JP3758278B2 - 音量データ変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、楽音を機械的、電気的あるいは電子的に発生する装置において音量を示すデータを変換し、これによって、ダイナミックレンジを自由に設定するとともに、音量を自由に設定できるようにした音量データ変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より楽音を電子的に発生するようにした楽器が種々提供されている。たとえば電子楽器は、鍵盤の鍵の動作をセンサで計測し、押鍵速度に対応した音量を有する楽音を電子的に発生するようになっている。また、最近では、消音演奏ピアノと呼ばれる鍵盤楽器が提供されている。この消音演奏ピアノは、押鍵により回動するハンマを弦に当たる直前で跳ね返し、打弦音を発生させない代わりに楽音を電子的に発生するようになっている。この場合も、押鍵時の鍵の動作をセンサで計測して演奏データを作成し、演奏データに基づいて押鍵速度に対応した音量の楽音を電子音源から発生するようになっている。さらに、主として練習用に用いられるものであるが、ピアノのアクションその他のメカニズムを備えているが弦を有しておらず、押鍵したときにハンマで被打撃体を打撃するようにした鍵盤楽器も提供されている。このような鍵盤楽器においても、例えば被打撃体に設けた感圧素子などによってハンマによる打撃の強さを検出し、打撃の強さに対応した音量の楽音を電子的あるいは電気的に発生するようになっている。
【0003】
ところで、アコーステックピアノなどの自然楽器では、押鍵速度と音量とがリニアに対応していないし、押鍵速度と音量との関係もそれぞれの鍵毎に異なっている。このため、消音演奏ピアノのような鍵盤楽器では、計測された押鍵速度から出力すべき音量のデータを求める変換テーブルを各鍵毎にメモリに記憶しておき、押鍵毎に変換テーブルを参照して音量のデータを発生するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単純に押鍵速度と音量との関係を設定するだけでは、アコーステックピアノの演奏感を得ることはできない。なぜならば、アコーステックピアノのダンパは、高音側から低音側へ移るに従って重量が重くなっていくが、上述した練習用のピアノでは、ダンパを有していないため、押鍵したときの抵抗がアコーステックピアノの場合よりも小さく、しかも、押鍵時の抵抗の違いは低音側へいくに従って大きくなる。このため、アコーステックピアノと同じような感覚で演奏を行うと、押鍵速度が低音側でより早くなってしまい、音量が大きくなってしまうのである。このため、変換テーブルで設定した音量がアコーステックピアノの音量となかなか合わないことが多く、また、演奏する人によって演奏したときの感じ方が異なるため、製品化にあたって音量を決めるのが難しいという事情があった。
【0005】
もっとも、消音演奏ピアノも練習用のピアノもボリュームツマミを有していて、音量の調節は可能となっている。しかしながら、そのようなボリュームツマミは、全ての音の音量を均等に上下させるものであるから、ダイナミックレンジを全体的に上下させるに過ぎない。したがって、ボリュームツマミでは、個々の押鍵に対する音量を設定することができないのは勿論のこと、音量を絞ると大きな音が出にくくなってしまうという欠点がある。また、楽譜を追いながら押鍵してゆく譜読みを行う際には、音の強弱が付かない方がやり易いという事情もある。
【0006】
さらに、自動演奏ピアノにおいては、音量を絞ると、中低音に比べて高音が目立たなくなってしまうという問題がある。すなわち、高音部の弦は中低音部のものに比べて短く、ある程度以上の強度(速度)で打弦しないと十分に響かないので、音量を絞った状態では楽曲の高音部分が聞こえ難くなることがあるのである。なお、自動演奏ピアノに限らず、同一のピアノにおける低音部の音量と高音部の音量とのアンバランスは存在し得る。例えば、同一のピアノであっても、特定の音域では打鍵速度に比べて大きな音が出るが、別の特定の音域では打鍵速度に比べて小さな音しか出ないということがあり、このような場合には、元の演奏のニュアンスを損なわずに演奏データを再生することは困難となる。
【0007】
また、端的には、アップライトピアノにおける低音部と高音部とのバランスと、コンサートグランドピアノにおける上記バランスとの差異が挙げられるが、このような差異が演奏データを記録するピアノと演奏データを再生するピアノとの間に存在すると、元の演奏のニュアンスを損なわずに演奏データを再生するのは困難となる。なお、上記差異は、同一種類のピアノにおいても個体差として存在し得るものであるし、同一のピアノであっても経年変化により生じる虞がある。
【0008】
よって、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ダイナミックレンジと音量を自由に設定することができる音量データ変換装置を提供することを第1の目的とし、音域に対する音量のバランスを自由に設定することができる音量データ変換装置を提供することを第2の目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の音量データ変換装置は、音量データと音高データとが組で入力され、音量データの入力値を変換特性に従って音量情報に変換し、該音量情報を出力する音量データ変換装置であって、上記音量データの入力値の少なくとも3つの値に対する出力値を設定する操作部と、前記操作部で設定された出力値どうしの間を補間して変換特性を設定する変換特性設定部と、前記音高データの複数の入力値について、前記出力値に対する補正量を設定するキースケーリング用操作部と、前記キースケーリング用操作部で設定された補正量どうしの間を補間して音高データについての変換特性を設定するキースケーリング用変換特性設定部と、前記変換特性設定部で設定された前記変換特性と、前記キースケーリング用変換特性設定部で設定された前記音高データについての変換特性とに基づいて前記音量データを前記音量情報に変換し、該音量情報を出力する音量データ変換部とを備えたことを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載の音量データ変換装置によれば、操作部により少なくとも3つの入力値対する出力を設定することにより、出力どうしの間が補間されて変換特性が設定される。
