JP3812900B2 - 製紙スラッジの処理制御方法および処理制御設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製紙工程で発生する製紙スラッジを、特に製紙用の顔料などとして再利用可能に処理するための製紙スラッジの処理制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製紙工程において発生する製紙スラッジは、従来は脱水後に焼結されて埋め立て処分されたり、一部はセメント原料や炭化物等への利用が図られたりしていたが、近年では、例えば特開2001−26727号公報に記載されたように、製紙スラッジを燃焼等によって好ましくは多段で酸化処理した後に所定の粒径にやはり好ましくは多段で粉砕処理したりして、製紙用の白色顔料として再利用することが提案されている。すなわち、このような処理方法では、温度を適当に制御した例えば燃焼による多段の酸化処理により製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムを酸化カルシウムに分解しすぎたりすることなく回収し、これを細かく粉砕することによって製紙用の白色顔料として再利用を図るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、こうして製紙スラッジを処理するに際して、スラリー状の製紙スラッジやその脱水ケーキをそのまま燃焼炉や焼却炉に供給して加熱、燃焼することにより酸化処理したのでは、この供給された製紙スラッジの燃焼が部分的に不均一となることが避けられず、例えばスラッジ表面の燃焼が促進された部分では上述のような温度制御にも拘わらず炭酸カルシウムが分解されて酸化カルシウムが生成されてしまい、顔料として用いる場合に所望の白色度等を得ることができなくなるおそれがある。また、このように燃焼が不均一となることにより、回収された炭酸カルシウムや水酸化カルシウムが部分的に溶融凝固を生じて高硬度となり、その後の粉砕処理において粉砕されても、製紙用顔料として用いた場合には抄紙機のワイヤーの摩耗や裁断時のカッターの劣化が激しくなって、設備メンテナンスコストの増大と生産効率の悪化を招くおそれもある。
【0004】
本発明は、このような背景の下になされたもので、第1の課題は、製紙工程で発生する製紙スラッジを製紙用の顔料等として再利用したりするのに際し、スラッジを均一に燃焼させることによって炭酸カルシウム等の分解を抑えてその効率的な回収を図ることにある。第2の課題は、安定したかつ良質の焼成品を得るために焼成炉内での焼成条件を最適に制御できる制御系を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような課題を解決するための、本発明の製紙スラッジの処理制御方法は、製紙スラッジを造粒する造粒機と、本体が横置きで中心軸回りに回転し、第1の端部側から内部に供給される前記造粒物を転がしながら熱風のみにより焼成処理し、焼成品を前記第1の端部側に対して反対側の第2の端部側から排出する内熱キルン型焼成炉とを備える設備を用い、
前記焼成炉の前記第2の端部側に、外部から供給される空気を加熱して前記焼成炉の内部に熱風として吹込む熱風炉を接続し、この熱風炉に備えられたバーナーにより、燃料と燃焼空気とを使用して前記焼成炉内に吹込む前記熱風を生成させ、
前記熱風を熱風炉から前記焼成炉内部に吹込み、さらに前記焼成炉の前記第1の端部側から排気される焼成炉排ガスの一部をそのまま、前記熱風炉に循環返送して前記焼成炉内部に吹込み、
前記燃料量を、前記焼成炉の熱風吹込み側温度と前記焼成炉排ガス温度とに基づき制御し、かつ前記燃料量に対応して前記燃焼空気量を制御し、
前記焼成炉排ガスの循環量を空気比が1.2〜1.8になるように制御し、
前記造粒物の保持・滞留時間を1〜3時間とし、
