JP3792288B2 - 高分子材料、液状高分子組成物及び医療器具用高分子膜 - Google Patents

高分子材料、液状高分子組成物及び医療器具用高分子膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療器具材料、化粧品用素材、塗料素材等に利用できる重合体混合材料である高分子材料及びその原材料としての液状高分子組成物、並びに優れた生体適合性と力学的強度とを兼ね備えた重合体混合物である医療器具用高分子膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホスホリルコリン基を有する重合体は、細胞膜を構成するリン脂質に類似した構造を有していることから生体適合性に優れ、血液凝固因子等の補体の非活性化、タンパク質や細胞等の生体物質非吸着性、抗血栓性、保湿性、脂質2分子膜安定化等を有する医学用高分子材料として優れた性質を示すことが知られている(Kazuhiko Ishihara, et.al., Journal of Biomedical Materials Research, 24(1990)1069〜1077, Kazuhiko Ishihara, et.al., Journal of Biomedical Materials Research, 25(1991)1397〜1407)。
【0003】
そこで、これらの特徴を生かした生体関連材料の開発が最近活発に行われている。具体的には例えば、特開平3−39309号公報に、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸エステルとの共重合体が、優れた生体適合性材料であることが記載されている。WO93−01221号公報には、ホスホリルコリン基を有する重合体をコーティング材として利用した場合、生体適合性表面を有する材料として生体関連の各種用途に利用できることが記載されている。WO93−16117号公報には、水溶性セルロースに2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンをグラフト重合した水溶性セルロース誘導体が、生体適合性とセルロースに対する親和性との双方を有しているので、血液浄化等の生体適合性材料に利用できること等が開示されている。特開昭59−43342号公報には、ホスホリルコリン基を有する重合体からなる感湿材と水溶性重合体としての薄膜化材料との高分子組成物が、湿度センサー材料として有用であることが開示されている。特表平7−504459号公報には、ホスホリルコリン基を有する重合体と、望ましい機械的及び/又は物理的特性を有する重合体との高分子組成物が、生体医学用材料として優れていることが開示されている。また、ホスホリルコリン基を有する種々の単量体、単独重合体、共重合体およびこれらの製造法については、例えば、特開昭54−63025号公報、特開昭58−154591号公報、特開昭63−222183号公報、特開平5−107511号公報、特開平6−41157号公報およびWO93−01221号公報に記載されているように従来知られている。
【0004】
前記ホスホリルコリン基を有する重合体又は共重合体は、顕著な生体適合性を示すものの、医学用材料としてみた場合、必ずしも力学強度、耐久性等の機械的性質が十分であるとは言えない。そこで前述のとおりホスホリルコリン基を有する単量体に、如何なる共重合性単量体を共重合させるかについての検討が種々なされている。また、力学的強度及び耐久性を有する疎水性重合体を混合して改善する試みもなされている。しかし、ホスホリルコリン基という従来にない顕著な水溶性を示す官能基を有する重合体の場合は、従来一般に行なわれている疎水性重合体同士の混合とは異なって、十分良好な結果に至っていないのが実状である。
【0005】
一方、セグメント化ポリウレタンが力学的性質に優れていること、並びに他の材料に比べると血液適合性が良好なこと(特開昭57−139352号公報、ヨーロッパ特許第68385号明細書、米国特許第4379904号明細書、WO83−00695号公報)が知られている。そしてこのようなセグメント化ポリウレタンは、医学材料として血液回路、人工心臓、各種カテーテル、医学用センサー等に幅広く用いられている(阿岸鉄三編集、「人工臓器」1994-95、中山書店発刊)。しかし、これらを長期間生体内で使用すると炎症反応や細胞粘着に基づく材料の劣化や石灰化が生じるため必ずしも理想的な抗血栓性を示すとは限らず、まだ満足できる状態とは言えない。
【0006】
また、性質の異なる2種類以上の高分子化合物を混合して材料を改質する試みは、「ポリマー・ブレンド」と呼ばれ、一般に良く行なわれている。親水性の高い高分子化合物と疎水性の高い高分子化合物との混合、あるいは結晶性に優れた高分子化合物と非結晶性に優れた高分子化合物との混合のように対照的な性質を有する2種類の高分子化合物を混合して製膜すると、分子運動により同じ性質を有する高分子化合物同士が集合して相分離が起こる。この相分離を利用した材料の改質も、ポリマー・ブレンドの一般的な手法であり、相溶させ得る高分子混合系の相分離機構を巧みに利用した多相構造材料の開発も行なわれるようになっている。しかし、親水性、疎水性が極端に異なる高分子化合物を混合した場合には、相分離による凝集塊の生成や白化現象が生じ、数μmオーダーの細胞の粘着を阻止するための生体適合性材料の用途には適さない。
【0007】
例えば、前述の特表平7−504459号公報に記載された高分子組成物の製造法においては、2−(メタクリロイル)オキシ−2’−(トリメチルアンモニウム)エチルホスフェートとn−ドデシルメタクリレートとの1:2共重合体と、セグメント化ポリウレタンとが、ジクロロメタンの単一溶剤や、酢酸エチルとプロパン−2−オールとの混合溶剤で溶解が行なわれている。しかし、このような高分子化合物の組合わせにおいて前記溶媒を用いた場合には、一部が溶解するか、膨潤するのみであって、均一な溶液を得ることができない。従って、このような不均一溶液から溶剤を蒸発除去して得られる膜は、凝集塊の生成や白化が生じるために、生体適合性材料として利用することができない。親水性、疎水性が極端に異なる高分子化合物の混合において、マクロ的に白濁の無い混合系を得ることは、両者が共有結合で結合したブロック共重合体では知られているが、単なる2種類の高分子化合物を混合した系では知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた生体適合性と優れた力学的性質、耐久性等の機械的性質とを兼ね備えた高分子材料および医療器具用高分子膜を提供することにある。
