JP3733734B2 - 筒型防振マウント - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、自動車のサスペンションブッシュやサスペンションメンバマウント等として好適に用いられる筒型防振マウントに係り、特に、マウント軸方向および軸直角方向の何れか一方向への荷重が入力された際に、マウント軸方向および軸直角方向の何れか他方向への分力を生ぜしめることによって、例えば自動車の横力コンプライアンスステアの抑制等に有利に利用され得る筒型防振マウントに関するものである。
【0002】
【背景技術】
径方向に互いに離間配置されたインナ軸金具とアウタ筒金具が、それらの間に介装された本体ゴム弾性体で連結されてなる構造を有し、振動伝達系を構成する部材間に介装される筒型防振マウントの一種として、従来から、特開平9−104212号公報等に開示されているように、インナ軸金具の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向一方向で斜め外方に向かって突出する傾斜板を設ける一方、アウタ筒金具の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向一方向で斜め外方に向かって突出し、インナ軸金具に設けられた傾斜板に対して略平行な対向面で離間して対向位置する傾斜板対向部を形成し、更に傾斜板と傾斜板対向部の対向面間に介装されてそれらを弾性的に連結するコンプレッションゴムを、本体ゴム弾性体と一体的に形成してなる構造の筒型防振マウントが、知られている。かくの如き構造の筒型防振マウントでは、インナ軸金具とアウタ筒金具の間に軸方向および軸直角方向の何れか一方向への荷重が入力された際、傾斜板と傾斜板対向部の間でコンプレッションゴムに及ぼされる分力作用によって、インナ軸金具とアウタ筒金具に対して、軸方向および軸直角方向の何れか他方への力が及ぼされる。従って、例えば、このような筒型防振マウントを、自動車におけるトレーリングアームのサスペンションメンバへの取付部位等に介装されるサスペンションブッシュや、サスペンションメンバの車体側への取付部位に介装されるサスペンションメンバマウント等に利用することにより、車両旋回時における後輪トー角変化を調節して横力コンプライアンスステアを抑制したり適度なアンダステアを実現すること、或いは車両旋回時におけるロール変位を抑制したりすることが出来るのである。
【0003】
ところが、このような筒型防振マウントについて、本発明者が実験や数値解析を行って検討を加えたところ、荷重入力条件によっては、コンプレッションゴムにおける傾斜板の基部への固着部近くに亀裂が発生し易いことが見い出された。例えば、前記特開平9−104212号公報に記載されているように自動車のトレーリングアーム式のサスペンションメンバの車体側取付部等に介装され、インナ軸金具とアウタ筒金具に対して、軸方向や軸直角方向の荷重だけでなく、周方向のねじり荷重が及ぼされる場合には、コンプレッションゴムの内周部分に亀裂が発生し易く、それが次第に成長することによって、比較的早期に、目的とする特性が得られ難くなるおそれのあることが、明らかとなった。特に、コンプレッションゴムに対して引張変形を生ぜしめる軸直角方向の荷重とねじり荷重が同時に入力される場合には、傾斜板の基部における周方向両側縁部への固着部近くにおいて、コンプレッションゴムに亀裂が発生するおそれが、より高いことが明らかとなった。
【0004】
しかも、筒型防振マウントでは、要求されるばね特性を実現するために、本体ゴム弾性体の軸方向一方の端面から軸方向に延びるすぐり部が、必要に応じて採用されるが、上述の如き傾斜板を備えた筒型防振マウントにおいて、このようなすぐり部を設けると、傾斜板の基部に固着されたコンプレッションゴムに対する応力の集中化等によって亀裂等が一層発生し易くなるために、耐久性が確保され難いという問題があったのである。
【0005】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、本体ゴム弾性体に対して軸方向に延びるすぐり部が設けられてばね特性の調節等が容易であり、且つコンプレッションゴムにおける亀裂の発生が抑えられて、耐久性の向上された筒型防振マウントを提供することにある。
【0006】
【解決手段】
そして、このような課題を解決するために、本発明の特徴とするところは、インナ軸部材と、その外方に離間配置されたアウタ筒部材を、それらの間に介装された筒状の本体ゴム弾性体で連結すると共に、該インナ軸部材の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向一方向で斜め外方に向かって突出する傾斜板を設ける一方、アウタ筒部材の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向一方向で斜め外方に向かって突出して、傾斜板に対して略平行な対向面で離間して対向位置する傾斜板対向部を形成し、更に該傾斜板と該傾斜板対向部の対向面間に介装されてそれらを弾性的に連結するコンプレッションゴムを、本体ゴム弾性体と一体的に形成した筒型防振マウントにおいて、傾斜板が円環状の嵌着部を有し、この嵌着部において前記インナ軸部材の外周面に固着されていると共に、前記本体ゴム弾性体から一体的に延び出し、該嵌着部に至る接続ゴムが該インナ軸部材の外周面を覆うように設けられている一方、該傾斜板の突出方向に直交する径方向でインナ軸部材を挟んだ両側に位置し、それぞれ本体ゴム弾性体におけるコンプレッションゴムと反対側の軸方向端面から、該インナ軸部材の外周面に実質的に沿って、軸方向に貫通しないで傾斜板に達しない長さで延びる一対の第一のすぐり部を、車両の上下方向において該インナ軸部材を挟むようにして、その軸方向底部が前記アウタ筒部材における前記傾斜板対向部の突出基部よりも軸方向外方に位置するように、且つ前記本体ゴム弾性体の最内周部に位置するように、設けたことにある。