前記各制御により、前記熱風炉に吹込む熱風を800〜1000℃とし、前記焼成炉においての焼成温度を700〜850℃とし、前記滞留させて焼成し、前記焼成炉の第1の端部側から排気される焼成炉排ガス温度を400〜500℃とすることを特徴とする。
【0006】
従って、このような処理制御方法においては、製紙スラッジがまず造粒機によって粒の揃った造粒物に成型されるため、この製紙スラッジの造粒物が焼成炉に保持された状態で隣接する造粒物同士の間に適当な間隙を確保しておくことができ、この間隙を、温度管理(制御)がなされた熱風が通ることによって製紙スラッジが加熱されて焼成すなわち燃焼し、酸化処理されることとなるので、焼成炉内の製紙スラッジを満遍なく均一に加熱して焼成することができ、部分的に炭酸カルシウムが分解されすぎたり凝固したりするのを防ぐことができる。また、この製紙スラッジの造粒物が直接火炎に晒されたりすることなく、こうして熱風により加熱されて焼成されるため、そして本発明に従う制御系によって焼成温度制御が確実となり、炭酸カルシウムの分解を一層確実に抑制してその回収効率の向上を図ることができる。
【0007】
しかるに、焼成に際して、焼成炉内の焼成条件を適切に管理しかつ経時的に安定化させないと、焼けムラが生じ良質の焼成品が得られないのに対して、本発明に従って、燃料と燃焼空気とを使用するバーナーにより熱風を生成させ、さらに焼成炉の他方の端部側から排気される焼成炉排ガスの一部を循環返送して吹込んで焼成炉内に吹込み、燃料量、燃焼空気量及び焼成炉排ガスの循環量を制御し、焼成度合いを調節することで、焼けムラが生じることなく良質の焼成品を得ることができるとともに、焼成炉の安定した運転が可能であり、そして、顔料や填料としての回収率も高まる。
【0008】
なお、上記処理方法において、次記の条件が好適であることを知見している。すなわち、造粒物を水分量50〜60wt%、平均粒径5〜20mmに成型造粒し、この造粒物を上記焼成炉において焼成温度700〜850℃で1〜3時間保持して(滞留させて)焼成するのが望ましい。すなわち、造粒物の水分量が上記範囲を上回るほど大きいと造粒物が崩れやすくなって上記間隙の確保が困難となるおそれがある一方、上記範囲を下回るまで製紙スラッジを脱水するには多くの時間と労力等を要する結果となる。また、造粒物の平均粒径が上記範囲よりも小さくても造粒物同士の上記間隙が小さくなってしまうおそれがある一方、平均粒径が上記範囲よりも大きいと個々の造粒物において焼成が不均一となるおそれが生じる。なお、造粒物は円柱状に成型造粒するのが容易であり、その場合には直径6〜10mm、長さ10〜20mm程度の範囲とされるのが望ましい。さらに、焼成炉における焼成温度や保持時間が上記範囲よりも低かったり短かったりすると、製紙スラッジ中の有機物を完全燃焼させて十分に除去することができなくなるおそれがある一方、逆に焼成温度や保持時間が上記範囲よりも高かったり長かったりすると、炭酸カルシウムが分解されて酸化カルシウムが生成されてしまい、炭酸カルシウムの向収効率が損なわれたり、さらにこの酸化カルシウムが他の無機質体と溶融、結晶化することで高硬度の焼成品となってしまったりするおそれがある。
【0009】
また、上記処理設備においては、上記焼成炉が、内部に上記造粒物が供給される円筒状の本体が横置きされ、中心軸回りに回転可能とされて、この本体内に上記熱風が吹き込み可能とされた内熱キルンとされるのが望ましく、こうして本体が回転されることにより、内部に保持された製紙スラッジの造粒物も本体内でその周方向に転がりながらこの本体内部に吹き込まれる熱風によって一層均一に焼成されることとなる。さらに、この焼成炉より排出された排気から回収された固形分にはカルシウム成分が含有されているので、これを循環させて上記造粒機に供給可能とするのが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の製紙スラッジの処理設備の一実施形態を示すものであり、以下この処理設備の実施形態を説明しながら、併せて該処理設備による本発明の製紙スラッジの処理制御方法の一実施形態についても説明する。
