JP3815142B2 - 封止蛍光体プレートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、封止蛍光体プレートを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は病気診断用などに多く用いられている。このX線画像を得るために被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせてこの可視光を通常の写真をとるときと同じように銀塩を使用したフィルムに照射して現像した、いわゆる放射線写真が利用されている。しかし近年銀塩を塗布したフィルムを使用しないで蛍光体層から直接画像を取り出す方法が工夫されるようになった。
【0003】
この方法としては被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を例えば光又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法がある。
【0004】
従来の放射線写真法に代わる方法として、例えば、特開昭55-12145号公報に記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像記録再生方法が知られている。
【0005】
この方法は、支持体上に輝尽性蛍光体層を形成した輝尽性蛍光体プレート(放射線画像変換パネル)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を輝尽性蛍光体プレートの輝尽性蛍光体に吸収させ、その後に輝尽性蛍光体を可視光線,紫外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。
【0006】
読取を終えた輝尽性蛍光体プレートは、残存する画像の消去が行われた後、次の撮影のために備えられる。即ち、輝尽性蛍光体プレートは繰り返し使用することができる。
【0007】
上記放射線画像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組み合わせを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。
【0008】
更に、従来の放射線写真法では1回の撮影毎に放射線フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法では、輝尽性蛍光体プレートを繰り返して使用できるので、資源保護,経済効率の面からも有利である。
輝尽性蛍光体は放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0009】
放射線像記録再生方法に用いられる輝尽性蛍光体プレートは、基本構造として、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層とからなるものである。但し、蛍光体層が自己支持体である場合には必ずしも支持体を必要としない。
【0010】
輝尽性蛍光体層は通常は輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなる。
但し、輝尽性蛍光体層としては、蒸着法や焼結法によって形成される、結合剤を含まないで輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものも知られている。
【0011】
又、輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含有されている輝尽性蛍光体を有する輝尽性蛍光体プレートも知られている。
これらのいずれの蛍光体層でも、輝尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収した後励起光の照射を受けると、輝尽発光を示す性質を有するものであるから、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線は、その放射線量に比例して輝尽性蛍光体プレートの輝尽性蛍光体層に吸収され、プレートには、被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネルギーの蓄積像として形成される。
【0012】
この蓄積像は、上記励起光を照射することにより輝尽発光光として放出させることができ、この輝尽発光光を光電的に読み取って電気信号に変換することにより放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可能となる。
【0013】
尚、輝尽性蛍光体層の表面(支持体に面していない側の表面)には、通常、ポリマーフィルムあるいは無機質の蒸着膜からなる保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0014】
又、輝尽性蛍光体プレートを特に湿度による劣化から保護する目的から、図10に示すように、輝尽性蛍光体プレート1を2枚の防湿性の高いフィルム3,3′で挟み、脱気しながら周囲をヒートシールで封止した構造の封止蛍光体プレート4も知られている。
【0015】
防湿性のフィルム3,3′としては、ポリ塩化ビニリデンフィルム,各種ポリ塩化ビニリデンコートフィルム,PTFE(ポリテトラフルオロエチレン),PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン),PVDF(ポリビニリデンフルオライド),FEP(フッ化エチレン-プロピレン共重合体)等の各種フッソ樹脂系フィルム,シリカ蒸着(又は塗布)フィルム,酸化アルミ蒸着(または塗布)フィルム等の低水蒸気透過性のフィルム,又はこれらの複合材料が用いられる。更に、この場合、防湿性のフィルム3,3′にヒートシール性を付与する目的から、内層にポリオレフィン系フィルム等のヒートシール性の良好なフィルムを積層した複合構成として用いることが好ましい。
