JP4632327B2 - クロマト分離装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2成分以上の成分を含む原液の特定成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した多数の単位充填塔を、直列かつ無端に連結して、擬似移動層式クロマト分離を行うようにした装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
擬似移動層式クロマト分離装置は、代表的には原液中に含まれる2成分以上の成分中の特定成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した多数の単位充填塔(以下、単に充填塔ということもある。)を配管で直列に連結するとともに、最後部の充填塔と最前部の充填塔を配管で連結することによって、全体を無端に連結した充填塔群の系として形成した装置において、原液の供給、溶離液の供給、および非吸着液(つまり、吸着剤に対し吸着能力の低い非吸着物質(非吸着成分)を多く含む画分)の抜き出し、吸着液(つまり、吸着剤に対し吸着能力の高い吸着物質(吸着成分)を多く含む画分)の抜き出しの各位置関係を一定に保ちながら、これらの位置を経時的に系内循環方向下流側に移行させることで、吸着剤の実際の移動を行わずに吸着剤が移動するのと同等の機能を発揮させ、移動層の処理操作を擬似的に実現する装置であることはよく知られている。
【0003】
このような擬似移動層式クロマト分離装置において、非吸着液の画分と吸着液の画分との分離精度を向上するためには、通常、単位充填塔の数を増加する手法が採られている。しかし充填塔数を増加すると、それだけ装置全体が大型化するとともに、液の供給位置、抜出位置の移行のための制御が複雑化する。たとえば実験用やパイロット装置用には、より小型で簡素な装置が望まれるため、単位充填塔数を極力少なくすることが要求されるが、従来の装置構成あるいは分離操作では、少ない充填塔数にて分離精度、性能を向上するのは難しい。
【0004】
また、従来から、擬似移動層式クロマト分離装置における分離精度を向上するために、装置の運転工程を工夫した各種の工程に細分化する提案が多数行われているが、いずれの方法にあっても、▲1▼系内から非吸着液画分と吸着液画分の両方を、互いに異なる位置にて実質的に同時に抜き出すか、または、▲2▼いずれか一つの液を供給し同時にいずれか一つの液を抜き出す工程を有している。▲1▼の工程を有する擬似移動層式クロマト分離装置においては、とくに抜出液は濃度や粘性が変動しやすいことから、両抜出画分の抜出量のバランスや抜出液全量を一定に保つことが難しい。これらを一定に保つには、通常、各画分の抜出側で、それぞれ流量制御や系内への背圧制御といった複雑な制御を要し、この面からも装置を複雑化させているとともに、装置全体が高価なものとなっている。
【0005】
このような制御はまた、充填塔群の系に対する液の供給と抜き出しという物質収支を不都合なく安定して維持するためにも実施されるものであるが、とくに小型の装置の場合には、原液供給流量が少なくなる場合が多く、そのような場合にも安定して所望の定流量で抜き出すことは、極めて難しくなることがある。抜出流量が大きく変動すると、分離性能も低下する。
【0006】
さらに、前記▲2▼の工程を有する擬似移動層式クロマト分離装置においては、通常、原液の供給と溶離液の供給が別のタイミングで行われている。したがって、液供給位置と抜出位置が系を一巡する1サイクル中に、原液の供給と溶離液の供給が多数回繰り返される場合、これら供給がシリーズのタイミングで行われるため、1サイクルの時間が長くなる傾向にある。