JP3753464B2 - ツーピースソリッドゴルフボール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ツーピースソリッドゴルフボールに関し、さらに詳しくは、飛距離が大きく、かつ打球感(打球時のフィーリング)およびコントロール性が良好なツーピースソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ツーピースソリッドゴルフボールは、飛距離が大きいことからゴルファーに好まれてきた。しかし、ツーピースソリッドゴルフボールは、カバーに硬質の樹脂を用いているため、飛距離は出るものの、打球感が悪く、またスピンがかかりにくくてコントロール性が悪いという問題があった。
【0003】
そこで、それを解消するため、例えば特開平1−308577号公報に見られるごとく、カバーに軟質のアイオノマー樹脂を用いるなど、材料面からの検討がなされてきたが、いまだ不充分であって、打球感、コントロール性と飛距離のバランスのとれたツーピースソリッドゴルフボールは得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ツーピースソリッドゴルフボールにおいて、その大きな飛距離を維持しながら、打球感とコントロール性の向上を達成することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、従来の材料面からの検討だけではなく、ツーピースソリッドゴルフボールの構造特性にも着目し、特定の材料物性と構造特性とを組み合わせることによって、カバーに反発性能と柔軟性を付与し、ソリッドコアに適度な打撃変形性と反発性能を付与することにより、ツーピースソリッドゴルフボールの大きな飛距離と良好な打球感、コントロール性とを両立できることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0006】
すなわち、本発明は、ソリッドコアと該ソリッドコアを被覆するカバーとからなるツーピースソリッドゴルフボールにおいて、上記カバーを厚みが1〜3mmで、その−30℃〜+20℃の弾性率(E* )が1000〜9000kgf/cm2 の範囲内で、−30℃〜+20℃の損失正接(tanδ)が0.02〜0.1の範囲内になるようにし、かつ、ソリッドコアを直径が36.7〜40.7mmで、かつ、−20℃、10Hz正弦波、2.5mm圧縮下、振幅±1.1mmの条件下で求めたエネルギーロスファクター(h)が0.08〜0.20の範囲内になるようにし、そのカバーとソリッドコアとを組み合わせて使用したことを特徴とするツーピースソリッドゴルフボールである。
【0007】
以下、本発明のカバーの損失正接(tanδ)、弾性率(E* )、厚み、ソリッドコアのエネルギーロスファクター(h)、直径の順にそれらの持つ意義について詳細に説明する。
【0008】
本発明において、上記カバーの特定に関して使用した「損失正接」は、動的粘弾性の測定から得られる値であり、この損失正接が小さいほど反発性能が高くなる。すなわち、損失正接(tanδ)が小さい場合は、エネルギーロスが少なく、ゴルフボールの場合には、与えられたエネルギーの大部分を運動エネルギーに変えることができるので、反発性能が高くなり、飛距離が大きくなる。
【0009】
本発明において、カバーの−30℃〜+20℃における損失正接(tanδ)は0.02〜0.1であることが必要であるが、これは損失正接が上記範囲内にあるときに、高反発性能であり、かつ、良好な打球感と加工性を保ち得るからである。すなわち、上記損失正接が0.02より小さい場合は、反発性能は良くなるが、打球感や加工性が低下する傾向にある。そして、上記損失正接が0.1より大きい場合は、ボールの反発性能が低下し、飛距離が低下する。
【0010】
また、本発明においては、カバーに関して−30℃〜+20℃における弾性率(E* )も特定する。この弾性率も動的粘弾性の測定から得られるものであり、本発明においては、前記のように、−30℃〜+20℃における弾性率(E* )は1000〜9000kgf/cm2 であることが必要であり、特に2000〜8000kgf/cm2 であることが好ましいが、これは弾性率(E* )が上記範囲内にあるときは、適度な硬さで、良好なコントロール性と打球感を保持できるからである。すなわち、上記温度領域での弾性率が1000kgf/cm2 より低い場合は、スピンがかかりすぎて飛距離が低下するとともに、軟らかくなりすぎてカバーの表面が傷つきやすくなり、そのため、耐久性が低下し、また、打球感も軟らかすぎて重くなり、悪化する。そして、上記温度領域での弾性率が9000kgf/cm2 より高くなると、反発性能は高くなるが、打球感が硬くなるとともに、コントロール性が低下し、また、脆くなってしまうため、耐久性が悪くなる。
