JP3734915B2 - 伝動用vベルト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用変速機等の高負荷伝動用として使用可能な伝動用Vベルトに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、動力を伝達する伝動用ベルトとして、Vベルト,平ベルト及び歯付ベルトがよく使用されている。このうち、平ベルトは、滑り易いために高負荷伝動用には適さず、逆に、歯付ベルトは、滑りを必要とする用途には向かない。このため、高負荷伝動が可能でかつ滑りを必要とする用途にはVベルトが使用されている。
【0003】
このVベルトは、通常、コードが埋設された接着ゴム層と、その接着ゴム層の上下にそれぞれ積層された伸張ゴム層及び圧縮ゴム層とからなる。そして、このVベルトには、表面の全て(全周)を帆布で覆ったラップドVベルトと、上記伸張ゴム層の上面及び圧縮ゴム層の下面の少なくとも一方に帆布層が積層されているだけで側面から上記各ゴム層が露出しているローエッジVベルトとの2種類があり、高負荷伝動用としては、安定した高い摩擦係数が得られるローエッジタイプが用いられている。
【0004】
しかし、摩擦係数が安定していることのみでは、高負荷伝動を行うことは不可能で、ベルトが、プーリに巻き付いたときにくさび効果としてプーリから側圧を受けた際、その側圧に対して形状が変形せずに耐えることが要求される。そこで、従来、ベルトがプーリからの側圧に耐えて当初のV形状を保持するように、そのゴム硬度(又は弾性率)を上げることがなされてきている。
【0005】
ところが、ベルトのゴム硬度を上げると曲げ剛性が大きくなり、小プーリ径では伝動ロスが生じたり発熱したりして、歪みに対する屈曲疲労から生ずるクラックが早期に発生する。そこで、上記ローエッジVベルトの底面をコグ状に形成することにより、耐側圧性を維持して高負荷伝動能力を低下させることなく、屈曲性を向上させることが可能となった。
【0006】
そして、近年、このローエッジコグVベルトにおいてさらにゴム硬度を上げて耐側圧性を向上させるべく、例えば特開昭61−290255号公報や特開昭61−290256号公報に示されているように、上記接着ゴム層や伸張及び圧縮ゴム層のゴム配合の研究がなされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各ゴム層のゴム硬度を特定のゴム配合にして上げるのみでは、伸張又は圧縮ゴム層と接着ゴム層との硬度の組み合わせによっては、伸張又は圧縮ゴム層、接着ゴム層及びコードのセパレーションが発生してしまい、早期故障につながるという問題がある。
【0008】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記ローエッジコグVベルトに対して、プーリからの側圧に耐えて伝動を受け持つ伸張又は圧縮ゴム層と、その伸張又は圧縮ゴム層及びコード間の接着を担う接着ゴム層との関係に着目することによって、早期にクラックや各ゴム層及びコードのセパレーションが発生するのを防止しつつ、耐側圧性を向上させて高負荷伝動能力を向上させることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、伸張及び圧縮ゴム層の両方のゴム硬度をHs(JIS A)=90〜96°に、また接着ゴム層のゴム硬度をHs(JIS A)=83〜89°にそれぞれ設定するようにした。
【0010】
具体的には、請求項1の発明では、コードが埋設された接着ゴム層と、該接着ゴム層の上下面にそれぞれ積層された伸張ゴム層及び圧縮ゴム層と、該伸張ゴム層の上面及び圧縮ゴム層の下面の少なくとも一方に積層された帆布層とからなり、両側面に上記各ゴム層が露出しかつ底面がコグ状に形成された伝動用Vベルトを前提とする。
【0011】
そして、上記伸張及び圧縮ゴム層の両方のゴム硬度は、Hs(JIS A)=90〜96°であり、上記接着ゴム層のゴム硬度は、Hs(JIS A)=83〜89°であるものとする。
【0012】
