JP3760577B2 - 抵抗器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路を構成する基板等に装着され、特に低抵抗値に対応する抵抗器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の抵抗器としては、特開平1−302701号公報に、電極端子間に形成された抵抗体の端部から抵抗値修正溝を形成し、この抵抗値修正溝の開始位置とは反対側の位置で抵抗体に一部が重なるように導体を形成したものが知られている。
【0003】
以下、従来の抵抗器について図面を参照しながら説明する。
【0004】
図7は従来の抵抗器の平面図、図8は同要部である抵抗値修正溝の長さと抵抗値との関係を示す図である。
【0005】
図7において、1は上面に抵抗体2を有する絶縁基板である。3は絶縁基板1の上面の一方の隅部に抵抗体2と電気的に接続するように一部を重ねて設けられた一対の電極端子である。4は一対の電極端子3間に位置する抵抗体2の一端から抵抗体2の中央へ向かって設けられた抵抗値修正溝である。5は絶縁基板1の幅方向いっぱいの上面の側部に一対の電極端子3と対向しかつ抵抗体2と電気的に接続するように一部を重ねて設けられた導体である。
【0006】
以上のように構成された従来の抵抗器の抵抗値修正溝の長さと抵抗体との関係は図8に示すように、抵抗体2の一端から中央部へ向かってトリミングするにつれ抵抗値が変化するものである。すなわち、トリミング開始時は抵抗値の変化が大きく、ある一定の長さに達すると抵抗値の変化が小さく、ほぼ一定の抵抗値になるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら超低抵抗の抵抗器を得るためには、上記従来の構成では導体5が絶縁基板1の幅方向いっぱいに設けられているため、その分の抵抗値も検出されることになり、そのため、導体5の抵抗値も考慮しなければならず、抵抗値修正が難しいという課題を有していた。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、トリミングによる抵抗値修正が容易でかつ低抵抗値に対応できる信頼性の高い抵抗器を得ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、絶縁基板の四隅に設けられた4つの電極端子を備え、抵抗値修正溝を挟んで対向する4つの電極端子のうち、一方の2つの電極端子は電圧端子とし、かつ他方の2つの電極端子は電流端子としたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、角形の絶縁基板と、前記絶縁基板の四隅に設けられた4つの電極端子と、前記絶縁基板の上面に前記4つの電極端子と電気的に接続するように設けられた抵抗体と、前記抵抗体の一端から中央部に向かって電流が流れる方向に設けられた抵抗値修正溝とを備え、前記抵抗値修正溝を挟んで対向する前記4つの電極端子のうち、一方の2つの電極端子は電圧端子とし、かつ他方の2つの電極端子は電流端子とし、前記抵抗値修正溝は長さが長くなるほど抵抗値が下がる下降特性を示すようにしたものである。
【0011】
上記構成によれば、抵抗値修正溝を挟んで対向する4つの電極端子のうち、一方の2つの電極端子は電圧端子とし、かつ他方の2つの電極端子は電流端子とし、前記抵抗値修正溝は長さが長くなるほど抵抗値が下がる下降特性を示すようにしているため、電流および電圧を測定しながら抵抗体の一端から中央部に向かって電流が流れる方向に抵抗値修正溝を設けることにより、抵抗値修正溝の長さが長くなるほど抵抗値が下がる抵抗値修正を行うことができ、そして抵抗値が目標値に達したところで抵抗値修正を止めることができ、これにより、低抵抗値に対応できる信頼性の高い抵抗器を得ることができるという作用を有するものである。
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における抵抗器について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本発明の実施の形態1における抵抗器の斜視図である。
【0014】
図1において、11はアルミナ等からなる角形の絶縁基板である。12は絶縁基板11の後述する抵抗値修正溝14を挟んで対向する隅部に設けられた銀等からなる電極端子である。13は絶縁基板11の上面に電極端子12と電気的に接続するように設けられた酸化ルテニウム等からなる抵抗体である。14は抵抗体13の一端から中央部に向かってレーザ光等によって設けられた抵抗値修正溝である。このように、抵抗値修正溝14を挟んで四隅に独立した4つの電極端子12を備えているため、四端子の電流、電圧測定器等を用いた場合、4つの電極端子12のうち2つは電圧端子、他の2つは電流端子として用いることができるものである。
【0015】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における抵抗器について、以下にその製造方法を説明する。
【0016】
図2、図3は本発明の実施の形態1における抵抗器の製造方法を示す工程図である。
【0017】
まず、図2(a)に示すように、縦横にスリット21を有する絶縁基板22のスリット21が直交する部分の上、下面に銀等の金属ペーストを印刷し、約800℃で焼成して電極端子23を形成する。
【0018】
次に、図2(b)に示すように、絶縁基板22の上面に電極端子23と電気的に接続するように酸化ルテニウム等の抵抗ペーストを印刷し、約620℃で焼成して抵抗体24を形成する。
【0019】