【0011】
ところで、製紙スラッジとしては、原材料であるパルプなどの繊維分、澱粉や合成接着剤などの接着剤を主体とする有機物や白色顔料を主とする無機物で利用されずに廃水中に混ざって処理される固体原料、さらにはパルプ化工程で洗い出されたリグニン、微細繊維、あるいは古紙由来の製紙用填料、それに付着した印刷インキ、および生物廃水処理工程で生じる余剰汚泥等からなるものである。さらに、生物廃水処理工程で生じる余剰汚泥以外の製紙スラッジとしては、抄紙時にワイヤを通過して流出したもの、古紙処理工程での混入異物除去、脱墨処理や洗浄過程で発生したもの、およびパルプ化工程での洗浄過程で発生した固形分を含む廃水は、沈殿あるいは浮上などを利用した固形分分離装置によりその固形分が分離、回収されたものなどがある。したがって、本発明における製紙スラッジは、パルプ製造工程、古紙再生工程、抄紙工程等に由来する製紙工程の排出されるスラッジのすべてを包含するものである。
【0012】
たとえば、代表例を挙げると、水分が50〜60%程度であり、固形分中に有機分を45〜55%、灰分を45〜55%含むものである。
【0013】
まず、スラッジ受入貯槽1に貯留された製紙スラッジSが、このスラッジ受入貯槽1の下部に設けられたスラッジ切出コンベア1Aからスラッジ計量器2を介して切出量が調整可能に所定量ずつ連続的に切り出され、スラッジ搬送コンベア3によって造粒機4に供給される。
【0014】
この造粒機4は、例えばスクリューケース4A内の一端側に、ツインのスクリュー4Bが回転可能に収容されるとともに、他端側には所定径の孔が多数開けられたスクリーン4C内にエクストラクト(絞り出し)羽根4Dが設けられた構成とされ、上記スクリューケース4Aの一端側から投入されたスラッジSが、スクリュー4Bとスクリューケース4Aとの間で適当な圧縮と混練作用を受けながら他端側に送られ、上記エクストラクト羽根4Dによって90度変向してスクリーン4Cの孔から粒径の規制された比較的硬い、たとえば円柱状粒となって押し出されることにより、造粒物Pとして成型造粒されるようになされたものである。
【0015】
こうして成型造粒された造粒物Pは、その水分量が50〜60wt%、平均粒径が5〜20mmとされて、形状および寸法が略等しい粒揃いのものとするのが望ましい。なお、本実施形態の造粒物Pはこのように円柱形であって、個々の造粒物Pの粒径は例えば該円柱の直径と長さとの平均値として得られるが、より具体的には直径が6〜10mm、長さが10〜20mm程度とされる。
【0016】
そして、こうして成型造粒された造粒物Pは、この造粒機4から、周壁部が水冷ジャケット構造とされたスクリューフィーダ式のスラッジ供給コンベア5を介して焼成炉6に供給される。この焼成炉6は、内部に造粒物Pが上記スラッジ供給コンベア5により供給される円筒状の本体6Aが、横置きされ、その中心軸Q回りに図示されない駆動手段によって回転可能とされて、この本体6A内に、焼成炉の一部を構成する熱風炉7から熱風が吹き込み可能とされた内熱キルンであり、この本体6Aの両端部には本体6Aの回転を許容しつつ内部を気密に密封可能なボックス6B,6Cが配設されていて、上記スラッジ供給コンベア5はこのうち第1の端部側(図1において左側)のボックス6Bの上記中心軸Q上に接続されて造粒物Pを本体6A内部に供給可能とされている。
【0017】
一方、上記熱風炉7は、反対の第2の端部側(図1において右側)のボックス6Cの中心軸Q上に接続されていて、圧縮空気Aによって噴射された重油等の助燃料FをLPGガスGによる炎で着火させて、燃焼空気ブロア8から供給される外部燃焼空気Bにより燃焼させるバーナー7Aを備え、これにより、同じく燃焼空気ブロア8からボックス6Cに供給される空気Bを加熱して熱風として上述のように本体6A内に吹き込む構造とされている。助燃料Fとしては、灯油などの他の化石燃料を使用することもできる。
