JP3770600B2

JP3770600B2 - 水中油型化粧料

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Publication number: JP3770600B2
Application number: JP2002095117A
Authority: JP
Inventors: 利之伊藤; 泰央加川
Original assignee: Kose Corp
Current assignee: Kose Corp
Priority date: 2002-03-29
Filing date: 2002-03-29
Publication date: 2006-04-26
Anticipated expiration: 2022-03-29
Also published as: TWI318118B; CN1250193C; CN1448122A; KR100983387B1; JP2003286147A; KR20030078730A; TW200305439A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面処理された微粒子粉体を含有した水中油型化粧料に関し、更に詳しくは、使用感や安定性に優れた油中水型化粧料に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より微粒子粉体は凝集力が強く、多量の粉体分散剤を用いてビーズミル等のメディア式湿式分散処理を行い、化粧料に含有しなければならなかった。粉体分散剤として用いられるものは、高い分散性を有する高分子量の界面活性剤が優位に選択され得るが、多量に含有すると使用感触上「べたつき」や「のびが悪い」等に感じる場合があり、また逆に使用感の向上を目的として、粉体分散剤の含有量を少なくすると、粉体同士が凝集してしまい、その結果、製品の粘度上昇やゲル化、排液などの現象が生じる場合があった。
特に水中油型化粧料においては、粉体分散剤を用いると乳化系に影響を及ぼし、乳化時の乳化不良や、経時での乳化滴の凝集や合一を引き起こす事があった。
【０００３】
近年、日焼け止め化粧料等においてＳＰＦ値（紫外線防御指数）の高い商品が上市されているが、それらは紫外線吸収剤と酸化チタンや酸化亜鉛などの微粒子粉体を併用して含有させている場合が多く、ＳＰＦ値を向上させる為、微粒子粉体を高分散させた状態で含有させているのがほとんどである。また、微粒子粉体を含有させる場合、水系に分散させると使用感触上「きしみ感」等を感じる場合があり、油系に分散させる方が、感触上好ましく、さらに水中油型乳化系であれば、水々しさ等の感触も得る事が可能であり、有用である。油系に微粒子粉体を分散させる技術については、旧来より様々な提案がなされてきており、表面処理粉体とシリコン油と特定のシリコン系界面活性剤の組合せで安定な油中水型エマルジョンを得る方法として特開昭６３−２１５６１５号公報や、有機ケイ素化合物により表面処理された微粒子粉体とシリコンオイルと特定のシリコン系界面活性剤の組合せで安定な油中水型エマルジョンを得る方法として特開平２００１−２７８７３７号公報等の提案があった。しかしこれらは、油中水型であり、水々しさなどの使用感について十分満足できる化粧料を得るには困難な状況であった。また、表面処理粉体とシリコン油と特定のシリコン系界面活性剤の組合せで安定な水中油型エマルジョンを得る方法として特開昭６３−２４６３１２号公報等の提案があるが、これらについては粉体に対する表面処理剤の量が十分でない場合あり、良好な経時安定性が得られないことがあった。
【０００４】
従って、微粒子粉体を含有する水中油型化粧料においても、経時安定性に優れたものだけでなく、使用感も優れた品質の化粧料の開発が望まれていた。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機ケイ素化合物により表面処理された微粒子粉体を配合し、のびが軽く、べたつきの無い使用感に優れた、経時安定性の良好な水中油型化粧料を提供することをその課題とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
かかる事情に鑑み、本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定量の有機ケイ素化合物で表面処理した微粒子粉体、シリコンオイル、アニオン性界面活性剤及び／又はリン脂質及び水を含有する水中油型化粧料が、使用感（のびの軽さ、べたつきの無さ）に優れ、経時安定性も良好なことを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００７】
