JP3786990B2 - マルチトールの精製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチトール(α−D−グルコピラノシル4−D−ソルビトール)に富む原液からマルチトールを高濃度に精製する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より低カロリー性,抗齲食性の甘味剤であるマルチトールは、マルトースの水素添加(以下「水添」と略記する)により得られることが知られ、またこのマルチトールを高純度に得る方法としては、原料成分となるマルトースを高純度にしてから水添する方法と、特開昭61−180795号に記載されているように比較的簡単に得られる例えば50〜80%の中程度濃度のマルトースを含有するシロップ(糖液)を水添した後にクロマトグラフィーにより分離する方法とが知られている。
【0003】
これらの従来法のうち、高純度のマルトースを含有する糖液を用いて水添し次いで結晶化する前者の方法は、マルトース高含有の糖液の取得が簡単でなくまた経済的にも有利でないという欠点のあることが知られている(特開昭61−180795号、特公平2−11599号等)。他方後者のマルトースに富む糖液を水添処理した後に分離する方法は、比較的容易にかつ高い収率でマルチトール高含有の液を製造できてマルチトール純度の高い結晶を得ることができるため、一般的にはこの方式が採用されている場合が多い。
【0004】
水添後分離の方式でマルチトールを製造する場合、後段の分離のために用いられるクロマト分離法としては固定層方式、擬似移動層方式などが知られている。
【0005】
これらのクロマト分離法が用いられるのは、一般にマルチトール原料には、主成分であるマルチトールの他に、ソルビトール、マルトトリイトールといった主成分より分子量の大きいものと小さいものをある程度含んでいるので、主成分画分へのこれらの不純物の混入を防いで高純度のマルチトールを効率的に分離するためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した水添後分離の方式によるマルチトール結晶の製造法にあっては、マルトース含有糖液に水添処理を行うマルチトール含有シロップの製造、マルチトール含有シロップからのクロマト分離によるマルチトール高純度画分の分別、晶析、乾燥という諸工程が必要であるが、本発明者等はこの諸工程からなるマルチトール製造法の改良,研究の過程において、水添後分離の方式で得られるマルチトール画分の純度が93%以上である場合には、結晶化により結晶マルチトールを分離でき、また、種結晶を加えて噴霧乾燥又は冷却混練することで付加価値の高い結晶マルチトール含蜜結晶を得ることも可能であり、更にマルチトール画分の純度を95%以上とした場合には、マルチトールの結晶化速度が早くなりしかも結晶収率が高く、いっそう効果的であり、また、この時得られる結晶化母液に種結晶を加えて噴霧乾燥又は冷却混練して固化することで結晶マルチトール含蜜結晶を製造できるという極めて注目すべき事実を知見するに至った。即ち、高純度のマルチトール画分を分離できたことは、マルチトール純度が低く付加価値の低い結晶母液を多量に副生させることなくして付加価値の高い製品群を製造できるため経済的に極めて有利といえる。
【0007】
ただし、従来の固定層方式や一般的な擬似移動層方式のクロマト分離法を用いた場合には、経済性や操作の煩雑性等を重視しない実験室レベルでの製造例においてもマルトトリイトールとマルチトールの分離は容易でないし、特に単糖類,マルチトール,多糖類という大きく分けても3つの成分を含有する液体の中から(マルチトール)という特定成分を効率よく分離回収可能とする工業的設備の構築は、回収画分の純度、収率、経済性等の様々な点から困難であった。
【0008】
そこで本発明者は、多成分を含有する液体から特定の成分を分離する特殊な系の擬似移動層方式のクロマト分離法として本出願人が先に提案した特公平7−24724号の方法を、上述した従来の一般的クロマト分離法に代え適用することによって、マルチトールの高純度(93%以上)回収を実現することを試みた。しかし上述した一般的擬似移動層方式のクロマト分離法の適用の場合と同様に、工業的規模の設備で純度93%以上マルチトールを回収するという目的は、単純には実現できないことが分かった。
