれる有害成分(HC、CO、NOx )を触媒反応により転化し低減するための三元触媒の温度を検出するものである。触媒には触媒が機能を始める温度、つまり触媒が有効に反応する温度が存在するので、触媒温度センサ14によってその温度に達しているかどうかを検知する。また、高圧側圧力センサ(高圧トランスデューサ)15はコンデンサ3とリキッドタンク4の間の高圧配管に取り付けられ、冷媒の高圧側圧力を電気信号に変換するものである。コンプレッサ2の吐出圧力はこの高圧側圧力によって代替される。オートアンプ10は、内蔵しているマイクロコンピュータによって、各スイッチ11、12および各センサ13、14、15などの入力信号を演算処理して制御パラメタであるデューティ比を決定し、これに基づき可変容量コンプレッサ2の電磁弁(ECV)9をON−OFFして、同コンプレッサ2の容量(斜板の傾き)を可変し、トルク低減制御を行う。そのため、オートアンプ10は、その内部のROM内に図2のフローチャートに対応したプログラムを記憶しており、このプログラムの実行によって当該トルク低減制御が行われる。
【0016】
もちろん、オートアンプ10は、エンジン(およびエアコン)起動時のトルク低減制御のほかに、自動車用空調装置についての通常の制御(以下、単に「通常制御」という)を行う。すなわち、オートアンプ10には、図示しないが、上記した各スイッチおよび各センサ以外に、外気温度を検出する外気センサ、日射量を検出する日射センサ、希望の室温を設定するための温度調節スイッチなどがさらに接続されており、オートアンプ10は、内蔵しているマイクロコンピュータによって、それらの各センサ、エアミックスPBR(エアミックスドアアクチュエータに内蔵)、および各スイッチなどの信号を演算処理し、各アクチュエータ(インテークドアアクチュエータ、エアミックスドアアクチュエータ、モードドアアクチュエータ)、ファンコントロールアンプ、およびコンプレッサ2(のマグネットクラッチ7)を作動させ、吸込口位置、吹出風温度、吹出口位置、吹出風量、およびコンプレッサ2自体のON/OFFを総合的に制御する機能をも有している。
【0017】
次に、上記のように構成された本システムの動作を図2のフローチャートに基づいて説明する。
まず、制御の概要を説明しておく。ここでは、エンジン(およびエアコン)起動時のコンプレッサトルクを低減させることを目的とする。ただし、触媒が機能する温度に達するまでの間の可変容量制御とする。そのため、触媒の温度を読み取り、設定温度以下であるときに当該トルク低減制御を行う。このトルク低減制御では、あらかじめ設定された実験式により目標吐出圧力を決定し、実際に検出される吐出圧力がその目標吐出圧力と一致するように斜板の傾き(吐出容量)をPI(比例積分)制御する。
【0018】
すなわち、図2のフローチャートに示すように、オートアンプ10は、プログラムがスタートすると、ステップS1で、自動車用空調装置の制御前提条件を満たすかどうかを判断する。この判断は、たとえば、イグニッションスイッチ11のON/OFF状態、エアコンスイッチ12のON/OFF状態、および電磁弁(ECV)9の作動許否状態のデータに基づいて行われる。具体的には、イグニッションスイッチ11がON状態にあり、かつ、エアコンスイッチ12がON状態にあり、かつ、電磁弁(ECV)9が作動許可状態にあるとき、この制御前提条件を満たすものと判断し、以下の制御を実施する。なお、制御前提条件を満たさない場合には、ステップS12で、後述するフラグFの値を0に保持したまま待機し、または、フラグFの値を0にリセットして一連の制御を終了する。
【0019】
ステップS1の判断の結果として制御前提条件を満たす場合には、次のステップS2で、トルク低減制御を行うための制御実施条件を満たすかどうかを判断する。この判断は、たとえば、触媒温度センサ14および内気センサ13からのデータ(触媒温度と車室内温度)に基づいて行われる。具体的には、触媒温度センサ14の出力(触媒温度)があらかじめ定められた設定温度Tso(触媒が機能を始める温度で、たとえば、約300℃である。なお、効率のピークは約400℃である)以下であり、かつ、内気センサ13の出力があらかじめ定められた設定温度Tra(たとえば、約35℃)以下であるとき、制御実施条件を満たすものと判断し、トルク低減制御を行う。
【0020】
