JP3806407B2 - 刈払い機用回転刃の製造方法及び刈払い機用回転刃 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、草木の刈払い等に用いられる刈払い機用回転刃(以下、単に回転刃という)の製造方法と、該製造方法で製造された回転刃に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン又はモータからの回転を回転刃に伝え、作業者が操作杆を左右に振り動かすことにより、前記回転刃が雑草、下草、潅木等を刈取る刈払い機が知られ、該刈払い機の使用する回転刃として、円盤状に形成された回転刃本体の周端部に複数の切断刃が形成され、各切断刃間の谷部に円弧状の刃部を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、刈払い機用の回転刃は、その駆動源であるエンジンの回転数を5000〜10000rpmで回転させて使用している。このため、作業中に回転刃が小石等に当ると大きな衝撃力を受け、切断刃の先端が破損することがある。このような損傷を防止するため、回転刃は高価な炭素工具鋼もしくは合金工具鋼で形成されているのにもかかわらず、焼入れ、焼戻しにより切断刃に靭性を与えるように硬度をHRC50(513HVに相当)以下にして使用している。
【0004】
【特許文献1】
特開平09−000035号公報(第3頁 図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記熱処理をした回転刃は、高価な炭素工具鋼等の材料を必要とし、回転刃のコストアップの原因となっている。また、切断刃の硬度を低くしているため、切断刃の磨耗が大きくなり耐久性が低いものになっていた。また、切断刃に超硬合金で形成されたチップ刃を配置することも行われているが、チップ刃の加工や回転刃本体への取付け等、より多くの工程が必要となり、生産性が低下するだけでなく、回転刃がより高価なものとなる。
【0006】
また、回転刃を高速で回転させて使用しなければならず、作業者にかかる振動や騒音が大きくなる。
【0007】
前記の事情に鑑み、本発明は、耐磨耗性、靭性を備え、生産が容易で安価、かつ低速回転で使用できる回転刃の製造方法と回転刃及び該回転刃を用いる刈払い機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は、所定厚さの調質されていない生の状態の炭素量が0.35〜0.51%の機械構造用炭素鋼からなる鋼鈑から、回転方向を向く複数の刃形部を有する所定の形状の回転刃本体を形成する形状成形工程と、
前記刃形部の刃先側から2〜20mmの範囲に、0.3〜2秒で1000℃を越える昇温速度で700〜1000℃に高周波で急速加熱した後、1〜5秒で常温に急冷する焼入れと、170〜450度に加熱する焼戻しを行い、520〜840HV0.2の硬度を有する焼戻しマルテンサイトと前記急速加熱時に未変態の状態で残ったフェライトとを有する靭質組織にする熱処理工程と、
前記刃形部を研磨して切断刃を形成する研磨工程と、
を備えることを特徴とする刈払い機用回転刃の製造方法にある。
【0010】
また、本発明は、回転方向を向く複数の切断刃を形成した刈払い機用回転刃において、
炭素量が0.35〜0.51%で厚さ1.2〜2mmの機械構造用炭素鋼の鋼鈑からなり、
前記切断刃の刃先側から2〜20mmの範囲に、0.3〜2秒で1000℃を越える昇温速度で700〜1000℃に高周波で急速加熱した後、1〜5秒で常温に急冷する焼入れと、170〜450度に加熱する焼戻しを行うことにより形成された、520〜840HV0.2の硬度を有する焼戻しマルテンサイトと前記急速加熱時に未変態の状態で残ったフェライトとを有する金属組織を備えてなる、
ことを特徴とする刈払い機用回転刃にある。
【0013】
