JP3662046B2 - ガスバリヤー性積層フィルムの製造方法 - Google Patents

ガスバリヤー性積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ガスバリヤー性積層フィルムの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、塩化ビニリデン系樹脂をコート(以下、Kコートと称す)したガスバリヤー性プラスチック基材並びにポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種である押出ラミネート用樹脂からなるガスバリヤー性積層フィルムの製造方法であって、アンカーコート剤を使用することなく、Kコートプラスチック基材と押出ラミネート用樹脂とが強固に接着されたガスバリヤー積層フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック、紙、金属箔などの異種材料のフィルム状成形物を貼り合わせて単独では有し得ない特性、たとえば強度、ガスバリヤー性、防湿性、ヒートシール性、外観などを補った積層フィルムを製造することは一般に行われており、こうして得られる製品は主に包装材料などに広く使用されている。このような積層フィルムを製造する方法としては、ドライラミネーション法、ウエットラミネーション法、ホットラミネーション法、押出ラミネーション法、共押出ラミネーション法などがあり、これらはその特徴に応じて適用されている。包装材料などにおいて、基材にヒートシール層を形成する方法としては、コスト面で有利さをもつ押出ラミネーション法が広く用いられている。ヒートシール層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン系共重合体などのポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂などが用いられるのが一般的であるが、コストの点からポリオレフィン系樹脂が遙かに大量に用いられている。
【0003】
これらの樹脂は、基材との接着性を促進するために、予め基材上にアンカーコート剤を塗布した後、その基材との接着面に溶融押出しされるのが一般的である。アンカーコート剤としては、有機チタネート系、有機イソシアネート系、ポリエチレンイミン系などの接着剤が用いられている。これらの接着剤は、通常トルエン、酢酸エチル、メタノール、ヘキサン等の有機溶剤で希釈して用いられている。しかしながら、アンカーコート剤を用いるこれらの方法は、高価なアンカーコート剤を使用することによる製造コストの上昇の問題、アンカーコート剤の塗布及び乾燥という煩雑な工程を必要とするという問題、アンカーコート剤に含まれる有機溶剤の蒸発乾燥工程時に人体に有害な有機溶剤が飛散し、作業環境及びその周辺環境の衛生上の問題及び引火性の有機溶剤の使用に伴う火災の発生の問題、有機溶剤などのアンカーコート剤成分が最終製品であるフィルム又はシートに残留し、それに起因する臭気のため、該製品の食品包装用途などへの適用を制限するという問題などを有する。
【0004】
また、更にアンカーコート剤を用いる方法では、Kコートプラスチック基材に均一に塗工するためには加工速度に制限があり、例えば機械設計以上の速度で塗工した場合は、塗工ムラが発生したり、有機溶剤の乾燥不足となり接着性の阻害を招くことがある。また、これらの問題を解決するためには塗工工程や乾燥工程の設備が非常に大きなものとなり、生産性に劣るなどの問題を有する。
【0005】
また、これらアンカーコート剤を用いない方法として、(a)エチレンと、(b)不飽和多塩基酸と、(c)アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステル、ビニルエステルより選ばれた不飽和単量体を共重合して得られたエチレン系共重合体を溶融混練し、150℃〜330℃の温度でフィルム状に押出し、ついで該フィルムをオゾン処理した後、このオゾン処理面を接着面として基材に圧着ラミネートして積層体を製造する方法が報告されている(特開平4−368845号公報)。しかし、これら不飽和多塩基酸をコモノマー成分に用いた接着性の機能をもつエチレン系共重合体を用いる方法では、製造コストの面及び低融点成分の増加に伴い、押出ラミネート加工時のロールリリース性は劣り加工温度などに制約を受けるばかりでなく、押出機内の樹脂替えなどの煩雑さを伴い好ましくない。
【0006】
更に、エチレン−α−オレフィン共重合体を公知のオゾン処理装置を用い、基材との接着面をオゾン処理し、基材上にアンカーコート剤を塗布することなく圧着ラミネートして積層体が製造される方法や、不飽和カルボン酸などをポリオレフィン系樹脂にグラフト変性した接着性樹脂を用い、共押出ラミネート装置との組合わせで基材にノーアンカーで圧着ラミネートして積層体を製造する方法が報告されている(コンバーテック(8)、第36頁、1991年)。しかし、これらの方法で得られた積層体のラミネート樹脂と基材との接着強度は十分とはいえず、その適用範囲は制約を受ける。