【0017】
さらに加えて、キースケーリング用操作部によって、音高データの複数の入力値について、出力値に対する補正量を設定することにより、補正量どうしの間が補間されて音高データについての変換特性が設定される。この変換特性と音量データに対する変換特性とに基づいて音量データ変換部が音量情報を出力するから、音量データと音高データとの組が入力されると、操作部およびキースケーリング用操作部での入力に対応した音量の楽音が発生される。
【0018】
【発明の実施の形態】
(1)第1実施形態の構成
以下、この発明の第1実施形態を図1ないし図9を参照しながら説明する。この第1実施形態は、本発明を消音演奏ピアノに適用したものである。図1は鍵盤の下側の構成を示す図である。図1に示すように、鍵10の下側には、シャッタKSが設けられており、このシャッタKSに対向する棚板11の上面には、キーセンサKSEが設けられている。キーセンサKSEには上下方向に所定距離隔てて光センサが設けられており(図示略)、鍵10が押下されると、はじめに上方の光センサが遮光され、次いで、下方の光センサが遮光される。逆に、離鍵時には、まず下方の光センサが受光状態になり、ついで、上方の光センサが受光状態になる。この第1実施形態においては、キーセンサKSEの出力信号に基づいて押鍵速度を示すキーベロシティを検出するようになっている。
【0019】
次に、図2は、この第1実施形態におけるコントローラ100の構成を示すブロック図であり、図示のコントローラ100は、キーセンサKSEの遮光状態から押離鍵タイミングおよび押鍵速度を検出し、これに基づいてMIDIデータを発生する。図2において、101は装置各部を制御するCPUである。102はCPU101において用いられるプログラムが記憶されているROMであり、103は各種データが一時記憶されるRAMである。RAM103はCPU101が行う制御に使用される制御データの記憶エリアとして使用される。104は各種操作子から構成されたパネルスイッチ部であり、ダイナミックレンジの設定等を行うためのボリュームスイッチ110を有している。
【0020】
次に、105は、センサインターフェイスであり、各キーセンサKSEに対応して設けられている光センサの受光状態に応じた信号をCPU101に出力する。この場合、CPU101は、センサインターフェイス105から供給される信号に基づいて、いずれの鍵が操作されたかを認識するとともに、遮光タイミングから打鍵速度Hvを算出する。また、CPU101は、キーセンサKSEの信号をセンサインターフェイス105から受けると、これに基づいてキーオンおよびキーオフタイミングを認識する。そして、CPU101は、それらの演奏データから各イベントのMIDIデータを発生する。
【0021】
106は、音源回路であり、CPU101から供給されるMIDIデータに応じた楽音信号を合成する回路である。音源回路106は、アコーステックピアノと同様の楽音波形を記憶するとともに、他の楽器の楽音波形も記憶している。音色の選択は、操作パネル104内の各種スイッチによって行われ、指定された音色に対応する楽音波形が選択される。この音源回路106で作成された楽音信号は、スピーカSPまたはヘッドホンHHに供給されて楽音として発せられる。
【0022】
次に、120は音量データ変換回路であり、これと上記ボリュームスイッチ110とによって第1実施形態の音量データ変換装置を構成している。音量データ変換装置は、CPU101から供給されるMIDIデータのうち、押鍵速度を示すキーベロシティをボリュームスイッチ110の設定に応じて変換し、音源回路106に出力し、他のMIDIデータについては何ら変換を施すことなく音源回路106に出力するようになっている。以下、音量データ変換装置の構成について説明する。
【0023】
図4はボリュームスイッチ110を示す平面図である。図4に示すように、ボリュームスイッチ110には、図中上下方向に移動自在な複数のスライドキー(操作部、変換特性入力部)111a,…111gを有している。ここで、アコーステックピアノで発音され得る最小の音量(ピアニシモ)の楽音を発する押鍵がなされたときのキーベロシティは(01)とされ、キーベロシティ(01)を下回るような速度で押鍵がなされた場合には、CPU101はキーベロシティを出力しない。
【0024】
そして、最も左側のスライドキー111a(以下、このスライドキーをピアニシモ設定キー(ダイナミックレンジ入力部)とも称する)の位置を調整することにより、供給されるキーベロシティ(01)に対して、出力するキーベロシティの大きさを自由に設定することができるようになっている。たとえば、図4に示す状態では、ピアニシモ設定キー111aは(01)に合わされており、キーベロシティ(01)が音量データ変換回路120に入力されると、音量データ変換回路120はキーベロシティ(01)を出力し、その結果、音源回路106からは音量の最も小さい楽音が発生させられる。また、図4に示す状態からピアニシモ設定キー111aを上げて(01)よりも大きい値に合わせると、キーベロシティ(01)の入力に対して出力されるキーベロシティは、ピアニシモ設定キー111aが指示する値と同じ値となる。その結果、音源回路106が発生する楽音の音量は、ピアニシモ設定キー111aが指示する値に対応した大きさとなる。このように、ピアニシモ設定キー111aは、音源回路106へ出力するピアニシモのキーベロシティを設定する機能を有している。
【0025】
