JP3705883B2 - 光コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光コネクタに係り、特に光ファイバ先端を成端するフェルールをハウジング内に内装固定してなる光コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ同士を切替可能に接続する光コネクタとしては、例えば、JISC 5981等に制定されるような、いわゆるMT形光コネクタ(MechanicallyTransferable)が提供されている。図10は、MT形光コネクタの一例を示す。図中符号1は光ファイバ(テープ心線)、2はフェルール(光コネクタプラグ)、3はブーツ、4はガイドピン、5はガイドピン穴、6はクランプスプリングである。このMT形光コネクタは、光ファイバ1の先端に露出させた複数本の裸ファイバ7を、精密金型を用いて成形した樹脂製フェルール2に形成した光ファイバ挿入穴9に挿入固定した構造になっている。光ファイバ挿入穴9は他のフェルール2と突き合わされる接合端面8に開口し、前記裸ファイバ7は該接合端面8と面一に精密に位置決めされている。ガイドピン穴5は光ファイバ挿入穴9に対する相対位置および平行度が極めて精密であり、精密な円筒側面を有する金属製ガイドピン4を一対のフェルール2の対向させた両接合端面8のガイドピン穴5、5間に架け渡すようにして挿入することで、両フェルール2の接合端面8に露出する裸ファイバ7同士が精密に位置決めされる。そして、両フェルール2の接合端面8同士を当接させた後、両フェルール2の後端面10間にクランプスプリング6を嵌込むと、該クランプスプリング6のバネ力によって接合端面8間の圧接状態が維持され、突き合わせられた裸ファイバ7間に所望の接続損失が安定に確保されるようになっている。
【0003】
ところで、前記MT形光コネクタは、クランプスプリング6の着脱に専用の治具を必要とするため、作業性に不満があり、接続や接続切替等の作業を簡便に行うことができる光コネクタの開発が求められていた。また、フェルール2がむき出しになることを防止するために、キャップ等の保護手段を設ける必要があり、扱いが面倒であるといった不満があった。
【0004】
前記問題に鑑みて、近年では、いわゆるMPOコネクタ(JIS C 5981等に制定される光コネクタフェルールをハウジング内部に収納した構造の光コネクタ)が提供されている。図11および図12は前記MPOコネクタ11を示す。図12において、このMPOコネクタ11は、MT形光コネクタのフェルール2および該フェルール2の後端部(図12右側)に突出させたガイドピン4をクランプするピンクランプ12を筒状のハウジング13に内装支持し、該ハウジング13の後端部を筒状のカップリング14に内装支持し、カップリング14内に突き合わせ力発生用のスプリング15を収容した構成になっている。フェルール2はハウジング13内を前後(図12左右)方向に移動可能であり、ハウジング13は別途設置されたハウジング用スプリング16によって前方に付勢されており、フェルール2がMPOコネクタ11の奥方に押し込まれた際にハウジング13がフェルール2に従動せずにMPOコネクタ11の先端位置にあれば、ハウジング13内側にフェルール2全体が入り込んで保護される。ハウジング13は側部に突設した係合突起13aが光コネクタアダプタ17等の受け側のハウジングと係脱可能に係合することで、該受け側のハウジングに差し込んだMPOコネクタ11の差し込み状態を維持する。
【0005】
前記MPOコネクタ11によれば、受け側のハウジングに対して挿抜するだけで、光ファイバ1同士の接続や接続切替等を簡便に行うことができる。また、フェルール2をハウジング13内に収容保護する構造になっているので、フェルール2の保護手段を別途講じる必要が無い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のようなMPOコネクタ11は、部品点数が多く構成が複雑であるため組み立てに手間がかかり、コストも高いといった不満があった。また、図12に示すMT形光コネクタに比べてかなり大型になるので、装置に高密度に実装するには不向きであり、実装密度の向上に限界があった。また、専用のアダプタ17を装置に実装した場合、アダプタ17が深くなるため、フェルール2の接合端面8の清掃に手間がかかるといった不満があった。