【0007】
要するに、前述の如き分力作用を得るための傾斜板と傾斜板対向部を設けてなる筒型防振マウントについて、本発明者が検討を加えたところ、上述の如き特定形状を有する第一のすぐり部を特定位置に設けることによって、ばね特性の調節等を有利に行えることは勿論、傾斜板の基部における周方向両側縁部への固着部近くにおけるコンプレッションゴムへの亀裂発生も、有効に防止できることを、見い出し得たのであり、このような知見に基づいて、本発明が完成されたのである。即ち、本発明に従う構造とされた筒型防振マウントにおいては、第一のすぐり部が、インナ軸部材の外周面に沿って形成されていることにより、第一のすぐり部の外周側においてゴム弾性体の肉厚寸法を有利に確保することが出来るのであり、たとえ傾斜板の近くまで第一のすぐり部を軸方向に延ばして形成した場合でも、コンプレッションゴムに応力が集中し易い、傾斜板の基部の周方向両側縁部への固着部近くにおいて、コンプレッションゴムの表面から第一のすぐりが径方向に離間位置せしめられて、コンプレッションゴムの肉厚を有利に確保することが出来、応力の集中が軽減されるのである。
【0008】
それ故、インナ軸部材とアウタ筒部材の間への荷重入力、特に周方向の相対的なねじり荷重の入力に際して、コンプレッションゴムにおける応力集中が軽減されることから、コンプレッションゴムひいては筒型防振マウントの耐久性が向上されると共に、耐入力荷重強度の向上等も図られ得るのである。しかも、本発明に係る筒型防振マウントでは、コンプレッションゴムにおける亀裂等の発生を防止し、良好なる耐久性を確保しつつ、第一のすぐり部の大きさや形状等ひいてはマウントばね特性やばね比等の設計自由度の向上が達成され得るのである。
【0009】
なお、本発明において、第一のすぐり部は、インナ軸部材の外周面に実質的に沿って形成されていれば良く、第一のすぐり部の内周面を構成するインナ軸部材の外周面には、例えば本体ゴム弾性体の成形型のインナ軸部材への接触を回避する成形上の理由等から、薄肉の被覆ゴム層等を形成することが出来る。また、傾斜板は、インナ軸部材に対して固定的に設けられていれば良く、例えば、鋳造等によって傾斜板をインナ軸部材と一体形成する他、プレス成形等によって別途形成した傾斜板を溶接等でインナ軸部材に後固着したり、或いは環状の取付部を傾斜板に設けてインナ軸部材に外嵌固定すること等も可能である。更に、インナ軸部材やアウタ筒部材,傾斜板,傾斜板対向部の材質は、要求される耐荷重強度を実現し得る剛性材であれば良いが、一般に、鉄系やアルミニウム合金等の金属が好適に採用される。
【0010】
また、本発明に従う構造とされた筒型防振マウントにおいて、好適には、第一のすぐり部の軸方向底部が、アウタ筒部材における傾斜板対向部の突出基部よりも軸方向外方に位置せしめられる。即ち、本発明に係る筒型防振マウントでは、上述の如く、第一のすぐり部を傾斜板の近くまで延ばした場合でも、コンプレッションゴムの亀裂が有利に防止されることから、十分な耐久性を確保しつつ、第一のすぐり部を、アウタ筒部材を軸方向に実質的に貫通して形成することが出来るのであり、それによって、マウントばね特性を、かかる第一のすぐり部によって、より大幅に変化させて調節することが可能となるのである。
【0011】
更にまた、本発明に従う構造とされた筒型防振マウントにおいて、好ましくは、第一のすぐり部が、軸方向の投影で、傾斜板に重ならないように、第一のすぐり部の傾斜板側の周方向端部が、傾斜板の周方向端縁部から周方向に離間して位置せしめられる。これにより、傾斜板と第一のすぐり部の間に介在せしめられるコンプレッションゴムの厚さ寸法も有利に確保されることとなり、変形応力の集中化と、それに起因する耐久性の低下が軽減されて、コンプレッションゴムにおける亀裂の発生防止と耐久性の向上がより効果的に図られ得るのである。
【0012】
また、本発明に従う構造とされた筒型防振マウントにおいては、例えば、第一のすぐり部を、インナ軸部材の外周面に実質的に沿って周方向に広がる周方向空間と、該周方向空間の周方向両端部において、それぞれ、インナ軸部材からアウタ筒部材に向かって略径方向に広がる一対の径方向空間とからなる断面形状をもって形成することが、望ましい。第一のすぐり部において、このような断面形状を採用すれば、第一のすぐり部によるマウントばね剛性の低減効果が極めて有利に実現されて、マウントばね特性のチューニング自由度がより大きく確保されると共に、第一のすぐり部が対向位置する径方向に大きな荷重が入力された際、第一のすぐり部における周方向空間が潰れることにより、非線形的なばね特性が有利に発揮されるのである。なお、より好ましくは、各径方向空間は、その径方向外方端部においてアウタ筒部材にまで実質的に達する径方向長さで形成される。
【0013】