また、アコーステックピアノで発音される最大の音量(フォルテシモ)の楽音を発する押鍵がなされたときのキーベロシティは(7F)とされ、キーベロシティ(7F)を上回る速度で押鍵がなされた場合には、CPU101は、キーベロシティ(7F)を出力する。そして、最も右側のスライドキー111g(以下、このスライドキーをフォルテシモ設定キー(ダイナミックレンジ入力部)とも称する)の位置を調整することにより、供給されるキーベロシティ(7F)に対して、出力するキーベロシティの大きさを自由に設定することができるようになっている。
【0026】
たとえば、図4に示す状態では、フォルテシモ設定キー111gは(7F)に合わされており、キーベロシティ(7F)が音量データ変換回路120に入力されると、音量データ変換回路120は、キーベロシティ(7F)を出力する。その結果、音源回路106からは音量の最も大きい楽音が発生する。また、図4に示す状態からフォルテシモ設定キー111gを下げて(7F)よりも小さい値に合わせると、キーベロシティ(7F)の入力に対して出力するキーベロシティの値はフォルテシモ設定キー111aが指示する値と同じ値となる。その結果、音源回路106が発生する楽音の音量は、フォルテシモ設定キー111gが指示する値に対応した大きさとなる。このように、フォルテシモ設定キー111gは、音源回路106へ出力するフォルテシモのキーベロシティを設定する機能を有している。
【0027】
以上のように、ピアニシモ設定キー111aとフォルテシモ設定キー111gにより、音源回路106に出力するキーベロシティのダイナミックレンジを設定するようになっている。そして、設定されたダイナミックレンジ内における各楽音の音量は、スライドキー111b〜111f(以下、これらを変換特性入力キー(変換特性入力部)とも称する)によって自由に設定可能となっている。
【0028】
変換特性入力キー111b〜111fは、CPU101から供給されるキーベロシティのうち、(01),(20),(40),(60)および(7F)の出力をそれぞれ設定するものである。たとえば、変換特性入力キー111cは、キーベロシティ(20)の入力に対する出力を設定するためのもので、これを上下方向へ移動させることにより、出力するキーベロシティの値を増減するようになっている。
【0029】
図4に示すように、ピアニシモ設定キー111aとフォルテシモ設定キー111gで設定したキーベロシティのダイナミックレンジが最大であって、スライドキー111b〜111fが最小値から最大値まで直線上に位置しているとき、入力したキーベロシティ(01)〜(7F)に対して出力するキーベロシティは、変換特性入力キー111b〜111fが指示する値と同じになる。ここで、ピアニシモ設定キー111aおよびフォルテシモ設定キー111gが、図4に示す状態から上方または下方へ移動させられると、入力されたキーベロシティ(01)〜(7F)に対して出力するキーベロシティが変更される。なお、これについては第1実施形態の動作の説明で詳述する。
【0030】
そして、音量データ変換回路120の変換テーブル作成部(変換特性設定部)121は、上記したピアニシモ設定キー111a〜フォルテシモ設定キー111gが指示する値に対応する変換テーブルを作成し、この変換テーブルをメモリ122に記憶させる。音量データ変換部123には、CPU101からキーベロシティを含むMIDIデータが出力され、音量データ変換部123は、メモリ122に記憶した変換テーブルを参照し、入力されたキーベロシティに対応するキーベロシティを読み出して音源回路106に出力する。
【0031】
(2)第1実施形態の動作
A.変換特性の設定
まず、音量データ変換装置によって変換特性を設定する動作について説明する。図4に示す状態では、ピアニシモ設定キー111aは(01)に合わせられ、フォルテシモ設定キー111gは(7F)に合わせられている。また、変換特性入力キー111b〜111fは、(01),(20),(40),(60),(7F)にそれぞれ合わせられている。したがって、音量データ変換装置から出力されるキーベロシティは、それぞれ(01),(20),(40),(60),(7F)となり、直線的に増加する。
【0032】
変換テーブル作成部121は、各変換特性入力キー111b〜111fが指示する値に基づいて変換テーブルを作成する。まず、入力されるキーベロシティをX軸、出力するキーベロシティをY軸とし、変換特性入力キー111b〜111fが指示する値(01),(20),(40),(60),(7F)どうしを線分で結んだときのY座標を、X座標の(01)から始めて「1」刻みで求める。こうして作成される変換テーブルは、図4に一点鎖線で示すように、入力されるキーベロシティ(01)〜(7F)に対して、出力するキーベロシティが(01)から(7F)まで直線的に変化するものとなる。そして、変換テーブル作成部121は、X座標とY座標とが対になった変換テーブルをメモリ122に記憶させる。
【0033】
変換テーブル作成部121が行う上記変換テーブルの作成方法は一例であり、各変換特性入力キー111b〜111fが指示する値に基づいて、例えば次のような方法でも変換テーブルを作成することができる。
▲1▼まず、変換特性入力キー111gと変換特性入力キー111aの設定値の差分の絶対値をとる。
▲2▼次に、各変換特性入力キー111b〜111fの設定位置につき、ダイナミックレンジすなわちキーベロシティ(7f)−(01)に対する割合を求める。▲3▼上記▲1▼と▲2▼を乗算して、各変換特性入力キー111b〜111fの変換後のベロシティを求める。
▲4▼4次関数に、各変換特性入力キー111b〜111fの入力値(01),(20),(40),(60),(7F)と上記▲3▼で求められた各ベロシティを入力して係数を求める。
▲5▼入力ベロシティを(01)から1ずつ増やしながら上記▲4▼で求めた4次関数に入力して、変換テーブルを作成する。
【0034】