すなわち、伝動を受け持つ伸張及び圧縮ゴム層のゴム硬度は、Hs(JIS A)<90°であると、プーリからの側圧に対して形状が変形せずに耐え得る能力つまり耐側圧性が低下して十分な伝動能力が得られなくなる反面、Hs(JIS A)>96°であると、屈曲疲労性が著しく低下してクラックや伸張又は圧縮ゴム層、接着ゴム層及びコードのセパレーションが早期に発生するので、Hs(JIS A)=90〜96°としている。一方、伸張及び圧縮ゴム層とコードとの接着を担う接着ゴム層のゴム硬度は、Hs(JIS A)>89°であると、接着性が著しく低下して早期にセパレーションが発生する反面、Hs(JIS A)<83°であると、低弾性すぎるために伸張又は圧縮ゴム層が受けた伝動力をコードに伝えるだけの伝動能力がなくなって早期にセパレーションが発生するので、Hs(JIS A)=83〜89°としている。よって、伸張及び圧縮ゴム層と接着ゴム層との最適な組み合わせが得られ、クラックや各ゴム層及びコードのセパレーションの早期発生を抑制しつつ、高負荷伝動能力を向上させることができる。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、伸張及び圧縮ゴム層は、クロロプレンゴム100重量部と、補強性充填剤40〜60重量部と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛の少なくとも1種類の金属酸化物加硫剤1〜20重量部と、ビスマレイミド2〜10重量部と、アラミド短繊維とがそれぞれ配合された短繊維入りゴムからなり、上記アラミド短繊維はベルト幅方向に配列されているものとする。
【0014】
このことで、短繊維の配列方向であるベルト幅方向の弾性率のみを大きくして耐側圧性を有効に向上させることができ、ベルト長手方向の弾性率が大きくなることによるベルトの早期破損を防止することができる。よって、高負荷伝動能力及び耐久寿命をより一層向上させることができる。
【0015】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、接着ゴム層は、クロロプレンゴム100重量部と、補強性充填剤30〜50重量部と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛の少なくとも1種類の金属酸化物加硫剤1〜20重量部と、シリカ5〜30重量部と、ビスマレイミド2〜10重量部とがそれぞれ配合されたゴムからなるものとする。
【0016】
この発明により、接着ゴム層を、要求される諸性能を維持しつつ、容易にHs(JIS A)=83〜89°という高硬度にすることができる。よって、最適な高負荷伝動用Vベルトが簡単に得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る伝動用VベルトBを示し、このVベルトBの上下方向略中央部には接着ゴム層6が設けられている。この接着ゴム層6には、複数のコード7,7,…がベルト幅方向に略等間隔でベルト長手方向に延びるように埋設されている。この各コード7は、ナイロン、テトロン、ポリエステル又はアラミド繊維等どのようなものでもよい。また、各コード7はレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)処理されている。
【0018】
上記接着ゴム層6の上下面には、伸張ゴム層4及び圧縮ゴム層5がそれぞれ積層され、この伸張ゴム層4の上面及び圧縮ゴム層5の下面には、それぞれ1層の帆布層3,3が積層されている。この各帆布層3の帆布は、綿、ナイロン又はアラミド繊維等どのようなものでもよい。
【0019】
このVベルトBの両側面は、帆布で覆われておらず、上記各ゴム層4〜6が露出した状態となっていると共に、底面はコグ状に形成されている。つまり、このVベルトBは、所謂ローエッジコグタイプとされている。
【0020】
上記伸張及び圧縮ゴム層4,5は、クロロプレンゴム100重量部と、補強性充填剤40〜60重量部と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛の少なくとも1種類の金属酸化物加硫剤1〜20重量部と、ビスマレイミド2〜10重量部と、アラミド短繊維とがそれぞれ配合された短繊維入りゴムからなる。そして、そのアラミド短繊維はベルト幅方向に配列されている。
【0021】