次に、図2(c)に示すように、電極端子23に四端子のデジタルマルチメータの測定端子(図示せず)をあてて電流、電圧を測定しながら、抵抗体24の一端から中央部に向かって電流が流れる方向にレーザ光を用いて抵抗値修正溝25を形成する。このとき、抵抗値修正溝25は抵抗体24の一端から切削していき、目標とする抵抗値に達したところで切削を止めて形成されるものである。
【0020】
次に、前工程で形成された絶縁基板22を、スリット21に沿って一次分割し、図3(a)に示すように、短冊状の基板31を形成する。
【0021】
次に、図3(b)に示すように、一次分割された短冊状の基板31の側面に電極端子32と電気的に接続するように、銀パラジウム等の金属ペーストを印刷し、約600℃で焼成して側面電極33を形成する。
【0022】
次に、図3(c)に示すように、前工程で形成された短冊状の基板31を二次分割して個片34を形成し、抵抗器を製造するものである。
【0023】
なお、上述した抵抗器では角形の絶縁基板11を用いているが、図4に示すように、絶縁基板41の側部の電極端子43の間に切欠部42を設けた構成にしてもよい。図4は、本発明の他の実施の形態における抵抗器の平面図である。
【0024】
図4において、41は側面に対向する一対の切欠部42を有するアルミナ等からなる角形の絶縁基板である。43は絶縁基板41の隅部に設けられた銀等からなる電極端子である。44は絶縁基板41の上面に電極端子43と電気的に接続するように設けられた酸化ルテニウム等からなる抵抗体である。45は抵抗体44の一端から中央部に向かってレーザ光等によって設けられた抵抗値修正溝である。このように、絶縁基板41に切欠部42を有しているため、切欠部42を挟んで対向する電極端子43が独立して形成され、短絡することなく形成できるものである。
【0025】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における抵抗器について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図5は本発明の実施の形態2における抵抗器の平面図である。
【0027】
図5において、51はアルミナ等からなる角形の絶縁基板である。52は絶縁基板51の四隅に同寸法で設けられた銀等からなる電極端子である。53は絶縁基板51の上面に電極端子52と電気的に接続するように設けられた酸化ルテニウム等からなる抵抗体である。54は対向する電極端子52から等間隔となる抵抗体53の一端から中央部に向かってレーザ光等によって設けられた抵抗値修正溝である。このように電極端子52を全て同寸法とすることによって、この抵抗器を回路基板へ実装する場合、方向性を考慮しなくても良く、実装ミスが低減できるものである。
【0028】
以上のように構成された本発明の実施の形態1および2における抵抗器について、3.2mm×1.6mmサイズの抵抗器の抵抗値を測定し、抵抗値修正溝の長さと抵抗値との関係を調べたものを図6に示す。この抵抗値の設定方法は、それぞれの抵抗器の隅部の電極端子に四端子のデジタルマルチメータの測定端子をあてて電流、電圧を測定しながら、抵抗体の一端から中央部に向かって電流が流れる方向にレーザ光を用いて抵抗値修正溝を切削していき、目標とする抵抗値に達すると切削を止めて所望の抵抗値を得るものである。
【0029】
図6中、(1)の直線は本発明の実施の形態1における抵抗器、(2)の曲線は本発明の実施の形態2における抵抗器の値を示す。
【0030】
(1)の直線の抵抗器は、電圧降下が検出される抵抗体の面積が大きく、抵抗値修正溝の長さが長くなるほど抵抗値が下がる下降特性を示す。これは抵抗値の下降倍率が大きく取れ、抵抗値がより広範囲で設定できるという効果があるものである。
【0031】
また、(2)の曲線の抵抗器では、抵抗値修正溝を対向する電極端子から等間隔に設けているため、(1)に比べて電圧降下が検出される抵抗体の面積が小さく、抵抗値が上昇する。このため、抵抗値が急激に下降せず、抵抗値修正溝の長さが長くなっても抵抗値が上昇する影響を受け、(1)に比べて下降倍率が緩やかになるので抵抗値の微調整がしやすく、抵抗値の修正精度が向上するものである。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、抵抗値をトリミングによる抵抗値修正溝で下降させ、低抵抗値に対応できる信頼性の高い抵抗器を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における抵抗器の斜視図
【図2】 (a)〜(c)同抵抗器の製造方法を示す工程図
【図3】 (a)〜(c)同抵抗器の製造方法を示す工程図
【図4】 本発明の他の実施の形態における抵抗器の平面図
【図5】 本発明の実施の形態2における抵抗器の平面図
【図6】 本発明の実施の形態1および2における抵抗器の抵抗値修正溝の長さと抵抗値との関係を示す図
【図7】 従来の抵抗器の平面図
【図8】 同抵抗値修正溝の長さと抵抗値との関係を示す図
【符号の説明】
11 絶縁基板
12 電極端子
13 抵抗体
14 抵抗値修正溝
Claims (1)
- 角形の絶縁基板と、前記絶縁基板の四隅に設けられた4つの電極端子と、前記絶縁基板の上面に前記4つの電極端子と電気的に接続するように設けられた抵抗体と、前記抵抗体の一端から中央部に向かって電流が流れる方向に設けられた抵抗値修正溝とを備え、前記抵抗値修正溝を挟んで対向する前記4つの電極端子のうち、一方の2つの電極端子は電圧端子とし、かつ他方の2つの電極端子は電流端子とし、前記抵抗値修正溝は長さが長くなるほど抵抗値が下がる下降特性を示すようにした抵抗器。
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