本発明の別の目的は、優れた生体適合性と優れた力学的性質、耐久性等の機械的性質とを兼ね備えた高分子材料および医療器具用高分子膜の原材料としての長期的に安定な均一溶液である液状高分子組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前述の目的を達成するために、疎水性単量体、混合する疎水性重合体、溶剤及び混合方法等について種々検討を重ねた結果、極性の著しく高いホスホリルコリン基含有共重合体であっても、疎水性単量体と共重合して得られた共重合体の場合には、疎水性重合体との混合物を特定の溶剤で溶解することによって長期的に安定な均一溶液が得られ、この溶剤を蒸発させた際に得られる高分子材料の構造が、ホスホリルコリン基含有共重合体からなる数百μm以下のドメインが疎水性重合体からなる相に均一に分布した相分離を示していることを見い出して本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明によれば、下記一般式(1)
【0011】
【化7】
Figure 0003792288
【0012】
(式中R1、R2及びR3は、同一または異なる基であって、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される側鎖を有する炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと、直鎖アルキル(メタ)アクリレート、炭素数5〜15の分岐アルキル(メタ)アクリレート、脂環式アルキル(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有するアルキル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群より選択される疎水性単量体とを含む単量体組成物を共重合した共重合体Aと、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群より選択されるセグメント化ポリウレタンを含む疎水性重合体Bと、ハロゲン化炭化水素溶剤及び低級アルコール溶剤からなる混合溶剤とを含み、且つ濁度60%以下の液状高分子組成物を固化した混合材料であって、前記混合材料の構造が、共重合体Aからなる数百μm以下のドメインが疎水性重合体Bからなる相に均一に分布した相分離を示していることを特徴とする高分子材料が提供される。
また、本発明によれば、高分子材料の原材料としての液状高分子組成物であって、前記一般式(1)で表される側鎖を有する炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと、直鎖アルキル(メタ)アクリレート、炭素数5〜15の分岐アルキル(メタ)アクリレート、脂環式アルキル(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有するアルキル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群より選択される疎水性単量体とを含む単量体組成物を共重合した共重合体Aと、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群より選択されるセグメント化ポリウレタンを含む疎水性重合体Bと、ハロゲン化炭化水素溶剤及び低級アルコール溶剤からなる混合溶剤とを含み、且つ濁度60%以下を示す液状高分子組成物が提供される。
更に本発明によれば、医療器具の表面に形成するための高分子膜であって、前記高分子材料からなることを特徴とする医療器具用高分子膜が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の高分子材料及び高分子膜は、組成として特定の側鎖を有する炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと、特定の疎水性単量体とを含む単量体組成物を共重合した特定の共重合体Aと、特定のセグメント化ポリウレタンを含む疎水性重合体Bと、特定の混合溶剤とを含み、且つ濁度60%以下である液状高分子組成物を固化状態とした混合材料であって、前記混合材料の構造が、共重合体Aからなる数百μm以下、好ましくは100μm以下、特に好ましくは0.01〜50μmのドメインが疎水性重合体Bからなる相に均一に分布した相分離を示しているものである。ここで、均一に分布した相分離とは、共重合体Aと疎水性重合体Bとが相分離を示しており、この混合材料が、疎水性重合体Bが有する機械的強度等の物性と、共重合体Aが有する生体適合性等の性質とを有効に、且つ同時に発揮し得る程度に、疎水性重合体Bの相に、特定大きさの共重合体Aのドメインが点在していることをいう。
【0014】
一方、このような高分子材料の原材料となりうる本発明の液状高分子組成物は、従来、親水性がきわめて高いために、水や低級アルコール等のきわめて水溶性の高い溶剤に限られ使用されているホスホリルコリン基を有する重合体を、疎水性重合体との混合液とする際に、前記共重合体Aと前記疎水性重合体Bとの組合せを特定なものとし、且つ特定な溶剤を選択したことによって、本発明の高分子材料や高分子膜を製造しうる均一な液体状態とすることができたものである。ここで、均一な液体状態とは、濁度(完全に光を遮蔽した状態を100、溶剤のみをセルに入れた際(溶剤を用いずに溶融状態の場合には空のセル)を0となるようにして求めた%)が、60%以下、好ましくは50%以下を示す均一度を有する程度に共重合体Aと疎水性重合体Bとが相溶性を示していることをいう。従って、このような液状高分子組成物は、そのまま液体状態にしておいても分離することが無く、長期保存が可能である。
【0015】
要するに、本発明においては、ホスホリンコリン基が示す顕著な水溶性のために、このような基を有する(共)重合体と他の重合体とを均一な液体状態とすることは困難であると考えられていたものを解決したものであって、且つこのような均一な液体状態の原材料から溶剤を除去したり、乾燥させて固体状態とした混合材料が、前述の特定構造を有している新規なものであって、機械的強度及び生体適合性等を兼ね備えていることを見い出したものである。本発明の液状高分子組成物を乾燥等して溶剤を蒸発させることによって、前述の特定な構造を形成するのは、疎水性重合体Bにおける疎水性の環境下において、きわめて水溶性の高いホスホリルコリン基を有する共重合体Aが、均一に溶解した状態を維持することが困難となり、固化する過程において徐々に集合し、W/O型の乳化の如く相分離をして系内を安定化するためと考えられる。
【0016】
前記共重合体Aを調製するための単量体組成物において必須成分としての特定の側鎖を有する単量体は、前記一般式(1)で表される側鎖を有する炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートである。この単量体は、分子中に重合性の二重結合と前記一般式(1)で表される側鎖とを有する単量体であり、例えば、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタクリロイルオキシ)ブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタクリロイルオキシ)プロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタクリロイルオキシ)ブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、等を挙げることができる。