さらに、本発明に従う構造とされた筒型防振マウントにおいては、例えば、傾斜板が突出する径方向でインナ軸部材を挟んだ両側に位置し、それぞれ本体ゴム弾性体におけるコンプレッションゴムと反対側の軸方向端面から軸方向に延びる一対の第二のすぐり部を設けると共に、かかる一対の第二のすぐり部を、一対の第一のすぐり部よりも、該インナ軸部材から径方向外方に離間して位置せしめてなる構成が、好適に採用され得る。なお、より好ましくは、傾斜板側に位置する第二のすぐり部は、軸方向の投影において傾斜板と重なる周方向長さで形成されることとなり、それによって、傾斜板の周縁部に固着されたコンプレッションゴムの耐久性への悪影響等が回避される。また、第二のすぐり部は、本体ゴム弾性体を軸方向に貫通して形成することも可能である。
【0014】
そして、このような一対の第二のすぐり部を形成することにより、マウントばね特性のチューニング自由度が一層有利に確保されるのであり、第二のすぐり部が対向位置する径方向においても、非線形的なばね特性が有利に付与され得る。しかも、第二のすぐり部は、第一のすぐり部よりも径方向外方に位置せしめられていることから、第一のすぐり部と第二のすぐり部の周方向間に位置する本体ゴム弾性体の周方向厚さを有利に確保することが出来ると共に、該第二のすぐり部を、軸方向の投影で傾斜板と重なる範囲で、周方向の大きさを有利に確保することも可能となり、それによって、第二のすぐり部が対向位置する径方向荷重の入力時にストッパ機能を発揮する第二のすぐり部の当接面の面積を有利に確保することが出来る等といった利点もある。
【0015】
また、本発明に従う構造とされた筒型防振マウントにおいては、例えば、各一対の第一のすぐり部と第二のすぐり部が、何れも、インナ軸部材の周方向に広がる周方向空間と、該周方向空間の周方向両端部において、それぞれ、インナ軸部材からアウタ筒部材に向かって略径方向に広がる一対の径方向空間とからなる断面形状を有しており、本体ゴム弾性体において、周方向に隣接する第一のすぐり部と第二のすぐり部の各径方向空間の間に、それぞれ、インナ軸部材とアウタ筒部材を径方向に連結する合計四本の連結ゴム部が形成されてなる構成が、好適に採用される。このような構造を採用すれば、四本の連結ゴム部によって、マウント軸方向のばね特性を有効に確保しつつ、第一及び第二のすぐり部によって、互いに直交する二つの径方向でのばね特性をより効率的に調節することが出来るのである。
【0016】
更にまた、本発明に従う構造とされた筒型防振マウントにおいては、例えば、傾斜板を、インナ軸部材から径方向外方に行くに従って幅広となる略扇形状とすると共に、傾斜板の基部側の幅寸法を、インナ軸部材の外径寸法以下とし、且つ傾斜板の先端部側の幅寸法を、インナ軸部材の外径寸法よりも大きくすることが、望ましい。このような傾斜板の構造を採用すれば、傾斜板の基部側の幅方向両側の位置が、インナ軸部材に対して有利に近づけられるから、インナ軸部材とアウタ筒部材の間に周方向の相対的なねじり荷重が入力された際にも、コンプレッションゴムに最も亀裂が発生し易い傾斜板の基部の幅方向両側部分において、コンプレッションゴムに生ぜしめられる変形量ひいては応力が軽減されるのであり、その結果、コンプレッションゴムひいてはマウントの耐久性および耐荷重性の更なる向上が図られ得るのである。なお、傾斜板において最も幅寸法が小さくされる基部は、一般に、傾斜板のインナ軸部材への固着性を確保しつつ、基部の周方向両側の位置がインナ軸部材に対して有利に近づけられるように、インナ軸部材における傾斜板の突出する径方向での外周先端面を幅方向に挟んだ両側付近に位置せしめることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明に従う構造とされた筒型防振マウントにおいては、アウタ筒部材に形成された傾斜板対向部が、インナ軸部材に設けられた傾斜板よりも、径方向外方に突出位置せしめられており、且つ周方向両側に幅広とされていることが、望ましい。このような傾斜板対向部の構成を採用すれば、傾斜板と傾斜板対向部の対向面積、ひいてはコンプレッションゴムの容積を有利に確保して、軸方向および軸直角方向の荷重に対する有効な分力作用を実現することが出来ると共に、軸方向および軸直角方向における耐入力荷重強度の向上を図ることが出来る。また、インナ軸部材とアウタ筒部材が周方向に相対的にねじり変位せしめられた際にも、傾斜板と傾斜板対向部の対向面積が安定して確保されることから、目的とする防振性能が安定して発揮され得ることとなる。
【0018】
また、本発明に従う構造とされた筒型防振マウントにおいては、例えば、インナ軸部材の軸方向一方の端部において、傾斜板とは径方向反対側に突出するストッパ板を設ける一方、アウタ筒部材の軸方向一方の端部において、傾斜板対向部とは径方向反対側に突出して、ストッパ板に対して略平行な対向面で離間して対向位置するストッパ板対向部を形成し、更にそれらストッパ板とストッパ板対向部の少なくとも一方の対向面から他方の対向面に向かって突出するストッパゴムを突設せしめてなる構成が、好適に採用される。このような構成を採用すれば、ストッパ板とストッパ板対向部がストッパゴムを介して当接することにより、インナ軸部材とアウタ筒部材の軸方向での相対的変位量が制限されることから、軸方向の大荷重入力時における本体ゴム弾性体やコンプレッションゴムの過大な変形が防止され得、それによって耐久性の更なる向上が図られ得る。
【0019】
