JP3794720B2 - 内燃機関の点火制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3794720B2
JP3794720B2 JP12786894A JP12786894A JP3794720B2 JP 3794720 B2 JP3794720 B2 JP 3794720B2 JP 12786894 A JP12786894 A JP 12786894A JP 12786894 A JP12786894 A JP 12786894A JP 3794720 B2 JP3794720 B2 JP 3794720B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
time
signal
mask
ignition
internal combustion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12786894A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07253074A (ja
Inventor
奥村  博司
小久保  直樹
榊原  浩二
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP12786894A priority Critical patent/JP3794720B2/ja
Priority to US08/378,286 priority patent/US5494016A/en
Publication of JPH07253074A publication Critical patent/JPH07253074A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3794720B2 publication Critical patent/JP3794720B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02PIGNITION, OTHER THAN COMPRESSION IGNITION, FOR INTERNAL-COMBUSTION ENGINES; TESTING OF IGNITION TIMING IN COMPRESSION-IGNITION ENGINES
    • F02P5/00Advancing or retarding ignition; Control therefor
    • F02P5/04Advancing or retarding ignition; Control therefor automatically, as a function of the working conditions of the engine or vehicle or of the atmospheric conditions
    • F02P5/145Advancing or retarding ignition; Control therefor automatically, as a function of the working conditions of the engine or vehicle or of the atmospheric conditions using electrical means
    • F02P5/15Digital data processing
    • F02P5/1502Digital data processing using one central computing unit
    • F02P5/1506Digital data processing using one central computing unit with particular means during starting
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02PIGNITION, OTHER THAN COMPRESSION IGNITION, FOR INTERNAL-COMBUSTION ENGINES; TESTING OF IGNITION TIMING IN COMPRESSION-IGNITION ENGINES
    • F02P11/00Safety means for electric spark ignition, not otherwise provided for
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、内燃機関、特に車載用内燃機関の点火制御装置に関し、特に、同内燃機関の始動時に回転角度信号に発生するノイズによって誤った点火動作が行われることを防止するための点火制御装置構成の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
こうした内燃機関の点火制御装置では周知のように、内燃機関のクランク軸に同期して回転するシグナルロータにピックアップを対設して回転角度信号を形成し、この形成した角度信号に基づいて、点火プラグを駆動するための点火信号を生成するようにしている。
【0003】
また、上記シグナルロータやピックアップは通常、内燃機関のスタータ近傍に配設されることから、内燃機関の始動時、バッテリの電圧が大きく変動することに起因して、上記形成される角度信号に電磁ノイズが重畳されるようになることもよく知られている。またノイズとしては、同じく始動時に、同機関が回り出すことによる振動によるノイズもある。このように、回転角度信号にノイズが重畳される場合、それに基づいて不要な点火信号が生成されることとなり、ひいては誤った点火動作が行われることとなる。
【0004】
そこで従来は、例えば特開平4−325776号公報の第3頁左欄第39行〜右欄第45行に記載される如く、
・内燃機関のスタータ(リレーコイル)に与えられる電圧に基づいて能動レベルに立ち上がる論理信号を生成する。そして、この論理信号の立ち上がりから上記回転角度信号に現れるノイズ(ただしここでは振動ノイズ)をカバーするに充分な所定時間の間、同回転角度信号を無視するようにする。
などの手法によって、こうした誤った点火動作が行われることを防止するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、内燃機関の始動時、その直後からノイズが重畳される期間をカバーするに充分な所定時間の間、回転角度信号を無視、すなわちマスクするようにすれば、確かにそれらノイズに基づく不要な点火信号が生成されることはなく、誤った点火動作が行われることもなくなる。
【0006】
しかし、上記従来の装置において設定されるマスク時間(上記所定時間)とは通常、スタータのチャタリング等をも考慮して、ノイズが重畳される可能性のある期間については確実にこれをマスクすることのできるように、余裕を持って、長めの時間に設定されている。
【0007】
このため、スタータがチャタリングを起こした場合などのように、比較的長い期間に亘ってノイズが重畳される場合にはこうした従来の手法も有効ではあるが、スタータがチャタリングを起こさずに、ノイズが重畳される期間も比較的短期間であったような場合には逆に、無駄なクランキングが増加するといった不都合を招くことともなる。
【0008】
また一方、こうした無駄なクランキングを抑制すべく、上記マスク時間を短く設定するようなことがあれば、スタータのチャタリング等に対応できなくなり、同マスク時間を経過した後、ノイズに基づく不要な点火信号が生成される懸念はやはり残る。
【0009】
なお、従来の点火制御装置としては他に、実開昭63−26775号公報などに見られるように、
・電磁ピックアップの近傍に磁気ノイズ検出手段を設け、この検出されるノイズが一定値以上のときには点火コイルの一次電流を断続する開閉素子(パワートランジスタ)の切換を中止する。
或いは
・バッテリ電圧の変化を検出して、その検出される電圧変化が一定値以上になるとき同開閉素子の切換を中止する。
等々の手法によって、誤った点火動作を防止するようにしたものもある。
【0010】
ただし、このような装置の場合には、正規の回転角度信号が磁気ノイズよりも大きくて正常に動作している場合であっても、この磁気ノイズ、或いはバッテリ電圧変化が一定値以上になった時点で点火動作が禁止されてしまうこととなる。すなわち、正規の回転角度信号までもが無視(マスク)されてしまうといった不都合を招くこととなる。
【0011】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、チャタリングを起こそうが起こすまいが、始動時に誤動作を招く懸念のある期間のみを的確にマスクして、無駄なクランキングの抑制はもとより如何なる場合も好適な始動性を得ることのできる内燃機関の点火制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
こうした目的を達成するため、請求項1記載の発明では、内燃機関のクランク軸に同期して回転するシグナルロータと、該シグナルロータに対設されて内燃機関の回転に同期した角度信号を出力するピックアップと、この出力される角度信号に基づき点火時期を算出して、同内燃機関の点火信号を生成する点火信号生成手段と、バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータを監視し、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、該検出タイミングから所定の時間だけ、前記角度信号の前記点火信号生成手段への入力を無効にするとともに、前記所定の時間が経過するまでに前記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されると、新たに前記角度信号の前記点火信号生成手段への入力を無効にする時間を設定する時間マスク手段とを具えて内燃機関の点火制御装置を構成する。
【0013】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明の前記時間マスク手段を、前記検出されるバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量に応じて前記所定の時間の長さを変更するものとして構成する。
【0014】
また、請求項3記載の発明では、内燃機関始動時の冷却水温を検出する冷却水温検出手段を更に具え、請求項1記載の発明の前記時間マスク手段を、該検出される冷却水温に応じて前記所定の時間の長さを変更するものとして構成する。
【0015】
また、請求項4記載の発明では、これらの構成において更に、前記時間マスク手段による所定の時間のマスク終了後に前記点火信号生成手段へ入力される角度信号の少なくとも最初の1エッジを無効にするエッジマスク手段を具える構成とする。
【0016】
また、請求項5記載の発明では、内燃機関のクランク軸に同期して回転するシグナルロータと、該シグナルロータに対設されて内燃機関の回転に同期した角度信号を出力するピックアップと、この出力される角度信号に基づき点火時期を算出して、同内燃機関の点火信号を生成する点火信号生成手段と、スタータスイッチがオンされた直後の所定期間のバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの微小変動を監視し、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、その変動量に応じて前記角度信号にノイズが重畳される期間を推定するノイズ期間推定手段と、これら推定されるノイズ期間にそれぞれ対応した各別のマスク時間が予め設定されたマスク時間メモリと、前記ノイズ期間推定手段による推定態様に応じて該マスク時間メモリに設定されているマスク時間を選択し、前記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動の検出タイミングからこの選択したマスク時間だけ、前記角度信号の前記点火信号生成手段への入力を無効にするマスク制御手段とを具えて内燃機関の点火制御装置を構成する。
【0017】
また、請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明の前記ノイズ期間推定手段を、前記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量に応じて前記角度信号へのチャタリングノイズの重畳の有無を推定するものとし、前記マスク時間メモリを、チャタリングノイズの重畳期間に対応した第1のマスク時間とチャタリングのない電磁ノイズの重畳期間に対応した第2のマスク時間とが少なくとも設定されたメモリとし、そして前記マスク制御手段を、前記ノイズ期間推定手段によって前記チャタリングノイズの重畳有りが推定されるとき前記第1のマスク時間を選択し、同ノイズ期間推定手段によって前記チャタリングノイズの重畳無しが推定されるとき前記第2のマスク時間を選択するものとして構成する。
【0018】
また、請求項7記載の発明では、これら請求項5または6記載の構成において、前記マスク制御手段によって選択されたマスク時間に基づくマスク終了後に前記点火信号生成手段へ入力される角度信号の少なくとも最初の1エッジを無効にするエッジマスク手段を更に具える構成とする。
【0019】
また、請求項8記載の発明では、内燃機関のクランク軸に同期して回転するシグナルロータと、該シグナルロータに対設されて内燃機関の回転に同期した角度信号を出力するピックアップと、この出力される角度信号に基づき点火時期を算出して、同内燃機関の点火信号をソフトウェア的に生成する第1の点火信号生成手段と、バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータを監視し、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、該検出タイミングから所定の第1の時間だけ前記角度信号の前記第1の点火信号生成手段への入力を無効にする第1の時間マスク手段と、前記ピックアップから出力される角度信号に基づき、同内燃機関の点火信号をハードウェア的に生成する第2の点火信号生成手段と、内燃機関の始動時、前記角度信号の最初の変化から前記第1の時間よりも長い第2の時間だけ前記角度信号の前記第2の点火信号生成手段への入力を無効にする第2の時間マスク手段と、前記第1の時間マスク手段による第1の時間、及び前記第2の時間マスク手段による第2の時間の何れか一方の時間に到達した時点で、その時間に達した時間マスク手段に対応する点火信号生成手段への角度信号の入力無効を選択的に解除するマスク解除手段とを具えて内燃機関の点火制御装置を構成する。