【0017】
共重合体A中において、前記一般式(1)で表される側鎖を有する単量体の構成単位の含有割合は、得られる材料に生体適合性を十分に付与するために、少なくとも1モル%以上、好ましくは10モル%以上、特に好ましくは10〜70モル%が望ましい。
【0018】
前記共重合体Aを調製するための単量体組成物の必須成分としての疎水性単量体は、高分子材料の原材料を調製する際に、後述する疎水性重合体Bとの相溶性を高める作用等を示すものである。この疎水性単量体とは、水に対する溶解性が低く、前記一般式(1)の側鎖を有する単量体と共重合可能な単量体である。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート類、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数5〜15の分岐アルキル(メタ)アクリレート類;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルブチルウレタン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルウレタン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルウレタン等のウレタン結合を有するアルキル(メタ)アクリレート類及びこれらの混合物からなる群より選択される疎水性単量体を挙げることができる。
【0019】
共重合体A中において、前記疎水性単量体の構成単位の含有割合は、30〜90モル%が好ましい。
【0020】
一般式(1)で表される側鎖を有する単量体と疎水性単量体との組合わせは、共重合体Aと後述する疎水性重合体Bとが前述の均一な液体状態となるように、共重合体A中において、それぞれの単量体の構成単位がランダムに均一に分布する組合わせが好ましい。例えば、重合性が高く制御が容易な(メタ)アクリレート同士の組合わせが最適である。
【0021】
前記共重合体Aを調製するための単量体組成物には、前記必須成分以外に、一般式(1)で表される側鎖を有する単量体と重合可能な他の単量体をコモノマーとして用いることもできる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン等の水溶性の単量体を挙げることができる。このような他の単量体の構成単位の共重合体A中における含有割合は、10モル%以下が好ましい。
【0022】
共重合体Aの製造は、前記単量体組成物を、重合開始剤を用いる溶液重合、懸濁重合、乳化重合又は塊状重合の通常用いる重合方法等によって行うことができる。共重合体Aの分子量は、数平均分子量で3000〜700000の範囲が好ましく、高分子化合物としての特性および溶剤への溶解性を考慮すると5000〜400000の範囲が更に好ましい。
【0023】
得られる共重合体Aの具体例としては、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートとシクロヘキシルメタクリレートとの共重合体、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートと2−エチルヘキシルメタクリレートとの共重合体、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートとn−ブチルメタクリレートとの共重合体、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートとn−ドデシルメタクリレートとの共重合体、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートとスチレンとの共重合体、2−(ブテロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートとプロピレンとの共重合体、2−(クロトノイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートとジエチルフマレートとの共重合体、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートとブチルメタクリレートと2−メタクリロイルオキシエチルフェニルウレタンとの共重合体、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートと2−エチルヘキシルメタクリレートと2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシランとの共重合体等を挙げることができる。
【0024】
本発明の医療器具用高分子膜に用いる共重合体Aは、前記一般式(1)で表される側鎖を有する炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと、炭素数5〜15の分岐アルキル(メタ)アクリレート、脂環式アルキル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群より選択される疎水性単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体、若しくは前記一般式(1)で表される側鎖を有する炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと、疎水性単量体であるウレタン結合を有するアルキル(メタ)アクリレートとを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体である。これらの例示としては、前述の高分子材料における共重合体Aの具体例のうちの相当する化合物を好ましく挙げることができる。
【0025】
本発明の高分子材料やその原材料等に用いる疎水性重合体Bとは、水に対する溶解性がきわめて低く、得られる高分子材料に、力学的強度、耐久性等の機械的性質を付与できるものである。そして、前記共重合体Aとの組合わせによって液状高分子組成物とした場合に前述の均一な液体状態となり、材料として固体状態とすることによって、前述の特定構造を形成することができるものである。具体的には、セグメント化ポリウレタンである。高分子化合物としての特性および溶剤への溶解性を考慮すると、疎水性重合体Bの分子量は、数平均分子量で3000〜700000の範囲が好ましいがこれに限定されるものではない。
【0026】
特に、疎水性重合体Bとして、セグメント化ポリウレタンを採用することにより、血液回路、人工心臓、各種カテーテル、医療用センサー、細胞培養器等医療器具用としての優れた生体適合性と、実用的な物性とを良好に兼ね備えた材料とすることができる。
【0027】