これに対し、触媒温度センサ14の出力(触媒温度)が前記設定温度Tso以上であるか、または、内気センサ13の出力が前記設定温度Tra以上である場合には、フラグFの値を0に保持したまままたはフラグFの値を0にリセットして(ステップS13)通常のエアコン制御を行い(ステップS14)、ステップS1にリターンする。
【0021】
なお、ここで、触媒温度を考慮するのは、エンジン起動時に触媒が低温である場合には触媒が機能しないため通常制御を行えばコンプレッサトルクの増大によりエンジン負荷が増大し排出ガス量(NOx 量など)も増大するおそれがあるので、触媒が機能を始める温度に達するまでの間(たとえば、アイドリングか走行かを問わずにエンジン始動後約1分間)はトルク低減制御を行って上記の不都合を解消するためである。また、車室内温度を考慮するのは、車室内温度が高い場合には車室内を急速に冷房する必要があるので省動力よりも冷房能力を優先させるためである。
【0022】
ステップS2の判断の結果として制御実施条件を満たす場合には、次のステップS3で、フラグFの値が0かどうかを判断する。このフラグFは目標吐出圧力Pd′の設定を行うかどうかを決めるためのものであって、 初期状態では0であるが、一度目標吐出圧力Pd′が設定されると、その目標値Pd′を維持すべく(更新なし)、所定の場合にリセットされるまで1の値に設定、保持される。このステップS3の判断においてF=0の場合には、システムが起動し今からトルク低減制御を開始するものと判断して、ステップS4に進むが、F=1の場合には、すでに目標吐出圧力Pd′が設定されておりこの目標値Pd′に基づいてトルク低減制御が実行されているものと判断して、ステップS4〜ステップS6の処理を省略して、ただちにステップS7に進む。
【0023】
ステップS4とステップS5では、所定のデータを読み込んで、目標吐出圧力Pd′の設定を行う。 具体的には、その時点(システム起動時または起動前)におけるエンジン回転数(つまりコンプレッサ回転数)Ne および車室内温度Tr のデータをエンジン制御装置および内気センサ13からそれぞれ入力し(ステップS4)、あらかじめ設定された実験式Pd′=G(Ne,Tr)により、コンプレッサトルクの低減に必要な吐出圧力目標値Pd′を算出する(ステップS4)。
【0024】
図3は目標吐出圧力算出式の一例を示す特性図である。なお、ここでは、図示簡単化のため、ある特定の(または範囲の)エンジン回転数(コンプレッサ回転数)Ne における車室内温度Tr に対する吐出圧力目標値Pd′ の設定値を示しているが、実際には、エンジン回転数(コンプレッサ回転数)Ne (またはその範囲)ごとに同図に示すような特性図が存在している。つまり、目標吐出圧力Pd′の算出式G(Ne,Tr)は、エンジン回転数(コンプレッサ回転数)Ne および車室内温度Tr をパラメタとするマップ形式で表現できるものである。
【0025】
図3によれば、ある特定の(または範囲の)エンジン回転数(コンプレッサ回転数)Ne において、システム起動前の車室内温度Tr が設定温度Tra以上である(Tr ≧Tra)場合には、上記したように、通常制御(起動時は最大冷房)を行い、設定温度Tra以下である(Tr ≦Tra)場合には、トルク低減制御を行う。そして、トルク低減制御を行う際には、前記車室内温度Tr が設定温度Tr1以上Tra以下である(Tr1≦Tr ≦Tra)場合には、吐出圧力目標値Pd′ として設定値Pd1を選択し(Pd′=Pd1)、設定温度Tr2以上Tr1以下である(Tr2 ≦Tr ≦Tr1)場合には、吐出圧力目標値Pd′として設定値Pd2を選択し(Pd′=Pd2)、設定温度Tr2以下である(Tr ≧Tr2)場合には、吐出圧力目標値Pd′として設定値Pd3を選択する(Pd′=Pd3)。すなわち、ここでは、トルク低減制御領域において、吐出圧力目標値Pd′として、 システム起動前の車室内温度Tr に応じて三つの値Pd1、Pd2、Pd3が段階的に設定されるようになっている。ただし、Pd1>Pd2>Pd3、かつ、Tra>Tr1>Tr2である。なお、前記車室内温度Tr が設定温度Tr2以下である(Tr ≧Tr2)場合には、他のコンプレッサ制御、たとえば、外気センサ検出温度による低温時コンプレッサ保護制御、吸込温度センサ検出温度によるエバポレータ凍結保護制御などによってコンプレッサ2を停止させる場合があるので、必ずしも常にトルク低減制御が実行されるわけではない。
【0026】