また、請求項9記載の発明では、内燃機関のクランク軸に同期して回転するシグナルロータと、該シグナルロータに対設されて内燃機関の回転に同期した角度信号を出力するピックアップと、この出力される角度信号に基づき点火時期を算出して、同内燃機関の点火信号を生成する点火信号生成手段と、バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータを監視し、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、該検出タイミングから所定の時間だけ、前記角度信号の前記点火信号生成手段への入力を無効にする時間マスク手段と、前記時間マスク手段による所定の時間のマスク終了後に前記点火信号生成手段へ入力される角度信号の少なくとも最初の1エッジを無効にするエッジマスク手段、を具えて内燃機関の点火制御装置を構成する。
また、請求項10記載の発明では、請求項9記載の発明において、前記時間マスク手段は、前記検出されるバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量に応じて前記所定の時間の長さを変更する構成とする。
また、請求項11記載の発明では、請求項9記載の発明において、内燃機関始動時の冷却水温を検出する冷却水温検出手段を更に具え、前記時間マスク手段は、該検出される冷却水温に応じて前記所定の時間の長さを変更する構成とする。
【0027】
【作用】
通常であれば、上記点火信号生成手段を通じて、ピックアップから出力される角度信号に基づき点火時期を算出して点火信号を生成することで、該生成された点火信号に基づく適正な点火動作が実行されるようになる。
【0028】
しかし、内燃機関の始動時には、前述したように、上記バッテリ電圧が大きく変動することに起因して、上記ピックアップから出力される角度信号にノイズが重畳されるようになり、このノイズが、上記点火信号生成手段に対し不要な点火信号の生成を促すようになる。
【0029】
そこで、上記請求項1、9記載の発明では、バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータが所定量以上に変動したとき、その時点から所定の時間だけ、上記時間マスク手段を通じて、点火信号生成手段に対する上記角度信号の入力を無効にするようにしている。
【0030】
なお、この角度信号の入力を無効にするための所定の時間とは、上記バッテリ電圧等の一度の変動に起因するノイズの発生期間をマスクし得る程度の比較的短い時間であってよい。この時間としては例えば、20〜50ms(ミリ秒)程度が望ましい。通常、前記電磁ノイズは、上記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動時点から20ms以内に発生し、また内燃機関が回り出すときの前記振動ノイズは、同時点から50ms以内に発生する。
【0031】
こうした構成を採用することにより、前述したチャタリング等が起こらなかった場合には、
・上記所定の時間への到達後、上記角度信号に基づいて直ちに正規の点火信号が生成される。ようになり、またチャタリング等が起こって、比較的長い期間に亘ってノイズが重畳される場合でも、
・チャタリング等に起因してバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動が検出される都度、上記所定の時間が新たに設定されて上記角度信号に対するマスク期間が自動的に更新維持され、チャタリング等が解消された時点で、同角度信号に基づく正規の点火信号の生成が開始される。ようになる。
【0032】
このため、無駄なクランキング等は自ずと回避され、ノイズが重畳される期間は、上記角度信号も的確にマスクされるようになる。
また、こうした構成によれば、確実に誤動作することがわかっている始動時の所定期間のみ、上記角度信号がマスクされるものであることから、正規の角度信号までがマスクされてしまう懸念もない。
【0033】
また、上記点火信号生成手段が、マイクロコンピュータ等、ソフトウェア的に点火信号を生成するものである場合、点火信号生成手段に対しこうして角度信号の入力そのものを無効にするようにしたことで、マイクロコンピュータ等に不要な演算負担をかけることもなくなる。
【0034】
なお、上記バッテリ電圧に対応するパラメータとしては、内燃機関スタータ部におけるスタータ電圧やスタータ電流などがある。
【0035】
特にここでは、これらバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動を検出して、上記時間マスク手段によるマスク処理の開始タイミングを決定するようにしていることから、上記に加え、更に次のような利点が得られるようにもなる。
【0036】
例えば、一口にバッテリ電圧といっても、どれも皆同じ電圧であるとは限らない。特に新しいバッテリと古いバッテリとでは、その電圧が2〜3V程度異なることもある。そして、これが搭載される自動車の使用状態によっても、その疲労度合いは大きく異なってくる。
【0037】
したがって、例えばバッテリ電圧がある所定の値以下となったときに上記マスク処理が開始されるように設定しておくと、同マスク処理を所望のタイミングで開始できなくなる可能性がある。すなわち、古いバッテリ(或いは疲労度合いの大きいバッテリ)の場合には最初から電圧が低いため、単にキースイッチをオン(いわゆるイグニション・オン)にしただけで該マスク処理が開始されてしまうこともあり得る。
【0038】
この点、バッテリ電圧の所定量以上の変動といった現象は、バッテリの新旧(或いは疲労度合いの大小)を問わず、またイグニション・オン時における電圧がどのような値であれ、内燃機関始動時のある特定のタイミングにおいて必ず起こる。したがって、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動を検出して、上記時間マスク手段によるマスク処理の開始タイミングを決定するようにすれば、その開始タイミングを常に安定して確保することができるようになる。
【0039】
また、このバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量は、ほぼ一定の判定値に基づいて検出することができる。したがって、これが搭載される自動車毎に同判定値を適合させる必要もそれほどない。
【0040】
また、請求項2、10記載の発明によるように、
・前記時間マスク手段は、前記検出されるバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量に応じて前記所定の時間の長さを変更する。或いは、請求項3、11記載の発明によるように、
・前記時間マスク手段は、前記検出される冷却水温に応じて前記所定の時間の長さを変更する。ものとすれば、同所定の時間について、その都度の実状に応じた更に木目の細かな設定制御が可能となり、ひいては上記角度信号についての更に緻密、且つ的確なマスク制御が可能となる。
【0041】
また、同点火制御装置として、請求項4記載の発明によるように、
・前記時間マスク手段による所定の時間のマスク終了後に前記点火信号生成手段へ入力される角度信号の少なくとも最初の1エッジを無効にするエッジマスク手段を更に具えるものとすれば、上記所定の時間そのものを更に短い時間(例えば20ms程度の時間)に設定することができるようになる。すなわち、内燃機関が回りだすときの振動ノイズが上記時間マスク手段によるマスク終了後の例えば最初の1エッジに対応して発生されるよう、上記所定の時間を更に短めに設定しても、それらのノイズに対するマスク処理は的確に実行されるようになる。そして、内燃機関の始動性は著しく高められることとなる。
【0042】
また通常、電磁ノイズの大きさ、或いはその発生期間、更には前述したチャタリングの有無等は、上記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量(特に、バッテリ電圧若しくはスタータ電圧の始動時の微小変動量)に大きく依存する。
【0043】
そこで、請求項5記載の発明では、上記ノイズ期間推定手段を通じてスタータスイッチがオン操作された直後の所定時間のバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの微小な変動量に応じたノイズ重畳期間を推定し、この推定される期間に応じたマスク時間が、上記マスク制御手段を通じて選択的に設定されるようにしている。この選択されるマスク時間は、例えば予めの実験等を通じて求められるものであり、各種のノイズ発生態様に対応してこれを的確にマスクし得るそれぞれ最適な時間として、上記マスク時間メモリに予登録されている。
【0044】
したがってこうした構成によれば、上記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの微細な変動量に対応したより精度の高いマスク処理が実現されるとともに、より汎用性に富んだ装置として、同点火制御装置を構成することができるようになる。
【0045】
そして特に、請求項6記載の発明によるように、
・前記ノイズ期間推定手段は、前記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量に応じて前記角度信号へのチャタリングノイズの重畳の有無を推定する。
・前記マスク時間メモリには、チャタリングノイズの重畳期間に対応した第1のマスク時間とチャタリングのない電磁ノイズの重畳期間に対応した第2のマスク時間とが少なくとも設定される。
・前記マスク制御手段は、前記ノイズ期間推定手段によって前記チャタリングノイズの重畳有りが推定されるとき前記第1のマスク時間を選択し、同ノイズ期間推定手段によって前記チャタリングノイズの重畳無しが推定されるとき前記第2のマスク時間を選択する。ものとすれば、前述したチャタリング対策がより簡単に、且つ確実に実現されるようにもなる。
【0046】
なお、請求項7記載の発明によるように、こうした構成においても
・前記マスク制御手段によって選択されたマスク時間に基づくマスク終了後に前記点火信号生成手段へ入力される角度信号の少なくとも最初の1エッジを無効にするエッジマスク手段を更に具えるものとすれば、上記予登録されるマスク時間(特に第2のマスク時間)を更に短い時間とすることができ、ひいては内燃機関の始動性を更に高めることができるようになる。
【0047】
また、請求項8記載の発明では、上述した点火信号生成手段、及び時間マスク手段をそれぞれ、第1の点火信号生成手段、及び第1の時間マスク手段とするとき、
・前記ピックアップから出力される角度信号に基づき、同内燃機関の点火信号をハードウェア的に生成する第2の点火信号生成手段。
及び
・内燃機関の始動時、前記角度信号の最初の変化から前記第1の時間よりも長い第2の時間だけ前記角度信号の前記第2の点火信号生成手段への入力を無効にする第2の時間マスク手段。
を更に具えるとともに、上記マスク解除手段を通じて、
・前記第1の時間マスク手段による第1の時間、及び前記第2の時間マスク手段による第2の時間の何れか一方の時間に到達した時点で、その時間に達した時間マスク手段に対応する点火信号生成手段への角度信号の入力無効を選択的に解除する。
こととしている。
【0048】
したがってこうした構成によれば、もし何らかの原因で、第1の点火信号生成手段による点火信号の生成、或いは第1の時間マスク手段による角度信号の入力無効動作に異常が来たしたとしても、第2の点火信号生成手段、及び第2の時間マスク手段を通じて、上述に準じた態様で、角度信号に対する的確なマスク処理、並びに適正な点火信号の生成が実施されるようになる。
【0056】
【実施例】
(第1実施例)
図1に、この発明にかかる内燃機関の点火制御装置について、第1の実施例を示す。
【0057】
はじめに、同実施例の装置の構成について説明する。
同図1に示されるこの実施例の装置において、バッテリ1は、車載された定格出力電圧12V(ボルト)程度のものであり、キースイッチ2がオンとされることにより、以下の各部に対してその出力電圧Vsを供給するようになる。
【0058】
また、イグナイタ点火制御装置3は、大きくは論理回路部31、CPU32、出力制御回路33、ドライブ用トランジスタ34、パワートランジスタ35、そして抵抗器36を有して構成されている。
【0059】
論理回路部31及びCPU32は共に、後述する角度信号をマスクしたり、同角度信号に基づいて点火信号を生成出力したりする部分である。それら生成された点火信号S41或いはS42は、上記出力制御回路33を介して選択的にドライブ用トランジスタ34のベース電極に印加され、同トランジスタ34をオン/オフする。
【0060】
点火信号S41及びS42は通常、それらが同時に出力されることはないが、もしも何らかの原因によって同時に出力されることがあったとしても、出力制御回路33によってそれら信号の競合は回避されるようになっている。すなわち該出力制御回路33は、上記点火信号S41及びS42の出力タイミングを監視して、何れか先に出力された一方の点火信号のみを優先的にドライブ用トランジスタ34に印加する回路である。
【0061】
一方、このドライブ用トランジスタ34に接続されたパワートランジスタ35は、上記キースイッチ2のオン操作によってオン状態となり、ドライブ用トランジスタ34がオンとなる毎に、そのベース電極電位が接地されてオフになるよう構成されている。
【0062】
また、このパワートランジスタ35のコレクタ電極には、点火コイル4を介して当該エンジンの点火プラグ5が接続されている。
このため、パワートランジスタ35がオフになると、点火コイル4の一次電流が遮断され、その二次側に高電圧が発生されるようになる。そしてこの発生された高電圧が、これに接続されている点火プラグ5を駆動する(スパークさせる)ようになる。すなわち、上記点火信号S41或いはS42がオン(論理Hレベル)となる毎に(パワートランジスタ35がオフとなる毎に)、当該エンジンの点火が実施されることとなる。
【0063】
また、同実施例の装置において、当該エンジンのクランク軸近傍には、該クランク軸に同期して回転するシグナルロータ6と、該シグナルロータ6に対設されてエンジンの回転に同期した角度信号S1を出力するピックアップ7とが、それぞれ配設されている。このピックアップ7から出力される角度信号S1が上記イグナイタ点火制御装置3に入力され、そこで上述した点火信号S41或いはS42に変換されるようになる。
【0064】
また、これらシグナルロータ6及びピックアップ7の近傍には更に、スタータスイッチ8、スタータリレー9、及びスタータモータ10からなるスタータ部が配設されている。このスタータ部は、上記キースイッチ2がオン操作された後、スタータスイッチ8がオンとされることで、スタータリレー9のリレーコイル9aが励磁され、同リレー9のリレー接点9bが閉成されるようになる。そして、こうしてリレー接点9bが閉成されることで、上記バッテリ1の出力電圧Vsがスタータモータ10に与えられ、エンジンが始動されるようになる。
【0065】