セグメント化ポリウレタンとは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群より選択されるセグメント化ポリウレタンである。また例えば、商品名「Biomer」(Ethicon社製)、商品名「TMシリーズ」(東洋紡社製)、商品名「Pellethane」(Upjohn Chem.社製)、商品名「Angioflex」(Abiomed社製)、商品名「Cardiothane」(Kontron社製)は、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールとの重付加反応物であり、これら商品においては種々の鎖延長剤が使用されている。また商品名「Tecoflex」(Thermo Elec.社製)は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとポリオキシメチレングリコールとの重付加反応物であり、これら市販品を用いることできる。
【0028】
本発明に用いる疎水性重合体Bは、共重合体Aが前記一般式(1)で表される側鎖を有する炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと、直鎖アルキル(メタ)アクリレート、炭素数5〜15の分岐アルキル(メタ)アクリレート、脂環式アルキル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群より選択される疎水性単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体である場合、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びポリエーテルジオールの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタンを用いる。一方、共重合体Aが前記一般式(1)で表される側鎖を有する炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと、疎水性単量体であるウレタン結合を有するアルキル(メタ)アクリレートとを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体である場合には、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られるセグメント化ポリウレタンを用いる。これらの例示としては、前述の疎水性重合体Bの具体例のうちの相当する化合物を好ましく挙げることができる。
【0029】
本発明において、共重合体Aと疎水性重合体Bとの配合割合は、共重合体A及び疎水性重合体Bの合計量に対して共重合体A0.5〜95重量%、疎水性重合体B99.5〜5重量%の範囲が好ましく、特に共重合体A1〜30重量%、疎水性重合体B99〜70重量%の範囲が好ましい。共重合体Aが0.5重量%未満では、一般式(1)で表される側鎖に由来する生体適合性が発現し難い傾向にあり、95重量%を超えると疎水性重合体Bに由来する力学的強度、耐久性等が発現し難い傾向があるので好ましくない。
【0030】
本発明の高分子材料を調製するには、共重合体Aと疎水性重合体Bと特定の混合溶剤とを含む混合物を、前述の均一な液体状態とし、その後、冷却固化又は溶剤の蒸発除去により所望形状等の固体状態とする方法等により得ることができる。共重合体Aが疎水性重合体Bと相溶するように、共重合体Aを構成する疎水性単量体を適切に選択することによって、冷却固化の過程において、きわめて極性の高いホスホリルコリン基を有する共重合体Aが、疎水性の環境下において強く相互作用して集合し、前述の特定な相分離を示している材料とすることができる。使用する混合溶剤は、各重合体との相溶性を有することはもちろんであるが、コーティングや製膜し易いように蒸発により容易に除去できる低分子化合物が望ましく、ジククロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶剤と、メタノール、エタノール、n−プロパノール、プロパン−2−オール等の低級アルコールとの混合溶剤である。相溶性の良い溶剤の選択には、高分子材料を構成する重合体の溶解性パラメータと溶剤の溶解性パラメーターが近似するような最適な組合せを探索することにより行なうことができる。
【0031】
本発明の特定な高分子材料、即ち、前記一般式(1)で表される側鎖を有する単量体及び疎水性単量体の共重合体Aと、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群より選択されるセグメント化ポリウレタンを含む混合材料である高分子材料、若しくは本発明の液状高分子組成物の場合の溶剤は、ハロゲン化炭化水素溶剤及び低級アルコール溶剤からなる混合溶剤である。このような混合溶剤は、SP値(溶剤の溶解性パラメータ(10-31/2-3/2)の値)が20〜24のものが好ましい。例えば、クロロホルム/メタノール、クロロホルム/エタノール、ジクロロメタン/メタノール、又はジクロロメタン/エタノールが、それぞれ体積比で8/2〜6/4の範囲にある混合溶剤が適切であるがこれに限定されるものではない。このような最適な溶剤の選択を、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニウム)エチルホスフェート(以下MPCと略記)の重合体と、セグメント化ポリウレタン(商品名「Tecoflex」、Thermo Elec.社製)との最適溶媒を選択する例によって以下に説明する。
【0032】
まず、表1に示すそれぞれの重合体1mgを、各種溶剤1mlに溶解した際の溶解性を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003792288
【0034】
表1より、MPC単独重合体は、極性がきわめて高いため、水やアルコールにしか溶解しないが、疎水性単量体とMPCとの共重合体であるPMCやPMEは、ジクロロメタンやテトラヒドロフランに超音波を照射することによって溶解若しくは膨潤するようになる。一方、セグメント化ポリウレタンは、もちろん水やアルコールには不溶であるが、ジクロロメタンやテトラヒドロフランに溶解する。更に、ジクロロメタンとエタノールとの混合溶剤によって、それぞれの重合体の溶解性を測定した結果、MPCの単独重合体以外は容易に溶解した。従って、MPC重合体として、PMCやPMEを選択し、溶剤としてジクロロメタンとエタノールとの混合溶剤を用いることにより、これらの混合物を前述の均一な液体状態とすることが可能であることが判る。
【0035】
均一な液体状態とする際に、超音波照射を行なうことによって、均一度を更に高めることができ、材料(固体状態)とした際に形成される共重合体Aからなるドメインの大きさをより小さくし、ドメインの分布をより均一化することができる。超音波の照射には、プローブタイプの超音波発生器又は市販の超音波洗浄器を用いることができる。照射時間は、5分間以上が望ましい。
【0036】
本発明の液状高分子組成物において、前記溶剤の使用量は、共重合体A及び疎水性重合体Bが溶解して前述の均一な液体状態とすることができれば特に限定されず、適宜選択することができる。