【0009】
本発明者は、以上のような従来技術や本発明者が種々検討した技術課題について更に検討を重ねて、従来は考えられていなかったクロマト分離工程での93%以上、好ましくは95%以上の高純度のマルチトール精製回収を、工業的規模の設備において可能とする技術を見出し本発明に至ったものである。
【0010】
即ち本発明の目的は、上記したクロマト分離工程で93%以上の高純度でマルチトールを精製回収でき、したがって後段における晶析工程の省略を可能することができるマルチトールの精製方法を提供するところにある。
【0011】
また本発明の別の目的は、所定量の生産を小規模設備で確保できる工業的に極めて有効な方法提供するところにある。
【0012】
また本発明の他の目的は、マルチトールと分離されて抜出される他の成分を、適当な用途用として利用し、あるいは不要な成分として廃棄処理するのに適した方法を提供するところにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成する本発明のマルチトールの精製方法の特徴は、親和力の強さが単糖類>マルチトール>多糖類の順でありかつ水分含有率がNa形のとき40%〜60%、好ましくは45%〜55%であるCa形強酸性陽イオン交換樹脂を充填した単位充填塔を、多数直列に連結して循環流路型の液体流通系を形成し、マルトースに富む糖液を連続的に水素添加処理して得たマルチトールを80%以上、好ましくは82%〜87%含む原液をこの液体流通系に供給することでマルチトールを93%以上、好ましくは95%以上の純度で分離するマルチトールの精製方法であって、上記原液中の親和力の弱い多糖類が富化された吸着帯域の形成されている単位充填塔の塔頂から原液を系内に供給しながら、この原液の供給位置よりも下流側で親和力が中間の成分であるマルチトールの富化された吸着帯域が形成されている単位充填塔の塔末より該マルチトールの画分を抜出す第1工程と、原液を供給することなく上記系内で液体を循環させながら、該系内に溶離液を供給すると共に上記第1工程で残留した成分の富化された吸着帯域の形成されている単位充填塔の塔末より各残留成分である単糖類及び多糖類の画分を抜出し、かつ吸着帯域の移動にあわせて溶離液の供給位置及び各画分の抜出し位置を系の下流側の単位充填塔に移行させる操作を伴う第2工程と、の第1工程及び第2工程を1サイクルとして繰り返すという構成をなすところにある。
【0014】
本発明の構成において、擬似移動層の単位塔に充填されるCa形強酸性陽イオン交換樹脂は、親和力の強さが単糖類>マルチトール>多糖類の順であることと、水分含有率がNa形のとき40%〜60%、好ましくは45%〜55%であることが必要である。Ca形強酸性陽イオン交換樹脂が必須とされるのは他のイオン形より単糖類、マルチトール、多糖類の分離性が優れているからである。ここで「水分含有率」というのは、強酸性陽イオン交換樹脂の基準形、すなわちNa形の水分含有率を言う。水分含有率の測定方法は次の方法に従う。
【0015】
あらかじめ基準形すなわちNa形にした強酸性陽イオン交換樹脂約50mlをビーカーにとり、水約50mlを加えて約30分間放置し、ブフナー形漏斗にろ紙5種Bを敷き、ここにスラリー状の強酸性陽イオン交換樹脂を流し込み、ブフナー形漏斗の下部から水アスピレーターで発生させた真空(大気圧に対して40±5mmHg)を作用させて強酸性陽イオン交換樹脂の空隙水を吸引する。なおこの際、ブフナー形漏斗の上部には穴あきのゴム栓をし、当該穴にガラス管を差し込み、ガラス管の先にゴム管を連通して、ここから空気洗浄瓶中の水をくぐらせた相対湿度100%の湿潤空気を流入させ、この湿潤空気を前記水を吸引する間中、ろ紙上に存在する強酸性陽イオン交換樹脂に接触させる。
【0016】