なお、より好適には、ストッパ板の幅寸法が、傾斜板の基部側の幅寸法よりも大きくされる。それによって、傾斜板の基部の幅方向両側部分においてコンプレッションゴムに発生し易い亀裂をより効果的に防止することが出来ると共に、ストッパ板の強度ひいてはストッパ機構の耐荷重強度を有利に確保することが可能となる。また、ストッパ板は、それをインナ軸部材と一体的に鋳造形成したり、別体形成されたストッパ板を溶接等で固着することも可能であるが、その他、インナ軸部材に対して外嵌固定される固定プレートを採用し、この固定プレートによって、傾斜板とストッパ板を一体的に形成することも可能であり、それによって、部品点数の減少と構造の簡略化が図られ得る。更に、本発明において上述の如きストッパ板対向部を形成する場合には、例えば、アウタ筒部材の軸方向一方の開口周縁部において、径方向外方に突出して周方向全周に連続して延びるフランジ状部を一体形成し、このフランジ状部によって、ストッパ板対向部と傾斜板対向部を形成することが望ましい。このようなフランジ状部を採用すれば、アウタ筒部材に対して、ストッパ板対向部と傾斜板対向部を、容易に且つ優れた強度をもって形成することが出来るのである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0021】
先ず、図1〜5には、本発明の一実施形態としてのサスペンションメンバマウント10が、示されている。このサスペンションメンバマウント10は、インナ軸部材としての内筒金具12とアウタ筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向に離間して配されていると共に、それら内外筒金具12,14間に本体ゴム弾性体15が介装されて、両金具12,14が弾性的に連結された構造を有している。
【0022】
より詳細には、内筒金具12は、小径の円筒形状を有しており、軸方向一方(図1中の左方)の端部近くには、略平板形状の固定プレート16が固着されている。この固定プレート16は、プレス金具等の剛性部材で構成されており、図6にも示されているように、中心孔18を有する円環状の嵌着部20と、該嵌着部20を径方向一方向(図2及び図6中の上下方向)に挟んだ両側外方に突出するストッパ板部22および傾斜板部24とを、一体的に有している。そして、嵌着部20の中心孔18に内筒金具12が挿通され、嵌着部20が内筒金具12に溶着されることによって、固定プレート16が内筒金具12に固着されている。
【0023】
そこにおいて、ストッパ板部22は、内筒金具12の外径寸法:Aよりも大きな一定の幅寸法:Bを有しており、内筒金具12の中心軸に直交する平面上において、径方向一方(図2及び図6中の下方)の側に向かって突出せしめられている。なお、ストッパ板部22の幅方向の両側縁部には、軸方向外方(図1中の左方)に屈曲した補強リブ26,26が一体形成されている。また、ストッパ板部22の突出先端面28は、内筒金具12の中心軸を略中心とする円弧形状とされている。
【0024】
また、傾斜板部24は、内筒金具12から離れるに従って幅広となる略扇形状を有しており、内筒金具12の中心軸に対して外方に傾斜した平面上において、径方向一方(図2及び図6中の上方)の側に向かって斜めに突出せしめられている。更に、傾斜板部24は、その基部(内筒金具12に最も近い、嵌着部20との境界部)の最も小さな幅寸法:Cが、内筒金具12の外径寸法:Aよりも僅かに小さくされていると共に、その突出先端部の最も大きな幅寸法:Dが、内筒金具12の外径寸法:Aよりも大きくされている。即ち、固定プレート16には、傾斜板部24の基部が位置する部分において、幅方向のくびれ部30,30が設けられており、固定プレート16の幅寸法が最も小さくされている。なお、傾斜板部24の突出先端面32は、内筒金具12の中心軸を略中心とする円弧形状とされている。
【0025】
また一方、外筒金具14は、大径の円筒形状を有しており、内筒金具12に外挿されることにより、内筒金具12の径方向外方に離間して同軸的に配設されている。なお、外筒金具14の軸方向長さは、内筒金具12よりも短くされており、内筒金具12の軸方向略中央部分に外筒金具14が位置せしめられている。また、外筒金具14の軸方向一方(図1中の左方)の開口部分は、絞り加工等によって縮径されて、内外径の小さな小径部34とされている。更に、この小径部34側の開口周縁部には、径方向外方に突出して周方向に連続して延びるフランジ状部36が一体形成されている。そして、このフランジ状部36の周上の一部分(図2中の下側部分)によって、内筒金具12に突設されたストッパ板部22に対して軸方向に離間し、該ストッパ板部22に対して平行な対向面をもって対向位置するストッパ板対向部38が形成されている。また、フランジ状部36の周上の別の一部分(図2中の上側部分)は、径方向外方に延長されていると共に、軸方向外方に傾斜せしめられており、それによって、内筒金具12に突設された傾斜板部24に対して斜め軸方向に離間し、該傾斜板部24に対して略平行な対向面をもって対向位置する傾斜板対向部40が形成されている。なお、この傾斜板対向部40は、その突出先端面41が、傾斜板部24よりも大径の円弧状面とされていると共に、その周方向長さが、傾斜板部24よりも十分に大きくされており、傾斜板部24の周方向両側に張り出して位置せしめられている。
【0026】
