JP3707266B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主として電力用変圧器あるいは回転機の鉄心材料に用いられる方向性電磁鋼板である。
【0002】
【従来の技術】
Siを含有し、かつ結晶方位が(110)〔001〕方位や(100)〔001〕方位に配向した方向性電磁鋼板は、鋼中にインヒビターと呼ばれる成分を含有させ、鋼スラブを高温で加熱し該インヒビターを高温で固溶させた後、熱間圧延を施して微細にインヒビターを析出させ、2次再結晶と呼称される現象を利用して、上述の結晶方位を得る、一連の工程にて製造されるのが一般的である。
【0003】
例えば、特公昭40−15644 号公報に記載されたAlN や MnSを使用する方法、特公昭51−13469 号公報に記載されたMnS やMnSeを使用する方法などが開示され、工業的に実用化されている。さらに、CuSeとBNを添加する技術が特公昭58−42244 号公報に、Ti, Zr, Vの窒化物を使用する方法が特公昭46−40855 号公報に、それぞれ記載されている。
【0004】
これらのインヒビターを用いる方法は、安定して二次再結晶粒を発達させるのに有用であるが、析出物を微細に分散させる必要があるため、熱間圧延前のスラブ加熱を1300℃以上の高温で行っている。このスラブの高温加熱は、それを実現するための設備コストがかかり、さらに熱間圧延時に生成するスケールの量も多大になるから、歩留りが低下するだけでなく、設備のメンテナンス等の問題も多くなる。
【0005】
また、インヒビターを利用する方向性電磁鋼板の製造は、箱焼鈍で高温かつ長時間の最終仕上焼鈍を施すことが、通常であるが、この最終仕上焼鈍後に、インヒビター成分が残存すると、磁気特性を劣化させるという問題がある。そこで、インヒビター成分である、例えばAl,N,Se,Sなどを鋼中より除去するために、二次再結晶に引き続いて、1100℃以上の水素雰囲気中で数時間にわたる鈍化焼鈍を必要とするのである。しかし、高温の純化焼鈍は、鋼板の機械強度を低下してコイルの下部に座屈が発生し易くなるため、得られる製品での歩留りが著しく低下する不利が生じる。
【0006】
このような箱焼鈍による弊害を防止し、製造工程を簡略化することを目的として、箱焼鈍を連続焼鈍化する試みが古くからなされている。すなわち、従来の連続焼鈍による方向性電磁鋼板の製造技術としては、特公昭48−3929号公報、特公昭62−31050 号公報および特開平5−70833 号公報に開示されているように、AlN, MnS, MnSeなどのインヒビターを使用して短時間に二次再結晶させる技術がある。
【0007】
しかし、インヒビター成分は連続焼鈍による短時間焼鈍では除去することができずに製品板に残留し、インヒビター成分、特にSeやSが鋼に残留していると、磁壁の移動を妨げるために鉄損特性に悪影響を及ぼし、さらにこれらのインヒビター成分は脆化元素でもあるから、製品の二次加工性も低下することになる。従って、インヒビターを使用する限りは、連続焼鈍によって良好な磁気特性と加工性を得ることができなかったのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、インヒビターを使用した連続焼鈍による方向性電磁鋼板の製造方法において、製品中にインヒビター成分が残留することによって引き起こされる鉄損および二次加工性の劣化を回避し、磁気特性並びに加工性に優れる方向性電磁鋼板を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
まず、発明者らは、インヒビター成分を含まない高鈍度素材を用いて再結晶組織の形成に関する研究を行ったところ、素材の高純度化のうち、特にSe,S,NおよびOを低減するとともに、ある限定された条件下で製造することによって、再結晶後に高度に{110}<001>組織が発達することを知見し、この発明を完成させた。
【0010】
