JP3775555B2 - プリンタ、プリントシステム、プリンタの処理監視方法 - Google Patents
プリンタ、プリントシステム、プリンタの処理監視方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタの技術に関し、特に、プリンタに投入されたプリントジョブデータの印刷処理状況をユーザに提示するための技術に関する。
【従来技術】
近年、ネットワーク技術の発達に伴い、プリンタは、LANなどのネットワークに接続され、複数のホストコンピュータによって共用されるようになった。
【0002】
このようなネットワーク対応型のプリンタは、ホストコンピュータとの間で所定の通信プロトコルに従った通信を行うことで、プリントジョブデータを受信し、これを内部のバッファ装置(プリントスプーラ)に記憶する。プリンタは、このバッファ装置に記憶したプリントジョブデータを読み出し、解釈してイメージデータを生成し、これをイメージメモリに展開する。そして、プリンタは、イメージメモリ上に展開されたイメージデータを印刷実行部分である印刷エンジンに供給する。これにより、プリンタは、印刷記録媒体(用紙)に対する印刷を実現する。
【発明が解決しようとする課題】
ネットワーク対応型のプリンタは、複数のホストコンピュータからプリントジョブデータをそれぞれ受信した場合には、それらをバッファ装置に順に記憶した後、印刷処理を行っている。
【0003】
この場合、ユーザは、現在プリントアウトされている印刷記録媒体がどのホストコンピュータからのプリントジョブデータであるかを、ホストコンピュータ上で確認することはできなかった。また、ユーザは、印刷に際して自身が投入したプリントジョブデータが、現在、どの段階の印刷処理を経ているのかを確認することができなかった。
【0004】
そこで、本発明は、ホストコンピュータから送信されるプリントジョブデータに対する印刷処理の状況を管理するプリンタを提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、このようなプリントジョブデータに対する印刷処理の状況を管理するプリンタにおいて、ホストコンピュータから送信される、特定のプリントジョブデータに対する印刷処理の状況に関する問い合わせに対して応答し、ユーザにその印刷処理の状況を提示することのできるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のように特定される。
【0006】
すなわち、本発明は、ホストコンピュータから送られる、所定の識別情報を有するプリントジョブデータに対して所定の印刷処理を行うプリンタであって、前記ホストコンピュータから送られるジョブ情報の取得要求を受け取った場合に、前記取得要求によって指定される所定の識別情報に対応するプリントジョブデータのジョブ情報を、前記ホストコンピュータに返答することを特徴とするプリンタである。
【0007】
より具体的には、本発明は、第1の識別情報を有するプリントジョブデータを受信するために、ホストコンピュータとの間で通信を行う第1の通信手段と、前記第1の通信手段によって受信されるプリントジョブデータに基づいて所定の印刷処理を行い、前記所定の印刷処理に基づく所定のジョブ情報を出力する印刷処理手段と、前記印刷処理手段によって出力されるジョブ情報を、前記プリントジョブデータごとに記憶するジョブ情報記憶手段と、前記ホストコンピュータとの間で前記ジョブ情報に関する通信を行う第2の通信手段と、前記第2の通信手段によって受信される所定の取得要求に基づいて、前記ジョブ情報記憶手段から所定のジョブ情報を読み出して、前記第2の通信手段に出力する印刷管理手段とを備えたことを特徴とするプリンタである。
【0008】
ここで、前記印刷処理手段は、前記第1の通信手段からプリントジョブデータを受け取った場合に、前記プリントジョブデータに第2の識別情報を割り当て、前記ジョブ情報記憶手段は、前記第2の識別情報に対応する所定の領域に前記プリントジョブデータのジョブ情報を記憶する。これにより、プリンタは、第2の識別情報に従ってプリントジョブデータを管理することができる。
【0009】
また、前記印刷管理手段は、前記所定の取得要求が前記第2の識別情報の取得要求である場合に、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とを関連付けて、前記第2の通信手段に出力することが好ましい。これにより、ホストコンピュータは、自身内の第1の識別情報に対応するプリンタ内の第2の識別情報を取得することができる。
【0010】
さらに、前記印刷管理手段は、前記第2の識別情報に従って前記ジョブ情報記憶手段から前記ジョブ情報を読み出すことが好ましい。
【0011】