更に、不飽和カルボン酸等をポリオレフィン系樹脂にグラフト変性した接着性樹脂を用いる方法では、共押出装置が必要なこと及び製造コストが増大するばかりでなく、押出機内の樹脂替え等の煩雑さを伴い好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ガスバリヤー性に優れるKコートプラスチック基材並びにポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種である押出ラミネート用樹脂からなるガスバリヤー性積層フィルムの製造方法であって、且つ、アンカーコート剤を使用しないガスバリヤー性積層フィルムの製造方法を提供する点に存するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、塩化ビニリデン系樹脂をコートしたガスバリヤー性プラスチック基材並びにポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種である押出ラミネート用樹脂からなるガスバリヤー性積層フィルムの製造方法であって、下記(x)コロナ放電処理工程、(y)オゾン処理工程及び(z)圧着工程より製造され、且つ、アンカーコート剤を使用しないガスバリヤー性積層フィルムの製造方法を提供するものである。
(x)コロナ放電処理工程
プラスチック基材の塩化ビニリデン系樹脂をコートした面に10(w・分/m2)以上の処理密度でコロナ放電処理を施す工程。
(y)オゾン処理工程
押出ラミネート樹脂を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出して溶融フィルムとなし、次いで溶融フィルムの少なくとも一面にオゾン処理を施す工程。
(z)圧着工程
コロナ放電処理工程で得られた、塩化ビニリデン系樹脂をコートしたガスバリヤー性プラスチック基材のコロナ処理面と、オゾン処理工程で得られたフィルムのオゾン処理面とを圧着する工程。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるKコートプラスチック基材のベースとなるプラスチック基材としては、例えばナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン系樹脂、セロハン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリブテン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、アセチルセルロースなどの樹脂の単体及びこれらの積層フィルム、更にその延伸物、未延伸物などが挙げられる。
中でもプラスチック基材が、二軸延伸ポリプロピレン系樹脂(以下、OPPと称す)、未延伸ポリプロピレン系樹脂(以下、CPPと称す)、二軸延伸ナイロン系樹脂(以下、ONy)、未延伸ナイロン系樹脂(以下、CNyと称す)、二軸延伸ポリエステル系樹脂(以下、PETと称す)、セロファン(以下、PTと称す)、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVAと称す)、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(以下、EVOHと称す)、未延伸エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(以下、CEVOHと称す)または未延伸ポリ塩化ビニル系樹脂(以下、PVCと称す)が好ましい。
【0010】
また、更にこれらKコートプラスチック基材とアルミニウム、鉄、紙などとの貼合品であって、これらKコートプラスチック基材のKコート面を接合面に設けた積層体などが用いられる。これらKコートプラスチック基材には必要に応じて予めその表面がコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理が施されているもの、また、予め印刷が施されていてもよい。Kコートプラスチック基材の肉厚は、押出ラミネート加工が可能であれば特に制約を受けるものではないが、好ましくは1〜1000μ、更に好ましくは5〜50μの範囲がよい。
【0011】
本発明で用いるKコートプラスチック基材は、ベースとなるプラスチック基材の少なくとも片面に塩化ビニリデン系樹脂を主成分とするガスバリヤー性の機能を有する塗工剤がコートされたものであればよい。また、両面に塗工された基材であってもよい。
【0012】
本発明で用いるKコートプラスチック基材の製法は、特に限定されるものではなく、ベースとなるプラスチック基材にKコート剤を塗工する方法としては、例えばエマルジョン法や溶剤法が知られている。
【0013】
Kコートプラスチック基材に用いるKコート剤は、塩化ビニリデン系樹脂を主成分とするものであればよく、例えば該樹脂の単組成のものでもよい。また、Kコート剤は、2種以上の他樹脂成分との共重合体や混合体であってもよい。
なお、他樹脂との共重合体としては、例えば塩化ビニリデンとアクリル系化合物の共重合体や、塩化ビニリデンと塩化ビニルなどの共重合体が挙げられる。
また、Kコート剤成分の中にはベースとなるプラスチック基材と接着性を促進する成分、塗工助剤成分、印刷適性を改良する成分などが含まれていてもよい。
【0014】
また、プラスチック基材に塗工されるKコート剤の塗工厚みは、特に制限されるものではなく、その機能によって使い分けされているが、一般には1〜8μ前後のものが市販されている。
