JP3796912B2 - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の燃料噴射装置に関し、詳細には燃料噴射系統の異常を検出する手段を備えた燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧燃料ポンプから共通の蓄圧室(コモンレール)に燃料を供給し、この蓄圧室に各気筒毎の燃料噴射弁を接続して蓄圧室内の高圧燃料を各気筒に噴射する、いわゆるコモンレール式の燃料噴射装置が知られている。
また、コモンレール式の燃料噴射装置において、燃料噴射弁のスティックやコモンレールの燃料洩れ等の燃料噴射系統の異常を検出する異常検出手段を備えたものとしては、例えば特開平8−4577号公報に記載されたものがある。
【0003】
同公報の装置では、コモンレール内の燃料圧力を検出する圧力センサを設け、燃料噴射弁からの燃料噴射開始前と終了後のコモンレール内燃料圧力の差、すなわち燃料噴射によるコモンレール内の圧力降下を実測している。また、同公報の装置は、更に機関運転状態に基づいて燃料噴射開始前と終了後のコモンレール内の燃料圧力を推定し、上記圧力降下の実測値と圧力降下の推定値との間の偏差が予め定めた判定値より大きいときに燃料噴射系統に異常が生じたと判定する異常検出手段を備えている。
【0004】
すなわち、上記装置では、内燃機関の運転状態(負荷)から1回の燃料噴射における噴射量Qを算出し、この燃料噴射量Qを用いて燃料噴射前後のコモンレール内燃料圧力降下推定値ΔPを、ΔP=(K/V)×Qとして算出する。ここで、上記式中のKは燃料の体積弾性係数、Vはコモンレール容積、コモンレールまでの高圧供給配管容積、コモンレールから燃料噴射弁までの配管容積を含む高圧部容積であり、KとVとは一定値とされる。すなわち、燃料噴射前後のコモンレール圧力降下は圧力降下検出期間内にコモンレールから流出する燃料量に比例することになる。従って、実際に燃料噴射前後にコモンレールから流出した燃料量がQに等しければ、燃料噴射前後のコモンレール圧力降下実測値は上記推定値ΔPに等しくなるはずである。このため、コモンレール内圧力降下の実測値と推定値ΔPとの差が所定の判定値以上である場合、例えば実際の圧力降下が推定値ΔPよりある程度以上大きい場合には、実際には燃料噴射量の指令値Qより多くの量の燃料がコモンレールから流出しているため、燃料噴射弁が開弁状態でスティックした等の異常が生じていると判定することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開平8−4577号公報の装置では運転中にコモンレール内の燃料圧力が大幅に変化すると正確な異常判定ができなくなる問題が生じる。
すなわち、上記公報の装置では圧力降下推定値ΔPを算出する際に体積弾性係数Kを燃料圧力にかかわらず一定であると仮定している。ところが、実際には体積弾性係数Kは燃料圧力や燃料温度に応じて変化するため、コモンレール内の燃料圧力が大幅に変化するような場合には、燃料噴射量Qが同一であっても高圧時における圧力降下と低圧時における圧力降下とが異なってくる。例えば、後述するように燃料の体積弾性係数Kは高圧になるほど大きくなるため、燃料噴射量Qが同一に維持されていても燃料噴射前後のコモンレール内圧力降下はコモンレール内の圧力が高いほど大きくなる。従って、体積弾性係数Kを一定値として圧力降下推定値ΔPを計算していると、コモンレール内圧力によっては正確な異常検出をできない場合が生じるのである。
【0006】
しかも、コモンレール式燃料噴射装置では燃料噴射量と噴射率との両方を制御するために燃料噴射弁開弁時間に加えて燃料噴射圧力(コモンレール内燃料圧力)を運転状態に応じて変化させる制御を行うものがあり、この場合にはコモンレール内燃料圧力は極めて大きな範囲で変化する(例えば運転状態に応じてコモンレール内圧力を10MPaから150MPa程度の範囲で変化させるコモンレール式燃料噴射装置も使用されている)。このような燃料噴射装置では、運転状態に応じてコモンレール内の燃料の体積弾性係数も大きな範囲で変化することになり、体積弾性係数を一定値に固定していたのでは上記公報の方法では異常検出を行うことが不可能になるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み燃料圧力が広い範囲で変動するような場合にも燃料系統の異常を正確に検出することができる手段を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関に所定のタイミングで燃料を噴射する燃料噴射弁と、
該燃料噴射弁が接続される、加圧燃料を貯留する蓄圧室と、
該蓄圧室内の燃料圧力が所定値になるように所定のタイミングで蓄圧室に燃料を圧送する燃料ポンプと、
前記蓄圧室内の実際の燃料圧力を検出する圧力検出手段と、
前記蓄圧室内の燃料の圧力または温度の少なくとも一方に基づいて、燃料の体積弾性係数を検出する手段と、
前記検出した体積弾性係数と内燃機関の運転条件とに基づいて、前記燃料噴射弁からの燃料噴射前後の前記蓄圧室内の燃料圧力変動、若しくは前記燃料ポンプからの燃料圧送前後の前記蓄圧室内の燃料圧力変動、の少なくとも一方を推定する圧力変動推定手段と、
該圧力変動推定手段により推定された燃料噴射前後の圧力変動の推定値と前記圧力検出手段により検出された燃料噴射前後の燃料圧力変動の実測値との偏差、若しくは前記圧力変動推定手段により推定された燃料圧送前後の圧力変動の推定値と前記圧力検出手段により検出された燃料圧送前後の圧力変動の実測値との偏差、の少なくとも一方に基づいて燃料噴射系統の異常を検出する異常検出手段を備え、
前記圧力変動推定手段は、前記圧力検出手段により検出された燃料圧力、燃料温度、機関回転数、燃料噴射弁開弁時間のうち少なくとも一つに基づいて、蓄圧室から燃料タンクに返戻されるリターン燃料の量を算出するリターン燃料量算出手段を備え、
前記リターン燃料量と、内燃機関の運転条件により定まる燃料噴射弁からの燃料噴射量とから前記燃料噴射前後の燃料圧力変動を推定し、
前記リターン燃料と、内燃機関の運転条件により定まる燃料ポンプからの燃料圧送量とから前記燃料圧送前後の燃料圧力変動を推定する、内燃機関の燃料噴射装置が提供される。
【0009】
すなわち、請求項1の発明では、燃料の体積弾性係数は一定値に固定せず蓄圧室内の燃料圧力に基づいて算出される。このため、コモンレール内燃料圧力が運転条件によって大幅に変化するような場合にも、体積弾性係数は実際の燃料圧力に対応した値となる。また、本発明では燃料噴射開始前と終了後のコモンレール内圧力変動(圧力降下)と、燃料圧送開始前と終了後のコモンレール内圧力変動(圧力上昇)とのうちいずれか一方または両方について、上記の体積弾性係数を用いて圧力変動推定値を算出する。このため、算出された圧力変動推定値は実際の燃料状態に対応した正確な値となり、圧力変動推定値と圧力変動実測値との偏差に基づいて正確に異常を検出することが可能となる。
【0011】
更に、請求項1の発明では、燃料噴射量や燃料圧送量以外にコモンレール内の実際の圧力変動に影響を与える要因としてリターン燃料量を考慮する。リターン燃料量は燃料圧力、燃料温度、機関回転数、燃料噴射時間等の各条件に応じて変化するため、本発明ではこれらの条件のうち少なくとも一つに応じてリターン燃料量を算出する。このように、燃料噴射量や燃料圧送量以外にコモンレールから燃料タンクへのリターン燃料量を考慮して圧力変動推定値を求めるようにしたことにより、算出した圧力変動推定値がより正確になり、より正確な異常検出が可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記リターン燃料量は前記燃料噴射弁からの燃料噴射動作に起因して燃料タンクに返戻される動的リターン燃料量と、それ以外の静的リターン燃料量との和として算出される請求項1に記載の燃料噴射装置が提供される。
また、請求項3に記載の発明によれば、前記リターン燃料量算出手段は、前記燃料噴射と燃料圧送との両方を停止しているときに前記リターン燃料量を計測した結果を学習、記憶する学習手段を備え、該学習結果に基づいて静的リターン燃料量を算出する請求項2に記載の燃料噴射装置が提供される。
【0013】