【0011】
本発明において、上記損失正接や弾性率を特定する温度領域を−30℃〜+20℃にしているのは、その温度領域での損失正接や弾性率と反発性能との相関性が深いからである。また、上記カバーの損失正接(tanδ)や弾性率(E* )の測定は、カバー用組成物から厚さ2mm、幅4mm、長さ30mmの短冊状の試験片を作製し、測定機器には例えば(株)島津製作所の粘弾性スペクトロメータDVE−200改造型を用い、変形モード:引張り、動歪み:0.25%、温度域:−100℃〜+70℃、周波数:10Hzの条件下で動的損失正接と動的弾性率の温度分散を測定することによって行われる。
【0012】
さらに、本発明においては、カバーの厚みを1〜3mmにする。カバーの厚みが3mmより厚くなると、たとえ好適なカバー材料を用いたとしても、反発弾性が低下して飛距離が低下し、また打球感が悪くなり、逆にカバーの厚みが1mmより薄くなると、耐久性が悪くなり、実用に耐えなくなる。
【0013】
また、本発明において、上記カバーと組み合わせて使用するソリッドコアは、飛距離の源となる高反発性能を得るため、−20℃、10Hz正弦波、2.5mm圧縮下、振幅±1.1mmの条件下で、エネルギーロスファクター(h)が0.08〜0.2の値を持つ必要がある。
【0014】
上記エネルギーロスファクター(h)は、小さいほど反発性能が向上し、飛距離が大きくなるが、ソリッドコアのエネルギーロスファクター(h)が小さくなるほど、その加工性が困難になるので、本発明においては、加工性を考慮して、上記条件下におけるソリッドコアのエネルギーロスファクター(h)を0.08以上とする。そして、上記条件下におけるソリッドコアのエネルギーロスファクター(h)を0.2以下とするのは、エネルギーロスファクター(h)が0.2より大きくなると、充分な反発性能が確保できず、飛距離が低下するからである。
【0015】
本発明において、ソリッドコアの特性として、上記エネルギーロスファクター(h)を特定するようにしたのは、ソリッドコアの反発性能が、ゴルフクラブからソリッドコアに伝達される運動エネルギーの伝達時の損失(ロス)が少ないほど高いことによるものである。
【0016】
これを詳しく説明すると、本発明者らは、まずエネルギーロスを評価する方法について鋭意研究を重ねた結果、ゴルフボールの実打撃時の状態にできるだけ近い状態で評価する方が、実用ゴルフボールの反発性能をより適切に反映させることができることを見出し、実用ソリッドコアそのものを試料とし、動的(10Hz正弦波)に大きな変形を与えてエネルギーロスを評価することにした。そして、そのエネルギーロスファクター(h)の評価方法として、ソリッドコアの動的圧縮変形時の変形量−荷重軸で得られる履歴ループ面積、すなわちエネルギーロス面積(△W)とその時の入力エネルギー面積(W)との比から計算する一般手法を採用した。
【0017】
これを図1を参照しつつ説明すると、図1はソリッドコアに動的(10Hz正弦波)に大きな変形を与えた時のエネルギーロス面積(△W)と入力エネルギー面積(W)を示すものであり、横軸はその変形量を示し、縦軸はその際の荷重を示している。そして、図1中の実線で囲んだ部分Aがエネルギーロス面積であり、斜線を施した部分Bが入力エネルギー面積(W)であって、エネルギーロスファクター(h)は下記の式から求められる。
h=(1/π)・(△W/W)
【0018】
本発明において、上記エネルギーロスファクター(h)を測定する際の条件である、−20℃、10Hz正弦波、2.5mm圧縮下、振幅±1.1mmという条件は、ソリッドコアを−20℃、10Hz正弦波で、2.5mm圧縮し、その振幅が±1.1mmということを意味しているが、本発明において、エネルギーロスファクター(h)の測定にあたって上記条件を採用したのは、上記条件下のエネルギーロスファクター(h)が実用ソリッドコアの反発性能を最も適切に反映しているからである。
【0019】
また、本発明においては、上記ソリッドコアの直径を36.7〜40.7mmにする。これは、ボールの外径をR&Aで規定しているゴルフボールの外径の下限値:42.7mmとして、前記のようにカバーの厚みを1〜3mmにしたことに基づいている。すなわち、ソリッドコアの直径が36.7mmより小さくなると、カバーが厚くなりすぎて、反発性能が低下して、飛距離が低下し、かつ打球感が悪くなり、ソリッドコアの直径が40.7mmより大きくなると、カバーが薄くなって、耐久性が低下し、実用に適さなくなる。
【0020】