【0018】
上記スラッジ供給コンベア5から供給された造粒物Pは、本体6Aの回転に伴いその内部を周方向に転がりながら所定時間かけて他端部側へと送り出されつつ上記熱風によって加熱されることにより、製紙スラッジS中に含まれる有機物が燃焼・焼成され、第2の端部側の上記ボックス6Cの下部から排出される。
【0019】
ここで、この焼成炉6の本体6Aに吹き込まれる上記熱風の温度は、たとえば800〜1000℃とされ、これによる焼成炉6においての焼成温度、すなわち加熱されて焼成された造粒物Pの品温(本体6A内における造粒物Pの最高温度)は700〜850℃、より望ましくは750〜850℃とされる。また、本体6A内における造粒物Pの保持・滞留時間は1〜3時間とされる。
【0020】
こうして焼成されて,上記ボックス6Cの下部から排出された造粒物Pは、周壁部が水冷ジャケット構造とされたスクリューフィーダ式の冷却コンベア9(ただし、本実施形態では2段の冷却コンベア9,9が備えられている。)によって冷却された後、焼成品排出ダンパ9Aから焼成品搬送コンベア10を介して焼成品タンク11に貯留され、その下部の焼成品タンク切出コンベア11Aによって所定量ずつ切り出されてトラック等の輸送手段12により輸送され、例えば製紙工程の白色顔料として、特に炭酸カルシウム顔料または填料として再利用される。
【0021】
なお、必要によりさらに、焼成された造粒物(焼成品)Pを粉砕処理したり、さらに燃焼等の乾式酸化や湿式酸化によって酸化処理したりしてもよい。
【0022】
一方、本体6A内に吹き込まれて造粒物Pを加熱した後の熱風は第1の端部側のボックス6B上部から排気E1として排出され、サイクロン集塵機13によって集塵された後に二次燃焼炉14に供給される。
【0023】
この二次燃焼炉14は、圧縮空気Aとともに噴射されたLPGガスGを燃料として、二次燃焼炉燃焼ブロア15から供給される空気Cによって燃焼させるバーナー14Aをその上部に備えたものであり、未燃ガスを含む排気E1は、この二次燃焼炉14においてその可燃ガス成分等が完全燃焼させられ、次いで二次燃焼炉からの排気E2は、燃焼空気予熱器16において上記空気Cを予熱した後に、未だ高温の排気E3は廃熱ボイラ17に供給されて熱回収され、さらに排気E4は集塵用ベンチュリースクラバー18および減湿用湿式スクラバー19によって清浄化、冷却されて、誘引ブロア20により煙突23から大気放散される。符号21で示すのはスクラバー循環ポンプである。
【0024】
また、上記の集塵機13、二次燃焼炉14、燃焼空気予熱器16、および廃熱ボイラ17において排気E1〜E3から回収された固形分Dは、それぞれの下端に備えられた排出バルブ13A,17Aや排出ダンパ14B,16Aから排出されてダスト戻しコンベア22により上記スラッジ搬送コンベア3に戻され、製紙スラッジSとともに造粒機4に供給される。
【0025】
本発明における造粒機としては、ディスクペレタイザーなども使用できる。また、造粒は同じ種類または異なる種類の造粒機を多段に組み合わせて造粒することも可能である。
【0026】
このように構成された製紙スラッジSの処理設備および該処理設備による製紙スラッジSの処理方法においては、この製紙スラッジSが造粒機4において望ましくは粒の揃った造粒物Pに成型造粒され、この造粒物Pが焼成炉6に供給され、滞留過程で、熱風炉7から吹き込まれる熱風により加熱されて焼成させられるので、焼成炉6の本体6A内に保持された状態で隣接する造粒物P同士の間には熱風が通過するのに十分な間隙があけられることとなり、これにより造粒物Pに成型造粒された製紙スラッジSを、個々の造粒物Pごとにその表面から満遍なく均一に加熱して焼成することが可能となる。
【0027】