なお、こうしてエンジンの回転が開始されることで、上記ピックアップ7からはその回転に同期した角度信号S1が出力されるようになるが、該始動の際には前述したように、バッテリ1の電圧Vsが大きく変動することに起因して、この角度信号S1にノイズが重畳されるようになる。
【0066】
そこで、該実施例の装置のイグナイタ点火制御装置3を構成する上記論理回路部31及びCPU32は共に、こうして角度信号S1にノイズが重畳される期間、同角度信号S1をマスクする機能を併せ有している。
【0067】
以下、これら論理回路部31及びCPU32による角度信号S1をマスクするための構成、並びに機能について、図2〜図7を併せ参照して更に詳述する。
まず、論理回路部31は、波形整形回路3101を有し、該波形整形回路3101を通じて上記角度信号S1を矩形波信号に波形整形する。この波形整形された信号は、第1エッジ検出回路3102、アンド回路3109、アンド回路3110、及びアンド回路3115に対してそれぞれ加えられるようになる。
【0068】
第1エッジ検出回路3102は、初期値として論理Lレベルの信号を出力し、上記角度信号の波形整形信号の最初のエッジ(信号レベル変化)を検出した時点で、その出力信号レベルを論理Hレベルとする回路である。そして同第1エッジ検出回路3102では以後、リセット端子Rにリセット信号が印加されるまで、同出力状態を維持するようになる。
【0069】
こうして第1エッジ検出回路3102から論理Hレベルの信号が出力されることにより、アンド回路3103が開となって、クロック信号CLKがカウンタ3104の端子CPに印加されるようになる。
【0070】
カウンタ3104は、そのCLR端子が論理Hレベルにあって能動状態にあるとき(クリア解除状態にあるとき)に、上記端子CPにクロック信号CLKが印加されることでカウントアップを開始する。そして、そのカウント値が、初期値Q0 から時間Thに相当する所定値Q9 になったところで、出力信号を論理Lレベルから論理Hレベルに立ち上げる。
【0071】
ここで、インバータ3106は、CPU32からマスク解除指令S3が出力されていないとき、すなわち信号S3が論理Lレベルにあるとき、その論理レベル反転信号(論理Hレベル信号)をアンド回路3105に与えるものである。したがって、上記カウンタ3104が所定値Q9 のカウントを終了した後にマスク解除指令S3が出力される場合には、同カウンタ3104から上記論理Hレベルの信号が出力される。しかし、同カウンタ3104が所定値Q9 のカウントを終了する前にマスク解除指令S3が出力される場合には、カウンタ3104はクリアされ、その出力も論理Lレベルに維持されるようになる。
【0072】
また、インバータ3107は、このカウンタ3104の出力を論理レベル反転するものであり、同カウンタ3104の出力が論理Lレベルであれば論理Hレベルの信号を、逆に同カウンタ3104の出力が論理Hレベルであれば論理Lレベルの信号をそれぞれ出力する。
【0073】
そして優先判別回路3118とは、このインバータ3107の出力と上記マスク解除指令S3とを監視して、何れか先に論理レベルが反転した信号についてその論理レベル変化を優先的に通過せしめ、他方の信号についてはその論理レベル変化を無視する回路である。
【0074】
このため、優先判別回路3118のインバータ3106側の入出力は最初、論理Lレベルにあり、他方のインバータ3107側の入出力は最初、論理Hレベルにある。そして、CPU32からマスク解除指令S3が出力されるよりも早く上記カウンタ3104が所定値Q9 をカウントした場合には、同優先判別回路3118のインバータ3107側の入出力のみが論理Lレベルに反転されて、他方のインバータ3106側の入出力は論理Lレベルに維持される。このことは、アンド回路3108及びアンド回路3109が共に、閉(非能動)状態に維持されるようになることを意味する。逆に、カウンタ3104が所定値Q9 をカウントするよりも早く上記CPU32からマスク解除指令S3が出力された場合には、同優先判別回路3118のインバータ3106側の入出力のみが論理Hレベルに反転されて、他方のインバータ3107側の入出力は論理Hレベルに維持される。このことは、アンド回路3108及びアンド回路3109が共に開(能動)状態となることを意味する。
【0075】
図2は、このうち後者のカウンタ3104が所定値Q9 をカウントするよりも早く上記CPU32からマスク解除指令S3が出力された場合の、同論理回路部31の動作を例示したものである。
【0076】
すなわち、図2(a)は、波形整形回路3101の出力を、図2(b)は、第1エッジ検出回路3102の出力を、図2(c)は、アンド回路3103の出力を、図2(d)は、カウンタ3104の出力を、それぞれ示している。ここで、図2(e)に示されるように、CPU32からマスク解除指令S3が出力されることにより、インバータ3106の出力が論理Lレベルに反転し(図2(f))、それに伴ってカウンタ3104がクリアされる。このため図2(d)に示されるように、上記所定値Q9 のカウントに対応した時間Thに達しても、同カウンタ3104の出力は論理Lレベルに維持されるようになる。そしてアンド回路3109からは、上記マスク解除指令S3の出力に伴い、図2(g)に示される態様で、角度信号S1の波形整形信号が出力されるようになる。この波形整形信号は信号S2としてCPU32に取り込まれるようになる。
【0077】
一方、同論理回路部31において、アンド回路3110及びアンド回路3111は何れも、上記カウンタ3104の出力が論理Hレベルとなることによって、すなわち上記時間Thが経過する間、CPU32からマスク解除指令S3が出力されないことを条件に開(能動)となる。これらアンド回路3110及びアンド回路3111が開となることにより、カウンタ3114には上記角度信号S1の波形整形信号が入力されるようになり、カウンタ3112にはクロック信号CLKが入力されるようになる。
【0078】
ここで、カウンタ3112は、先のカウンタ3104と同様、そのCLR端子が論理Hレベルにあって能動状態にあるとき、端子CPにクロック信号CLKが印加されることでカウントアップを開始する。そして、そのカウント値が、初期値Q10から時間Tsに相当する所定値Q19になったところで、出力信号を論理Lレベルから論理Hレベルに立ち上げるよう動作する。
【0079】
また、カウンタ3114は、これもそのCLR端子が論理Hレベルにあるとき能動状態となり(同CLR端子に加わる信号は初期値が論理Hレベルにある)、端子CPに上記角度信号S1の波形整形信号が印加されることでカウントアップを開始する。そして、このカウンタ3114の場合には、同端子CPに上記波形整形信号が1回でも入力されることにより、その出力を論理Lレベルから論理Hレベルに立ち上げる設定となっている。
【0080】
これらカウンタ3112及びカウンタ3114の出力は、共に優先判別回路3117に入力され、該優先判別回路3117を通じて、それら出力の論理レベル反転タイミングが比較される。
【0081】
優先判別回路3117は、その初期状態にあって、出力aを論理Hレベル、出力bを論理Lレベル、そして出力cを論理Lレベルに維持しており、上記カウンタ3112及びカウンタ3114の出力論理レベルの反転順位に応じて、これら出力a、b、及びcの論理レベルを次の態様で切り換える回路である。
(1)カウンタ3114の出力がカウンタ3112の出力よりも先に論理レベル反転した場合、すなわち上記時間Tsの経過を待たずに、上記角度信号S1の波形整形信号がカウンタ3114に入力される場合:
出力aの論理Hレベル、及び出力cの論理Lレベルは維持し、出力bのみを、論理Lレベルから論理Hレベルに切り換える。
(2)カウンタ3112の出力がカウンタ3114の出力よりも先に論理レベル反転した場合、すなわち上記時間Tsが経過する間、上記角度信号S1の波形整形信号のカウンタ3114への入力が途絶える場合:
出力bの論理Lレベルは維持し、出力aを論理Hレベルから論理Lレベルに切り換える。そして、出力cとしては、上記第1エッジ検出回路3102に対するリセット信号、すなわち論理Lレベルから一時的に論理Hレベルとなる信号を出力する。
【0082】
図3は、優先判別回路3117の上記(1)の切換動作に基づく該論理回路部31の動作を、また図4は、同優先判別回路3117の上記(2)の切換動作に基づく該論理回路部31の動作をそれぞれ示したものである。次に、これら図3及び図4を併せ参照して、CPU32からマスク解除指令S3が出力される以前に上記時間Thに達した場合の同論理回路部31としての動作並びに機能を更に説明する。
【0083】
まず、図3(a)は、波形整形回路3101の出力を、図3(b)は、第1エッジ検出回路3102の出力を、図3(c)は、アンド回路3103の出力を、図3(d)は、カウンタ3104の出力をそれぞれ示している。この図3(d)に示されるように、CPU32からマスク解除指令S3が出力され前に上記時間Thが経過して、カウンタ3104から論理Hレベルの信号が出力される場合には、図3(e)に示されるように、インバータ3107の出力が論理Lレベルに反転する。そして、このインバータ3107の出力の論理レベル反転によって、アンド回路3108及びアンド回路3109は閉となり、上記信号S2のCPU32への印加が禁止されるようになる。
【0084】
また、カウンタ3104の出力が論理Hレベルとなることにより、アンド回路3110及びアンド回路3111がそれぞれ開となる。その結果、アンド回路3110からは、図3(f)に示されるような角度信号S1の波形整形信号が出力され、アンド回路3111からは、図3(g)に示されるようなクロックCLKが出力される。
【0085】
そして、上記(1)のように、時間Tsの経過を待たずに、角度信号S1の波形整形信号がカウンタ3114に入力される場合には、図3(i)及び(j)に示されるように、カウンタ3114の出力が論理Hレベルとなり、それに伴って優先判別回路3117の出力bが論理Hレベルに切り換えられる。これにより、排他オア回路3113の出力が論理Lレベルとなり、カウンタ3112はクリアされる。すなわち、同カウンタ3112の出力は、図3(h)に示されるように論理Lレベルに維持される。
【0086】
また、こうしてカウンタ3114の出力が論理Hレベルとなることにより、アンド回路3115が開となり、同アンド回路3115からは、図3(k)に示される態様で、角度信号S1の波形整形信号が出力されるようになる。このアンド回路3115の出力は点火信号出力回路3116に与えられ、ここで点火信号S42に変換されて先の出力制御回路33に加えられることとなる。なお、点火信号出力回路3116は、角度信号S1から基準位置を検出して点火信号S42を出力する。或いは角度信号S1に応じて点火信号S42を出力する。
【0087】
他方、図4は、同図4(a)に示されるように、角度信号S1(正確にはその波形整形信号)が一旦出力された後、何らかの原因で、同信号が途絶えたとする場合、または、角度信号の初期のパルスはノイズであって、実際にはエンジンが回転していない場合、すなわち実際には角度信号S1が出力されていない場合を想定している。
【0088】
なお、この図4においても、図4(a)は、波形整形回路3101の出力を、図4(b)は、第1エッジ検出回路3102の出力を、図4(c)は、アンド回路3103の出力を、図4(d)は、カウンタ3104の出力をそれぞれ示している。そしてこの場合も、この図4(d)に示されるように、CPU32からマスク解除指令S3が出力される前に上記時間Thが経過して、カウンタ3104から論理Hレベルの信号が出力されるものとしており、図4(e)に示されるインバータ3107の出力論理レベルの反転によって、上記信号S2のCPU32への印加は禁止される。
【0089】
さて、角度信号S1(波形整形信号)が、例えば図4(a)に示される態様で途絶えたとすると、上記カウンタ3104の出力によってアンド回路3110及びアンド回路3111が共に開になるとはいえ、アンド回路311Oの側は、図4(f)に示されるように、その出力が論理Lレベルに維持される。このため、カウンタ3114は計数動作を行わず、カウンタ3112のみが、図4(g)に示されるクロックCLKに基づいて計数動作を開始する。そして同カウンタ3112は、図4(h)に示されるように、上記時間Tsに相当する計数を終了した時点で、その出力を論理Hレベルとする。
【0090】
こうして、上記(2)のように、カウンタ3112の出力がカウンタ3114の出力よりも先に論理レベル反転する場合には、図4(j)に示されるように、優先判別回路3117の出力aが論理Lレベルに切り換えられ、カウンタ3114は結局、図4(i)に示される如くクリア状態に維持されるようになる。そしてこれにより、アンド回路3115は閉に維持され、点火信号出力回路3116への角度信号(波形整形信号)入力も禁止される。
【0091】
また、こうしてカウンタ3112の出力が先に論理レベル反転する場合には、図4(k)に示されるように、優先判別回路3117の出力cとして、第1エッジ検出回路3102に対しリセット信号が発せられ、該論理回路部31を構成する全ての回路が初期状態に戻されるようになる。
【0092】
すなわち、上記時間Tsの経過後、角度信号S1の出力が再開される場合には、第1エッジ検出回路3102をはじめとする該論理回路部31自体も、その動作を新たに再開することとなる。
【0093】
以上のように、論理回路部31は、
(A)角度信号S1を波形整形する。
(B)エンジンの始動と同時に、角度信号S1に対するマスクを開始し、同角度信号S1の最初の変化から時間Th後に、該マスクを解除する。
(C)論理回路部31自身が時間Th後にマスクを解除する場合には、論理回路部31自らが点火信号を生成出力する。
(D)上記時間Thの経過後、更に時間Tsの間、角度信号S1が入力されなかった場合には、次に入力された角度信号S1の最初の変化から上記時間Thに亘って、上記マスク処理を再開する。
(E)上記時間Thを経過する以前にCPU32からマスク解除指令S3が出力された場合には、角度信号S1の波形整形信号を信号S2としてCPU32に供給し、論理回路部31自らは点火信号を生成しない。
といった機能を併せ有する回路となっている。
【0094】
こうした論理回路部31に対し、CPU32は、その内蔵する若しくは外部の図示しないメモリから与えられる制御プログラムに基づき、図5に示される処理を実行する回路として構成されている。
【0095】
次に、この図5を併せ参照して、同イグナイタ点火制御装置3を構成するもう一方の点火信号生成手段であるCPU32の動作並びに機能を説明する。
なお、このCPU32は、図1に示されるように、ポートP1がキースイッチ2を介してバッテリ1に、ポートP2が上記論理回路部31のアンド回路3109の出力に、ポートP3が同論理回路部31の優先判別回路3118及びアンド回路3108の各一方入力にそれぞれ接続されている。そして、ポートP4から、CPU32自らが生成した点火信号を出力制御回路33に対し出力する。