つぎに、上記カバー、ソリッドコアの主要材料について説明する。
カバーが前記の動的粘弾性を持ち得るようにするには、例えば、その基材成分としてアイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの混合物を用いるか、またはガラス転移温度が低い分子単位をソフトセグメントとする熱可塑性エラストマーを単独でまたはアイオノマー樹脂と混合して用いることが好ましい。
【0021】
上記アイオノマー樹脂としては、例えば、三井デュポンポリケミカル(株)製のハイミラン1605(商品名、ナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1707(商品名、ナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合系体アイオノマー樹脂)、ハイミラン1706(商品名、亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミランAM7315(商品名、亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミランAM7317(商品名、亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1555(商品名、ナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1557(商品名、亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1855(商品名、亜鉛イオン中和タイプのエチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸三元共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1856(商品名、ナトリウムイオン中和タイプのエチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸三元共重合体系アイオノマー樹脂)、エクソン化学社製のアイオテック7010(商品名、亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、アイオテック8000(商品名、ナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、デュポン社製のサーリン7930(商品名、リチウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、サーリンAD8511(商品名、亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、サーリン8512(商品名、ナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0022】
このアイオノマー樹脂に混合するジエン系ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられるが、それらの中でもガラス転移温度が−30℃以下のものが適している。すなわち、ガラス転移温度では、損失正接(tanδ)の値が極大となるため、ガラス転移温度が−30℃より高い場合は、本発明で規定する「−30℃〜+20℃における損失正接が0.1以下」という条件に適合しなくなるおそれがある。
【0023】
アイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの混合比は、カバーの動的粘弾性を前記範囲にできるものであれば、特に限定されることはないし、また使用するアイオノマー樹脂とジエン系ゴムの種類によっても種々に変わり得るが、通常、アイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの混合比が重量比で90:10〜40:60の範囲、特に80:20〜50:50の範囲から選択するのが好ましい。
【0024】
上記アイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの混合は、ニーダー、バンバリーミキサーなどの密閉型混合機を用いて行ってもよいし、オープンロールなどの開放型混合機を用いて行ってもよい。また、連続的に混合するために押出機を用いて行ってもよいし、樹脂中でゴムを加硫する動的加硫と呼ばれる方法を採用して行ってもよい。
【0025】