すなわち、この発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1) Si:2.0 〜8.0 重量%、Mn:0.005 〜3.0 重量%、Al:0.0010〜0.012 重量%を含み、Se,S,NおよびOの含有量をそれぞれ30ppm 以下に低減し、残部 Fe および不可避的不純物の成分を有する溶鋼から製造したスラブに熱間圧延を施し、その後必要に応じて熱延板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施した後、連続焼鈍による再結晶焼鈍を行い、さらに必要に応じて絶縁コーティングを施す方向性電磁鋼板の製造方法において、最終冷間圧延前の平均結晶粒径を0.03〜0.20mmとすること、最終冷間圧延を圧下率:55〜75%の範囲で行うこと、そして再結晶焼鈍を950 〜1175℃の温度域で行うことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0011】
(2) 上記(1) において、溶鋼が、さらにNi:0.01〜1.50重量%、Sn:0.01〜0.50重量%,Sb:0.005 〜0.50重量%,Cu:0.01〜0.50重量%,Mo:0.005 〜0.50重量%およびCr:0.01〜0.50重量%の少なくとも1種類を含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0012】
(3) 上記(1) および(2) において、スラブを加熱することなく直接熱間圧延することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0013】
(4) 上記(1) および(2) において、溶鋼から直接鋳造法で得られた厚さ100mm 以下の薄鋳片を用いることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、この発明を完成するに到った実験結果について詳しく説明する。
C:33ppm ,Mn:0.15重量%,Si:3.3 重量%およびAl:0.0050重量%を含む鋼成分を基本とし、この基本成分に対して不純物としてのSe,S,NおよびO量を種々に変化させた鋼塊を多数溶製した。それらの鋼塊を、1100℃に加熱してから熱間圧延し2.2mm 厚に仕上げた。その後、冷間圧延にて0.85mm厚に仕上げ、900 ℃で60秒間の中間焼鈍を施し、次いで冷間圧延にて0.35mm厚に仕上げた後、1000℃,3分間の再結晶焼鈍を行った。
【0015】
かくして得られた鋼板について、再結晶焼鈍後の圧延方向の磁束密度を測定した。その結果を図1に示すように、Se,S,N,Oの含有量がそれぞれ30ppm 以下になると、磁束密度B8 は1.75T以上となった。なお、中間焼鈍後の平均再結晶粒径は、各鋼塊とも約0.10mmであった。
【0016】
さらに、圧延方向の磁束密度B8 が1.81Tである製品について、その集合組織をX線で調査した。その調査結果を図2に示すように、{110}<001>方位の組織が高度に集積して、他の方位成分が全く存在しないことがわかる。
【0017】
以上の実験結果から、素材を高純度化することにより、短時間の再結晶焼鈍によっても{110}<001>方位の組織を発達させて圧延方向の磁化特性を向上できることが判明した。
【0018】
また、発明者らは、同じ素材(Se:5ppm 以下,S:13ppm ,N:12ppm ,O:15ppm )を用いて中間板厚と中間焼鈍温度を変更して最終冷間圧延前の結晶粒径を変化させ、最終冷間圧延で0.29mm厚に仕上げたのち、1100℃で5分間の再結晶焼鈍を行って得た、製品について磁束密度を調べた。その調査結果を図3に示すように、最終冷間圧延前の粒径が0.03〜0.20mmかつ最終冷間圧延の圧下率が55〜75%の範囲において、B8 >1.75Tの良好な磁束密度が得られることがわかった。すなわち、最終冷間圧延前の粒径と最終冷間圧延の圧下率が製品の磁束密度に大きく影響を与えることが、ここに新規に知見されたのである。
【0019】
さらに、発明者らは、素材の添加元素について検討を行ったところ、Niを添加することにより、製品の磁束密度が向上することを見い出した。
すなわち、C:22ppm ,Mn:0.12重量%,Si:3.3 重量%およびAl:0.0040重量%を含有する鋼成分を基本として、この基本成分に対してNi量を種々に変化させた鋼塊(Se:5ppm 以下,S:10ppm ,N:9ppm ,O:11ppm )を溶製し、それらの鋼塊を1140℃に加熱して熱間圧延して2.5mm 厚に仕上げたのち、0.80mm厚まで冷間圧延し、800 ℃で120 秒間の中間焼鈍を施した。その後、冷間圧延で0.26mm厚に仕上げてから、1050℃5分間の再結晶焼鈍を行った。最終冷間圧延前の再結晶平均粒径は、0.085 〜0.095mm であった。
