JP3797585B2 - シールドコネクタ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド電線を挿通させるシールド端子の後部開口を塞いで電気的遮蔽性を向上させたシールドコネクタに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
図１４〜１５は、特開平７−２２１０７号公報に記載された従来のシールドコネクタを示すものである。
このシールドコネクタ９２は、シールド電線８８の内部導体８９に接続されたインナ端子９０と、インナ端子９０を収容したインナハウジング９１と、インナハウジング９１の外側を覆い、且つシールド電線８８の編組７０に接続されたシールド端子７１と、シールド端子７１を収容するアウタハウジング７２（図１５）とで構成されている。
【０００３】
インナハウジング９１の後半部にはヒンジ７３を介して板状の蓋部７４が開閉自在に設けられており、蓋部７４にはシールド端子７１とは別体の導電金属製の遮蔽部材７５が嵌着されている。蓋部７４は、ヒンジ寄りにインナ端子９０に対する係止部７６を有している。遮蔽部材７５は、シールド電線８８の内部導体８９に対する湾曲状の逃がし溝（図示せず）を有する後板部７７と、インナハウジング９１に対する係止孔７８を有する側板部７９と、アウタハウジング７２（図１５）の上壁８０に接する突部８１とを備えている。
【０００４】
また、インナハウジング９１には、インナ端子９０に対する係止ランス８２が設けられ、アウタハウジング７２（図１５）には、シールド端子７１に対する係止ランス８３が設けられている。シールド端子７１の前側圧着片８４はシールド電線８８の編組７０に圧着接続され、後側圧着片８５はシールド電線８８の外皮８６に圧着固定される。そして、シールド端子７１によってインナ端子９０に対するノイズの侵入や流出が防止される。特に蓋部７４の閉止によって、遮蔽部材７５がインナハウジング９１の後部開口８７を覆い、高周波帯域におけるシールド性能の悪化が防止される。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構造にあっては、遮蔽部材７５の後板部７７に、シールド電線８８の内部導体８９に対する逃がし溝が形成されていたり、後板部７７と側板部７９との間に隙間があいていたり、側板部７９に係止孔７８があいていたりする関係で、ノイズの遮蔽が完璧とは言い難く、さらなる遮蔽性の向上が課題として挙げられていた。また、遮蔽部材７５を別個に形成するために、部品点数が増え、蓋部７４に遮蔽部材７５を組み付けるための工数や、部品コストがアップするという問題があった。また、蓋部７４への小さな遮蔽部材７５の組付作業は面倒であり、組立作業の容易化が望まれていた。
【０００６】
本発明は、上記した点に鑑み、シールド端子によるシールド性を向上させると共に、部品点数の削減やコストの低減及び組立工数の低減や組立の容易化を可能とするシールドコネクタを提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、シールド電線の内部導体に接続されたインナ端子と、該インナ端子を収容するインナハウジングと、該インナハウジングの外側に覆設され、該シールド電線のシールド部に接続されるシールド端子と、該シールド端子を収容するアウタハウジングとを備えるシールドコネクタにおいて、前記シールド端子の後部開口にヒンジを介して蓋部が一体に設けられ、該蓋部に、前記シールド電線のシールド部に対する圧着部が形成され、前記アウタハウジングの挿入孔から挿着されるスペーサに、該蓋部に対する押圧部が形成されたことを特徴とする。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の一例を図面を用いて詳細に説明する。