すなわち、請求項2と請求項3の発明では、リターン燃料量は燃料噴射弁の燃料噴射動作を行わせるための動的リターン燃料量と、それ以外の、例えば摺動部からのリーク等による静的リターン燃料量との和として与えられる。ここで、機関運転条件が一定であれば動的リターン燃料量はほぼ一定であるのに対して、静的リターン燃料量は、摺動部のクリアランス変化等により経時的に変化する。請求項3の発明では、燃料噴射と燃料圧送との両方が行われておらず、コモンレールから静的リターン燃料量に相当する量の燃料のみが流出している状態で静的リターン燃料量を計測し、計測結果を学習、記憶するとともに、最新の学習結果を用いて静的リターン量を算出する。このため、請求項3の発明では機関の経時変化等により静的リターン燃料量が変化した場合でも、正確なリターン燃料量が算出されるので、機関経時変化にかかわらず正確な異常検出が行われる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記異常検出手段は、前記燃料噴射前後の燃料圧力変動の推定値と実測値との偏差に基づく燃料噴射時異常検出と、前記燃料圧送前後の燃料圧力変動の推定値と実測値との偏差に基づく燃料圧送時異常検出との両方を行う請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置が提供される。
更に、請求項7に記載の発明によれば、内燃機関に所定のタイミングで燃料を噴射する燃料噴射弁と、該燃料噴射弁が接続される、加圧燃料を貯留する蓄圧室と、該蓄圧室内の燃料圧力が所定値になるように所定のタイミングで蓄圧室に燃料を圧送する燃料ポンプと、前記蓄圧室内の実際の燃料圧力を検出する圧力検出手段と、前記蓄圧室内の燃料の圧力または温度の少なくとも一方に基づいて、燃料の体積弾性係数を検出する手段と、前記検出した体積弾性係数と内燃機関の運転条件とに基づいて、前記燃料噴射弁からの燃料噴射前後の前記蓄圧室内の燃料圧力変動、若しくは前記燃料ポンプからの燃料圧送前後の前記蓄圧室内の燃料圧力変動、の少なくとも一方を推定する圧力変動推定手段と、該圧力変動推定手段により推定された燃料噴射前後の圧力変動の推定値と前記圧力検出手段により検出された燃料噴射前後の燃料圧力変動の実測値との偏差、若しくは前記圧力変動推定手段により推定された燃料圧送前後の圧力変動の推定値と前記圧力検出手段により検出された燃料圧送前後の圧力変動の実測値との偏差、の少なくとも一方に基づいて燃料噴射系統の異常を検出する異常検出手段を備え、前記異常検出手段は、前記燃料噴射前後の燃料圧力変動の推定値と実測値との偏差に基づく燃料噴射時異常検出と、前記燃料圧送前後の燃料圧力変動の推定値と実測値との偏差に基づく燃料圧送時異常検出との両方を行う内燃機関の燃料噴射装置が提供される。
すなわち、請求項4と請求項7の発明では、燃料圧送前後の圧力変動に基づく異常検出と燃料圧送前後の燃料圧力変動に基づく異常検出との両方が行われるため、異常検出動作を実行する頻度が大幅に増加し、早期に燃料噴射系統の異常を検出することが可能となる。
【0015】
さらに、請求項5と請求項8に記載の発明によれば、請求項4と請求項7の発明において、それぞれ前記異常検出手段は更に、前記燃料噴射時異常検出の結果と、前記燃料圧送時異常検出の結果との両方に基づいて、異常の種類を判別する異常状態判別手段を備えている。
燃料噴射系統の異常は、その種類により燃料噴射前後の圧力変動と燃料圧送前後の圧力変動とに与える影響が異なるものがある。例えば、燃料噴射弁の異常により一回当たりの燃料噴射量が増大したような場合には、燃料噴射前後の圧力変動が推定値から大きく外れるようになるにもかかわらず燃料圧送前後の圧力変動には大きな影響が現れない。このため、両方の異常検出結果を比較することにより異常の種類を判別することが可能となる。
【0016】
また、請求項6と請求項9とに記載の発明によれば、請求項5と請求項8の燃料噴射装置はそれぞれ、更に前記燃料ポンプ上流側の燃料供給配管に配置された燃料フィルタと、該燃料フィルタと前記燃料ポンプとの間の燃料供給配管内の圧力を検出する燃料供給圧力検出手段とを備え、前記異常状態判別手段は、前記燃料噴射時異常検出の結果と、前記燃料圧送時異常検出の結果との両方に基づいて、少なくとも前記燃料ポンプまたはその上流側の燃料供給系統に異常が生じたか否かを判定し、燃料ポンプまたはその上流側の燃料供給系統の異常が生じており、かつ前記燃料供給圧力検出手段により検出した圧力が予め定めた判定値より低い場合には、更に前記異常を燃料供給不足によるものと判別する。
【0017】
すなわち請求項6と請求項9との発明では、それぞれ、請求項5と請求項8において燃料ポンプまたはその上流側の燃料供給系統に異常が生じていると判定されたときには、更に燃料供給圧力に基づいて、この異常が燃料供給不足によるものか否かを判別する。燃料ポンプまたはその上流側に異常が生じている場合には、例えば燃料ポンプ自体から外部への燃料洩れが生じていることも考えられるため、直ちに機関を停止する必要がある。しかし、単なる燃料供給不足による異常であれば機関の運転を継続しても大きな問題は生じないため、車両などではいわゆる退避走行が可能となる。このため、燃料供給不足による異常かそれ以外の異常かを判別することにより、直ちに機関を停止すべきか否かを判定することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を自動車用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
図1において、1は内燃機関10(本実施形態では4気筒ディーゼル機関)の各気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁、3は各燃料噴射弁1が接続される共通の蓄圧室(コモンレール)を示す。コモンレール3は、後述する高圧燃料噴射ポンプ5から供給される加圧燃料を貯留し、各燃料噴射弁1に分配する機能を有する。
【0019】
また、図1において7は機関10の燃料(本実施形態では軽油)を貯留する燃料タンク、9は高圧燃料ポンプに燃料を供給する低圧フィードポンプ、9bは低圧燃料ポンプ9から高圧燃料ポンプ5に燃料を供給する燃料供給配管13に設けられた燃料フィルタをそれぞれ示している。機関運転中、タンク7内の燃料は、フィードポンプ9により一定圧力に昇圧され、燃料フィルタ9bで異物、水分等を除去された後、燃料供給配管13を通って高圧燃料噴射ポンプ5に供給される。また、高圧燃料噴射ポンプ5から吐出された燃料は、逆止弁15、高圧配管17を通ってコモンレール3に供給され、コモンレール3から各燃料噴射弁1を介して内燃機関の各気筒内に噴射される。
【0020】
なお、図1において19で示したのは各燃料噴射弁1からのリターン燃料を燃料タンク7に返戻するリターン燃料配管である。燃料噴射弁からのリターン燃料については後述する。
図1に20で示すのは、機関の制御を行うエンジン制御回路(ECU)である。ECU20は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入出力ポートを双方向バスで接続した公知の構成のディジタルコンピュータとして構成され、更にメインスイッチがオフにされている間も記憶内容を保持可能なバックアップRAMを備えている。ECU20は、後述するように高圧燃料噴射ポンプ5の吸入弁5aの開閉動作を制御してコモンレール3内の燃料油圧力を機関負荷、回転数等に応じて制御する燃料圧力制御を行い燃料噴射弁の噴射率を機関負荷、回転数等に応じて調節するとともに、燃料噴射弁1の開弁時間を制御して気筒内に噴射される燃料量を制御する燃料噴射制御を行う。
【0021】
また、本実施形態では後述するように、ECU20はコモンレール内の圧力変動に基づいて燃料噴射ポンプ5、コモンレール3、燃料噴射弁1等の燃料噴射系統の異常を検出する異常検出手段として機能する。
上記制御のため、ECU20の入力ポートには、コモンレール3に設けた燃料圧力センサ31と燃料温度センサ33とから、それぞれコモンレール3内の燃料圧力と燃料温度とに対応する電圧信号が、AD変換器34を介して入力されている他、機関アクセルペダル(図示せず)に設けたアクセル開度センサ35からアクセルペダルの操作量(踏み込み量)に対応する信号が同様にAD変換器34を介して入力されている。また、燃料フィルタ9bと高圧燃料ポンプ5との間の燃料供給配管13に設けられた燃料供給圧力センサ39からは、同様にAD変換器34を介してフィルタ9b下流側の燃料供給配管13内の圧力に対応する電圧信号がECU20の入力ポートに供給されている。更に、ECU20の入力ポートには、機関のディストリビュータ(図示せず)に設けたクランク角センサ37から、クランク軸が基準回転位置(例えば第1気筒の上死点)になったときに発生する基準パルス信号とクランク回転角に応じて発生する、回転パルス信号との2つの信号が入力されている。