このため、焼成炉6に供給された製紙スラッジSにおいて有機物が十分に燃焼されない部分が生じたり、あるいは炭酸カルシウムが加熱されすぎて酸化カルシウムに分解されたりするのを防ぐことができるとともに、これら炭酸カルシウムや酸化カルシウムが部分的に溶融凝固して高硬度となったり、酸化カルシウムが他の無機質体と溶融、結晶化することで高硬度の焼成品となったりすることも防ぐことができる。
【0028】
また、こうして熱風炉7で発生された熱風によって製紙スラッジSの造粒物Pが焼成されるので、例えばスラッジが直接火炎に晒されて焼成される場合などに比べて焼成温度の管理や制御が容易であり、これによっても有機物の完全燃焼を促しつつ炭酸カルシウムの分解を抑えてその回収効率の向上を図ることができる。したがって、上記処理制御方法および処理設備によれば、焼成された製紙スラッジSの造粒物Pを製紙工程における顔料や填料として用いるような場合において、その白色度の向上を図ることができるとともに、この製紙工程における抄紙機のワイヤーの摩耗や裁断時のカッターの劣化を抑えて設備メンテナンスコストの削減や生産効率の向上を促すことができ、高品位の紙類をより低コストで提供することが可能となる。
【0029】
また、本実施形態の処理制御方法では、こうして製紙スラッジSを造粒物Pに成型造粒するに際し、その水分量を50〜60wt%とするとともに、平均粒径5〜20mmに成型造粒しており、このため必要以上に多くの時間や労力を要したりすることなく、上述のように焼成炉6の本体6A内に保持される造粒物P同士の間に確実に十分な間隙を確保することができ、しかも個々の造粒物Pにおいてもより確実に上述のような均一な焼成を図ることが可能となる。さらに、本実施形態では、この造粒物Pを焼成炉6において、たとえば焼成温度を好適には750〜850℃で1〜3時間保持して焼成するようにしており、これによって一層確実に炭酸カルシウムの分解を防ぎつつ、製紙スラッジS中の有機物の完全燃焼を図って、かかる有機物に起因する白色度の劣化等を抑えることが可能となる。
【0030】
<制御の具体例>
図2は、本発明の制御の具体例を示すもので、各制御機器における符号として、WICは重量指示調節計、TICは温度指示調節計、FICは流量指示調節計、TRCは温度記録調節計、TRAは温度記録警報器、PICは圧力指示調節計、XAは濃度計を示す。
【0031】
先に述べたように、焼成炉6からの排気E1の一部は、二次燃焼炉14に向かう。焼成炉6からの排気E1の残部が循環ブロア24によって、熱風炉7に吹込まれるべく循環使用される。焼成炉6からの排気E1の温度はたとえば400〜500℃とされ、その熱の有効利用のため、ならびに空気比をたとえば1.2〜1.8(好適には1.3〜1.5)に調節するために循環使用される。循環量は、流量指示調節計50によって流量調整弁の開度を調節する。
【0032】
熱風炉7への助燃料Fの投入量は、ボックス6B,6Cの各温度に基づき温度指示調節計51,52からの温度信号に基づき流量指示調節計53により流量調整弁の開度を調節することにより行う。これによって熱風温度を800〜1000℃(好ましくは850〜900℃)とし、白色度がたとえば80以上、ワイヤー磨耗度が20以下の良質な焼成品を得ることを図る。
【0033】
流量指示調節計53の連関で、燃焼空気ブロア8からの燃焼空気投入量を、流量指示調節計54により流量調整弁の開度を調節することにより行う。この空気投入量制御は、前記の空気比を確保しながら造粒物の過剰燃焼を防止して、良質の焼成品を得るために行う。
【0034】
一方、焼成炉6内の圧力検出に基づき、焼成炉6が回転している関係で直接的に焼成炉6内の圧力検出が困難であるために、実施の形態では焼成炉6から出た位置において圧力検出を行い、圧力指示調節計55からの圧力信号に基づき、誘引ブロア20の入り側の流量制御弁60の開度を調節し、焼成炉6内の圧力制御を行う。
【0035】
