JP3798864B2 - 側方視型内視鏡の先端部 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、先端部本体の側面に観察窓が設けられた側方視型内視鏡の先端部に関する。
【0002】
【従来の技術】
側方視型内視鏡においては一般に、観察窓と照明窓等が配置されている部分を除いて、金属性の先端部本体が電気絶縁性材料からなる先端キャップによって被覆された構成がとられており、使用後の洗浄を確実に行うために、先端キャップを先端部本体に対して着脱自在にしたものが多くなってきている。
【0003】
そのような側方視型内視鏡の先端部においては、先端キャップの内面が先端部本体の外周面にほぼ全面で摺接するようになっていて、先端キャップは先端部本体の先側から軸線方向に着脱される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような従来の側方視型内視鏡で先端キャップを着脱する際に、先端キャップを先端部本体に対して軸線方向に移動させようとすると、先端部本体と先端キャップとの摺接面で生じる抵抗が大きくて、着脱をスムーズに行えない場合が少なくない。
【0005】
そこで本発明は、先端部本体に対する先端キャップの着脱をスムーズに行うことができる側方視型内視鏡の先端部を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の側方視型内視鏡の先端部は、側面に観察窓が設けられた先端部本体に対して着脱自在に設けられた先端キャップに、上記観察窓とその周辺部分を露出させるための窓が形成された側方視型内視鏡の先端部において、上記先端部本体の外周面と上記先端キャップの内面とを、上記先端部本体と上記先端キャップとの位置決めに必要な部位及び上記窓の縁部において摺接させて、その他の大半の部分において上記両面の間に隙間を形成したことを特徴とする。
【0007】
なお、上記先端部本体の外周面の少なくとも一部が平面状に形成されていて、その平面部において上記先端部本体の外周面と上記先端キャップの内周面との間に上記隙間が形成されていてもよい。
【0008】
また、上記隙間が、上記先端部本体の外周面と上記先端キャップの内面との摺接面からみて上記先端部本体側を窪ませて形成されていてもよく、或いは、上記先端キャップ側を窪ませて形成されていてもよい。
【0009】
なお、上記隙間の大きさが、0.1mmないし0.2mmであってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は、例えば十二指腸用内視鏡のような側方視型内視鏡の先端部の平面図及び側面断面図である。
【0011】
図中、1は、例えばステンレス鋼のように耐蝕性のよい金属からなる先端部本体であり、可撓性のある内視鏡挿入部の先端部分に形成された湾曲部2の先端に連結されている。3は、湾曲部2を被覆する柔軟なゴムチューブである。
【0012】
先端部本体1は、丸棒状の素材の一側面を部分的に平らに削り取った形状に形成されていて、その平面部21に、観察窓4と照明窓5そして処置具突出口6が配置されている。なお、以下の説明において、観察窓4等が配置されている側(図2における上側)を上側又は上方向という。
【0013】
先端部本体1は、観察窓4及びそれに隣接して設けられた照明窓5、処置具突出口6以外の部分が露出しないように、弾力性のある例えばフッ素ゴム等のような弾性材からなる先端キャップ30によって気密に被覆されている。
【0014】
先端キャップ30は、前端側が塞がれ後端側が開口したキャップ状に形成されていて、図3の斜視図に示されるように、先端部本体1に対して着脱自在である。そして、観察窓4とそれに隣接する照明窓5と処置具突出口6とが位置する部分には、窓31が開口形成されている。
【0015】
処置具突出口6の内側には、遠隔操作によって揺動する処置具起上片9が収容されており、その奥に、図示されていない処置具挿通チャンネルの先端が開口配置されている。
【0016】
図1に示されるように、照明窓5の部分には、照明光を広げるための凹レンズからなる配光レンズ13が平面部21とほぼ同一表面になるように接合されており、そのすぐ内側に照明用ライトガイドファイババンドル14の射出端が配置されている。
【0017】
観察窓4の部分には、観察光学系のカバーレンズ15が平面部21とほぼ同一表面になるように接合されており、そのすぐ内側には観察光軸を直角に曲げるプリズム16が配置され、プリズム16の後方には、鏡枠17内に対物レンズ18…が配置されている。
【0018】
そして、対物レンズ18…による被写体の結像位置に、例えば電荷結合素子(CCD)からなる固体撮像素子19の受像面が配置され、信号ケーブル20がそこから後方に延びている。
【0019】