【0020】
かくして得られた鋼板について、圧延方向の磁束密度を測定した。その結果を図4に示すように、Niを添加することにより磁束密度を向上することができた。ここで、磁束密度が向上した理由は定かではないが、Niが強磁性体元素であることが何らかの形で磁束密度の向上に寄与しているものと推定される。
【0021】
一方、Sn,Sb,Cu,MoおよびCrのいずれか1種または2種以上の添加により、鉄損を改善する傾向が認められた。おそらく、電気抵抗を増加させることにより鉄損が低減されたものと、推定される。
【0022】
この発明による方向性電磁鋼板の平均結晶粒径は0.30〜2.0mm 程度であり、従来のインヒビターを用いて二次再結晶させて製造する方向性電磁鋼板の粒径、3.0 〜30mm程度と比較して微細である。この粒径が微細であることは、打抜きや穴開け等の加工性を改善するのに有利である。すなわち、この発明に従って連続焼鈍にて{ll0}<001>方位組織を発達させると、従来のインヒビターを用いて二次再結晶させて製造する技術に比べて、加工性に優れた製品が製造されるのである。
【0023】
以上の実験結果に基づいて、インヒビターを含まない素材を用いて連続焼鈍により、{ll0}<001>方位の組織が高度に発達し、微細結晶粒を有する、加工性の良好な方向性電磁鋼板を製造する方法が完成されたのである。
【0024】
なお、この発明に従って、インヒビターを使用しない高純度成分系の素材を用いて、ある限定された条件下で製造することによって、再結晶後に{ll0}<001>方位の組織が高度に発達する理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えている。
【0025】
すなわち、発明者らが再結晶時における{ll0}<001>方位組織の発達過程を詳しく調査したところ、再結晶完了時には{ll0}<001>方位組織は十分発達しておらず、再結晶完了後の粒成長段階で{ll0}<001>方位が優先的に成長することを認めた。このような優先的な{ll0}<001>方位粒の優先成長においては、インヒビターの存在下における二次再結晶に類似した粒成長が起きているものと考えられる。
【0026】
ここで、発明者らはインヒビターの存在下において{ll0}<001>粒が二次再結晶する理由について鋭意研究を重ねた結果、一次再結晶組織における方位差角20〜45°である粒界が重要な役割を果たしていることを見出し、Acta Material 45巻(1997)85ページに報告した。すなわち、図5に方向性電磁鋼板の一次再結晶組織における方位差角20〜45°である粒界の存在頻度を示すように、ゴス方位が最も高い頻度を持つ。この方位差角20〜45°の粒界は、C.G.Dunnらによる実験データ(AIME Transaction 188巻(1949)368 ページ)によれば、高エネルギー粒界である。高エネルギー粒界は、粒界内の自由空間が大きく乱雑な構造をしている。そして、粒界拡散は粒界を通じて原子が移動する過程であるから、粒界中の自由空間の大きい、高エネルギー粒界のほうが粒界拡散が速い。
【0027】
ところで、二次再結晶は、インヒビターと呼ばれる析出物の拡散律速による成長に伴って発現することが知られている。そして、高エネルギー粒界上の析出物は、仕上焼鈍中に優先して粗大化が進行する。一方、粒界移動を抑制する力、いわゆる「ピン止め力」は析出物粒界に反比例する。そのため、高エネルギー粒界が優先的に粒界移動を開始し、ゴス粒が成長するのである。
【0028】
そして、AlN, MnSe, MnS, CuS などのインヒビターを使用して二次再結晶させるためには、Al,Se,S量およびそれらと結合するN,Mn,Cu量を適正量含有させ、かつインヒビターを微細分散させる必要があり、そのために工程条件、特に熱間圧延工程に細心の注意を払う必要がある。これらの条件が満たされない場合は、二次再結晶が起きずに正常粒が成長するため、{ll0}<001>組織が発達しないことが、よく知られている。
【0029】