図１〜図２に示す如く、本発明に係るシールドコネクタ１は、シールド電線２の内部導体３に接続された導電金属製のインナ端子４と、インナ端子４を収容した絶縁樹脂製のインナハウジング５と、インナハウジング５の外側を覆い、且つシールド電線２の編組６（シールド部）に接続された導電金属製のシールド端子７と、シールド端子７を収容する絶縁樹脂製のアウタハウジング９（図２）とで構成されており、シールド端子７の後部開口１０を覆う蓋部１１がシールド端子７にヒンジ１２を介して一体に形成され、且つ蓋部１１がシールド電線２の編組６に圧着されることを特徴とするものである。
【０００９】
図２の如く、インナ端子組立体１５をシールド端子組立体４９に挿入し、蓋部１１が、編組６の圧着と外皮１９の圧着と共にほぼ同時に閉止方向に押圧された後、アウタハウジング９には合成樹脂製のスペーサ１３が挿着され、スペーサ１３によってシールド端子７の蓋部１１が閉止方向（編組圧着方向）に押圧され、且つシールド端子７の後抜けが防止されている。
【００１０】
以下に上記シールドコネクタ１の構成を組立順に詳細に説明する。
図３に示す如く、インナ端子４の圧着片１４にシールド電線２の内部導体３が圧着接続されて、インナ端子組付体１５が構成されている。インナ端子４は一方に箱状の電気接触部１６、他方に圧着片１４を有している。電気接触部１６内には接触ばね片１７が設けられている。シールド電線２は、内部導体３を覆う絶縁体１８と、絶縁体１８を覆う編組６と、編組６を覆う外皮１９とで構成されている。
【００１１】
インナ端子組付体１５とは別に、図４の如く、シールド端子７の内部にインナハウジング５が挿着され、シールド端子サブ組付体４８が構成される。シールド端子７は、略矩形筒状に形成された前半の収容部２０と、後半の電線圧着部２１とを有している。収容部２０は前部開口２２と後部開口１０を有し、前部開口２２からインナハウジング５が挿入され、図５の如く、後部開口１０からインナハウジング５内にインナ端子４が挿入される。
【００１２】
図６(a)(b)にも示す如く、シールド端子７の収容部２０の後端上部にヒンジ１２を介して蓋部１１が一体に設けられている。ヒンジ１２は収容部２０の上壁２３に続き、両側のスリット状切欠部２４の間に形成されている。蓋部１１は、ヒンジ１２に続く逆凹字状の基部２５と、基部２５の上面に続く略三角形状の平坦部２６と、平坦部２６の両側に湾曲して続き、且つ後方に向けてテーパ状に漸次縮径した湾曲部２７と、湾曲部２７に続く半環状の圧着部２８とで構成される。圧着部２８がシールド電線２（図１）の編組６に圧着される。蓋部１１は自由状態で平坦部２６が収容部２０の上壁２３とほぼ平行になる程度に開口されており、図５においてインナ端子４が蓋部１１の湾曲部２７の内側を通り、蓋部１１と干渉せずにスムーズに挿入される。図６(a) の如く、本例において蓋部１１は上壁２３の中央から左右に分割されており、編組６（図１）に確実に圧着できるようになっているが、分割せずに半環状に一体化させたものでも構わない。
【００１３】
図６(a)(b)において、蓋部１１の後方に隣接して、電線圧着部２１である一対の小さめの前側圧着片２９と一対の大きめの後側圧着片３０とが形成されている。また、収容部２０の上壁２３には、アウタハウジング９（図２）に対する位置決め用の突部３１が膨出形成され、突部３１の後方において係止片３２が斜め前方に向けて切り起こし形成されている。収容部２０の底壁３３の両側には、アウタハウジング９（図２）に対する位置決め兼停止用の***３４が垂下形成され、底壁３３の中央には可撓性の長めの係止片３５が斜め後方に向けて切り下げ形成されている。
【００１４】
図４の如く、インナハウジング５は前端のフランジ部３６をシールド端子７の前部開口端に当接させた状態で挿着されている。図７(a)(b)にも示す如く、インナハウジング５は略矩形筒状の収容部３７を有し、収容部３７の底壁３８は後方に延長されている。底壁３８の延長部３８ａの先端には挿入案内用のクサビ状のテーパ部３９が形成されている。