1サイクルの時間が長くなると、それだけ分離液の生産効率が低くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記のような従来装置における種々の問題点に着目し、小型かつ簡素な構造にて高い分離性能が得られる、安価な擬似移動層式クロマト分離装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、処理サイクルの時間短縮が可能で、分離液生産の効率を上げることが可能な擬似移動層式クロマト分離装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のクロマト分離装置は、原液中に含まれる2成分以上の成分中の特定成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔を配管で直列に連結するとともに、最後部の単位充填塔と最前部の単位充填塔を配管で連結することにより全単位充填塔を無端に連結した流体を循環可能な系を形成し、該系に対し、原液と溶離液を供給するとともに、吸着剤に対し吸着能力の低い非吸着物質を多く含む第1の画分と、吸着剤に対し吸着能力の高い吸着物質を多く含む第2の画分とを、互いに異なる位置から抜き出し、かつ、原液供給位置、溶離液供給位置、第1の画分の抜出位置、第2の画分の抜出位置を、一定の位置関係に保ちながら系の流体循環方向下流側に順次移動させるようにした擬似移動層式のクロマト分離装置において、第1の画分の抜出位置よりも下流側の単位充填層を遮断して溶離液を供給するとともに第1の画分の全量を抜き出す第1の工程、第1の画分の抜出位置よりも下流側の単位充填層を遮断して溶離剤および原液を供給するとともに第1の画分の全量を抜き出す第2の工程、一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに系内の液を移動させる第3の工程、第2の画分の抜出位置よりも下流側の単位充填層を遮断して溶離剤を供給するとともに第2の画分の全量を抜き出す第4の工程、第2の画分の抜出位置よりも下流側の単位充填層を遮断して溶離剤および原液を供給するとともに第2の画分の全量を抜き出す第5の工程を、任意の組み合わせをもって制御可能に構成し、かつ、前記5つの工程のうち少なくとも第3の工程と第2または第5の工程を含むことを特徴とするものからなる。
【0010】
このクロマト分離装置においては、原液および溶離液の供給は、それぞれ、定流量で行うこともできるし、原液供給流量制御手段および溶離液供給流量制御手段を設けて、両液のトータルの供給量を実質的に一定になるように制御することもできる。通常、原液の供給流量は溶離液の供給流量よりもはるかに少なく、溶離液のみの供給の場合と溶離液と原液の両方を供給する場合の全供給流量の差は小さいので、とくに本発明による場合には各液の供給流量を定流量とすることが可能になり、後述する理由から、定流量供給であっても基本的に分離性能には影響しない。ただし、両液に対して供給流量制御手段を設けておけば、より高精度の分離が可能になる。また、循環ポンプについては定流量で行うこともできるし、工程時間の短縮を図る等のために循環流量制御手段を設けてもよい。
【0011】
上記のような本発明に係る擬似移動層式クロマト分離装置においては、第1の工程では、直列に連結された充填塔群からなる系のある特定位置(第1の画分の抜出位置よりも下流側の位置)で系(単位充填塔)が遮断され、溶離液だけが供給されて、そのときの系内にある原液および溶離液の混合液中の十分に分離された第1の画分の全量が抜き出される。このとき、第2の画分の抜き出しは行われず、第1の画分の分離のみに的を絞って、分離された第1の画分のみを抜き出せばよいので、少ない充填塔数でも十分に高い効率をもって分離することが可能となる。また、第2の画分の抜き出しが行われないので、第1の画分と第2の画分の両方を同時に抜き出す場合の抜き出し流量のバランスを考慮する必要は全くなくなり、高価な抜出流量制御手段やその複雑な制御は不要になる。しかも、第1の画分の全量抜き出しであるから、その抜き出し自身に対しても実質的に流量制御は不要で、流量はなりゆき任せにすることも可能となる。したがって、単に、抜き出し側から系内に対して、逆流防止等のために適当に小さな背圧を維持できるようにしさえすればよく、格別な背圧制御手段を設けることなく、単に配管圧損を利用することや、簡単な逆止弁等を設けるだけでよい。