また、前記印刷処理手段は、前記プリントジョブデータに対する印刷処理の進捗の度合いを示す情報をジョブ情報として出力することが好ましい。さらにまた、前記印刷処理手段は、前記プリントジョブデータに対する印刷処理に要する消費に関する情報をジョブ情報として出力することが好ましい。なお、印刷処理に要する消費に関する情報は、例えば、トナーの消費量、用紙の消費量などが上げられる。
【0012】
また、本発明は、アプリケーションプログラムから送られるアプリケーションデータに基づいてプリントジョブデータを生成する生成手段と、前記生成手段によって生成されるプリントジョブデータに対して第1の識別情報を割り当てる割当手段と、前記生成手段によって生成されたプリントジョブデータを、前記割当手段によって割り当てられた第1の識別情報とともにプリンタに送る送信手段と、前記割当手段により割り当てられた第1の識別情報に基づいて、前記プリンタから前記プリントジョブデータのジョブ情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得されたジョブ情報をユーザに提示するユーザインターフェース手段と、を備えたことを特徴とするホストコンピュータである。
【0013】
さらに、本発明は、ホストコンピュータに所定の機能を実現させるプログラムとしても成立する。具体的には、本発明は、ホストコンピュータに所定の機能を実現する制御プログラムを記録した記録媒体であって、前記制御プログラムは、アプリケーションプログラムから送られるアプリケーションデータに基づいてプリントジョブデータを生成する生成手段と、前記生成手段によって生成されるプリントジョブデータに対してジョブ識別情報を割り当て、前記プリントジョブデータとともにジョブ識別情報をプリンタに対して出力する割当手段と、前記割当手段により割り当てられたジョブ識別情報に基づいて、前記プリンタから前記プリントジョブデータのジョブ情報を取得する取得手段と、を備えたことを特徴とする制御プログラムを記録した記録媒体であってもよい。これらの手段は、1つのプリンタドライバとして構成され、または、複数のモジュールとして構成される。
【0014】
また、本発明は、ホストコンピュータとプリンタとを備えたプリントシステムであって、前記ホストコンピュータは、アプリケーションプログラムから送られるアプリケーションデータに基づいてプリントジョブデータを生成する生成手段と、前記生成手段によって生成されるプリントジョブデータに対して第1の識別情報を割り当てる割当手段と、前記生成手段によって生成されたプリントジョブデータを、前記割当手段によって割り当てられた第1の識別情報とともに前記プリンタに送る送信手段と、前記割当手段により割り当てられた第1の識別情報に基づいて、前記プリンタから前記プリントジョブデータのジョブ情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得されたジョブ情報をユーザに提示するユーザインターフェース手段と、を備え、前記プリンタは、前記ホストコンピュータから送られるプリントジョブデータに基づいて所定の印刷処理を行い、前記所定の印刷処理に基づく所定のジョブ情報を出力する印刷処理手段と、前記印刷処理手段によって出力されるジョブ情報を、前記プリントジョブデータごとに記憶するジョブ情報記憶手段と、前記ホストコンピュータから送られる所定の取得要求に基づいて、前記ジョブ情報記憶手段から所定のジョブ情報を読み出して、前記ホストコンピュータに対して出力する印刷管理手段とを備えたことを特徴とするプリントシステム。
【0015】
また、本発明は方法の発明としても成立する。具体的には、本発明は、ホストコンピュータから第1の通信プロトコルに従って第1の識別情報を有するプリントジョブデータを受け取り、前記受信したプリントジョブデータに基づいて所定の印刷処理を行うとともに、前記所定の印刷処理に基づく所定のジョブ情報を出力し、前記出力したジョブ情報を、前記プリントジョブデータごとに記憶しておき、前記ホストコンピュータから第2の通信プロトコルに従って所定の取得要求を受け取り、前記所定の取得要求に基づいて前記ジョブ情報記憶手段から所定のジョブ情報を読み出し、前記読み出した所定のジョブ情報を前記ホストコンピュータに送ることを特徴とするプリンタの制御方法である。
【0016】
なお、前記記録媒体とは、例えば、ハードディスク(HD)、DVD−RAM、フレキシブルディスク(FD)やCD−ROM等のほかに、RAMやROM等のメモリを含む。また、前記ホストコンピュータとは、例えば、CPUやMPUといったいわゆる中央処理装置がプログラムを解釈することで所定の処理を行う、いわゆるマイクロコンピュータや制御装置等をも含む。