【0022】
また、ECU20の出力ポートは、駆動回路40を介して燃料噴射弁1に接続され、各燃料噴射弁1の作動を制御している他、駆動回路40を介して高圧燃料噴射ポンプ5の吸入弁5aの開閉を制御するソレノイドアクチュエータに接続され、ポンプ5の吐出量を制御している。
本実施形態では、高圧燃料噴射ポンプ5は2つのシリンダを有するピストンポンプの形式とされている。ポンプ5の各シリンダ内のピストンは、ポンプ内のピストン駆動軸に形成されたカムに押圧されてシリンダ内を往復運動する。また、各シリンダの吸入ポートには、ソレノイドアクチュエータにより開閉駆動される吸入弁が設けられている。本実施形態ではピストン駆動軸は機関10のクランク軸(図示せず)により駆動され、クランク軸と同期してクランク軸の2分の1の速度で回転する。また、ポンプ5のピストン駆動軸には、それぞれのピストンと係合する部分に2つのリフト部を持つカムが形成されており、ポンプ10のピストンは機関10の各気筒のストロークに同期して燃料を吐出するようになっている。すなわち、本実施形態では4気筒ディーゼル機関が使用されているため、ポンプ10の2つのシリンダはクランク軸が720度回転する間にそれぞれ2回ずつ、機関の気筒のストロークに同期して(例えば各気筒の排気行程毎に)コモンレール3に燃料を圧送する。
【0023】
また、ECU20はポンプの各シリンダのピストンの上昇(圧送)行程における吸入弁5aの閉弁時期を変化させることによりポンプからの燃料油の吐出流量を制御する。すなわち、ECU20は、各シリンダのピストン下降行程(吸入行程)の間、及びピストン上昇行程(吐出行程)開始後所定の期間ソレノイドアクチュエータへの通電を停止して吸入弁5aを開弁状態に維持する。これにより、各シリンダでピストンが吐出行程に入ってもシリンダ内の燃料は吸入弁5aからタンクに逆流しシリンダ内の燃料圧力は上昇しない。そして、上記期間経過後ECU20は吸入弁5aのソレノイドアクチュエータに通電して吸入弁5aを閉弁する。これによりポンプピストンの上昇に伴いシリンダ内の圧力が上昇し、シリンダ内圧力がコモンレール3内の圧力より高くなると各シリンダの逆止弁15が開弁し、シリンダ内の高圧の燃料油が高圧配管17を経由してコモンレール3に圧送される。なお、吸入弁5aは一旦閉弁するとシリンダ内燃料圧力が高い間は燃料圧力に押されて閉弁状態に保持される。従ってコモンレール3への燃料圧送量はポンプ5の吸入弁5aの閉弁開始時期により定まる。このため、ECU20はポンプ5の各シリンダの吸入弁5aの閉弁時間(ソレノイドアクチュエータへの通電時間)を調節することにより、ポンプ5のピストン有効ストロークを変化させコモンレール3に圧送する燃料量を制御している。
【0024】
本実施形態では、ECU20は機関負荷、回転数に応じて予めROMに格納した関係に基づいて目標コモンレール燃料圧力を設定するとともに、燃料圧力センサ31で検出したコモンレール燃料圧力が設定した目標コモンレール燃料圧力になるようにポンプ5の吐出量を制御する。また、ECU20は機関負荷、回転数に応じて予めROMに格納した関係に基づいて燃料噴射弁1の開弁時間(燃料噴射時間)を制御する。
【0025】
すなわち、本実施形態ではコモンレール3の燃料圧力を機関運転条件に応じて変化させることにより、燃料噴射弁1の噴射率を運転条件に応じて調節し、燃料圧力と燃料噴射時間とを変化させることにより燃料噴射量を運転条件に応じて調節している。このため、本実施形態のようなコモンレール式燃料噴射装置では、コモンレール内の燃料圧力は機関の運転条件(負荷、回転数)に応じて極めて広い範囲で(例えば、本実施形態では10MPaから150MPa程度までの範囲で)変化することになる。
【0026】
次に、本実施形態における燃料噴射系統の異常検出原理について説明する。
本実施形態では、燃料噴射弁1からの燃料噴射開始前と終了後との間のコモンレール3内の燃料圧力変動、又は燃料ポンプ5からコモンレール3への燃料圧送開始前と終了後との間のコモンレール3内の燃料圧力変動の少なくとも一方に基づいて燃料噴射系統の異常を検出する。
【0027】
図2は、本実施形態での燃料噴射と燃料圧送の1サイクルにおけるコモンレール3内の燃料圧力の時間的変動の状況を模式的に示している。
図2において、PDで示した期間はいずれかの燃料噴射弁1から燃料噴射が行われる期間を、PUで示した期間は燃料噴射終了後燃料ポンプ5からコモンレール3に燃料が圧送される期間を示している。図2に示すように、本実施形態では燃料噴射弁1からの燃料噴射と燃料ポンプ5からの燃料圧送とは別々のタイミングで重複しないように実行されている。
【0028】
図2において、PC10 は燃料噴射(PD)が開始される前のコモンレール3燃料圧力、PC2は燃料噴射終了後、かつ燃料ポンプ5からの燃料圧送(PU)開始前のコモンレール3燃料圧力、PC11 は燃料圧送終了後かつ次の燃料噴射開始前の圧力を示している。本実施形態では、燃料圧力センサ31で検出した上記圧力PC10 、PC2、PC11 から燃料噴射前後(期間PD前後)のコモンレール3内圧力変動の実測値DPC12=PC2−PC10 、または燃料圧送前後(期間PU前後)のコモンレール3内圧力変動の実測値DPC21=PC11 −PC2を算出し、実測値DPC12と燃料噴射量から算出した燃料噴射前後のコモンレール圧力変動DPDとを比較、または実測値DPC21と燃料圧送量から算出した燃料圧送前後のコモンレール圧力変動DPUとを比較することにより燃料噴射系統の異常を判定する。
【0029】
次に、上記圧力変動の推定値DPDとDPUとの算出方法について説明する。まず、燃料噴射前後の圧力変動DPDについて考えると、DPDは期間PDに燃料噴射弁1から噴射される燃料量QFINCを用いて、
DPD=−(K/VPC)×QFINC
として表される。ここで、Kは燃料の体積弾性係数、VPCはコモンレール3を含む高圧部の内容積である。また、QFINCは標準圧力(例えば0.1MPa)における体積で表される。前述のように、ECU20は機関運転条件から燃料噴射量QFINCを算出し、QFINCの量の燃料が機関に噴射されるように燃料噴射弁1の開弁時間を制御している。このため、燃料噴射弁1やコモンレール3に異常がない場合には実際の燃料噴射期間PD内にコモンレール3から流出する燃料量はQFINCのみになるため上記推定値DPDと実測値DPC12とは等しくなるはずである。一方、燃料噴射弁1やコモンレール3に洩れが生じたような燃料噴射系統の異常では、期間PD内にコモンレール3から流出する燃料量は燃料噴射目標値QFINCより大きくなる。このため、燃料噴射系統に洩れ等の異常が生じたような場合には、実際の圧力変動PC12の大きさは圧力変動推定値より大きくなる。そこで、本実施形態では推測値DPDと実測値DPC12との差dDPD(=DPD−DPC12)をとり、このdDPDが予め定めた判定値R1(R1>0)を越えた場合に、すなわちdDPD>R1の場合に燃料噴射系統に異常が生じたと判定するようにしている。
【0030】
また、燃料圧送前後の圧力変動DPUについては、上記と同様期間PUに燃料ポンプ5からコモンレール3に流入した燃料量QPMDを用いて、
DPU=(K/VPC)×QPMD
として表される。本実施形態では、前述したようにECU20は機関運転条件に応じて燃料ポンプ5の吸入弁5aの閉弁開始時期(ソレノイドアクチュエータへの通電開始時期)を決定しポンプ5からの燃料圧送量を制御している。従って、燃料ポンプ5やコモンレール5に異常がない場合には上記QPMDはポンプ5のソレノイドアクチュエータへの通電時間から算出される燃料ポンプ吐出量(標準圧力における体積)に等しくなるはずである。そこで、本実施形態では前述のdDPDと同様に、上記推測値DPUと燃料圧送期間前後の圧力変動実測値DPC21との差dDPU(=DPU−DPC21)をとり、このdDPUの値が予め定めた判定値R2(但しR2>0)を越えた場合(dDPU>R2の場合)に燃料噴射系統が異常を生じたと判定するようにしている。
【0031】
上述のように燃料噴射前後の圧力変動(DPD、DPC12)による異常検出と燃料圧送前後の圧力変動(DPU、DPC21)による異常検出とは、それぞれ単独で用いることも可能である。また、両方の異常検出を実行し、それらの結果を比較することにより発生した異常の種類(異常発生箇所等)を特定することも可能となる。これらの異常検出方法の詳細については後述する。
【0032】