このため、このMPOコネクタ11では前記MT形光コネクタの有する問題点の根本的な解決に至らなかった。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、部品点数が少なく構成が単純で組み立てが容易であり、しかも光ファイバ同士の接続や接続切替等の作業を簡便に行うことができる低コストの光コネクタを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の構成を採用した。すなわち、請求項1記載の光コネクタでは、光ファイバ先端を内装固定して突き合わせ接続可能に成端するMT形光フェルールを挟み込む二つ割り状のハウジングに、MT形光フェルールの少なくとも一部を内装する凹部と、該凹部に内装したMT形光フェルールの回転方向の変位を許容する拡張部と、凹部に内装したMT形光フェルールの別のMT形光フェルールと接合される接合端面と対向する後方に臨む当接面が当接されることによりMT形光フェルールの後方への移動を規制する支圧壁と、接合の相手側のMT形光フェルールを内装するハウジングと係脱可能に係合して突き合わせ接合した接合端面間の離間を規制する係合手段と、凹部に内装したMT形光フェルールを接合端面方向に付勢する付勢手段と、を備えてなり、ハウジング外面に凹部の開口部を開口して該凹部に内装したMT形光フェルールの接合端面をハウジング外方に臨ませ、接合の相手側のMT形光フェルールの接合端面と接合可能としたことを特徴とする光コネクタを前記課題の解決手段とした。
【0009】
本発明の光コネクタを適用する光ファイバは多心用のMT形光コネクタのフェルールをハウジングに挟み込む構造を採用する。また、本発明は、ハウジング内に多心用のフェルールを複数挟み込む構成も採用可能である。MT形光コネクタのフェルールを挟み込む構成では、該フェルールのガイドピンおよびガイドピン穴により、接合するフェルール間の位置決めを行う。調心手段としては、調心スリーブや調心溝等の採用が可能である。当接面としては、MT形光フェルールの後端面等を適用する。また、MT形光フェルールに突設した突起等のMT形光フェルール後方に臨む面を当接面として支圧壁と当接させる構成も採用可能である。係合手段としては、ハウジングから突設した爪等を適用する。凹部に内装保持したMT形光フェルールの接合端面の位置は、凹部の内外のいずれにあっても良い。雌形光コネクタプラグや光コネクタアダプタでは接合端面を開口部内方に位置させ、雄形光コネクタプラグでは開口部外側に位置させる。ハウジングは扁平に形成することが好ましく、この場合、扁平に形成したハウジングに表裏を判別するための判別手段を設けることが好ましい。この構成によれば、例えば、接合端面を傾斜研磨したMT形光フェルールを内装した場合に、接合端面の傾斜方向を簡便に知ることができる。
また、付勢手段は、MT形光フェルール同士の接合時の突き合わせ力を付与するものであり、コイルバネ、板バネ、弾性体等の採用が可能である。この光コネクタでは、MT形光フェルールの凹部内外方向への進退動を許容する構造のハウジングを採用する。
【0010】
請求項2記載の発明では、凹部に内装したMT形光フェルールの当接面に装着されて、接合の相手側のMT形光フェルールとの位置合わせを行うガイドピンを保持するピンホルダ(49)を備えることを前記課題の解決手段とした。
【0011】
請求項3記載の発明では、ハウジングの側壁部に、凹部の開口部から奥側に延在するスリットを開口したことを前記課題の解決手段とした。前記スリットとしては、MT形光フェルール接合端面を清掃する清掃具(綿棒等)の挿入が可能な形状であることが好ましい。
請求項4記載の発明では、請求項1から請求項3の光コネクタを複数積層すると共に、これらを一体化して保持する保持手段(52)を備えたことを特徴とする光コネクタ積層体を前記課題の解決手段とした。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の光コネクタの実施形態を図1から図8を参照して説明する。図1において、符号20は本発明の光コネクタの第1実施形態である光コネクタ(雌形コネクタ)、21は第2実施形態である光コネクタ(雄形コネクタ)である。
【0013】