なお、これらKコートプラスチック基材は、酸素ガスバリヤー性や防湿性などを有しており、食品、医薬品、生活関連用品、工業用品などの長期保存に有用であり、包装材料とし多用されている。
【0015】
更に、本発明に用いるKコートプラスチック基材のKコート面には、印刷が施されていてもよい。
【0016】
本発明に用いる押出ラミネート用樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種であり、これらを単独又は二種以上の混合物として用いることができる。更に必要に応じて、他の樹脂を50%未満の範囲で混合してもよい。
【0017】
ポリエチレン系樹脂の製法は限定されるものではなく、たとえばラジカル重合法又はイオン重合法で製造することができる。ポリエチレン系樹脂としては、たとえばラジカル重合法で製造される低密度ポリエチレンの他、イオン重合法で製造される高密度ポリエチレンや、エチレンとα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体などがあげられる。α−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセン−1などの炭素数3〜18のα−オレフィンが用いられ、これらα−オレフィンは、一種又は二種以上用いることができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体に含まれるα−オレフィンの含有量は、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
【0018】
ポリプロピレン系樹脂の製法は限定されるものではなく、たとえばイオン重合法で製造することができる。ポリプロピレン系樹脂としては、たとえばプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンとの共重合体やプロピレンとブテン−1との共重合体、プロピレンとα−オレフィンの共重合体などをあげることができる。なお、プロピレンと共重合するα−オレフィンは、一種又は二種以上を用いることができる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体に含まれるα−オレフィンの含有量は、好ましくは0.1〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。
【0019】
エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂はラジカル重合法で製造でき、エチレンとラジカル重合し得る単量体とを共重合して得られる。
【0020】
エチレン−ビニルエステル系共重合体のビニルエステルとしては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ネオ酸ビニルなどがあげられる。
【0021】
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチルなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのメタクリル酸エステルであって炭素数4〜8の不飽和カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのコモノマーは一種又は二種以上用いることができる。
【0022】
エチレン−ビニルエステル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれるコモノマー成分の含有量は、好ましくは30重量%以下がよく、更に好ましくは20重量%以下がよい。
【0023】
なお、加工適性の観点から、ポリエチレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂については、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が1〜100g/10minの範囲にあることが好ましく、またポリプロピレン系樹脂については、230℃におけるMFRが1〜100g/10minの範囲にあることが好ましい。
【0024】
本発明のコロナ放電処理工程は、Kコートプラスチック基材のKコート面にコロナ放電処理を施すことにより、該処理面に接着に有効な官能基を発生させ、強固な接着を可能にする工程である。
本発明のコロナ放電処理密度は10(W・分/m2)以上が好ましく、更に好ましくは20(W・分/m2)以上である。更にもっと好ましくは30(W・分/m2)以上である。コロナ放電処理密度の上限は、特に限定されないが、経済性の観点から通常200(W・分/m2)以下が好ましい。
【0025】
本発明のオゾン処理工程は、押出ラミネート用樹脂を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出して溶融フィルムとなし、次いで溶融フィルムの少なくとも一面にオゾン処理を施す工程である。オゾン処理は、例えばTダイ下エアーギャップ間に設けたノズル又はスリット状の吹き出し口からオゾンを含ませた気体(空気など)を、溶融フィルムに吹き付けることにより行われる。なお、オゾンノズルがTダイ下に設置できない場合は、圧着ラミネートする直前のKコートプラスチック基材上に吹き付けてもよい。吹き付けるオゾン量は、溶融フィルムの通過単位面積に対し、1〜30mg/m2が好ましく、更に好ましくは2〜12mg/m2である。なお、押出ラミネート用樹脂をフィルム状に溶融押出しする温度は180〜340℃、好ましくは210〜330℃である。該温度が、180℃未満では樹脂の延展性が不良となるばかり、肉厚が均一な溶融膜を得ることが困難であるばかりか、Kコートプラスチック基材との接着強度が不十分となる。一方、340℃を越えると、溶融樹脂の熱による表面酸化が多くなり、臭気が悪化し低臭性に劣るものとなる。