【0037】
本発明の高分子材料及び医療器具用高分子膜は、本発明の液状高分子組成物等の均一な液体状態物を、所望の材料にあわせて成形若しくは材料表面に製膜等を行って、各種材料に所望の機能を付与することができる。材料表面へのコーティングの場合には、該材料と類似した構造のものを疎水性重合体Bとして選択することにより、密着性、耐久性等を著しく向上させることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の高分子材料は、前記共重合体Aと、前記疎水性重合体Bとを特定な構造において有しているので、一般式(1)で表される側鎖を有する単量体に起因する優れた生体適合性と、疎水性重合体Bが備える実用的な機械的強度等の物性とを兼ね備えている。また共重合体Aからなる特定大きさのドメインが疎水性重合体Bからなる相に均一に分布した相分離を示しているので、生体適合性と機械的性質との両者を兼ね備えた医療器具用材料等として有用である。疎水性重合体Bとしてセグメント化ポリウレタンを採用することにより、特に耐久性を必要とする場合や、可撓性等が要求され、かつ力学的変形を受け易い血液循環系の医療器具への使用であっても基材との密着性不足による剥がれの問題が解決でき、例えば血液回路、人工心臓、各種カテーテル、医療用センサー、細胞培養器等の各種の医療器具用材料に有用である。
【0039】
【実施例】
以下、合成例、実施例及び比較例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
合成例1〜5
CH2Cl2/C25OH(7/3)(重量比)の混合溶剤中に、シクロヘキシルメタクリレート(以下CHMAと略記)単独、2−エチルヘキシルメタクリレート(以下EHMAと略記)単独、MPCと、CHMAまたはEHMAとの単量体組成物(30/70)(モル%)を、1モル/リットルの濃度となるように溶解し、また重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルを5ミリモル/リットルの濃度となるように溶解し、60℃で表2に示す重合時間において溶液重合を行った。
【0041】
反応終了後、反応液をエーテルに滴下して重合体を沈澱させ濾別し、残留単量体を除去した後減圧乾燥し、重量測定により重合体の収率を求めた。それぞれの結果を合成例1〜4として表2に示す。合成例1及び2は、それぞれCHMA及びEHMAの単独重合体(それぞれPC及びPEと略記)である。合成例3及び4の共重合体の同定は、IRスペクトルにより行った。その結果、1600cm-1近辺のピークが消えていることから炭素間二重結合の消失を、1200cm-1近辺にN+(CH33に由来するピーク、1400cm-1にP−O−CH2結合ピークが見られることからホスホリルコリン基の存在を、1730cm-1にC=O結合のピークがあることからエステル基の存在を、2800〜3000cm-1近辺に−CH2−および−CH3のピークがあることからアルキル基の存在を、1050cm-1にシクロ環のピークがあることからシクロヘキシル基の存在をそれぞれ確認した。以上のことから、合成例3ではMPCとCHMAとの共重合体(以下PMCと略記)が、合成例4ではMPCとEHMAとの共重合体(以下PMEと略記)が得られたことが確認できた。
また、MPC/EHMA/2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン(以下MTSiと略記)の3成分をモル%で30:69:1の割合にした単量体組成物を合成例4と同様に重合し、MPCとEHMAとMTSiとの共重合体(以下PMESiと略記)を得、これを合成例5とした。収率等を表2に示す。
【0042】
合成例6
CH2Cl2/C25OH(7/3)(重量比)の混合溶剤中に、MPCと、n−ドデシルメタクリレート(以下DMAと略記)との単量体組成物(33/67)(モル%)を1モル/リットルの濃度となるように溶解し、また重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルを5ミリモル/リットルの濃度となるように溶解し、60℃で表2に示す重合時間において溶液重合を行なった。
【0043】
反応終了後、反応液をエーテルに滴下して共重合体を沈澱させ濾別し、残留単量体を除去した後減圧乾燥し、重量測定により共重合体の収率を求めた。その結果を合成例6として表2に示す。共重合体の同定は、IRスペクトルにより行なった。その結果、1600cm-1近辺のピークが消えていることから炭素間二重結合の消失を、1200cm-1近辺にN+(CH3)3に由来するピーク、1400cm-1にP−O−CH2結合ピークが見られることからホスホリルコリン基の存在を、1730cm-1にC=O結合のピークがあることからエステル基の存在を、2800〜3000cm-1近辺に−CH2−及び−CH3のピークがあることからアルキル基の存在が認められた。以上のことから、合成例6では、MPCとDMAとの共重合体(以下PMDと略記)が得られたことが確認できた。
【0044】
合成例7
CH2Cl2/C25OH(7/3)(重量比)の混合溶剤中に、MPC、n−ブチルメタクリレート(以下BMAと略記)及び2−メタクリロイルオキシエチルフェニルウレタン(以下MBPUと略記)の単量体組成物(30/60/10)(モル%)を1モル/リットルの濃度となるように溶解し、また重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルを5ミリモル/リットルの濃度となるように溶解し、60℃で表2に示す重合時間において溶液重合を行なった。
【0045】
反応終了後、反応液をエーテルに滴下して共重合体を沈澱させ濾別し、残留単量体を除去した後減圧乾燥し、重量測定により共重合体の収率を求めた。その結果を合成例7として表2に示す。共重合体の同定は、IRスペクトルにより行なった。その結果、1600cm-1近辺のピークが消えていることから炭素間二重結合の消失を、1200cm-1近辺にN+(CH3)3に由来するピーク、1400cm-1にP−O−CH2結合ピークが見られることからホスホリルコリン基の存在を、1730cm-1にC=O結合のピークがあることからエステル基の存在を、2800〜3000cm-1近辺に−CH2−及び−CH3のピークがあることからアルキル基の存在を、1580cm-1に−NHCOO−基のピークがあることからウレタン結合の存在をそれぞれ確認した。以上のことから、合成例7ではMPC、BMA及びMBPU共重合体(以下PMUと略記)が得られたことが確認できた。
【0046】
〔共重合体の分子量の測定〕
得られた共重合体の数平均分子量(Mn)は、TOSOH社のGPC装置に、商品名「Asahipak GS-510カラム」を接続し、クロロホルム/エタノール=8/2系でポリスチレンを標準物質として測定した。結果を表2に示す。
【0047】
〔共重合体中のMPCの配合量決定〕