先端部本体1の平面部21の後端に続く斜面20には、送気通路25の先端と送水通路26の先端とが開口しており、その送気通路25と送水通路26には、送気管23と送水管24が後方から接続されている。
【0020】
また、送気通路25と送水通路26とを連通させて一つに合流させる連通溝27が、先端部本体1の斜面20部分に横長に凹んで形成されており、送気通路25と送水通路26の先端開口25a,26aは、共に連通溝27内に開口している。
【0021】
先端キャップ30は、観察窓4の後ろに連なる平面部21の一部に被さるように形成されており、その平面部21と接する先端キャップ30の壁面部分には、カバーレンズ15の表面に向けて開口するノズル37が凹んで形成されている。
【0022】
このノズル37の背部開口には、先端部本体1に形成された連通溝27が直接連通している。したがって、送気管23又は送水管24を通って送られてくる空気又は水が、連通溝27からノズル37を経由して、カバーレンズ15の表面に向けて噴出する。
【0023】
キャップ状に形成された先端キャップ30の後端口元側の内周面には、内方に向けて周状突起32が突出形成されている。一方、先端部本体1には、照明窓5や観察窓4等より後方の円形断面部分の外周面に円周溝7が形成されている。
【0024】
そして、先端キャップ30は、先端部本体1に対して押し広げられながら被さるように軸線方向に前方側から取り付けられ、周状突起32が円周溝7内に嵌まり込むことによって先端部本体1に対する先端キャップ30の軸線方向の移動が規制されて、先端キャップ30が先端部本体1から抜けない状態に固定される。
【0025】
また、先端部本体1の先端面部分には、観察窓4と同方向に向いた広い平面部を有する段差11が形成されていて、先端キャップ30の頭部側の内面部分には、その先端部本体1の段差11に摺接する形状の凸部33が形成されている。その摺接部をEとする。
【0026】
図4は、図1におけるIV−IV断面を示しており、先端部本体1の左右両側の外周面は観察窓4の表面と垂直の方向に平らに切り削がれて、各々に平面部1aが形成されている。
【0027】
そして、先端部本体1側の平面部1aに対向する先端キャップ30の内周面側には、先端部本体1側の平面部1aとの間に隙間tをあけて、平面部30aが形成されている。隙間tの大きさは例えば0.1mmないし0.2mm程度である。
【0028】
また、先端部本体1の底面も切り削がれて平面部1bが形成されているが、そこに対向する先端キャップ30の内周面は先端部本体1側に隙間なく摺接する平面になっている。その摺接部をDとする。
【0029】
したがって、先端部本体1に対する先端キャップ30の上下方向のガタが、摺接部Dにおける先端部本体1の底面の平面部1bと先端キャップ30との摺接、及び摺接部Eにおける段差11と凸部33部分の摺接によって規制される。左右の平面部1aと底面の平面部1bとの間の曲面部分では、先端部本体1と先端キャップ30との間に左右の平面部1aと同程度の隙間があけられている。
【0030】
図4に示されるように、先端キャップ30の窓31の左右両縁部Aは、先端部本体1の外周面と密着する状態に摺接しており、先端部本体1と先端キャップ30との間の隙間部分に汚物等が入り込むのを防止すると共に、先端部本体1に対する先端キャップ30の左右方向のガタを規制している。
【0031】
図1に戻って、先端キャップ30の口元の周状突起32に隣接する部分Bは、断面形状が完全な円形である。B部では、先端キャップ30が360°全周にわたって先端部本体1の外周面に密着する状態に摺接しており、先端部本体1に対する先端キャップ30の上下左右全方向への径方向移動が規制されている。
【0032】
そして、その口元側の摺接部Bと先端側の摺接部Eとの間の全範囲において、先端キャップ30と先端部本体1との取り付け関係は図4で示される形状になっている。
【0033】
このようにして、先端キャップ30は、先端部本体1に取り付けられた状態ではガタのないように所定位置に固定されるが、先端部本体1の外周面と先端キャップ30の内周面との間に広い面積で隙間tが形成されているので、先端キャップ30を先端部本体1に対して軸線方向に移動させて着脱する際には、抵抗が小さくて容易に着脱することができる。
【0034】
図5は、本発明の第2の実施の形態の側方視型内視鏡の先端部の平面図であり、図6及び図7は、そのVI−VI断面図及びVII−VII断面である。
この実施の形態においても、円周溝7と周状突起32との嵌め込み部分、及び先端側の段差11と凸部33との摺接部E等は、第1の実施の形態と同様に形成されている。
【0035】
先端キャップ30が先端部本体1の外周面に360°全周で密着する状態に摺接する口元側の摺接部Bは、軸線方向には第1の実施の形態より少し長く形成されている。
【0036】
そして、先端側の部分においても、図6に示されるように、先端キャップ30が先端部本体1に被さっている全範囲(例えば、周方向において240°程度の範囲)において、先端キャップ30が先端部本体1に密着する状態に摺接している。