また、ガラス転移温度が低い分子単位をソフトセグメントする熱可塑性エラストマーとしては、ポリブタジエン鎖、ポリイソプレン鎖、ポリジメチルシロキサン鎖、ポリエーテル鎖、ポリ(ブチレン−エチレン)鎖などをソフトセグメントとして有するものが挙げられ、その好適な具体例としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)系、水添スチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)系、それらのエポキシ変性品、ポリアミド−ポリエーテル系、ポリエステル−ポリエーテル系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0026】
上記カバーを構成するカバー用組成物の調製にあたっては、上記基材成分に、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、二酸化チタンなどの顔料、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを添加することができるし、さらには、必要に応じて、上記基材成分以外のエラストマーも添加することができる。
【0027】
本発明において、ソリッドコアの組成は、ブタジエンゴムにシリコーンゴムを添加し、共架橋剤としてアクリル酸亜鉛を用いて、有機パーオキサイドで架橋したものであることが好ましい。
【0028】
また、ソリッドコアが上記エネルギーロスファクター(h)を持ちやすくするために、▲1▼ブタジエンゴムにシリコーンゴムを20〜50重量%添加する(すなわち、ゴム成分100重量部中、ブタジエンゴムを50〜80重量部、シリコーンゴムを20〜50重量部とする)か、▲2▼共架橋剤のアクリル酸亜鉛を増やし、充填剤を少なくするか、▲3▼あるいはアクリル酸亜鉛を増やし、有機パーオキサイドを少なくすることが好ましい。
【0029】
つぎに、本発明のツーピースソリッドゴルフボールの一例を図面を参照しつつ説明する。図2は本発明のツーピースソリッドゴルフボールの一例を模式的に示す断面図であり、図中、1はソリッドコアで、2はカバーであり、2aはディンプルである。
【0030】
本発明において、上記ソリッドコア1は、直径が36.7〜40.7mmであり、かつ、−20℃、10Hz正弦波、2.5mm圧縮下、振幅±1.1mmの条件下でのエネルギーロスファクター(h)が0.08〜0.2という特性を有するものである。
【0031】
また、上記カバー2は上記ソリッドコア1を被覆しており、このカバー2は厚みが1〜3mmで、かつ、−30℃〜+20℃における弾性率(E* )が1000〜9000kgf/cm2 で、−30℃〜+20℃における損失正接(tanδ)が0.02〜0.1という動的粘弾性を有するものである。そして、ディンプル2aは、必要に応じ、また所望とする特性に合わせて、カバー2の表面に適数個設けられるものであり、また、必要に応じ、ボール表面にペイントやマーキングが施される。
【0032】
【発明の実施の形態】
つぎに、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
実施例1〜5および比較例1〜8
つぎの(1)〜(3)に示す工程を経て、実施例1〜5および比較例1〜8のツーピースソリッドゴルフボールを作製した。
【0034】
(1)ソリッドコアの作製
表1〜表4に示す組成のゴム組成物を調製し、それを金型に充填し、160℃で30分間架橋して、それぞれ表1〜表4に記載の直径を有するソリッドコアを作製し、それらのエネルギーロスファクター(h)を測定した。表1〜表4中の配合量は重量部によるものであり、また、これらの表1〜表4中に記載のそれぞれのゴム組成物が対応する同一番号の実施例および比較例のゴルフボールのコアの作製に用いられる。なお、使用したブタジエンゴムは日本合成ゴム(株)製のBR−11(商品名)である。そして、シリコーンゴムとしては下記の式(I)
【0035】
【化1】
Figure 0003753464
【0036】
〔式中、Rはメチル基が97%、ビニル基が3%で、n=6000〕
で示されるものを使用した。
【0037】
上記ソリッドコアのエネルギーロスファクター(h)は、下記の式
h=(1/π)・(△W/W)
〔式中、π=円周率、△W=エネルギーロス面積、W=入力エネルギー面積〕
から求めたものであり、その詳細は先に説明した通りである。
【0038】
【表1】
Figure 0003753464
【0039】
【表2】
Figure 0003753464
【0040】
【表3】
Figure 0003753464
【0041】
【表4】
Figure 0003753464
【0042】
