JP3704765B2 - 積層フィルムの製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層フィルムの製法に関するものである。さらに詳しくは、プラスチック基材及び押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂からなる積層フィルムの製法であって、アンカーコート剤を使用することなく、強固に接着された積層フィルムを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック、紙、金属箔などの異種材料のフィルム状成形物を貼り合わせて単独では有し得ない特性、例えば強度、ガスバリヤー性、防湿性、ヒートシール性、外観などを補った積層フィルムを製造することは一般に行われており、こうして得られる製品は、主に包装材料などに広く使用されている。
このような積層フィルムを製造する方法としては、例えばドライラミネーション法、ウェットラミネーション法、ホットラミネーション法、押出ラミネーション法などがあり、これらはその特徴に応じて適用されている。包装材料などにおいて、基材にヒートシール層を形成する方法としては、コスト面で有利さをもつ押出ラミネーション法が広く用いられている。
【0003】
押出ラミネーション法でコーティングされるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン系共重合体、アイオノマー樹脂などが用いられるのが一般的であり、1層あるいは2層以上が押出コーティングされる。中でもポリエチレンは広範かつ多量に使用されている。
【0004】
これらの樹脂は、基材との接着性を促進するために、予め基材上にアンカーコート剤を塗布した後、その基材との接着面に溶融押出しされるのが一般的である。
ポリエチレン系樹脂をプラスチック基材に押出ラミネートする場合、アンカーコート処理を行わないと層間接着が不十分となるため、得られた積層フィルムは品質上問題を有する。アンカーコート剤としては、例えば有機チタネート系、有機イソシアネート系、ポリエチレンイミン系などの接着剤が用いられている。これらの接着剤は、通常トルエン、酢酸エチル、メタノール、ヘキサン等の有機溶剤で希釈して用いられている。
【0005】
しかしながら、アンカーコート剤を用いるこれらの方法は、高価なアンカーコート剤を使用することによる製造コストの上昇や、アンカーコート剤の塗布及び乾燥という煩雑な工程を必要とすること、有機溶剤を使用することにより作業環境及び周辺環境が汚染されること、引火性の有機溶剤の使用に伴う火災発生の危険性を有すること、さらに、有機溶剤などのアンカーコート剤成分が最終製品である積層フィルムに残留して臭気の原因になることなど、コスト、作業性、安全衛生面、品質面で多くの問題を有している。
【0006】
また、アンカーコート剤を用いない方法として、(a)エチレンと、(b)不飽和他塩基酸と、(c)アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステル、ビニルエステルより選ばれた不飽和単量体を共重合して得られたエチレン系共重合体を溶融混練し、150〜330℃の温度でフィルム状に押出し、ついで該フィルムをオゾン処理した後、このオゾン処理面を接着面として基材に圧着ラミネートして積層体を製造する方法が報告されている(特開平4ー368845号公報)。
しかし、これら不飽和多塩基酸をコモノマー成分に用いた接着性の機能をもつエチレン系共重合体を用いる方法では、製造コストの面、及び、低融点成分の増加に伴い、押出ラミネート加工時のロールリリース性が劣るため加工温度などに制約を受けるばかりでなく、押出機内の樹脂替えなどの煩雑さを伴い好ましくない。
【0007】
さらに、エチレン−α−オレフィン共重合体を、公知のオゾン処理機を用い、基材との接着面をオゾン処理し、基材上にアンカーコート剤を塗布することなく圧着ラミネートして積層体が製造される方法や、不飽和カルボン酸などをポリオレフィン系樹脂にグラフト変性した接着性樹脂を用い、共押出ラミネート装置との組合せで基材にノーアンカーで圧着ラミネートして積層体を製造する方法が報告されている(コンバーテック(8)、第36頁、1991年)。
しかし、これらの方法で得られた積層フィルムの基材とラミネート樹脂との接着強度は十分とはいえず、その適用範囲は制約を受ける。更に、不飽和カルボン酸等をポリオレフィン系樹脂にグラフト変性した接着性樹脂を用いる方法では、共押出装置が必要なこと及び製造コストが増大するばかりでなく、押出機の樹脂替え等の煩雑さを伴い好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
かかる事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、プラスチック基材及び押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂からなる積層フィルムの製法であって、積層フィルム製造の際に、上記のような多くの問題を伴うアンカーコート剤を使用することなく、かつ、強固に層間接着された積層フィルムを得ることができる方法を提供する点に存するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために、プラスチック基材に対するアンカーコート剤を使用しない押出ラミネート方法について鋭意検討した結果、該プラスチック基材に押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂を押出コーティングする際に、アンカーコート剤を使用せずとも、特定の加工工程を含むことで強固に層間接着した積層フィルムが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、プラスチック基材及び押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂からなる積層フィルムの製法であって、下記(1)〜(3)の工程を含み、かつ、アンカーコート剤を使用せず、下記工程(2)で溶融押出され、プラスチック基材に押出ラミネートされたポリエチレン系樹脂層のフィルム表面について、下記式で表される関係が成立する積層フィルムの製法を提供するものである。