上記クロロプレンゴムは硫黄変性又は非硫黄変性のいずれのタイプであってもよいが、特に硫黄変性タイプはビスマレイミドの架橋密度を上げる効果が顕著であり望ましい。
【0022】
上記金属酸化物加硫剤の配合量は、1重量部よりも少ないと、クロロプレンゴムの架橋が十分に行われず、マトリックスゴム加硫物が耐熱性だけでなく加硫物性にも劣る一方、20重量部よりも多いと、金属酸化物が酸化亜鉛のときには配合生地の腰が落ちて柔らかくなると同時に貯蔵安定性も悪くなり、また酸化マグネシウムのときには加硫速度が非常に遅くなり、さらに酸化鉛のときには加工安全性及び貯蔵安定性が損なわれるので、1〜20重量部としている。尚、特に好ましくは、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムが併用され、その配合量は、クロロプレンゴム100重量部についてそれぞれ3〜8重量部である。
【0023】
上記ビスマレイミドは、2つの窒素原子が直接に結合されたN,N′−連結ビスマレイミド及び2つの窒素原子がアルキレン基、シクロアルキレン基、オキシジメチレン基、フェニレン基、スルホン基、その他の2価の有機基で結合されているビスマレイミドを含む。これらの具体例としては、N,N′−エチレンビスマレイミド、N,N′−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N′−(1.4−フェニレン)ジマレイミド、N,N′−(o−フェニレン)ジマレイミド、N,N′−(m−フェニレン)ジマレイミド、N,N′−(2.4−トリレン)ジマレイミド、N,N′−デュリレンジマレイミド、N,N′−〔4.4′(2.2′−ジクロロビフェニレン)〕ジマレイミド、N,N′−〔4.4′−メチレンジフェニル〕ジマレイミド、N,N′−(1.4−デュリレンジエチレン)ジマレイミド、N,N′−〔4.4′−スルホニルジフェニル〕ジマレイミド、2.6−ビス(マレイミドメチル)−4−t−ブチルフェノール、N,N′−オキシジメチレンジマレイミド等が挙げられる。
【0024】
このビスマレイミドの配合量は、2重量部よりも少ないと、上記金属酸化物加硫剤と併用しても未加硫物の加工安全性を確保しつつその加硫物における架橋度を高める効果に欠ける一方、10重量部よりも多いと、ビスマレイミドのブルームが認められるようになるので、2〜10重量部としている。
【0025】
上記補強性充填剤としてのカーボンブラックの配合量は、ビスマレイミドを添加しないマトリックス加硫ゴムの弾性率を適度とし、マトリックス未加硫ゴムの粘度が大きすぎず、スコーチタイムが加工安全性を保持し得る程度になるように決められている。
【0026】
上記アラミド短繊維長は、2mmよりも短いと、アスペクト比が小さいために補強性に劣る一方、10mmよりも長いと、繊維同士の絡み合いが生じてゴム中への分散不良が生じたり、混練過程での切断が生じたりするので、2〜10mmとしているが、望ましくは3〜6mmがよい。
【0027】
このアラミド短繊維は、クロロプレンゴムとの接着性付与のために接着処理が施されている。この接着処理は、アラミド短繊維をイソシアネート化合物やエポキシ化合物によるディップ処理(浸漬→加熱乾燥)後、RFL液にてディップ処理し、その後カットすることによってなされている。また、イソシアネート系接着剤(例えばロード社のケムロック402)でディップ処理(1回のみ)してもよい。さらに、未加硫繊維を所定長さにカット後、接着処理液に浸漬し、遠心分離により余分の液を除き、その後加熱乾燥することによって接着処理がなされるようにしてもよい。
【0028】
上記アラミド短繊維の配合量は、多すぎると、ベルト長手方向の屈曲疲労性(伸張疲労性)を著しく悪化させるので、13容量%以下が望ましい。
【0029】
尚、上記伸張及び圧縮ゴム層4,5には、マトリックスゴムの耐寒性の付与又は混練加工性の付与のために油が配合されているが、この油の配合量は、15重量部よりも多いと、マトリックスゴムの弾性率を低下させ、これを補うべくカーボンブラックを増量すると、加硫ゴムの耐熱老化性及び動的特性を悪化させることになるので、15重量部以下とされている。
【0030】