さらに、本体ゴム弾性体15は、全体として略厚肉の円筒形状を有しており、内筒金具12と外筒金具14の径方向対向面間の略全体に亘って介在せしめられている。そして、本体ゴム弾性体15の内外周面が、内筒金具12の外周面と外筒金具14の内周面にそれぞれ加硫接着されることにより、本体ゴム弾性体15が、それら内外筒金具12,14を有する一体加硫成形品として形成されている。また、本体ゴム弾性体15は、傾斜板部24と傾斜板対向部40の対向面間にも延び出しており、以て、それら傾斜板部24と傾斜板対向部40の対向面間の全体に亘って充填されたコンプレッションゴム42が、本体ゴム弾性体15と一体的に形成されている。更に、本体ゴム弾性体15は、コンプレッションゴム42が位置しない部分でも、固定プレート16まで軸方向に延び出しており、以て、内筒金具12の外周面を、本体ゴム弾性体15の軸方向端部と固定プレート16の間に亘って、固定プレート16の嵌着部20の外径寸法と略同じ外径寸法をもって覆う接続ゴム43が、本体ゴム弾性体15と一体的に形成されている。また、接続ゴム43と本体ゴム弾性体15は、ストッパ板部22とストッパ板対向部38の各対向面にも延び出しており、以て、それら各対向面において他方の側に向かって突出し、所定の間隙48を隔てて軸方向で相互に対向位置せしめられるストッパゴム44,46が形成されている。更に、接続ゴム43は、固定プレート16の表面を全体に亘って覆って固定プレート16の外面にまで延び出しており、以て、ストッパ板部22および傾斜板部24の外面上で軸方向に突出する緩衝ゴム50が形成されていると共に、固定プレート16の外周面を被覆して、緩衝ゴム50をコンプレッションゴム42や接続ゴム43につなげる被覆ゴム52が形成されている。ここにおいて、被覆ゴム52は、実質的に固定プレート16の外周面に沿った外周面形状を有しており、特に、傾斜板部24の基部の幅方向両側の外周面は、くびれ部30,30に沿って内方に入り込んだくびれ面54,54とされている。要するに、コンプレッションゴム42,接続ゴム43,緩衝ゴム50,ストッパゴム44,46,被覆ゴム52は、何れも、本体ゴム弾性体15と一体的に形成されているのである。
【0027】
また、本体ゴム弾性体15には、ストッパ板部22と傾斜板部24の対向方向に直交する径方向で内筒金具12を挟んだ両側において、コンプレッションゴム42とは反対側(図4中の右側)の軸方向端面に開口して、軸方向に延びる一対の第一のすぐり部56,56が形成されている。これら第一のすぐり部56,56は、何れも、その断面形状において、内筒金具12の外周面に沿って周方向に延びる円弧形状の周方向空間58と、該周方向空間58の周方向両端部から略径方向外方に向かって延びる直線形状の一対の径方向空間60,60を有している。また、両径方向空間60,60は、実質的に外筒金具14まで至る径方向長さで延びており、それによって、それら両径方向空間60,60間には、外筒金具14から内筒金具12に向かって径方向に突出する第一の径方向ストッパ62が、本体ゴム弾性体15によって形成されている。そして、内外筒金具12,14間に、第一のすぐり部56,56が対向する径方向で大きな荷重が入力された際、第一のすぐり部56が潰れて第一の径方向ストッパ62の突出先端面が内筒金具12に当接することにより、内外筒金具12,14の径方向における相対的変位量が緩衝的に制限されるようになっている。なお、第一のすぐり部56,56の周方向空間58,58は、何れも、実質的に内筒金具12の外周面上に形成されており、周方向空間58が形成された部分の内筒金具12の外周面には、本体ゴム弾性体15の成形時における型開閉性等の理由で形成された薄肉ゴム層64だけが存在しているに過ぎない。
【0028】
また一方、本体ゴム弾性体15には、第一のすぐり部56,56の対向方向に直交する径方向で内筒金具12を挟んだ両側において、第一のすぐり部56と略同様に、軸方向一方の側(図1中の右側)の軸方向端面に開口して、軸方向に延びる一対の第二のすぐり部66,66が形成されている。これら第二のすぐり部66,66は、何れも、その断面形状において、内筒金具12から径方向外方に所定距離だけ離間した、本体ゴム弾性体15の径方向中間部分を周方向に延びる円弧形状の周方向空間68と、該周方向空間68の周方向両端部から略径方向外方に向かって延びる直線形状の一対の径方向空間70,70を有している。また、周方向空間68の内周側には、内筒金具12の外周面を被覆する所定厚さのゴム層74が形成されている一方、両径方向空間70,70は、実質的に外筒金具14まで至る径方向長さで延びており、それら両径方向空間70,70間において、外筒金具14から内筒金具12に向かって径方向に突出する第二の径方向ストッパ72が、本体ゴム弾性体15によって形成されている。そして、内外筒金具12,14間に、第二のすぐり部66,66が対向する径方向で大きな荷重が入力された際、第二のすぐり部66が潰れて第二の径方向ストッパ72の突出先端面が、内筒金具12の外周面に形成されたゴム層74を介して、内筒金具12に当接することにより、内外筒金具12,14の径方向における相対的変位量が緩衝的に制限されるようになっている。
【0029】
要するに、本体ゴム弾性体15に各一対の第一のすぐり部56,56と第二のすぐり部66,66が設けられることにより、本体ゴム弾性体15には、互いに周方向に隣接する第一のすぐり部56と第二のすぐり部66の間を径方向に延びて内筒金具12と外筒金具14を連結する四本の径方向連結部76が形成されているのである。
【0030】