(O/C)≧0.008
ただし、(O/C)はESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。
工程:
(1)プラスチック基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施す工程。
(2)押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂をダイ直下樹脂温度320〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出する工程。
(3)上記工程(2)で溶融押出されたフィルムと、上記工程(1)で得られたプラスチック基材の表面酸化処理面とを接触させ、該フィルムと該プラスチック基材を圧着する工程であって、圧着に付すプラスチック基材の表面酸化処理面について、下記式で表される関係が成立する工程。
(a)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
Δ(O/C)≧0.08
(b)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
Δ(O/C)≧0.05
ただし、Δ(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は表面酸化処理を行わない面のプラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表し、(O/C)*は表面酸化処理を行った面のプラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子比を表す。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるプラスチック基材としては、例えばナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン系樹脂、セロハン、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、フッソ樹脂、ポリアクリルニトリル、ポリブテン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂などの樹脂の単体及びこれらの積層フィルム、更にその延伸物、塗工物、織物が挙げられる。
また、本発明に用いるプラスチック基材としては、例えば更にこれらプラスチック基材とアルミニウム、鉄、紙などとの貼合品であって、これら樹脂及びエチレン系樹脂を接合面に設けた積層体などが挙げられる。
【0012】
これらプラスチック基材は、必要に応じて予めその表面がコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理が施されているもの、また、予め印刷が施されているものでもよい。
プラスチック基材の肉厚は、押出ラミネート加工が可能であれば特に制約を受けるものではないが、好ましくは1〜300μ、更に好ましくは5〜250μの範囲がよい。
【0013】
本発明に用いる押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂としては、例えば高圧ラジカル重合法で製造される低密度ポリエチレン、イオン重合法で製造される高密度ポリエチレン、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体、またはそれらの混合物等が挙げられる。また、他の樹脂を50%未満の範囲で混合してもよい。
【0014】
尚、得られる積層フィルムの偏肉を防止するための加工適性上の観点から、押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂の190℃、2.16kg荷重の条件下におけるメルトフローレート(MFR)は、1〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0015】
また、本発明で用いる押出ラミネート用樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤、例えば、抗酸化剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、中和剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、顔料、有機または無機の充填剤などを併用してもよい。
【0016】
本発明の積層フィルムの製法は、下記(1)〜(3)の工程が必須工程であり、かつアンカーコート処理を行わずに、強固に層間接着した積層フィルムが得られる。