すなわち本発明は、（ａ）自重の１０〜３０質量％の有機ケイ素化合物で表面処理された微粒子粉体、（ｂ）シリコンオイル、（ｃ）アニオン性界面活性剤及び／又はリン脂質、（ｄ）水を含有する水中油型化粧料である。更に、（ｃ）成分のアニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、Ｎアシルメチルタウリン塩である水中油型化粧料である。更に、（ａ）成分中の有機ケイ素化合物が反応性アルキルポリシロキサンである水中油型化粧料である。更に、（ａ）成分中の有機ケイ素化合物が反応性アルキルポリシロキサン、及びメチルハイドロジェンポリシロキサンである水中油型化粧料である。更に、（ａ）成分の表面処理微粒子粉体を１〜３０質量％含有する水中油型化粧料である。更に、（ａ）成分の表面処理微粒子粉体が更に脂肪酸により表面処理されている水中油型化粧料である。更に、（ｂ）成分のシリコンオイルが揮発性のシリコンオイルである水中油型化粧料である。更に、（ａ）成分の表面処理微粒子粉体が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムである水中油型化粧料である。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について説明する。
本発明に用いられる成分（ａ）の有機ケイ素化合物で表面処理された微粒子粉体は、主に油系中に含有されるものであり、その目的は粉体の種類によって異なるが、紫外線の防御効果、着色、感触調整等を目的とするものである。
【０００９】
本発明に用いられる成分（ａ）の有機ケイ素化合物で表面処理された微粒子粉体において、処理される粉体（母粉体）としては１〜５００ｎｍのものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは５〜１００ｎｍである。本発明に用いられる粉体を具体的に例示するのであれば、紫外線の防御効果のある微粒子粉体として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられ、また着色剤として、酸化鉄等、感触調整剤として、無水シリカ、酸化バリウム等が挙げられる。これらの粉体の形状としては、球状、針状、紡錘状、板状、薄片状等が挙げられる。これらの中でも有機ケイ素化合物による処理効果の高い微粒子粉体としては、表面活性の強い、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムを例示する事ができる。またこれらの粉体は表面活性を低減させる事を目的として、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の無機成分により処理されていても良い。これらの有機ケイ素化合物で表面処理された微粒子粉体は、必要に応じて一種、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【００１０】
本発明に用いられる成分（ａ）の有機ケイ素化合物で表面処理された微粒子粉体の表面処理量は、自重の１０〜３０質量％（以下、単に「％」と記す）であり、より好ましくは１３〜２０％である。表面処理剤の処理量としては、自重の１０％未満では、粉体の分散媒への「ぬれ」が悪く、十分な分散性を得ることが出来ない場合があり、自重の３０％を超える場合には、過剰な表面処理剤が、系全体の経時安定性に悪影響を及ぼす場合がある。
【００１１】
本発明に用いられる成分（ａ）の有機ケイ素化合物としては、アルコキシ変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。より具体的に例示するのであれば、特開平１１−１４８０２８公報に記載の下記一般式（１）により表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、及び特開平７−１９６９４６公報記載の下記一般式（２）により表される反応性アルキルポリシロキサンが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物は必要に応じて、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【化１】

