JP3765373B2 - 積層成形体の成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不織布基材の表面に表皮材、裏面に通気止め部材を積層一体化してなる積層成形体の成形方法に係り、特に、不織布基材と通気止め部材との間にエア溜まり等が発生することがなく、成形性に優れた積層成形体の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両のルーフパネルに内装される自動車用ルーフトリムとしては、所望の吸音性能を備えるとともに、軽量でかつ良好な成形性を有することが望ましいことから、図16に示す材料構成が採用されている。
【0003】
すなわち、自動車用ルーフトリム1は、製品表面側から表皮材2、不織布基材3、通気止め部材4からなる3層積層体が用いられており、表皮材2は、クロス等、表面外観並びにクッション性が良好な素材が使用され、不織布基材3は、吸音性に優れた嵩高性のポリエステル繊維不織布が使用され、かつ通気止め部材4は、エアの通気を遮断することにより、ルーフトリム1の表面にチリや埃等の異物が付着するのを阻止するために非通気性の樹脂フィルム、あるいは非通気性の樹脂フィルムの裏面にバッキング不織布を一体化したものが使用されている。
【0004】
そして、上記ルーフトリム1の成形方法としては、コールドプレス成形工法が多用されている。すなわち、図17,図18に示すように、プレス下型6上に表皮材2をセットした後、加熱軟化処理した不織布基材3並びに通気止め部材4を型内にセットして、プレス上下型5,6を型締めすると同時に、プレス上型5からは真空吸引力を作用させて通気止め部材4をプレス上型5の型面上に追随させてルーフトリム1の板厚を確保すると同時に、成形サイクルを短縮化するためにプレス下型6の型面から冷却用エアを供給して不織布基材3の強制冷却を施すようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のコールドプレス成形工法でルーフトリム1を成形する場合、図16中符号aで示す急激な板厚変化部分及び符号bで示す急激な形状変化部分においては、図19で示すコールドプレス成形時に不織布基材3と通気止め部材4との間の特に急激な板厚変化部位a、急激な形状変化部位bにエア溜まりが発生しやすく、このようなエア溜まりが発生した場合、図20に示すように、不織布基材3にへこみcが生じ、製品板厚が適切に確保できないとともに、不織布基材3から通気止め部材4が剥離するという不具合が指摘されている。
【0006】
更に、ルーフトリム1のコールドプレス成形後、プレス上型5を型開きする際、プレス上型5の真空吸引作用により、通気止め部材4がプレス上型5と密着するため、図21に示すように、成形体であるルーフトリム1がプレス上型5とともに上昇して、円滑な脱型作業に支障を来すという問題点も指摘されている。
【0007】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、不織布基材と通気止め部材とを有する積層成形体の成形方法において、不織布基材と通気止め部材との間に生じるエア溜まりを解消し、製品板厚を良好に確保できるとともに、通気止め部材が剥離する等の不具合もなくし、成形性を高めることができ、しかも、プレス成形後における積層成形体の脱型操作も円滑に行なえる積層成形体の成形方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願の請求項1に記載の発明は、コールドプレス成形用上下型の型内に、加熱軟化処理した不織布基材、その上面に通気止め部材をそれぞれセットし、コールドプレス成形用上下型の型締めにより、所要形状にプレス加工を施してなる積層成形体の成形方法において、前記プレス上型に真空吸引機構が設けられており、コールドプレス成形用上下型の型締めと併行してプレス上型から通気止め部材を真空吸引するとともに、プレス下型には、真空吸引機構と圧空機構とが切替可能に配備され、コールドプレス成形用上下型の型締めとほぼ同時にプレス下型からの真空吸引作用により不織布基材と通気止め部材との間のエア並びに不織布基材内の加熱エアを型外に除去した後、真空吸引機構から圧空機構に切り替え、プレス下型に圧空機構を作用させ、型内に冷却用エアを供給して不織布基材を強制冷却することを特徴とする。
【0009】
ここで、積層成形体としては、吸音性を有する不織布基材と、その裏面に貼着される通気止め部材とを少なくとも有し、所望ならば不織布基材の表面に手触り感や外観性能を高める表皮材を積層した3層積層体を使用することも可能である。