(1)プラスチック基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施す工程。
(2)押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂をダイ直下樹脂温度320〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出する工程。
(3)上記工程(2)で溶融押出されたフィルムと、上記工程(1)で得られたプラスチック基材の表面酸化処理面とを接触させ、該フィルムと該プラスチック基材を圧着する工程であって、圧着に付すプラスチック基材の表面酸化処理面について、下記式で表される関係が成立する工程。
(a)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
Δ(O/C)≧0.08
(b)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
Δ(O/C)≧0.05
ただし、Δ(O/C)=(O/C)* −(O/C)0 であり、ここで(O/C)0 は表面酸化処理を行わない面のプラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表し、(O/C)* は表面酸化処理を行った面のプラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子比を表す。
【0017】
(1)プラスチック基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施す工程において、表面酸化処理は、プラスチック基材の接着面に一定レベル以上の酸化活性化点を発生させるため、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、フレームプラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理等の公知の方法により行うことができる。
【0018】
コロナ放電処理は、例えば公知のコロナ放電処理機を用い、発生させたコロナ雰囲気にプラスチック基材を通過させることにより行われる。ここで、層間接着強度を高水準に維持するという観点からは、コロナ放電密度は、通常10W・分/m2 以上、好ましくは40W・分/m2 以上、更に好ましくは50W・分/m2 以上である。コロナ放電密度の上限は特に限定されないが、経済性の観点から通常300W・分/m2 以下が好ましい。
【0019】
プラズマ処理は、例えばアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、水素、窒素、空気などの単体または混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスを、プラスチック基材の表面に吹付けることにより実施できる。
【0020】
フレームプラズマ処理は、天然ガスやプロパンを燃焼させた時に生じる火炎内のイオン化したプラズマを、プラスチック基材の表面に吹付けることにより実施できる。
【0021】
電子線照射処理は、プラスチック基材の表面に、電子線加速器により発生させた電子線を照射することにより行われる。電子線照射装置としては、例えば線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置「エレクトロカーテン」(商品名)を使用することができる。
【0022】
紫外線照射処理は、例えば200〜400mμの波長の紫外線を、プラスチック基材の表面に照射することにより実施できる。
【0023】
また、市販のプラスチック基材には、表面への印刷性の改良のため、コロナ放電処理などの表面酸化処理が施されているものもあるが、かかる市販品について、本発明の表面酸化処理を実施することなく用いた場合には、得られた積層フィルムの層間接着が十分でないことがある。
【0024】
(2)押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂をフィルム状に溶融押出する工程において、該樹脂のダイ直下樹脂温度は320〜340℃、好ましくは325〜335℃である。該温度が320℃未満では、溶融押出された押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂フィルムの表面酸化が不足して、表面酸化処理後のプラスチック基材表面との界面結合力が乏しくなり、十分な層間接着が得られないため好ましくない。一方、340℃を越えると、溶融樹脂の著しい劣化が生じることや、溶融膜表面の酸化が多くなり過ぎて、得られた積層フィルムのヒートシール性や臭気が悪化するため好ましくない。
【0025】
ここで、強固な層間接着を得るためには、プラスチック基材に押出ラミネートされるポリエチレン系樹脂層のフィルム表面が適度に酸化されていることが必要であるが、目安として下記式で表される関係が成立することが好ましい。
(O/C)≧0.008
より好ましくは、
(O/C)≧0.010
更に好ましくは、
(O/C)≧0.012
ただし、(O/C)はESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。
【0026】