目標吐出圧力算出式Pd′=G(Ne,Tr)を実験で求める際には、たとえば、あるエンジン回転数(コンプレッサ回転数)Ne で、初期車室内温度Tr の値をいろいろ変えて、通常制御によるクールダウンを行い、特定の条件の下での時間に対する吐出圧力Pd の変化を調べる。コンプレッサトルクは吐出圧力と吸入圧力の比(=吐出圧力/吸入圧力)によって大きく左右されるため、上記の実験結果を基にして、吐出圧力Pd のフィードバック制御(ここでは、特にPI制御)を行ったときにコンプレッサトルクを所望の割合だけ低減できるような一定の目標値Pd′を適当に設定する。このとき設定される目標値Pd′は前記実験結果における吐出圧力のピーク値よりも低い値となる。したがって、このように目標値Pd′を実験的に求めた低い値に設定して エアコン稼働中の吐出圧力Pd を通常制御の場合よりも下げる制御を行うことで、コンプレッサトルクを所望の割合だけ低減することができる。
【0027】
ステップS5で目標吐出圧力Pd′が求められると、 次のステップS6では、フラグFの値を1に設定する。これにより、トルク低減制御中における再度の目標吐出圧力Pd′の設定が禁止される。
【0028】
ステップS7〜ステップS11では、ステップS5で決定された目標吐出圧力Pd′を用いて吐出圧力Pd のPI制御を行う。
【0029】
すなわち、高圧側圧力センサ(高圧トランスデューサ)15の出力、つまり現在の吐出圧力Pd のデータを入力し(ステップS7)、吐出圧力の目標値Pd′ と現在値Pd の偏差A(=Pd′−Pd )を算出する(ステップS8)。 その後、求めた偏差の絶対値|A|が所定値(たとえば、0.1 )以下かどうかを判断し(ステップS9)、YESであれば、 目標値Pd′とほぼ等しくなっているので、前回と同じ制御信号(同じデューティ比を持つデューティ信号)をコンプレッサ2の電磁弁(ECV)9に出力する。つまり、ECV制御変数(デューティ比)をFO 、前回のそれをFO*、前回までのA×Δhの積分値(ただし、Δhはデータのサンプリング時間)をSO*とすると、
FO =FO*
(SO*=0)
となる。これに対し、ステップS9の判断の結果としてNOであれば、両者を一致させるように前回の制御信号を補正し、この補正された制御信号(補正されたデューティ比を持つデューティ信号)をコンプレッサ2の電磁弁(ECV)9に出力する。具体的には、補正分ΔFを下記の式、つまり、
ΔF=Kp {A+(SO*+A×Δh)/T1}
ここで、Kp は定数、T1 は時定数
によって求めた後、この補正分ΔFを前回のECV制御変数FO*に加算して今回のECV制御変数FO とする。つまり、
FO =FO*+ΔF
(SO*=SO*+A×Δh)
となる。
【0030】
ステップS10またはステップS11で電磁弁(ECV)9に制御信号(デューティ信号)を出力すると、ステップS1に戻って、以上の処理を繰り返す。
【0031】
すなわち、システムが起動し今からトルク低減制御を開始する場合には、まず目標吐出圧力Pd′の設定を行い、 その後、吐出圧力Pd の制御を行う(ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4〜ステップS6→ステップS7〜ステップS11)。そして、一度目標吐出圧力Pd′が設定された後は、 制御前提条件および制御実施条件を満たす限り、 その目標吐出圧力Pd′を用いて吐出圧力Pd の制御を行う(ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS7〜ステップS11→ステップS1)。そして、上記のトルク低減制御の途中で制御前提条件を満たさなくなった場合(たとえば、イグニッションスイッチ11またはエアコンスイッチ12がOFFされた場合)には、処理を終了し(ステップS1→ステップS12)、また、制御実施条件を満たさなくなった場合(たとえば、触媒温度が設定温度以上になった場合)には、通常制御に移行する(ステップS1→ステップS2→ステップS13→ステップS14→ステップS1)。
【0032】