ここにおいて、第一のすぐり部56,56および第二のすぐり部66,66は、何れも、固定プレート16までは達しない軸方向深さで形成されており、その軸方向底部が、外筒金具14の小径部34の軸方向開口部(フランジ状部36の突出基部)よりも僅かに固定プレート16側に位置せしめられている。これによって、第一及び第二のすぐり部56,56及び66,66が対向位置する径方向のばね特性が十分に軟らかく、且つ変形量が一定値を越えた際に非線形的に立ち上がって硬くなるばね特性が付与されている。特に、本実施形態では、何れのすぐり部56,66も、本体ゴム弾性体15を軸方向に貫通することなく形成されている。
【0031】
しかも、内筒金具12に対して傾斜板部24の突出方向側に位置して形成された第二のすぐり部66は、軸方向の投影において、その全体が傾斜板部24に重なる大きさで形成されており、且つ傾斜板部24まで達しない軸方向深さで形成されている。更に、第一のすぐり部56,56は、図3に示されているように、何れも、軸方向投影で傾斜板部24に重ならないように、傾斜板部24側の径方向空間70が、傾斜板部24の周方向端縁部から周方向に外れた位置に設定されている。
【0032】
そして、特に、第一のすぐり部56,56は、本体ゴム弾性体15の最内周部に位置して、内筒金具12の外周面に沿って形成されていることから、該第一のすぐり部56,56と本体ゴム弾性体15やコンプレッションゴム42,接続ゴム43の各外周面との間の離間距離が有利に確保されるようになっている。それによって、図4に示されているように、第一のすぐり部56,56を軸方向に延長し、第一のすぐり部56,56の軸方向底部を、外筒金具14におけるフランジ状部36の突出基部よりも、距離:Lだけ傾斜板部24側に位置せしめた場合でも、第一のすぐり部56,56よりも傾斜板部24側に位置する部分のゴム厚:Tを有利に確保することが可能とされているのである。
【0033】
上述の如き構造とされたサスペンションメンバマウント10においては、内筒金具12と外筒金具14に対して、傾斜板部24と傾斜板対向部40が突出する径方向で、それら傾斜板部24と傾斜板対向部40を接近させる方向の外的荷重が入力されてコンプレッションゴム42が圧縮変形せしめられると、それら傾斜板部24と傾斜板対向部40の対向面による分力作用によって、内外筒金具12,14に対して、それら傾斜板部24と傾斜板対向部40を軸方向で離間させる方向に、軸方向の相対的変位力が及ぼされる。また、内筒金具12と外筒金具14に対して、傾斜板部24と傾斜板対向部40を接近させる軸方向の外的荷重が入力されてコンプレッションゴム42が圧縮変形せしめられると、それら傾斜板部24と傾斜板対向部40の対向面による分力作用によって、内外筒金具12,14に対して、それら傾斜板部24と傾斜板対向部40を径方向で離間させる方向に、径方向の相対的変位力が及ぼされる。
【0034】
そして、かかるサスペンションメンバマウント10は、例えば、セミトレーリングアーム式サスペンション機構を構成するサスペンションメンバに形成された装着孔に外筒金具14を圧入固定する一方、内筒金具12をロッド等を介してボデーに固定することにより、図1において、その左方が車両外方で右方向が車両内方となって、図中の左右方向が車両左右方向となり、且つ図中の上下方向が車両前後方向となる状態で装着される。それによって、前記特開平9−104212号公報等に記載されているように、上述の分力作用に基づいて、車両旋回時における車体のロール変位等が有利に抑えられるのである。なお、そのような装着状態下では、内筒金具12に固着された固定プレート16の軸方向外面が、外筒金具14が取り付けられるサスペンションメンバ側の当接部材(図示せず)に対して、軸方向に離間して対向位置せしめられることにより、該当接部材への緩衝ゴム50を介しての当接によって、内外筒金具12,14間における、傾斜板部24が傾斜板対向部40から離間する軸方向の相対変位量が制限され得る。また、本実施形態では、外筒金具14におけるフランジ状部36の屈曲基部(内周縁部)が、小径部34によって、外筒金具14の装着孔への嵌着面となる外周面よりも径方向内方に位置せしめられていることから、サスペンションメンバにおける装着孔の開口端面が、フランジ状部36の屈曲基部に設定されたアール等に邪魔されることなく、フランジ状部36の背面に密接して有利に当接され得るのであり、それによって、外筒金具14の位置決め精度の向上やフランジ状部36の強度の向上等が有利に図られ得るのである。
【0035】
そこにおいて、サスペンションメンバマウント10には、車両の段差乗り越えやコーナリング等に際してのサスペンションメンバのボデーに対する変位や揺動に伴い、内外筒金具12,14間に径方向荷重や軸方向荷重および中心軸周りのねじり荷重が入力されることとなるが、特に乗り心地に大きな影響を及ぼす車両上下方向では、第一のすぐり部56,56によって、十分に軟らかいばね特性が付与され得、それによって、優れた乗り心地が容易に実現されるのである。
【0036】
しかも、これら第一のすぐり部56,56が内筒金具12の外周面に沿って形成されていることから、ねじり荷重によって最も大きな応力が発生し易い部位、即ち、傾斜板部24の基部における幅方向両側部分の位置においても、軸方向寸法の大きな第一のすぐり部56,56を設けたことに起因する大幅なゴム厚の減少が回避されるのであり、それ故、ゴム弾性体15,42,43,52における変形応力の局部的な集中化と、耐久性の大幅な低下が効果的に軽減乃至は防止されることとなる。
【0037】
従って、上述の如き構造のサスペンションメンバマウント10においては、ゴム弾性体15,42,43,52等における亀裂の発生を防止して優れた耐久性を確保しつつ、第一のすぐり部56,56により、径方向のばね定数を十分に低く設定することが可能となるのであり、ばね特性やばね比等の防振特性のチューニング自由度が有利に確保され得るのである。
【0038】
また、本実施形態のサスペンションメンバマウント10においては、ねじり荷重等によって最も大きな応力が発生し易い部位、即ち、傾斜板部24の基部における幅方向両側部分の位置が、くびれ部30,30によって、内筒金具12側に近づけられていることから、内外筒金具12,14が相対的にねじり変位せしめられた際にも、傾斜板部24の基部における幅方向両側部分の外筒金具14に対する周方向の相対的変位量が抑えられるのであり、その結果、該傾斜板部24の基部における幅方向両側部分(くびれ部30,30)に固着されたゴム弾性体15,42,43,52等における発生応力乃至は変形が、より効果的に軽減されて、より一層優れた耐久性および耐荷重強度が発揮されるのである。特に、本実施形態では、傾斜板部24が、径方向外方に行くに従って幅広となる扇形状とされており、その突出先端側で内筒金具12の外径寸法より大きな幅寸法とされていることから、傾斜板部24の基部の幅寸法を小さくしてゴム弾性体の耐久性を確保しつつ、傾斜板部24と傾斜板対向部40の対向面積を十分に確保して、上述の如き、分力作用を有効に発揮させることが出来るのである。しかも、本実施形態では、傾斜板対向部40が、傾斜板部24に対して十分に大きな周方向幅をもって形成されており、内外筒金具12,14が捩り方向に相対変位した際にも、傾斜板部24が、その略全面で傾斜板対向部40に対して対向位置せしめられるようになっていることから、ねじり荷重と径方向乃至は軸方向荷重が同時に作用した場合でも、分力作用に基づく所期の効果が有効に発揮され得る。
【0039】
因みに、上述の如き本実施形態に従う構造とされた実施例としてのメンバマウント10について、内外筒金具12,14間に、傾斜板部24と傾斜板対向部40が離隔する径方向(コンプレッションゴム42に引張変形が生ぜしめられる径方向)に、5000Nの静的な径方向荷重を及ぼした状態下で、周方向に±16度の相対的なねじり変位を繰り返して及ぼすことによって耐久性の実験を行った。併せて、同様な構造とされたメンバマウントであって、第一のすぐり部56,56を、第二のすぐり部66,66と同様、内筒金具12の外周面から径方向外方に離間させて内外筒金具12,14の径方向中間部分に形成せしめたものを比較例として用い、かかる比較例のメンバマウントについても、同様な耐久性の実験を行った。
【0040】
その結果、比較例のメンバマウントでは、ねじり方向の繰り返し荷重を10万回及ぼした時点で確認したところ、傾斜板部の基部の幅方向両側部分に位置するゴム弾性体に亀裂の発生が認められたのに対して、実施例のメンバマウントでは、ねじり方向の繰り返し荷重を60万回及ぼした時点でも、ゴム弾性体に亀裂等の不具合の発生は認められなかった。このことからも、本発明に従う構造とされた筒型防振マウントにおける優れた耐久性が容易に理解されるところである。
【0041】
以上、本発明の実施形態と実施例について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施形態および実施例における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0042】
例えば、本体ゴム弾性体15における第二のすぐり部66,66は、マウント要求特性等に応じて、適当な位置に適当な大きさで設けられるものであり、本発明において必須のものでなく、また、それらを軸方向に貫通して形成するようにしても良い。
【0043】
また、傾斜板部24の基部側の幅寸法は、必ずしも内筒金具12の外径寸法より小さくする必要がなく、また、ストッパ板部22と傾斜板部24を一枚の固定プレート16で形成する場合にも、くびれ部30,30は、必ずしも設ける必要ない。
【0044】
更にまた、傾斜板部24やストッパ板部22の外面上に突出する緩衝ゴム50は、必ずしも必要なものでない。
【0045】
また、外筒金具14におけるストッパ板対向部38と傾斜板対向部40は、必ずしもフランジ状部36によって一体形成する必要はなく、それらを周方向に独立して形成したり、別形成して外筒金具14に後固着すること等も可能である。更にまた、外筒金具14における小径部34も、本発明において必須のものでない。
【0046】
加えて、本発明は、ロール変位を抑えるためのサスペンションメンバマウントの他、適度なアンダステア傾向を実現するためのサスペンションメンバマウント,横力コンプライアンスステアを抑制するためのサスペンションブッシュ等、各種のサスペンションメンバマウントやサスペンションブッシュ、或いは自動車のサブフレームとボデーの間に介装されるサブフレームマウントなど、インナ軸部材とアウタ筒部材における傾斜板と傾斜板対向部の間に介在せしめられたコンプレッションゴムを備え、それら傾斜板と傾斜板対向部の間での分力作用を利用するようにした各種の筒型防振マウントに対して、何れも、有利に適用され得るものである。
【0047】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従い、傾斜板の突出方向に直交する径方向でインナ軸部材を挟んで対向位置する一対のすぐり部を、インナ軸部材の外周面に沿って軸方向に形成してなる筒型防振マウントにおいては、ゴム弾性体における応力集中による耐久性の低下を回避しつつ、十分に大きなすぐり部を設定することが出来るのであり、それ故、良好なる耐久性を確保しつつ、ばね特性やばね比等に関して大きなチューニング自由度が与えられるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのサスペンションメンバマウントを示す縦断面図であって、図2におけるI−I断面に相当する図である。