(2)カバー用組成物の調製
つぎに、表5〜表8に示す組成のカバー用組成物を調製した。表5〜表8中の各成分の配合量は重量部によるものであり、表5〜表8中に商品名で示したものについては、その詳細を表8の後に示す。これらの表5〜表8中に記載のそれぞれのカバー用組成物が対応する同一番号の実施例および比較例のゴルフボールのカバーの形成に用いられる。なお、上記カバー用組成物の調製は二軸押出機により加熱混合することによって行った。
【0043】
得られたカバー用組成物の−30℃〜+20℃の温度領域における弾性率と損失正接を測定した。測定には(株)島津製作所製の粘弾性スペクトロメータDVE−200改造型を用い、各カバー用組成物から、厚さ2mm、幅4mm、長さ30mmの短冊状の試験片を作製し、それを用いて弾性率と損失正接の測定を行った。測定条件は次の通りである。
【0044】
変形モード:引張り
動歪み:0.25%
温度域:−100℃〜+70℃
周波数:10Hz
【0045】
弾性率および損失正接の測定結果を表5〜表8にカバー用組成物の組成と共に示す。なお、弾性率と損失正接は、両者とも、−30℃〜+20℃の温度領域における最大値と最小値の両方について示す。
【0046】
【表5】
Figure 0003753464
【0047】
【表6】
Figure 0003753464
【0048】
【表7】
Figure 0003753464
【0049】
【表8】
Figure 0003753464
【0050】
※1:サーリンAD8511(商品名)
デュポン社製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
※2:サーリンAD8512(商品名)
デュポン社製のナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
※3:エスプレン501(商品名)
住友化学工業(株)製のエチレンプロピレンジエンゴム
※4:タッキロール(商品名)
住友化学工業(株)製のフェノール系樹脂(樹脂架橋剤)
【0051】
※5:ハイミラン1605(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂。
※6:ハイミラン1706(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂。
※7:ハイミラン1707(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイオン中和タイプのエチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂。
※8:ハイミラン1855(商品名)
三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和タイプのエチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸三元共重合体系アイオノマー樹脂。
【0052】
(3)ツーピースソリッドゴルフボールの作製
上記(2)のカバー用組成物を前記(1)のソリッドコアにインジェクション成形法で被覆してカバーを形成し、それをシームバフ、ペイント前処理した後、ペイントを2層塗装し、かつマークを施して、外径42.7mmのツーピースソリッドゴルフボールを作製した。
【0053】
得られたツーピースソリッドゴルフボールについて、ボール重量、飛距離およびスピン量を測定し、また、実打テストによりコントロール性、打球感および飛びを調べた。その結果を表9〜表12に示す。表9〜表12には使用したカバーの厚み、弾性率、損失正接および使用したソリッドコアの直径、エネルギーロスファクター(h)も併せて示す。
【0054】
上記飛距離の測定は、ツルーテンパー社製スイングロボットにウッド1番クラブを取り付け、ヘッドスピード45m/sでボールを打ち出し、落下点までの距離を測定することによって行い、スピン量の測定は、ツルーテンパー社製スイングロボットにウッド1番クラブとアイアン9番クラブを取り付け、ウッド1番クラブの場合はヘッドスピード45m/sでボールを打ち出し、アイアン9番クラブの場合はヘッドスピード35m/sでボールを打ち出し、打ち出されたボールに付されたマークを連続写真撮影することによって行った。
【0055】
飛距離、スピン量とも、各ボール8個ずつについて行い、表中には、その平均値で表示した。また、表中への使用クラブの表示にあたっては、ウッド1番クラブはW♯1で表示し、アイアン9番クラブはI♯9で表示した。
【0056】