【0096】
さて、このCPU32は、前記キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されることに基づいて(図5ステップ100)、或いは同装置の電源がオンとされることに基づいて、以下に列記する処理を順次実行する。
(1)まず、CPU32自身のポートP2からの角度信号(波形整形信号S2)の入力を禁止する(ステップ101)。そして、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作された後に、バッテリ電圧Vsが所定値以上変動したか否かを検出する(ステップ102)。ここでは、バッテリ電圧Vsが所定値以上変動した旨検出されるまで、同処理が繰り返され、該バッテリ電圧Vsが所定値以上変動した旨が検出されると次のステップに進む。
(2)次に、上記所定値以上に変動したバッテリ電圧Vsの変動量Xを検出する(ステップ103)。バッテリ電圧Vsは通常、前記スタータ部の起動に伴い、図6(a)に示される態様で大きく変動する。また、その変動量は通常、温度に依存して変化する。すなわち、低温時には、エンジンオイルの粘性係数が大きくなるため、エンジンフリクションが増大し(図10参照)、それに伴って始動時におけるスタータ部の負荷も増大する(すなわち大電流が必要とされる)。このため低温時には、図6(a)に実線Bとして示すように、バッテリ電圧Vsの低下が一段と顕著になり、エンジンの回り出しが遅くなる。すなわち、振動ノイズの発生タイミングが遅くなる。または、同低温時にはスタータ部の負荷が大きいために、スタータコイル9aに流れる電流が不十分となって、同スタータ部にチャタリングが発生する。このこともノイズの発生タイミングが遅れる要因となる。なお同図6(a)において、破線Aは、常温時おけるバッテリ電圧Vsの変動を示している。なお、上記検出対象とするバッテリ電圧Vsの変動量としては他に、図6(b)に示すように、スイッチオンからクランキングが始まる直前までの微小な電圧変動vxを利用することもできる。
(3)この検出したバッテリ電圧Vsの変動量Xに応じて、該CPU32としてのマスク時間Tcを設定する(ステップ104)。このマスク時間Tcは、例えば図7に示されるように、上記バッテリ電圧変動量Xに基づき、それに起因するノイズをマスクする上で最適な時間がマップ等を通じて選択される。
(4)こうして設定されるマスク時間Tcに基づきマスク処理を開始する(ステップ105)。この際、同CPU32内部のマスク時間Tc計時用タイマの時刻情報tがリセットされ(t=0)、作動を開始する。
(5)上記マスク時間Tc計時用タイマの時刻情報tに基づき、マスク時間Tcの経過の有無を判断する(ステップ106)。なお、マスク時間Tcに達するまでの間は、上記バッテリ電圧Vsの変動を引き続き監視する(ステップ109)。そして、同変動量が所定量以上となった場合には、上記(2)の処理(ステップ103)に戻り、その検出される変動量Xに基づき、上述したマスク時間Tcの設定をやり直す(ステップ104)。こうしてマスク時間Tcの再設定が行われた場合には、上記マスク時間Tc計時用タイマの時刻情報tもリセットされ、その新たに設定されたマスク時間Tcに基づくマスク処理が再開される(ステップ105)。これら一連の処理は、マスク時間Tcに達する以前にバッテリ電圧Vsの所定量以上の変動が検出される都度、実行される。
(6)その後、上記マスク時間Tcに達した旨が判断される場合には、ポートP3から論理回路部31に対して前記マスク終了指令S3を出力する(ステップ107)。このマスク終了指令S3を出力することによって、ポートP2に対する角度信号(波形整形信号S2)の入力禁止が解除され(ステップ108)、論理回路部31からポートP2に対し、角度信号S1の波形整形信号S2が入力されるようになる。
(7)ここでCPU32は、前記キースイッチ2がオンになっていることを条件に(ステップ110)、この波形整形信号S2を入力し(ステップ111)、その変化タイミングに基づき点火時期を算出して(ステップ112)、点火信号S41を生成する。この生成された点火信号S41は、ポートP4を通じて前記出力制御回路33に対し出力される(ステップ113)。なおその間、前記キースイッチ2がオフ操作された場合には処理を終了する(ステップ110)。
【0097】
図8は、こうした第1の実施例の装置の動作例を示したものである。
以下、同図8を併せ参照して、この第1の実施例の装置全体としての動作を更に詳述する。
【0098】
いま、図8(a)に示されるように、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されたとすると、スタータリレー9のリレーコイル9aが励磁され、リレー接点9bが閉成される。こうしてリレー接点9bが閉成されることにより、上記バッテリ1の電圧Vsがスタータモータ10に与えられ、エンジンが始動されるようになることは前述した通りである。
【0099】
また、こうしてエンジンの回転が開始されることで、前記ピックアップ7からはその回転に同期した角度信号S1が出力されるようになるが、該始動の際には図8(b)に示されるように、バッテリ1の電圧Vsが大きく変動し、該変動に起因して、同角度信号S1に図8(c)に示されるようなノイズNが重畳されるようになることも前述した。こうして角度信号S1にノイズNが重畳される場合には、前記波形整形回路3101による波形整形信号にも、図8(d)に示されるような誤検出パルスDPが現れることとなる。そして通常、この誤検出パルスDPが誤った点火信号の生成を促し、ひいてはエンジンに対し誤った点火動作を行わしめることとなる。
【0100】
そこでこの第1の実施例の装置では、上述した論理回路部31及びCPU32の何れかによるマスク処理を通じて、上記誤検出パルスDPに基づく点火信号の生成を禁止するようにしている。
【0101】
すなわち、論理回路部31では、前記(B)の機能として示したように、図8(d)に示される角度信号S1の波形整形信号に対し、例えば図8(e)に示される態様で、そのマスク時間(Th+α)が設定されるようになる。この時間αとは、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されてから上記波形整形信号に最初のエッジが現れるまでの時間である。
【0102】
また、他方のCPU32では、図8(b)に示されるバッテリ電圧Vsの変動量Xに基づいて、同波形整形信号に対し、例えば図8(g)に示される態様で、そのマスク時間Tcが設定されるようになる。少なくともこのマスク時間Tcは、上記誤検出パルスDPについて、これを確実にマスクし得る時間に設定されるものとする。またこの実施例において、該CPU32側で設定されるマスク時間Tcは、上記論理回路部31の側で設定されるマスク時間Thに対して、
Tc < Th
といった関係にあるものとする。
【0103】
このため、上記バッテリ電圧Vsに以後、上記所定量を超える変動が来たさなければ、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されて後、CPU32側で設定されたマスク時間Tcに達した時点で、同CPU32から図8(h)に示されるマスク解除指令S3が出力されるようになる。
【0104】
そして、こうしてCPU32からマスク解除指令S3が出力されることにより、論理回路部31では、角度信号S1の波形整形信号に対するマスクを解除するとともに、前記(E)の機能として示したように、同波形整形信号を信号S2としてCPU32に供給する。
【0105】
図8(i)は、このCPU32に与えられる信号S2の態様を示したものであり、CPU32では、こうして入力される信号S2に基づき点火時期を算出し、同信号S2に対応するかたちで、ポートP4から点火信号S41を出力する。該点火信号S41が出力制御回路33を介してドライブ用トランジスタ34に与えられ、同図8(i)に付記する矢印のタイミングで点火プラグ5を駆動する(点火する)ようになることは前述した通りである。
【0106】
また、もし何らかの原因で、CPU32から上記マスク解除指令S3が発せられる前に、論理回路部31で設定されたマスク時間Thに達した場合には、前記(C)の機能により、同論理回路部31自身から、図8(f)に示される態様で点火信号S42が生成出力されるようになる。この点火信号S42も、上記点火信号S41と同様、出力制御回路33を介してドライブ用トランジスタ34に与えられ、同図8(f)に付記する矢印のタイミングで点火プラグ5を駆動する。なお、この実施例の装置の上記構成によれば、これら点火信号S41及びS42が同時に出力されることはないが、もしも何らかの原因により同時に出力されることがあったとしても、出力制御回路33を通じてそれら信号の競合が回避されるようになることも前述した。
【0107】
また、このような装置にあっては、一旦角度信号S1が出力された後、何らかの原因により、同角度信号S1若しくはその波形整形信号が途絶えることもあり得る。そして、それら信号が上記時間Tsを超えて途絶える場合、この第1の実施例の装置では、論理回路部31の前記(D)として示した機能を通じて、次に入力された角度信号S1若しくは波形整形信号の最初の変化から再び、上記時間Thに亘るマスク処理が開始されるようになる。
【0108】
また前述したように、同装置の前記スタータ部がチャタリングを起こした場合、この実施例の装置では、図9に示されるようなマスク処理が実行される。
すなわちいま、始動時のチャタリングによって、バッテリ電圧Vsが図9(a)に示されるような態様で、所定量以上の大きな変動X1、X2、及びX3を繰り返したとすると、角度信号S1には、図9(d)に示される態様で、ノイズN1、N2、及びN3が重畳されるようになる。そして、こうしたノイズN1、N2、及びN3の重畳により、その波形整形信号にも、図9(e)に示されるような誤検出パルスDP1、DP2、及びDP3が現れることとなる。こうした誤検出パルスDP1、DP2、及びDP3が誤った点火信号の生成を促し、ひいてはエンジンに対し誤った点火動作を行わしめることはこの場合も同様である。
【0109】
このようなチャタリングに対しこの第1の実施例の装置では、CPU32による先の図5に示したマスク処理を通じて、バッテリ電圧Vsが上記所定量以上の変動を生じる都度、その旨の検出のもとに、図9(b)に示されるマスク時間Tc1、Tc2、及びTc3の設定が行われるようになる。そして、それら設定したマスク時間Tc1、Tc2、及びTc3によるマスク処理が、同図9(b)に示される態様で順次繰り返されるようになる。
【0110】
このため、同CPU32によるマスク処理は、バッテリ電圧変動量X1に応じてマスク時間Tc1の設定のもとに開始されてから、同バッテリ電圧変動量X3に応じて設定されたマスク時間Tc3に至るまで、図9(c)に示される態様で継続して実行されるようになる。そしてその結果、上記誤検出パルスDP1、DP2、及びDP3は、その全てが良好にマスクされるようになる。また、チャタリングがおさまった後は、同マスク処理の終了された波形整形信号に基づいて直ちに点火信号の生成、並びに出力が開始されるようになる。
【0111】
なお、図9では、論理回路部31によるマスク時間Thについてはその図示を割愛したが、該マスク時間Thはこの場合、上記CPU32によるマスクが終了した後に到達されるものとしている。このため、こうしたチャタリングに起因してCPU32からのマスク終了指令3の送出が多少遅れる場合であっても、同CPU32によるマスク処理の途中で、論理回路部31から点火信号が生成出力されることはない。
【0112】
このように、この第1の実施例にかかる点火制御装置によれば、
(イ)エンジンの始動時、角度信号S1にノイズが重畳される場合であっても、同角度信号S1(波形整形信号)は、上記マスク時間Th及びTcの何れか早く終了される時間に基づき、確実且つ、効率的にマスクされるようになる。
(ロ)このため、CPU32において誤った点火信号が生成される懸念もなく、また、たとえCPU32によるマスク時間Tcが長くなりすぎても、論理回路部31のマスク処理終了によって、少なくとも従来並の始動性は確保されるようになる。
(ハ)また、CPU32のマスク時間Tc自体、バッテリ電圧Vsのその都度の変動量に応じていわば動的に設定されることから、同マスク時間Tcとしては、エンジンのその都度の始動条件に見合った最も適切な時間が選ばれるようになる。そして勿論、同マスク時間Tcが短い時間に設定される場合には、それだけ始動性も向上されることとなる。
(ニ)角度信号S1が時間Tsを超えて途絶え、その後論理回路部31に再入力される場合にも、やはり同角度信号S1へのノイズの重畳が懸念される。しかし同実施例の装置では、角度信号S1の再入力時にも上記論理回路部31を通じてマスク処理が実行されるため、該角度信号S1の再入力に伴う誤動作等も良好に回避されるようになる。
(ホ)始動時、チャタリングが発生した場合には、CPU32によるマスク処理が自動的に反復実行されるようになる。このため、こうしたチャタリングに伴い比較的長い期間に亘って角度信号S1にノイズが重畳される場合でも、該ノイズが重畳されている期間は確実にマスクされるようになる。そして、チャタリングがおさまった後は、同マスク処理の終了された角度信号S1(波形整形信号)に基づき直ちに点火信号の生成、並びに出力が開始されるようになる。
等々、多くの優れた効果が奏されるようになる。
【0113】
ところで、上記第1の実施例の装置では、バッテリ電圧Vsを監視して、その変動量Xが所定以上に大きい場合にCPU32によるマスク処理を開始するようにしたが、バッテリ電圧の他に、スタータリレー9のリレーコイル9aに印加されるスタータ電圧Vmを用いることもできる。
【0114】
このスタータ電圧Vmも、スタータスイッチ8のオン操作に基づき図8(j)として示される態様で変動することから、これを監視して、その変動量Yが所定以上に大きいことを条件にマスク処理を開始するようにしても、上記実施例と同様のマスク処理を実現することはできる。ただしこの場合、同スタータ電圧Vmの変動量Yを検出した時点でその電圧値が0V(ボルト)であった場合には、エンジンが停止しているものとして、またはスタータ部による始動が終了し、エンジンが完全に回転しているものとして、マスク処理は行わないこととする。
【0115】
また、このスタータ電圧Vmと同様、上記監視対象とし得るパラメータとしては、同スタータ部に流れるスタータ電流などもある。このスタータ電流も、スタータ電圧Vmに同期して変動するようになることから、その変動量を監視して、上記に準じたマスク処理を実現することはできる。
【0116】