ところで、上記のように圧力変動の推定値DPD、DPU等を用いて異常検出を行う場合には圧力による燃料油の体積弾性係数の変化が問題になる。燃料油の体積弾性係数は温度と圧力とによって変化する。図3は、燃料油(軽油)の体積弾性係数の温度と圧力とによる一般的な変化を説明する図である。図3に示すように、軽油の体積弾性係数は圧力が高いほど増大し、温度が低いほど低下する。
【0033】
また、図3から判るように圧力、温度に対する体積弾性係数の変化率はそれほど大きくない。このため、圧力、温度の変化幅があまり大きくない場合には軽油の体積弾性係数を一定値で近似して前述の式から圧力変動推定値DPD、DPUを求めても大きな誤差は生じない。しかし、圧力、温度の変化幅が大きい場合、特に本実施形態のように燃料圧力が機関の運転状態に応じて極めて大きな幅(10MPaから150MPa程度の範囲)で変化するような場合、には体積弾性係数の変化も大きくなり、体積弾性係数を一定値に固定してDPD、DPUを算出すると大きな誤差を生じ、異常判定に誤差を生じることになる。
【0034】
そこで、本実施形態では予め使用する軽油の体積弾性係数を機関運転中に生じ得る範囲で圧力と温度とを変えて測定し、その測定結果を温度、圧力を用いた数値マップとしてECU20のROMに格納してある。異常検出に際しては、燃料圧力センサ31と燃料温度センサ33で検出したコモンレール3内の燃料圧力PCと燃料温度THFとから、その圧力温度条件における体積弾性係数をROMから読み出し、この体積弾性係数を用いて上記の式から圧力変動推定値DPD、DPUを算出するようにしている。
【0035】
次に、図4、図5を用いてECU20の上記異常検出動作の具体例について説明する。
図4は、燃料噴射前後の圧力変動(DPD、DPC12)に基づく燃料噴射系統の異常検出動作ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU20により所定のタイミングで(例えば、機関クランク軸一定回転角毎に)、実行される。
【0036】
図4においてルーチンがスタートすると、ステップ401では、コモンレール内燃料圧力PC、燃料温度THF、クランク軸回転角CAが、燃料圧力センサ31、燃料温度センサ33、クランク角センサ37からそれぞれ読み込まれる。
次いで、ステップ403から409では、現在クランク軸回転角CAが所定値CA10 (ステップ403)またはCA2(ステップ407)のいずれかにあるかが判定され、いずれのタイミングにもない場合にはステップ407から直ちにルーチンを終了する。
【0037】
ここで、上記クランク軸回転角CA10 は、各気筒の燃料噴射開始直前のクランク軸回転角、すなわち図2のPC10 の計測タイミングに相当するクランク軸回転角であり、CA2は、燃料噴射終了後燃料圧送が開始される前のクランク軸回転角、すなわち図2のPC2の計測タイミングに相当するクランク軸回転角である。また、現在PC10 の計測タイミングであった場合(ステップ403でCA=CA10 の場合)には、ステップ401で読み込んだコモンレール燃料圧力PCと燃料温度THFの値がPC10 、THF1として記憶され(ステップ405)、現在PC2の計測タイミングであった場合(ステップ407でCA=CA2の場合)には、ステップ401で読み込んだPCの値のみがPC2として記憶される(ステップ409)。
【0038】
次いで、ステップ411では、記憶したコモンレール燃料圧力力PC10 と燃料温度THF1とを用いて、ECU20のROMに予め格納した数値マップから現在の燃料の体積弾性係数Kを算出し、ステップ413ではこの体積弾性係数Kと燃料噴射量QFINCとから、圧力変動推定値DPDを、
DPD=−(K/VPC)×QFINC
として算出する。なお、燃料噴射量QFINCは別途ECU20により実行される燃料噴射量演算ルーチン(図示せず)により、機関回転数とアクセル開度とに基づいて算出される。
【0039】
そして、ステップ415では、ステップ405とステップ409とで記憶したPC10 、PC2から、実際の圧力変動DPC12が、
DPC12=PC2−PC10
として算出され、ステップ417ではステップ413で求めた圧力変動推測値DPDとステップ415で求めた実測値DPC12との差dDPDが、
dDPD=DPD−DPC12
として算出される。
さらに、ステップ419では上記により算出したdDPDの値が予め定めた判定値R1より大きいか否かが判定され、dDPD>R1である場合にはコモンレールから流出する燃料量が正常な量以上に大きくなっていることから燃料噴射系統に異常が生じたと判定し、ステップ423で異常フラグXDの値を1にセットしてルーチンを終了する。また、dDPD≦R1の場合には燃料噴射系統に以上が生じていないと判定し、ステップ421で異常フラグXDの値を0にセットしてルーチンを終了する。なお、本実施形態では、異常フラグXDの値が1にセットされると、別途実行される図示しないルーチンにより運転席の警告灯が点灯され運転者に異常発生を報知するようになっている。また、判定結果(フラグXDの値)をECU20のバックアップRAMに格納し、将来の点検修理に備えるようにしてもよい。なお、本実施形態では燃料噴射開始前のコモンレール燃料圧力(PC10 )と温度に基づいて体積弾性係数を検出しているが、燃料噴射によるコモンレール燃料圧力と温度との変化は比較的小さいため、燃料噴射終了後のコモンレール燃料圧力(PC2)と温度とに基づいて体積弾性係数を検出するようにしても良い。また、同様に燃料噴射前後の圧力平均値と温度平均値とに基づいて体積弾性係数を検出するようにしても良い。
【0040】
図5は、燃料圧送前後の圧力変動(DPU、DPC21)に基づく異常検出ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、図4のルーチンと同様クランク軸一定回転角毎に実行される。本ルーチンでは、図4のルーチンと類似の方法で算出した体積弾性係数の値を用いて燃料圧送前後のコモンレール燃料圧力変動の推測値DPUを算出し、実測値DPC21との差dDPU=DPU−DPC21の値に基づいて燃料噴射系統の異常の有無を判定している。
【0041】
図5のフローチャートの各ステップは図4の各ステップに類似した操作であるので、ここでは相違する点についてのみ説明する。図5ステップ503から509は圧力PC11 とPC2(図2)の読み込み動作を示す。ステップ503のCA2及びステップ507のCA11 は、それぞれ燃料噴射終了後燃料圧送開始前のタイミングに相当するクランク軸回転角と燃料圧送終了直後のタイミングに相当するクランク軸回転角である。また、本実施形態では燃料噴射終了後、圧送開始前の圧力(PC2)と温度とに基づいて体積弾性係数Kを算出する(ステップ511)が、前述のように、燃料圧送終了後の圧力(PC11 )と温度とを用いて体積弾性係数を算出するようにしても良い。
【0042】
図5ステップ513では、燃料圧送前後の圧力変動推測値DPUが、
DPU=(K/VPC)×QPMD
として算出される。QPMDは機関運転条件に基づいて別途図示しないルーチンにより算出されるポンプからの燃料圧送量である。そして、ステップ515では圧力変動の実測値DPC21が、DPC21=PC2−PC11 として算出され、ステップ517では推測値DPUと実測値DPC21との差dDPUが、
dDPU=DPU−DPC21として算出さされる。
【0043】
更に、ステップ519ではdDPUの値が所定の判定値R2より大きいか否かに基づいて、異常フラグXUの値が1(異常)(ステップ523)または0(正常)(ステップ521)にセットされる。
なお、図4、図5の実施形態ではコモンレール内の燃料圧力と温度との両方の実測値に基づいて体積弾性係数Kの値を算出しているが、機関運転中のコモンレール内燃料圧力変動が比較的小さい機関においては燃料温度のみに基づいて(燃料圧力を一定値で近似して)、また温度変動が比較的小さい機関では燃料圧力のみに基づいて(燃料温度を一定値で近似して)それぞれ体積弾性係数Kを算出するようにしてもよい。
【0044】
次に、燃料噴射前後の圧力変動推定値DPDの上記とは別の算出方法について説明する。図4ステップ413では燃料噴射前後の圧力変動は燃料噴射によりコモンレールから流出する燃料のみにより生じると仮定し、燃料噴射量QFINCを用いてDPD=−(K/VPC)×QFINCとして算出していた。しかし、実際の燃料噴射系統では正常であっても燃料噴射前後の期間にコモンレールから流出して燃料タンクに返戻されるリターン燃料が存在する。