【0012】
第2の工程では、溶離液に加えて原液が供給され、第1の工程と同様に、系内の特定位置の遮断および第1の画分の全量抜き出しが行われる。つまり、第2の工程では、系内に、分離処理されるべき原液が補給されつつ、溶離液と原液の混合液が系内を移動されて所定の抜出位置から第1の画分の全量が抜き出される。この第2の工程においても、第2の画分の抜き出しは行われず、第1の画分の分離に的を絞った第1の画分のみの全量抜き出しであるから、充填塔数は少なくてすみ、抜き出し側の流量制御手段や格別な背圧制御手段も不要である。また、原液の供給が溶離液の供給と併行して行われるから、各液の供給が時間的に重複して行われることになり、時間的に別々に行われる場合に比べ、両液供給のためのトータル時間が大幅に短縮される。これは、クロマト分離装置における1サイクルの処理時間の大幅な短縮につながる。
【0013】
第3の工程では、供給、遮断、抜き出しは一切停止され、系内の液が単に循環、移動される。この循環、移動中に、系内の液の第1の画分の第2の画分への分離が進むから、分離に関してあたかも充填塔数を増加したのと同等の作用、効果が得られ、少ない充填塔数でありながら高い分離効率、分離精度が達成される。
【0014】
第4の工程では、系内のある特定位置(第2の画分の抜出位置よりも下流側の位置)で系(単位充填塔)が遮断され、溶離液だけが供給されて、そのときの系内にある原液および溶離液の混合液中の十分に分離された第2の画分の全量が抜き出される。このとき、第1の画分の抜き出しは行われず、第2の画分の分離のみに的を絞って、分離された第2の画分のみを抜き出せばよいので、少ない充填塔数でも十分に高い効率をもって分離することが可能となる。また、第1の画分の抜き出しが行われず、第2の画分の全量抜き出しであるから、抜き出し側の流量制御手段や格別な背圧制御手段も不要である。
【0015】
第5の工程では、溶離液に加えて原液が供給され、第4の工程と同様に、系内の特定位置の遮断および第2の画分の全量抜き出しが行われる。つまり、第5の工程では、系内に、分離処理されるべき原液が補給されつつ、溶離液と原液の混合液が系内を移動されて所定の抜出位置から第2の画分の全量が抜き出される。この第5の工程においても、第1の画分の抜き出しは行われず、第2の画分の分離に的を絞った第2の画分のみの全量抜き出しであるから、充填塔数は少なくてすみ、抜き出し側の流量制御手段や格別な背圧制御手段も不要である。また、原液の供給が溶離液の供給と併行して行われるから、各液の供給が時間的に重複して行われることになり、時間的に別々に行われる場合に比べ、両液供給のためのトータル時間が大幅に短縮される。これは、クロマト分離装置における1サイクルの処理時間の大幅な短縮につながる。
【0016】
このように、本発明に係るクロマト分離装置においては、第1の工程あるいは第4の工程で、溶離液の供給と第1あるいは第2の画分の全量抜き出しが行われ、第2の工程あるいは第5の工程で、溶離液の供給に加えて原液が補給されるとともに第1あるいは第2の画分の全量抜き出しが行われ、第3の工程で、溶離液と原液の混合液が系内を循環移動されて、第1および第2の画分への分離が促進され、少ない充填塔数であっても十分に高い分離効率が得られるようになる。そして、本発明に係るクロマト分離装置が、上記5つの工程のうち、少なくとも第3の工程と第2または第5の工程を含むことにより、少ない充填塔数でかつ抜き出し側に特別な流量制御手段や背圧制御手段の不要な簡素な装置構成でありながら、抜き出し対象となる画分が高い分離効率をもって分離されるとともに、分離処理1サイクルの時間が大幅に短縮される。
【0017】