この場合、変換特性入力キー111b〜111fを右下がりに設定すれば、入力値が小さいと出力値が大きくなり、逆に入力値が大きいと出力値が小さくなるといった変換もできる。このとき、ダイナミックレンジは、変換特性入力キー111a,111gによって決まるが、キー111aの設定位置をキー111gの設定位置よりも大きくするよりは、キー111gの設定位置をキー111aの設定位置よりも大きくする方が感覚的に設定しやすい。このような設定を行うために、上記▲1▼で絶対値をとるようにしている。なお、4次関数は、入力値の数、すなわちこの場合は(01),(20),(40),(60),(7F)の5つから1を引いた次数から成立するもので、入力値の数に応じてn−1次の関数が用いられる。この変換テーブルの作成方法によれば、より正確な変換テーブルの作成が行われる。
【0035】
B.消音演奏の動作
鍵10が押下されると、鍵10の動作は次のようにしてキーセンサKSEにより検出される。鍵10が下降すると鍵10に取り付けたシャッタKSがキーセンサKSEの上方の光センサを遮光し、次いで、下方の光センサを遮光する。そして、このキーセンサKSEの出力信号に基づいて、CPU101はキーベロシティを検出する。
【0036】
なお、CPU101は、キーセンサKSEの下方の光センサが遮光されたタイミングによってキーオンタイミングを検出し、上方の光センサが遮光されてから受光状態になったタイミングによってキーオフタイミングを検出する。そして、これらキーオンタイミングおよびキーオフタイミングと上記キーベロシティによってMIDIデータが構成されている。このMIDIデータは音量データ変換部123に供給され、音量データ変換部123は、メモリ122に記憶させた変換テーブルを参照する。
【0037】
入力されるキーベロシティは、(01)から(7F)までのうち「1」刻みでいずれかの値を有している。音量データ変換部123は、入力されたキーベロシティの値に対応するキーベロシティの値を変換テーブルから読み出し、MIDIデータのキーベロシティを読み出した値に書き替えて音源回路106に出力する。これにより、音源回路106が発生する楽音の音量は、変換特性入力キー111b,…が指示する値に対応するものとなる。
【0038】
C.変換特性の変更
次に、図4に示す状態からフォルテシモ設定キー111gを(7F)から下降させて、(60)に合わせて消音演奏を行う場合について説明する(図5参照)。この場合、フォルテシモ設定キー111gが(60)に設定されているため、入力されたキーベロシティ(7F)に対して出力するキーベロシティは(60)となる。そして、変換テーブル作成部121は、図5に一点鎖線で示すように、出力するキーベロシティが(01)から(60)まで直線的に変化する変換テーブルを作成する。
【0039】
したがって、音源回路106から発生させられる楽音のダイナミックレンジはやや狭くなり、かつ、大きい音がでにくくなるとともに、音量感が少し小さめとなる。しかしながら、そのような演奏が好まれる場合もある。たとえば、クラブやバーでピアノの演奏を行う場合には、音量を押さえたひかえめの演奏の方が好まれる。
【0040】
次に、図5に示す状態からピアニシモ設定キー111aを(01)から上昇させて(20)に合わせて消音演奏を行う場合について説明する(図6参照)。この場合には、フォルテシモ設定キー111gが(60)に、ピアニシモ設定キー111aが(20)に合わせられているため、入力されたキーベロシティ(01)および(7F)に対して出力されるキーベロシティは(20)および(60)となる。そして、変換テーブル作成部121は、図6に一点鎖線で示すように、出力するキーベロシティが(20)から(60)まで直線的に変化する変換テーブルを作成する。
【0041】
したがって、音源回路106から発生させられる楽音のダイナミックレンジはさらに狭くなり、かつ、小さい音が出にくくなる。よって、この場合の演奏は、あまり抑揚のないものとなるが、演奏する曲によってはその方が雰囲気の出る場合がある。たとえば、ジャズピアノやラグタイムピアノあるいはバッハの曲を演奏する場合には、抑揚のない方が好まれる。
【0042】
次に、図7は変換特性入力キー111b〜111fを曲線状に配列した例を示す。この場合、変換テーブル作成部121は、まず、変換特性入力キー111b〜111fが指示するキーベロシティどうしを線分で結んだときのY座標を、X座標の(01)から始めて「1」刻みで求める。この場合、各線分は折れ線状をなす。次に、変換テーブル作成部121は、X座標を変化させたときにY座標の変化率が連続するようにY座標の値を補正する。これにより、Y座標は曲線をなすように変化する。
【0043】
次に、変換テーブル作成部121は、ピアニシモ設定キー111aおよびフォルテシモ設定キー111gの設定に基づいて上記Y座標をさらに補正する。すなわち、図7に示すように、変換特性入力キー111fは(7F)を指示しているのに対し、フォルテシモ設定キー111gは(4A)を指示している。そこで、出力するキーベロシティの最大値が(4A)となるようにY座標をさらに補正する。この補正に際しては、X座標が(01)のときのY座標(18)を固定したまま、Y座標の変化率を減少させてY座標がなす曲線の勾配を小さくし、X座標が(7F)のときにY座標が(4A)となるようにする。図中一点鎖線はそのようにして補正したY座標がなす曲線を示すもので、そのときのX座標とY座標の対を変換テーブルとする。
【0044】
なお、図7に示すボリュームスイッチ110の設定では、全体的に音量が小さく、しかも、ダイナミックレンジも狭い。したがって、音量の大きい音が出にくく音量感も小さめとなるが、譜読みを行うときには音量の大小に紛らわされることが少ないので便利である。
【0045】
次に、図8は、変換特性入力キー111bがピアニシモ設定キー111aが指示する値よりも大きな値を指示し、変換特性入力キー111fがフォルテシモ設定キー111gが指示する値よりも小さい値を指示している例である。この例では、変換テーブル作成部121は、まず、前述したと同様にして、曲線をなすY座標を求める。次に、出力するキーベロシティの最大値がフォルテシモ設定キー111gが指示する(7F)となるようにY座標をさらに補正する。この補正に際しては、X座標が(01)のときのY座標(例えば25)を固定したまま、Y座標の変化率を増加させてY座標がなす曲線の勾配を大きくし、X座標が(7F)のときにY座標が(7F)となるようにする。