【0045】
例えば、燃料噴射弁の形式によっては燃料噴射弁の開弁動作を燃料油の圧力を利用して行うため燃料噴射動作に伴って燃料噴射条件から定まる一定量の燃料油が燃料タンクに返戻される形式のものがある。より詳細には、このような形式の弁では、閉弁時には弁体の下部(噴孔側)と上部との両方に燃料圧力を作用させることにより燃料圧力により弁体に加わる力をバランスさせ、スプリングの力で弁体を弁座に押圧している。一方、燃料噴射時には弁体上部の燃料油を電磁弁を経由してリターン配管に逃がすことにより弁体上部に作用する圧力を低下させる。これにより、弁体下部に作用する燃料油圧力により弁体がスプリングに抗して押し上げられ噴孔が開放され噴射が行われる。すなわち、この形式の燃料噴射弁では開弁(燃料噴射)期間中にリターン燃料が発生する。
【0046】
また、上記開弁動作に伴うリターン燃料の他に、常時燃料噴射弁の摺動部クリアランスからリークする燃料油があり、これらのリーク燃料も燃料タンクに返戻される。これらのリターン燃料は各燃料噴射弁1と燃料タンク7とを接続するリターン燃料配管19を通って燃料タンクに返戻されるが、本明細書では上記燃料噴射弁の燃料噴射動作に伴って生じるリターン燃料を動的リターン燃料、摺動部からのリーク燃料等のように燃料噴射弁の燃料噴射動作とは関係なく常時コモンレールから燃料タンクに返戻されるリターン燃料を静的リターン燃料と呼ぶことにする。すなわち、燃料噴射前後の期間には、燃料噴射量QFINC以外にも動的リターン燃料と静的リターン燃料との和に相当する量のリターン燃料がコモンレールから流出することになる。
【0047】
このため、このような燃料噴射弁を用いる燃料噴射装置では圧力変動DPDを算出する際に燃料噴射量QFINCのみでなく、上記リターン燃料量をも考慮する必要がある。そこで、以下の実施形態では燃料噴射前後の圧力変動推定値DPDを算出する際に動的リターン燃料量と静的リターン燃料量とを考慮するようにしている。
【0048】
以下の実施形態では、動的リターン燃料量QILDと静的リターン燃料量QILSとはそれぞれ以下の方法で算出される。
動的リターン燃料量QILDは、前述のように燃料噴射弁開弁中のみに発生するリターン燃料の量であり、燃料噴射1回当たりに燃料タンクに返戻される燃料の量で表される。従って、QILDは燃料噴射弁の弁体上部油圧を逃がす電磁弁の通電時間(燃料噴射時間)TQFINと燃料噴射直前の燃料油圧力(すなわちPC10 )との関数になる。本実施形態では、予め燃料圧力と燃料噴射時間とを変えて1回の燃料噴射期間に燃料タンクに戻されるリターン燃料量を実測し、ECU20のROMに燃料圧力と燃料噴射時間とを用いた数値マップとして記憶してある。動的リターン燃料量QILDはECU20による燃料噴射時間(通電時間)TQFINと燃料圧力PC10 とを用いて、このマップから算出される。
【0049】
また、静的リターン燃料量QILSは、燃料噴射弁の各クリアランス部からのリーク燃料の量であり、PC10 計測時からPC2計測時までの時間にリークされる燃料の総量で表される。このため、QILSは燃料圧力(PC10 )と燃料温度THF1(燃料粘度)、機関回転数NE(PC10 計測時からPC2計測時までの所要時間)の関数となる。本実施形態では、QILSについても予め燃料圧力、温度、機関回転数の組合せを変化させてリターン燃料量を実測し、燃料圧力、温度、機関回転数を用いた数値マップとしてECU20のROMに格納してある。そして、実際の運転時には静的リターン燃料量QILSは、実測した燃料圧力(PC10 )、温度(THF1)、機関回転数NEを用いて、このマップから算出される。
【0050】
図6は、リターン燃料量QILDとQILSとを考慮した場合の燃料噴射前後の圧力変動推定値DPDの演算ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、例えばサブルーチンとして図4のステップ413で実行される。
図6のサブルーチンにおいて、ステップ601では、別途ECU20により実行される燃料噴射弁制御ルーチン(図示せず)により算出される制御弁開弁時間(通電時間)TQFINと、機関回転数NEが読みだされる。
【0051】
そして、ステップ603では、上記TQFINと図4ステップ405で記憶したコモンレール燃料圧力PC10 とから、ECU20のROMに格納した数値マップを用いて動的リターン燃料量QILDが算出される。
次いで、ステップ605では、同様に、燃料圧力PC10 、機関回転数NE、図6ステップ405で記憶した燃料温度THF1とから、ECU20のROMに格納した数値マップを用いて静的リターン燃料量QILSが算出される。
【0052】
さらに、ステップ607では燃料噴射量QFINCが読みだされ、ステップ609では、上記QFINC、QILD、QILSと図6ステップ411で算出した体積弾性係数Kの値を用いて圧力変動DPDが、
DPD=−(K/VPC)×(QFINC+QILD+QILS)
として算出される。(QFINC+QILD+QILS)は、(燃料噴射量+リターン燃料の総量)、すなわち燃料噴射前後の期間にコモンレールから流出する燃料の総量を表している。上記サブルーチンを実行することにより燃料噴射前後のコモンレール燃料圧力変動推定値DPDが更に正確に算出されるため、図4のルーチンによる異常検出の精度が一層向上する。
【0053】
次に、燃料圧送前後の圧力変動推定値DPUの図5とは別の算出方法について説明する。上述のように、燃料噴射前後の圧力変動推定値DPDを算出する際にコモンレールからのリターン燃料量を考慮することにより一層正確な異常検出が可能となるが、燃料圧送前後の圧力変動推定値DPUの算出についても同様のことが成り立つ。この場合、燃料圧送前後の期間には燃料噴射は行われないため、DPD算出の場合とは異なりリターン燃料量としては上記の静的リターン燃料量QILSのみを考慮すれば良い。また、その他に燃料ポンプ側でのリーク燃料量量等を考慮して燃料圧送量QPMDを算出することにより、より正確なDPUの値の算出が可能となる。
【0054】
ポンプからの燃料圧送量QPMDは、詳細には次式で表される。
QPMD=QG−QD−QL
ここで、QGはポンプの幾何学的燃料圧送量、すなわち吸入弁5a閉弁中にポンプピストンが上昇する行程容積に相当し、吸入弁5aのソレノイドアクチュエータに通電する標準通電開始時期(クランク軸回転角)TFとこの標準通電時期に対して実際に通電を開始するまでの遅れ時間TFDとの関数となる。
【0055】
また、QDは、ポンプのデッドボリューム損失、すなわちポンプピストンが上死点に達したときに圧縮されてシリンダ内に残留する燃料量に相当する燃料量であり、燃料圧送終了時の燃料圧力PC11 (または燃料圧送開始時における燃料圧力PC2を近似的に使用可能)、体積弾性係数Kとの関数となる。
さらに、QLはポンプ内部のリーク燃料量であり、燃料圧力PC11 (またはPC2)と燃料温度THF2 (燃料粘度)、ポンプ回転数(機関回転数NE)の関数となる。
【0056】
本実施形態では、予めQG、QD、QLの値をそれぞれ上記のパラメータを変えて実測し、QGについてはTF、TFDを、QDについてはPC2、Kを、QLについてはPC2、THF2 、NEを用いた数値マップとしてそれぞれECU20のROMに格納してあり、それぞれのパラメータからQG、QD、QLの値を決定することにより正確な燃料圧送量QPMDを算出するようにしている。
【0057】
図7は、静的リターン量QILSと、QG、QD、QLを考慮した燃料圧送量QPMDとを用いた圧送前後の圧力変動DPUの算出ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、図5のルーチンのステップ513においてサブルーチンとして実行される。
図7において、ステップ701では、標準通電時期TF、通電遅れ時間TFD及び機関回転数NEがそれぞれ読み込まれる。通電時期TF及び遅れ時間TFDは、ECU20により別途実行されるポンプ制御ルーチン(図示せず)により、機関運転条件に応じて算出される。
【0058】
次に、ステップ703では静的リターン燃料量QILSが、図5ステップ505で記憶した燃料圧力PC2、燃料温度THF2及び機関回転数NEに基づいて前述したマップから決定される。