たとえば、本発明に係るクロマト分離装置が第3の工程と第2の工程を含んでいれば、第3の工程で高い分離効率が確保され、第2の工程で原液の補給が確保されるとともに第1の画分分離のための処理時間の短縮が達成される。クロマト分離装置が第3の工程と第5の工程を含んでいれば、第3の工程で高い分離効率が確保され、第5の工程で原液の補給が確保されるとともに第2の画分分離のための処理時間の短縮が達成される。そしていずれの場合にも、第1の画分あるいは第2の画分の全量抜き出しにより、抜き出し側の流量制御や背圧制御機構が大幅に簡素化され、しかも、原液供給量が僅かな場合であっても溶離液の供給とともに行われることにより、安定した液供給、液抜き出しが確保される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係るクロマト分離装置1を示しており、単位充填塔の数が4塔の装置の例を示している。クロマト分離装置1で原液タンク2からの原液3の分離処理を行う。クロマト分離装置1は、4つの単位充填塔4(No.1〜No.4充填塔)を備えており、各充填塔4内には、原液3中に含まれる2成分以上の成分中の特定成分に対し選択的吸着能力を有する吸着剤5が充填されている。各充填塔4は、配管6により、各充填塔4の出口から隣接する充填塔4の入口へと連結されて、全体として直列に連結されており、最後部の単位充填塔4(たとえば、図1におけるNo.4充填塔4)の出口から最前部の単位充填塔4(たとえば、図1におけるNo.1充填塔4)の入口へと配管6で連結されることにより、全単位充填塔4が無端に連結されている。したがって、この全単位充填塔4が無端に連結された系7は、流体が矢印方向に循環可能な系として形成されている。
【0019】
上記系7内のいずれか適当な部位に、循環ポンプPRが配設されている。また、系7内の各隣接充填塔4間の部位には、それよりも循環方向下流側の充填塔4に対し系7を遮断可能な遮断弁R1、R2、R3、R4が設けられている。各遮断弁R1〜R4と、その上流側に位置する各充填塔4の出口との間には、吸着剤5に対し吸着能力の低い非吸着物質を多く含む第1の画分の抜き出しライン8がそれぞれ分岐され、各抜き出しライン8には、各ラインを開閉可能な第1の画分抜出弁A1、A2、A3、A4が設けられている。各抜き出しライン8は、合流されて一つの第1の画分合流管9にまとめられている。また、同様に、吸着剤5に対し吸着能力の高い吸着物質を多く含む第2の画分の抜き出しライン10がそれぞれ分岐され、各抜き出しライン10には、各ラインを開閉可能な第2の画分抜出弁C1、C2、C3、C4が設けられている。各抜き出しライン10は、合流されて一つの第2の画分合流管11にまとめられている。
【0020】
系7には、系7内の圧力が予め設定した所定圧以上にはならないように、異常高圧逃がし用に安全弁12(又はリリーフ弁)が設けられている。また、各単位充填塔4間には、逆流防止用の逆止弁13が設けられている。
【0021】
系7内には、原液3と、溶離液タンク14に収容された溶離液15が供給可能となっている。原液3は、本実施態様では、供給流量の制御が可能な原液供給ポンプPFにより、原液供給ライン16を介して供給され、供給圧が設定圧以上になるとリリーフ弁17によってタンク2に戻される。原液供給ライン16は、各分岐供給ライン18に分岐され、原液は各分岐供給ライン18を介して各単位充填塔4の入口側に供給可能となっている。各分岐供給ライン18には、開閉可能な原液供給弁F1、F2、F3、F4が設けられており、開弁された原液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔に原液が供給される。なお、原液供給ポンプの安定運転のために原液が供給されない工程でも原液供給ポンプを作動させておきたい場合は、原液供給弁の手前に原液循環ラインを設けて原液タンクに戻すようにしてもよい。
【0022】