合成例3〜7で得られた各々のMPC含有共重合体6mgを10mlのエタノールに溶解し、この溶液50μlを75℃で乾固させた。次に70重量%過塩素酸260μlを加えて180℃で20分間加熱することによって、有機リンを無機リンに分解した。冷却後、蒸留水1.9ml、1.25重量%モリブテン酸アンモニウム0.4ml、5.0重量%アスコルビン酸0.4mlを加えて、100℃で5分間加温し発色させた。次に、この溶液の817.8nmにおける吸光度を測定することによってリン濃度を定量した。なお、検量線はリン酸水素二ナトリウムを用いて作成した。共重合組成の算出は使用共重合体量(6mg)、リン濃度、MPCユニット分子量から算出した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003792288
【0049】
実施例1−1〜1−7
ジクロロメタンおよびエタノールを体積比7:3で混合した溶剤を用い、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールとの重付加反応物であるセグメント化ポリウレタン(商品名「Tecoflex60」、Thermedics社製、以下SPU−1と略記)、PMC(合成例3)、PME(合成例4)、PMESi(合成例5)及びPMD(合成例6)をそれぞれ別々に溶解して5重量%溶液を調製した。次いで、SPU−1溶液とPMC溶液、SPU−1溶液とPME溶液、SPU−1溶液とPMESi溶液、並びにSPU−1溶液とPMD溶液を、重量比で95:5および9:1の割合に混合して30分間撹拌し均一溶液とし、これらの溶液の濁度を後述する方法によって測定した。
【0050】
続いて、これらの溶液をそれぞれ直径75mmのテフロン皿に26.5g流延し乾燥機に入れ、60℃で1晩加熱して溶剤を除去した。さらに減圧乾燥して高分子膜を作製し、それぞれを実施例1−1〜1−7としてその各組成を表3に示し、後述する各種測定を行った。
【0051】
実施例1−8及び1−9
ジクロロメタンおよびエタノールを体積比7:3で混合した溶剤を用い、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールとの重付加反応物であるセグメント化ポリウレタン(商品名「Pellethane 2363-90」、Upjohn Chem.社製、以下SPU−2と略記)及びPMU(合成例7)をそれぞれ別々に溶解して5重量%溶液を調製した。次いで、SPU−2溶液とPMU溶液とを、重量比で95:5および9:1の割合に混合して30分間撹拌し均一溶液とし、これらの溶液の濁度を後述する方法によって測定した。
【0052】
続いて、これらの溶液をそれぞれ直径75mmのテフロン皿に26.5g流延し乾燥機に入れ、60℃で1晩加熱して溶剤を除去した。さらに減圧乾燥して高分子膜を作製し、それぞれを実施例1−8及び1−9としてその各組成を表3に示し、後述する各種測定を行った。
【0053】
比較例1−1〜1−6
PMC(合成例3)、PME(合成例4)、PMESi(合成例5)及びPMD(合成例6)の共重合体Aを用いて、特表平7−504459号公報記載の高分子組成物の膜を作製した。すなわち、前記それぞれの共重合体A2.5gに、7.5gのSPU−1及びジクロロメタン100gを混合し、それぞれの溶液の濁度を後述する方法によって測定した。この際、目視により観察したところ、SPU−1は膨潤した状態で完全には溶解しておらず、共重合体Aも完全には溶解せず不均一な状態であった。次に溶剤をロータリー・エバポレータで除去し、乾燥した物質をポリエチレンテレフタレート受けシート間で0.3mm厚の膜に圧縮し(10トン/ft2、110℃、10分間)、それぞれを比較例1−1〜1−4とした。
また、5重量%SPU−1溶液のみを用いて、実施例1−1に準じて同様に処理して膜を作製し、これを比較例1−5とした。
更に、5重量%SPU−1溶液と、5重量%PC(合成例1)溶液とを、95:5の割合に混合し均一溶液とし、実施例1−1に準じて同様に処理して膜を調製し、これを比較例1−6とした。このようにして得られた膜について、同様に後述する各種測定を行なった。
【0054】
比較例1−7
MPC1g、水溶性重合体としてポリビニルアルコール(以下PVAと略記)0.5g及びN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.05gを蒸留水8.5mlに撹拌溶解し水溶液を調製した。得られた水溶液をガラスフィルターを通して濾過した後減圧脱気し、比較例1−6で作製した膜(セグメント化ポリウレタン膜)上にコートして薄膜を形成した。その後、250W高圧水銀灯を3時間照射して重合させ、特開昭59−43342号公報記載のMPCポリマーで表面処理したポリウレタン膜を得た。即ち、疎水性単量体ユニットを含まないMPC単独重合体と水溶性重合体であるポリビニルアルコールとの重合体混合物を、セグメント化ポリウレタン上にコートしたものである。このようにして得られた膜について、後述する各種測定を行なった。
【0055】
比較例1−8
PME(合成例4)の共重合体Aを用いて、特表平7−504459号公報記載の高分子膜を作製した。即ち、1.1gのPME(合成例4)に、20gのSPU−1、40gの酢酸エチル及び40gのプロパン−2−オールを混合し、得られた溶液の濁度を後述する方法によって測定した。この際、目視で観察したところ、SPU−1はわずかに膨潤した程度でほとんど溶けていない状態であった。次に溶剤をロータリー・エバポレーターで除去し、乾燥した物質をポリエチレンテレフタレート受けシート間で0.3mm厚の膜に圧縮(10トン/ft2、100℃、10分間)した。このようにして得られた膜について、後述する各種測定を行なった。
【0056】
実施例2−1〜2−3
ジクロロメタンおよびエタノールを体積比7:3で混合した溶剤を用い、SPU−1、SPU−2、PMC(合成例3)、PME(合成例4)、PMU(合成例7)をそれぞれ別々に溶解して5重量%溶液を調製した。次いで、SPU−1溶液とPMC溶液、SPU−1溶液とPME溶液、並びにSPU−2溶液とPMU溶液とを、重量比で95:5の割合に混合して30分間撹拌し均一溶液とした。更に30分間、プローブタイプの超音波発生器(商品名「Sonifier 250」、Branson,Danbury,CT,USA)を用いて、周波数20KHz、出力200Wの目盛6で30分間超音波を照射した。得られたそれぞれの溶液の濁度を後述する方法に従って測定した。
【0057】
続いて、これらの溶液をそれぞれ直径75mmのテフロン皿に26.5g流延し乾燥機に入れ、60℃で1晩加熱して溶剤を除去した。さらに減圧乾燥して高分子膜を作製し、それぞれを実施例2−1〜2−3としてその各組成を表3に示し、後述する各種測定を行った。
【0058】
比較例2−1〜2−3
実施例2−1〜2−3において、溶剤をジクロロメタンに代えた以外は、実施例2−1〜2−3と同様に膜を作製し、各測定を行なった。各組成を表3に示す。
【0059】
実施例3
実施例2−2で得られた混合均一溶液を、比較例1−5で作製した膜(セグメント化ポリウレタン膜)上にコートして薄膜を形成した。この膜を乾燥機に入れ、60℃で1晩加熱して溶剤を除去した。更に減圧乾燥してMPC含有高分子組成物で表面処理したポリウレタン膜を得た。得られた膜について後述する各測定を行なった。