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係るプリントシステムの全体構成を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、本実施形態に係るプリントシステムは、ネットワークNを介して相互に接続されたホストコンピュータ1とプリンタ2とによって構成される。なお、同図では、それぞれ代表する1台のみを示している。
【0018】
ホストコンピュータ1は、アプリケーションプログラムの実行体(以下「アプリケーション」という。)11と、アプリケーション11との間でユーザが対話的に操作を行うためのユーザインターフェース部(以下「ユーザI/F部」という。)12と、アプリケーション11が扱うデータをプリントジョブデータに変換するプリンタドライバの実行体(以下「プリンタドライバ」という。)13と、ネットワーク通信を行うための通信インターフェース部(以下「通信I/F部」という。)14a、プリンタ2に投入したプリントジョブデータの印刷状況をプリンタ2から取得する監視プログラム15とを備える。
【0019】
一方、プリンタ2は、ネットワーク通信を行うための通信I/F部14bと、ネットワークNを介してホストコンピュータ1から送られるプリントジョブデータに従って印刷処理を行う印刷処理部16と、印刷処理部16から出力される印刷処理の状況を記憶し、ホストコンピュータ1の監視プログラム15からの印刷処理の状況に関する問い合わせに応答して、その状況をホストコンピュータ1に返答するための印刷管理部17とを備える。
【0020】
アプリケーション11は、典型的には、テキストデータやイメージデータを作成・編集することのできるワードプロセッサなどであり、図示しないCPUが、オペレーティングシステムの制御の下、アプリケーションプログラムを実行することにより、他のハードウェアと共働してその機能を実現する。ユーザI/F部12は、典型的には、ディスプレイ、キーボード、マウスなどのハードウェア並びにこれらのハードウェアを制御する制御プログラム(デバイスドライバと呼ばれることもある。)およびオペレーティングシステムなどから構成され、ユーザとの間の対話的な操作を実現する。プリンタドライバ13は、アプリケーション11上のデータを、特定のプリンタ1が解釈するためのプリントジョブデータに変換する。監視プログラム15は、プリンタ2に投入したプリントジョブデータに対する印刷処理の状況を監視(モニタリング)するための機能を有し、典型的にはいわゆるデーモンプログラムとして動作する。通信I/F部14は、LANドライバおよび各種ハードウェアによって実現され、所定の通信プロトコルに従って、ネットワーク通信を行う。本実施形態における通信I/F部14は、ホストコンピュータ1がプリントジョブデータをプリンタ2に送り込む(投入する)ための第1の通信プロトコルと、ホストコンピュータ1がプリンタ2内のプリントジョブデータに対する印刷処理の状況を監視するための第2の通信プロトコルとを備えることが好ましい。より具体的には、通信I/F部14は、例えば、TCP/IPベース上では、プリントジョブデータの送信(投入)にlprを用い、プリントジョブデータの監視のための通信にSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いることができる。なお、SNMPは、RFC(Request For Comments)1157に記述されている。
【0021】
印刷処理部16は、ホストコンピュータ1から送られるプリントジョブデータを解釈してイメージデータを生成し、これをプリントエンジンに供給することにより、印刷を実現する。印刷管理部17は、印刷処理部16の実行により得られる印刷処理の状況に関する情報(以下「ジョブ情報」という。)を管理するとともに、ホストコンピュータ1からの問い合わせに応答して、このジョブ情報をホストコンピュータ1に返答する。この印刷管理部17の詳細については、後述する。
【0022】
図2は、本実施形態に係るホストコンピュータ1の構成を示すブロックダイアグラムである。同図は、図1に示したプリンタドライバ13、通信I/F部14aおよび監視プログラム15をより詳細に示したものである。同図において、ジョブ生成部131は、印刷しようとするデータをアプリケーション11から受け取ると、プリンタ2が解釈可能なプリントジョブデータを生成する。ジョブ生成部132は、生成したプリントジョブデータをジョブID生成部132に送る。ジョブID割当部132は、送られてきたプリントジョブデータに対するジョブIDを発行し、割り当てる。ジョブIDは、各ホストコンピュータ1内でユニークに識別される情報であり、例えば、英数字の組み合わせで表現される。ジョブID割当部132は、ジョブIDを割り当てたプリントジョブデータを通信I/F部14のジョブ投入I/F部141aに送るとともに、割り当てたジョブIDをジョブ監視マネージャ151に通知する。