なお、括弧内の符号等は、図面において対応する要素を示す便宜的なものであり、これにより請求項の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0014】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によると、回転刃の切断刃に焼戻しマルテンサイトに基づく耐磨耗性(硬度)と、急速加熱時に未変態の状態で残ったフェライトを有する靭質組織に基づく耐衝撃性(靭性)を付与することができる。また、炭素量が0.35〜0.51%の安価な調質されていない機械構造用炭素鋼鈑に高周波により焼入れ及び焼戻しを行うことにより、回転刃の生産性を向上させ、かつ安価に製造することができる。
【0015】
また、炭素量が0.35〜0.51%の安価な調質されていない鋼鈑で形成された回転刃本体の切断刃に、適正な温度と時間で焼入れを行うことにより、硬度と靭性との調和を図って、回転刃の耐磨耗性と耐衝撃性を保って、回転刃の耐久性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明によると、安価な調質されていない機械構造用炭素鋼からなる鋼鈑を用いて回転刃を形成することにより、安価に製造することができるものでありながら、焼戻しマルテンサイトの硬度とフェライトの靭性を兼ね備え、耐磨耗性と耐衝撃性を有する回転刃を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明による実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態を示し、図1(a)に示すように、回転刃1は、例えば、S38C〜S48C等、炭素量が0.35〜0.51%の調質されていない生の状態の機械構造用炭素鋼からなり、円盤状の回転刃本体2の外周面に、巴状、即ち略半径方向に伸びる立ち上り部2aと、該立ち上り部2aから隣接する立ち上り部2aの内径側部に向けて半径が漸減する円弧面2bと、前記立ち上り部2aの中央部から前記立ち上り部2aの内径側と円弧面2bの交点にかけて前記回転刃1の回転方向Fの後方を向く切欠き部2cを有し、前記立ち上り部2aと切欠き部2cに刃形部3が形成される。なお、前記回転刃本体2の中心部には、回転刃1を刈払い機に取付けるための穴2eが形成されている。
【0021】
また、前記回転刃1の素材となる鋼鈑は、焼割れし難い炭素量が0.35〜0.51%の調質されていない生材、前記機械構造用炭素鋼(S38C〜S48C材)が好ましく、比較的安価な材料であって、浸炭等の表面処理を施すことなく焼入れ等の熱処理が可能な材料であれば良く、その厚さが1.2〜2.0mmの薄板が用いられる。また、前記鋼鈑は、冷間圧延されたものに限らず、熱間圧延された黒板を用いることもできる。
【0022】
前記刃形部3には、立ち上り部2aに、第1の切断刃3dが形成され、切欠き部2cに、前記第1の切断刃3dに連続した第2の切断刃3eが形成される。そして、前記第1の切断刃3dは、その外周側端部(交点E)と回転刃1の軸心を結ぶ放射線A−Aに対し内径側が回転方向Fの後方に位置するように所定の角度θ3傾斜している。この角度θ3は、例えば、0〜15度の範囲とすることができるが、0〜7度が好ましい。
【0023】
また、前記第2の切断刃3eの刃先の前記第1の切断刃3dとの連続部は、前記放射線A−Aに対して、回転方向Fの後方に向けて所定の角度θ2傾斜している。この角度θ2は、例えば、30〜80度の範囲とすることができるが、60〜75度が好ましい。
【0024】
また、第2の切断刃3eの刃先の形成範囲は、少なくとも切欠き部2cの回転方向Fの最後方位置Bまでとするが、前記円弧面2bと放射線A−Aの交点Cまで形成しても良い。
【0025】
また、前記立ち上り部2aの外周側端面2dは、立ち上り部2aの外周端の接線D−Dに対し所定の角度θ4傾斜し、交点Eで第1の切断刃3dの刃先の外周端と交わる長さL1(例えば、10〜20mm)の直線状に形成されている。前記角度θ4は、例えば、3〜15度の範囲とすることができるが、5〜10度が好ましい。
【0026】
前記第1の切断刃3dと第2の切断刃3eは、図1(c)に示すように、回転刃本体2の裏面3b側に、回転方向Fの後方に向けて所定の角度θ1傾斜するように形成された傾斜面3cの先端が刃先となっている。この角度θ1は、例えば、14〜26度の範囲とすることができるが、切れ味、耐久性の面からは16〜23度が好ましい。
【0027】
なお、回転刃1に形成される切断刃の数は、2〜36の間の任意の数に設定することができるが、本実施の形態においては、切断刃の数は6個である。
【0028】
調質されていない生の状態の鋼鈑で形成されている前記回転刃本体2に、前記刃形部3を形成した後、図1(b)に示すように、刃形部3の刃先側から二点差線で示す位置まで幅lの範囲で高周波焼入れと、高周波焼戻しを行い、硬化部5を形成する。
【0029】
この高周波焼入れと高周波焼戻しを行う幅lは、例えば、刃形部3の刃先側から2〜20mmの範囲とすることができるが、高周波焼入れ時における刃形部3の変形を考慮した場合、2〜10mmの範囲が好ましく、更に好ましくは、2〜6mmの範囲とすることができる。
【0030】
前記高周波焼入れは、0.3〜2秒で1000℃を越える昇温速度で、例えば、700〜1000℃(好ましくは、750〜900℃)に、例えば、0.3〜2秒(好ましくは、1秒前後)で急速加熱した後、水で常温(例えば、20℃)まで1〜5秒(好ましくは、1〜2秒前後)で冷却(急冷)する。また、前記高周波焼戻しは、170〜450℃(好ましくは、200〜400℃)で、例えば、5〜1秒加熱した後、水で常温まで冷却する。
【0031】
前記ように調質されていない生の鋼鈑を急速加熱した場合には、フェライトがオーステナイトへの変態を完了する温度(AC3点、一般には830℃)が上昇(急速加熱した場合には、1050℃程度になる)し、オーステナイトに変態しきれないフェライトが残る。このように、フェライトが残っている状態では、鋼鈑中の炭素がフェライトから変態したオーステナイトに固溶されることになり、オーステナイト中の炭素濃度が上昇する。
【0032】
そして、この状態で急冷することにより、オーステナイトはマルテンサイトに変態するが、オーステナイトに変態しきれなかったフェライトと、マルテンサイトに変態しきれなかったオーステナイト(残留オーステナイト)が組織内に残ることになる。このような組織では、同じ材料でフェライトからオーステナイトへの変態を完了させる焼入れ(所謂完全焼入れ)をした場合に比べ、より硬度の高いマルテンサイト(高硬度マルテンサイト)を得ることができる。
【0033】
前記のような急速加熱、急冷による焼入れを行うことにより、即ち、金属の変態が完成しない状態で焼入れを行う所謂不完全焼入れを行うことにより、硬化部5は、5〜30%のフェライト、残留オーステナイトと、残量が高硬度マルテンサイト等を含む靭質組織となり、硬度と靭性を兼ね備えた焼入れを行うことができる。
【0034】
また、前記のように、170〜450度の焼戻しを行うことにより、焼入れで形成した硬度や靭質組織を損なうことなく焼入れによって生じた内部応力を除去し、組織を安定化することができる。そして、同じ材料でフェライトからオーステナイトへの変態を完了させて焼入れし、その後焼戻しを行ったものに比べより硬度の高い焼戻しマルテンサイト(高硬度焼戻しマルテンサイト)を得ることができる。
【0035】
このような高周波焼入れ、高周波焼戻しを行うことにより、硬化部5、即ち、刃形部3に、硬度が520〜840HV0.2(HRC50.5〜65.3に相当)の高硬度焼戻しマルテンサイト(好ましくは、600〜700HV0.2)を生成し、その組織は、5〜30%のフェライト、残留オーステナイトと残量が高硬度焼戻しマルテンサイト等を含む靭質組織となり、所要の硬度と靭性を備える。
【0036】
即ち、高硬度焼戻しマルテンサイトの硬さにより耐磨耗性と切れ味を備え、フェライト、残留オーステナイトにより靭性(耐衝撃性)を備えた靭質組織とすることができる。前記靭質組織は、フェライトが5〜30%(好ましくは、10〜25%)、残量が高硬度焼戻しマルテンサイト等からなる組織、あるいは、フェライトが5〜30%(好ましくは、10〜20%)、残留オーステナイトが5〜10%(好ましくは、フェライトと残留オーステナイトの合計で、10〜25%)、残量が高硬度焼戻しマルテンサイト等からなる組織である。