溶離液15は、本実施態様では、供給流量の制御が可能な溶離液供給ポンプPDにより、溶離液供給ライン19を介して供給され、供給圧が設定圧以上になるとリリーフ弁20によってタンク14に戻される。溶離液供給ライン19は、各分岐供給ライン21に分岐され、溶離液は各分岐供給ライン21を介して各単位充填塔4の入口側に供給可能となっている。各分岐供給ライン21には、開閉可能な溶離液供給弁D1、D2、D3、D4が設けられており、開弁された溶離液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔4に溶離液が供給される。
【0023】
このように構成されたクロマト分離装置1において、分離処理は次のように行われる。すなわち、このクロマト分離装置1では、5つの工程の運転が可能となっており、そのうち少なくとも第3の工程と、第2または第5の工程を含むように運転される。
【0024】
第1の工程では、いずれかの遮断弁Rが閉じられた状態で、いずれかの溶離液供給弁Dが開かれて溶離液が対応する単位充填塔4の入口側から系7内に供給され、そのときの第1の画分の抜き出し位置に相当する第1の画分抜出弁Aが開かれ、その第1の画分抜き出しライン8を通して第1の画分の全量が抜き出される。
【0025】
第2の工程では、いずれかの遮断弁Rが閉じられた状態で、いずれかの溶離液供給弁Dと原液供給弁Fが開かれて、溶離液と原液がそれぞれ対応する単位充填塔4の入口側から系7内に供給され、そのときの第1の画分の抜き出し位置に相当する第1の画分抜出弁Aが開かれ、その第1の画分抜き出しライン8を通して第1の画分の全量が抜き出される。
【0026】
第3の工程では、一切の供給、抜き出し、遮断は行われず、原液と溶離液の混合液が系7内を循環ポンプPRにより循環移動され、系7内の液の第1の画分と第2の画分への分離が促進される。
【0027】
第4の工程では、いずれかの遮断弁Rが閉じられた状態で、いずれかの溶離液供給弁Dが開かれて溶離液が対応する単位充填塔4の入口側から系7内に供給され、そのときの第2の画分の抜き出し位置に相当する第2の画分抜出弁Cが開かれ、その第2の画分抜き出しライン10を通して第2の画分の全量が抜き出される。
【0028】
第5の工程では、いずれかの遮断弁Rが閉じられた状態で、いずれかの溶離液供給弁Dと原液供給弁Fが開かれて、溶離液と原液がそれぞれ対応する単位充填塔4の入口側から系7内に供給され、そのときの第2の画分の抜き出し位置に相当する第2の画分抜出弁Cが開かれ、その第2の画分抜き出しライン10を通して第2の画分の全量が抜き出される。
【0029】
このような第1〜第5の工程のうち、少なくとも第3の工程と、第2または第5の工程を含むように運転される。もちろん、第1〜第5の工程全てを含んでいてもよい。
【0030】
この運転の一例を、表1に示す。表1には、各弁F、D、A、Cの開閉制御状態が示されており、表中の数字は各弁の番号を示しており(たとえば、Fの項で1はF1の弁を示している)、その番号が記入されている弁が開弁されることを表している。空欄の場合には、閉弁の状態を示している。また、遮断弁Rの項では、遮断する弁(つまり、閉じる弁)の番号を示しており、たとえば「1(2)」と記述されているのは、遮断弁R1またはR2を閉じることを意味している。空欄の場合には全遮断弁Rは開かれている。さらに、循環ポンプPRの項では、丸印は作動オン状態を示しており、空欄の場合には、作動がオフとされ、系7内での必要な液の移動は循環ポンプPR内のクリアランスを介して行われ、そのときの液の抜き出しは、溶離液供給ポンプPDまたは/および原液供給ポンプPFの吐出圧を利用して行われる。
【0031】
表1において、工程No.1−1〜1−6から工程No.4−1〜4−6までが、本クロマト分離装置1における分離処理の1サイクルを示している。
【0032】
【表1】
Figure 0004632327
【0033】
工程No.1−1〜1−6についてみるに、工程1−1では、遮断弁R1またはR2が閉じられ、溶離液供給弁D3が開かれて溶離液が系7内に供給されるとともに、第1の画分抜出弁A1が開かれて、そこから第1の画分の全量が抜き出される。したがって、この工程1−1は本発明で言う第1の工程に相当している。
【0034】