（ｍ、ｎはそれぞれ整数で、ｍ＋ｎ＝７〜５０、ｍ：ｎ＝１：０．２〜１：４）
【化２】

（Ｒは互いに独立してアルキル基（メチル、エチル、プロピル等）を表し、Ｘはアミノ水素基（ＮＨ，ＮＨ_２）、ハロゲン原子、水酸基またはアルコキシ基を表し、Ｙは直接結合、または二価の炭化水素基（メチレン、エチレン、ブチレン等）を表し、それらの水素原子はその他の置換基により置換されていてもよく、ｐは１〜３の整数を表し、そしてｑは２５ないし１００を表す）
【００１２】
本発明では、通常化粧品に用いられるシリコンオイル以外の油剤との相溶性の更なる向上を目的として有機ケイ素化合物処理剤の上に更に脂肪酸による粉体表面処理を行うことも可能である。
【００１３】
本発明に用いられる脂肪酸を具体的に例示するのであれば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等を挙げることができ、その処理量は、脂肪酸／微粒子粉体＝０．１／１０〜１／５であれば、効果を期待できる。これらの脂肪酸は必要に応じて、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【００１４】
本発明に用いられる成分（ａ）の有機ケイ素化合物表面処理微粒子粉体の含有量は、特に限定されるものではないが、１〜３０質量％（以下、単に「％」と記す）が好ましく、より好ましくは５〜２０％である。
【００１５】
本発明に用いられる成分（ｂ）のシリコンオイルは、成分（ａ）の粉体の分散性を向上させる事及びのび広がりの良さやべたつきの無さなどの使用感向上を目的として含有されるものであり、具体的に例示するのであれば、直鎖型ジメチルポリシロキサン、分岐型ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、パーフルオロポリシロキサン等であり、なかでも、分散向上性を得られやすいという観点から、粉体に処理される有機ケイ素化合物と親和性の高い不揮発性の直鎖型ジメチルポリシロキサンや揮発性の環状あるいは直鎖型のジメチルポリシロキサンを好ましいものとして挙げる事ができる。これらのシリコンオイルは必要に応じて一種、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。成分（ｂ）のシリコンオイルの含有量は、特に限定されるものではないが、１〜５０％が好ましく、より好ましくは５〜３０％である。
【００１６】
本発明に用いられる成分（ｃ）のアニオン性界面活性剤及び／又はリン脂質は、水中油型化粧料の乳化剤として含有されるものである。また成分（ｃ）のアニオン性界面活性剤及び／又はリン脂質は、成分（ａ）の有機ケイ素化合物表面処理微粒子粉体の分散安定性向上に寄与し、水中油型化粧料の経時安定性を著しく向上させる。更に、使用時のべたつきの無さなどの使用感向上にも寄与する。本発明に用いられる成分（ｃ）のアニオン性界面活性剤は、通常化粧料で使用されているものであれば特に限定されないが、具体的に例示するのであれば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸のナトリウム塩またはトリエタノールアミン塩、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウムなどのＮアシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸などのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩などが挙げられる。これらの中でも、経時安定性及び使用感向上効果の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、Ｎアシルメチルタウリン塩が好ましい。また、成分（ｃ）のリン脂質は、通常化粧料で使用されているものであれば特に限定されないが、具体的に例示するのであれば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質、大豆レシチン、卵黄レシチン、あるいはそれらの水素添加物等のリン脂質及びリン脂質・コレステロール複合体、リン脂質・フィトステロール複合体等のリン脂質複合体を挙げることができる。これらの成分（ｃ）アニオン性界面活性剤及び／又はリン脂質は、必要に応じて一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【００１７】
本発明に用いられる成分（ｃ）のアニオン性界面活性剤及び／又はリン脂質の含有量は、特に限定されるものではないが、０．１〜１０％が好ましく、より好ましくは１〜５％である。
【００１８】
本発明に用いられる成分（ｄ）の水は、水性成分の溶媒、及び感触上の水々しさを得る事を目的として含有されるものである。
【００１９】
本発明の水中油型化粧料は、上記必須成分に加え、更に通常の化粧料に用いられる成分、具体的には、上述以外の界面活性剤、水溶性高分子、多価アルコ−ル、低級アルコ−ル、酸化防止剤、殺菌剤、防腐剤、香料、ｐＨ調整剤、ワックス、油系ゲル化剤、美容成分等を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。本発明の水中油型化粧料は、通常の化粧料を製造する方法にて得られるものであり、その製造方法は、特に限定されるものではない。
【００２０】
本発明の水中油型化粧料は、上記必須成分の組合せを用いた時にのみ、優れた効果が得られるものである。すなわち、特定比率で表面処理された微粒子粉体である成分（ａ）は、成分（ｂ）であるシリコンオイルを含む油系中に、容易に分散が可能であり、感触上べたつきと感じる場合もある分散安定化剤を使用せずに、または限りなく低減させる事ができる。またアニオン性界面活性剤及び／又はリン脂質である成分（ｃ）は、成分（ａ）、（ｂ）を含む油系成分を水系中に適度に乳化する事が可能である。つまり、本発明の水中油型化粧料は、本組合せを用いた時にのみ、使用時ののびが軽く、使用後のべたつきを感じる事もなく、さらに経時安定性が良好であり、他の組合せでは成し得ない優れた機能を有するものである。
【００２１】
本発明の水中油型化粧料は、美容液、日焼け止め料、マッサージ料、メイクアップ料、メイクアップ用下地料等に適用することができる。
【００２２】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら制約されるものではない。
【００２３】
有機ケイ素化合物表面処理微粒子粉体組成例１〜８を表１に、表面処理粉体を配合した水中油型化粧料の実施例１〜６及び比較例１〜３を表２に示す。得られた水中油型化粧料について経時安定性（ゲル化）、使用感（のびの軽さ、べたつきの無さ）を評価し、結果を表２に併せて示す。
【００２４】
【表１】