実打テストは、ハンディキャップ0〜15のトップアマチュア20名により、コントロール性はアイアンクラブで、打球感と飛びはウッドクラブでボールを打球することによって行った。その評価結果を下記に示す評価基準により表示した。なお、コントロール性、打球感、飛びの評価基準はいずれも同じであり、また、表中への評価結果の表示にあたっては、同一の記号で表示するが、その場合は16名以上がその評価を下したことを示している。
【0057】
評価基準
◎:優れている
○:良い
△:普通
×:悪い
××:非常に悪い
【0058】
【表9】
Figure 0003753464
【0059】
【表10】
Figure 0003753464
【0060】
【表11】
Figure 0003753464
【0061】
【表12】
Figure 0003753464
【0062】
表9〜表10に示す結果から明らかなように、カバーの厚みが1〜3mmの範囲内で、弾性率が1000〜9000kgf/cmの範囲内で、かつ損失正接が0.02〜0.1の範囲内にあり、ソリッドコアの直径が36.7〜40.7mmの範囲内で、エネルギーロスファクター(h)が0.08〜0.2の範囲内にある実施例1〜5は、飛距離が大きく、かつコントロール性、打球感が良好であった。
【0063】
これに対して、比較例1はソリッドコアのエネルギーロスファクター(h)が本発明で規定する範囲より小さく、比較例2はソリッドコアのエネルギーロスファクター(h)が比較例1よりさらに大きく、比較例3はカバーの厚みが本発明で規定する範囲より薄く、かつソリッドコアの直径が本発明で規定する範囲より大きく、比較例4はカバーの厚みが本発明で規定する範囲より厚く、かつソリッドコアの直径が本発明で規定する範囲より小さいため、表11に示すように、それぞれ飛距離が小さくなったり、打球感が悪くなっていた。
【0064】
また、比較例5や比較例6はカバーの基材成分として硬質のアイオノマー樹脂のみを用いているので、カバーの弾性率の最大値が本発明で規定する範囲より大きく、そのため、表12に示すように、飛距離は大きいものの、コントロール性や打球感が悪く、比較例7はカバーの基材成分として軟質のアイオノマー樹脂のみを用い、比較例8はカバーの基材成分として軟質のアイオノマー樹脂を多量に用いているので、カバーの損失正接の最大値が本発明で規定する範囲より大きく、そのため、反発性能が低下して、表12に示すように、飛距離が小さく、また打球感が重くなっていた。
【0065】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明では、飛距離が大きく、かつコントロール性や打球感が良好なツーピースソリッドゴルフボールを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ソリッドコアに動的(10Hz正弦波)に大きな変形を与えたときのエネルギーロス面積(△W)と入力エネルギー面積(W)とを示す図である。
【図2】本発明に係るツーピースソリッドゴルフボールの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 ソリッドコア
2 カバー

Claims (1)

  1. ソリッドコアと上記ソリッドコアを被覆するカバーとからなるツーピースソリッドゴルフボールにおいて、上記カバーとソリッドコアとがそれぞれ次の材料物性と構造特性を有することを特徴とするツーピースソリッドゴルフボール。
    カバー:
    基材成分がアイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの混合物からなり、
    厚み:1〜3mm
    動的粘弾性:−30℃〜+20℃の弾性率(E)が1000〜9000kgf/cmであり、かつ、−30℃〜+20℃の損失正接(tanδ)が0.02〜0.1である。
    ソリッドコア:
    ブタジエンゴム、シリコーンゴム、アクリル酸亜鉛および有機パーオキサイドを必須成分とする架橋弾性体からなり、
    直径が36.7〜40.7mmであり、かつ、−20℃、10Hz正弦波、2.5mm圧縮下、振幅±1.1mmの条件下で求めた、下記式により定義されるエネルギーロスファクター(h)が、0.08〜0.20である。
    h = (1/π)・(ΔW/W)
    ここで、上記式中、ΔWは、上記の条件でソリッドコアに動的圧縮変形を与えた際の変形量−荷重軸で得られる履歴ループ面積として求められるエネルギーロス面積であり、Wは、上記の変形量−荷重軸で得られる入力エネルギー面積である。
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