【００１５】
インナハウジング５の前端部には、インナ端子４（図１）と接続する相手側コネクタの雄端子（図示せず）に対する挿通孔４０が設けられ、上壁４１の後端から、インナ端子４の電気接触部１６（図３）の後段部１６ａに対する係止突起４２ａを有する可撓性の係止アーム４２が突設されている。係止アーム４２の両側には側壁４３の切欠部４３ａが位置している。
【００１６】
係止アーム４２は斜め下向きのテーパ状の上端面４２ｂを有し、図５の如く、インナ端子４の挿入時に係止アーム４２が上向きに撓んでシールド端子７の上壁２０の凹部４４に進入し、撓み代を稼ぐようになっている。インナハウジング５の底壁３８に沿ってインナ端子４が収容部３７内に挿入される。図７(b) の如く、底壁３８には、シールド端子４（図５）に対する係止突起４５が形成されている。係止突起４５は、図６(b) のシールド端子７の***３４の内側の切欠孔４６に係合する。
【００１７】
図１の如く、インナ端子４がインナハウジング５内に完全に挿入されると、係止アーム４２が下向きに復元してインナ端子４を確実に係止する。係止アーム４２は収容部３７の上壁４１と同一面に形成されているから、無駄なスペースをとらない。
【００１８】
図８，図９の如く、インナ端子４の挿入後に、シールド端子７の蓋部１１が閉止されてシールド電線２の編組６に圧着接続される。蓋部１１の圧着は前後の圧着片２９，３０の圧着と同時に行われる。前側の圧着片２９は編組６に圧着接続され、後側の圧着片３０は外皮１９に圧着固定される。蓋部１１の圧着力は圧着片２９ほど強くはなく、主に先端側の半環状の圧着部２８が編組６の上半部に強く密着する。
【００１９】
蓋部１１が編組６に密着することで、編組６との隙間がなくなると共に、蓋部１１と編組６との導通が得られて、蓋部１１におけるシールド性が高まる。これは、蓋部１１がヒンジ１２を介してシールド端子７に一体に設けられていることによっても助長される。図９の如く、蓋部１１の下端はシールド端子７の半環状部４７の上端にほぼ接して位置し、蓋部１１の前端（基部２５）は後部開口縁に隙間なく接して位置する。このようにしてシールド端子組付体４９が完成する。
【００２０】
図１０の如く、シールド端子組付体４９はアウタハウジング９に挿入される。アウタハウジング９は、相手コネクタに対する嵌合室５０と、嵌合室５０に続く収容室５１とを有している。図２，図１１の如く収容室５１にシールド端子組付体４９が挿入され、シールド端子７の前半部においてインナ端子４の電気接触部１６が嵌合室５０内に位置する。
【００２１】
図１０において収容室５１の底壁５２には、シールド端子７の***３４（図２）に対するガイド溝５３と、ガイド溝５３の終端の当接段部５４とが形成されている。図１２の如く底壁５２には、シールド端子７の係止アーム３５に対する当接段部５５と、当接段部５５から前方に延びる収容溝５６とが形成されている。アウタハウジング９の上壁５７には、シールド端子７の係止片３２に対するガイド溝５８と、ガイド溝終端の当接段部５９とが形成され、当接段部５９から、シールド端子７の突部３１に対する接触用の壁部６０が続いている。図２は図１１のＡ−Ａ断面、図１２は図１１のＢ−Ｂ断面を示したものである。
【００２２】
図１０，図１１の如くアウタハウジング９の上壁５７には、スペーサ１３に対する挿入孔６１が形成されている。挿入孔６１に続いて上壁５７の後半部に、スペーサ１３の係止突起６２に対する係合溝６３が形成されている。挿入孔６１の前半部には、スペーサ１３に対する当接用の段部６４が形成されている。
【００２３】