【0046】
次に、変換テーブル作成部121は、X座標が(7F)のときのY座標(7F)を固定したまま、Y座標の変化率を増加させてY座標がなす曲線の勾配を大きくし、X座標が(01)のときにY座標が(01)となるようにする。図中一点鎖線はそのようにして補正したY座標がなす曲線を示すもので、そのときのX座標とY座標の対を変換テーブルとする。
【0047】
なお、図8に示すボリュームスイッチ110の設定では、音量の抑揚が強くダイナミックレンジも広い。したがって、クラシック音楽など各種音楽の演奏に向いている。また、図9に示すようにボリュームスイッチ110を設定した場合も、図8の場合と同様にして変換テーブルを作成する。図9に示す設定では、音量の大きな音が出易く音量感も大きいがダイナミックレンジは狭い。
【0048】
上記構成の音量データ変換装置にあっては、入力されたキーベロシティに対して出力するキーベロシティを任意に設定することができる。したがって、演奏をヘッドホンで聴くかスピーカで聴くかによって好みの音量を設定することができる。また、演奏を行う部屋の大きさ、夜に演奏を行うのか昼に行うのか、クラシックかジャズか、あるいは、静かな曲かにぎやかな曲か、心を込めた演奏か指の練習かなどによって音量を適宜設定することができ、非常に便利である。たとえば、小さい音量域でダイナミックレンジを狭くしたり、大きな音量域でダイナミックレンジを狭くするなど、上記のような状況に応じて音量を適宜設定することができる。
【0049】
特に、上記第1実施形態では、変換特性入力キー111b,…を操作することなく、ピアニシモ設定キー111aやフォルテシモ設定キー111gを操作するだけでダイナミックレンジを調整することができるので、操作が非常に簡単である。また、スライドキー111a,…の配置により音量の設定が一目で判るので、非常に便利である。さらに、出力側キーベロシティが曲線をなすように補正するので、音量の変化が滑らかで聴いていて違和感が生じない。
【0050】
(3)第2実施形態の構成
次に、この発明の第2実施形態について、図10〜図15を参照して説明する。第2実施形態による音量データ変換装置の適用対象は自動演奏ピアノであり、第1の実施形態とは異なるが、この発明に関する要部は消音演奏ピアノおよび自動演奏ピアノに共通して適用可能であるので、本発明と直接的に関係しない部分については説明を省略する。
【0051】
本発明の範囲において、第2実施形態における自動演奏ピアノが第1実施形態におけるものと異なる点は、コントローラ100(図2参照)に代えてコントローラ200を採用した点である。ここで、第2実施形態における自動演奏ピアノの構成を図10に示す。なお、図10において、図2と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
図10から明らかなように、自動演奏ピアノと消音演奏ピアノとの差異を除けば、コントローラ200がコントローラ100と相違する点は、ボリュームスイッチ110および音量データ変換回路120からなる音量データ変換装置に代えて、ボリュームスイッチ部210および音量データ変換回路220からなる音量データ変換装置を有する点のみである。この相違点は、詳しくは後述するが、音高(キー番号)に応じた音量変換機能を音量データ変換装置に付加したことに起因して生じたものである。以下、上記相違点に着目して第2実施形態の構成および動作について説明する。
【0053】
図11は第2実施形態による音量データ変換装置の構成を示す図であり、図中の音量データ変換回路220において、変換テーブル作成部(変換特性設定部)221,メモリ222,音量データ変換部223は、図3中の対応する各部121,122,123の機能を有する。また、変換テーブル作成部221は、ボリュームスイッチ部110による設定値に対応する変換テーブルを作成し、作成した変換テーブルをメモリ222に記憶させる。音量データ変換部223は、CPU101からキーベロシティとキー番号とを含むMIDIデータを入力し、メモリ222に記憶した変換テーブルを参照し、入力されたキーベロシティおよびキー番号に対応するキーベロシティを求めて後段の鍵駆動回路(図示略)へ出力する。
【0054】
次に、図12を参照し、ボリュームスイッチ部210について説明する。図12に示すように、ボリュームスイッチ部210には、液晶パネル213が設けられている。この液晶パネル213を含む表示装置(図示略)は、図中上下方向に伸びたインジケータを図中左右方向に複数個並べて液晶パネル213上に表示するとともに、設定値を表す図形(以後、「指標」という)を各インジケータ上に表示するよう構成されている。上記複数のインジケータは、MIDIデータ中のキーベロシティに対応したインジケータ211a,…211gと、キー番号に対応したインジケータ212a,…212gとに分類され、各分類間で対応するもの同士が対をなすよう隣接して配置される。なお、ここでは、インジケータ211a,…211g上の指標は緑色で、インジケータ212a,…212g上の指標は赤色で表示されるものとする。
【0055】
また、214a〜214gは、それぞれ、長手方向が図中上下方向に配されたアップダウンスイッチであり、各インジケータの対に対応する位置に設けられ、上部の“+”部分(下部の“−”部分)が押下されることにより、押下時間または押下回数に応じて、対応するインジケータ上の指標の位置を上昇(下降)させる。なお、アップダウンスイッチに代えてボリュームツマミ等を採用することも可能である。
【0056】
215および217はそれぞれロータリースイッチ、216は押下されるとその旨の信号を出力し自動的に復帰するスイッチであり、スイッチ215は設定対象(MIDIデータ中のキーベロシティに対する変換テーブル/キー番号に対する変換テーブル)を切り換えるために、スイッチ216は変換テーブルの設定のトリガを入力するために、スイッチ217は設定あるいは呼び出しする変換テーブルの記憶領域を切り換えるために使用される。なお、音量データ変換回路220は、メモリ222において、MIDIデータ中のキーベロシティに対する変換テーブルの記憶領域とキー番号に対する変換テーブルの記憶領域とが重複しないよう管理している。