【0016】
輝尽性蛍光体層8が剛性のない支持体(フィルム)9上に形成された輝尽性蛍光体プレート1の場合、ハンドリングを容易にする目的から輝尽性蛍光体プレート1は直接、あるいは、上記防湿性フィルムで封止された状態で、図11(a)(b)に示すように剛性のある平板5上に接着剤7を用いて貼り付けて使用される場合もある。
【0017】
従来より、輝尽性蛍光体プレートに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては、下記のものが一例として挙げられる。
(1) 特開昭55-12145号公報に記載されている(Ba1-X,M2X)FX:yA
(但し、M2はMg,Ca,Sr,ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一つ、AはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,YbおよびErのうちの少なくとも一つ、そして、0≦x≦0.6、0≦y0.2)の組成式で表される希土類元素付活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物蛍光体。
【0018】
また、この蛍光体には、以下のような添加物が含まれてもよい。
特開昭56-74175号公報に記載されているX′,BeX″,M3X″′3(但し、X′,X″,X″′はそれぞれCl,BrおよびIのうちの少なくとも一種であり、M3は三価金属である)。
特開昭55-160078号公報に記載されている
BeO,MgO,CaO,SrO,BaO,ZnO,Al2O3,Y2O3,La2O3,In2O3,SiO2,TiO2,Zr O2,GeO2,SnO2,Nb2O5,Ta2O5およびThO2等の金属酸化物。
【0019】
特開昭56-116777号公報に記載されているZr,Sc。
特開昭57-23673号公報に記載されているB。
特開昭57-23675号公報に記載されているAs,Si。
【0020】
特開昭58-206678号公報に記載されているM・L(但し、MはLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属で、LはSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga ,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である)。
【0021】
特開昭59-27980号公報に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物。
特開昭59-27289号公報に記載されているヘキサフルオロケイ酸,ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物。
【0022】
特開昭59-56479号公報に記載されているNaX′(但し、X′はCl,BrおよびIのうちの少なくとも一種である)。
特開昭59-56480号公報に記載されているV,Cr,Mn,Fe,CoおよびNiなどの遷移金属。
【0023】
特開昭59-75200号公報に記載されているM1X′,M′2X″,M3X″′,A(但し、M1はLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′2はBeおよびMgの群より選ばれる少なくとも一種の二価金属であり、M3はAl,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の3価金属である。Aは金属酸化物であり、X′,X″およびX″′はそれぞれF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである)。
【0024】
特開昭6 1-23679号公報に記載されているM2′X′2・M2′X″2(但し、M2′はBa,Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、X′及びX″はそれぞれCl,Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である)及び
特願昭60-106752号明細書に記載されているLnX″3(但し、LnはSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、X″はF ,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである)。
(2) 特開昭60-84381号公報に記載されているM2X2・aM2′2:xEu2+(但し、M2はBa,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、X及びX′はCl,Br,Iからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり、そして、aは0.1≦a≦0.2、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価のユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体。
【0025】
また、この蛍光体には、以下のような添加物が含まれていてもよい。
特開昭60-166379号公報に記載されているM1X″(但し、M1はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである)。