【0037】
図2は、厚さ1.6mmの機械構造用炭素鋼(S45c)で形成された回転刃本体2の刃形部3を、高周波焼入れ条件、750℃、1.3秒で急速加熱し、水(シャワー)で常温まで急冷した後、高周波焼戻し条件、220℃、2秒で加熱し、水冷する熱処理による硬化部5の組織観察用のサンプルの外観を示す正面図である。また、図3は、図2の刃先側から0.4mm内側の組織を400倍に拡大した顕微鏡写真、図4は、図2の刃先側から3mm内側の組織を400倍に拡大した顕微鏡写真である。なお、図3及び図4において、白い部分がフェライト、灰色の部分がマルテンサイトである。
【0038】
前記硬化部5は、刃先側から0.4mm内側は、約15%のフェライト、残留オーステナイトと約85%の焼戻しマルテンサイト等を含む靭質組織で構成され、前記焼戻しマルテンサイトの硬度は528HV0.2(HRC51に相当)であった。また、刃先側から3mm内側は、約10%のフェライト、残留オーステナイトと約90%の焼戻しマルテンサイト等を含む靭質組織で構成され、前記焼戻しマルテンサイトの硬度は553HV0.2(HRC52〜53に相当)であった。
【0039】
前記高周波焼入れ、高周波焼戻しが終了した回転刃本体2の表面3a側を、必要に応じてその外周端から焼入れ範囲を含む幅L2の範囲で平面研削することができる。このとき、研削代は、0.1〜0.4mm程度とする。例えば、素材となる機械構造用炭素鋼の板厚H1が1.6mmの場合、平面研削による研削代を0.2mmとすると刃形部3の根元部の板厚H2が1.4mmとなり、刃形部3の剛性を確保することができる。
【0040】
前記回転刃1の製造工程は、例えば、S45C(機械構造用炭素鋼)の厚さ1.6mmの冷間圧延鋼鈑(調質されていない生材)から、プレスによる抜き加工によって、立ち上り部2a及び切欠き部2cが形成された巴状の回転刃本体2を形成する。
【0041】
所定の形状に形成された前記回転刃本体2の立ち上り部2a及び切欠き部2cの裏側3bを、傾斜面3cを形成するようにグラインダ等により研磨して、刃形部3を形成する。
【0042】
前記回転刃本体2に形成された刃形部3の刃先側から所要の幅l(2〜20mm)を高周波により700〜1000℃に0.3〜2秒で急速加熱した後、水(シャワー)により常温(例えば、20℃)に急冷して高周波焼入れを行う。この高周波焼入れによって、5〜30%(好ましくは、10〜25%)のフェライト及び残留オーステナイトと、残量が520〜840HV0.2の硬度を有するマルテンサイト等を含む靭質組織からなる硬化部5を形成する。
【0043】
前記高周波焼入れされた前記硬化部5を、高周波により、170〜450℃に5〜1秒で加熱した後、水冷により常温に冷却して高周波焼戻しを行う。この高周波焼戻しにより、前記高周波焼入れによって前記硬化部5に生じた内部応力を除去すると共に、硬度と組織を損なうことなく組織を安定化することができる。
【0044】
前記高周波焼入れ、高周波焼戻しが行われた前記硬化部5に変形が発生し(例えば、反り、うねり等)、前記回転刃本体2に形成された複数の前記刃形部3の高さ(回転刃本体2の板厚方向の位置)にバラツキが生じた場合、前記回転刃本体2の表面3aの外周側から幅L2の範囲(例えば、30〜50mm、少なくとも前記高周波焼入れ、高周波焼戻しを行った部分を含む幅)を平面研削機で研削し、高周波焼入れ高周波焼戻しによる板厚方向の変形を除去して前記回転刃本体2の表面3a側の前記刃形部3の高さを揃えることができる。このとき、研削代は、0.1〜0.4mmとする。なお、前記平面研削工程は省略することもできる。
【0045】
高周波焼戻し終了後、あるいは平面研削終了後、手作業でグラインダ等により前記回転刃本体2の裏面3b側の傾斜面3cを研磨して刃付けを行い、切断刃3d、3eを形成する。なお、切断は3d、3eの刃先の角度θ1を26度に近い大きさとするほど耐久性を向上させることができる。
【0046】