なお、二次燃焼炉14では、助燃料Fの投入量の制御は、二次燃焼炉14出側の温度指示調節計56からの温度信号に基づき流量指示調節計57により流量調整弁の開度を調節することにより行う。また、二次燃焼炉14へ燃焼空気予熱器16を介して投入する空気量は、流量指示調節計57との連関で、二次燃焼炉燃焼ブロア15から供給される空気C(図1参照)を流量指示調節計58により流量調整弁の開度を調節することにより行う。
【0036】
【実施例】
次表1、2は、表1に示す原料(製紙スラッジS)成分の造粒物Pを本実施形態の処理制御方法によって焼成して処理したときの焼成品の分析結果を表2に示すものである。ただし、これらの表1において脱水機1、2(表2ではRUN−1、2)としてあるのは、造粒前の製紙スラッジSを所定の水分量にまで脱水する際の脱水機を示したものであり、脱水機1はスクリュープレス脱水機、脱水機2は遠心脱水機である。また、表2におけるCaCO3、(炭酸カルシウム)分解率は、次式1により算出した。さらに、このときの造粒物Pは直径約8mm、長さ10〜15mmの円柱状(平均粒径9〜11.5mm)に成型造粒されて、RUN−1の場合は2.49kg/h、RUN−2の場合は2.1kg/hの供給量で焼成炉6に供給された。また、この焼成炉6は、その本体6Aが内径200mm、長さ1500mmの円筒状(均熱部容量47.1L)で、その一端部側から他端部側に向けて下向きにRUN−1では1.3/100、RUN−2では1.6/100の傾斜が与えられ、RUN−1の場合は1.0rPm、RUN−2の場合は1.5rPmの回転数で回転された。さらに、この焼成炉6の熱風炉7は、その熱容量が61500kcal/hであって、RUN−1の場合は865℃、RUN−2の場合は843℃の熱風が本体6A内に吹き込まれ、これにより造粒物Pの焼成温度(品温)はRUN−1で797℃、RUN−2で760℃とされた。また、造粒物Pの焼成炉6における保持時間(滞留時間)は1.77時間であった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
CaCO3の分解率={(原料CaCO3−焼成品CaCO3)/原料CaCO3}×100 ……(1)
【0040】
この結果より、上記処理制御方法によれば、RUN−1の場合は焼成品におけるCaCO3の分解率が比較的高めであったものの、これに対してRUN−2の場合はCaCO3の分解率が大幅に抑えられており、焼成品中のCaCO3の含有量もRUN−2では約20wt%とされた。さらに、これらRUN−1、2の焼成品の白色度を測定したところ、双方とも80以上と比較的高い白色度が得られていることが判った。
【0041】
一方、上記実施形態の処理設備においては、その焼成炉6が横置きされ、中心軸Q回りに回転可能な円筒状の本体6Aを備え、この本体6A内に上記造粒物Pが供給されて保持されるとともに熱風炉7から熱風が吹き込み可能とされ、造粒物Pが加熱されて焼成されるようになされている。このため、本体6A内部に保持された造粒物Pはこの本体6Aの回転に伴ってその内壁部を周方向に転がりながら焼成されることとなり、従って造粒物P自体が粒の揃った形状、寸法に成型造粒されて上記間隙が確保されることとも相侯って、個々の造粒物Pの周囲により確実かつ均一に熱風を行き渡らせて焼成することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、この焼成炉6が、その本体6Aの第1の端部側から造粒物Pが供給されて他端部側に送り出されつつ焼成されるのに対し、熱風はこの本体6Aの反対の第2の端部側から吹き込まれるようになされており、従って本体6Aの第1の端部側では供給されたばかりの水分量の多い造粒物Pから蒸発した水分を速やかに本体6Aから排出することができる一方、第2の端部側ではより高温の熱風を造粒物Pに与えて一層確実な焼成を図ることが可能となる。なお、この本体6Aには上述のように第1の端部側から第2の端部側に向けて下向きに傾斜を与え、造粒物Pが確実に送り出されるようにされていてもよい。
【0043】