実施例及び比較例について行なった各測定の方法を以下に示す。
【0060】
<濁度測定>
日本電色工業(株)製測色色差計ND-1001DP型を用い、完全に光を遮蔽した状態を100、溶剤のみをセルに入れた際を0となるようにして濁度を求めた。結果を表3に示す。
表3の結果から、実施例の原材料としての液状物の濁度は60%以下と低いが、電子顕微鏡での観察でMPC重合体部分の凝集が認められるものでは大きい値となっている。
【0061】
<膜のガラス転移温度の測定>
示差走査熱量計(DSC)測定からのガラス転移温度(Tg)を測定した。具体的には、得られた高分子膜を約10mg採取して、DSC用のアルミニウム製パンに封入し所定の場所にセットした。その後、液体窒素で−100℃まで冷却し、毎分10℃の昇温速度で300℃まで加熱して熱量変化を測定し、ガラス転移温度(Tg)を求めた。結果を表3に示す。
表3の結果から、比較例1−5のSPU−1単独膜では、ソフトセグメントに由来する低温側のガラス転移温度と、ハードセグメントに由来する高温側のガラス転移温度が確認できることから、相分離していることが判る。また、実施例の高分子膜では、ガラス転移温度がソフトセグメントおよびハードセグメント共にSPU−1単独膜とほぼ一致していることから、ポリマーブレンドを行ってもSPU−1の特徴である相分離が維持されていることが判り、SPU−1に由来する優れた力学特性が維持されていることが証明できる。ところが、共重合体Aとして、MPCユニットを含まないPCを用いた場合(比較例1−6)には、明確なガラス転移温度が現れないことから両者の重合体が相溶化現象を起こすためSPU−1に由来する優れた力学的特性が発揮できないと推定される。
【0062】
<電子顕微鏡による高分子膜表面の観察>
共重合体Aからなる数百μm以下のドメインが疎水性重合体Bからなる相に均一分布した相分離を示しているか、否かの確認は、走査型電子顕微鏡(SEM,JSM-5400,JEOL,東京)で行なった。まず、得られた各膜を室温で180分間四酸化オスミウムに曝し、MPC重合体部分を染色し、炭素でスパッタリング(15〜20nm)した後、電子顕微鏡で染色部分のドメインの大きさを観察した。ドメインの大きさを表3に示す。
比較例1−5のSPU−1単独の場合には、染色されたMPC重合体部分のドメインは見られないが、実施例では白いスポットとしてMPC共重合体部分のドメインが見られた。ドメインの大きさは、およそ1〜50μmの範囲内にあり、相分離した状態の各ドメインが均一に分布していることが判った。この際、超音波処理(実施例2−1〜2−3)によってドメインの大きさがいっそう小さくなることが判った。比較例1−1〜1−4又は比較例2−1〜2−3の場合には、原材料の液状物が均一に溶解していないためかMPC重合体部分が凝集塊として現れ、数百μm以下のオーダーにおける相分離とはならなかった。比較例1−6では、混合する重合体同士が完全に溶解してしまうためか、ドメインを認めることができなかった。比較例1−7は、ガラス転移温度からは、疎水性重合体Bの構造を維持できているが、その表面にコートされた重合体混合物が相溶するため、MPC共重合体部分のドメインを検出することができなかった。
【0063】
【表3】
Figure 0003792288
【0064】
<XPS分析による高分子膜表面の解析>
表面解析にはXPS(X線光電子分光器)を用い、P2PスペクトルおよびC1Sスペクトルのピーク面積より算出したP/C値(試料表面のリン原子量を、リン原子量と炭素原子量の和で除した値)を求め、各MPC共重合体の配向の濃淡を確認した。深さ方向の情報を得るために光電子放出角度を30度と90度にして分析した。結果を表4に示す。
表4のP/C値の比較より、SPU−1にPMC(実施例1−1及び1−2)又はPME(実施例1−3及び1−4)を混合することによって、共に膜表面の浅い部分と深い部分においてMPC共重合体のホスホリルコリン基に由来するリン原子が確認された。また、PMCを用いた高分子膜では深い部分(90度)でのP/C値より、浅い部分(30度)でのP/C値が大きくなることから、高分子膜中のホスホリルコリン基部分が表面に配向濃縮していることが判る。しかし、PMEを用いた高分子膜においては、90度と30度でP/C値の差がないことからホスホリルコリン基の顕著な表面配向がないことが判る。このように一般式(1)で示される側鎖を有する単量体と疎水性単量体との組合せを選択することによって、種々の表面特性を有する膜を設計できることが判明した。
【0065】
<高分子膜からのMPC共重合体の溶出>
厚さ0.3mmの高分子膜を作製し、これらの膜を直径1.5cmの円形に打ち抜き、各々10mlの蒸留水に浸漬し静置した。水中に浸漬してから3日後と10日後に膜が浸っている蒸留水を50μl採取し、リン濃度を前記MPC共重合体の組成決定法に従い定量した。次いで、リン濃度から膜単位体積当たりのMPC共重合体の溶出量(mg/cm3)を求めた。結果を表4に示す。
表4より、実施例の高分子膜は水中に浸漬してから10日後もほとんどMPC共重合体の溶出は見られず、8重量%以内に収まっていた。これに対して比較例の膜では、MPC重合体の溶出が激しく、比較例1−7に示された水溶性重合体との混合物の場合には特に溶出が著しい結果となった。このように、実施例の膜は安全性及び耐久性の面において優れた性能を有していることが判明した。
【0066】
【表4】
Figure 0003792288
【0067】
<膜の力学的性質>
幅約5mm、長さ10mmおよび厚さ約0.3mmの高分子膜の引張り試験を、引張り速度2mm/分の条件下により行った。1種類の膜試料につき3回測定し平均値をとり、応力−ひずみ曲線を求めた。その結果を図1及び図2に示す。また比較例1−5のSPU−1単独膜、MPC共重合体部分が凝集した不均一膜についても同様にして応力−ひずみ曲線を求めた。その結果も合わせて図1及び図2に示す。更に、合成例1及び2で得られた重合体単独膜についても同様の試験を試みたが、柔らかすぎて測定に耐えるものではなく、力学的強度の絶対的な不足が確認された。
図1の応力−ひずみ曲線から、SPU−1にMPC共重合体を均一に溶解し、溶剤を除去して膜とした際にドメインの大きさが数百μm以下の相分離を形成した高分子膜(実施例1−1〜1−4)は、SPU−1単独膜(比較例1−5)と同等またはそれ以上の力学的特性を発揮することが判明した。また、図2の応力−ひずみ曲線からシリル基を有する単量体を架橋成分として用いた膜(実施例1−5)、超音波処理した膜(実施例2−2)は、より優れた力学的性質を示したが、SPU−1との相溶性の良くない直鎖のアルキルメタクリレートを疎水性単量体として用いた膜(実施例1−7)では若干力学的物性が劣っていた。比較例1−4及び2−2で示したMPC含有重合体部分が凝集した不均一膜では途中で破断が生じ脆いことが判った。更に、SPU−1とPCとから得られた相分離を示さない膜(比較例1−6)も応力低下が見られ、良好な応力−ひずみ曲線が得られなかった。