さて、鋼中に存在するSe, S,NおよびOは、粒界、特に構造の乱雑なエネルギーの高い粒界に偏析しやすく、B,Se,Sおよびそれらと結合するN,Mn,Cuが同時に適正量含有されていない場合、あるいは微細に析出物が分散していない場合には、Se,S,NおよびOの粒界偏析効果の方が、上記析出物による方位選択効果よりも大きな影響を与え、結果として高エネルギー粒界と他の粒界との移動速度に差がなくなり、ゴス方位粒の優先成長が妨げられると考えられる。
【0030】
しかし、素材の高純度化によって、そのような不純物元素、特にSe,S,NおよびOの影響を排除すると、高エネルギー粒界の構造に依存する本来的な移動速度差が顕在化すること、および粒界移動速度が素材の高純度化によって増大することから、インヒビター成分を含まない高純度成分系において、再結晶完了後の粒成長過程で{ll0}<001>粒が優先的に成長するものと推定される。
【0031】
さらに、この発明では、Alを0.0010〜0.012 重量%含有させることにより、再結晶完了後の粒成長過程において、良好な{ll0}<001>粒を発達させている。この理由は明らかでないが、微量Alが鋼中の微量に残留するNとO等を固定してマトリックスを清浄にする働き、あるいは表層に緻密な酸化層を形成して再結晶焼鈍時の窒化を抑える働き、が有効に作用するものと推定される。
【0032】
以下、この発明の各構成要件の限定理由について述べる。まず、電磁鋼板を製造する際の溶鋼成分の限定理由を以下に説明する。
溶鋼成分としては、Si:2.0 〜8.0 重量%を含有することが肝要である。すなわち、Siが2.0 重量%未満であると、γ変態を生じて熱延組織が大きく変化する他、最終冷間圧延後の再結晶焼鈍において高温で通板することができず、良好な磁気特性を得ることができない。さらに、Siが2.0 重量%未満であると、電気抵抗が小さく鉄損の改善も不十分となる。一方、Siが8.0 重量%をこえると、製品の二次加工性が悪化し、さらに飽和磁束密度も低下するため、Si量は2.0 〜8.0重量%に限定する。
【0033】
Mnは熱間加工性を良好にするために必要な元素であるが、0.005 重量%未満であると効果がなく、一方3.0 重量%をこえると、二次再結晶が困難となるため、0.005 〜3.0 重量%とする。
【0034】
Alを0.0010〜0.012 重量%含有させることにより、再結晶完了後の粒成長過程にて{ll0}<001>粒が良好に発達する。しかし、Alが0.0010重量%未満であると、{ll0}<001>方位の強度が低下して磁束密度が低下し、一方0.012 重量%をこえると、再結晶時の粒成長が抑制されて鉄損が劣化するため、Alの範囲は0.0010〜0.012 重量%とする。
【0035】
S,Se,NおよびOは、{ll0}<001>粒の優先成長に対して有害かつ地鉄中に残存して鉄損を劣化させるため、30ppm 以下に低減する。
【0036】
なお、Cは、製品が磁気時効を起こさないように、50ppm 以下に低減することが望ましい。
【0037】
さらに、磁束密度を向上させるために、Niを添加することができる。その添加量は、0.01重量%未満であると磁気特性の向上量が小さく、一方1.50重量%を超えると{ll0}<001>組織の発達が不十分で磁気特性が劣化するため、0.01〜1.50重量%とする。
【0038】
また、鉄損を向上するために、Sn:0.01〜0.50重量%,Sb:0.005 〜0.50重量%,Cu:0.01 〜0.50重量%,Mo:0.005 〜0.50重量%,Cr:0.01〜0.50重量%を添加することが有効である。この範由より添加量が少ない場合には鉄損改善効果がなく、添加量が多い場合には{ll0}<001>組織が発達しなくなり、鉄損が劣化する。
【0039】
次に、上記成分を有する溶鋼は、通常の造塊法または連続鋳造法でスラブに製造してもよいし、100mm 以下の厚さの薄鋳片を連続鋳造法で直接製造してもよい。得られたスラブは、通常の方法で加熱して熱間圧延するが、鋳造後加熱せずに直ちに熱間圧延してもよい。薄鋳片の場合には熱間圧延しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進んでもよい。なお、素材成分にインヒビター成分を含まないため、加熱温度は熱間圧延可能な最低限の1100℃程度で十分である。
【0040】