また、上記第1の実施例の装置では、バッテリ電圧Vsの変動量Xに応じて、CPU32側のマスク時間Tcを設定するようにしたが、同マスク時間Tcの設定に用いることのできる要素としては他に、エンジンの冷却水温などがある。すなわち図1に破線で付記したように、冷却水温センサ11を上記CPU32に接続し、その検出される冷却水温TWに基づき、例えば図11に示される態様でマスク時間Tcを設定するようにしても、上記実施例と同様、該マスク時間Tcとして好適な時間情報を得ることはできる。
【0117】
また、こうして冷却水温情報を用いる場合には更に、上記バッテリ電圧Vs若しくはこれに対応するパラメータの変動量に対する所定値、すなわち上記マスク処理の開始を判断するための閾値を、この冷却水温に応じて可変設定するようにしてもよい。こうした構成によれば、該マスク処理の開始条件について更に木目の細かな設定を行うことが可能となる。
【0118】
また、CPU32側のマスク時間Tcに限らず、論理回路部31側のマスク時間Thについてもこれを、上記冷却水温情報に応じて可変とすることもできる。これには例えば、
・検出される冷却水温と任意の閾値とを比較し、冷却水温の検出値がこの閾値に達しないときと同閾値を超えるときとで、前記カウンタ3104から論理Hレベルの信号が出力されるため計数条件を切り換える構成。
・前記カウンタ3104としてプリセットカウンタを用い、そのプリセットする値を上記検出される冷却水温の値に応じて選択設定する構成。
また或いは、
・検出される冷却水温情報に応じてパルス周期が伸縮されるクロック信号を出力するクロック発生器を用い、その出力されるクロック信号をクロックCLKとして前記アンド回路3103の一方入力に与える構成。
等々、種々の構成を採用することができる。
【0119】
また、上記第1の実施例の装置においては、同論理回路部31において設定される2つの時間Th及びTsが、同一のクロックCLKに基づき同一の態様で設定(計数)されることを想定したが、これら時間の設定は各別になされるものであってもよい。したがって、前記クロックCLKとしても、これら時間Th及びTsで各別の周期のものを用いることができる。
【0120】
また、上記論理回路部31の構成自体、図1に例示した構成に限られることなく任意であり、要は、前記(A)〜(E)として示した機能が満足されるものであればよい。
【0121】
また、同実施例の装置では、論理回路部31とCPU32との2種類の点火信号生成手段を用い、それら論理回路部31及びCPU32毎に、誤検出パルスに基づく点火信号の生成を禁止する手段を設けたが、少なくともCPU32側において、
・バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータを監視し、同パラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、該検出タイミングから所定の時間だけ、角度信号S1の同点火信号生成手段への入力を無効にする手段。
を具えることで、チャタリングを起こそうが起こすまいが無駄なクランキング等は良好に回避され、角度信号にノイズが重畳される期間のみ、同角度信号についてのマスク処理が的確に実施されるようになる。
【0122】
またこの場合、角度信号S1の同点火信号生成手段への入力を無効にする所定の時間は固定であってもよく、必ずしも上記パラメータの変動量や冷却水温に応じて可変設定される必要はない。
【0123】
また、特に上記のように、バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動を検出して、上記マスク処理の開始タイミングを決定するようにしたことで、
・バッテリの新旧(或いは疲労度合いの大小)を問わず、また、いわゆるイグニション・オン時における電圧がどのような値であれ、同マスク処理の開始タイミングを常に安定して確保することができる。
・しかも、このバッテリ電圧等のパラメータの変動量は、ほぼ一定の判定値に基づいて検出することができるため、これが搭載される自動車毎に同判定値を適合させる必要もない。
等々、の効果が併せ奏せられるようにもなる。
【0124】
(第2実施例)
次に、この発明にかかる内燃機関の点火制御装置の第2の実施例について説明する。
【0125】
この第2の実施例の装置も、その装置全体としての構成は、先の図1に示される通りである。
すなわち、同実施例の装置においても、イグナイタ点火制御装置3を構成する論理回路部31及びCPU32は共に、角度信号S1にノイズが重畳される期間、同角度信号S1をマスクする機能を併せ有する回路として構成されている。
【0126】
ただしここでは、それら共通する要素についての重複する説明は割愛する。
さて、この第2の実施例の装置において、前記(A)〜(E)の機能を有する論理回路部31に対し、CPU32は、その内蔵する若しくは外部の図示しないメモリから与えられる制御プログラムに基づき、図12に示される処理を実行する回路として構成されている。
【0127】
以下、この図12を併せ参照して、イグナイタ点火制御装置3を構成する点火信号生成手段の1つであるCPU32の動作並びに機能を説明する。
このCPU32は、前記キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されることに基づいて(図12ステップ200)、或いは同装置の電源がオンとされることに基づいて、以下に列記する処理を順次実行する。
(1)まず、CPU32自身のポートP2からの角度信号(波形整形信号S2)の入力を禁止する(ステップ201)。そして、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作された後に、バッテリ電圧Vsが所定値以上変動したか否かを検出する(ステップ202)。ここでは、バッテリ電圧Vsが所定値以上変動した旨検出されるまで、同処理が繰り返され、該バッテリ電圧Vsが所定値以上変動した旨が検出されると次のステップに進む。
(2)次に、上記所定値以上に変動したバッテリ電圧Vsの変動量Xを検出する(ステップ203)。バッテリ電圧Vsが通常、前記スタータ部の起動に伴い、図6(a)に示される態様で大きく変動すること、並びに、その変動量が通常、温度に依存して変化することは前述した通りである。
(3)この検出したバッテリ電圧Vsの変動量Xに応じて、該CPU32としてのマスク時間Tc’を設定する(ステップ204)。このマスク時間Tcも、例えば先の図7に示されるように、上記バッテリ電圧変動量Xに基づき、それに起因するノイズをマスクする上で最適な時間がマップ等を通じて選択される。
(4)こうして設定されるマスク時間Tc’に基づきマスク処理を開始する(ステップ205)。この際、同CPU32内部のマスク時間Tc’計時用タイマの時刻情報tがリセットされ(t=0)、作動を開始する。
(5)上記マスク時間Tc’計時用タイマの時刻情報tに基づき、マスク時間Tc’の経過の有無を判断する(ステップ206)。なお、マスク時間Tc’に達するまでの間は、上記バッテリ電圧Vsの変動を引き続き監視する(ステップ209)。そして、同変動量が所定量以上となった場合には、上記(2)の処理(ステップ203)に戻り、その検出される変動量Xに基づき、上述したマスク時間Tc’の設定をやり直す(ステップ204)。こうしてマスク時間Tcの再設定が行われた場合には、上記マスク時間Tc’計時用タイマの時刻情報tもリセットされ、その新たに設定されたマスク時間Tc’に基づくマスク処理が再開される(ステップ205)。これら一連の処理は、マスク時間Tc’に達する以前にバッテリ電圧Vsの所定量以上の変動が検出される都度、実行される。
(6)その後、上記マスク時間Tc’に達した旨が判断される場合には、ポートP3から論理回路部31に対して前記マスク終了指令S3を出力する(ステップ207)。こ
のマスク終了指令S3を出力することによって、ポートP2に対する角度信号(波形整形信号S2)の入力禁止が解除され(ステップ208)、論理回路部31からポートP2に対し、角度信号S1の波形整形信号S2が入力されるようになることはこの実施例の場合も同様である。
(7)ここでCPU32は、前記キースイッチ2がオンになっていることを条件に(ステップ210)、この波形整形信号S2を入力するが(ステップ211)、同信号S2の最初のパルスについてはこれを無視する(ステップ212、及びステップ210、211)。これは、この最初のパルスがエンジン始動時の振動ノイズによる誤検出パルスである可能性が高いことに対する配慮である。
(8)そしてその後は、上記入力される波形整形信号S2の変化タイミングに基づき点火時期を算出して(ステップ213)、点火信号S41を生成する。この生成された点火信号S41は、ポートP4を通じて前記出力制御回路33に対し出力される(ステップ214)。なおその間、前記キースイッチ2がオフ操作された場合には処理を終了する(ステップ210)。
【0128】
図13は、こうした第2の実施例の装置の動作例を示したものである。
次に、同図13を併せ参照して、この第2の実施例の装置全体としての動作を更に詳述する。
【0129】
図13(a)に示されるように、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されることによりスタータリレー9のリレーコイル9aが励磁され、リレー接点9bが閉成されること、及び、こうしてリレー接点9bが閉成されることにより、バッテリ1の電圧Vsがスタータモータ10に与えられ、エンジンが始動されるようになることはこの実施例の装置においても同様である。
【0130】
また、こうしてエンジンの回転が開始されることで、前記ピックアップ7からはその回転に同期した角度信号S1が出力されるようになるが、該始動の際には図13(b)に示されるように、バッテリ1の電圧Vsが大きく変動し、該変動に起因して、同角度信号S1に図13(c)に示されるような電磁ノイズNが重畳されるようになることも前述した。
【0131】
そして実際には、同図13(c)に併せ示されるように、エンジンが回り出すときの振動ノイズVNも、上記角度信号S1に重畳されるようになる。
こうして角度信号S1に電磁ノイズNや振動ノイズVNが重畳される場合には、波形整形回路3101による波形整形信号にも、図13(d)に示されるような誤検出パルスDPe及びDPvが現れることとなる。そして通常、これら誤検出パルスDPeやDPvが誤った点火信号の生成を促し、ひいてはエンジンに対し誤った点火動作を行わしめることとなる。
【0132】
そこでこの第2の実施例の装置では、上述した論理回路部31及びCPU32の何れかによるマスク処理を通じて、これら誤検出パルスDPe及びDPvに基づく点火信号の生成を禁止するようにしている。
【0133】
すなわち、論理回路部31では、前記(B)の機能として示したように、図13(d)に示される角度信号S1の波形整形信号に対し、例えば図13(e)に示される態様で、そのマスク時間(Th+α)が設定されるようになる。この時間αが、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されてから上記波形整形信号に最初のエッジが現れるまでの時間であることは前述した。
【0134】
他方、CPU32では、図13(b)に示されるバッテリ電圧Vsの変動量Xに基づいて、同波形整形信号に対し、例えば図13(g)に示される態様で、そのマスク時間Tc’が設定されるようになる。少なくともこのマスク時間Tc’は、上記誤検出パルスDPeについて、これを確実にマスクし得る時間に設定されるものとする。また、この実施例においても、該CPU32側で設定されるマスク時間Tc’は、上記論理回路部31の側で設定されるマスク時間Thに対して、
Tc’ < Th
といった関係にある。
【0135】
このため、上記バッテリ電圧Vsに以後、上記所定量を超える変動が来たさなければ、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されて後、CPU32側で設定されたマスク時間Tc’に達した時点で、同CPU32から図13(h)に示されるマスク解除指令S3が出力されるようになる。
【0136】
そして、こうしてCPU32からマスク解除指令S3が出力されることにより、論理回路部31では、角度信号S1の波形整形信号に対するマスクを解除するとともに、前記(E)の機能として示したように、同波形整形信号を信号S2としてCPU32に供給する。
【0137】
図13(i)は、このCPU32に与えられる信号S2の態様を示したものである。
CPU32では、上述したように、この供給される波形整形信号S2の最初のパルスFPを無視する。この最初のパルスFPは、上記振動ノイズVNに起因して発生された誤検出パルスDPvとの相関のもとに生成されたパルスであり、少なくともこれを無視することで、該誤検出パルスDPvに基づく誤った点火動作は回避されるようになる。
【0138】
そして同CPU32では、上記波形整形信号S2の2番目のパルスSPから、同信号S2に基づく点火時期の算出を開始し、同信号S2に対応するかたちで、ポートP4から点火信号S41を出力する。該点火信号S41が出力制御回路33を介してドライブ用トランジスタ34に与えられ、同図13(i)に付記する矢印のタイミングで点火プラグ5を駆動する(点火する)ようになることは前述した通りである。
【0139】
また、もし何らかの原因で、CPU32から上記マスク解除指令S3が発せられる前に、論理回路部31で設定されたマスク時間Thに達した場合には、前記(C)の機能により、同論理回路部31自身から、図13(f)に示される態様で点火信号S42が生成出力されるようになる。この点火信号S42も、上記点火信号S41と同様、出力制御回路33を介してドライブ用トランジスタ34に与えられ、同図13(f)に付記する矢印のタイミングで点火プラグ5を駆動する。
【0140】
このように、この第2の実施例にかかる点火制御装置では、点火信号生成手段の1つであるCPU32側の処理として、上記マスク時間Tc’による時間的なマスク処理に加え、同マスク処理終了後に入力される波形整形信号(角度信号)の最初の1パルスFPをも併せマスクするようにしている。
【0141】
例えば、前述した第1の実施例の装置によるように、時間的なマスク処理のみによっても、角度信号S1に重畳されるノイズを好適にマスクして且つ、良好な始動性を得ることはできる。
【0142】
ただしこの場合でも、エンジンの回り出しにかかるタイミング的なバラツキや前述したチャタリングの発生等に対する余裕を考慮すると、前記マスク時間Tcとしても、ある程度長めの時間を設定せざるを得ないのが実情であった。すなわちこの場合、チャタリング等の発生時には確かに好適なマスク処理が実現されはするが、該チャタリング等の発生しない正常な始動時には、多少とはいえ無駄なクランキングが生じることもやむを得ない構成となっている。
【0143】
このように、こと始動性に関しては、前述した第1の実施例の装置にあっても尚、改良の余地を残すものであった。
この点、同第2の実施例の装置によれば上述のように、角度信号に重畳されるノイズを、「スタータ部の起動に起因して発生する電磁ノイズN」、及び「エンジン回り出しに起因して発生する振動ノイズVN」に層別するとともに、