このような吸引濾過によってろ紙下方から水滴が生じなくなってから更に約10分間引き続いて吸引した後、ブフナー形漏斗上の強酸性陽イオン交換樹脂約5gを、1mgの単位まで秤量できるはかりで正確にはかりこの重さをAgとする。
【0017】
次いで、上記秤量済みの湿潤樹脂を110℃±5℃の乾燥器で24時間乾燥し、ついでシリカゲルが底部に存在するデシケータ中で約30分間放冷し、次いでこの乾燥樹脂の重さを同様にして1mgの単位まで秤量し、この重さをBgとする。
【0018】
上記秤量した湿潤樹脂と乾燥樹脂の重さから水分含有率は以下の計算式により算出する。
【0019】
水分含有率(%)=100(A−B)/
なお、上記湿潤樹脂の秤量と乾燥樹脂の秤量は同じ樹脂について2個づつ同時に行い、2個の結果が0.5%以上変動する場合には、試験を繰り返し、0.5%以内で一致したときは、2個の平均値を試験結果として示す。
【0020】
上記したような試験方法により得られる該水分含有率が40%未満の場合には、水添処理して得た原液のマルチトール純度が80%以上であっても、精製されたマルチトール含有液の純度を93%以上とすることができない。反対に該水分含有率が60%を越える場合には、イオン交換樹脂の膨潤収縮が大きくなりすぎ充填塔に充填してクロマト分離したとき、系内の圧力差の変化が大きくなりすぎ分離操作に支障をきたし、またイオン交換樹脂の強度も弱くなり、分離操作を継続するに従い、イオン交換樹脂が割れ、微細化してしまいやはり分離操作に支障をきたすという問題を招く。
【0021】
本発明において原液として用いられるのは、水添処理を行ってマルチトールを80%以上含む液であることが必要である。含有マルチトールの純度が80%未満である場合には、マルトトリイトールの系内濃度が高くなりすぎることにより上記した93%以上の純度のマルチトールの分離ができない。
【0022】
このようなマルトース含有糖液の水添処理によりマルチトールの純度80%以上の糖液を得ることができる具体的な方法としては、例えば特開平2−92296号に開示された、澱粉を液化した後、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ等の酵素を作用させたものを、更にマルトゲニック−α−アミラーゼにより糖化した後、その糖化物を還元する方法、を挙げることができる。
【0023】
上記第1の工程は、原液を供給しながら次のサイクルにおいて抜き出す各成分の吸着帯域の分布を形成させると共に、既に吸着帯域が形成されている成分のうちの親和力が中間的として分類される成分のマルチトールを系外に抜き出す工程であり、短時間に大量のマルチトールの画分を押し出すことができる。なおこの際においては原液供給位置にその上流から液が流れないようにすることが好ましく、この液の流通遮断を機械的に保証するためには遮断弁を設けてこれを閉路すればよい。また遮断弁を設けることなく操作的にこの液流通遮断を行うためには原液の供給量とマルチトール画分の抜出し量を調整することで行うことができる。
【0024】
上記第2の工程は、原液の供給を行なわずに系内で流体の循環を行なわせながら、一般的な擬似移動床の方法に従った操作で上記マルチトール以外の成分の富化画分を系外に抜き出し、かつ第1の工程で新しく系に供給された原液中の各成分を、吸着剤に対する親和力の弱い成分(多糖類)から強い成分(単糖類)に順次に分けた吸着帯域を形成させるための工程である。この第2工程、すなわち溶離液を供給しながら各成分を抜き出す擬似移動床の操作を行う方法は、限定されるものではないが、原液の供給を行なわない点を除外すれば従来周知の例、例えば特開昭62−91205号の特に第2頁右上欄2行目〜左下欄末行及び第3図で説明される方法において原液の供給を行なわない(したがって第1区画と第4区画は同一区画と考えてよい)ようにして実施する場合を例として挙げることができる。具体的には、ポンプ等により系内で流体を循環させながら、所定の成分が富化されている吸着帯域のある塔頂から溶離液を供給すると共に該塔末から成分の富化された画分を抜き出し、これを吸着帯域の移動に合せて順次に循環流の下流に移行させる操作を、上記マルチトール以外の複数の成分に対して行なうことで実施される。