次いで、必要に応じて熱延板焼鈍を施し、さらに必要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の冷間圧延を施した後、連続焼鈍による再結晶焼鈍を行い{ll0}<001>組織を発達させ、必要に応じて絶縁コーティングを施す。この発明では、最終冷間圧延前の平均結晶粒径を0.03〜0.20mmとすることが肝要である。この範囲をはずれた粒径の場合、再結晶焼鈍後の{ll0}<001>組織の発達が不十分である。
【0041】
ここで、最終冷間圧延前の平均結晶粒径を0.03〜0.20mmとするには、最終冷延前における焼鈍温度と時間を制御すること、熱間圧延後の粒径を、熱延前の加熱温度、仕上圧延温度および圧下率を変更することによって制御すること、などの手段が有利に適合する。
【0042】
また、最終冷間圧延を圧下率:55〜75%の範囲で行う必要がある。この範囲をはずれた圧下率での圧延では、再結晶焼鈍後の{ll0}<001>組織の発達が不十分になり、磁気特性が劣化する。
【0043】
さらに、最終冷間圧延後の連続焼鈍による再結晶焼鈍を950 〜1175℃で行う。連続焼鈍による再結晶焼鈍温度が950 ℃未満であると、再結晶焼鈍後の{ll0}<001>組織の発達が不十分になり磁気特性が劣化し、一方1175℃をこえると鋼板の機械強度が低下し、焼鈍時にクリープ変形を生じて通板が困難になるため、1175℃以下に制限する。
【0044】
なお、熱延板焼鈍を施すことにより、磁気特性を向上させることが可能であり、同様に中間焼鈍を冷間圧延の間に挟むことも磁気特性の安定化に有用である。しかし、どちらの処理も生産コストを上昇させることになるから、経済的観点および最終冷間圧延前の粒径を好適範囲の0.03〜0.20mmの範囲にすること、最終冷間圧延の圧下率を55〜75%の範囲にする必要から、熱延板焼鈍および中間焼鈍の取捨選択、あるいは各焼鈍温度並びに時間が決定される。また、最終冷間圧延後、あるいは再結晶焼鈍後に浸珪法によって、Si量を増加させる技術を併用してもよい。さらに、鋼板を積層して使用する場合には、鉄損を改善するために、鋼板表面に絶縁コーティングを施すことが有効である。この目的のためには、該絶縁コーティングを2種類以上の被膜からなる多層膜とすることも可能である。あるいは、用途に応じて、樹脂等を混合させたコーティングを施してもよい。
【0045】
【実施例】
実施例1
C:30ppm ,Si:3.20重量%,Mn:0.10重量%およびAl:0.0034重量%を含み,Se<5ppm ,S:20ppm ,N:6ppm およびO:10ppm に抑制した、残部実質的にFeの組成に成るスラブを連続鋳造にて製造した。次に、該スラブを1150℃で20分間加熱したのち、熱間圧延にて2.0mm 厚に仕上げた。その後、熱延板焼鈍を1000℃で60秒の条件で行った後、表1に示す条件にて、冷間圧延、中間焼鈍、さらに冷間圧延を行い0.35mmの最終板厚に仕上げた。中間焼鈍後の最終冷間圧延前の平均粒径を測定した結果を表1に示す。
【0046】
次いで、水素雰囲気において表1に示す条件で再結晶焼鈍を施したのち、重クロム酸アルミニウム、エマルジョン樹脂、エチレングリコールを重量比で3:3:1の割合で混合したコーティング液を塗布して300 ℃で焼き付けて製品とした。かくして得られた製品板の磁気特性および加工性について調査した結果を、表1に併記する。なお、加工性は直径5mmのドリルによる穴開けを100 ポイント実施し、穴周囲のしわ、割れの発生率を調査することにより評価した。
【0047】
【表1】
Figure 0003707266
【0048】
表1から、最終冷間圧延前の平均結晶粒径を0.03〜0.20mmかつ最終冷間圧延の圧下率を55〜75%の範囲として製造した製品板は、連続焼鈍により良好な磁束密度が得られ、また良好な加工性も得られることがわかる。
【0049】
実施例2
表2に示す成分組成のスラブを連続鋳造にて製造した。そして、該スラブを加熱することなく、連続鋳造後に直ちに熱間圧延を施して4.0mm 厚に仕上げてから、1170℃で20分加熱したのち、熱間圧延にて2.6mm 厚に仕上げた。次いで、熱延板焼鈍を900 ℃で30秒の条件で行った後、冷間圧延にて0.60mmの中間板厚に仕上げた。その後、850 ℃30秒の中間焼鈍を施したのち冷間圧延で0.23mmの最終板厚に仕上げた。引き続き、窒素雰囲気で1000℃で180 秒間の再結晶焼鈍を施してから、リン酸アルミニウム、重クロム酸カリウム、ホウ酸を重量比で30:10:1に混合したコーティング液を塗布して300 ℃で焼き付けて製品とした。