図１３に示す如く、スペーサ１３は、一つのシールド端子７（図１１）に対して二つの係止板６５を有し、分割された蓋部１１（図６(a) ）を二つの係止板６５で確実に押圧できるようになっている。各係止板６５は上部の基板６６で連結されている。係止板６５の後端に係止突起６２が形成されている。係止板６５の下半部は、シールド端子７（図２）の蓋部１１の形状に沿って段付きに形成され、蓋部１１の基部２５（図６）の上面に接する水平面６７ａと、蓋部１１の湾曲部２７（図６）に接する傾斜面６７ｂと、蓋部１１の圧着部２８（図６）に接する水平面６７ｃとを有している。水平面６７ａ，６７ｃと傾斜面６７ｂとで、蓋部１１に対する押圧部６７が構成される。スペーサ１３の基板６６は一対の係止板６５の間でスリット状に切欠され、この切欠部６８に例えば図１１のアウタハウジング９側の位置決めリブ６９が係合する。
【００２４】
図２の如く、スペーサ１３はアウタハウジング９の挿入孔６１内に挿着され、係止突起６２が上壁５７に係合する。それと同時にスペーサ１３の下部がシールド端子７の蓋部１１を閉止方向（圧着方向）に押圧する。これにより、蓋部１１がシールド電線２の編組６に一層強く密着し、蓋部１１による遮蔽が一層確実化する。それと同時に蓋部１１がシールド端子７の後抜けを防止（二重係止）することは言うまでもない。シールド端子組付体４９とアウタハウジング９とスペーサ１３とで雌型のシールドコネクタ１が構成される。
【００２５】
【発明の効果】
以上の如くに、本発明によれば、蓋部がシールド端子と一体であるから、蓋部とシールド端子との間の導通性が極めて良好で、インナ端子に対するシールド性が向上する。また、蓋部がシールド電線のシールド部に圧着接続されるから、シールド部と蓋部との間の隙間がなくなり、シールド性が高まると共に、蓋部とシールド部との導通性が高まり（蓋部とシールド部との間の接触抵抗が低減され）、ノイズが蓋部からシールド部に直接アースされ、それによってシールド性が一層向上する。また、蓋部がシールド端子に一体化されたことで、部品点数が減り、部品コストや組付コストが削減され、且つ組付作業が簡素化される。また、蓋部がシールド電線のシールド部に押接されることで、上記蓋部の圧着に加えて、蓋部とシールド部との導通性が一層高まり、シールド性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のシールドコネクタにおけるシールド端子組付体の一例を示す縦断面図である。
【図２】本発明のシールドコネクタの一例を示す縦断面図（図１１のＡ−Ａ断面図）である。
【図３】シールドコネクタに用いるインナ端子組付体を示す側面図である。
【図４】同じくシールド端子サブ組付体を示す縦断面図である。
【図５】シールド端子サブ組付体へインナ端子組付体を挿入する状態を示す縦断面図である。
【図６】 (a) はシールド端子を示す平面図（上方視）、(b) は同じく側面図である。
【図７】 (a) はインナハウジングを示す平面図、(b) は同じく側面図である。
【図８】シールド端子の蓋部を圧着した状態のシールド端子組付体を示す縦断面図である。
【図９】同じくシールド端子組付体を示す側面図である。
【図１０】シールド端子組付体をアウタハウジングに挿入する状態の縦断面図である。
【図１１】シールドコネクタを一部断面した状態の平面図である。
【図１２】図１１のＢ−Ｂ断面図である。
【図１３】 (a) はスペーサを示す正面図、(b) は(a) のＣ−Ｃ断面図である。
【図１４】従来のシールド端子組付体を示す縦断面図である。
【図１５】従来のシールドコネクタを示す縦断面図である。
【符号の説明】
１ シールドコネクタ
２ シールド電線
３ 内部導体
４ インナ端子
５ インナハウジング
６ 編組（シールド部）
７ シールド端子
９ アウタハウジング
１０ 後部開口
１１ 蓋部
１２ ヒンジ
１３ スペーサ
２８ 圧着部
６１ 挿入孔
６７ 押圧部
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド電線を挿通させるシールド端子の後部開口を塞いで電気的遮蔽性を向上させたシールドコネクタに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