【0026】
特開昭60-221483号公報に記載されているKX″,MgX″′2,M3X″″3(但し、M3はSc,Y,La,GdおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、X″,X″′およびX″″はいずれもF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである)。
【0027】
特開昭60-228592号公報に記載されているB。
特開昭60-228593号公報に記載されているSiO2,P2O5等の酸化物。
特開昭61-120882号公報に記載されているLiX,NaX″(但し、X,X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである)。
【0028】
特開昭61-120883号公報に記載されているSiO。
特開昭61-120885号公報に記載されているSnX′2(但し、X′はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである)。
【0029】
特開昭61-235486号公報に記載されているCsX″、SnX′″2(但し、X″及びX′″はそれぞれF,Cl,Br,Iからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである)
特開昭61-235487号公報に記載されているCsX″,Ln3+(但し、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、LnはSc,Y,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である)。
(3) 特開昭55-12144号公報に記載されているLnOX:xA(但し、LnはLa,Y,GdおよびLuのうち少なくとも一つ、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一つ、AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ、そしてxは0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素付活オキシハライド蛍光体。
(4) 特開昭58-69281号公報に記載されているM3OX:xCe(但し、M3はPr,Nd,Pm,Sm,Eu,Yb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり、XはCl,BrおよびIのうち少なくとも一つであり、xは0<x<0.1)の組成式で表されるセリウム付活三価金属オキシハライド蛍光体。
(5) 特願昭60-70484号明細書に記載されているM1X:xBi(但し、M1はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、XはCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、xは0<x≦0.2)の組成式で表されるビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
(6) 特開昭60-141783号公報に記載されているM25(PO4)3x:xEu2+(但し、M2はCa,SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、XはF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、xは0<x≦0.2)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
(7) 特開昭60-157099号公報に記載されているM2BO3X:xEu2+(但し、M2はCa,SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、xは0<x≦0.2)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
(8) 特開昭60-157100号公報に記載されているM22PO4X:xEu2+(但し、M2はCa,SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり、XはCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、xは0<x≦0.2)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
(9) 特開昭60-217354号公報に記載されているM2HX:xEu2+(但し、M2はCa,SrおよびBaからなる群より選ばれる一種のアルカリ土類金属であり、XはCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、xは0<x≦0.2)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体。
(10) 特開昭61-21173号公報に記載されているLnX3・aLn′3:xCe3+(但し、LnおよびLn′はそれぞれY,La,GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、XはF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、aは0<a≦10.0、xは0<x≦0.2)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体。