上記伸張及び圧縮ゴム層4,5のゴム硬度は、Hs(JIS A)=90〜96°とされている。すなわち、そのゴム硬度は、Hs(JIS A)<90°であると、プーリからの側圧に対して形状が変形せずに耐え得る能力を示す耐側圧性が低下して伝動能力を向上させることができなくなる反面、Hs(JIS A)>96°であると、屈曲疲労性が著しく悪化してクラックや、伸張ゴム層4又は圧縮ゴム層5、接着ゴム層6及びコード7のセパレーションが早期に発生するので、Hs(JIS A)=90〜96°としている。尚、伸張及び圧縮ゴム層4,5のゴム硬度は、上記範囲で圧縮ゴム層5が伸張ゴム層4よりも大きくなるようにした方がより好ましい。
【0031】
一方、上記接着ゴム層6は、クロロプレンゴム100重量部と、補強性充填剤30〜50重量部と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛の少なくとも1種類の金属酸化物加硫剤1〜20重量部と、シリカ5〜30重量部と、ビスマレイミド2〜10重量部とがそれぞれ配合されたゴムからなる。
【0032】
上記クロロプレンゴムは、上記伸張及び圧縮ゴム層4,5と同様に、硫黄変性又は非硫黄変性のいずれのタイプであってもよいが、非硫黄変性タイプの場合、RFL処理した各コード7との接着性を付与するためにイオウ又はイオウ放出成分を配合する必要がある。また、未加硫ゴムの粘度を下げて粘着性に優れる接着ゴムを得るためには、しゃく解性のある硫黄変性タイプがよい。この硫黄変性タイプの場合にはイオウ又はイオウ放出成分を配合することは絶対的制約ではないが、大きな接着力を得るためにはそれを配合した方がよい。イオウ放出成分としては種々の加硫促進剤があるが、クロロプレンゴムのリターダーとして作用するチウラム促進剤の添加が望ましい。
【0033】
シリカは加硫ゴムの引裂強度を増し、RFL処理した各コード7との接着のために不可欠の成分である。その配合量は、5重量部よりも少ないと、接着力増強効果が殆どなくなる反面、30重量部よりも多いと、未加硫ゴムの加工性不良及び加硫ゴムの動特性不良となるので、5〜30重量部としている。尚、望ましくは、15〜25重量部がよい。
【0034】
補強性充填剤(カーボンブラック)、金属酸化物加硫剤及びビスマレイミドの配合量等については、上記伸張及び圧縮ゴム層4,5と同様である。
【0035】
尚、上記接着ゴム層6には、従来より配合されている滑剤、老化防止剤又はプロセスオイル可塑剤が含有されていてもよい。これらの配合物の配合量は、クロロプレン組成物について既によく知られている。
【0036】
上記接着ゴム層6のゴム硬度は、Hs(JIS A)=83〜89°とされている。すなわち、そのゴム硬度は、Hs(JIS A)>89°であると、接着性が著しく低下して早期にセパレーションが発生する反面、Hs(JIS A)<83°であると、低弾性すぎるために伸張及び圧縮ゴム層4,5が受けた伝動力を各コード7に伝えるだけの伝動能力がなくなって早期にセパレーションが発生するので、Hs(JIS A)=83〜89°としている。
【0037】
尚、上記各ゴム層4〜6のゴム硬度におけるHs(JIS A)は、JIS規格K6301(加硫ゴム物理試験方法)に規定されているスプリング硬さ試験(A形)によって得られた値であることを意味する。
【0038】
したがって、上記実施形態では、ローエッジコグタイプの伝動用VベルトBの伸張及び圧縮ゴム層4,5の硬度がHs(JIS A)=90〜96°とされ、接着ゴム層6の硬度がHs(JIS A)=83〜89°とされているので、伸張及び圧縮ゴム層4,5と接着ゴム層6との組み合わせが最適なものとなり、クラックや各ゴム層4〜6及び各コード7のセパレーションが早期に発生するのを防止しつつ、耐側圧性を向上させて高負荷伝動能力の向上化を図ることができる。
【0039】
また、伸張及び圧縮ゴム層4,5は、クロロプレンゴム100重量部と、補強性充填剤40〜60重量部と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛の少なくとも1種類の金属酸化物加硫剤1〜20重量部と、ビスマレイミド2〜10重量部と、アラミド短繊維とがそれぞれ配合された短繊維入りゴムからなり、そのアラミド短繊維がベルト幅方向に配列されているので、短繊維の配列方向であるベルト幅方向の弾性率のみを大きくして耐側圧性を有効に向上させることができ、ベルト長手方向の弾性率が大きくなることによるベルトの早期破損を防止することができる。よって、高負荷伝動能力及び耐久性をより一層向上させることができる。