工程1−2では、上記状態に加え、原液供給弁F1が開かれ、溶離液に加えて原液が系7内に供給される。したがって、この工程1−2は本発明で言う第2の工程に相当している。
【0035】
工程1−3では、弁F、D、A、Cは全て閉じられるとともに、遮断弁Rは全て開かれ、循環ポンプPRが作動されて、系7内の液が循環移動されて第1、第2の画分への分離が促進される。したがって、この工程1−3は本発明で言う第3の工程に相当している。
【0036】
工程1−4では、弁F1、D3が開かれ遮断弁R3閉じられて、系7内に溶離液と原液が供給されるとともに、第2の画分抜出弁C3が開かれて、そこから第2の画分の全量が抜き出される。したがって、この工程1−4は本発明で言う第5の工程に相当している。
【0037】
工程1−5では、工程1−4に比べ、原液供給弁F1が閉じられて、系7内には溶離液のみが供給される。したがって、この工程1−5は本発明で言う第4の工程に相当している。
【0038】
工程1−6では、工程1−3と同様の運転とされる。この工程1−6は本発明で言う第3の工程に相当している。
【0039】
以上の一連の工程1−1〜1−6は、原液、溶離液の供給位置、第1、第2の画分の抜き出し位置、および系7の遮断位置が、ある特定の位置関係をもって実行され、これら一連の工程1−1〜1−6が終了すると、その特定の位置関係を維持しつつ、各制御対象弁の位置が下流側に一つ移行され、次の一連の工程2−1〜2−6が実行される。この移行を順次行うことにより、周知の擬似移動層式クロマト分離装置としての作動が成立する。
【0040】
工程2−1〜2−6、工程3−1〜3−6、工程4−1〜4−6では、上記の如く各弁の位置が一つずつ移行された状態にて、上記工程1−1〜1−6と同様の運転が実行される。工程1−1〜4−6までが実行されると、分離処理の1サイクルが終了する。
【0041】
上記分離処理においては、原液供給ポンプPFおよび溶離液供給ポンプPDは、定流量供給制御としてもよいし、流量制御を行ってもよい。流量制御を行う場合には、たとえば溶離液のみの供給から、溶離液と原液の両液の供給に移行する場合、トータルの供給量を一定にするような制御を行うこともでき、より高精度の分離が可能となる。
【0042】
このような本実施態様に係るクロマト分離装置1では、とくに第2の工程、第5の工程(たとえば上記工程1−2、工程1−4)にて、溶離液と原液の両方が系7に供給され、そのときの抜き出し対象となる第1の画分または第2の画分の全量が抜き出されるので、抜き出し対象画分のみに的を絞って分離および抜き出すことが可能となり、両画分を同時に分離、抜き出し対象とする場合に比べ、少ない充填塔4の数で高精度の分離が可能となる。また、一つの対象画分の全量抜き出しであるから、2つの画分を同時抜き出しする場合のような抜き出し量のバランスを考慮する必要は全くなく、抜き出し側には基本的に流量制御手段や背圧制御手段は不要になる。少ない充填塔数、抜き出し側の簡素化により、クロマト分離装置1全体として大幅に簡素化される。
【0043】
また、とくに上記第2、第5の工程では、原液と溶離液の両液が時間的に重複されてともに供給されるので、別々にシリーズに供給される場合に比べ、運転時間が短縮され、分離処理1サイクルの時間が大幅に短縮される。
【0044】
さらに、第3の工程が必須とされることで、原液と溶離液の混合液が系7内を循環されて、少ない充填塔数でありながら、第1、第2の画分への十分に高い分離効率が容易に達成される。
【0045】
【実施例】
図1に示したクロマト分離装置1を用いて、グルコース52%、フルクトース42%、二糖類6%よりなる全糖濃度60%の原液を、擬似移動層クロマト分離装置で水を溶離液として用いて分離した。図1に示した装置において、各単位充填塔4は内径20mm、高さ0.9mの円筒形の充填塔4とし、各充填塔4内にカルシウム型の強酸性陽イオン交換樹脂”アンバーライト”CR1220(ロームアンドハース社製)を1.13L充填した。各単位充填塔4内は約60℃に保持した。この擬似移動層において表1の運転工程にしたがい、また、原液および水の供給量(1サイクル当たりの供給量)をそれぞれ以下の条件で運転した。