【図2】図1における左側面図である。
【図3】図1における右側面図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面図である。
【図5】図3におけるV−V断面図である。
【図6】図1に示されたサスペンションメンバマウントを構成するインナ軸部材と固定プレートの組付体を示す正面図である。
【符号の説明】
10 サスペンションメンバマウント
12 内筒金具
14 外筒金具
15 本体ゴム弾性体
24 傾斜板部
40 傾斜板対向部
42 コンプレッションゴム
56 第一のすぐり部

Claims (8)

  1. インナ軸部材と、その外方に離間配置されたアウタ筒部材を、それらの間に介装された筒状の本体ゴム弾性体で連結すると共に、該インナ軸部材の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向一方向で斜め外方に向かって突出する傾斜板を設ける一方、前記アウタ筒部材の軸方向一方の端部において、軸方向外方に傾いて径方向一方向で斜め外方に向かって突出して、前記傾斜板に対して平行な対向面で離間して対向位置する傾斜板対向部を形成し、更に該傾斜板と該傾斜板対向部の対向面間に介装されてそれらを弾性的に連結するコンプレッションゴムを、前記本体ゴム弾性体と一体的に形成した筒型防振マウントにおいて、
    前記傾斜板が円環状の嵌着部を有し、この嵌着部において前記インナ軸部材の外周面に固着されていると共に、前記本体ゴム弾性体から一体的に延び出し、該嵌着部に至る接続ゴムが該インナ軸部材の外周面を覆うように設けられている一方、該傾斜板の突出方向に直交する径方向で前記インナ軸部材を挟んだ両側に位置し、それぞれ前記本体ゴム弾性体における前記コンプレッションゴムと反対側の軸方向端面から、該インナ軸部材の外周面に沿って、軸方向に貫通しないで前記傾斜板に達しない長さで延びる一対の第一のすぐり部を、車両の上下方向において該インナ軸部材を挟むようにして、その軸方向底部が前記アウタ筒部材における前記傾斜板対向部の突出基部よりも軸方向外方に位置するように、且つ前記本体ゴム弾性体の最内周部に位置するように、設けたことを特徴とする筒型防振マウント。
  2. 前記第一のすぐり部が、軸方向の投影で、前記傾斜板に重ならないように、該第一のすぐり部の該傾斜板側の周方向端部が、該傾斜板の周方向端縁部から周方向に離間して位置せしめられている請求項1に記載の筒型防振マウント。
  3. 前記第一のすぐり部が、前記インナ軸部材の外周面に沿って周方向に広がる周方向空間と、該周方向空間の周方向両端部において、それぞれ、該インナ軸部材から前記アウタ筒部材に向かって径方向に広がる一対の径方向空間とからなる断面形状を有している請求項1又は2に記載の筒型防振マウント。
  4. 前記傾斜板が突出する径方向で前記インナ軸部材を挟んだ両側に位置し、それぞれ前記本体ゴム弾性体における前記コンプレッションゴムと反対側の軸方向端面から軸方向に延びる一対の第二のすぐり部を設け、該一対の第二のすぐり部及び前記一対の第一のすぐり部が、何れも、該インナ軸部材の周方向に広がる周方向空間を有する構成とすると共に、かかる一対の第二のすぐり部の周方向空間を、該一対の第一のすぐり部の周方向空間よりも、該インナ軸部材から径方向外方に離間して位置せしめた請求項1乃至3の何れかに記載の筒型防振マウント。
  5. 各一対の前記第一のすぐり部と前記第二のすぐり部が、何れも、前記インナ軸部材の周方向に広がる周方向空間と、該周方向空間の周方向両端部において、それぞれ、該インナ軸部材から前記アウタ筒部材に向かって径方向に広がる一対の径方向空間とからなる断面形状を有しており、前記本体ゴム弾性体において、周方向に隣接する第一のすぐり部と第二のすぐり部の各径方向空間の間に、それぞれ、該インナ軸部材と該アウタ筒部材を径方向に連結する合計四本の連結ゴム部が形成されている請求項4に記載の筒型防振マウント。
  6. 前記傾斜板を、前記インナ軸部材から径方向外方に行くに従って幅広となる扇形状とすると共に、該傾斜板の基部側の幅寸法を、前記インナ軸部材の外径寸法以下とし、且つ該傾斜板の先端部側の幅寸法を、該インナ軸部材の外径寸法よりも大きくした請求項1乃至5の何れかに記載の筒型防振マウント。
  7. 前記アウタ筒部材に形成された前記傾斜板対向部が、前記インナ軸部材に設けられた前記傾斜板よりも、径方向外方に突出位置せしめられており、且つ周方向両側に幅広とされている請求項1乃至6の何れかに記載の筒型防振マウント。
  8. 前記インナ軸部材の軸方向一方の端部において、前記傾斜板とは径方向反対側に突出するストッパ板を設ける一方、前記アウタ筒部材の軸方向一方の端部において、前記傾斜板対向部とは径方向反対側に突出して、前記ストッパ板に対して平行な対向面で離間して対向位置するストッパ板対向部を形成し、更にそれらストッパ板とストッパ板対向部の少なくとも一方の対向面から他方の対向面に向かって突出するストッパゴムを突設した請求項1乃至7の何れかに記載の筒型防振マウント。
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