【0057】
また、図12に示すように、液晶パネル213の下側には、各インジケータ211a,…211gに対してMIDIデータ中のキーベロシティ“p”,“00”,…“f”が、各インジケータ212a,…212gに対してキー番号“1”,“16”,…“88”が描かれており、同左右側には、各インジケータ211a,…211gの目盛りとして出力値“01”,“20”,…“7F”が、各インジケータ212a,…212gの目盛りとして補正値“−40”,“−20”,…“+40”が描かれている。なお、これらの文字を、液晶パネル213によって表示するようにしてもよい。また、言うまでもないが、キー番号は低音から高音に向けて順に付与されている。
【0058】
インジケータ211a,…211gおよびアップダウンスイッチ214a,…214gは、スライドキー111a,…111g(図4参照)に相当するものであり、これらによって達成される機能も第1実施形態における機能と同一である。一方、インジケータ212a,…212gおよびアップダウンスイッチ214a,…214gにより達成される機能は、キー番号に応じて音量データを変換するための変換テーブルを作成する機能である。
【0059】
この新たな機能によれば、例えば、スイッチ215がイコライザ側に切り換えられている場合には、アップダウンスイッチ214a,…214gを操作することにより、第1番目のキー、第16番目のキー、…、第88番目のキーに対応する補正値を設定し、スイッチ216を押下することにより、設定された補正値に基づいて直線あるいは曲線補間を行い、全てのキー番号に対する補正値のテーブル(キー番号に対する変換テーブル)を作成し、スイッチ217で指定されているメモリ222内の領域に記憶することができる。なお、スイッチ216の押下をトリガとして変換テーブルを作成・記憶することは、MIDIデータ中のキーベロシティに対応する変換テーブルを作成する際にも共通する。
【0060】
また、スイッチ217が切り換えられると、これをトリガとして、スイッチ215がイコライザ側に切り換えられている場合には、スイッチ215とスイッチ217により指定された記憶領域からイコライザ用の変換テーブルが呼び出され、液晶パネル213上のイコライザに関する全ての指標の位置が、当該変換テーブルに応じた位置となる。この時、キーベロシティに関する全ての指標の位置については変化はなく、スイッチ215がベロシティ側にあった時にスイッチ217により指定された記憶領域から呼び出されたベロシティ用の変換テーブルに基づく指標がそのまま表示されている。
【0061】
一方、スイッチ217が切り換えられた時に、スイッチ215がベロシティ側に切り換えられている場合には、スイッチ215とスイッチ217により指定された記憶領域からベロシティ用の変換テーブルが呼び出され、液晶パネル213上のベロシティに関する全ての指標の位置が、当該変換テーブルに応じた位置となる。この時、イコライザに関する全ての指標の位置については変化はなく、スイッチ215がイコライザ側にあった時にスイッチ217により指定された記憶領域から呼び出されたイコライザ用の変換テーブルに基づく指標がそのまま表示されている。
なお、いずれの場合においても、液晶パネル213の一部に、キーベロシティとイコライザの現在の表示番号(プリセット番号)が表示されるようにするとなお良い。
【0062】
また、音量データ変換部223は、スイッチ215とスイッチ217により指定された記憶領域から2種類の変換テーブルを呼び出し、まず、キーベロシティに対応した変換テーブルを参照して、MIDIデータ中のキーベロシティを変換し、音量およびダイナミックレンジを調整する。次に、音量データ変換部223は、キー番号に対応した変換テーブルを参照して、MIDIデータ中の音高(キー番号)に応じた補正値を調整後のキーベロシティに加算し、加算結果を出力する。なお、キー番号に対応した変換テーブルを先に使用するようにしても良いし、両変換テーブルを合成した変換テーブルを予め作成し、この変換テーブルを用いて出力値を求めるようにしてもよい。また、補正値を加算するのではなく、例えば、入力と出力との比を補正量として設定し、この補正量を上記「調整後のキーベロシティ」に乗算するようにしてもよい。
【0063】
(4)第2実施形態の動作
A.変換特性のプリセット
まず、音量データ変換装置により変換特性をプリセットする動作について説明する。
変換特性をプリセットするには、まず、スイッチ215および217を操作し、設定しようとする変換テーブルの種類、および変換テーブルを記憶する領域を選択する。ここでは、図12に示すように、“4”で表される記憶領域に、キー番号に対応した変換テーブルをプリセットするものとする。
【0064】
次に、アップダウンスイッチ214a〜214gを操作し、インジケータ212a,…212g上の各指標を所望の位置に配置する。図12の例では、各指標は、低音側から高音側にかけて直線的に上昇するよう配置されている。各指標の配置は任意であるが、例えば、MIDIデータ中のキーベロシティに対する変換テーブルによって音量あるいはダイナミックレンジが絞られている場合には、前述した問題を避けるために、図13に示すように、高音側の音量を上げるような配置が望ましい。また、例えば、消音演奏ピアノに適用する場合には、電子音源であることに起因して高音側の音量が大きく聞こえるので、図14に示すように、高音側の音量を下げるような配置が望ましい。さらに、中音部に比べて低音部および高音部の音量が小さいピアノに適用する場合には、図15に示すような配置にすることで、全音域における音量バランスを整えることができる。
【0065】
インジケータ212a,…212g上の各指標を所望の位置に配置し終えたら、スイッチ216を押下することにより、変換テーブル作成部221によって、各指標の設定値に基づいて変換テーブル(キー番号に対する変換テーブル)が作成されるが、この作成処理は、第1実施形態における処理と同様であるので、その説明を省略する。変換テーブル作成部221によって作成された変換テーブルは、スイッチ217で指定されたメモリ222上の領域に記憶される。この際、同一領域に存在していたデータは上書きされる。