ジョブ監視マネージャ151は、通知されたジョブIDをジョブDB152に格納する。また、ジョブ監視マネージャ151は、ジョブDB152に格納されているジョブIDに対応するプリントジョブデータのジョブ情報をプリンタ2から取得して、これをユーザI/F部12に送る。ジョブDB152は、図3に示すように、ジョブIDとインデックス番号とを対応付けて記憶する。ここで、インデックス番号は、プリンタ2自身がプリントジョブデータをユニークに識別するための情報である。つまり、ジョブIDは各ホストコンピュータ内ではユニークであっても、プリンタ2には任意のホストコンピュータからプリントジョブデータが到着するため、プリンタ2内ではユニークでない場合も想定される。従って、プリンタ2は、ホストコンピュータ1から受け取ったプリントジョブデータに対して自身の中でユニークな識別情報として、インデックス番号を割り当てている。このインデックス番号は、後述するように、ジョブ監視マネージャ151によってプリンタ2から取得される。通信I/F部14は、プリントジョブデータをプリンタ2に送り込むための通信を行うジョブ投入I/F部141aおよびジョブ情報に関する通信を行うジョブ情報I/F部142aを備える。ジョブ投入I/F部141aは、ジョブIDが割り当てられたプリントジョブデータをプリンタ2に送り込むために、例えばlprなどによってプリンタ2のジョブ投入I/F部141bとの間で通信を行うものである。一方、ジョブ監視I/F部142aは、プリンタ2から特定のプリントジョブデータに関するジョブ情報を取得するために、好ましくは、SNMPによってプリンタ2のジョブ監視I/F部142bとの間で通信を行うものである。
【0023】
図4は、本実施形態に係るプリンタ2の構成を示すブロックダイアグラムである。同図において、ジョブ投入I/F部141bおよびジョブ監視I/F部142bは、図2に示したホストコンピュータ1のジョブ投入I/F部141aおよびジョブ監視I/F部142aに対応し、これらとの間で、ネットワーク通信を行う。
【0024】
印刷処理部16は、典型的には、ジョブバッファ部161と、イメージ生成部162と、エンジン制御部163と、プリントエンジン164とを備える。ジョブバッファ部161は、ジョブ投入I/F部141a,141bを介してホストコンピュータ1からプリントジョブデータを受け取ると、プリントジョブデータごとに記憶する。ジョブバッファ部161は、プリントジョブデータを記憶すると、このプリントジョブデータに対するジョブ情報をジョブ情報記憶部162の所定の領域に出力する。具体的には、ジョブバッファ部161は、まず、プリンタ内で固有のインデックス番号を発行する。インデックス番号は、例えば、0〜232−1までの整数値であり、1つずつカウントアップされる。このインデックス番号は、プリンタ2の電源がOFFになっても現在値がリセットされないように、不揮発性RAMに保持される。次に、ジョブバッファ部161は、このインデックス番号で管理されるジョブ情報記憶部162の所定の領域に、そのプリントジョブデータに割り当てられているジョブIDおよびそのプリントジョブデータに対する印刷処理のステータス情報(以下「ジョブの状態」という。)をジョブ情報として出力する。この場合、ジョブの状態は、プリントジョブデータが印刷待機中であることを示す値(例えば、“1”)が出力される。イメージ生成部162は、ジョブバッファ部161に記憶されたプリントジョブデータを順次読み出してこれを解釈し、ラスタ形式のイメージデータに変換し、図示しないイメージメモリに展開する。プリンタ2がカラー対応である場合には、イメージ生成部162は、CMYK各色のイメージデータを生成することになる。イメージ生成部162は、イメージデータの生成処理を開始した場合には、ジョブ情報記憶部162に記憶されたそのプリントジョブデータのジョブの状態を、印刷中であることを示す値(例えば、“2”)に変更する。エンジン制御部163は、イメージメモリに展開されたイメージデータを読み出して、プリントエンジン164に送出する。プリントエンジン164は、印刷記録媒体に印刷を行うものである。プリントエンジン164は、例えばレーザプリンタであれば、レーザ照射機構や感光体ドラム、熱定着機構、用紙送り機構等により構成される。エンジン制御部163は、プリントエンジン164に送出する際に得られるジョブ情報をジョブ情報記憶部162に出力する。エンジン制御部163が出力するジョブ情報は、トナー(インク)の消費量や用紙サイズ、用紙の消費枚数などである。また、カラー印刷の場合には、トナーの消費量は、YMCK各色ごとにジョブ情報記憶部162に出力される。エンジン制御部163は、また、プリントエンジン153による印刷が正常に終了した場合には、ジョブの状態として正常印刷終了であることを示す値(例えば、“3”)を出力する。