【0026】
本発明の圧着工程は、コロナ放電処理工程で得られたKコートプラスチック基材の該処理面とオゾン処理工程で得られたフィルムのオゾン処理面とを接触させ、該フィルムとKコートプラスチック基材を圧着する工程である。
【0027】
また、本発明の圧着工程に付すKコートプラスチック基材は、AC剤を塗工する必要がないため、AC剤を塗工する装置及びAC剤を塗工する時に用いる有機溶剤の乾燥工程を全く必要としない。
【0028】
よって、例えば150(m/分)以上の高速加工を行う場合、従来のAC剤を用いる技術ではAC剤を塗工する工程が律速となっていたが、本発明では全くその問題がない。
【0029】
また、本発明によって得られる積層フィルム及び製品は、AC剤及び有機溶剤の製品内への巻き込まれの心配がない。
【0030】
本発明のガスバリヤー性積層フィルムの製造方法は、Kコートプラスチック基材の種類や厚みなど樹脂本来のもつ機械的強度によって制約を受ける場合があるが、基本的に加工速度に制約はなく、高速加工が可能であり、生産性が向上する。
【0031】
ところで、市販のKコートプラスチック基材には、表面への印刷性の改良のため、コロナ放電処理などの表面酸化処理が施されているものもあるが、かかる市販品について、本発明のコロナ放電処理を実施することなく用いた場合には、本発明が目的とする十分に強固な接着力を得ることができない。
【0032】
本発明の圧着工程には、公知の押出ラミネーターが使用できる。
【0033】
本発明においては、コロナ放電処理工程及び圧着工程をインラインに設け、コロナ放電処理工程後のプラスチック基材を直ちに圧着工程に付すことが好ましい。このことにより、より高水準の接着強度が発現され、かつ好ましくない基材フィルムのブロッキングが防止される。なお、上記の「圧着工程をインラインに設け、コロナ放電処理工程後のプラスチック基材を直ちに圧着工程に付す」とは、押出ラミネート加工において、プラスチック基材の繰出し工程、コロナ放電処理工程、圧着工程及び製品巻取り工程がプラスチック基材の流れ方向に沿って同一ライン上に順次設置さた装置を用い、これらの工程を速やかに一連の作業で行うことを意味する。
【0034】
本発明においては、接着強度を一層向上させる観点から、圧着工程の後に、圧着工程で得られる積層フィルムを、保温下、熟成する工程である熟成工程を設けることが好ましい。
【0035】
熟成温度は、通常30℃以上かつ50℃未満であり、好ましくは40〜45℃である。
【0036】
熟成時間は、通常1〜120時間、好ましくは10〜80時間である。熟成時間が短か過ぎる場合は接着強度の改善が不十分であることがあり、一方、長過ぎる場合は、押出ラミネートした樹脂が変質することがあり、また生産性の点でも不利である。
【0037】
熟成工程を実施するには、通常のオーブン又は温度調整が可能な部屋を用いればよい。
【0038】
本発明においては、コロナ放電処理工程、オゾン処理工程、圧着工程及び熟成工程のすべてを組み合わせて実施することにより、一層強固な接着強度を実現することができる。
【0039】
本発明においては、Kコートプラスチック基材上に押出ラミネートした樹脂を積層フィルムヒートシール層に適用することや、また積層フィルムの中間層に適用することもできるが、それらは樹脂のもつ機能、たとえば易ヒートシール性、防湿性などによって使い分けされる。また、本発明においては、サンドイッチ押出ラミネーション法においても適用できる。
【0040】
本発明の押出ラミネート用樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤、たとえば抗酸化剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、中和剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、顔料、有機又は無機の充填剤などを併用してもよい。
【0041】
本発明の積層フィルムは、包装材料、例えば食品包装材料、医薬品包装材料や工業用品包装材料に使用できる。
【0042】
【実施例】
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0043】
(1)膜接着強度の測定
15mm巾の積層フィルムを、東洋精機(株)製オートストレイン型引張試験機を使用して、200mm/minの引張り速度で180度剥離した時の剥離強度からその膜接着性を評価した。
【0044】
実施例1
線状低密度ポリエチレン(LLDPE;住友化学工業(株)製スミカセンα