【0040】
さらに、接着ゴム層6は、クロロプレンゴム100重量部と、補強性充填剤30〜50重量部と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛の少なくとも1種類の金属酸化物加硫剤1〜20重量部と、シリカ5〜30重量部と、ビスマレイミド2〜10重量部とがそれぞれ配合されたゴムからなるので、接着ゴム層6を、要求される諸性能を維持しつつ、容易にHs(JIS A)=83〜89°という高硬度にすることができる。よって、最適な高負荷伝動用VベルトBを容易に得ることができる
【0041】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。伸張及び圧縮ゴム層と接着ゴム層6との硬度をそれぞれHs(JIS A)=90〜96°及び83〜89°の範囲で変化させて、伝動用Vベルトを作製した(実施例1〜4)。また、比較のために、伸張及び圧縮ゴム層と接着ゴム層とのうちのいずれかの硬度が上記範囲外となるVベルト(比較例1〜4)と、両ゴム層の硬度が共に上記範囲外となるVベルト(比較例5)とを作製した(各硬度については表1参照)。尚、各Vベルトは、JIS規格K6323(一般用Vベルト)に規定されているB形のものをベルト厚さのみを9mmと薄くした断面形状とした。
【表1】
Figure 0003734915
【0042】
そして、上記実施例1〜4及び比較例1〜5の各Vベルトに対して高負荷耐久試験を行った。すなわち、図2に示すように、上記各ベルト11を、プーリ径が共に111mmの駆動プーリ12及び従動プーリ13間に巻き掛け、その両プーリ12,13間の略中央部において径が60mmの逆曲げアイドラ14をVベルト11上面に加重DW(18kgf)で押し付けた。従動プーリ13には10PSの負荷を加えた状態で駆動プーリ12を2900rpm の速度で回転させ、不具合が生じた時点で直ちに走行を停止し、その時点までの走行時間(耐久時間)と破損状況とを調べた。尚、雰囲気温度は80±5℃に設定した。
【0043】
上記高負荷耐久試験の結果を図3に示す。同図において、縦軸は、比較例5のVベルトの耐久時間を100としたとき、これに対する他のVベルトの耐久時間の対比を示す耐久指数であり、各Vベルトの破損状況をもそれぞれ記載している。この結果、実施例1〜4のVベルトは、耐久性が比較例5よりも約3倍、また比較例1〜4よりも約1.5倍それぞれ向上していることが判る。
【0044】
また、比較例1〜4のVベルトは、比較例5よりも耐久性が向上しているものの、伸張及び圧縮ゴム層を僅かに低弾性とした比較例1のVベルトは、実施例1〜4よりも伝動能力が低下して耐久性が悪化し、逆に僅かに高弾性とした比較例2のVベルトは、屈曲性が低下してクラックが生じている。一方、接着ゴム層を僅かに低弾性とした比較例4のVベルトは、伸張及び圧縮ゴム層に伝わった負荷をコード7に伝達し得るだけの伝動能力がなくてセパレーションが発生し、逆に僅かに高弾性とした比較例3のVベルトは、屈曲時の歪みを吸収し得ずにセパレーションが発生している。
【0045】
次に、上記各Vベルトに対して、ゴム硬度によるクラックの影響を調べるためのクラック耐久試験を行った。すなわち、図4に示すように、上記高負荷耐久試験と同じ駆動及び従動プーリ12,13を上下方向に配置してその両プーリ12,13間に各Vベルト11を巻き掛け、クラックを生じさせ易くするために、径を45mmと小さくした逆曲げアイドラ15をVベルト上面に加重DW(18kgf)で押し付けた。従動プーリ13には負荷を加えない状態で駆動プーリ12を2900rpm の速度で回転させ、上記高負荷耐久試験と同様に、耐久時間と破損状況とを調べた。尚、雰囲気温度は25±5℃に設定した。
【0046】