【0025】
ジョブ監視エージェント171は、ジョブ情報I/F部142bから送られるジョブ情報取得要求に対して、ジョブ情報記憶部172の所定の記憶領域からジョブ情報を抽出し、これをジョブ情報I/F部142bに返答する。ジョブ情報記憶部172は、印刷処理部16の各部から送られるジョブ情報をプリントジョブデータごとに記憶する。
【0026】
図5は、ジョブ情報記憶部172に記憶されるジョブ情報の一例を示している。ジョブ情報は、「インデックス番号」、「ジョブID」、「ジョブの状態」、「印刷面数」、YMCKごとの「トナー消費量」および「用紙サイズ/消費枚数」の要素から構成されるが、これに限る趣旨ではない。「インデックス番号」は、上述したように、プリンタ自身の中でプリントジョブデータを識別するためのものである。「ジョブID」は、ホストコンピュータ1によって割り当てられたホストコンピュータ1自身の中でプリントジョブデータを識別するためのものである。つまり、ホストコンピュータ1ごとに固有のジョブIDが割り当てられた場合であっても、複数のホストコンピュータ1に共用されるプリンタ2ではジョブIDの衝突が生じる可能性があるため、プリンタ2は、インデックス番号によってプリントジョブデータを識別する。「ジョブの状態」は、投入されたプリントジョブデータに対する印刷処理の進捗の状況を示すものである。進捗の状況は、例えば、印刷待機中、印刷中、印刷終了または中断終了などがあり、それぞれ数値で示されるものとする。「印刷面数」は、エラーなく正常に印刷した面数(ページ数)である。「トナー消費量」は、イメージデータに基づいて算出され、またはプリントエンジン機構に設けられたトナー残量センサによって示されるトナーの消費量である。「用紙サイズ/消費枚数」は、用紙サイズごとの消費枚数、つまり、排出される紙の枚数である。ジョブ情報記憶部172は、プリントジョブデータごとに記憶領域を確保し、そこにジョブ情報を記憶する。なお、本実施形態においては、ジョブ情報記憶部172は、16個の記憶領域を有し、直近に投入された16個分のプリントジョブデータのジョブ情報を記憶するものとする。
【0027】
図6は、印刷処理部16の各部がジョブ情報記憶部172にジョブ情報をセットする様子を示している。すなわち、ジョブバッファ部161は、プリントジョブデータを記憶した場合、「インデックス番号」、「ジョブID」、「ジョブの状態」および「印刷面数」をそれぞれセットする(同図(a))。次に、イメージ生成部151がイメージデータを生成し始めた時点で、イメージ生成部151は「ジョブの状態」を“2”にセットする(同図(b))。そして、エンジン制御部163は、プリントジョブデータに基づく印刷中の間、ジョブ情報記憶部172の内容を適宜更新する(同図(c))。
【0028】
本実施形態に係るプリントシステムは、ホストコンピュータ1がプリンタ2のジョブ情報を監視できるようにするために、SNMPを用いるものとする。つまり、ホストコンピュータ1上に構成されるSNMPマネージャは、ジョブ監視マネージャ151、ジョブDB152およびジョブ監視I/F部142aによって実現される。一方、プリンタ2上に構成されるSNMPエージェントは、ジョブ監視エージェント171、ジョブ情報記憶部172およびジョブ監視I/F部142bによって実現される。SNMPでは、管理情報が記述されるデータベースの構造は、MIB(Management Information Base)によって規定される。つまり、本実施形態におけるジョブ情報の各要素は、MIBにおける各オブジェクトに対応する。図7は、本実施形態において定義されたMIB構造の一部を示している。なお、同図において、MIB構造の上位空間は、省略されているものとする。図6に示したジョブ情報の各要素は、オブジェクトIDによって特定される。SNMPマネージャは、取得しようとするジョブ情報のオブジェクトIDを指定し、SNMPエージェントに所定の取得要求を送ることによって、SNMPエージェントから所望のジョブ情報を取得することができる。
【0029】
例えば、SNMPマネージャがSNMPエージェントから所定のジョブID“dfA204”に対するインデックス番号を取得する場合には、SetRequestコマンドにより、オブジェクトID“1.3.6.1.0”に“dfA204”をセットする。次に、SNMPマネージャは、GetRequestコマンドにより、オブジェクトID“1.3.6.2.0”を送ると、SNMPエージェントからGetResponceコマンドにより、“dfA204=5”が返答される。これにより、SNMPマネージャはインデックス番号を取得することができる。なお、SNMPマネージャは、自身が送ったジョブIDとSNMPエージェントから取得したジョブIDとを比較して、これらが一致していないと判断する場合には、一致するまで上記処理を繰り返す。