さらに、本実施形態の処理設備では、上記焼成炉6の第1の端部側から排出された熱風の排気Eが集塵機13、二次燃焼炉14、燃焼空気予熱器16、廃熱ボイラ17、ベンチュリースクラバー18および湿式スクラバー19を経て排出されるようになされており、このうち集塵機13、二次燃焼炉14、燃焼空気予熱器16、および廃熱ボイラ17は排出バルブ13A,17Aや排出ダンパ14B,16Aを介してダスト戻しコンベア22に接続されて、排気Eから回収された固形分Dがこのダスト戻しコンベア22からスラッジ搬送コンベア3を経て製紙スラッジSとともに造粒機4に供給可能とされている。しかして、こうして焼成炉6から排出された排気E中には焼成炉6内に保持された造粒物Pの粉塵等が上記固形分Dとして含まれており、従ってこの固形分Dには製紙スラッジSに含有されたカルシウム成分も含まれているので、このような固形分Dを回収して再び造粒機4に供給し、製紙スラッジSと混合して造粒物Pに成型造粒して焼成炉6に供給することにより、本実施形態によれば、焼成される造粒物P中におけるカルシウム成分の増加を図って、炭酸カルシウムの回収効率の一層の向上を促すことが可能となる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製紙スラッジの処理制御方法および処理設備によれば、製紙スラッジを造粒機において粒の揃った造粒物に成型造粒した上で、焼成炉からの熱風により加熱して焼成することにより、造粒物間に熱風を十分に行き渡らせてその均一かつ確実な焼成を図ることができ、有機物の完全燃焼と炭酸カルシウム等の回収効率の向上とを促して、製紙工程等の顔料や填料として用いたりする場合の白色度の向上を図ったり、該製紙工程における抄紙機のワイヤーの摩耗や裁断機のカッターの劣化を抑えたりすることができる。
【0045】
また、焼成炉内の圧力を制御することで、安定したかつ良質の焼成品を得ることができる制御系となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製紙スラッジの処理設備の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の制御系のフローシートである。
【符号の説明】
4 造粒機
6 焼成炉
6A 焼成炉6の本体
7 熱風炉
13 集塵機
14 二次燃焼炉
16 燃焼空気予熱器
17 廃熱ボイラ
S 製紙スラッジ
P 造粒物
E1〜E4 排気
D 排気から回収された固形分
Claims (1)
- 製紙スラッジを造粒する造粒機と、本体が横置きで中心軸回りに回転し、第1の端部側から内部に供給される水分量が50〜60%の前記造粒物を転がしながら熱風のみにより焼成処理し、焼成品を前記第1の端部側に対して反対側の第2の端部側から排出する内熱キルン型焼成炉とを備える設備を用い、
前記焼成炉の前記第2の端部側に、外部から供給される空気を加熱して前記焼成炉の内部に熱風として吹込む熱風炉を接続し、この熱風炉に備えられたバーナーにより、燃料と燃焼空気とを使用して前記焼成炉内に吹込む前記熱風を生成させ、
前記熱風を熱風炉から前記焼成炉内部に吹込み、さらに前記焼成炉の前記第1の端部側から排気される焼成炉排ガスの一部をそのまま、前記熱風炉に循環返送して前記焼成炉内部に吹込み、
前記燃料量を、前記焼成炉の熱風吹込み側温度と前記焼成炉排ガス温度とに基づき制御し、かつ前記燃料量に対応して前記燃焼空気量を制御し、
前記焼成炉排ガスの循環量を空気比が1.2〜1.8になるように制御し、
前記造粒物の保持・滞留時間を1〜3時間とし、
前記各制御により、前記熱風炉に吹込む熱風を800〜1000℃とし、前記焼成炉においての焼成温度を700〜850℃とし、前記滞留させて焼成し、前記焼成炉の第1の端部側から排気される焼成炉排ガス温度を400〜500℃とする;
ことを特徴とする製紙スラッジの処理制御方法。
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