本実施の形態における回転刃1は、上記のような構成からなるので、前記回転刃1を刈払い機に取付けて、前記回転刃1を矢印F方向に回転しつつ、作業者が前記刈払い機を左右に振り動かすことにより、立ち上り部2aを雑草、下草、潅木に押付ける。そして、前記立ち上り部2aが押付けられた潅木や雑草等は、前記立ち上り部2aに形成された第1の切断刃3dにより切断される。また、前記第1の切断刃3dで切断されずに切欠き部2cに導かれた雑草や下草等は、第2の切断刃3eで撫で切る様にして切断される。
【0047】
このとき、前記第1及び第2の切断刃3d、3eの刃先の角度θ1が、従来の回転刃に比べ小さく形成されているので、切れ味が良く、刈払い作業を効率よく行うことができる。また、刈払い機において、シャフトから回転刃に動力を伝達するベベルギヤを、そのギヤ比が従来の0.8のものから0.5以下のものに付け替えて、回転刃1の回転数を駆動源の出力回転数の1/2以下(従来の1/2〜1/3、好ましくは、2000〜3000rpm)にして作業することができ、刈払い作業の安全性を向上させることができる。
【0048】
また、回転刃1の回転数を駆動源の出力回転数の1/2以下(好ましくは、2000〜3000rpm)とすることにより、回転刃1の第1及び第2の切断刃3d、3eが小石等に衝突した時の衝撃力を小さくすることができ、しかも、前記第1及び第2の切断刃3d、3eには、高周波焼入れ、高周波焼戻しにより硬度だけでなく靭性が付与されているので、前記第1及び第2の切断刃3d、3eの破損を少なくすることができる。
【0049】
また、従来の板刃又は巴刃に比べて硬度が高いので、比較的硬い細木が混在していても、確実かつ効率よく切断することができ、しかも耐磨耗性が良く、長期間に亘りその切れ味を維持することができる。また、前記第2の切断刃3eは、前記回転刃本体2の放射線A−Aに対して回転方向後方に向けて傾斜しているので、鎌を回転させて雑草等を撫で切る様に切断することができる。従って、芝草のように柔軟な草類も効率よく刈取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転刃の一例を示す図で、(a)は回転刃の正面図、(b)は回転刃の一部を示す拡大図、(c)は刃先部分を示す拡大図。
【図2】熱処理による硬化部の組織観察用のサンプルの外観を示す正面図。
【図3】図2の刃先側から0.4mm内側の組織を400倍に拡大した顕微鏡写真。
【図4】図2の刃先側から3mm内側の組織を400倍に拡大した顕微鏡写真。
【符号の説明】
1…刈払い機用回転刃(回転刃)
2…回転刃本体
2a…立ち上り部
2c…切欠き部
3…刃形部
3a…表面
3d…第1の切断刃
3e…第2の切断刃
5…硬化部
A−A…放射線
θ1…角度
θ2…角度
Claims (2)
- 所定厚さの調質されていない生の状態の炭素量が0.35〜0.51%の機械構造用炭素鋼からなる鋼鈑から、回転方向を向く複数の刃形部を有する所定の形状の回転刃本体を形成する形状成形工程と、
前記刃形部の刃先側から2〜20mmの範囲に、0.3〜2秒で1000℃を越える昇温速度で700〜1000℃に高周波で急速加熱した後、1〜5秒で常温に急冷する焼入れと、170〜450度に加熱する焼戻しを行い、520〜840HV0.2の硬度を有する焼戻しマルテンサイトと前記急速加熱時に未変態の状態で残ったフェライトとを有する靭質組織にする熱処理工程と、
前記刃形部を研磨して切断刃を形成する研磨工程と、
を備えることを特徴とする刈払い機用回転刃の製造方法。 - 回転方向を向く複数の切断刃を形成した刈払い機用回転刃において、
炭素量が0.35〜0.51%で厚さ1.2〜2mmの機械構造用炭素鋼の鋼鈑からなり、
前記切断刃の刃先側から2〜20mmの範囲に、0.3〜2秒で1000℃を越える昇温速度で700〜1000℃に高周波で急速加熱した後、1〜5秒で常温に急冷する焼入れと、170〜450度に加熱する焼戻しを行うことにより形成された、520〜840HV0.2の硬度を有する焼戻しマルテンサイトと前記急速加熱時に未変態の状態で残ったフェライトとを有する金属組織を備えてなる、
ことを特徴とする刈払い機用回転刃。
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