・前者の電磁ノイズNについては、上記マスク時間Tc’による時間的なマスク処理を通じてこれをマスクする。
・後者の振動ノイズVNについては、この時間的なマスク処理の終了後に入力される波形整形信号(角度信号)の最初の1パルスFPが同ノイズVNに起因する誤検出パルスであると仮定してこれを無視する。
といった2段階のマスク処理を施すようにしている。
【0144】
したがって、同第2の実施例の装置によれば、先の第1の実施例の装置による前記(イ)〜(ホ)の効果に更に加え、
(ヘ)上記マスク時間Tc’の設定に関して、エンジンの回り出しにかかるタイミング的なバラツキやチャタリングの発生等に対する余裕を考慮する必要はなくなる。すなわち、上記電磁ノイズNのみをマスクし得る時間として同マスク時間Tc’を設定することで、この電磁ノイズNはもとより、角度信号に重畳される全てのノイズを有効にマスクすることができ、結果として、その始動性の著しい向上を図ることができる。
といった効果が併せ奏せられるようになる。
【0145】
因みに、先の第1の実施例の装置の場合、上記電磁ノイズを含め、エンジンの回り出しにかかるタイミング的なバラツキ等を考慮して前記マスク時間Tcを設定するものとすると、同時間Tcとして20〜50ms(ミリ秒)程度の時間が要求されることとなる。通常、電磁ノイズは、前記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動時点から20ms以内に発生し、またエンジンが回り出すときの前記振動ノイズは、同時点から50ms以内に発生する。
【0146】
これに対し、同第2の実施例の装置の場合には、エンジンの回り出しにかかるタイミング的なバラツキ等を考慮する必要がないため、上記マスク時間Tc’を例えば20ms程度の極めて短い時間に設定することができるようになる。
【0147】
なお、同第2の実施例の装置では、上記振動ノイズVNをマスクするのに、上記マスク時間Tc’による時間的なマスク処理終了後に入力される波形整形信号S2の最初の1パルスFPを無視するものとしたが、このマスク態様については任意である。他に例えば、2〜3個のより多くのパルスを無視する構成、或いはそれらパルスのエッジを基準としてその有効・無効を決定する構成とすることもできる。要は、少なくとも最初の1エッジを無効にする構成であればよい。何れにせよ、こうした構成の採用によって、上記ノイズVNに起因する誤検出パルスの影響を回避することができるようになる。
【0148】
また、先の第1の実施例の装置について前述した
・もしも何らかの原因により、点火信号S41及びS42が同時に出力されることがあったとしても、出力制御回路33を通じてそれら信号の競合が回避されるようになること。
・角度信号S1若しくはその波形整形信号が前記時間Tsを超えて途絶える場合であっても、論理回路部31の前記(D)として示した機能を通じて、次に入力された角度信号S1若しくは波形整形信号の最初の変化から再び、前記時間Thに亘るマスク処理が開始されるようになること。
・スタータ部がチャタリングを起こした場合でも、バッテリ電圧が所定量以上の変動を生じる都度、マスク時間Tc’の再設定が行われ、該チャタリングに起因する誤検出パルスは、その全てが良好にマスクされるようになること。
・監視するパラメータとしては、スタータリレー9のリレーコイル9aに印加されるスタータ電圧Vmや同スタータ部に流れるスタータ電流を用いることもできること。
・バッテリの新旧(或いは疲労度合いの大小)を問わず、また、いわゆるイグニション・オン時における電圧がどのような値であれ、同マスク処理の開始タイミングを常に安定して確保することができること。
・しかも、このバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量は、ほぼ一定の判定値に基づいて検出することができるため、これが搭載される自動車毎に同判定値を適合させる必要もないこと。
・冷却水温センサを設け、CPU32側のマスク時間Tc’や、論理回路部31側のマスク時間Thを、その検出される冷却水温情報に応じて可変することもできること。
・論理回路部31において設定される2つの時間Th及びTsは、各別のクロックに基づき、各別の態様で設定されてもよいこと。
・また、同論理回路部31は、前記(A)〜(E)として示した機能が満足されるものであれば、他の如何なる構成であってもよいこと。等々は、この第2の実施例の装置においても同様である。
【0149】
また、この第2の実施例の装置にあっても、論理回路部31とCPU32との2種類の点火信号生成手段を用い、それら論理回路部31及びCPU32毎に、誤検出パルスに基づく点火信号の生成を禁止する手段を設けたが、少なくともCPU32側において、
・バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータを監視し、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、該検出タイミングから所定の時間だけ、角度信号S1の同点火信号生成手段への入力を無効にする手段。及び
・該手段による所定の時間のマスク終了後に同点火信号生成手段へ入力される角度信号の少なくとも最初の1エッジを無効にする手段。を具えることで、無駄なクランキング等は更に良好に回避され、角度信号にノイズが重畳される期間のみ、同角度信号についてのマスク処理が的確に実施されるようになる。そしてこの場合には、エンジンの始動性も大幅に向上されるようになる。
【0150】
なおこの場合も、角度信号S1の同点火信号生成手段への入力を無効にする所定の時間は固定であってもよく、必ずしも上記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量や冷却水温に応じて可変設定される必要はない。
【0151】
(第3実施例)
次に、この発明にかかる内燃機関の点火制御装置の第3の実施例について説明する。
【0152】
この第3の実施例の装置も、その装置全体としての構成は、先の図1に示される通りである。
したがって、同実施例の装置においても、基本的には、イグナイタ点火制御装置3を構成する論理回路部31及びCPU32は共に、角度信号S1にノイズが重畳される期間、同角度信号S1をマスクする機能を併せ有する回路として構成されている。
【0153】
なおここでも、先の第1の実施例の装置、或いは第2の実施例装置と共通する要素についての重複する説明は割愛する。
通常、電磁ノイズの大きさ、或いはその発生期間、更には前述したチャタリングの有無等は、上記バッテリ電圧Vsの変動量、特に先の図6(b)に例示したスイッチオンからクランキングが始まる直前までの微小な電圧変動vxに大きく依存する。
【0154】
そこでこの第3の実施例装置では、その始動時、上記バッテリ電圧Vsの微小な電圧変動vxを監視し、該変動vxの値に基づいて、主にチャタリングの有無を推定するようにしている。因みにこの電圧変動vxは、スイッチオンからクランキングが始まる直前までにスタータモータ10に流れる電流量に比例した値となっている。
【0155】
さて、この第3の実施例の装置において、前記(A)〜(E)の機能を有する論理回路部31に対し、CPU32は、その内蔵する若しくは外部の図示しないメモリから与えられる制御プログラムに基づき、図14に示される処理を実行する回路として構成されている。
【0156】
以下、この図14を併せ参照して、同第3の実施例の装置においてイグナイタ点火制御装置3を構成する点火信号生成手段の1つであるCPU32の動作並びに機能を説明する。
【0157】
このCPU32は、前記キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されることに基づいて(図14ステップ300)、或いは同装置の電源がオンとされることに基づいて、以下に列記する処理を順次実行する。
(1)まず、CPU32自身のポートP2からの角度信号(波形整形信号S2)の入力を禁止する(ステップ301)。そして、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作された後に、バッテリ電圧Vsの上記電圧変動vxが所定値以上に達したか否かを検出する(ステップ302)。ここでは、該電圧変動vxが所定値以上に達した旨検出されるまで同処理が繰り返され、該電圧変動vxが所定値以上に達した旨が検出されると次のステップに進む。
(2)次に、上記所定値以上に変動した電圧変動vxの値、すなわち変動量を検出する(ステップ303)。
【0158】
ここで、前述したチャタリングの有無等がこの電圧変動量vxに依存するようになることは上述した通りであるが、その具体的な依存態様は、例えば図15に示されるようなものとなっている。
【0159】
すなわち図15において、図15(a)及び(b)は、チャタリングが発生しなかったときのバッテリ電圧Vs(電圧変動量vx)の推移、及び上記角度信号S1の推移をそれぞれ示し、図15(c)及び(d)は、チャタリングが発生したときの同バッテリ電圧Vs(電圧変動量vx)の推移、及び同角度信号S1の推移をそれぞれ示す。
【0160】
これら図15(a)及び(c)からも明らかなように、チャタリングが発生するときとしないときとでは、上記電圧変動量vxに違いが来たし、該変動量vxがある値(変動範囲)β以内であればチャタリングは発生せず、同変動量vxがこの値βを超えるときのみ、チャタリングが発生する。このことは、発明者らによる実験によっても確認されている。
(3)そこで次に、この検出した電圧変動量vxに対し、上記値βを判定値としてあてはめて、角度信号S1に重畳されているノイズの重畳期間(ノイズ期間)を推定する(ステップ304)。そして、該推定の結果、
vx ≦ β
である旨判断される場合には、上記チャタリングは発生しないものと推定して、該CPU32としてのマスク時間を時間TBに設定する(ステップ305a)。他方、同推定の結果、
vx > β
である旨判断される場合には、チャタリングが発生するものと推定して、同CPU32としてのマスク時間を時間TNに設定する(ステップ305b)。これら時間TB及びTNは、それぞれチャタリングの不発生時/発生時に対応してそのときのノイズをマスクする上で最適な時間として、CPU32内部若しくは外部の適宜のメモリに予め登録された値であり、
TB < TN
といった関係にある。
(4)こうして設定されるマスク時間TB或いはTNに基づきマスク処理を開始する(ステップ306)。この際、同CPU32内部のマスク時間計時用タイマの時刻情報tがリセットされ(t=0)、作動を開始する。
(5)上記マスク時間計時用タイマの時刻情報tに基づき、マスク時間TB或いはTNの経過の有無を判断する(ステップ307)。
(6)その後、上記マスク時間TB或いはTNに達した旨が判断される場合には、ポートP3から論理回路部31に対して前記マスク終了指令S3を出力する(ステップ308)。このマスク終了指令S3を出力することによって、ポートP2に対する角度信号(波形整形信号S2)の入力禁止が解除され(ステップ309)、論理回路部31からポートP2に対し、角度信号S1の波形整形信号S2が入力されるようになる。
(7)ここでCPU32は、先の第1の実施例の装置の場合と同様、前記キースイッチ2がオンになっていることを条件に(ステップ310)、この波形整形信号S2を入力し(ステップ311)、その変化タイミングに基づき点火時期を算出して(ステップ312)、点火信号S41を生成する。この生成された点火信号S41は、ポートP4を通じて前記出力制御回路33に対し出力される(ステップ313)。なおその間、前記キースイッチ2がオフ操作された場合には処理を終了する(ステップ310)。
【0161】
図16は、こうした第3の実施例の装置の動作例を示したものである。
次に、同図16を併せ参照して、この第3の実施例の装置全体としての動作を更に詳述する。
【0162】
図16(a)に示されるように、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されることによりスタータリレー9のリレーコイル9aが励磁され、リレー接点9bが閉成されること、及び、こうしてリレー接点9bが閉成されることにより、バッテリ1の電圧Vsがスタータモータ10に与えられ、エンジンが始動されるようになることはこの実施例の装置においても同様である。
【0163】
ただし、この第3の実施例の装置では上述したように、その始動時、スタータモータ10への電流流入に起因して図16(b)に示される態様で変動するバッテリ電圧Vsの微小な電圧変動量vxを監視し、該変動量vxの値に基づいてチャタリングの有無を推定する。図16(c)では便宜上、チャタリングが発生していない場合について、前記角度信号S1の信号波形を例示しているが、この電圧変動量vxに基づいてチャタリングの発生の有無が推定できるようになることは、図15を参照して上述した通りである。また、図16(c)においても、Nは、同角度信号S1に重畳されるノイズ成分を示している。
【0164】
こうして角度信号S1にノイズNが重畳される場合には、波形整形回路3101による波形整形信号にも、図16(d)に示されるような誤検出パルスDPが現れる。そして通常、この誤検出パルスDPが、誤った点火信号の生成を促し、ひいてはエンジンに対し誤った点火動作を行わしめることとなる。
【0165】
そこでこの第3の実施例の装置でも、上述した論理回路部31及びCPU32の何れかによるマスク処理を通じて、同誤検出パルスDPに基づく点火信号の生成を禁止する。
【0166】
すなわち、論理回路部31では、前記(B)の機能として示したように、図16(d)に示される角度信号S1の波形整形信号に対し、例えば図16(e)に示される態様で、そのマスク時間(Th+α)が設定されるようになる。時間αが、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されてから上記波形整形信号に最初のエッジが現れるまでの時間であることはこの実施例の装置においても同様である。
【0167】
他方、CPU32では、図16(b)に示される上記バッテリ電圧Vsの変動量vxに基づいて、同波形整形信号に対し、例えば図16(g)に示される態様で、そのマスク時間TB、或いはTNが設定されるようになる。マスク時間TBが、チャタリングが発生していないときに、上記誤検出パルスDPを確実にマスクし得る時間として設定され、マスク時間TNが、チャタリングが発生しているとき、その連続して発生する誤検出パルス(図9のDP1〜DP3参照)を確実にマスクし得る時間として設定されることは上述した。また、後者のマスク時間TNにしろ、その時間は、上記論理回路部31の側で設定されるマスク時間Thに対して、
TN < Th
といった関係にある。
【0168】