【0066】
B.自動演奏の動作
次に、自動演奏時の動作について説明する。
自動演奏時には、CPU101から音量データ変換部223へ、キー番号およびキーベロシティを含むMIDIデータが供給され、音量データ変換部223は、スイッチ217で指定されたメモリ222上の領域に記憶している2種類の変換テーブルを参照して、MIDIデータ中のキーベロシティを当該キーベロシティに応じて変換し、変換結果にキー番号に応じた補正値を加算し、加算結果でMIDIデータ中のキーベロシティを書き換え、後段の鍵駆動回路へ出力する。これにより、発生する楽音の音量は、液晶パネル213上の指標が表す値に対応したものとなる。
C.変換特性の変更
変換特性の変更動作については、スイッチ215およびスイッチ217を操作して変更対象の変換テーブルを選択し、液晶パネル213の表示内容を当該変換テーブルに応じた内容としておく点を除いて、変換特性のプリセットの動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
(5)変更例
以下、上述した各実施形態の変更例について説明する。ここでは、説明の繁雑化回避のために、主に第1実施形態に着目して変更例を挙げるが、以下に述べることと同様なことが第1実施形態と同様な機能を有する第2実施形態にも当てはまることは言うまでもない。
【0068】
(a)前記第1実施形態ではピアニシモ設定キー111aとフォルテシモ設定キー111gとを設けているが、変換特性入力キー111b〜111fのみでも本発明の課題を解決することができる。すなわち、変換特性入力キー111b,111fを操作することによって、ダイナミックレンジとともに変換特性が設定されるように構成すれば良い。
(b)第1実施形態では、変換特性入力キー111b,…を5つ設けているが、少なくとも3つあれば大まかではあるが変換特性を設定することができる。また、5つよりも多く設けることにより、きめ細かな設定を行うことが可能となる。これらのことは、第2実施形態におけるインジケータ211a,…およびインジケータ212a,…についても同様である。
(c)第1実施形態では、変換特性入力キー111b,…で設定した出力側キーベロシティどうしの間を線形補間した後に、出力側キーベロシティが曲線状をなすように補正しているが、線形補間だけ行うようにしても良い。これと同様なことが、第2実施形態におけるキー番号に対する変換テーブルの作成処理についても言える。
【0069】
(d)第1実施形態では、入力されるキーベロシティの最小値(01)から最大値(7F)までの間を等分割して変換特性入力キー111b,…を設けているが、不等分割にして設けることもできる。たとえば、変換特性入力キー111cをキーベロシティ(30)の入力に対する出力側キーベロシティの設定に用いることができる。その際に、各変換特性入力キー111b〜111fに割り当てるキーベロシティを演奏者が任意に設定できるようにしてもよい。すなわち、例えば、各変換特性入力キー111b〜111fでキーベロシティが01,10,20,40,7fの入力に対する出力側キーベロシティの設定を行うといったことが可能になる。この場合、入力キーベロシティが小さい場合の変換カーブは細かく設定でき、一方、入力ベロシティが大きい場合の変換カーブの設定は荒い。すなわち、演奏者の好みに応じて、細かく設定したいところに重点的にスイッチを割り当て、荒くても良いところは少なくして、限られたスイッチで多彩なカーブの作成が可能になる。
また、たとえば、入力されるキーベロシティの中間値(例えば20)から中間値(例えば60)までの間を分割して変換特性入力キー111b,…を設けることもできる。この場合には、変換特性入力キー111b,…で設定した出力側キーベロシティがなす曲線(または直線)を延長して最小値(01)および最大値(7F)までの出力側キーベロシティを設定することができる。
標準的な変換特性の変換テーブルを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された変換テーブルとボリュームスイッチ110で設定された変換テーブルとを選択する操作子を設け、音量データ変換回路120がこの操作子で選択された変換テーブルを用いてベロシティを変換するようにしてもよい。この場合、記憶する変換テーブルを複数用意しておき、その中から任意のテーブルを選択できるようにするとさらに良い。加えて、この記憶手段を書込可能なものとするとともに、ボリュームスイッチ110で設定された変換テーブルをこの記憶手段に記憶できるようにすれば、任意に設定した変換テーブルを容易に再現することが可能になる。
【0070】
(e)前記第1実施形態では、音量データ変換回路120をCPU101と音源回路106の中間に設けているが、センサインターフェイス105とCPU101の中間に配置することもできる。あるいは、CPUで音量データ変換回路120の機能を実行するよう構成することもできる。あるいは、消音演奏ピアノなどの鍵盤楽器とは独立した構成にすることができる。
(f)前記第2実施形態では、液晶パネル213を用いて各インジケータを示したが、LED列で代替することも可能である。この際、補正値のメモリとキーベロシティのメモリとをスイッチ215に連動して切り換え表示するようにしてもよい。
(g)本発明の音量データ変換装置は、消音演奏用ピアノの他に、前述したような練習用ピアノ、電子楽器あるいは自動演奏ピアノなどあらゆる楽器に適用可能である。
【0071】
(h)前記第2実施形態では、スイッチ216とスイッチ217のベロシティとイコライザの機能をスイッチ215で切り換えて使用しているが、スイッチ215の代わりにスイッチ216,217を2系統備え、それぞれをベロシティ/イコライザ専用の系統として用いるようにしてもよい。すなわち、ベロシティ用スイッチ216,217およびイコライザ用スイッチ216’,217’(図示せず)とすることができる。