図１４〜１５は、特開平７−２２１０７号公報に記載された従来のシールドコネクタを示すものである。
このシールドコネクタ９２は、シールド電線８８の内部導体８９に接続されたインナ端子９０と、インナ端子９０を収容したインナハウジング９１と、インナハウジング９１の外側を覆い、且つシールド電線８８の編組７０に接続されたシールド端子７１と、シールド端子７１を収容するアウタハウジング７２（図１５）とで構成されている。
【０００３】
インナハウジング９１の後半部にはヒンジ７３を介して板状の蓋部７４が開閉自在に設けられており、蓋部７４にはシールド端子７１とは別体の導電金属製の遮蔽部材７５が嵌着されている。蓋部７４は、ヒンジ寄りにインナ端子９０に対する係止部７６を有している。遮蔽部材７５は、シールド電線８８の内部導体８９に対する湾曲状の逃がし溝（図示せず）を有する後板部７７と、インナハウジング９１に対する係止孔７８を有する側板部７９と、アウタハウジング７２（図１５）の上壁８０に接する突部８１とを備えている。
【０００４】
また、インナハウジング９１には、インナ端子９０に対する係止ランス８２が設けられ、アウタハウジング７２（図１５）には、シールド端子７１に対する係止ランス８３が設けられている。シールド端子７１の前側圧着片８４はシールド電線８８の編組７０に圧着接続され、後側圧着片８５はシールド電線８８の外皮８６に圧着固定される。そして、シールド端子７１によってインナ端子９０に対するノイズの侵入や流出が防止される。特に蓋部７４の閉止によって、遮蔽部材７５がインナハウジング９１の後部開口８７を覆い、高周波帯域におけるシールド性能の悪化が防止される。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構造にあっては、遮蔽部材７５の後板部７７に、シールド電線８８の内部導体８９に対する逃がし溝が形成されていたり、後板部７７と側板部７９との間に隙間があいていたり、側板部７９に係止孔７８があいていたりする関係で、ノイズの遮蔽が完璧とは言い難く、さらなる遮蔽性の向上が課題として挙げられていた。また、遮蔽部材７５を別個に形成するために、部品点数が増え、蓋部７４に遮蔽部材７５を組み付けるための工数や、部品コストがアップするという問題があった。また、蓋部７４への小さな遮蔽部材７５の組付作業は面倒であり、組立作業の容易化が望まれていた。
【０００６】
本発明は、上記した点に鑑み、シールド端子によるシールド性を向上させると共に、部品点数の削減やコストの低減及び組立工数の低減や組立の容易化を可能とするシールドコネクタを提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、シールド電線の内部導体に接続されたインナ端子と、該インナ端子を収容するインナハウジングと、該インナハウジングの外側に覆設され、該シールド電線のシールド部に接続されるシールド端子と、該シールド端子を収容するアウタハウジングとを備えるシールドコネクタにおいて、前記シールド端子の後部開口にヒンジを介して蓋部が一体に設けられ、該蓋部に、前記シールド電線のシールド部に対する圧着部が形成され、前記アウタハウジングの挿入孔から挿着されるスペーサに、該蓋部に対する押圧部が形成されたことを特徴とする。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の一例を図面を用いて詳細に説明する。
図１〜図２に示す如く、本発明に係るシールドコネクタ１は、シールド電線２の内部導体３に接続された導電金属製のインナ端子４と、インナ端子４を収容した絶縁樹脂製のインナハウジング５と、インナハウジング５の外側を覆い、且つシールド電線２の編組６（シールド部）に接続された導電金属製のシールド端子７と、シールド端子７を収容する絶縁樹脂製のアウタハウジング９（図２）とで構成されており、シールド端子７の後部開口１０を覆う蓋部１１がシールド端子７にヒンジ１２を介して一体に形成され、且つ蓋部１１がシールド電線２の編組６に圧着されることを特徴とするものである。
【０００９】
図２の如く、インナ端子組立体１５をシールド端子組立体４９に挿入し、蓋部１１が、編組６の圧着と外皮１９の圧着と共にほぼ同時に閉止方向に押圧された後、アウタハウジング９には合成樹脂製のスペーサ１３が挿着され、スペーサ１３によってシールド端子７の蓋部１１が閉止方向（編組圧着方向）に押圧され、且つシールド端子７の後抜けが防止されている。
【００１０】
以下に上記シールドコネクタ１の構成を組立順に詳細に説明する。
図３に示す如く、インナ端子４の圧着片１４にシールド電線２の内部導体３が圧着接続されて、インナ端子組付体１５が構成されている。インナ端子４は一方に箱状の電気接触部１６、他方に圧着片１４を有している。電気接触部１６内には接触ばね片１７が設けられている。シールド電線２は、内部導体３を覆う絶縁体１８と、絶縁体１８を覆う編組６と、編組６を覆う外皮１９とで構成されている。
【００１１】
インナ端子組付体１５とは別に、図４の如く、シールド端子７の内部にインナハウジング５が挿着され、シールド端子サブ組付体４８が構成される。シールド端子７は、略矩形筒状に形成された前半の収容部２０と、後半の電線圧着部２１とを有している。収容部２０は前部開口２２と後部開口１０を有し、前部開口２２からインナハウジング５が挿入され、図５の如く、後部開口１０からインナハウジング５内にインナ端子４が挿入される。
【００１２】
図６(a)(b)にも示す如く、シールド端子７の収容部２０の後端上部にヒンジ１２を介して蓋部１１が一体に設けられている。ヒンジ１２は収容部２０の上壁２３に続き、両側のスリット状切欠部２４の間に形成されている。蓋部１１は、ヒンジ１２に続く逆凹字状の基部２５と、基部２５の上面に続く略三角形状の平坦部２６と、平坦部２６の両側に湾曲して続き、且つ後方に向けてテーパ状に漸次縮径した湾曲部２７と、湾曲部２７に続く半環状の圧着部２８とで構成される。圧着部２８がシールド電線２（図１）の編組６に圧着される。蓋部１１は自由状態で平坦部２６が収容部２０の上壁２３とほぼ平行になる程度に開口されており、図５においてインナ端子４が蓋部１１の湾曲部２７の内側を通り、蓋部１１と干渉せずにスムーズに挿入される。図６(a) の如く、本例において蓋部１１は上壁２３の中央から左右に分割されており、編組６（図１）に確実に圧着できるようになっているが、分割せずに半環状に一体化させたものでも構わない。
【００１３】
図６(a)(b)において、蓋部１１の後方に隣接して、電線圧着部２１である一対の小さめの前側圧着片２９と一対の大きめの後側圧着片３０とが形成されている。また、収容部２０の上壁２３には、アウタハウジング９（図２）に対する位置決め用の突部３１が膨出形成され、突部３１の後方において係止片３２が斜め前方に向けて切り起こし形成されている。収容部２０の底壁３３の両側には、アウタハウジング９（図２）に対する位置決め兼停止用の***３４が垂下形成され、底壁３３の中央には可撓性の長めの係止片３５が斜め後方に向けて切り下げ形成されている。
【００１４】
図４の如く、インナハウジング５は前端のフランジ部３６をシールド端子７の前部開口端に当接させた状態で挿着されている。図７(a)(b)にも示す如く、インナハウジング５は略矩形筒状の収容部３７を有し、収容部３７の底壁３８は後方に延長されている。底壁３８の延長部３８ａの先端には挿入案内用のクサビ状のテーパ部３９が形成されている。
【００１５】
インナハウジング５の前端部には、インナ端子４（図１）と接続する相手側コネクタの雄端子（図示せず）に対する挿通孔４０が設けられ、上壁４１の後端から、インナ端子４の電気接触部１６（図３）の後段部１６ａに対する係止突起４２ａを有する可撓性の係止アーム４２が突設されている。係止アーム４２の両側には側壁４３の切欠部４３ａが位置している。
【００１６】
係止アーム４２は斜め下向きのテーパ状の上端面４２ｂを有し、図５の如く、インナ端子４の挿入時に係止アーム４２が上向きに撓んでシールド端子７の上壁２０の凹部４４に進入し、撓み代を稼ぐようになっている。インナハウジング５の底壁３８に沿ってインナ端子４が収容部３７内に挿入される。図７(b) の如く、底壁３８には、シールド端子４（図５）に対する係止突起４５が形成されている。係止突起４５は、図６(b) のシールド端子７の***３４の内側の切欠孔４６に係合する。
【００１７】
図１の如く、インナ端子４がインナハウジング５内に完全に挿入されると、係止アーム４２が下向きに復元してインナ端子４を確実に係止する。係止アーム４２は収容部３７の上壁４１と同一面に形成されているから、無駄なスペースをとらない。
【００１８】
図８，図９の如く、インナ端子４の挿入後に、シールド端子７の蓋部１１が閉止されてシールド電線２の編組６に圧着接続される。蓋部１１の圧着は前後の圧着片２９，３０の圧着と同時に行われる。前側の圧着片２９は編組６に圧着接続され、後側の圧着片３０は外皮１９に圧着固定される。蓋部１１の圧着力は圧着片２９ほど強くはなく、主に先端側の半環状の圧着部２８が編組６の上半部に強く密着する。
【００１９】
蓋部１１が編組６に密着することで、編組６との隙間がなくなると共に、蓋部１１と編組６との導通が得られて、蓋部１１におけるシールド性が高まる。これは、蓋部１１がヒンジ１２を介してシールド端子７に一体に設けられていることによっても助長される。図９の如く、蓋部１１の下端はシールド端子７の半環状部４７の上端にほぼ接して位置し、蓋部１１の前端（基部２５）は後部開口縁に隙間なく接して位置する。このようにしてシールド端子組付体４９が完成する。
【００２０】
図１０の如く、シールド端子組付体４９はアウタハウジング９に挿入される。アウタハウジング９は、相手コネクタに対する嵌合室５０と、嵌合室５０に続く収容室５１とを有している。図２，図１１の如く収容室５１にシールド端子組付体４９が挿入され、シールド端子７の前半部においてインナ端子４の電気接触部１６が嵌合室５０内に位置する。
【００２１】
図１０において収容室５１の底壁５２には、シールド端子７の***３４（図２）に対するガイド溝５３と、ガイド溝５３の終端の当接段部５４とが形成されている。図１２の如く底壁５２には、シールド端子７の係止アーム３５に対する当接段部５５と、当接段部５５から前方に延びる収容溝５６とが形成されている。アウタハウジング９の上壁５７には、シールド端子７の係止片３２に対するガイド溝５８と、ガイド溝終端の当接段部５９とが形成され、当接段部５９から、シールド端子７の突部３１に対する接触用の壁部６０が続いている。図２は図１１のＡ−Ａ断面、図１２は図１１のＢ−Ｂ断面を示したものである。
【００２２】
図１０，図１１の如くアウタハウジング９の上壁５７には、スペーサ１３に対する挿入孔６１が形成されている。挿入孔６１に続いて上壁５７の後半部に、スペーサ１３の係止突起６２に対する係合溝６３が形成されている。挿入孔６１の前半部には、スペーサ１３に対する当接用の段部６４が形成されている。
【００２３】
図１３に示す如く、スペーサ１３は、一つのシールド端子７（図１１）に対して二つの係止板６５を有し、分割された蓋部１１（図６(a) ）を二つの係止板６５で確実に押圧できるようになっている。各係止板６５は上部の基板６６で連結されている。係止板６５の後端に係止突起６２が形成されている。係止板６５の下半部は、シールド端子７（図２）の蓋部１１の形状に沿って段付きに形成され、蓋部１１の基部２５（図６）の上面に接する水平面６７ａと、蓋部１１の湾曲部２７（図６）に接する傾斜面６７ｂと、蓋部１１の圧着部２８（図６）に接する水平面６７ｃとを有している。水平面６７ａ，６７ｃと傾斜面６７ｂとで、蓋部１１に対する押圧部６７が構成される。スペーサ１３の基板６６は一対の係止板６５の間でスリット状に切欠され、この切欠部６８に例えば図１１のアウタハウジング９側の位置決めリブ６９が係合する。
【００２４】
図２の如く、スペーサ１３はアウタハウジング９の挿入孔６１内に挿着され、係止突起６２が上壁５７に係合する。それと同時にスペーサ１３の下部がシールド端子７の蓋部１１を閉止方向（圧着方向）に押圧する。これにより、蓋部１１がシールド電線２の編組６に一層強く密着し、蓋部１１による遮蔽が一層確実化する。それと同時に蓋部１１がシールド端子７の後抜けを防止（二重係止）することは言うまでもない。シールド端子組付体４９とアウタハウジング９とスペーサ１３とで雌型のシールドコネクタ１が構成される。
【００２５】
【発明の効果】
以上の如くに、本発明によれば、蓋部がシールド端子と一体であるから、蓋部とシールド端子との間の導通性が極めて良好で、インナ端子に対するシールド性が向上する。また、蓋部がシールド電線のシールド部に圧着接続されるから、シールド部と蓋部との間の隙間がなくなり、シールド性が高まると共に、蓋部とシールド部との導通性が高まり（蓋部とシールド部との間の接触抵抗が低減され）、ノイズが蓋部からシールド部に直接アースされ、それによってシールド性が一層向上する。また、蓋部がシールド端子に一体化されたことで、部品点数が減り、部品コストや組付コストが削減され、且つ組付作業が簡素化される。また、蓋部がシールド電線のシールド部に押接されることで、上記蓋部の圧着に加えて、蓋部とシールド部との導通性が一層高まり、シールド性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のシールドコネクタにおけるシールド端子組付体の一例を示す縦断面図である。
【図２】本発明のシールドコネクタの一例を示す縦断面図（図１１のＡ−Ａ断面図）である。
【図３】シールドコネクタに用いるインナ端子組付体を示す側面図である。
【図４】同じくシールド端子サブ組付体を示す縦断面図である。
【図５】シールド端子サブ組付体へインナ端子組付体を挿入する状態を示す縦断面図である。
【図６】 (a) はシールド端子を示す平面図（上方視）、(b) は同じく側面図である。
【図７】 (a) はインナハウジングを示す平面図、(b) は同じく側面図である。
【図８】シールド端子の蓋部を圧着した状態のシールド端子組付体を示す縦断面図である。
【図９】同じくシールド端子組付体を示す側面図である。
【図１０】シールド端子組付体をアウタハウジングに挿入する状態の縦断面図である。
【図１１】シールドコネクタを一部断面した状態の平面図である。
【図１２】図１１のＢ−Ｂ断面図である。
【図１３】 (a) はスペーサを示す正面図、(b) は(a) のＣ−Ｃ断面図である。
【図１４】従来のシールド端子組付体を示す縦断面図である。
【図１５】従来のシールドコネクタを示す縦断面図である。
【符号の説明】
１ シールドコネクタ
２ シールド電線
３ 内部導体
４ インナ端子
５ インナハウジング
６ 編組（シールド部）
７ シールド端子
９ アウタハウジング
１０ 後部開口
１１ 蓋部
１２ ヒンジ
１３ スペーサ
２８ 圧着部
６１ 挿入孔
６７ 押圧部
Claims (1)
- シールド電線の内部導体に接続されたインナ端子と、該インナ端子を収容するインナハウジングと、該インナハウジングの外側に覆設され、該シールド電線のシールド部に接続されるシールド端子と、該シールド端子を収容するアウタハウジングとを備えるシールドコネクタにおいて、前記シールド端子の後部開口にヒンジを介して蓋部が一体に設けられ、該蓋部に、前記シールド電線のシールド部に対する圧着部が形成され、前記アウタハウジングの挿入孔から挿着されるスペーサに、該蓋部に対する押圧部が形成されたことを特徴とするシールドコネクタ。
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