JP3747335B2 - ジャイロ装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジャイロ装置に関し、特に、板上に配置された複数の静電容量型容量変化検出部を用いて入力角速度の入力を静電容量の変化として検出するための新規な改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、用いられていたこの種のジャイロ装置としては、ここでは図示を省略しているが、例えば、実開平１−６１６１１号公報に開示された機械式の構成及び特開平５−３２２５７９号の構成を挙げることができる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従来のジャイロ装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、機械式の構成の場合、モータ、トルカーコイル及び大型の基台を用いるため、装置全体の形状が大形化し、かつ、重量化していた。
また、前述の特開平５−３２２５７９号公報に開示された構成の場合、振動子を外部からの圧電振動体又は交流電源のみを用いてＸ方向に振動させた状態下でＹ方向の角速度入力を静電容量の変化として検出する構成であるため、Ｘ方向における振動を大きくすることが難しく、感度を向上させることが困難でかつ、多軸化が困難であった。
【０００４】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、板上に配置された複数の静電容量型容量変化検出部を用いて入力角速度の入力を静電容量の変化として検出するようにしたジャイロ装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明によるジャイロ装置は、電磁式のアクチュエータにより往復回動する板上に設けられＸ方向及びＹ方向に沿って配置された複数の静電容量型容量変化検出部と、前記各静電容量型容量変化検出部に互いに対向し重合して設けられた第１、第２板体と、前記第２板体の内面に形成され薄肉とするためのえぐり部と、前記第１板体の内面に形成された第１電極と、前記第２板体の前記えぐり部に形成された第２電極とを備え、前記各静電容量型容量変化検出部の長手方向は前記Ｘ方向及びＹ方向に沿って配設され、前記各電極間の静電容量の変化により入力角速度の入力を検出する構成であり、また、前記アクチュエータは前記板に設けられた複数の突起を前記板の回転方向に沿って往復駆動させる構成であり、また、前記アクチュエータは１個のモータよりなり、このモータを往復駆動させる構成である。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明によるジャイロ装置の好適な実施の形態について説明する。
図１において符号１で示されるものは、回転自在に設けられた平円板状の板であり、この板１上には複数の静電容量型容量変化検出部２がこの板１のＸ方向とＹ方向に沿ってその長手方向（Ｌ）を揃える状態で配置されている。従って、前述の板１及び各静電容量型容量変化検出部２によってジャイロ装置２０が構成されている。
【０００７】
前記板１の周面１ａには、２軸検出用として９０度ごとに４個の突起３が設けられ、この板１を回転自在に支持する固定側４には４個の周知のアクチュエータ５が設けられている。この各アクチュエータ５は例えば電磁式に直動往復運動をするようにリニアアクチュエータで構成され、この各アクチュエータ５の往復出没作動によって板１は矢印Ａの方向に所定のストロークで往復回動するように構成されている。なお、このアクチュエータ５は複数に限ることなく、例えば、１個のモータによる往復回動でも可である。
【０００８】
前記静電容量型容量変化検出部２は、エッチング等を用いた周知のマイクロマシニング技術で図２に示すように構成され、長手方向（Ｌ）に沿って１対の長手形状をなす第１、第２板体１０，１１が互いに対向するように重合して設けられ、第２板体１１には薄肉とするためのえぐり部１１ａが形成されている。このえぐり部１１ａに形成された第２電極１２は第１板体１０の内面に形成された前記第１電極１３と対向するように形成されている。
【０００９】
前記各板体１０，１１がシリコンよりなる場合には各板体１０，１１間を絶縁板（図示せず）を介して絶縁するが、シリコンでなく例えば絶縁材料の場合には前記絶縁板を用いることなく、等価回路としては、第１、第２電極１３，１２と第１、第２板体１０，１１により図３で示す構成となる。従って、何らかの外力により板体１０，１１に偏位が付加され第１、第２電極１３，１２間の間隔が変化すると、第１、第２電極１３，１２間の静電容量Ｃが変動するように構成されている。
【００１０】
次に、動作について述べる。まず、アクチュエータ３によって板１を矢印Ａに沿う加振方向に沿って往復回動させ、この状態下で外部から入力角速度ωが入力されると、周知のコリオリの法則に基づくコリオリの力が矢印Ｂに沿って静電容量型容量変化検出部２に作用し、この作用により静電容量Ｃが変化し、入力角速度ωの検出を行うことができる。
【００１１】
なお、板１の同一平面に複数の静電容量型容量変化検出部２が設けられているため、２軸の検出ができ、数を増加することによって多軸化を達成することもできる。また、加速度による静電容量の変化による加速度感度を、２つの静電容量型容量変化検出部の出力差を取ることにより、少なくし、加速度の影響の少ない入力角速度の入力を検出することができる。
【００１２】
【発明の効果】
本発明によるジャイロ装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、板上に複数の静電容量型容量変化検出部を複数配置しているため、振動を大きくして感度を従来より向上でき、多軸検出ができると共に加速度感度を低下させた小型で安価なジャイロ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるジャイロ装置を示す平面図である。
【図２】 図１の静電容量型容量変化検出部を示す斜視図である。
【図３】 等価回路図である。
【符号の説明】
１ 板
２ 静電容量型容量変化検出部
１０，１１ 第１、第２板体
１１ａ えぐり部
１３，１２ 第１、第２電極
Ｌ 長手方向
ω 入力角速度
Ｃ 静電容量

Claims (3)

1. 電磁式のアクチュエータ(5)により往復回動する板(1)上に設けられＸ方向及びＹ方向に沿って配置された複数の静電容量型容量変化検出部(2)と、前記各静電容量型容量変化検出部(2)に互いに対向し重合して設けられた第１、第２板体(10,11)と、前記第２板体 (11) の内面に形成され薄肉とするためのえぐり部 (11a) と、前記第１板体(10)の内面に形成された第１電極 (13)と、前記第２板体 (11) の前記えぐり部 (11a) に形成された第２電極 (12) とを備え、前記各静電容量型容量変化検出部 (2) の長手方向 (L) は前記Ｘ方向及びＹ方向に沿って配設され、前記各電極(13,12)間の静電容量(C)の変化により入力角速度(ω)の入力を検出する構成としたことを特徴とするジャイロ装置。
2. 前記アクチュエータ(5)は前記板(1)に設けられた複数の突起(3)を前記板(1)の回転方向に沿って往復駆動させる構成としたことを特徴とする請求項１記載のジャイロ装置。
3. 前記アクチュエータ(5)は１個のモータよりなり、このモータを往復駆動させることを特徴とする請求項２記載のジャイロ装置。

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