光コネクタ20は、光ファイバ1(テープ心線)先端を内装固定して突き合わせ接続可能に成端するフェルール2(図10に示すMT形光コネクタプラグ)を、二つ割り状のハウジング24に挟み込む構造になっている。ハウジング24は、フェルール2の少なくとも一部が嵌込まれる凹部25と、該凹部25に嵌込んだフェルール2の接合端面8と対向する後方(図1右上奥)に臨む当接面10(後端面)が当接されることによりフェルール2の後方への移動を規制する支圧壁28と、雄形の光コネクタ21のハウジング29と係脱可能に係合して突き合わせ接合した接合端面8、8間の離間を規制する係合手段30(爪)とを備えている。
【0014】
ハウジング24は、樹脂等の軽量かつ充分な剛性を有する材料によって形成された細長薄板状の2枚の分割体31をネジ32で一体化固定する構造になっている。なお、ハウジング24の一体化手段はネジ32に限定されず、例えば、両分割体31に貫通させたピンに弾性留め具を係脱可能に取り付ける構造等も採用可能である。これにより、ハウジング24の開閉が簡便になり、フェルール2の交換等の作業性を向上することができる。
図2および図3に示すように、凹部25は、フェルール2のフランジ部33を収容するフランジ部収容部34と、ハウジング24外面に開口する開口部35とを有している。フランジ部収容部34はフランジ部33よりやや大きい幅寸法L1および軸方向寸法L2を有し、内部でのフランジ部33の変位を僅かながら許容している。フェルール2は接合端面8を凹部開口部35外方に臨ませ、フランジ部33をフランジ部収容部34に嵌め込むようにして凹部25に収容される。図3において各分割体31の凹部25はフェルール2の厚さ方向(図3上下)半分程度を収納する深さであり、両分割体31を一体化すると内装したフェルール2と摺接して開口部35内外方向への変位を許容する内面形状を形成する。また、図2に示すように、フランジ部収容部34の四隅には外側に拡がる拡張部25aを有し、この拡張部25aによってフェルール2の回転方向の変位を許容している。これにより、フェルール2同士の接合時の突き合わせ力が接合端面8の左右(図2上下)のいずれかに偏在した場合に、フェルール2の回転によって局所への応力集中を回避して、接合端面8の損傷を回避する。
図1に示すように、凹部開口部35には係合手段30が設けられ、該開口部35に挿入した雄形光コネクタ21のハウジング29の側部の係合手段39(爪)に係合手段30と係合することで、光コネクタ21の抜けを規制する。
なお、ハウジング24は図示した形状に限定されず、例えば、一方の分割体の凹部にフェルール2を収容する深さを与え、他方の分割体がフラットな蓋状である構成も採用可能である。
【0015】
図2および図3において、支圧壁28は、光コネクタ20の後端部(図2右側、図3右側)のハウジング24外壁であり、中央部に凹部25の内外に連通する光ファイバ挿通溝36が形成され、この光ファイバ挿通溝36の両側には、フェルール2を接合端面8方向に付勢する付勢手段37(コイルバネ)を収納するための付勢手段収納溝38が形成される。
各分割体31には、凹部開口部35から奥側(フランジ部収容部34)に延在するスリット31aが形成される。このスリット31aは、接合端面8の清掃具(綿棒等)を凹部25内に挿入するためのものであり、光コネクタ20を分解することなく凹部25内に収容したフェルール2の接合端面8を清掃することを可能にする。
【0016】
図1に示すように、光コネクタ21は、樹脂等の軽量かつ充分な剛性を有する材料によって形成された二つ割り状のハウジング29にフェルール2のフランジ部33を挟み込んで、接合端面8を光コネクタ20の凹部開口部35に挿入される先端部(図1右上奥)より外側に位置させる構成になっている。ハウジング29は薄板状の2枚の分割体40からなり、これら分割体40を一体化した際に、両分割体40の先端部に形成した凹部41に収容したフランジ部33を挟み込んで固定する。図4および図5に示すように、凹部41に収容したフェルール2は、該凹部41に開口した嵌合穴42にフランジ部33を嵌込んで固定されるので、容易には位置ずれが生じないようになっている。凹部41の後部(図4左側、図5左側)には、フェルール2の後部から突出するブーツ3を収容するブーツ収容部44が形成され、さらにブーツ収容部44の両側にはフェルール2の当接面10(後端面)が当接されることによりフェルール2の後方への移動を防止する支圧壁45が形成される。支圧壁45には光ファイバ1を挿通するための光ファイバ挿通溝46が形成される。支圧壁45の両側にはツマミ47が突設され、各ツマミ47の外側には係合手段39が突設されている。このツマミ47は、図4中符号48の隙間の範囲で変形可能であり、光コネクタ20の凹部開口部35に差し込んだ後に両側から互いに接近する方向に変形させることで、係合手段30、39同士の係合を解除して凹部開口部35からの光コネクタ21の引き抜きを可能にする。
図1において、光コネクタ21は二つの分割体40を一体化状態に固定する部品は不要であり、先端部を光コネクタ20の凹部開口部35に差し込むだけで、差し込み状態が保持される。なお、光コネクタ21には別途分割体40の一体化手段を設けることも可能である。一体化手段の部品としては、バネ等からなるクランプ部材や、ネジ等を利用した固定部材を適用する。
【0017】
図6は、雄形光コネクタの別態様を示す。
図6において、光コネクタ100(雄形光コネクタプラグ)は、樹脂等の軽量かつ充分な剛性を有する材料によって形成された細長薄板状のハウジング101の長手方向一端部に、フェルール2のほぼ全体を収納する凹部102を形成し、該凹部102の近傍のハウジング101の幅方向(長手方向に垂直の方向)両側から、ハウジング101の長手方向に沿って他端部103近傍まで延在する弾性ツマミ104を突設している。両弾性ツマミ104には、光コネクタ100を雌側の光コネクタ20に差し込んだ際に係合手段30と係合する係合手段(爪)105を突設している。なお、弾性ツマミ104は、ハウジング101の他端部103との間に介在した隙間106の範囲内で弾性変形可能であり、それぞれハウジング他端部103に接近する方向に変形させると係合手段105も移動するので、これにより、雌形光コネクタ20側の係合手段30と係合した係合手段105の係合状態を解除することができる。
凹部102は雌形光コネクタ20に差し込む方向(ハウジング101の長手方向先端先端方向、図6左上奥)が開放されており、この開口部分から接合端面8近傍がハウジング101外方に突出した状態にフェルール2を収納支持する。また凹部102に臨む後部壁(図6中左下側手前。ハウジング101の長手方向他端部側)は、フェルール2の後部当接面10が当接される支圧壁107として機能し、該フェルール2を相手側のフェルール2との突き合わせた時の反力を確保する。支圧壁107には、凹部102に収納したフェルール2が成端する光ファイバ1やブーツ3を挿通するための光ファイバ溝108が開口される。
この光コネクタ100によれば、全体が1部品により形成されるので、極めて低コスト化することが可能である。また、全体が1部品であることから、例えば、図1記載の光コネクタ21のように2部品からなる光コネクタ21よりも、凹部102に高い形成精度を得ることができ、フェルール2が凹部102内の定位置に収まっていれば正確に位置決めすることができる。
なお、この光コネクタ100では、雌形光コネクタ20に差し込むと該雌形光コネクタ20のハウジング24によってフェルール2が凹部102内に押さえられるようになっているので、別途押さえ用の部材を用意する必要は無い。
【0018】
図7は、ピンホルダ49を示す。このピンホルダ49は、光コネクタ20側の凹部25に内装するフェルール2の当接面10に装着することで、フェルール2のガイドピン穴5に対応する二つのピン保持穴50内に該ガイドピン穴5に挿入したガイドピン4の端部を保持して引き抜き抵抗を与え、光コネクタ20の凹部開口部35に対する光コネクタ21の挿抜時にガイドピン4が移動することを防止する。
なお、本実施形態では、ピンホルダ49を装着したフェルール2を光コネクタ20のみに内装する構成を示したが、凹部41を拡張すれば光コネクタ21に内装することも可能である。
【0019】
前記光コネクタ20によれば、分割体31を一体化するだけで、ハウジング24内にフェルール2を挟み込むことができ、組み立てが極めて簡便である。しかも、図11および図12に示すMPOコネクタ11に比べて部品点数が極めて少なく、低コスト化することができる。また、光コネクタ20は極めて小型にすることができるので、装置に高密度に実装することが可能であり、装置の多心化に対応することができ、しかも、スリット31aの存在により、実装後のフェルール接合端面8の清掃が容易である。また、フェルール2を凹部25に内装する構造になっているから、別途保護手段を設ける必要は無い。また、光コネクタ20では、光コネクタ21を凹部開口部25に挿抜するだけでフェルール2同士の接合および接合解除がなされるので、光ファイバ1同士の接続や接続切替等の作業性が向上する。なお、光コネクタ20は、ハウジング24の形状を調整するだけで、光コネクタ21以外の各種構造の光コネクタプラグの差し込みが可能であるとともに、光コネクタアダプタ等のハウジングへ差し込む光コネクタプラグとしても利用が可能である。
【0020】
光コネクタ21によれば、光コネクタ20よりさらに部品点数が少なく構造が単純であるので、組み立て作業性の向上や低コスト化といった効果が一層顕著に得られる。図1に示した光コネクタ21では、フェルール接合端面8はハウジング29の外方に位置するので、該接合端面8の清掃は容易である。また、フェルール2のフランジ部33およびその近傍を凹部41内に内装保護する構造であるので、別途保護手段を設ける必要は無い。
また、光コネクタ21は、雌形光コネクタ20以外の各種構造のハウジングへの差し込みが可能である。但し、この場合、接合するフェルール2間に突き合わせ力を与える付勢手段を光コネクタ21またはハウジング側に組み込む必要がある。
【0021】
光コネクタ20、21は共に扁平であるので、図8に示すように、表裏を判別するための印51等の判別手段を設けると、接合端面8に斜め研磨を施したフェルール2を内装した場合に接合端面8の傾斜方向の判別が容易になり、接合端面8同士の接合作業性が向上する。
【0022】
また、図9に示すように、光コネクタ20を複数積層すると、相手側のハウジングに一括して挿抜することが容易である。この際、積層した複数枚の光コネクタ20を保持手段52により保持することで、作業性を向上することができる。保持手段52としては、図9に示すクランプバネの他、分割体31、31を一体化するネジ32に長いものを用いて複数枚の光コネクタ20を一括固定する構造等の適用が可能である。さらに、隣接する光コネクタ20間の互いに当接する分割体31、31を共用の一枚の分割体に置換することも可能であり、これにより、光コネクタ20の実装密度を一層向上することができる。
なお、光コネクタ20を複数積層した場合であっても、各光コネクタ20のスリット31aをほぼ揃えておくことで、スリット31aを利用した接合端面8の清掃が可能である。
光コネクタ21についても、同様に、複数積層して適合形状に形成した保持手段52で一体化することで、相手側のハウジングに一括して挿抜することが可能になる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の光コネクタによれば、光ファイバ先端を内装固定して突き合わせ接続可能に成端するMT形光フェルールを、二つ割り状のハウジングに挟み込む構造により、以下のような優れた効果を奏する。(1)ハウジングを一体化してMT形光フェルールを挟み込むだけで、短時間で組み立てることができる。(2)部品点数が極めて少なくて済み、低コスト化することができる。(3)小型化が容易であるので、装置に高密度に実装することが可能であり、装置の多心化に対応することができる。(4)係脱可能な係合手段の設置により、相手側のハウジングに挿抜するだけで、光ファイバ同士の接続や接続切替等の作業を簡便に行うことができる。(5)MT形光フェルールをハウジング内に内装保護する構造になっているから、別途保護手段を設ける必要が無い。
また、拡張部を設けたので、MT形光フェルール同士の接合時の突き合わせ力が接合端面の左右のいずれかに偏在した場合に、MT形光フェルールの回転によって局所への応力集中を回避して、接合端面の損傷を回避できる。
また、凹部に収容したMT形光フェルールを接合端面方向に付勢する付勢手段をハウジングに内装したことにより、接合したMT形光フェルール間に突き合わせ力を付与する手段を別途設置する必要が無く、相手側のハウジングに挿抜するだけで、突き合わせ接続した光ファイバ間に目的の接続損失が確実に得られるといった優れた効果を奏する。
【0029】
請求項2記載の光コネクタによれば、ピンホルダを、光コネクタ側の凹部に内装するMT形光フェルールの当接面に装着することで、MT形光フェルールのガイドピン穴に対応する二つのピン保持穴内に該ガイドピン穴に挿入したガイドピンの端部を保持して引き抜き抵抗を与え、光コネクタの凹部開口部に対する光コネクタの挿抜時にガイドピンが移動することが防止される。
【0030】
請求項3記載の光コネクタによれば、ハウジングの側壁部に、凹部の開口部から奥側に延在するスリットを開口したので、スリットに清掃具を差し込むことで、光コネクタを分解すること無くMT形光フェルール接合端面の清掃を行うことができ、光ファイバ同士の接続時に目的の接続損失が確実に得られるといった優れた効果を奏する。
請求項4記載の光コネクタによれば、光コネクタを相手側のハウジングに一括して挿抜することが容易となる。また、その作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光コネクタの第1、第2実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】 図1に示す雌形光コネクタのハウジングを構成する分割体を示す平面図である。
【図3】 図1に示す雌形光コネクタのハウジングを構成する分割体を示す正断面図である。
【図4】 図1に示す雄形光コネクタのハウジングを構成する分割体を示す平面図である。
【図5】 図1に示す雄形光コネクタのハウジングを構成する分割体を示す正断面図である。
【図6】 雄形光コネクタの別態様を示す斜視図である。
【図7】 フェルールの当接面に装着するピンホルダを示す斜視図である。
【図8】 図1の光コネクタの別態様を示す図であって、接合端面が斜め研磨されたフェルールを内装した光コネクタを示す分解斜視図である。
【図9】 図1の光コネクタの作用を示す図であって、光コネクタの積層状態および該積層状態の保持手段を示す斜視図である。
【図10】 従来例の光コネクタを示す図であって、MT形光コネクタを示す分解斜視図である。
【図11】 従来例の光コネクタを示す図であって、MPOコネクタを示す斜視図である。
【図12】 図11のMPOコネクタの正断面図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ(テープ心線)、2…フェルール(MT形光コネクタプラグ)、8…接合端面、10…当接面(後端面)、20…光コネクタ(雌形光コネクタプラグ)、21…光コネクタ(雄形光コネクタプラグ)、24…ハウジング、25…凹部、28…支圧壁、29…ハウジング、30…係合手段(爪)、31a…スリット、35…開口部、37…付勢手段(コイルバネ)、39…係合手段(爪)、41…凹部、45…支圧壁、100…光コネクタ(雄形光コネクタプラグ)、101…ハウジング、102…凹部、105…係合手段(爪)、107…支圧壁。
Claims (4)
- 光ファイバ(1)先端を内装固定して突き合わせ接続可能に成端するMT形光フェルール(2)を挟み込む二つ割り状のハウジング(24、29、101)に、
MT形光フェルールの少なくとも一部を内装する凹部(25、41、102)と、
該凹部に内装したMT形光フェルールの回転方向の変位を許容する拡張部(25a)と、
凹部に内装したMT形光フェルールの別のMT形光フェルールと接合される接合端面(8)と対向する後方に臨む当接面(10)が当接されることによりMT形光フェルールの後方への移動を規制する支圧壁(28、45、107)と、
接合の相手側のMT形光フェルールを内装するハウジングと係脱可能に係合して突き合わせ接合した接合端面間の離間を規制する係合手段(30、39、105)と、
凹部に内装したMT形光フェルールを接合端面方向に付勢する付勢手段(37)と、
を備えてなり、
ハウジング外面に凹部の開口部(35)を開口して該凹部に内装したMT形光フェルールの接合端面をハウジング外方に臨ませ、接合の相手側のMT形光フェルールの接合端面と接合可能としたことを特徴とする光コネクタ(20、21、100)。 - 凹部に内装したMT形光フェルールの当接面に装着されて、接合の相手側のMT形光フェルールとの位置合わせを行うガイドピン(4)を保持するピンホルダ(49)を備えることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
- ハウジングの側壁部に、凹部の開口部から奥側に延在するスリット(31a、72)を開口したことを特徴とする請求項1または2記載の光コネクタ。
- 請求項1から請求項3の光コネクタを複数積層すると共に、これらを一体化して保持する保持手段(52)を備えたことを特徴とする光コネクタ積層体。
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