【0025】
本発明の上述した第1の工程と第2の工程を繰返して行なう操作は、装置が連続的に運転されている状態について述べているが、装置立上げのためには上記第1の工程に先立って、原液を系に供給して吸着剤に対する親和力の弱い多糖類から強い成分である単糖類に順次に分れた吸着帯域を形成させる操作のみを単独に行なう前工程を行なってもよい。
【0026】
本発明は上記した第1の工程および第2の工程を1サイクルとして繰返す方法を基本とするものであるが、様々な変更した態様で実施することができるのは言うまでもない。
【0027】
例えば第1の工程において、系に対して原液を供給すると同時に溶離液を供給することもでき、これによって原液の供給量と上記マルチトールの抜き出し量の調整(マスバランスの調整)ができる。またこの溶離液の供給によってその下流の流速を大きくすることで所定の成分の吸着帯域の移動速度を選定できる。
【0028】
本発明においては、以上の方法によって原液より高純度にマルチトールを分離することで、原液に含まれている他の成分の純度も相対的に高く得られることになり、したがって、親和力の弱い成分である多糖類も高純度な画分として回収できるので、例えばRO膜を透過膜として用いて濃縮するだけで、従来方法より低コストで多糖類を回収することができ、これを利用する用途に高純度多糖類として好適に用いることができる。
【0029】
また希薄な単糖含有画分は、生物処理することにより環境に負荷を与えずに排水とすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施形態に限定されるものではないことは当然である。
【0031】
図1は、本発明を実施する場合の操作手順の概要をフローチャートで示した図でありこの図1において、まずマルトース含有糖液は、水添処理装置100において水添処理されてマルチトール80%以上を含有した糖液(原液)とされる。この原液は、擬似移動層装置101を用いてマルチトール、及びその他の成分(単糖類及び多糖類)に分離され、マルチトール画分(B)は純度93%以上の液として回収され、結晶化・分蜜することにより結晶マルチトールが得られる。副生した結晶化母液は、マルチトールの含有率が高い場合には、そこに種結晶を加え噴霧乾燥又は冷却混練し固化することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶が得られる。また、このマルチトール画分(B)はそのまま種結晶を加えて噴霧乾燥又は冷却混練し固化することで結晶マルチトールを含有する含蜜結晶とすることができる。
【0032】
一方、多糖類画分として回収された液(A)は、膜処理装置103で濃縮処理されて、結晶が析出しないような用途で且つ適度な糖アルコールの特性を付与できる製品たとえば和菓子用の甘味料として調整される。
【0033】
また、単糖類画分として回収された液(C)は比較的低濃度の単糖類を含み、図1の例では生物処理装置102で分解処理される。
【0034】
図2は水添処理後のマルチトール含有糖液からマルチトールを高純度に分離精製するための擬似移動層操作を行う装置の構成概要を示した図であり、この図2において、1〜10は各々同一の吸着剤を充填された単位充填塔であり、親和力の強さが単糖類>マルチトール>多糖類の順であり、かつ、水分含有率がNa形のとき40%〜60%であるCa形強酸性陽イオン交換樹脂が充填されて構成されている。
【0035】
これらの各単位充填塔1〜10の間は、直列に接続した配管20により無端循環の液流通が可能に連結されており、最後段の単位充填塔10の後端は最前段の単位充填塔1に流体通路の配管21を介して連結されている。
【0036】
なお、19は流体通路21の途中に介設されている循環用のポンプで、図示しない制御装置により流量を設定値に制御できるようになっている。なおこのポンプ19は各単位充填塔間のどこに設置してもよいしまた必要により何台設けても良い。
【0037】
Zは単位充填塔5と6の間に設けた遮断弁であり、図示しない制御装置によって開閉が制御される。
【0038】