また、ステップ705では、TF及びTFDから幾何学的圧送量QGが、ステップ707では図5ステップ511で算出した体積弾性係数Kと燃料圧力PC2とからデッドボリューム損失QDが、ステップ709では、燃料圧力PC2、燃料温度THF2、機関回転数NEとからポンプ内部リーク量QLが、それぞれECU20に記憶した該当するマップから算出される。また、ステップ711では、上記QG、QD、QLを用いて正確な燃料圧送量QPMDが、QPMD=QG−QP−QLとして算出される。
【0059】
そして、ステップ713では、図5ステップ511で算出した体積弾性係数Kと上記により算出した静的リーク燃料量QILSと実際の燃料圧送量QPMDとを用いて燃料圧送前後の圧力変動DPUが、
DPU=(K/VPC)×(QPMD−QILS)
として算出される。ここで、QPMDは燃料圧送前後の期間にコモンレールに流入した燃料の量、QILSは流出した燃料の量を表している。
【0060】
上記サブルーチンを実行することにより、燃料圧送前後のコモンレール圧力変動推定値DPUがさらに正確に算出されることになるため、図5の異常検出の精度が一層向上することになる。
ところで、上述の図6、図7の実施形態ではコモンレール3からの静的リターン燃料量QILSをコモンレール燃料圧力、燃料温度、機関回転数から予め設定した数値マップを用いて求めていた。このため、燃料圧力、燃料温度、機関回転数が同一であれば、燃料噴射弁の使用状態にかかわらず静的リターン燃料量QILSは常に同一の値になる。しかし、前述したように静的リターン燃料は噴射弁摺動部等のクリアランス部からリークする燃料の量である。このため静的リターン燃料量QILSは、運転条件が同一であっても機関稼働期間によるクリアランス変化に伴って経時的に変化する。このため、上記のように静的リターン燃料量を予め設定した数値マップから読みだしていると経時的変化による静的リターン燃料量の変化がQILSの値に反映されず、圧力変動の推定値DPD、DPUの値が不正確になるおそれがある。以下に説明する実施形態では、機関運転中に実際のQILSの値を計測し、この計測結果を学習、記憶する。そして、DPD、DPUの算出時に上記最新の学習結果を用いて静的リターン燃料量QILSを決定する。これにより、静的リターン燃料量QILSの経時的変化がDPD、DPUの算出に反映され、より正確な異常検出が可能となる。
【0061】
図8は、上記の静的リターン燃料量QILSの学習ルーチンを説明するフローチャートである。本ルーチンはECU20により一定時間毎に実行される。
本ルーチンでは、燃料噴射も燃料圧送も行われていない期間でのコモンレール燃料圧力変動を実測し、この圧力変動実測値に基づいて静的リターン燃料量QILSを算出する。
【0062】
すなわち、燃料噴射も燃料圧送も行われていない状態ではコモンレール燃料圧力変動は静的リターン燃料に起因するもののみとなる。従って、燃料噴射も燃料圧送も行われていない状態のある期間ΔT内の静的リターン燃料量をQILSとするとこの期間内のコモンレール燃料圧力変動(降下)ΔPは、
ΔP=−(K/VPC)×QILS
となる。また、燃料温度が一定である場合、期間ΔT内の静的リターン燃料量の合計QILSは、例えばコモンレール燃料圧力PCの一次関数として、
QILS=ΔT×(a+b×PC)
として表すことができる。ここで、PCはコモンレール燃料圧力、aとbは定数である。燃料温度が一定であり燃料噴射も燃料圧送も行われていない状態での期間ΔT内の圧力変動ΔPは、
ΔP=−(K/VPC)×ΔT(a+b×PC)
として表される。従って、或る燃料温度において燃料噴射も燃料圧送もおこなわれていない状態での期間ΔTにおける圧力変動ΔPを2回実測すれば、二元連立方程式を解くことによりその温度条件における定数aとbとを容易に求めることができる。このため、定期的に各燃料温度領域において上記定数a、bを求めECU20のバックアップRAMに記憶しておき、DPD、DPU算出時に記憶した定数を用いて静的リターン燃料量QILSを算出することにより、静的リターン燃料量の経時的変化を学習することができる。
【0063】
本ルーチンでは、燃料噴射も燃料圧送も行われていない状態として機関減速運転時のフュエルカット運転中を選び、フュエルカット運転中の本来であれば燃料噴射が行われる期間の前後のコモンレール燃料圧力変動実測値DPC12から定数a、bを算出する。
すなわち、図8においてルーチンがスタートすると、ステップ801ではフラグFCの値が1にセットされているか否かを判定する。フラグFCは別途ECU20により実行されるフュエルカットルーチン(図示せず)により設定されるフラグであり、FC=1は現在フュエルカットが実施されていることを表している。ステップ801で現在フュエルカット運転が実施されていない(FC≠1)場合にはステップ803以下で定数a、bを算出することなく本ルーチンは直ちに終了する。
【0064】
ステップ801で現在フュエルカット実行中であった場合、ステップ803で現在のコモンレール燃料圧力PCと温度THF、クランク軸回転角度位置CA及び機関回転数NEが読みだされる。そして、ステップ805から811では本来の燃料噴射タイミング直前のコモンレール燃料圧力PC10 、温度THF1及び燃料噴射完了タイミング後のコモンレール燃料圧力PC2(図2参照)が記憶される。更に、ステップ811でPC2を記憶した後に、ステップ813では燃料圧力PC10 と温度THF1とから体積弾性係数Kが算出される。ステップ803からステップ813は、図4ステップ401から411とほぼ同様の操作である。
【0065】
次いで、ステップ815では圧力変動の実測値DPCがDPC=PC2−PC10 として求められる。前述したように、このルーチンはフュエルカット中に実行されるため上記実測値DPCは燃料噴射も燃料圧送も行われていない状態での圧力変動の値となる。
次いで、ステップ817では、上記実測値に基づいて静的リターン燃料量QILS算出のための定数a、bが求められる。
【0066】
前述のように、燃料噴射も燃料圧送も行われていないときのコモンレールの燃料圧力変動は、上記DPC、及びK、PC10 、NEの値を用いて、
DPC=−(K/VPC)×ΔT(a+b×PC10 )
となる。ここで、ΔTはNEから算出されるPC2とPC10 との計測タイミングの時間間隔、ΔT×(a+b×PC10 )は静的リターン燃料量QILSに相当する。
【0067】
ステップ817では、今回ルーチン実行時及び前回ルーチン実行時に実測したDPCの値を用いて、以下の2元連立方程式を解くことにより定数a、bを求める。
DPC=−(K/VPC)×ΔT(a+b×PC10 )
DPC(i-1) =−(K(i-1) /VPC)×ΔT(i-1) (a+b×PC10(i-1))ここで、添字(i−1)を付した値は、前回ルーチン実行時に実測または算出した値を示している。
【0068】
ステップ819では、上記により算出した定数a、bをECU20のバックアップRAMに燃料温度THF1と対応させて記憶し、ステップ821では、DPC(i-1) 、K(i-1) 、ΔT(i-1) 、PC10(i-1)の各値を更新して次回のルーチン実行に備える。
上述のように、本実施形態ではバックアップRAMに燃料温度毎に定数a、bが記憶されている。そして機関のフュエルカット運転が実行される毎に実際のコモンレール圧力変動に基づいてその時の燃料温度における定数a、bの値が算出され、バックアップRAMに記憶したその燃料温度における定数a、bの値が更新される。このため、バックアップRAMには常時燃料噴射弁の摺動部クリアランスの経時変化に対応した定数a、bの値が格納されるようになる。
【0069】
本実施形態では、図6または図7と同様の異常検出を実行するが、ステップ605、ステップ703で静的リターン燃料QILSを決定する際に、バックアップRAMからその時の燃料温度THFに対応した定数a、bを読み出し、この定数を用いて、燃料圧力PCと機関回転数NE(時間ΔT)とからQILSを、
QILS=ΔT×(a+b×PC)
として算出し、算出したQILSの値を用いてDPDまたはDPUを算出する。これにより、図6、図7のルーチンで算出される圧力変動推定値DPD、DPUの値は機関や燃料噴射弁の経時変化に対応した値となるため、より正確な異常検出が行われるようになる。
【0070】
次に、本は発明の別の実施形態について説明する。
上述の実施形態では、コモンレールの燃料噴射前後の圧力変動(DPD、DPC12)に基づく異常検出(図4)と燃料圧送前後の圧力変動(DPU、DPC21)に基づく異常検出(図5)について説明した。これらの方法はそれぞれ単独で使用してもよいが、同時に両方の異常検出方法を実行することにより、燃料噴射系統の異常の種類(異常発生箇所等)を特定することが可能となる。