【0010】
例えば、車室内に設けられるルーフトリムや、トランクルーム内に設けられるトランクルームトリム等に有効に適用できる。
【0011】
吸音性を有する不織布基材としては、高融点のポリエステル繊維をベース繊維として、これに低融点ポリエステル繊維等のバインダ繊維とコンジュゲート繊維を混入して、ニードリング加工や熱風加熱後、所望の厚みにプレス加工を行ない、マット状に形成されたものが使用できる。
【0012】
また、通気止め部材としては、非通気性の合成樹脂シート、例えばポリエステル樹脂シート、ポリエチレン樹脂シート等が適しており、所望ならばその裏面にバッキング不織布を貼着してシート切れ等を防止するようにしても良い。また、表皮材は、クロスや不織布シート等、通気性を備えたものが使用される。上記不織布基材と通気止め部材とを一体プレス成形する際に使用するコールドプレス成形型については、製品厚みを確保するために通気止め部材をプレス上型型面に沿って追従成形するために、プレス上型には真空吸引機構が付設されている。
【0013】
一方、プレス下型は、加熱軟化処理された不織布基材を強制冷却するために、冷却用エアを型内に送り込むための圧空機構が備わっており、また、圧空前に不織布基材と通気止め部材との間のエアを型外に除去する真空吸引力を作用させるために、プレス下型には真空・圧空兼用孔が設けられていることが必要であり、プレス下型には真空吸引機構と圧空機構とが切り替えバルブを介して選択的に接続されることが条件となる。
【0014】
そして、請求項1に記載の発明によれば、プレス下型から冷却用エアが供給される前にプレス下型に設けた真空・圧空兼用孔を通じて型内のエアを型外に除去するというものであるから、積層された不織布基材と通気止め部材との間に介在するエアは迅速に型外に除去され、積層成形体に設けられる急激な板厚変化部分や急激な形状変化部分についてもエアが滞留することがない。従って、エア溜まりが原因となる板厚のばらつきや剛性不足といった不具合がなくなり、また、不織布基材から通気止め部材が剥離することがない。
【0015】
更に、接着性がそれほど高くない通気止めフィルムを使用しても、プレス成形前のプレス下型からの真空吸引により、不織布基材と通気止め部材とが良好に接着する。
【0016】
本願の請求項2に記載の発明は、プレス下型による真空吸引は、プレス上下型による型締め前約3秒〜型締め後約10秒の間から開始して、真空吸引時間は約0.2〜10秒であることを特徴とする。
【0017】
ここで、プレス下型の真空・圧空兼用孔を通じて行なう真空吸引を作用させる開始タイミング並びに継続時間は、積層成形体の形状や使用する素材に応じて適宜選択できるが、型締め前約3秒〜型締め後約10秒の間の任意時期を開始タイミングとして、真空吸引の継続時間は0.2〜10秒が好ましい。また、真空・圧空兼用孔は、孔径φが0.5〜3mmで、ピッチ間隔は20〜200mm程度が良い。
【0018】
次に、本願の請求項3に記載の発明は、コールドプレス成形後の型開き時に、プレス下型に真空吸引力を作用させて、積層成形体をプレス下型に保持することを特徴とする。
【0019】
そして、請求項3に記載の発明によれば、プレス上下型によるコールドプレス成形時、プレス上型からは真空吸引力が作用し、かつ、プレス下型からは冷却用エアが供給されるが、このコールドプレス成形後の型開き時には、プレス下型の真空・圧空兼用孔を通じて積層成形体に真空吸引力が作用するため、積層成形体がプレス下型に吸引保持され、プレス上型に積層成形体が引き上げられることがなく、常に所定ポジションに積層成形体を保持できる。
【0020】
本願の請求項4に記載の発明は、プレス上型には真空吸引機構と圧空機構とが切替可能に配備され、コールドプレス成形後の型開き時に、プレス上型からエアを供給して、プレス上型と積層成形体の脱型を促進させることを特徴とする。
【0021】
ここで、プレス上型には、通気止め部材に真空吸引力を作用させる真空吸引孔と、コールドプレス成形後、脱型を促す圧空孔が必要であることから、プレス上型には、真空・圧空兼用孔を形成し、切り替えバルブを通じて真空・圧空兼用孔と真空ポンプ、ブロワとを選択的に接続させれば良い。
【0022】
そして、請求項4に記載の発明によれば、コールドプレス成形後、プレス上型の真空・圧空兼用孔を通じてエアがプレス上型型面から積層成形体側に吹き付けられるため、プレス上型とともに積層成形体が持ち上がることがなく、プレス上型から積層成形体を円滑に脱型させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、自動車用ルーフトリムの成形方法に本発明を適用した実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明方法により製作した自動車用ルーフトリムを示す斜視図、図2は同自動車用ルーフトリムの側縁部分の構成を示す要部断面図、更に図3は本発明方法に使用するコールドプレス成形用上下型の概略構成を示す説明図、図4は本発明方法の第1実施形態を示すプレス上下型の動作を示す説明図、図5は本発明方法の第1実施形態における各素材の加工工程を示すフローチャート図、図6乃至図9は本発明方法の第1実施形態を示すもので、図6はセット工程の説明図、図7はプレス下型真空吸引時の状態を示す説明図、図8はコールドプレス成形時の状態を示す説明図、図9は型開き時の状態を示す説明図である。
【0025】
また、図10,図11は本発明方法の第2実施形態であり、図10はプレス上下型の動作を示す説明図、図11はプレス成形後の型開き時におけるプレス下型の真空吸引時の状態を示す説明図である。更に、図12,図13は本発明方法の第3実施形態を示すもので、図12はプレス上下型の動作状態を示す説明図、図13はプレス成形後のプレス上型の圧空状態時を示す説明図である。更に、図14,図15は本発明方法の第4実施形態を示すもので、図14はプレス上下型の動作を示す説明図、図15はプレス成形後の型開き時におけるプレス上型圧空状態、プレス下型真空吸引状態を示す説明図である。
【0026】
まず、図1,図2において、自動車用ルーフトリム10の構成について説明すると、自動車用ルーフトリム10は、製品表面側から表皮材20、吸音性を有する不織布基材30、通気止め部材40を順次積層させた3層積層体から構成されている。
【0027】
更に詳しくは、表皮材20は、良好な手触り感並びに外観性能を有するクロスが使用され、所望ならばクッション性を有するパッド材をクロスの裏面に積層してもよい。
【0028】
また、吸音性を有する不織布基材30は、高融点のポリエステル繊維をベース繊維として、コンジュゲート繊維、並びにバインダ繊維として低融点ポリエステル繊維を適量混入してニードリング処理、あるいは熱風加熱後プレス加工することにより、マット状に形成し、この原反マットを加熱軟化処理後、コールドプレス成形により所望形状に成形される。
【0029】
一方、通気止め部材40は、非通気性フィルムをベースとして、これに所望ならばバッキング不織布を裏面側に裏打ちしても良く、ポリエステル繊維との接着性の良好なポリエステル樹脂フィルムが適しているが、特に素材は限定するものではなく、本発明方法を使用すればポリエステル繊維との接着性がそれほど良好でない廉価タイプの樹脂フィルムを使用することもできる。
【0030】
そして、本発明方法では、図2に示すルーフトリム10における急激な板厚変化部分aや急激な形状変化部分bについても不織布基材30と通気止め部材40とが良好に密着しており、また、不織布基材30は急激な板厚変化部分aや急激な形状変化部分bでへこみ等が形成されておらず良好な板厚が確保されている。
【0031】
次いで、図1,図2に示すルーフトリム10を成形するために使用するコールドプレス成形用上下型50,60の構成について図3を基に説明すると、プレス上型50は、昇降用シリンダ51により所定ストローク上下動可能であり、プレス上型50に所定ピッチ間隔で真空・圧空兼用孔52が開設されており、この真空・圧空兼用孔52は、プレス上型50内部の空気室53と連通している。尚、上記真空・圧空兼用孔52は、孔径φが0.5〜3mmでピッチ間隔が20〜200mm程度が良い。
【0032】
そして、プレス上型50には、真空吸引機構と圧空機構とが備わっており、プレス上型50の空気室53と通じるエア配管54は切り替えバルブ55を介して真空ポンプ56とブロワ57とに選択的に接続されるようになっている。
【0033】
更に、プレス上型50は、図1,図2に示すルーフトリム10の形状出しを正確に行なうために、急激な板厚変化部分aや急激な形状変化部分bを形成するための形状を備えている。
【0034】
一方、プレス下型60もプレス上型50と同様の真空吸引機構、圧空機構を備えている。すなわち、プレス下型60には、真空・圧空兼用孔61が孔径φ0.5〜3mmでピッチ間隔20〜200mm程度のものが開設されており、この真空・圧空兼用孔61はプレス下型60内部の空気室62に連通しており、この空気室62と接続するエア配管63は、切り替えバルブ64を介して真空ポンプ65並びにブロワ66と選択的に接続されている。
【0035】
次に、上記コールドプレス上下型50,60を使用して、図1,図2に示すルーフトリム10の成形方法の第1実施形態について説明する。まず、図4に示すように、プレス上型50は、型締め後真空吸引機構を稼動させ、型締め時から型開き時の間は通気止め部材40がプレス上型50の型面に追従するように真空成形される。一方、プレス下型60は、プレス上型50の上下動作に伴なう型締め及び型開きの間には、真空成形とこれに引き続いて圧空成形が行なわれる。
【0036】
すなわち、図5に示すフローチャート図、図6乃至図9に示す各工程図に基づいて説明すると、まず、図6に示すように、プレス上下型50,60が型開き状態にあるとき、表皮材20をプレス下型60の型面上にセットするとともに、プレス上下型50,60の型内に吸音性を有する不織布基材30と通気止め部材40とをその周縁にクランプ装置70,71により保持した状態でセットする。このとき、不織布基材30は、熱風加熱装置(図示せず)により加熱軟化処理されており、また、通気止め部材40は赤外加熱装置(図示せず)によりこれも加熱軟化状態である。
【0037】
そして、各素材をセットした後、図7に示すように、プレス上型50が昇降用シリンダ51の動作により所定ストローク下降してプレス上下型50,60の型締め状態となるが、このとき、プレス下型60の切り替えバルブ64が閉から開となり、真空ポンプ60とエア配管63とが接続するように切り替わり、プレス下型60に真空吸引力が作用し、図7中矢印で示すように、真空・圧空兼用孔61を通じて型内のエアは空気室62に導入され、型外に排出される。
【0038】
従って、加熱軟化処理されている不織布基材30内部の温かいエアが外部に吐き出され、かつ不織布基材30と通気止め部材40との間に介在するエアは、真空・圧空兼用孔61を通じて空気室62内に吸引されることにより、特に両者間にエアが介在しやすい急激な板厚変化部分aや急激な形状変化部分bについても両者間にエアが介在することがなく、不織布基材30と通気止め部材40とが良好に密着する。
【0039】
この下型60による真空吸引の開始タイミングとしては、プレス上下型50,60の型締め前約3秒〜型締め後約10秒の範囲内で任意に設定して良く、真空吸引の時間は約0.2〜10秒の間で適宜選択して良い。
【0040】
その後、図8に示すように、コールドプレス上下型50,60の型締めによるコールドプレス成形が行なわれるが、その際、プレス上型50は真空吸引機構が動作する。すなわち、切り替えバルブ55により真空ポンプ56とプレス上型50の空気室53が連通し、真空ポンプ56によりプレス上型50の真空・圧空兼用孔52を通じて通気止め部材40はプレス上型50の真空・圧空兼用孔52を通じてプレス上型50の型面に密着成形され、ルーフトリム10の板厚が有効に確保される。
【0041】
一方、プレス上型50による真空成形と同一の開始タイミングでプレス下型60は切り替えバルブ64が作動して、空気室62とブロワ66とが連通し、ブロワ66から冷却用エアが真空・圧空兼用孔61を通じて不織布基材30内部に供給され、加熱軟化処理された不織布基材30は急速に強制冷却され、表皮材20、不織基材30、通気止め部材40が所要形状に一体成形される。
【0042】
その後、プレス上下型50,60における双方の切り替えバルブ55,64が閉成され、図9に示すように、プレス上型50が昇降用シリンダ51の動作により型開きし、プレス下型60上のルーフトリム10を型から取り出せば良い。
【0043】
このように、本発明方法の第1実施形態によれば、図7に示すように、プレス上下型50,60の型締めと同時、あるいは型締め前約3秒〜型締め後約10秒の範囲内の任意時期からプレス下型60に真空吸引力を作用させ、不織布基材30と通気止め部材40との間に介在するエアを確実に外部に除去するというものであるから、従来エアが滞りやすい急激な板厚変化部分aや急激な形状変化部分bについても不織布基材30と通気止め部材40とを良好に密着一体化させることができ、へこみ等が生じることによる剛性低下や通気止め部材40の剥離等の不具合を有効に抑え、成形性を高めることができるという利点がある。
【0044】
更に、不織布基材30内に冷却用エアを供給する前にプレス下型60に真空吸引力を作用させてエア溜まりを解消すると同時に不織布基材30内の加熱エアを前もって外部に除去できるため、冷却用エアによる冷却サイクルの時間を短縮化することができる。従って、成形不良をなくし成形性を高める一方、成形サイクルを短縮化できるという付随的な作用効果が期待できる。
【0045】
加えて、本発明方法の第1実施形態によれば、不織布基材30と通気止め部材40との間のエア溜まりを確実になくすことができるため、従来ではエア溜まりを回避するように単純形状に設定するなど、形状自由度に制約を受けていたが、これらの形状制約や板厚制約等をなくし、製品の造形自由度を大幅に向上させることができるとともに、また、不織布基材30との接着性が比較的劣る廉価な非通気性フィルムを使用することもでき、造形自由度を高めるとともに、材料コストの低減化を図れるという利点がある。
【0046】
次に、図10,図11は本発明方法の第2実施形態を示すもので、上述した第1実施形態における成形方法に以下に示す脱型操作を加えたものである。すなわち、図10に示すように、プレス上型50は、型締めと型開きの間はプレス上型50による真空吸引力が作用して通気止め部材40の真空成形が行なわれる点は第1実施形態と同様である。
【0047】
そして、プレス下型60についても、型締めと同時、あるいはその前後に真空成形を行ない、エア溜まりをなくし、その後、圧空成形により不織布基材30の強制冷却を行なう点は第1実施形態と同様であるが、第2実施形態においては、型開きと同時に、プレス下型60に真空吸引力を作用させる点が付加されている。
【0048】
すなわち、図11に示すように、プレス上型50の上昇とほぼ同時にプレス下型60においては切り替えバルブ64が切り替わり、エア配管63と真空ポンプ65が連通し、真空ポンプ65の真空吸引力により図中矢印方向に真空力が作用して所要形状に成形されたルーフトリム10はプレス下型60上に保持されることになる。
【0049】
従って、プレス上型50が上昇してもプレス上型50とルーフトリム10が同時に持ち上がることがなく、適切ポジションに常にルーフトリム10を保持でき、脱型操作が円滑に行なえる。
【0050】
次いで、図12,図13は本発明方法の第3実施形態を示すもので、図12に示すように、プレス上型50は型締め及び型開きの間は真空成形が行なわれ、かつプレス下型60は型締めと同時、あるいはその前後に真空成形、その後ブロワ成形が行なわれる点は第1実施形態と同様であるが、この第3実施形態においては、型開きと同時にプレス上型50は図13に示すように、切り替えバルブ55が切り替わり、ブロワ57とエア配管54が連通し、ブロワ57からのエアが真空・圧空兼用孔52を通じてルーフトリム10を押圧することにより、プレス上型50とルーフトリム10との脱型を進めるように作用する。
【0051】
従って、この第3実施形態においても、プレス上型50の上昇に伴なってルーフトリム10が共に上昇することがなく、プレス下型60側にルーフトリム10を保持させることができ、円滑な脱型操作が行なえ、脱型途中でルーフトリム10が落下したりすることがなく、脱型操作性に優れる。
【0052】
次いで、図14,図15は、本発明方法の第4実施形態を示すもので、更に脱型操作性を良好にするために、図14に示すように、プレス上型50は型開き時には圧空作用によりプレス上型50とルーフトリム10との脱型を進め、プレス下型60では真空吸引力を作用させてプレス下型60上にルーフトリム10を確実に保持するというものであり、図15に示すように、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせたものである。
【0053】
このように、図10乃至図15に示す第2実施形態乃至第4実施形態においては、成形性を高め、かつ成形サイクルを短縮化できる作用効果に加えて、円滑な脱型操作が期待できる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明した通り、請求項1乃至2記載の発明によれば、不織布基材と通気止め部材との間のエア溜まりを有効に解消でき、充分な板厚が確保でき、良好な成形性が得られるとともに、成形サイクルも短縮化できるという作用効果を有する。
【0055】
更に、請求項3乃至4記載の発明によれば、不織布基材と通気止め部材との間のエア溜まりを解消できるばかりか、良好な脱型操作が期待できるため、作業性を向上させることができるという作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により製作した自動車用ルーフトリムを示す斜視図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】本発明方法に使用するコールドプレス成形型の構成を示す概要図である。