したがって、本実施形態によれば、容量を内部的に機械的に制御する従来のメカニカルコントロールバルブ(MCV)に代えて容量を外部的に電気的に制御する電磁弁などの電子操作式コントロールバルブ(ECV)9を用いて可変容量コンプレッサ2の容量を変えることで、従来よりもより細かい複雑な制御を可能とし、かつ、かかる複雑な制御として、コンプレッサトルクの低減に必要な吐出圧力目標値Pd′を算出し、エアコン稼働中の吐出圧力Pd をその目標値Pd′と一致させる制御を行って吐出圧力Pd を下げるようにしたので、通常の制御を行った場合に比べて、コンプレッサトルクが低減され、コンプレッサ所要動力が低減される(省動力性能の向上)。しかも、このようなトルク低減制御を触媒温度が低いときに行うようにしたので、触媒がいまだ機能しない場合であっても、コンプレッサトルクの低減によりエンジン負荷が低減され、排出ガス量(NOx 量など)も低減されることになる。さらに、コンプレッサの省動力化により省燃費性能も向上する。
【0033】
なお、本実施形態では、排出ガスの環境への影響対策を考慮して、エンジン始動時で触媒温度が低いときにエアコンを起動した場合において当該トルク低減制御を行うようにしているが、トルク低減制御の実施場面はこれに限定されるわけではない。たとえば、省エネの観点を重視すれば、エアコン起動時に限らず、車室内温度がそれほど高くない時のクールダウン制御においてもトルク低減制御を行うことができる。この場合には、実際の適用に際し、制御実施条件や目標吐出圧力算出式などを適当に修正する必要があることはもちろんである。
【0034】
また、本実施形態では、制御実施条件として、起動時の急速クールダウンを可能にすべく、触媒温度が低くかつ車室内温度が設定温度以下のときに当該トルク低減制御を行うようにしているが、起動時でも省エネの観点を優先させ、起動時の車室内温度の条件を省略することももちろん可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の発明によれば、外部可変制御方式のコントロール手段を採用し、吐出圧力を目標値と一致させる制御を行ってコンプレッサトルクを低減させるので、省動力性能が向上し、省燃費性能も向上する。
【0036】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加え、触媒温度が低く触媒が機能しないときに当該制御を行ってコンプレッサトルクを低減させるので、起動時にエンジンにかかる負荷が低減され、エンジンからの排出ガス量(NOx 量など)が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る可変容量コンプレッサ制御装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】 同装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】 目標吐出圧力算出式の一例を示す特性図である。
【図4】 メカニカルコントロールバルブの一般的な特性図である。
【符号の説明】
1…冷凍サイクル
2…可変容量コンプレッサ
9…電磁弁(コントロール手段)
10…オートアンプ(制御手段)
14…触媒温度センサ(触媒温度検出手段)
15…高圧側圧力センサ(吐出圧力検出手段)

Claims (2)

  1. 自動車用空調装置の冷凍サイクル(1)を構成する可変容量コンプレッサ(2)の吐出容量の可変制御を行う可変容量コンプレッサ制御装置において、
    外部からの電気信号に基づいて、前記可変容量コンプレッサ(2)の吐出容量を変化させる制御圧力を制御するコントロール手段(9)と、
    前記可変容量コンプレッサ(2)の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段(15)と、
    エンジン制御装置から送信される信号に基づきエンジン回転数を認識するエンジン回転数認識手段と、
    自動車車室内の温度を検出する車室内温度検出手段(13)と、
    前記エンジン回転数認識手段により認識されたエンジン回転数及び前記車室内温度検出手段によって検出された自動車車実内温度に基づき、コンプレッサトルクの低減に必要な吐出圧力目標値を算出し、前記吐出圧力検出手段(15)の出力が前記目標値と一致するように前記コントロール手段(9)を制御する電気信号を出力する制御手段(10)と、
    を有することを特徴とする可変容量コンプレッサ制御装置。
  2. エンジンからの排出ガスを清浄化するための触媒の温度を検出する触媒温度検出手段(14)を有し、
    前記制御手段(10)は、前記触媒温度検出手段(14)の出力が所定値以下のときに当該制御を行うことを特徴とする請求項1記載の可変容量コンプレッサ制御装置。
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