【００２５】
【表２】

【００２６】
＜製造方法＞
Ａ．成分（１）〜（１１）を７０℃にて、均一に混合分散する。
Ｂ．成分（１２）〜（１６）を７０℃にて、均一に混合する。
Ｃ．Ａ成分にＢ成分を加え乳化し、冷却して水中油型化粧料を得る。
【００２７】
（評価方法：経時安定性（ゲル化））
各試料を４０℃の恒温槽に３ヶ月間保管し、調製直後の状態を基準として、外観の変化（ゲル化）を以下の（イ）４段階判定基準を用いて判定した。
【００２８】

【００２９】
（評価方法：使用感）
専門評価パネル１０名により、各試料について、使用感（のびの軽さ、べたつきの無さ）を、下記（ロ）評価基準にて５段階評価し、更に各試料の評点の平均値を（ハ）４段階判定基準を用いて判定した。
【００３０】

【００３１】
表２の結果から明らかなように本発明の実施例１〜６の水中油型化粧料は比較例１〜３と比較してゲル化せず経時安定性に優れ、且つ使用時ののびが軽く、べたつきもない優れた優れた水中油型化粧料であった。
【００３２】

【００３３】
＜製造方法＞
Ａ．成分（１）〜（１０）を７０℃にて、均一に混合分散する。
Ｂ．成分（１１）〜（１５）を７０℃にて、均一に混合する。
Ｃ．Ａ成分にＢ成分を加え乳化し、冷却して日焼け止め料を得る。
【００３４】
実施例７で得られた、日焼け止め料は経時安定性に優れ、且つ使用時ののびが軽く、べたつきもない優れた日焼け止め料であった。
【００３５】

【００３６】
＜製造方法＞
Ａ．成分（１）〜（１０）を７０℃にて、均一に混合分散する。
Ｂ．成分（１１）〜（１４）を７０℃にて、均一に混合する。
Ｃ．Ａ成分にＢ成分を加え乳化し、冷却して日焼け止め料を得る。
【００３７】
実施例８で得られた、日焼け止め料は経時安定性に優れ、且つ使用時ののびが軽く、べたつきもない優れた優れた日焼け止め料であった。
【００３８】

【００３９】
＜製造方法＞
Ａ．成分（１）〜（１２）を７０℃にて、均一に混合分散する。
Ｂ．成分（１３）〜（１７）を７０℃にて、均一に混合する。
Ｃ．Ａ成分にＢ成分を加え乳化し、冷却して日焼け止め料を得る。
【００４０】
実施例９で得られた、日焼け止め料は経時安定性に優れ、且つ使用時ののびが軽く、べたつきもない優れた優れた日焼け止め料であった。
【００４１】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明の水中油型化粧料は、使用感（のびの軽さ、べたつきの無さ）に優れ、経時安定性も良好なものである。

Claims

次の成分（ａ）〜（ｄ）；
（ａ）自重の１０〜３０質量％のアルコキシ変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンからなる群から選ばれる１種又は２種以上の有機ケイ素化合物で表面処理された微粒子粉体
（ｂ）シリコンオイル
（ｃ）Ｎアシルメチルタウリン塩
（ｄ）水
を含有することを特徴とする水中油型化粧料。
（ａ）成分の表面処理微粒子粉体を１〜３０質量％含有することを特徴とする請求項１に記載の水中油型化粧料。
（ａ）成分の表面処理微粒子粉体が更に脂肪酸により表面処理されることを特徴とする請求項１又は２記載の水中油型化粧料。
（ｂ）成分のシリコンオイルが揮発性のシリコンオイルであることを特徴とする請求項1〜３のいずれかの一項に記載の水中油型化粧料。
（ａ）成分の表面処理微粒子粉体が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムであることを特徴とする請求項１〜４のいずれかの一項に記載の水中油型化粧料。