このため、CPU32においてチャタリングが発生しない旨推定され、そのマスク時間として時間TBが設定された場合には、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されて後、該マスク時間TBに達した時点で、同CPU32から図16(h)に示されるマスク解除指令S3が出力されるようになる。
【0169】
他方、CPU32においてチャタリングが発生する旨が推定され、そのマスク時間として時間TNが設定された場合には、キースイッチ2及びスタータスイッチ8がオン操作されて後、該マスク時間TNに達した時点で、図16(h)に破線にて示される態様で、マスク解除指令S3が同CPU32から出力されるようになる。
【0170】
そして、こうしてCPU32からマスク解除指令S3が出力されることにより、論理回路部31では、角度信号S1の波形整形信号に対するマスクを解除するとともに、前記(E)の機能として示したように、同波形整形信号を信号S2としてCPU32に供給する。
【0171】
図16(i)は、このCPU32に与えられる信号S2の態様を示したものであり、CPU32では、こうして入力される信号S2に基づき点火時期を算出し、同信号S2に対応するかたちで、ポートP4から点火信号S41を出力する。該点火信号S41が出力制御回路33を介してドライブ用トランジスタ34に与えられ、同図16(i)に付記する矢印のタイミングで点火プラグ5を駆動する(点火する)ようになることは前述した通りである。
【0172】
また、もし何らかの原因で、CPU32から上記マスク解除指令S3が発せられる前に、論理回路部31で設定されたマスク時間Thに達した場合には、前記(C)の機能により、同論理回路部31自身から、図16(f)に示される態様で点火信号S42が生成出力されるようになる。この点火信号S42も、上記点火信号S41と同様、出力制御回路33を介してドライブ用トランジスタ34に与えられ、同図16(f)に付記する矢印のタイミングで点火プラグ5を駆動する。
【0173】
このように、この第3の実施例にかかる点火制御装置では、点火信号生成手段の1つであるCPU32側の処理として、チャタリングが発生しないときのマスク時間TBとチャタリングが発生するときのマスク時間TNとの各異なる2種類のマスク時間を予め用意し、バッテリ電圧Vsの微小な電圧変動量vxに応じてこれらマスク時間を選択的に設定するようにしている。
【0174】
したがって、同第3の実施例の装置によれば、スタータ部がチャタリングを起こそうが起こすまいが、マスク時間としては、それら状況に見合った常に適切な時間が設定されることとなる。このため、如何なる場合も、誤検出パルスをマスクすることによる正確な点火動作を確保した上で、無駄なクランキング等の大幅な抑制を図ることができ、好適な始動性を得ることができるようになる。
【0175】
なお、上記チャタリングが発生しないときのマスク時間TBとしては、前述した20〜50ms程度の時間を設定することができる。
また、同第3の実施例の装置にあっても、上記入力が開始される波形整形信号S2(図14ステップ311)に対して前述した第2の実施例の装置よる処理、すなわち少なくともその最初の1エッジを無効にする処理を適用することができる。そしてその場合には、上記マスク時間TBを更に短い時間(例えば20ms程度)に設定することができるようにもなる。
【0176】
また、同第3の実施例の装置では、バッテリ電圧Vsの微小な電圧変動量vxに応じてチャタリングの有無を推定するようにしたが、他に、スタータ電圧Vmなどにおいても上記変動量vxに対応した微小な電圧変動は生じる。したがって、該スタータ電圧Vmの微小な電圧変動量に基づいてチャタリングの有無を推定する構成とすることもできる。実験によれば、このスタータ電圧Vmの方が、チャタリングの有無に相関する微小な電圧変動として、より顕著な挙動を示すことが確認されている。
【0177】
また、先の第1或いは第2の実施例の装置について前述した
・もしも何らかの原因により、点火信号S41及びS42が同時に出力されることがあったとしても、出力制御回路33を通じてそれら信号の競合が回避されるようになること。
・角度信号S1若しくはその波形整形信号が前記時間Tsを超えて途絶える場合であっても、論理回路部31の前記(D)として示した機能を通じて、次に入力された角度信号S1若しくは波形整形信号の最初の変化から再び、前記時間Thに亘るマスク処理が開始されるようになること。
・論理回路部31において設定される2つの時間Th及びTsは、各別のクロックに基づき、各別の態様で設定されてもよいこと。
・また、同論理回路部31は、前記(A)〜(E)として示した機能が満足されるものであれば、他の如何なる構成であってもよいこと。
・バッテリの新旧(或いは疲労度合いの大小)を問わず、また、いわゆるイグニション・オン時における電圧がどのような値であれ、同マスク処理の開始タイミングを常に安定して確保することができること。
・しかも、このバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量は、ほぼ一定の判定値(ただし、上記微小変動量vxについての判定値)に基づいて検出することができるため、これが搭載される自動車毎に同判定値を適合させる必要もないこと。等々は、この第3の実施例の装置においても同様である。
【0178】
また、この第3の実施例の装置にあっても、論理回路部31とCPU32との2種類の点火信号生成手段を用い、それら論理回路部31及びCPU32毎に、誤検出パルスに基づく点火信号の生成を禁止する手段を設けたが、少なくともCPU32側において、
・バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータを監視し、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、その変動量に応じて前記角度信号にノイズが重畳される期間(ノイズ期間)を推定する手段。
・これら推定されるノイズ期間にそれぞれ対応した各別のマスク時間が予め設定されたメモリ。
・前記ノイズ期間の推定態様に応じて該メモリに設定されているマスク時間を選択し、前記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動の検出タイミングからこの選択したマスク時間だけ、前記角度信号の同点火信号生成手段への入力を無効にする制御手段。を具えることで、上記パラメータのその都度の変動量に対応したより精度の高いマスク処理が実現されるとともに、より汎用性に富んだ装置として、同点火制御装置を構成することができるようになる。
【0179】
すなわち、チャタリングの有無に限らず、電磁ノイズの大きさ、或いはその発生期間等がバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量(特にvx等)に大きく依存するものであることは上述した通りであり、こうした構成によれば、それらノイズの発生態様に応じた最も効率のよい種々のマスク時間をパラメータのその都度の変動量に応じて選択設定することができるようになる。
【0180】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明では、バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータが所定量以上に変動したとき、その時点から所定の時間だけ、点火信号生成手段に対する角度信号の入力を無効にするようにしている。
【0181】
このため、チャタリングを起こそうが起こすまいが無駄なクランキング等は良好に抑制され、角度信号にノイズが重畳される期間のみ、同角度信号についてのマスク処理が的確に実施されるようになる。
【0182】
また、バッテリの新旧(或いは疲労度合いの大小)を問わず、また、いわゆるイグニション・オン時における電圧がどのような値であれ、同マスク処理の開始タイミングを常に安定して確保することができるようにもなる。
【0183】
しかもこの発明によれば、確実に誤動作することがわかっている始動時の所定期間のみ、上記角度信号がマスクされるものであることから、正規の角度信号までがマスクされてしまう懸念もない。
【0184】
またこの発明では、始動時、点火信号生成手段に対する角度信号の入力そのものを無効にするようにしている。したがって、点火信号生成手段がマイクロコンピュータ等、ソフトウェア的に点火信号を生成するものである場合、同マイクロコンピュータ等に不要な演算負担をかけることもなくなる。
【0185】
一方、この発明では更に、上記所定の時間のマスク終了後に点火信号生成手段に入力される角度信号の、少なくとも最初の1エッジを無効にするようにもしている。
【0186】
このため、エンジンが回り出すときの振動ノイズについてもこれを好適にマスクすることができるとともに、上記所定の時間として設定されるマスク時間を更に短縮することができるようにもなる。特にこの構成は、始動性の大幅な改善を図る上で有効である。
【0187】
また更に、この発明では、スタータスイッチがオン操作された直後の所定時間のバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの微小な変動量に応じたノイズ重畳期間を推定し、この推定される期間に応じた最適なマスク時間が選択的に設定されるようにしている。
【0188】
したがってこの発明によれば、上記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの微小な変動量に対応したより精度の高いマスク処理が実現されるとともに、より汎用性に富んだ装置として、同点火制御装置を構成することができるようになる。
【0189】
また、この発明では、上記点火信号生成手段及びマスク手段をそれぞれ第1の点火信号生成手段及び第1の時間マスク手段とするとき、上記角度信号に基づき当該エンジンの点火信号をハードウェア的に生成する第2の点火信号生成手段、及び上記所定の時間よりも長い時間、同角度信号のこの第2の点火信号生成手段への入力を無効にする第2の時間マスク手段を更に具え、これら第1及び第2の時間マスク手段によるマスク時間の何れか一方に到達した時点で、その時間に達した時間マスク手段に対応する点火信号生成手段への角度信号の入力無効を選択的に解除するようにしている。
【0190】
このため、もし何らかの原因で、第1の点火信号生成手段や第1の時間マスク手段の動作に異常が来たしたとしても、上記第2の点火信号生成手段及び第2の時間マスク手段を通じて、上述に準じた態様で、角度信号に対する的確なマスク処理、並びに適正な点火信号の生成が実施されるようになる。
【0191】
このように、この発明によれば、始動時に誤動作を招く懸念のある期間のみを的確にマスクして、無駄なクランキングの抑制はもとより如何なる場合も好適な始動性を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる内燃機関の点火制御装置についてその第1の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示される実施例の装置において、特にCPU側からマスク解除指令が発せられる場合の論理回路部の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】同じく図1に示される実施例の装置において、特に論理回路部の側でマスク解除が行われる場合の同論理回路部の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】同じく図1に示される実施例の装置において、角度信号が途絶えた場合の論理回路部の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】同第1の実施例の装置におけるCPUでの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】エンジンの始動操作に伴うバッテリ電圧の変動推移態様を示すグラフである。
【図7】同第1の実施例の装置におけるバッテリ電圧の変動量に基づくマスク時間の設定例を示すグラフである。
【図8】同第1の実施例の装置全体としての点火制御動作例を示すタイミングチャートである。
【図9】同じく第1の実施例の装置による点火制御動作例として、チャタリングが起こった場合の同実施例の装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】エンジンフリクションと冷却水温(温度)との関係を示すグラフである。
【図11】マスク時間の他の設定の仕方として、冷却水温に基づくマスク時間の設定例を示すグラフである。
【図12】この発明にかかる内燃機関の点火制御装置の第2の実施例の装置について、そのCPUでの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】同第2の実施例の装置全体としての点火制御動作例を示すタイミングチャートである。
【図14】この発明にかかる内燃機関の点火制御装置の第3の実施例の装置について、そのCPUでの処理手順を示すフローチャートである。
【図15】同第3の実施例の装置によるノイズ発生期間の推定態様を示すタイミングチャートである。
【図16】同第3の実施例の装置全体としての点火制御動作例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…バッテリ、2…キースイッチ、3…イグナイタ点火制御装置、4…点火コイル、5…点火プラグ、6…シグナルロータ、7…ピックアップ、8…スタータスイッチ、9…スタータリレー、10…スタータモータ、11…冷却水温センサ、31…論理回路部、32…CPU、33…出力制御回路、34…ドライブ用トランジスタ、35…パワートランジスタ、36…抵抗器、3101…波形整形回路、3102…第1エッジ検出回路、3103、3105、3108、3109、3110、3111、3115…アンド回路、3104、3112、3114…カウンタ、3106、3107…インバータ、3113…排他オア回路、3116…点火信号出力回路、3117、3118…優先判別回路。

Claims (11)

  1. 内燃機関のクランク軸に同期して回転するシグナルロータと、
    該シグナルロータに対設されて内燃機関の回転に同期した角度信号を出力するピックアップと、
    この出力される角度信号に基づき点火時期を算出して、同内燃機関の点火信号を生成する点火信号生成手段と、
    バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータを監視し、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、該検出タイミングから所定の時間だけ、前記角度信号の前記点火信号生成手段への入力を無効にするとともに、前記所定の時間が経過するまでに前記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されると、新たに、前記角度信号の前記点火信号生成手段への入力を無効にする時間を設定する時間マスク手段と、