(11) 特開昭61-21182号公報に記載されているLnX3・aM1X′:xCe3+(但し、LnおよびLn′はそれぞれY,La,GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、M1はLi,Na,K,CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、XおよびX′はそれぞれCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、aは0<a≦10.0、xは0<x≦0.2)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
(12) 特開昭61-40390号公報に記載されているLnPO4・aLnX3:Ce3+(但し、LnはY,La,GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、XはF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、aは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2)の組成式で表されるセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体。
【0030】
上記輝尽性蛍光体のうちで、沃素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、沃素を含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、および沃素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽蛍光を示す。
輝尽性蛍光体プレートに用いられる支持体としては、各種高分子材料,硝子,金属等が挙げられる。
【0031】
特に、情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえば、セルロースアセテートフィルム,ポリエステルフィルム,ポリエチレンテレフタレートフィルム,ポリエチレンナフタレートフィルム,ポリアミドフィルム,ポリイミドフィルム,トリアセテートフィルム,ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム,鉄,銅,クロム等の金属シート、あるいはこれら金属酸化物,金属硫化物の被覆層を有する金属シートが好ましい。
【0032】
又、これら支持体の層厚は用いる材料によって異なるが、一般的には、3〜1000μmであり、取り扱い上の点から好ましくは80〜500μmである。
支持体の表面は、滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0033】
更に、これらの支持体は輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で、輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引き層を設けてもよい。
輝尽性蛍光体層に用いられる結合剤としては、ゼラチン等の蛋白質,デキストラン等のポリサッカライド,又はアラビアゴムのような天然高分子物質,及びポリビニルブチラール,ポリ酢酸ビニル,ニトロセルロース,エチルセルロース,塩化ビニリデン,塩化ビニルコポリマー,ポリアクリル(メタ)アクリレート,塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー,ポリウレタン,セルロースアセテートブチレート,ポリビニルアルコール,線状ポリエステル等の合成高分子物質等により代表される結合剤を挙げることができる。
【0034】
このような結合剤で特に好ましいものは、ニトロセルロース,線状ポリエステル, ポリアクリル(メタ)アクリレート,線状ポリエステルとニトロセルロースとの混合物,ニトロセルロースとポリアクリル(メタ)アクリレートの混合物及びポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。
【0035】
尚、これらの結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。
一般には、結合剤は輝尽性蛍光体1重量部に対して0.01乃至1重量部の範囲で使用される。
【0036】
しかしながら、得られる輝尽性蛍光体プレートの感度と鮮鋭性の点では、結合剤は少ないほうが好ましく、塗布の容易さとの兼ね合いから0.03乃至0.2重量部の範囲が好ましい。
【0037】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製に用いられる溶剤の例としては、メタノール,エタノール,イソプロパノール,n-ブタノール等の低級アルコール,アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,シクロヘキサン等のケトン,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸n-ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル,ジオキサン,エチレングリコールモノエチルエーテル,エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオールなどの芳香族化合物、メチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素及びそれらの混合物などが挙げられる。
【0038】
尚、塗布液には、塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、又、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されてもよい。
【0039】
そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸,ステアリン酸,カプロン酸等の親油性界面活性剤を挙げることができる。
可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル,燐酸トリクレジル,燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル,フタル酸ジエチル,フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル,グリコール酸フタリルブチルなどのグリコール酸エステル,そしてトリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル,ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪酸-塩基とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0040】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル,サンドミル,アトライター,3本ロールミル,高速インペラー分散機,Kadyミル及び超音波分散機などの分散装置を用いて行われる。
【0041】
上記のように調製された塗布液を、次に支持体の表面または下塗層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。
この塗布操作は通常の塗布手段、例えばドクターブレード,ロールコーター,ナイフコーター等を用いることで行うことができる。
【0042】
次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥して、支持体表面または下塗層上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。
尚、塗布液を保護層上に塗布し、乾燥した後に輝尽性蛍光体層と支持体とを接着する方法を用いることもできる。
【0043】
輝尽性蛍光体プレートの輝尽性蛍光体層の層厚は目的とする輝尽性蛍光体プレートの特性,輝尽性蛍光体の種類,結合剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】
マンモグラフィー(***撮影)用として、封止蛍光体プレートを用いる場合、胸壁側の***画像には可能な限り画像欠損領域を生じさせない必要があるため、封止蛍光体プレートにおいても、胸壁辺側の画像欠損領域(輝尽性蛍光体層が設けられていない領域)を可能な限り狭く設定する必要が生じる。
【0045】
又、マンモグラフィーに拘わらず、画像領域が大きく確保できる観点より画像欠損領域はできるだけ小さなことが望ましい。
しかし、特に、図10に示すように、防湿性のフィルム3,3′で輝尽性蛍光体プレート1を封止した場合、フィルム3,3′のシールに必要な幅L1と、輝尽性蛍光体プレート1の厚みによって発生する幅L2とからなる幅Lが必要であり、これが画像欠損領域となる。
【0046】
又、図11(a),(b)に示すような平板5に貼り付けられた構造の封止蛍光体プレート4の場合は、封止蛍光体プレート4は平板5内に位置しなければならない(平板5より突出してはならない)ので、貼り付ける際の誤差を考慮すると、平板のエッジから輝尽性蛍光体プレートのエッジまでの幅L′は更に大きなものとなる(図11(c)参照)。
【0047】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、画像欠損領域が小さくなる封止蛍光体プレートの製造方法を提供することにある。
【0048】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、フィルムを二つ折りし、折り返し辺と直交する二辺をシールして開口を有する袋状フィルムとし、前記袋状フィルムの開口から輝尽性蛍光体プレートを挿入し、前記袋状フィルムの折り返し辺に前記輝尽性蛍光体プレートを突き当て、前記輝尽性蛍光体プレートを透明な板で押圧しながら、脱気し、前記折り返し辺と対向する一辺をシールすることを特徴とする封止蛍光体プレートの製造方法である。
【0062】
輝尽性蛍光体プレートは、二つ折りされたフィルム内に設けられ、折り返し辺以外の三辺がシールされた折り返し封止構造により封止されたことにより、折り返し辺の封止ミミ幅を狭くでき、画像欠損領域を小さくすることができる。
【0063】
又、脱気し、前記折り返し辺と対向する一辺をシールする際に、輝尽性蛍光体プレートを板で押さえることにより、折り返し辺に突き当てられた輝尽性蛍光体プレートが移動するのを防止できる。
【0064】
板を透明とすることで、板を押さえつける場合に、輝尽性蛍光体プレートの微小な移動も容易に視認できる。
【0065】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の前記袋状フィルム内の前記輝尽性蛍光体プレートの位置を確認しながら前記板で前記輝尽性蛍光体プレートを押圧することを特徴とする封止蛍光体プレートの製造方法である。
【0066】
前記袋状フィルム内の前記輝尽性蛍光体プレートの位置を確認しながら前記板で前記輝尽性蛍光体プレートを押圧することにより、輝尽性蛍光体プレートを位置ずれなく封止できる。
【0075】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。
最初に、本発明の一実施の形態例の封止蛍光体プレートの断面図である図1及び図1に示す封止蛍光体プレートの平板への貼り付けを説明する図2を用いて説明する。
【0076】
図1に示すように、輝尽性蛍光体プレート101は支持体103と、支持体103上に塗布された輝尽性蛍光体層105とからなっている。
輝尽性蛍光体プレート101は防湿性のフィルム111により封止された封止蛍光体プレート113となっている。
【0077】
本実施の形態例では、図1及び図2に示すように、二つ折りされたフィルム111内に輝尽性蛍光体プレート101を設け、折り返し辺111a以外の三辺111b,111c,111dがシールされた折り返し封止構造により封止している。
【0078】
そして、図2に示すように、封止蛍光体プレート113は、フィルム111の折り返し辺111aと、平板121の一辺とが略一致するように平板121上に両面テープ123を用いて貼付されている。
【0079】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 輝尽性蛍光体プレート101は二つ折りされたフィルム111内に設けられ、折り返し辺111a以外の三辺がシールされた折り返し封止構造により封止されたことにより、折り返し辺111aの封止ミミ幅L(図1参照)を狭くでき、画像欠損領域を小さくすることができる。
(2) フィルム111の折り返し辺111aは、平板121内で平板121の一辺の近傍に沿って貼付されたことにより、画像欠損領域(L′,図1参照)を小さくすることができる。
【0080】
【実施例】
(製造方法)
最初に、ユーロピウム付活弗化沃化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.0mol/l)2500mlとEuBr3水溶液(0.2N)125mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら70℃で保温した。
【0081】
弗化アンモニウム水溶液(8N)250mlを反応母液中にローラポンプを用いて注入し、沈殿物を生成させた。
注入終了後も保温と撹拌とを2時間続けて沈殿物の熟成を行った。
【0082】
次に、沈殿物を濾別後、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム付活弗化沃化バリウムの結晶を得た。
焼成時の焼結による粒子形状の変化,粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するためにアルミナの超微粒子粉体を0.1重量%添加し、ミキサーで充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
【0083】
これを石英ボードに充填してチューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体粒子を得た。
次に、上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径3μmの粒子を得た。
【0084】
輝尽性蛍光体形成材料として上記で得たユーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体427g、ポリエステル樹脂(東洋紡バイロン200)18g、Cu-フタロシニアン0.01gをメチルエチルケトンとトルエン(1:1)の混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30psの塗布液を調製した。
この塗布液をドクターブレードを用いて厚さ188μmの黒色ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗付した後100℃で15分間乾燥させて、厚さ200μmの輝尽性蛍光体層を形成させた。
【0085】
そして、本実施例では、図1に示すように、188μmの黒色ポリエチレンテレフタレートフィルムの支持体103上に200μmの輝尽性蛍光体層105を塗布した輝尽性蛍光体プレート101を所定のサイズに断裁した後、フィルム111を用いて封止蛍光体プレート113を作成した。
【0086】
本実施例では、図5に示すように、フィルム111は、酸化アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)111hと、酸化アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)111iと、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)111jと、ヒートシール性を有する無延伸ポリプロピレンフィルム(30μm)111kとの4層構成の防湿性フィルムを用いた。各層はグラビアラミネート方式により積層した。
【0087】
次に、図2及び封止蛍光体プレート113の製造方法を示す図3,図4を用いて説明する。
▲1▼ 一枚の防湿性フィルム111を折り返し、折り返し辺111aを指でしごいて折り目をつける 。
▲2▼ フィルム111の折り返し辺111aと直交する辺111c,111dをインパルスシーラーを用いてヒートシールし、開口を有する袋状フィルム(三方袋)とする。
▲3▼ 袋状フィルムの開口から断裁済みの輝尽性蛍光体プレート101を挿入し(図3(a))、折り返し辺111aに輝尽性蛍光体プレート101を押し付ける(図3(b) )。
▲4▼ 折り返し辺111aを含む輝尽性蛍光体プレート101部分に重量のある透明板(厚さ7.5mmのガラス板)を載せ、輝尽性蛍光体プレート101が折り返し辺111aから離れる方向に移動していないことを確認したうえで、真空チャンバー内で脱気しながら開口部分のシールを行う(図3(c))。
そして、折り返し辺111aを含む四辺111a〜111dに対して、輝尽性蛍光体プレート101の近傍で再度ヒートシールを行う。
このヒートシールを行うヒートシーラー151は、図4(a)に示すように、ベース153側にヒータ155が設けられ、被シール部材を押圧する押さえ部材157は、軟質ゴムからなっている。よって、封止蛍光体プレート113は、輝尽性蛍光体層105の反対側から加熱、即ち、支持体103側からヒータ155によって加熱されるようになる。
【0088】
更に、封止蛍光体プレート113は、ヒータ155のエッジが輝尽性蛍光体プレート101の内部方向に1.0mm踏み込むような位置関係になるように設置される(図4(a))。
【0089】
押さえ部材157を封止蛍光体プレート113へ押し付け、ヒートシールを行う(図4(b))。
▲5▼ 折り返し辺111a以外の三辺111b,111c,111dは、輝尽性蛍光体プレート101のエッジから2.9mmの位置でフィルム111の余白部の断裁を行う。
▲6▼ マトリクス(凹凸)構造の両面テープ123を用いて、厚さ1.5mmのカーボン繊維を積層した平板121に封止蛍光体プレート113を貼付する。この時、フィルム111の折り返し辺111aは、平板121内で平板121の一辺(マンモグラフィー撮影の場合は、被検体の胸壁と当接する辺)の近傍に沿って貼付される。
▲7▼ ニップ圧2.0kg/cm2、ショア硬度30°の一対のニップローラ間に折り返し辺111a側を先頭にして、平板121に貼付された封止蛍光体プレート113を通し、折り返し辺111a側から順次圧着する。
ここで、▲6▼で用いる装置および両面テープ123を図6及び図7を用いて説明する。
【0090】
図6において、10は剛性のない封止蛍光体プレート113が載置される第1のベースである。
この第1のベース10の封止蛍光体プレート113の載置面には、載置される封止蛍光体プレート113の折り返し辺111aが当接して、封止蛍光体プレート113の位置決めを行なう突当て部14が設けられている。
【0091】
更に、第1のベースには、封止蛍光体プレート113の平面を保持する平面保持手段16が設けられている。この平面保持手段16は、第1のベース10の封止蛍光体プレート113の載置面10aに略同じ密度で開設された***18と、これらの***18に接続された吸引ポンプ20とよりなっている。
【0092】
30は第1のベース10と平行な位置に配設され、第1のベース10の封止蛍光体プレート113の載置面10aと対向する面30aに平板121が載置される第2のベースである。
【0093】
この第2のベース30の平板載置面30aには、載置される平板121の位置決めを行なう突当て部34が設けられている。
本実施例の装置では、平板121の一辺(マンモグラフィー撮影の場合は、胸壁辺)に対して封止蛍光体プレート113の折り返し辺111aがぎりぎりの位置関係となるように、即ち、フィルム111の折り返し辺111aと、平板121の一辺とが略一致するように、第1のベース10の突き当て部14と第2のベース30の突き当て部34とが設けられている。
【0094】
第1のベース10の封止蛍光体プレート載置面10a上には、載置面10aに対して直交する方向に延びるガイド棒40が立設されている。
一方、第2のベース30にはガイド棒40が遊嵌する穴36が設けられ、第2のベース30は、ガイド棒40に案内され、第1のベース10に対して平行状態を保持した状態で接近/離反可能となっている。
【0095】
更に、中間部がガイド棒40に巻回され、一方の端部が第1のベース10に、他方の端部が第2のベース30にそれぞれ係合するスプリング42の付勢力により、第2のベース30は第1のベースより離れる方向に付勢され、スプリング42の自然状態では、第2のベース30は第1のベース10に対して間隔をもって位置している。
【0096】
上記構成の蛍光体プレート貼り付け装置を用いて、封止蛍光体プレート113を平板121へ貼り付ける方法を説明する。
(1) 第1のベース10の突当て部14に封止蛍光体プレート113を突当てて位置決めを行ない、封止蛍光体プレート113を第1のベースの載置面10a上に載置する。
【0097】
(2) 第2のベース30の突当て部34に平板121を突当てて位置決めを行ない、平板121を第2のベース30の載置面30a上に載置する。
(3) 第1のベース10に載置された封止蛍光体プレート113の第2のベース30に載置された平板121の対向面113a、第2のベース30に載置された平板121の第1のベース10に載置された封止蛍光体プレート113の対向面121aのうち、少なくとも一方の対向面、本実施例では、平板121に両面テープ123を貼り付ける。尚、両面テープ123の代わりに接着剤を用いてもよい。
【0098】
本実施例で用いた両面テープ123は、図7(a)に示すように、基材123aと、基材123aの両面に形成された接着剤層123b,123cとからなっている。
【0099】
又、接着剤層123b,123cは、図7(b)に示すように、角柱状の凸部123dが規則的に形成され、高低差のある接着剤層となっている。
(4) 第2のベース30をスプリング42の付勢力に抗して下方へ移動させ、封止蛍光体プレート113と平板121とを貼り付ける。
【0100】
上記製造方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) フィルムとして、酸化アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム等の無機蒸着フィルムを用いた場合は、折り返し部分の無機蒸着層に、又、防湿性の高いポリマーフィルムを用いた場合には、折り返し部分のポリマーフィルムそれ自体に、折り返すことによって微小な亀裂が生じるが、折り返し部分を熱シールすることにより、微小な亀裂部分が溶融封止され、水蒸気の侵入を防止できる。
(2) 熱シールは、輝尽性蛍光体層105と反対側の面から熱を加えることにより、輝尽性蛍光体層105への熱伝播を防ぐことができる。
(3) 脱気し、折り返し辺111aと対向する一辺111bをシールする際に、輝尽性蛍光体プレート101を板で押さえることにより、折り返し辺111aに突き当てられた輝尽性蛍光体プレート101が移動するのを防止できる。
(4) 板を透明とすることで、板を押さえつける場合に、輝尽性蛍光体プレート101の微小な移動も容易に視認できる。
(5) 折り返し辺111aを位置基準として、平板121へ貼付することにより、貼り付け位置が各種公差(ミミ幅断裁寸法公差,輝尽性蛍光体プレート断裁寸法公差)の影響を受けにくくなる。
(6) 折り返し辺111aから順次圧着することにより、圧着時の封止蛍光体プレートや平板の伸縮による貼り付け位置への影響を受けにくくなる。
【0101】
そして、本願発明者は、本発明の効果を確認するために、以下のような実験を行った。
(第1の実験)
厚さが188μmの黒色ポリエチレンテレフタレートフィルムの支持体上に厚さ200μmの輝尽性蛍光体層を塗布した輝尽性蛍光体プレート101を用いて、フィルム111の層厚と、封止ミミ幅L(図1参照)と、平板121へ貼付した後の平板121エッジから輝尽性蛍光体プレート101のエッジまでの距離(画像欠損幅)L′(図1参照)との関係を調べ、その結果を図8に示す。
【0102】
本発明の封止蛍光体プレートをマンモグラフィ撮影用として用いる場合、画像欠損幅L′は撮影の規格上、1.0mm以下にする必要があり、また、諸々の公差を考慮する場合、0.7mm以下にすることが好ましいので、フィルム111の望ましい厚みは200μm以下、好ましくは、1 00μm以下であることが確認された。
(第2の実験)
封止蛍光体プレート113を平板121に貼り付けた後のプレートの反り量と感度ムラ指数との関係を調べ、その結果を図9に示す。
【0103】
感度ムラの評価方法を以下に説明する。輝尽性蛍光体プレート101の輝尽性蛍光体層105の全面にX線を照射し、波長が690nmのレーザ光でスキャンした後、発光を読み取る。発光の信号をAD変換し、輝尽性蛍光体層の発光ムラを感度ムラとして評価する。
【0104】
発光ムラは、輝尽性蛍光体層面のシグナル強度分布の1〜99%のシグナル差を相対評価した。
シグナル差が大の場合、感度分布が大で感度ムラが大きいこととなる。
【0105】
感度ムラ指数が20以下の場合、放射線画像の目視評価で実用に耐えられるレベルである。
プレートの反りはプレート全体にわたる大きなうねりとしての凹凸、及び、局部的な凹凸を含み、それぞれ最大凹部から最大凸部までの高低差を反り量と定義した。
【0106】
従って、反り量が2.0mm以下でないと感度ムラにより実用に耐えられないことが確認された。
【0107】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の発明によれば、輝尽性蛍光体プレートは、二つ折りされたフィルム内に設けられ、折り返し辺以外の三辺がシールされた折り返し封止構造により封止されたことにより、折り返し辺の封止ミミ幅を狭くでき、画像欠損領域を小さくすることができる。
【0114】
又、脱気し、前記折り返し辺と対向する一辺をシールする際に、輝尽性蛍光体プレートを板で押さえることにより、折り返し辺に突き当てられた輝尽性蛍光体プレートが移動するのを防止できる。
【0115】
板を透明とすることで、板を押さえつける場合に、輝尽性蛍光体プレートの微小な移動も容易に視認できる。請求項2記載の発明によれば、前記袋状フィルム内の前記輝尽性蛍光体プレートの位置を確認しながら前記板で前記輝尽性蛍光体プレートを押圧することにより、輝尽性蛍光体プレートを位置ずれなく封止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態例の封止蛍光体プレートの断面図である。
【図2】図1に示す封止蛍光体プレートの平板への貼り付けを説明する図である。
【図3】図1の封止蛍光体プレートの製造方法を示す図である。
【図4】図1の封止蛍光体プレートの製造方法を示す図である。
【図5】図1のフィルムの断面を説明する図である。
【図6】封止蛍光体プレートと平板とを貼り付ける装置の構成図である。
【図7】図2の両面テープを説明する図である。
【図8】第1の実験の結果を示す図である。
【図9】第2の実験の結果を示す図である。
【図10】従来の封止蛍光体プレートの断面図である。
【図11】図10に示す封止蛍光体プレートの平板への貼り付けを説明する図である。
【符号の説明】
101 輝尽性蛍光体プレート
111 フィルム
Claims (2)
- フィルムを二つ折りし、
折り返し辺と直交する二辺をシールして開口を有する袋状フィルムとし、
前記袋状フィルムの開口から輝尽性蛍光体プレートを挿入し、前記袋状フィルムの折り返し辺に前記輝尽性蛍光体プレートを突き当て、
前記輝尽性蛍光体プレートを透明な板で押圧しながら、脱気し、前記折り返し辺と対向する一辺をシールすることを特徴とする封止蛍光体プレートの製造方法。 - 前記袋状フィルム内の前記輝尽性蛍光体プレートの位置を確認しながら前記板で前記輝尽性蛍光体プレートを押圧することを特徴とする請求項1記載の封止蛍光体プレートの製造方法。
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