【0037】
先端キャップ30に窓31が形成されている範囲では、図7に示されるように、先端キャップ30の窓31の左右両縁部Aが、先端部本体1の外周面と密着する状態に摺接している。
【0038】
そして、その左右両縁部A間においては、先端部本体1の外周面と先端キャップ30の内周面との摺接面に対して、先端部本体1の外周面が例えば0.1mmないし0.2mm程度窪んで形成されて、先端部本体1の外周面と先端キャップ30の内周面との間に隙間tが形成されている。
【0039】
図8は、本発明の第3の実施の形態の側方視型内視鏡の先端部の平面図であり、図9及び図10は、そのIX−IX断面図及びX−X断面であり、第2の実施の形態においては、先端部本体1の外周面を窪ませて先端キャップ30の内周面との間に隙間tを形成したのに対して、先端キャップ30の内周面を窪ませて隙間tを形成したものである。
【0040】
そのために、窪みのない部分では先端キャップ30を少し厚く形成してある。また、先端部本体1の底面には第1の実施の形態と同様に平面部1bを形成して、そこに先端キャップ30の内面を摺接させてある(摺接部D)。その他の部分は第2の実施の形態と同様である。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、側方視型内視鏡の先端部本体の外周面と先端キャップの内面とを、先端部本体と先端キャップとの位置決めに必要な部位及び窓の縁部において摺接させたことにより、先端キャップが先端部本体に取り付けられた状態ではガタのない安定した取り付け状態を得ることができ、その他の大半の部分において先端部本体の外周面と先端キャップの内面との間に隙間を形成したことにより、先端キャップを先端部本体に着脱する際には、抵抗が小さくてスムーズに着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の側面断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の先端部本体から先端キャップを取り外した状態の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態のIV−IV断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態のVI−VI断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態のVII−VII断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の平面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態のIX−IX断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態のX−X断面図である。
【符号の説明】
1 先端部本体
7 円周溝
30 先端キャップ
32 周状突起
t 隙間
A 縁部(摺接部)
B 摺接部
C 摺接部
D 摺接部
E 摺接部
Claims (5)
- 側面に観察窓が設けられた先端部本体に対して着脱自在に設けられた先端キャップに、上記観察窓とその周辺部分を露出させるための窓が形成された側方視型内視鏡の先端部において、
上記先端部本体の外周面と上記先端キャップの内面とを、上記窓の縁部において密着する状態に摺接させると共に、上記先端キャップの口元部付近では360°全周で密着する状態に摺接させて、上記先端キャップの先端側付近においては上記先端キャップが上記先端部本体に被さっている全範囲において密着する状態に摺接させ、上記先端キャップの口元部付近と先端側付近との間の部分であって上記窓の縁部以外の部分には、上記先端部本体の外周面と上記先端キャップの内面との間に隙間を形成したことを特徴とする側方視型内視鏡の先端部。 - 上記先端部本体の外周面の少なくとも一部が平面状に形成されていて、その平面部において上記先端部本体の外周面と上記先端キャップの内周面との間に上記隙間が形成されている請求項1記載の側方視型内視鏡の先端部。
- 上記隙間が、上記先端部本体の外周面と上記先端キャップの内面との摺接面からみて上記先端部本体側を窪ませて形成されている請求項1又は2記載の側方視型内視鏡の先端部。
- 上記隙間が、上記先端部本体の外周面と上記先端キャップの内面との摺接面からみて上記先端キャップ側を窪ませて形成されている請求項1又は2記載の側方視型内視鏡の先端部。
- 上記隙間の大きさが、0.1mmないし0.2mmである請求項1、2、3又は4記載の側方視型内視鏡の先端部。
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