【0030】
SNMPマネージャは、インデックス番号を取得した場合には、このインデックス番号を用いてオブジェクトIDを指定し、GetRequestコマンドにより、ジョブ情報を収集する。例えば、SNMPマネージャは、GetRequestコマンドにより、オブジェクトID“1.3.6.4.5”を送ると、SNMPエージェントからGetResponceコマンドにより、ジョブの状態として“2”を取得する。また、SNMPマネージャは、GetRequestコマンドにより、オブジェクトID“1.3.6.3.5”を送ると、SNMPエージェントからGetResponceコマンドにより、正常に印刷された面数として“8”を取得する。以後、SNMPマネージャは、必要なだけ上記処理を繰り返し、ジョブ情報を収集する。
【0031】
図8は、ホストコンピュータ1によるプリントジョブデータの投入処理を説明するためのフローチャートである。まず、ジョブ生成部131は、アプリケーション11からデータが引き渡されると、これをプリントジョブデータに変換する(STEP801)。次に、ジョブID割当部132は、ジョブIDを発行し、これをプリントジョブデータとともに通信I/F部14に送り(STEP802)、また、ジョブ監視エージェント133に通知する。そして、ジョブ監視エージェント133は、ジョブIDをジョブDB152に登録する(STEP803)。
【0032】
図9は、ホストコンピュータ1によるジョブ情報の取得処理を説明するためのフローチャートである。ジョブ監視マネージャ151は、所定のジョブIDによって指定されるジョブ情報の取得指示をユーザI/F部12から受け取ると、まず、ジョブDB152を参照し(STEP901)、そのジョブIDに対応するインデックス番号がすでにプリンタ2から取得されているか否かをチェックする(STEP902)。ジョブ監視マネージャ151は、インデックス番号をまだ取得していないと判断する場合には、プリンタ2に対してジョブIDのセットを行い(STEP903)、プリンタ2から“ジョブID=インデックス番号”の形式で返答を受け取る(STEP904)。ジョブ監視マネージャ151は、プリンタ2に対してセットしたジョブIDとプリンタ2から取得したジョブIDとを比較し(STEP905)、これらが一致していないと判断する場合には、STEP903に移行する。ジョブ監視マネージャ151は、2つのジョブIDが一致していると判断する場合には、取得したインデックス番号をジョブID134に登録する(STEP906)。ジョブ監視マネージャ151は、インデックス番号を取得した後は、このインデックス番号を用いて、プリンタ2に対してジョブ情報の収集を行う(STEP907)。ジョブ情報の収集は、ジョブ情報の要素すべてであってよいし、ユーザに指定された要素のみでもよい。ただし、印刷処理の進捗の状況によってはすべて取得できない場合もある。ジョブ監視マネージャ151は、プリンタ2からジョブ情報を取得すると、これをユーザI/F部12に送る(STEP908)。これにより、ジョブ情報は、ユーザI/F部12によってユーザに提示され、ユーザは、指定したプリントジョブデータの現在のジョブ情報を把握することができるようになる。
【0033】
図10は、ホストコンピュータ1から送られるジョブ情報の取得要求に対するプリンタ2による応答処理を説明するためのフローチャートである。同図に示すように、ジョブ監視エージェント171は、ジョブ情報I/F部142bからジョブ情報に関する所定の要求を受け取った場合には、これがジョブIDのセット要求であるか否かを判断する(STEP1001)。ジョブ監視エージェント171は、ジョブIDのセット要求であると判断する場合には、このジョブIDをジョブ情報記憶部172の所定の記憶領域に書き込む(STEP1002)。ジョブ監視エージェント171は、STEP1001でNoと判断する場合、次に、この要求がインデックス番号の取得要求であるか否かを判断する(STEP1003)。ジョブ監視エージェント171は、インデックス番号の取得要求であると判断する場合には、ジョブIDに対するインデックス番号を検索し、“ジョブID=インデックス番号”の形式で返答する(STEP1004)。ジョブ監視エージェント171は、STEP1003でNoと判断する場合には、次に、この要求がジョブ情報の取得要求であるか否かを判断する(STEP1005)。ジョブ監視エージェント171は、ジョブ情報の取得要求であると判断する場合には、ジョブ情報記憶部172からインデックス番号に対応するプリントジョブデータのジョブ情報を検索し、これを返答する(STEP1006)。ジョブ監視エージェント171は、終了指示があるまで上記処理を繰り返す。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、プリンタ2は、ホストコンピュータ1から投入されたプリントジョブデータのジョブ情報をジョブ情報記憶部172に出力する。この場合に、プリンタ2は、プリントジョブデータごとにインデックス番号を割り当てるので、プリントジョブデータごとにジョブ情報を管理することができるようになる。
【0035】
また、本実施形態によれば、ホストコンピュータ1は、このようなジョブ情報を管理するプリンタ2に対して、所定の通信プロトコルに従って、ジョブ情報の取得要求を行い、プリンタ2は、この取得要求に応答して所定のジョブ情報をホストコンピュータ1に返答する。これにより、ホストコンピュータ1は、特定のプリントジョブデータに対するジョブ情報をプリンタ2から取得することができることになる。
【0036】
特に、本実施形態では、SNMPを用いてジョブ情報に関する通信を行うので、ホストコンピュータ1は、複雑な機構を必要とすることなく、きわめて簡単に、プリンタ2からジョブ情報を取得することができる。
【0037】
上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を上記実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。例えば、上記機能実現手段の動作をシーケンシャルに説明したが、特にこれにこだわるものではない。従って、動作に矛盾が生じない限り、処理の順序を入れ替えまたは並行動作するように構成しても良い。
【0038】
また、上記実施形態は、プリンタドライバ13と監視プログラム15とをそれぞれ独立の実行体として説明したがこれにこだわるものではない。例えば、プリンタドライバ13は、アプリケーション11上のデータを、特定のプリンタ1が解釈するためのプリントジョブデータに変換するとともに、プリンタ2における印刷処理の状況を監視するように構成しても良い。
【発明の効果】
本発明によれば、ホストコンピュータは、プリンタに送ったプリントジョブデータに対する印刷処理の状況を取得することができる。これにより、ユーザは、プリンタに送った自身のプリントジョブデータに対する印刷処理の状況を把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリントシステムの全体構成を示すブロックダイアグラム
【図2】ホストコンピュータ1の構成を示すブロックダイアグラム
【図3】ジョブDB154の内容を示す図
【図4】プリンタ2の構成を示すブロックダイアグラム
【図5】ジョブ情報の一例を示す図
【図6】印刷処理部16がジョブ情報記憶部172にジョブ情報をセットする様子を示す図
【図7】MIB構造の一部を示す図
【図8】ホストコンピュータ1によるプリントジョブデータの投入処理を説明するためのフローチャート
【図9】ホストコンピュータ1によるジョブ情報の取得処理を説明するためのフローチャート
【図10】ジョブ情報取得要求に対するプリンタ2による応答処理を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
1…ホストコンピュータ
2…プリンタ
11…アプリケーションプログラム
12…ユーザインターフェース部
13…プリンタドライバ
14…通信インターフェース部
15…監視プログラム
16…印刷処理部
17…印刷管理部
Claims (10)
- 各ホストコンピュータ内でユニークに識別される第1の識別情報を有するプリントジョブデータを受信するために、ホストコンピュータとの間で通信を行う第1の通信手段と、
前記第1の通信手段によって受信されるプリントジョブデータに基づいて所定の印刷処理を行い、前記所定の印刷処理に基づく所定のジョブ情報を出力する印刷処理手段と、
前記印刷処理手段によって出力されるジョブ情報を、前記プリントジョブデータごとに前記第1の識別情報と対応付けて記憶するジョブ情報記憶手段と、
前記ホストコンピュータとの間で前記ジョブ情報に関する通信を行う第2の通信手段と、
前記第2の通信手段によって受信される所定の取得要求に基づいて、前記ジョブ情報記憶手段から所定のジョブ情報を読み出して、前記第2の通信手段に出力する印刷管理手段とを備えたことを特徴とするプリンタ。 - 前記印刷処理手段は、
前記第1の通信手段からプリントジョブデータを受け取った場合に、前記プリントジョブデータにプリンタ自身が前記プリントジョブデータをユニークに識別するための第2の識別情報を割り当て、
前記ジョブ情報記憶手段は、
前記第2の識別情報に対応する所定の領域に前記プリントジョブデータのジョブ情報を記憶することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。 - 前記印刷管理手段は、
前記所定の取得要求が前記第2の識別情報の取得要求である場合に、前記第1の識別情報と前記第2の識別情報とを関連付けて、前記第2の通信手段に出力することを特徴とする請求項2記載のプリンタ。 - 前記印刷管理手段は、
前記第2の識別情報に従って前記ジョブ情報記憶手段から前記ジョブ情報を読み出すことを特徴とする請求項3記載のプリンタ。 - 前記印刷処理手段は、
前記プリントジョブデータに対する印刷処理の進捗の度合いを示す情報をジョブ情報として出力することを特徴とする請求項1乃至4記載のプリンタ。 - 前記印刷処理手段は、
前記プリントジョブデータに対する印刷処理に要する消費に関する情報をジョブ情報として出力することを特徴とする請求項1乃至5記載のプリンタ。 - アプリケーションプログラムから送られるアプリケーションデータに基づいてプリントジョブデータを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成されるプリントジョブデータに対して各ホストコンピュータ内でユニークに識別される第1の識別情報を割り当てる割当手段と、
前記生成手段によって生成されたプリントジョブデータを、前記割当手段によって割り当てられた第1の識別情報とともにプリンタに送る送信手段と、
前記割当手段により割り当てられた第1の識別情報に基づいて、前記プリンタから前記プリントジョブデータのジョブ情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得されたジョブ情報をユーザに提示するユーザインターフェース手段と、を備えたことを特徴とするホストコンピュータ。 - ホストコンピュータに所定の機能を実現する制御プログラムを記録した記録媒体であって、前記制御プログラムは、
アプリケーションプログラムから送られるアプリケーションデータに基づいてプリントジョブデータを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成されるプリントジョブデータに対して各ホストコンピュータ内でユニークに識別されるジョブ識別情報を割り当て、前記プリントジョブデータとともにジョブ識別情報をプリンタに対して出力する割当手段と、
前記割当手段により割り当てられたジョブ識別情報に基づいて、前記プリンタから前記プリントジョブデータのジョブ情報を取得する取得手段と、を備えたことを特徴とする制御プログラムを記録した記録媒体。 - ホストコンピュータとプリンタとを備えたプリントシステムであって、
前記ホストコンピュータは、
アプリケーションプログラムから送られるアプリケーションデータに基づいてプリントジョブデータを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成されるプリントジョブデータに対して各ホストコンピュータ内でユニークに識別される第1の識別情報を割り当てる割当手段と、
前記生成手段によって生成されたプリントジョブデータを、前記割当手段によって割り当てられた第1の識別情報とともに前記プリンタに送る送信手段と、
前記割当手段により割り当てられた第1の識別情報に基づいて、前記プリンタから前記プリントジョブデータのジョブ情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたジョブ情報をユーザに提示するユーザインターフェース手段と、を備え、
前記プリンタは、
前記ホストコンピュータから送られるプリントジョブデータに基づいて所定の印刷処理を行い、前記所定の印刷処理に基づく所定のジョブ情報を出力する印刷処理手段と、
前記印刷処理手段によって出力されるジョブ情報を、前記プリントジョブデータごとに前記第1の識別情報と対応付けて記憶するジョブ情報記憶手段と、
前記ホストコンピュータから送られる所定の取得要求に基づいて、前記ジョブ情報記憶手段から所定のジョブ情報を読み出して、前記ホストコンピュータに対して出力する印刷管理手段と、
を備えたことを特徴とするプリントシステム。 - ホストコンピュータから第1の通信プロトコルに従って各ホストコンピュータ内でユニークに識別される第1の識別情報を有するプリントジョブデータを受け取り、
前記受信したプリントジョブデータに基づいて所定の印刷処理を行うとともに、前記所定の印刷処理に基づく所定のジョブ情報を出力し、
前記出力したジョブ情報を、前記プリントジョブデータごとに前記第1の識別情報と対応付けて記憶しておき、
前記ホストコンピュータから第2の通信プロトコルに従って所定の取得要求を受け取り、
前記所定の取得要求に基づいて前記ジョブ情報記憶手段から所定のジョブ情報を読み出し、
前記読み出した所定のジョブ情報を前記ホストコンピュータに送ることを特徴とするプリンタの制御方法。
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