【図4】本発明方法の第1実施形態におけるプレス上下型の動作状態を示す説明図である。
【図5】本発明方法の第1実施形態における各素材の加工工程を示すフローチャート図である。
【図6】本発明方法の第1実施形態における各素材のセット工程を示す説明図である。
【図7】本発明方法の第1実施形態における成形前のプレス下型真空吸引時の状態を示す説明図である。
【図8】本発明方法の第1実施形態におけるコールドプレス成形工程を示す説明図である。
【図9】本発明方法の第1実施形態におけるプレス成形後の型開き時の状態を示す説明図である。
【図10】本発明方法の第2実施形態におけるプレス上下型の動作状態を示す説明図である。
【図11】本発明方法の第2実施形態におけるプレス成形後の型開き時の状態を示す説明図である。
【図12】本発明方法の第3実施形態におけるプレス上下型の動作状態を示す説明図であるる。
【図13】本発明方法の第3実施形態におけるプレス成形後の型開き状態時の状態を示す説明図である。
【図14】本発明方法の第4実施形態におけるプレス上下型の動作状態を示す説明図である。
【図15】本発明方法の第4実施形態におけるプレス成形後の型開き時の状態を示す説明図である。
【図16】従来の自動車用ルーフトリムの構成を示す一部破断斜視図である。
【図17】従来のルーフトリムを成形するプレス成形金型の構成を示す説明図である。
【図18】従来のルーフトリムの成形工程を示すフローチャート図である。
【図19】従来のルーフトリムのプレス成形工程を示す説明図である。
【図20】従来のプレス成形における成形不良を示す説明図である。
【図21】従来のプレス成形後の脱型時の不具合を示す説明図である。
【符号の説明】
10 自動車用ルーフトリム
20 表皮材
30 不織布基材
40 通気止め部材
50 プレス上型
51 昇降用シリンダ
52 真空・圧空兼用孔
53 空気室
54 エア配管
55 切り替えバルブ
56 真空ポンプ
57 ブロワ
60 プレス下型
61 真空・圧空兼用孔
62 空気室
63 エア配管
64 切り替えバルブ
65 真空ポンプ
66 ブロワ
a 急激な板厚変化部分
b 急激な形状変化部分

Claims (4)

  1. コールドプレス成形用上下型(50,60)の型内に、加熱軟化処理した不織布基材(30)、その上面に通気止め部材(40)をそれぞれセットし、コールドプレス成形用上下型(50,60)の型締めにより、所要形状にプレス加工を施してなる積層成形体(10)の成形方法において、
    前記プレス上型(50)に真空吸引機構が設けられており、コールドプレス成形用上下型(50,60)の型締めと併行してプレス上型(50)から通気止め部材(40)を真空吸引するとともに、プレス下型(60)には、真空吸引機構と圧空機構とが切替可能に配備され、コールドプレス成形用上下型(50,60)の型締めとほぼ同時にプレス下型(60)からの真空吸引作用により不織布基材(30)と通気止め部材(40)との間のエア並びに不織布基材(30)内の加熱エアを型外に除去した後、真空吸引機構から圧空機構に切り替え、プレス下型(60)に圧空機構を作用させ、型内に冷却用エアを供給して不織布基材(30)を強制冷却することを特徴とする積層成形体の成形方法。
  2. プレス下型(60)による真空吸引は、プレス上下型(50,60)による型締め前約3秒〜型締め後約10秒の間から開始して、真空吸引時間は約0.2〜10秒であることを特徴とする請求項1に記載の積層成形体の成形方法。
  3. コールドプレス成形後の型開き時に、プレス下型(60)に真空吸引力を作用させて、積層成形体(10)をプレス下型(60)に保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の積層成形体の成形方法。
  4. プレス上型(50)には真空吸引機構と圧空機構とが切替可能に配備され、コールドプレス成形後の型開き時に、プレス上型(50)からエアを供給して、プレス上型(50)と積層成形体(10)の脱型を促進させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層成形体の成形方法。
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