原液供給量 0.023L
水供給量 0.226L
グルコース 区分液抜出量 0.136L
フルクトース区分液抜出量 0.113L
循環量 0.754L
1サイクルあたりの時間 0.40 H
定常状態において抜き出されたグルコース区分液(非吸着質画分:第1の画分)およびフルクトース区分液(吸着質画分:第2の画分)の糖組成を表2に示す。また、その回収率を表3に示す。
【0046】
【表2】
Figure 0004632327
【0047】
【表3】
Figure 0004632327
【0048】
表1、表2から明らかなように、4塔と少ない単位充填塔数であり、かつ、簡素な装置構成でありながら、高い分離効率、高い回収率を達成できた。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の擬似移動層式のクロマト分離装置によれば、充填塔数が少なく抜き出し側の構造が簡単な、全体として小型かつ簡素でしかも安価な装置でありながら、高い分離性能を得ることができる。また、分離処理1サイクルの大幅な時間短縮も同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係るクロマト分離装置の機器系統図である。
【符号の説明】
1 クロマト分離装置
2 原液タンク
3 原液
4 単位充填塔
5 吸着剤
6 配管
7 系
8 第1の画分抜き出しライン
9 第1の画分合流管
10 第2の画分抜き出しライン
11 第2の画分合流管
14 溶離液タンク
15 溶離液
16 原液供給ライン
18 原液分岐供給ライン
19 溶離液供給ライン
21 溶離液分岐供給ライン
PR 循環ポンプ
A1、A2、A3、A4 第1の画分抜出弁
C1、C2、C3、C4 第2の画分抜出弁
PF 原液供給ポンプ
PD 溶離液供給ポンプ
F1、F2、F3、F4 原液供給弁
D1、D2、D3、D4 溶離液供給弁
R1、R2、R3、R4 遮断弁

Claims (2)

  1. 原液中に含まれる2成分以上の成分中の特定成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔を配管で直列に連結するとともに、最後部の単位充填塔と最前部の単位充填塔を配管で連結することにより全単位充填塔を無端に連結した流体を循環可能な系を形成し、該系に対し、原液と溶離液を供給するとともに、吸着剤に対し吸着能力の低い非吸着物質を多く含む第1の画分と、吸着剤に対し吸着能力の高い吸着物質を多く含む第2の画分とを、互いに異なる位置から抜き出し、かつ、原液供給位置、溶離液供給位置、第1の画分の抜出位置、第2の画分の抜出位置を、一定の位置関係に保ちながら系の流体循環方向下流側に順次移動させるようにした擬似移動層式のクロマト分離装置において、第1の画分の抜出位置よりも下流側の単位充填層を遮断して溶離液を供給するとともに第1の画分の全量を抜き出す第1の工程、第1の画分の抜出位置よりも下流側の単位充填層を遮断して溶離剤および原液を供給するとともに第1の画分の全量を抜き出す第2の工程、一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに系内の液を移動させる第3の工程、第2の画分の抜出位置よりも下流側の単位充填層を遮断して溶離剤を供給するとともに第2の画分の全量を抜き出す第4の工程、第2の画分の抜出位置よりも下流側の単位充填層を遮断して溶離剤および原液を供給するとともに第2の画分の全量を抜き出す第5の工程を、任意の組み合わせをもって制御可能に構成し、かつ、前記5つの工程のうち少なくとも第3の工程と第2または第5の工程を含むことを特徴とするクロマト分離装置。
  2. 原液供給流量制御手段および溶離液供給流量制御手段を有する、請求項1のクロマト分離装置。
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