尚、(O/C)の値は、プラスチック基材に積層された押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂の基材との接着面についての値であるが、積層後の測定が困難である場合は、次の方法で得られた値を代用することもできる。すなわち、本発明の押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂をプラスチック基材上に押出ラミネートする際に、少なくともエアギャップ間においてダイから溶融押出されたフィルム状の該樹脂の両面の雰囲気が同じ状態で押出ラミネートした後、得られた積層フィルムの押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂側の表面ついて測定を行う。ただし、貼合後、測定までの経過時間は3日以内が好ましい。
【0027】
ここで、ESCAとはElectron Spectroscopy forChemical Analysisを意味し、(O/C)は次の通り求める。即ち、O1S及びC1Sのそれぞれのピーク強度面積に各ピークの相対感度をかけた値の比から酸素と炭素の存在比(O/C)を求める(詳細は、例えば筏 義人編、「高分子表面の基礎と応用(上)」、化学同人発行、1986年、第4章参照。)。
【0028】
(3)工程(2)で溶融押出されたフィルムと、工程(1)で得られたプラスチック基材の表面酸化処理面とを接触させ、該フィルムと該プラスチック基材を圧着する工程において、圧着工程は、公知の押出ラミネーターを使用でき、例えば、冷却ロールとニップロールの間で圧着することを含む。
【0029】
このとき、工程(3)に付すプラスチック基材の表面酸化処理面について、下記式で表される関係が成立することが必要である。
(a)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
Δ(O/C)≧0.08
(b)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
Δ(O/C)≧0.05
また、好ましくは、下記式の通りである。
(a)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
Δ(O/C)≧0.10
(b)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
Δ(O/C)≧0.07
ただし、Δ(O/C)=(O/C)* −(O/C)0 であり、ここで(O/C)0 は表面酸化処理を行っていない面のプラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表し、(O/C)* は本発明の表面酸化処理を行った面のプラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子比を表す。
【0030】
ここで、プラスチック基材の(O/C)0 の定義について説明する。
一般に市販のプラスチック基材は、印刷インキとの接着性や他の積層材料との積層工程で用いられる接着剤との接着性を付与するため、基材製造メーカーで少なくとも片面にコロナ放電処理などの表面酸化処理が既に施されている場合が多い。本発明において(O/C)0 は、このような基材メーカーにおけるコロナ放電処理等を含む一切の表面酸化処理が施されていないプラスチック基材の、本発明の表面酸化処理を施す面(以下、被ラミネート表面と称す)について求めることを原則とする。ただし、被ラミネート表面について直接(O/C)0 の測定が困難な場合は、表面酸化処理が施されていないこと以外は同様に製造されたプラスチック基材表面について求めた値を代用できる。
【0031】
例えば、表面酸化処理が片面のみに施されたプラスチック基材を用いる場合、被ラミネート表面が未処理面のときは該未処理面について行えばよいが、被ラミネート表面に表面酸化処理が施されているときでも、その反対面である表面酸化処理が施されていない面についてESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を、該プラスチック基材の(O/C)0 とすることができる。
また、表面酸化処理が両面に施されたプラスチック基材を用いる場合は、該プラスチック基材と同一製造メーカーであって、かつ同一組成の原料及び同一方法から製造される、少なくとも片面が表面酸化処理されていないプラスチック基材の、該処理が施されていない面についてESCA法により測定された酸素原子と炭素原子の各原子数の比を、該プラスチック基材の(O/C)0 とすることができる。
【0032】
さらに、プラスチック基材が二種類以上の異種材料から構成されている積層体(以下、プラスチック積層基材と称す。)を用いる場合も、(O/C)0 は上記と同様に定義される。
すなわち、プラスチック積層基材の場合であっても、本発明の表面酸化処理を施す面のプラスチック基材単体を取り上げて考える。
該プラスチック基材が表面酸化処理を片面にのみ施されたプラスチック基材である場合は、前述した通り、表面酸化処理が施されていない面についてESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を、該プラスチック積層基材の(O/C)0 とすることができる。
また、該プラスチック基材が表面酸化処理を両面に施されたプラスチック基材である場合は、前述と同様に、該プラスチック基材と同一製造メーカーであって、かつ、同一組成の原料及び同一方法から製造される、少なくとも片面が表面酸化処理されていないプラスチック基材の、該処理が施されていない面についてESCA法により測定された酸素原子と炭素原子の各原子数の比を、該プラスチック積層基材の(O/C)0 とすることができる。
【0033】