【0068】
<高分子膜に対する血漿蛋白質の吸着量の測定>
直径1.5cmの円形に打ち抜いた高分子膜を、リン酸緩衝溶液10ml中に入れ一晩浸漬した。次に、濃度がヒト血漿タンパク質濃度(アルブミン:4.5g/dl、γ−グロブリン:1.6g/dl、フィブリノーゲン:0.3g/dl)または1/10濃度であるアルブミン、γ−グロブリンおよびフィブリノーゲンのリン酸緩衝溶液(NaCl 24.0g,KCl 0.6g,Na2HPO4・12H2O 8.7gおよびKH2PO4 0.6gを蒸留水3リットルに溶解し調製した)20mlに、この高分子膜を浸し30分間静置した。次に、リン酸緩衝溶液10ml中で高分子膜を10回上下してリンスし、高分子膜についた溶液をろ紙を用いて吸い取った。次に1重量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液5mlに浸すことによって吸着タンパク質を脱離させた。脱離したタンパク質を市販のタンパク質定量キットを用いて定量し、単位面積当たりの吸着量を求めた。なお、測定は各2回行い平均値を求めた。また実施例及びSPU−1単独膜(比較例1−5)、SPU−1とPCとの混合膜(比較例1−6)、並びにSPU−1膜上へのMPC−PVAのコート膜(比較例1−7)等についても同様に測定を行った。結果を表5に示す。
表5の実施例として示した高分子膜と、SPU−1単独膜(比較例1−5)との比較より、実施例の方が血小板のような血液中の細胞の粘着を促進するフィブリノーゲンの吸着量が少なく、生体物質非吸着性に優れた材料であることが判る。また、超音波処理もタンパク質の吸着量抑制に有効であることが判った。
【0069】
<高分子膜の生体適合性に関する評価>
本実験では生体適合性のうち、最も代表的な一つである血液適合性に関して以下に示す評価を行った。
直径1.5cmに打ち抜いて作製した高分子膜をリン酸緩衝溶液に一晩浸漬した。実験を行う直前にリン酸緩衝溶液を除去し、予め調製したウサギの全血、またはウサギ多血小板血漿(PRP:ウサギ血液9mlに対して3.8重量%クエン酸ナトリウム水溶液1mlを加え、750rpmで15分間遠心操作を行うことにより調製した)0.7mlを加えて放置した。全血は60分と120分、PRPは60分間前記高分子膜と接触させた。次に、ウサギの全血またはPRPを除去し、リン酸緩衝溶液で3回リンスし、2.5容量%のグルタルアルデヒド溶液を1.0ml加え2時間静置して血球を固定した。グルタルアルデヒドを除去した後、蒸留水で3回リンスして液体窒素に浸し凍結乾燥した。次に、金をスパッタリングし、走査型電子顕微鏡で表面を観察した。結果を表5に示す。また各実施例、SPU−1単独膜(比較例1−5)、SPU−1とPCとの混合膜(比較例1−6)、並びにSPU−1膜上へのMPC−PVAのコート膜(比較例1−7)等についても同様に測定を行った。結果を表5に示す。
表5より実施例の高分子膜は、比較例よりも血液細胞の粘着が抑制され、血液適合性が非常に高い材料であり、医学材料用として有用であることが判明した。
【0070】
【表5】
Figure 0003792288

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で測定した高分子組成物の均一膜又は比較例のSPU−1単独膜や不均一膜の応力−ひずみ曲線を示すグラフである。
【図2】実施例で測定した高分子組成物の均一膜又は比較例の不均一膜の応力−ひずみ曲線を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0003792288
    (式中R1、R2及びR3は、同一または異なる基であって、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される側鎖を有する炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと、直鎖アルキル(メタ)アクリレート、炭素数5〜15の分岐アルキル(メタ)アクリレート、脂環式アルキル(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有するアルキル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群より選択される疎水性単量体とを含む単量体組成物を共重合した共重合体Aと、
    ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群より選択されるセグメント化ポリウレタンを含む疎水性重合体Bと、
    ハロゲン化炭化水素溶剤及び低級アルコール溶剤からなる混合溶剤とを含み、
    且つ濁度60%以下の液状高分子組成物を固化した混合材料であって、
    前記混合材料の構造が、共重合体Aからなる数百μm以下のドメインが疎水性重合体Bからなる相に均一に分布した相分離を示していることを特徴とする高分子材料。
  2. 共重合体Aの含有量が、共重合体A及び疎水性重合体Bの合計量に対して1〜30重量%である請求項記載の高分子材料。
  3. 請求項記載の高分子材料の原材料としての液状高分子組成物であって、下記一般式(1)
    Figure 0003792288
    (式中R1、R2及びR3は、同一または異なる基であって、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される側鎖を有する炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと、直鎖アルキル(メタ)アクリレート、炭素数5〜15の分岐アルキル(メタ)アクリレート、脂環式アルキル(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有するアルキル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群より選択される疎水性単量体とを含む単量体組成物を共重合した共重合体Aと、
    ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールとの重付加反応により得られたセグメント化ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群より選択されるセグメント化ポリウレタンを含む疎水性重合体Bと、
    ハロゲン化炭化水素溶剤及び低級アルコール溶剤からなる混合溶剤とを含み、
    且つ濁度60%以下を示す液状高分子組成物。
  4. 医療器具の表面に形成するための高分子膜であって、請求項1又は2記載の高分子材料からなることを特徴とする医療器具用高分子膜。
  5. 前記医療器具が、血液回路、人工心臓、カテーテル、医療用センサー又は細胞培養器である請求項記載の医療器具用高分子膜。
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