【0071】
例えば、燃料噴射前後の圧力変動に基づく異常検出では異常が検出されないにもかかわらず、燃料圧送前後の圧力変動に基づく異常検出で異常が発見されたような場合には、燃料噴射ポンプ5からコモンレール3に至る経路での異常(例えば、ポンプ5の逆止弁15より上流側での洩れ発生、ポンプ5の吸入不良)等が考えられる。また、逆に、燃料噴射前後の圧力変動に基づく異常検出で異常が検出されたにもかかわらず燃料圧送前後の圧力変動に基づく異常検出では異常が発見されないような場合には、燃料噴射弁からの燃料噴射量が何らかの原因で過大になっていると考えられる。
【0072】
いま、燃料噴射前後の圧力変動に基づく異常判定の結果をフラグXD(図4)で、燃料圧送前後の圧力変動に基づく異常判定の結果をフラグXU(図5)で表すと、それぞれの判定結果の組合せと異常の種類との関係は以下のようになる。(A)XU=1(異常)の場合
(1)XD=1(異常)…高圧配管17系統またはコモンレール3からの洩れ、異物噛み込み等による燃料噴射弁の開弁スティック等
(2)XD=0(正常)…ポンプ逆止弁15上流側の燃料系統の洩れ、ポンプ5の吸入量不足等
(B)XU=0(正常)の場合
(3)XD=1(異常)…燃料噴射弁1の燃料噴射量過大
(4)XD=0(正常)…正常
以下に説明する実施形態では、燃料噴射前後の圧力変動に基づく異常検出(図4のルーチン)と、燃料圧送前後の圧力変動に基づく異常検出(図5のルーチン)との両方を実行し、それぞれの判定結果に基づいて上記の (1)から (4)のいずれに該当するかを判別するようにしている。
【0073】
図9は、本実施形態の異常状態(種類)の特定のためのルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンはECU20により一定時間毎に実行される。
図9のルーチンでは、図4と図5で設定される異常検出フラグXDとXUとの組合せに応じて、異常パラメータFXの値を1から4のいずれかに設定する。FXの値1から4は上記の異常の種類 (1)から (4)に対応している(FX=4は正常状態であることを表している)。また、異常パラメータFXはECU20のバックアップRAMに格納し、将来の保守点検に備えるようにしても良い。
【0074】
本ルーチンを実行することにより、図4と図5とのルーチンの異常検出の結果から、異常の状態(種類)が特定される。また、本実施形態によれば1気筒の燃料噴射サイクルにつき図4と図5との異常検出をそれぞれ行うことになるため、1サイクル当り2回の異常検出が行われ燃料噴射系統に異常が生じた場合にも早期に検出できるという利点がある。
【0075】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。図9の実施形態では図4と図5とで設定される異常検出フラグXDとXUとの組合せに応じて異常の種類を判別することが可能となっている。これらの異常のうち上記 (1)及び (3)の異常は燃料噴射弁からの噴射量過大や燃料系統から外部への燃料洩れに起因するものであるため、直ちに機関を停止することが好ましい。
【0076】
一方、上記 (2)の異常はポンプ逆止弁15上流側での燃料洩れやポンプの吸入量不足(ポンプへの燃料供給不足)等のポンプ15またはその上流側の燃料供給系統の異常であり、必ずしも機関を直ちに停止させる必要がない場合が含まれている。
例えば、上記 (2)の異常のうち、逆止弁15近傍やポンプ5本体からの外部への燃料洩れが生じているような場合には、前述の (1)、 (3)の異常と同様直ちに機関を停止させることが好ましい。しかし、ポンプ5への燃料供給不足による異常は、例えばフィルタ9bの詰まりや低圧燃料ポンプ9の異常による吐出量低下等により生じるため外部に燃料が洩れる可能性も低く直ちに機関を停止する必要はない。むしろ、この場合には自動車用機関等では運転を継続したほうが車両の退避走行が可能となり好ましい。
【0077】
そこで、本実施形態では図9に示した異常の種類の判別において前述の (2)の異常(ポンプ逆止弁15上流側の燃料系統の洩れ、またはポンプ5への燃料供給不足)が生じていると判別された場合には、更にこの異常が燃料系統の洩れによるものなのか、ポンプ5への燃料供給不足によるものなのかを判別するようにしている。
【0078】
次に、本実施形態におけるポンプ5への燃料供給不足の有無判定方法について説明する。
本実施形態では、燃料供給配管13に設けた燃料供給圧力センサ39で検出した圧力に基づいて燃料供給不足の判定を行う。すなわち、燃料供給不足が生じておらず高圧ポンプ5に十分な量の燃料が供給されている場合には高圧ポンプ5の入口圧力は正圧になっている。ところが、燃料フィルタ9bに詰まりが生じたり、低圧ポンプ9の吐出量が低下するような異常が生じた場合には高圧ポンプ5の入口圧力は負圧になる。そこで、本実施形態では図9の異常種類判別において前述の (2)の異常が生じていると判定された場合には、更に燃料供給圧力センサ39で検出した燃料ポンプ5入口圧力PINが予め定めた圧力PIN0 (PIN0 <0)以下に低下しているか否かを判定する。そして、PIN≧PIN0 の場合には異常の種類がポンプ5等からの燃料洩れによると判定し、PIN<PIN0 の場合には燃料供給不足によるものと特定する。
【0079】
図10は本実施形態の異常種類特定判別操作を説明するフローチャートである。
本ルーチンは、図9のルーチンと同様ECU20により一定時間毎に実行される。
図10のフローチャートは、図9のフローチャートにおけるステップ907をステップ1001からステップ1007に置換した以外は図9と同一であるので、ここでは相違点であるステップ1001からステップ1007のみについて説明する。
【0080】
図10において、ステップ903で異常フラグXDの値が0であった場合、すなわち、前述の (2)の種類の異常が生じている場合には、ステップ1001で燃料供給圧力センサ39からポンプ入口圧力PINを読み込み、ステップ1003で、圧力PINが所定の判定圧力PIN0 より低いか否かを判断する。そして、PIN≧PIN0 であった場合にはステップ1005に進み異常パラメータFXの値を21に設定し、逆にPIN<PIN0 であった場合にはステップ1007に進み異常パラメータFXの値を22に設定する。FX=22は本異常が燃料フィルタ9bの詰まりや低圧ポンプ9の吐出量低下などにより生じた高圧ポンプ5への燃料供給不足によるものであることを表しており、FX=21は高圧ポンプ5または燃料供給系統からの燃料もれによるものであることを表している。
【0081】
なお、上記により設定された異常パラメータFXの値が、1、3、及び21の場合には直ちに機関10を停止し、FXの値が22の場合には運転席の警告灯を点灯するのみとして、機関の運転を継続するようにしても良い。また、図9の実施形態と同様、異常パラメータFXの値をECU20のバックアップRAMに格納し将来の保守点検に備えるようにすることも可能である。
【0082】
なお、上記の判定において、判定圧力PIN0 の値をある程度の負圧に設定しているのは、燃料供給配管13から外部に燃料洩れが生じたことによる燃料供給不足の場合には異常パラメータFXの値を21に設定するようにしたためである。すなわち、燃料フィルタ9b、低圧ポンプ9ともに正常であっても燃料供給配管13から外部に燃料もれが生じた場合には、高圧ポンプ5への燃料供給不足が生じる可能性がある。しかし、この場合には外部への燃料洩れが生じているのであるから同じ燃料供給不足であっても燃料フィルタ9bの詰まり等の場合とは異なり、直ちに機関を停止することが好ましい。一方、燃料供給配管13からの燃料洩れが生じた場合には配管13内の圧力は大気圧以下に低下することはない。
【0083】
そこで、本実施形態では配管13内の圧力が所定の負圧PIN0 より低くなった場合にのみ燃料供給不足による異常が生じたと判定することにより、外部への燃料洩れによる燃料供給不足が生じた場合と区別するようにしている。
上記のように、本実施形態によれば外部への燃料洩れを伴わない異常(FX=22)と外部への燃料洩れや燃料噴射弁の噴射量過大等による異常(FX=1,3,21)とを判別することが可能となるため、異常が生じた場合に機関を直ちに停止すべきか否かの判断を容易に行うことが可能となる。
【0084】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、実際の燃料の温度、圧力等の条件に基づいて燃料の体積弾性係数を算出し、この体積弾性係数を用いて異常検出を実行するようにしたことにより、機関運転中に燃料圧力等が広い範囲で変動するような場合でも正確な異常検出を行うことが可能となる効果を奏する。
【0085】
また、請求項1と2の発明では、上記異常検出を行う際に蓄圧室から燃料タンクに返戻されるリターン燃料量を考慮するようにしたため、上記効果に加えて、更に正確な異常検出を行うことが可能となる効果を奏する。
更に、請求項3の発明では、上記リターン燃料量を学習記憶するようにしたことにより、請求項1と2の発明の効果に加えて、リターン燃料量の経時的変化があった場合でも正確な異常検出を行うことが可能となる効果を奏する。
【0086】
また、請求項4と請求項7の発明では燃料噴射前後の圧力変動に基づく異常検出と、燃料圧送前後の圧力変動に基づく異常検出との両方を行うようにしたことにより、1回の気筒サイクルに2回異常検出を行うことができ、燃料噴射系統の異常を早期に検出することができるという効果を奏する。
さらに、請求項5と請求項8の発明では、それぞれ請求項4と請求項7において両方の異常検出の結果の組合わせに基づいて異常の種類を特定するようにしたため、請求項4と請求項7の効果に加えて、より詳細な異常検出が可能となる効果を奏する。
【0087】
また、請求項6と請求項9の発明によれば、それぞれ請求項5と請求項8の効果に加えて、異常が生じた場合に、その故障が機関を直ちに停止させる必要がある故障であるか否かを容易に判定することが可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料噴射装置の一実施形態の構成概略を説明する図である。
【図2】本発明の燃料噴射系統の異常検出原理を説明する図である。
【図3】軽油の体積弾性係数の温度と圧力による変化の一例を示す図である。
【図4】本発明の異常検出動作の一実施形態を示すフローチャートである。
【図5】本発明の異常検出動作の一実施形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明の異常検出動作の一実施形態を示すフローチャートである。
【図7】本発明の異常検出動作の一実施形態を示すフローチャートである。
【図8】本発明の異常検出動作の一実施形態を示すフローチャートである。
【図9】本発明の異常検出動作の一実施形態を示すフローチャートである。
【図10】本発明の異常検出動作の (1)実施形態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…燃料噴射弁
3…蓄圧室(コモンレール)
5…燃料噴射ポンプ
10…内燃機関
20…制御回路(ECU)
31…燃料圧力センサ
39…燃料供給圧力センサ
Claims (9)
- 内燃機関に所定のタイミングで燃料を噴射する燃料噴射弁と、
該燃料噴射弁が接続される、加圧燃料を貯留する蓄圧室と、
該蓄圧室内の燃料圧力が所定値になるように所定のタイミングで蓄圧室に燃料を圧送する燃料ポンプと、
前記蓄圧室内の実際の燃料圧力を検出する圧力検出手段と、
前記蓄圧室内の燃料の圧力または温度の少なくとも一方に基づいて、燃料の体積弾性係数を検出する手段と、
前記検出した体積弾性係数と内燃機関の運転条件とに基づいて、前記燃料噴射弁からの燃料噴射前後の前記蓄圧室内の燃料圧力変動、若しくは前記燃料ポンプからの燃料圧送前後の前記蓄圧室内の燃料圧力変動、の少なくとも一方を推定する圧力変動推定手段と、
該圧力変動推定手段により推定された燃料噴射前後の圧力変動の推定値と前記圧力検出手段により検出された燃料噴射前後の燃料圧力変動の実測値との偏差、若しくは前記圧力変動推定手段により推定された燃料圧送前後の圧力変動の推定値と前記圧力検出手段により検出された燃料圧送前後の圧力変動の実測値との偏差、の少なくとも一方に基づいて燃料噴射系統の異常を検出する異常検出手段を備え、
前記圧力変動推定手段は、前記圧力検出手段により検出された燃料圧力、燃料温度、機関回転数、燃料噴射弁開弁時間のうち少なくとも一つに基づいて、蓄圧室から燃料タンクに返戻されるリターン燃料の量を算出するリターン燃料量算出手段を備え、
前記リターン燃料量と、内燃機関の運転条件により定まる燃料噴射弁からの燃料噴射量とから前記燃料噴射前後の燃料圧力変動を推定し、
前記リターン燃料と、内燃機関の運転条件により定まる燃料ポンプからの燃料圧送量とから前記燃料圧送前後の燃料圧力変動を推定する、内燃機関の燃料噴射装置。 - 前記リターン燃料量は前記燃料噴射弁からの燃料噴射動作に起因して燃料タンクに返戻される動的リターン燃料量と、それ以外の静的リターン燃料量との和として算出される請求項1に記載の燃料噴射装置。
- 前記リターン燃料量算出手段は、前記燃料噴射と燃料圧送との両方を停止しているときに前記リターン燃料量を計測した結果を学習、記憶する学習手段を備え、該学習結果に基づいて静的リターン燃料量を算出する請求項2に記載の燃料噴射装置。
- 前記異常検出手段は、前記燃料噴射前後の燃料圧力変動の推定値と実測値との偏差に基づく燃料噴射時異常検出と、前記燃料圧送前後の燃料圧力変動の推定値と実測値との偏差に基づく燃料圧送時異常検出との両方を行う請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
- 前記異常検出手段は更に、前記燃料噴射時異常検出の結果と、前記燃料圧送時異常検出の結果との両方に基づいて、異常の種類を判別する異常状態判別手段を備えた請求項4に記載の燃料噴射装置。
- 更に、前記燃料ポンプに燃料を供給する燃料供給配管に配置された燃料フィルタと、該燃料フィルタと前記燃料ポンプとの間の燃料供給配管内の圧力を検出する燃料供給圧力検出手段とを備え、
前記異常状態判別手段は、前記燃料噴射時異常検出の結果と、前記燃料圧送時異常検出の結果との両方に基づいて、少なくとも前記燃料ポンプまたはその上流側の燃料供給系統に異常が生じたか否かを判定し、燃料ポンプまたはその上流側の燃料供給系統の異常が生じており、かつ前記燃料供給圧力検出手段により検出した圧力が予め定めた判定値より低い場合には、更に前記異常を燃料供給不足によるものと判別する請求項5に記載の燃料噴射装置。 - 内燃機関に所定のタイミングで燃料を噴射する燃料噴射弁と、
該燃料噴射弁が接続される、加圧燃料を貯留する蓄圧室と、
該蓄圧室内の燃料圧力が所定値になるように所定のタイミングで蓄圧室に燃料を圧送する燃料ポンプと、
前記蓄圧室内の実際の燃料圧力を検出する圧力検出手段と、
前記蓄圧室内の燃料の圧力または温度の少なくとも一方に基づいて、燃料の体積弾性係数を検出する手段と、
前記検出した体積弾性係数と内燃機関の運転条件とに基づいて、前記燃料噴射弁からの燃料噴射前後の前記蓄圧室内の燃料圧力変動、若しくは前記燃料ポンプからの燃料圧送前後の前記蓄圧室内の燃料圧力変動、の少なくとも一方を推定する圧力変動推定手段と、
該圧力変動推定手段により推定された燃料噴射前後の圧力変動の推定値と前記圧力検出手段により検出された燃料噴射前後の燃料圧力変動の実測値との偏差、若しくは前記圧力変動推定手段により推定された燃料圧送前後の圧力変動の推定値と前記圧力検出手段により検出された燃料圧送前後の圧力変動の実測値との偏差、の少なくとも一方に基づいて燃料噴射系統の異常を検出する異常検出手段を備え、
前記異常検出手段は、前記燃料噴射前後の燃料圧力変動の推定値と実測値との偏差に基づく燃料噴射時異常検出と、前記燃料圧送前後の燃料圧力変動の推定値と実測値との偏差に基づく燃料圧送時異常検出との両方を行う内燃機関の燃料噴射装置。 - 前記異常検出手段は更に、前記燃料噴射時異常検出の結果と、前記燃料圧送時異常検出の結果との両方に基づいて、異常の種類を判別する異常状態判別手段を備えた請求項7に記載の燃料噴射装置。
- 更に、前記燃料ポンプに燃料を供給する燃料供給配管に配置された燃料フィルタと、該燃料フィルタと前記燃料ポンプとの間の燃料供給配管内の圧力を検出する燃料供給圧力検出手段とを備え、
前記異常状態判別手段は、前記燃料噴射時異常検出の結果と、前記燃料圧送時異常検出の結果との両方に基づいて、少なくとも前記燃料ポンプまたはその上流側の燃料供給系統に異常が生じたか否かを判定し、燃料ポンプまたはその上流側の燃料供給系統の異常が生じており、かつ前記燃料供給圧力検出手段により検出した圧力が予め定めた判定値より低い場合には、更に前記異常を燃料供給不足によるものと判別する請求項8に記載の燃料噴射装置。
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