かくして得られた製品板の磁気特性および加工性について調査した結果を、表2に併記する。
【0050】
【表2】
Figure 0003707266
【0051】
表2から、Se,S,N,Oの含有量を各30ppm 以下に低減した溶鋼を用いることにより、連続焼鈍により磁束密度B8 >1.75Tの製品が得られることがわかる。
【0052】
実施例3
C:20ppm ,Si:3.25重量%,Mn:0.14重量%およびAl:0.005 重量%を含有し、Se<5ppm ,S:10ppm ,N:10ppm およびO:15ppm に抑制した、残部実質的にFeの組成に成る、板厚4.5mm の薄鋳片を連続鋳造で直接製造した。該鋳片に熱延板焼鈍を表3に示す条件で行い、平均結晶粒径を測定した後、冷間圧延にて1.2mm の最終板厚に仕上げた。このときの最終冷延圧下率は73.3%である。次いで、Ar雰囲気で1000℃で5分間の再結晶焼鈍を施して製品とした。かくして得られた製品板の磁気特性について調査した結果を表3に併記する。
【0053】
【表3】
Figure 0003707266
【0054】
表3から、最終冷間圧延前の平均結晶粒径が0.03〜0.20mmの範囲で透磁率の高い製品が連続焼鈍により得られていることがわかる。
【0055】
【発明の効果】
この発明によれば、圧延方向の磁束密度がB8 >1.75Tである加工性の良好な方向性電磁鋼板を、インヒビターを使わない高純度素材を用いて冷間圧延後の連続焼鈍にて{ll0}<001>方位の組織を発達させることにより生産することができる。従って、優れた特性の方向性電磁鋼板を、簡略された工程でかつ低コストで提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶鋼における不純物量と製品板の圧延方向の磁束密度との関係を示す図である。
【図2】再結晶焼鈍後の集合組織を示す図である。
【図3】最終冷間圧延圧下率および最終冷間圧延の平均粒径と製品板の磁束密度との関係を示す図である。
【図4】 Niの添加量と製品板の磁束密度との関係を示す図である。
【図5】仕上焼鈍前における方位差角20〜45°の粒界の各方位粒に対する存在頻度を示す図である。

Claims (4)

  1. Si:2.0 〜8.0 重量%、Mn:0.005 〜3.0 重量%、Al:0.0010〜0.012 重量%を含み、Se,S,NおよびOの含有量をそれぞれ30ppm 以下に低減し、残部 Fe および不可避的不純物の成分を有する溶鋼から製造したスラブに熱間圧延を施し、その後必要に応じて熱延板焼鈍を施してから、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施した後、連続焼鈍による再結晶焼鈍を行い、さらに必要に応じて絶縁コーティングを施す方向性電磁鋼板の製造方法において、最終冷間圧延前の平均結晶粒径を0.03〜0.20mmとすること、最終冷間圧延を圧下率:55〜75%の範囲で行うこと、そして再結晶焼鈍を950 〜1175℃の温度域で行うことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 請求項1において、溶鋼が、さらにNi:0.01〜1.50重量%、Sn:0.01〜0.50重量%,Sb:0.005 〜0.50重量%,Cu:0.01〜0.50重量%,Mo:0.005 〜0.50重量%およびCr:0.01〜0.50重量%の少なくとも1種類を含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 請求項1および2において、スラブを加熱することなく直接熱間圧延することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 請求項1および2において、溶鋼から直接鋳造法で得られた厚さ100mm 以下の薄鋳片を用いることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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