そして、上記の充填塔群のうちの単位充填塔5〜6の間に設けられた上記遮断弁Zとその下流の単位充填塔6の間の配管には、原液Fの供給弁fを介して原液供給管30が連結されていると共に、原液供給管30には原液供給ポンプ15が連結されている。また該遮断弁Zと単位充填塔6の間の配管には、溶離液供給弁6Dを介して共通の溶離液供給配管31が連結されている。
【0039】
一方、上記遮断弁Zとその上流の単位充填塔5の間の配管には、液を系外に抜出すための液抜出し用の配管(3本)が連結されている。すなわち、それぞれの富化された画分を分画して抜出すことができるように、それぞれ吸着剤に対する親和力の弱い成分(多糖類の画分:以下符号Aで示す)の抜出し弁5A、親和力の強い成分(単糖類の画分:以下符号Cで示す)の抜出し弁5C、及び親和力が中間の成分(マルチトールの画分:以下符号Bで示す)の抜出し弁5Bを介して、それぞれ各々の成分についての共通配管12、13、14に連結されている。また、上記各単位充填塔1〜5の間、7〜10の間は、上記共通の溶離液供給配管31が各溶離液供給弁1D、2D、3D、4D、5D、7D、8D、9D、10Dを介して各単位充填塔に溶離液を供給できるように連結されており、これらの各供給弁は、上記供給弁6D及び原液の供給弁fと共に、不図示の制御装置により開閉が制御されるようになっている。
【0040】
また、上記各単位充填塔1〜5の間、6〜10の間には、上記共通の液抜出配管12が、各多糖類抜出弁1A、2A、3A、4A、5A、7A、8A、9A、10Aを介して各単位充填塔から多糖類画分を抜出しできるように連結され、同様にして共通の液抜出配管14が、各単糖類抜出弁1C、2C、3C、4C、5C、7C、8C、9C、10Cを介して各単位充填塔から多糖類画分を抜出しできるように連結されている。すなわち、これらの液抜出用の配管は単位充填塔1〜5の間のものにおいては成分A、成分Cの抜出し弁1A〜5A及び1C〜5Cを介して共通の抜出し配管12、14に接続され、また、単位充填塔6〜10の間のものにおいては成分A、成分Cの抜出し弁6A〜10A及び6C〜10Cを介して共通の抜出し配管12、14に接続され、これら抜出し弁は不図示の制御装置により開閉が制御されるようになっている。
【0041】
以上のように構成された装置において、マルチトール含有の糖液からマルチトールを高純度に分離する操作は次のように行われる。
【0042】
まず、第1工程において、閉じられた状態にある遮断弁Zの下流にある原液供給弁fを介して原液Fを単位充填層6に供給すると共に、同時に溶離液Dを溶離液供給弁1Dを介して供給することにより、遮断弁Zの上流から、マルチトールを抜出弁5Bを介して抜き出す。なおこの際同時に、多糖類の富化画分(A)を抜出弁8Aから抜出すことができ、更に必要に応じて単糖類の富化画分(C)を抜出弁2Cを介して抜き出すこともできる。
【0043】
次に第2工程において、遮断弁Zを開き、原液Fを供給することなく、系内で流体の循環を行なわせながら、擬似移動床の方法に従って溶離液Dの供給、単糖類の画分(C)の抜き出し、多糖類の画分(A)の抜き出しを行ない、この溶離液の供給位置、各画分の抜き出し位置を、それぞれの富化画分の移動に合わせて順次に下流に一塔分づつ移行させる操作を行う。
【0044】
なお本例で図1により示した装置は10本の単位充填塔を用いているがこれに限定されるものではない。
【0045】
更に本発明において用いる循環流路の途中に設けた遮断弁Zは、少なくとも一か所に設ける必要があるが、例えば原液の供給口を循環流路の異なる位置に複数箇所設ける場合は、当該供給口の数に応じて遮断弁を増加することもできる。
【0046】
【実施例】
実施例1
本例においては、水添処理装置100において濃度50%のマルトース水溶液(マルトース81.1%、単糖類1.2%、多糖類17.8%)を、ラネーニッケル触媒存在下、水素圧150kg/cm2、140℃にて接触水素還元することで、下記表1に示す純度81%のマルチトール糖液を得、これを図2の擬似移動層装置101の原液とした。
【0047】
【表1】
Figure 0003786990