また、プラスチック基材、または紙、アルミニウム箔などのプラスチック以外の基材上に樹脂が押出ラミネーション法で積層された少なくとも二層以上からなるプラスチック積層基材の場合も、(O/C)0 は上記と同様に定義される。
すなわち、押出ラミネーション法によって成形された樹脂表面が被ラミネート表面となる場合は、本発明の表面酸化処理を施していない該樹脂表面についてESCA法により測定された酸素原子と炭素原子の各原子数の比を、該プラスチック積層基材の(O/C)0 とする。
【0034】
尚、(O/C)* は、本発明の押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂をプラスチック基材に押出ラミネートし、貼合後30分経過時の測定値である。ただし、実際の測定は、貼合しないプラスチック基材を別に準備しておき、その基材を貼合に付す基材と同様に表面酸化処理し、その表面について行った。
【0035】
Δ(O/C)値は、工程(1)の表面酸化処理により発生するプラスチック基材表面の酸化活性化点のレベルを示すものであり、表面酸化処理後は経時により低下する傾向にある。Δ(O/C)の値が過小な場合は、得られた積層フィルムの層間接着が十分に得られないため好ましくない。
【0036】
本発明においては、工程(1)の表面酸化処理工程をインラインに設け、表面酸化処理工程後のプラスチック基材を直ちに工程(3)の圧着工程に付すことが好ましい。すなわち、プラスチック基材の繰出し工程、表面酸化処理工程、圧着工程及び製品巻取り工程がプラスチック基材の流れの方向に沿って同一ライン上に順次設置された装置を用い、これらの工程を速やかに一連の作業で行うことが好ましい。このことにより、より高水準の層間接着が得られ、かつ、好ましくない基材フィルムのブロッキングが防止される。
【0037】
また本発明においては、積層フィルムの層間接着をより強固なものにさせる観点から、工程(3)の圧着工程の後に、圧着工程で得られる積層フィルムを、保温下、熟成する工程(4)を設けてもよい。熟成温度は通常30℃以上かつ50℃未満、好ましくは40〜45℃である。
【0038】
熟成時間は、通常1〜120時間、好ましくは10〜80時間である。熟成時間が短かすぎる場合は層間接着強度の改善が不十分であることがあり、一方長過ぎる場合は、得られた積層フィルムが変質することがあり、また生産性の点で不利である。
熟成工程を実施するには、通常のオーブンまたは温度調整が可能な部屋を用いればよい。
【0039】
また本発明においては、積層フィルムの層間接着をより強固なものにさせる観点から、工程(1)の表面処理工程の前に、表面酸化処理工程に付すべきプラスチック基材の表面温度を、通常40℃以上かつプラスチック基材の融点以下、好ましくは60℃以上かつプラスチック基材の融点より30℃低い温度以下で加熱する工程を含んでいてもよい。プラスチック基材の加熱は、遠赤外線ヒーターや加熱ロールなどを用いることにより行われる。例えば、プラスチック基材を工程(1)の表面酸化処理工程へ搬送する過程で、遠赤外線ヒーターの下を通過させればよい。
【0040】
本発明においては、プラスチック基材上に押出ラミネートしたポリエチレン系樹脂を積層フィルムのヒートシール層に適用することや、また積層フィルムの中間層に適用することもできる。また、本発明は、サンドイッチ押出ラミネーション法においても適用できる。
【0041】
本発明の製法で得られた積層フィルムは、例えば、食品包装、医薬品包装等の包装用材料や、工業用材料等に使用できる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で行う評価方法は下記の通りである。
(1)層間接着強度
巾15mm、長さ150mmに切出した積層フィルムの試験片を作製し、この試験片のプラスチック基材と押出ラミネート用樹脂の接着界面を長さ方向に50mmにわたって剥離した後、東洋精機(株)製オートストレイン型引張試験機を使用して、200mm/分の引張速度で180度剥離した時の剥離強度を測定し、層間接着強度を評価した。
【0043】
実施例1
プラスチック基材として東洋紡績(株)製二軸延伸ポリエステル(PET;E5100タイプ、25μ、巻内面コロナ処理有り)、押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂として住友化学工業(株)製スミカセンL716−H(高圧法低密度ポリエチレン[LDPE];MFR7g/10分、密度0.919g/cm3 )を用い、口径65mmφの押出機で該低密度ポリエチレンを溶融混練し、Tダイからダイ直下樹脂温度327℃、エアーギャップ160mm、フィルム巾400mm、コーティング層の厚み40μ、引取速度100m/分となる条件で溶融押出し、次いで該プラスチック基材の表面酸化処理として押出ラミネーターのインラインに設けたコロナ放電処理装置により該プラスチック基材巻内表面が82W・分/m2 となる条件でコロナ放電処理を施した該プラスチック基材の表面酸化処理面に押出コーティングを行い、次いで温度20℃の冷却ロールとニップロールの間を通過させることにより圧着し、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムはオーブンを用い、空気雰囲気下、40℃で48時間熟成させた。
加工条件及び得られた積層フィルムの層間接着強度を表1に示す。
【0044】
比較例1
コロナ放電処理を行わないこと以外は、実施例1と同様に行った。加工条件及び得られた積層フィルムの層間接着強度を表1に示す。
【0045】
比較例2
コロナ放電処理を行わないこと、及び、熟成処理を行わないこと以外は、実施例1と同様に行った。加工条件及び得られた積層フィルムの層間接着強度を表1に示す。
【0046】
比較例3
ダイ直下樹脂温度を305℃としたこと以外は、実施例1と同様に行った。加工条件及び得られた積層フィルムの層間接着強度を表1に示す。
【0047】
実施例2
プラスチック基材としてユニチカ(株)製二軸延伸ナイロン(ONy;エンブレムONタイプ、15μ、巻内面コロナ処理有り)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。加工条件及び得られた積層フィルムの層間接着強度を表2に示す。
【0048】
比較例4
コロナ放電処理を行わないこと以外は、実施例2と同様に行った。加工条件及び得られた積層フィルムの層間接着強度を表2に示す。
【0049】
比較例5
ダイ直下樹脂温度を305℃としたこと以外は、実施例2と同様に行った。加工条件及び得られた積層フィルムの層間接着強度を表2に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0003704765
【0051】
【表2】
Figure 0003704765
【0052】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の積層フィルムの製法は、特定の表面酸化処理工程、特定の溶融押出工程及び特定の圧着工程を含む押出ラミネート方法により、本来は相互に接着力のないプラスチック基材とポリエチレン系樹脂の組み合わせであるにも拘わらず、強固な層間接着を有する積層フィルムを得ることができる。
また、本発明の積層フィルムの製法は、アンカーコート剤を使用する必要がないため、コスト、作業性、安全衛生面、品質面等で優れている。

Claims (7)

  1. プラスチック基材及び押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂からなる積層フィルムの製法であって、下記(1)〜(3)の工程を含み、かつ、アンカーコート剤を使用せず、下記工程(2)で溶融押出され、プラスチック基材に押出ラミネートされたポリエチレン系樹脂層のフィルム表面について、下記式で表される関係が成立する積層フィルムの製法。
    (O/C)≧0.008
    ただし、(O/C)はESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。
    工程:
    (1)プラスチック基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施す工程。
    (2)押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂をダイ直下樹脂温度320〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出する工程。
    (3)上記工程(2)で溶融押出されたフィルムと、上記工程(1)で得られたプラスチック基材の表面酸化処理面とを接触させ、該フィルムと該プラスチック基材を圧着する工程であって、圧着に付すプラスチック基材の表面酸化処理面について、下記式で表される関係が成立する工程。
    (a)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
    Δ(O/C)≧0.08
    (b)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
    Δ(O/C)≧0.05
    ただし、Δ(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は表面酸化処理を行わない面のプラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表し、(O/C)*は表面酸化処理を行った面のプラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子比を表す。
  2. 工程(3)の圧着に付すプラスチック基材の表面酸化処理面について、下記式で表される関係が成立する請求項1記載の積層フィルムの製法。
    (a)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
    Δ(O/C)≧0.10
    (b)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
    Δ(O/C)≧0.07
  3. 工程(1)の表面酸化処理工程をインラインに設け、表面酸化処理工程後のプラスチック基材を直ちに工程(3)の圧着工程に付す工程を含む請求項1記載の積層フィルムの製法。
  4. 工程(3)の圧着工程の後に、下記工程(4)を有する請求項1記載の積層フィルムの製法。
    (4)圧着工程で得られる積層フィルムを、保温下、熟成する工程。
  5. 工程(4)の熟成工程における熟成温度が、30℃以上かつ50℃未満である請求項記載の積層フィルムの製法。
  6. 工程(1)の表面酸化処理が、コロナ放電密度40W・分/m 2 以上のコロナ放電処理である請求項1記載の積層フィルムの製法。
  7. 押出ラミネート用ポリエチレン系樹脂が、高圧法低密度ポリエチレンである請求項1記載の積層フィルムの製法。
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