このクラック耐久試験の結果を図5に示す。尚、各Vベルトは、全てクラックにより破損した。このことで、伸張及び圧縮ゴム層又は接着ゴム層が高弾性となりすぎるとクラックが生じ易くなるが、実施例1〜4のVベルトは、比較例5と殆ど同じクラック性を有し、良好であることが判る。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によると、コードが埋設された接着ゴム層と、その接着ゴム層の上下面にそれぞれ積層された伸張ゴム層及び圧縮ゴム層と、その伸張ゴム層の上面及び圧縮ゴム層の下面の少なくとも一方に積層された帆布層とからなり、両側面に上記各ゴム層が露出しかつ底面がコグ状に形成された伝動用Vベルトに対して、伸張及び圧縮ゴム層の両方のゴム硬度をHs(JIS A)=90〜96°に、また接着ゴム層のゴム硬度をHs(JIS A)=83〜89°にそれぞれ設定したことにより、クラックや各ゴム層及びコードのセパレーションの早期発生を防止しつつ、高負荷伝動能力の向上化を図ることができる。
【0048】
請求項2の発明によると、伸張及び圧縮ゴム層を、クロロプレンゴム100重量部と、補強性充填剤40〜60重量部と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛の少なくとも1種類の金属酸化物加硫剤1〜20重量部と、ビスマレイミド2〜10重量部と、アラミド短繊維とがそれぞれ配合された短繊維入りゴムからなるものとし、そのアラミド短繊維をベルト幅方向に配列したことにより、高負荷伝動能力及び耐久寿命のさらなる向上化を図ることができる。
【0049】
請求項3の発明によると、接着ゴム層を、クロロプレンゴム100重量部と、補強性充填剤30〜50重量部と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛の少なくとも1種類の金属酸化物加硫剤1〜20重量部と、シリカ5〜30重量部と、ビスマレイミド2〜10重量部とがそれぞれ配合されたゴムからなるものとしたことにより、最適な高負荷伝動用Vベルトを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る伝動用Vベルトを示す斜視図である。
【図2】 高負荷耐久試験の要領を示す概略図である。
【図3】 高負荷耐久試験の結果を示すグラフである。
【図4】 クラック耐久試験の要領を示す概略図である。
【図5】 クラック耐久試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
B 伝動用Vベルト
3 帆布層
4 伸張ゴム層
5 圧縮ゴム層
6 接着ゴム層
7 コード

Claims (3)

  1. コードが埋設された接着ゴム層と、該接着ゴム層の上下面にそれぞれ積層された伸張ゴム層及び圧縮ゴム層と、該伸張ゴム層の上面及び圧縮ゴム層の下面の少なくとも一方に積層された帆布層とからなり、両側面に上記各ゴム層が露出しかつ底面がコグ状に形成された伝動用Vベルトにおいて、
    上記伸張及び圧縮ゴム層の両方のゴム硬度は、Hs(JIS A)=90〜96°であり、
    上記接着ゴム層のゴム硬度は、Hs(JIS A)=83〜89°であることを特徴とする伝動用Vベルト。
  2. 請求項1記載の伝動用Vベルトにおいて、
    伸張及び圧縮ゴム層は、クロロプレンゴム100重量部と、補強性充填剤40〜60重量部と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛の少なくとも1種類の金属酸化物加硫剤1〜20重量部と、ビスマレイミド2〜10重量部と、アラミド短繊維とがそれぞれ配合された短繊維入りゴムからなり、
    上記アラミド短繊維はベルト幅方向に配列されていることを特徴とする伝動用Vベルト。
  3. 請求項1又は2記載の伝動用Vベルトにおいて、
    接着ゴム層は、クロロプレンゴム100重量部と、補強性充填剤30〜50重量部と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化鉛の少なくとも1種類の金属酸化物加硫剤1〜20重量部と、シリカ5〜30重量部と、ビスマレイミド2〜10重量部とがそれぞれ配合されたゴムからなることを特徴とする伝動用Vベルト。
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