【0072】
(i)前記第2実施形態におけるイコライザのキー番号表示を全キー(88キー分)対応とし、任意のキーに対して独立に補正値を設定するようにしてもよい。例えば、図示を略すが、各スイッチ214a〜214gに対応してキー選択用のアップダウンスイッチ214a’〜214g’を設け、これらのスイッチ214a’〜214g’の操作に応じて、対応するスイッチ214a〜214gに割り当てられたキー番号が1つずつ増減するよう設定するとともに、鍵盤を模式的に表す画像を液晶パネル213上に表示させ、各スイッチ214a〜214gに割り当てられたキー番号に対応する上記画像上の位置にキー選択用の指標を表示させるようにすれば、上述の全キー対応を実現することが可能であり、任意のキーに対して独立に補正値を設定することができる。
【0073】
任意のキーに対して独立に補正値を設定することができるということは、ある特定のキー(単数または複数)についてのみイコライズすることが可能であることを意味しており、よって、特定のキーの鳴り易さや鳴り難さを補正することもできる。また、大部分のキーについては補間により値を設定し、特定のキーについてのみ補正値を補正することもできるので、きめ細かな設定を行うことができるとともに、全てのキーについての補正値を1つ1つ設定する場合に比べて、設定操作を簡素化することができる。なお、上述した例では、鍵盤を模式的に表す画像上に指標を表示させるようにしているが、各スイッチ214a〜214gに対応した液晶パネル213上の領域に各スイッチ214a〜214gに割り当てられたキー番号を数値表示するようにしてもよい。
【0074】
(j)前記第2実施形態におけるベロシティに関する表示部において、さらに別の指標(例えば黒色)を用いて、インジケータ211a,211g上の指標の位置で決まるダイナミックレンジおよび音量域によって変換された後の特性(実際の出力カーブ)を表示するようにしてもよい。このようにすることによって、使用者は、例えば、図6中に一点鎖線で示すような実際の出力カーブを視認しつつ変換特性を設定することができる。
なお、上述した(i),(j)は、液晶パネルのような表示手段を採用すれば、第1実施形態においても同様に適用可能な事項である。
【0075】
以上説明したようにこの発明の音量データ変換装置においては、入力された音量データに対して出力する音量データの大きさを任意に設定することができる。したがって、種々の状況に応じて音量を適宜設定することができ、非常に便利である。さらに、入力された音量データに対して施す変換の程度を音高データ毎に設定することができるので、音域に対する音量バランスを適宜設定することができ、非常に便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態による音量データ変換装置が適用された消音演奏ピアノの鍵盤の下部構造を示す側面図である。
【図2】 同消音演奏ピアノの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】 同音量データ変換装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】 同音量データ変換装置におけるボリュームスイッチのスライドキーの配置の例を示す平面図である。
【図5】 スライドキーの配置の例を示す平面図である。
【図6】 スライドキーの配置の例を示す平面図である。
【図7】 スライドキーの配置の例を示す平面図である。
【図8】 スライドキーの配置の例を示す平面図である。
【図9】 スライドキーの配置の例を示す平面図である。
【図10】 本発明の第2実施形態による音量データ変換装置が適用された自動演奏ピアノの電気的構成を示すブロック図である。
【図11】 同音量データ変換装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】 同音量データ変換装置におけるボリュームスイッチ部の構成を示す平面図である。
【図13】 同ボリュームスイッチ部における指標の配置の例を示す平面図である。
【図14】 同ボリュームスイッチ部における指標の配置の例を示す平面図である。
【図15】 同ボリュームスイッチ部における指標の配置の例を示す平面図である。
【符号の説明】
111a…ピアニシモ設定キー(ダイナミックレンジ入力部)、111b〜111f…変換特性入力キー(変換特性入力部)、111g…フォルテシモ設定キー(ダイナミックレンジ入力部)、121…変換テーブル作成部(変換特性設定部)、211a〜211g…インジケータ(アップダウンスイッチ214a〜214gと合わせて変換特性入力部を構成する)、212a〜212g…インジケータ(アップダウンスイッチ214a〜214gと合わせてキースケーリング用変換特性入力部を構成する)、214a〜214g…アップダウンスイッチ、221…変換テーブル作成部(キースケーリング用変換特性設定部)
Claims (1)
- 音量データと音高データとが組で入力され、音量データの入力値を変換特性に従って音量情報に変換し、該音量情報を出力する音量データ変換装置であって、
上記音量データの入力値の少なくとも3つの値に対する出力値を設定する操作部と、
前記操作部で設定された出力値どうしの間を補間して変換特性を設定する変換特性設定部と、
前記音高データの複数の入力値について、前記出力値に対する補正量を設定するキースケーリング用操作部と、
前記キースケーリング用操作部で設定された補正量どうしの間を補間して音高データについての変換特性を設定するキースケーリング用変換特性設定部と、
前記変換特性設定部で設定された前記変換特性と、前記キースケーリング用変換特性設定部で設定された前記音高データについての変換特性とに基づいて前記音量データを前記音量情報に変換し、該音量情報を出力する音量データ変換部と
を備えたことを特徴とする音量データ変換装置。
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