    を具えることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  2. 前記時間マスク手段は、前記検出されるバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量に応じて前記所定の時間の長さを変更する請求項1記載の内燃機関の点火制御装置。
  3. 請求項1記載の内燃機関の点火制御装置において、
    内燃機関始動時の冷却水温を検出する冷却水温検出手段を更に具え、
    前記時間マスク手段は、該検出される冷却水温に応じて前記所定の時間の長さを変更することを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記時間マスク手段による所定の時間のマスク終了後に前記点火信号生成手段へ入力される角度信号の少なくとも最初の1エッジを無効にするエッジマスク手段、
    を更に具えることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  5. 内燃機関のクランク軸に同期して回転するシグナルロータと、
    該シグナルロータに対設されて内燃機関の回転に同期した角度信号を出力するピックアップと、
    この出力される角度信号に基づき点火時期を算出して、同内燃機関の点火信号を生成する点火信号生成手段と、
    スタータスイッチがオン操作された直後の所定期間のバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの微小変動を監視し、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、その変動量に応じて前記角度信号にノイズが重畳される期間を推定するノイズ期間推定手段と、
    これら推定されるノイズ期間にそれぞれ対応した各別のマスク時間が予め設定されたマスク時間メモリと、
    前記ノイズ期間推定手段による推定態様に応じて該マスク時間メモリに設定されているマスク時間を選択し、前記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動の検出タイミングからこの選択したマスク時間だけ、前記角度信号の前記点火信号生成手段への入力を無効にするマスク制御手段と、
    を具えることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  6. 前記ノイズ期間推定手段は、前記バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量に応じて前記角度信号へのチャタリングノイズの重畳の有無を推定するものであり、
    前記マスク時間メモリは、チャタリングノイズの重畳期間に対応した第1のマスク時間とチャタリングのない電磁ノイズの重畳期間に対応した第2のマスク時間とが少なくとも設定されたメモリであり、
    前記マスク制御手段は、前記ノイズ期間推定手段によって前記チャタリングノイズの重畳有りが推定されるとき前記第1のマスク時間を選択し、同ノイズ期間推定手段によって前記チャタリングノイズの重畳無しが推定されるとき前記第2のマスク時間を選択するものである請求項5記載の内燃機関の点火制御装置。
  7. 請求項5または6記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記マスク制御手段によって選択されたマスク時間に基づくマスク終了後に前記点火信号生成手段へ入力される角度信号の少なくとも最初の1エッジを無効にするエッジマスク手段、
    を更に具えることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  8. 内燃機関のクランク軸に同期して回転するシグナルロータと、
    該シグナルロータに対設されて内燃機関の回転に同期した角度信号を出力するピックアップと、
    この出力される角度信号に基づき点火時期を算出して、同内燃機関の点火信号をソフトウェア的に生成する第1の点火信号生成手段と、
    バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータを監視し、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、該検出タイミングから所定の第1の時間だけ前記角度信号の前記第1の点火信号生成手段への入力を無効にする第1の時間マスク手段と、
    前記ピックアップから出力される角度信号に基づき、同内燃機関の点火信号をハードウェア的に生成する第2の点火信号生成手段と、
    内燃機関の始動時、前記角度信号の最初の変化から前記第1の時間よりも長い第2の時間だけ前記角度信号の前記第2の点火信号生成手段への入力を無効にする第2の時間マスク手段と、
    前記第1の時間マスク手段による第1の時間、及び前記第2の時間マスク手段による第2の時間の何れか一方の時間に到達した時点で、その時間に達した時間マスク手段に対応する点火信号生成手段への角度信号の入力無効を選択的に解除するマスク解除手段と、
    を具えることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  9. 内燃機関のクランク軸に同期して回転するシグナルロータと、
    該シグナルロータに対設されて内燃機関の回転に同期した角度信号を出力するピックアップと、
    この出力される角度信号に基づき点火時期を算出して、同内燃機関の点火信号を生成する点火信号生成手段と、
    バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータを監視し、同バッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの所定量以上の変動が検出されるとき、該検出タイミングから所定の時間だけ、前記角度信号の前記点火信号生成手段への入力を無効にする時間マスク手段と、
    前記時間マスク手段による所定の時間のマスク終了後に前記点火信号生成手段へ入力される角度信号の少なくとも最初の1エッジを無効にするエッジマスク手段、
    を具えることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  10. 前記時間マスク手段は、前記検出されるバッテリ電圧若しくはこれに対応するパラメータの変動量に応じて前記所定の時間の長さを変更する請求項9記載の内燃機関の点火制御装置。
  11. 請求項9記載の内燃機関の点火制御装置において、
    内燃機関始動時の冷却水温を検出する冷却水温検出手段を更に具え、
    前記時間マスク手段は、該検出される冷却水温に応じて前記所定の時間の長さを変更することを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
JP12786894A 1994-01-26 1994-06-09 内燃機関の点火制御装置 Expired - Fee Related JP3794720B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12786894A JP3794720B2 (ja) 1994-01-26 1994-06-09 内燃機関の点火制御装置
US08/378,286 US5494016A (en) 1994-01-26 1995-01-26 Ignition timing control apparatus for an internal combustion engine

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-7023 1994-01-26
JP702394 1994-01-26
JP12786894A JP3794720B2 (ja) 1994-01-26 1994-06-09 内燃機関の点火制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07253074A JPH07253074A (ja) 1995-10-03
JP3794720B2 true JP3794720B2 (ja) 2006-07-12

Family

ID=26341256

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12786894A Expired - Fee Related JP3794720B2 (ja) 1994-01-26 1994-06-09 内燃機関の点火制御装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US5494016A (ja)
JP (1) JP3794720B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3027958B2 (ja) * 1997-05-26 2000-04-04 日本電気株式会社 回路装置及びプログラムを記録した記録媒体
JP4196820B2 (ja) * 2003-12-18 2008-12-17 株式会社デンソー 点火装置

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4226219A (en) * 1978-10-30 1980-10-07 Rca Corporation Engine timing circuit with noise immunity
JPS6326775A (ja) * 1986-07-21 1988-02-04 Mitsubishi Electric Corp 信号処理装置
JPS6380076A (ja) * 1986-09-22 1988-04-11 Hitachi Ltd 無接点点火装置
JPS63277863A (ja) * 1987-05-09 1988-11-15 Mitsubishi Electric Corp 点火時期制御装置
JPH01262369A (ja) * 1988-04-13 1989-10-19 Mitsubishi Electric Corp 内燃機関点火装置
JPH0233472A (ja) * 1988-07-21 1990-02-02 Fuji Heavy Ind Ltd エンジンの点火時期制御装置
JPH0291433A (ja) * 1988-09-27 1990-03-30 Fuji Heavy Ind Ltd エンジンのクランク角タイミング検出装置
US5123390A (en) * 1990-12-19 1992-06-23 Mitsubishi Denki K.K. Ignition timing control apparatus for an internal combustion engine
JP2902498B2 (ja) * 1991-04-24 1999-06-07 三菱電機株式会社 内燃機関用点火装置
JPH05141303A (ja) * 1991-11-20 1993-06-08 Hitachi Ltd 内燃機関の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07253074A (ja) 1995-10-03
US5494016A (en) 1996-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4654964B2 (ja) グロープラグ通電制御装置
EP0717172B1 (en) Electromagnetically driven valve control system for internal combustion engines
JP4960476B2 (ja) 車載エンジン制御装置
JP2591078B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP2002195092A (ja) 内燃機関用制御装置
JP3794720B2 (ja) 内燃機関の点火制御装置
US20060086333A1 (en) Engine control method and system having a voltage increasing circuit
JP4595637B2 (ja) 車両用制御装置および車両用制御装置に用いるプログラム
US6960897B2 (en) Apparatus and method for protecting starter for engine against overheating
JP2002106447A (ja) スタータ保護装置
JP3264850B2 (ja) 内燃機関制御装置
JP2002004932A (ja) エンジンシステムの異常診断装置
JP2002332909A (ja) 車両駆動装置の制御装置
JP3536906B2 (ja) 内燃機関制御方法及び装置
JP6504779B2 (ja) イグナイタおよび車両、イグニッションコイルの制御方法
JPH11190247A (ja) エンジン燃料供給診断装置および方法
JP2000184764A (ja) モータ制御装置
JP2515575Y2 (ja) 内燃機関制御装置のタイミングパルス発生装置
JPH0734993A (ja) 内燃機関の燃料ポンプ制御装置
JP2003214905A (ja) 回転検出装置
JP4379108B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JPH05321811A (ja) ディーゼルエンジンのグロープラグ通電制御装置
JPS5945835B2 (ja) 内燃機関点火装置
EP2982858A1 (en) Ignition control device and ignition control method
JP2785509B2 (ja) 内燃機関用点火装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090421

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100421

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100421

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110421

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120421

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees