JP3731114B2 - 熱交換器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体間での熱交換を行なわせる主として空調機器に用いられる積層構造の熱交換器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、暖房及び冷房などの空調機器が発達かつ普及し、空調装置を用いた居住区域が拡大するにつれて換気において温度及び湿度が回収できる空調用の全熱交換器に対する重要性も高まっている。こうした全熱交換器は例えば、特公昭47ー19990号公報や特公昭54ー1054号公報及び特公昭51ー2131号公報に開示されているようなものが広く採用されている。これらのいずれも伝熱性と通湿性とを有する仕切板を間隔保持部材を挟んで所定の間隔をおいて複数層に重ね合わせた基本構造を採っている。仕切板は方形の平板で、間隔保持部材は投影平面が仕切板に一致する鋸波状又は正弦波状の波形を成形した波形板となっており、間隔保持部材を仕切板の間にその波形の方向を交互に90度又はそれに近い角度を持たせて挟着し、一次気流と二次気流を通す二系統の流体通路をこれらの各層間に一層おきに構成している。
【0003】
全熱交換器の仕切板に要求される特性としては、通気性が低く、伝熱性と透湿性が高いことである。これは、使用時に屋外から屋内に吸込まれる新鮮な外気と屋内から屋外へ排気される汚れた空気とが混合することなく、しかも顕熱と同時に潜熱も熱交換できるようにするためである。また、間隔保持部材については仕切板間に流体通路を確保するものであり、熱交換には直接関与しない構造であるため、コルゲート加工によるものの他にも樹脂材や紙製材によるリブ構造が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の積層型の熱交換器においてコルゲート加工により間隔保持部材を構成するものは、間隔保持部材の素材を成形する互いに噛み合って回転する歯車状の上下のコルゲーターと、仕切板の素材を間隔保持部材の素材に回転しながら押付けるプレスロールを中核とした装置で片面段ボール構造の素材を連続的に作ることができるため生産性が高く、製造コストも低く抑えることができるが、波形状が連続的に成形されるものであるため、流体通路はこの波形状に制約され圧力損失の低減を推進することが難しい。
【0005】
これに対してリブを平行に並べて間隔保持部材を構成するものでは、リブの強度の設定によってリブの間隔を広く採ることができ、比較的容易に圧力損失の少ない流体通路を構成することができるが、生産性はコルゲート加工により間隔保持部材を構成するものより低く、コストはかなり高くつく。
【0006】
本発明は、係る従来の問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、生産性が良く、圧力損失の少ない熱交換器を得ることであり、その熱交換器を廃却し易いものにすることであり、生産性が良く、圧力損失の少ない熱交換器の製造方法を開発することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
波形板に成形された紙材等を主体とする多孔質材料又は無孔質材料と平板として構成される紙材等を主体とする多孔質材料又は無孔質材料とを接着し片面段ボール構造のコルゲート材を作成するステップと、コルゲート材の波形板の頂峰部を切断除去し開放コルゲート部材を作成するステップと、開放コルゲート材からなる積層モジュールを積層するステップとを備える。
【0008】
波形板に成形された紙材等を主体とする多孔質材料又は無孔質材料を平板として構成される二枚の紙材等を主体とする多孔質材料又は無孔質材料で挟み両面段ボール構造のコルゲート材を作成するステップと、コルゲート材の波形板の波高の略半分を切断し開放コルゲート部材を作成するステップと、開放コルゲート材からなる積層モジュールを積層するステップとを備える。
【0009】
また、両面段ボール構造のコルゲート材の波形板の波高の略半分となる位置に切目加工を施すステップを備える。
【0010】
さらに、積層モジュールの波形部分を平板に対して略直角になるようにするステップを備える。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図4によって示す本実施の形態は、図1に示すような積層構造の六面体に構成された空調用に適した積層型の熱交換器1の製造方法に関するものである。この方法で得られる熱交換器1は、伝熱性と通湿性とを有する薄肉の紙材等を主体とする多孔質材料又は無孔質材料よりなる気体遮蔽物としての仕切部材2を間隔保持部材3を挟んで所定の間隔をおいて、複数層に重ね合わせ接着した構成となっている。熱交換器1を構成している仕切部材2は、正方形や菱形の平板として構成され、間隔保持部材3は紙材等を主体とする多孔質材料又は無孔質材料で構成され、投影平面形状が仕切部材2に一致する鋸波状又は正弦波状の波形を成形した片面段ボール構造の波形板部分を切断加工した開放コルゲート材4の残った波形部分で形成されている。
【0012】
この熱交換器1は、コルゲート加工を中核とする方法で製造される。即ち、図2に示すように互いに噛み合って回転する歯車状の上下のコルゲーター5に間隔保持部材3の素材を送り波形板6に成形し、仕切部材2の素材を波形板6に回転するプレスロール7によって押付けて接着し、片面段ボール構造のコルゲート材8を連続的に作る。このコルゲート材8の波形板6の各頂峰部をカッター9で切断除去して頂峰部の無い開放コルゲート材4を作る。
【0013】
この後、開放コルゲート材4を必要な寸法形状に裁断し、積層モジュール10を作る。この積層モジュール10を一層おきに波形板6による流体通路が交差又は併行するように積層接着して六面体のブロックを作り、このブロックを所定の寸法に裁断して熱交換器1を完成させる。片面段ボール構造のコルゲート材8は、空気中の水分を吸収することによって反りが生じたり、積層時に使う水溶媒系の接着剤の水分によっても反りが発生したりする。従って、積層・接着工程において押え作業を行ない反りの発生を防止する。
【0014】
こうして製造した熱交換器1は、一次気流と二次気流を通す流体通路11と流体通路12が図1に示すようにこれらの各層間に一層おきに構成され、各流体通路11,12は断面U字状やV字状の小通路と断面が台形等の角形の小通路13が交互に並ぶ集合構造となる。角形の小通路13の開口面積は広くなり、単に波形板の間隔保持部材を仕切部材2間に挟込んだ熱交換器より圧力損失が少なくなる。従って、空調装置に組込んだ場合、能力の小さな送風機を採用することもでき、空調装置の小型化を推進することができる。コルゲート加工を中核とする製造方法であるため、連続的にコルゲート材8をスピーディに作ることができ、リブによる間隔保持部材によるものより生産性が高くコストも抑制できる。コルゲート材8の波形板6の切断は、波の目の方向に沿って行なう方が波形の変形が少ないので実施し易く、切断位置については、波高の1/4〜1/2を目安に設定すればよい。
【0015】
なお、顕熱交換だけであれば透湿性の無い仕切部材2とすればよく、気体間での熱交換でないものでは、仕切部材2や間隔保持部材3も流体遮蔽物として金属材料等を用いることになる。さらに、紙の割合が51パーセント以上で構成された樹脂(PP樹脂等)の複合材料で間隔保持部材3を構成することにより、圧縮強度の高い熱交換器1となるうえ、紙製品とみなされるため廃却し易く、リサイクル性も備えさせることができる。
【0016】
実施の形態2.
図5と図6によって示す本実施の形態は、実施の形態1と同様に積層構造の六面体に構成された熱交換器1の製造方法に関するものである。本実施の形態の製造方法も積層モジュール10の作り方を除けば基本的には実施の形態1の製造方法と同じである。従って、実施の形態1のものと同じ部分については、実施の形態1のものと同一の符号を用い、それらについての説明は省略する。
【0017】
本実施の形態の製造方法によって得られる熱交換器1も、構造上は実施の形態1で示した製造方法で製造したものと同じである。この熱交換器1の製造方法の特徴は、積層モジュール10の作り方にある。即ち、間隔保持部材3を波板に成形加工した波形板6を、図5に示すように二枚の仕切部材2の間に接着した両面段ボール構造のコルゲート材14を作り、このコルゲート材14の波形板6の波高の略半分の位置でカッター9で横断して展開し、二枚の開放コルゲート材4を作り、これを積層モジュール10とする。
【0018】
この積層モジュール10の作り方を採用することにより、廃材がほとんどできず、切断も両面段ボール構造で剛性が高いので容易である。間隔保持部材3の波板への成形加工に伴って、波高の略半分の位置にミシン目等による切断可能態にする切目加工15を施しておくことによって、切断工程を容易かつ迅速に行なうことができる。積層モジュール10の積層やその後工程は実施の形態1の製造方法と同じである。
【0019】
実施の形態3.
図7によって示す本実施の形態は、実施の形態1や実施の形態2で示した熱交換器の製造方法における積層モジュール10を作った後に、開放コルゲート材4の波形部分を仕切部材2に対して略直角になるように起こす姿勢矯正工程を加えたものである。本実施の形態の製造方法も積層モジュール10の姿勢矯正工程を除けば基本的には実施の形態1や実施の形態2で示した製造方法と同じである。従って、実施の形態1や実施の形態2のものと同じ部分については、実施の形態1や実施の形態2のものと同一の符号を用い、それらについての説明は省略する。
【0020】
姿勢矯正工程によって積層モジュール10の破断された波形部分を略垂直に立てることにより、各流体通路11,12の小通路13の断面形状を全て矩形にすることができ、流体通路11,12全体としての圧力損失の少ない熱交換器1が得られる。
【0021】
【発明の効果】
圧力損失の少ない熱交換器や、圧力損失の少ない熱交換器を生産性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の製造方法で製造された熱交換器を示す斜視図である。
【図2】 実施の形態1の製造方法を示す説明図である。
【図3】 実施の形態1の製造方法におけるコルゲート材を示す側面構成図である。
【図4】 実施の形態1の製造方法における開放コルゲート材を示す側面構成図である。
【図5】 実施の形態2の製造方法を示す説明図である。
【図6】 実施の形態2の製造方法における積層モジュールを示す側面構成図である。
【図7】 実施の形態3の製造方法における積層モジュールを示す側面構成図である。
【符号の説明】
1 熱交換器、 2 仕切部材、 3 間隔保持部材、 4 開放コルゲート材、 6 波形板、 8 コルゲート材、 10 積層モジュール、 11,12 流体通路、 13 小通路、 14 コルゲート材、 15 切目加工。
Claims (4)
- 波形板に成形された紙材等を主体とする多孔質材料又は無孔質材料と平板として構成される紙材等を主体とする多孔質材料又は無孔質材料とを接着し片面段ボール構造のコルゲート材を作成するステップと、
前記コルゲート材の波形板の頂峰部を切断除去し開放コルゲート部材を作成するステップと、
前記開放コルゲート材からなる積層モジュールを積層するステップとを備える熱交換器の製造方法。 - 波形板に成形された紙材等を主体とする多孔質材料又は無孔質材料を平板として構成される二枚の紙材等を主体とする多孔質材料又は無孔質材料で挟み両面段ボール構造のコルゲート材を作成するステップと、
前記コルゲート材の波形板の波高の略半分を切断し開放コルゲート部材を作成するステップと、
前記開放コルゲート材からなる積層モジュールを積層するステップとを備える熱交換器の製造方法。 - 両面段ボール構造のコルゲート材の波形板の波高の略半分となる位置に切目加工を施すステップを備える請求項2記載の熱交換器の製造方法。
- 積層モジュールの波形部分を平板に対して略直角になるようにするステップを備える請求項1乃至3記載の熱交換器の製造方法。
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