【0048】
次にこの原液を、以下のように構成した図2の装置に供給し、表2に示したタイムスケジュールでマルチトールの分離操作を繰り返しおこなった。
【0049】
単位充填塔
内径108.3mm、充填層高1600mm
吸着剤充填量・・・10本合計:147.4リットル
Ca形強酸性陽イオン交換樹脂
水分含有率がNa形のとき 55%
溶離液・・・水
温度・・・・80℃
本例では、吸着剤との親和力の強さの順番は、単糖類>マルチトール>多糖類の順であり、抜出し弁(1A〜10A)から多糖類に富む液体、抜出し弁(5B)からマルチトールに富む液体、抜出し弁(1C及び3C〜10C)から単糖に富む液体をそれぞれ取り出した。
【0050】
【表2】
Figure 0003786990
【0051】
各工程での流量を下記に示す。
【0052】
第1工程での流量
原液の供給流量 29.1L/hr
溶離液の供給流量 74.8L/hr
多糖類画分の抜出し流量 32.6L/hr
マルチトール画分の抜出し流量 71.3L/hr
Figure 0003786990
以上の操作により得られた各画分の組成を下記表3に示した。
【0053】
【表3】
Figure 0003786990
【0054】
比較例1
比較のために、クロマト分離操作を行う擬似移動層装置101において、Na形で水分含有率が38%のCa形の強醸性陽イオン交換樹脂を吸着剤として充填した単位充填塔を用いた他は、同様にして、表1に示したマルチトール原液からのマルチトール分離操作を行った。なおタイムスケジュールは表4に示した。また溶離液としては水を使用し、充填層を60℃に保った。
【0055】
なお、比較例1において、第1工程での各流量および第2工程での各流量が実施例1の各工程の各流量と相違しているのは、水分含有率の相違に伴う分配係数の相違に起因するもので、実施例1および比較例1ともに、使用する強酸性陽イオン交換樹脂の分配係数に対応して最適な流量を選定したからである。
【0056】
【表4】
Figure 0003786990
【0057】
各工程での流量を下記に示す。
【0058】
第1工程での流量
原液の供給流量 33.2L/hr
溶離液の供給流量 23.0L/hr
多糖類画分の抜出し流量 6.5L/hr
マ油締馴画分の抜出し流量 49.7L/hr
Figure 0003786990
以上の操作により得られた各画分の組成を下記表5に示した。
【0059】
【表5】
Figure 0003786990
【0060】
以上の実施例と比較例の対比からわかるように、本発明の特定の条件を満足する場合に良好なマルチトールの高純度分離の得られることがわかる。
【0061】
実施例2
実施例1で多糖類画分として回収した液(初期濃度4.1g/100g)を、図3に示す膜濃縮装置(RO膜;NTR−759HG−S2F:日東電工社製)305に、膜出口圧9kgf/cm 、初期透過流速1270ml/min、濃縮流量7.6リットル/hとなるようにポンプ301、循環弁302、入口,出口圧力計303,304で調製して濃縮を行った。
【0062】
膜出口圧を一定に保つようにして55分運転を行ったところ、濃縮液は14.1g/100gになった。これにより、後段に一般的な蒸発濃縮工程を設けることで、多糖類の経済的な製品化が可能となった。
【0063】
実施例3
実施例1で単糖類画分として回収した排水(固形分量3.7g/100g、BOD濃度20000mg/l)0.34m /dayを、図4のようにして処理した。
【0064】
すなわち、上記排水をそのまま、上向流式嫌気性スラッジブランケット法処理装置によりBOD容積負荷10kg/m /dayで処理(BOD除去率95%)したところ処理水BOD1000mg/lとなり、次いで好気性浸漬濾床生物学的処理装置によりBOD容積負荷2kg/m /dayで処理(BOD除去率95%)したところ、処理水BOD50mg/lとなった。
【0065】
なお、この実施例3の上向流式嫌気性スラッジブランケット法処理装置は、公知の長繊維を用いた型、円筒網目状生物担体を充填した固定床型、量骨材固定床型等を特に限定されることなく用いることができる。
【0066】
以上のように、本発明の実施例1の方法によれば、単糖類、マルチトール、多糖類の各画分を効率よくかつ分離性高く各画分に分離できるので、不要成分である単糖類画分には、生物処理によって分解し難い成分の混入が少なく、一般的な生物処理法の一つである上記構成を採用した装置を用いるだけで直接分解処理することができるという利点が得られる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、水添後クロマト分離の方式においての93%以上、好ましくは95%以上の高純度のマルチトール精製回収を、工業的規模の設備において可能とする技術を提供できるという効果がある。
【0068】
また本発明は、上記したクロマト分離工程で93%以上の高純度のマルチトール精製回収を確保でき、したがって所定量の生産を小規模設備で確保できる工業的に極めて有効な方法を提供できるという効果を奏する。
【0069】
更にまた本発明は、主成分であるマルチトールと共に、副次的に二次的な成分(多糖類,単糖類)も高純度に分離されるため、これらの副次的成分(多糖類,単糖類)の利用、すなわち有効成分(多糖類)を簡易な装置で分離回収すること、あるいは不要画分(単糖類)の廃棄処理を環境に負荷を与えずに効率的に行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する場合の操作手順の概要を示したフローチャート図。
【図2】水添処理後のマルチトール含有糖液からマルチトールを分離精製するための擬似移動層装置の構成概要を示した図。
【図3】多糖類画分として回収した液を濃縮処理するための膜濃縮装置の構成概要を示した図。
【図4】単糖類画分として回収した排水を生物学的に処理する手順を示した図。
【符号の説明】
1〜10:単位充填塔
1A〜10A:多糖類画分の抜出弁
5B:マルチトール画分の抜出弁
1C〜10C:単糖類画分の抜出弁
1D〜10D:溶離液の供給弁
f:原液の供給弁
F:原液
Z:遮断弁
11:循環配管
12:多糖類画分の抜出し配管
13:マルチトール画分の抜出し配管
14:単糖類画分の抜出し配管
15:原液供給ポンプ
16:溶離液供給ポンプ
17:溶離液の供給配管
18:原液の供給配管
19:循環ポンプ
20,21:配管
30:原液供給配管
31:溶離液供給配管

Claims (3)

  1. 親和力の強さが単糖類>マルチトール>多糖類の順でありかつ水分含有率がNa形のとき44%〜60%であるCa形強酸性陽イオン交換樹脂を充填した単位充填塔を、多数直列に連結して循環流路型の液体流通系を形成し、マルトースに富む糖液を連続的に水素添加処理して得たマルチトールを80%以上含む原液をこの液体流通系に供給することでマルチトールを93%以上の純度で分離するマルチトールの精製方法であって、上記原液中の親和力の弱い多糖類が富化された吸着帯域の形成されている単位充填塔の塔頂から原液を系内に供給しながら、この原液の供給位置よりも下流側で親和力が中間の成分であるマルチトールの富化された吸着帯域が形成されている単位充填塔の塔末より該マルチトールの画分を抜出す第1工程と、原液を供給することなく上記系内で液体を循環させながら、該系内に溶離液を供給すると共に上記第1工程で残留した成分の富化された吸着帯域の形成されている単位充填塔の塔末より各残留成分である単糖類及び多糖類の画分を抜出し、かつ吸着帯域の移動にあわせて溶離液の供給位置及び各画分の抜出し位置を系の下流側の単位充填塔に移行させる操作を伴う第2工程と、の第1工程及び第2工程を1サイクルとして繰り返すことを特徴とする純度93%以上のマルチトールを分離するマルチトールの精製方法。
  2. 請求項1の第2工程において抜出した多糖類に富む画分をRO膜を用いて濃縮することを特徴とするマルチトールの精製方法。
  3. 請求項1の第2工程において抜出した単糖類に富む画分を生物処理することを特徴とするマルチトールの精製方法。
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