CS8026 MFR10g/10分、密度0.914g/cm3 )を、口径65mmφの押出機2台で溶融混練し、マルチスロットタイプのTダイからそれぞれの樹脂温度を305℃、290℃、フィルム幅450mm、ラミネート層の厚みをそれぞれ25μ(合計50μ)、ラミネート速度を220m/分で押出して溶融薄膜となし、次いで該溶融薄膜の基材との接着面に、ダイ下30mmの位置に設けたノズルから30(g/Nm3 )の濃度でオゾンを含む空気を2(Nm3 /Hr)の条件で吹き付けることにより、該溶融薄膜の基材との接着面をオゾン処理した。この時のオゾン処理量は溶融フィルムの通過単位面積に対し、10.1( mg/m2 )であった。次いて押出ラミネーターのインラインに設けたコロナ放電装置によって、塩化ビニリデン系樹脂がコートされている二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材(以下、KOPと称す)のKコート面に処理密度15(W・分/m2 )でコロナ処理した。次いて表面改質された20μのKOPフィルムのKコート面にオゾン処理工程で得られた溶融フィルムを圧着ラミネートした。本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKOPフィルム基材間の接着強度を測定したが340(g/15mm)であった。結果を表1に示す。
【0045】
実施例2
コロナ放電処理密度を37(W・分/m2 )とした以外は、実施例1と同様に行なった。本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKOPフィルム基材間の接着強度を測定したが非常に強固であり、基材そのものが切れるなどして接着界面を取り出すことができなく剥離不可能であった。結果を表1に示す。
【0046】
実施例3
基材を塩化ビニリデン系樹脂がコートされている厚さ15μの二軸延伸ナイロンフィルムとした以外は、実施例2と同様に行なった。
本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKONyフィルム間の接着強度を測定したが、非常に強固であり接着界面を取り出すことができなく剥離不可能であった。結果を表1に示す。
【0047】
実施例4
ダイをシングルタイプのTダイに変更し、40μ単層のラミネートとし、基材を塩化ビニリデン系樹脂がコートされている二軸延伸ポリエステルフィルム(12μ)、押出ラミネート用樹脂を低密度ポリエチレン(LDPE;住友化学工業(株)製スミカセンL718−H MFR 8g/10分、密度0.919g/cm3)、押出樹脂温度を280℃、コロナ処理密度を103(W・分/m2)、オゾン処理量を10.4(mg/m2)とした以外は、実施例1と同様に行った。本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKPETフィルム間の接着強度を測定したが、非常に強固であり接着界面を取り出すことができなく剥離不可能であった。結果を表1に示す。
【0048】
比較例1
オゾン処理及びコロナ処理を施さない以外は、実施例1と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKOPフィルム基材間の接着強度を測定したが100(g/15mm)であった。結果を表2に示す。
【0049】
比較例2
コロナ処理を施さない以外は、実施例2と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKOPフィルム基材間の接着強度を測定したが270(g/15mm)であった。結果を表2に示す。
【0050】
比較例3
オゾン処理を施さない以外は、実施例2と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKOPフィルム基材間の接着強度を測定したが220(g/15mm)であった。結果を表2に示す。
【0051】
比較例4
オゾン処理及びコロナ処理を施す代わりに、基材との接着を促進するために、ラミネーターのインラインに設けたAC塗工装置で基材上に酢酸エチルを溶剤とするAC剤を塗工した以外は、実施例1と同様に行った。本比較例で用いたAC剤塗工装置のACコーターはプレーンロールタイプを使用したが、ラミネート速度が速いため、基材上にAC剤を均一に塗工することができなく塗工ムラが発生し、得られたラミネートフィルム物のポリエチレン膜とKOPフィルム基材間の接着にはバラツキが生じた。また、AC剤塗工装置内でAC剤が飛散するばかりでなく作業環境は悪かった。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKOPフィルム基材間の接着強度を測定したが、測定部位によってバラツキが生じ、最低で160(g/15mm)、最高で340(g/15mm)であった。結果を表2に示す。
【0052】
比較例5
オゾン処理及びコロナ処理を施さない以外は、実施例3と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKONyフィルム基材間の接着強度を測定したが10(g/15mm)であった。結果を表3に示す。
【0053】
比較例6
コロナ処理を施さない以外は、実施例3と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKONyフィルム基材間の接着強度を測定したが110(g/15mm)であった。結果を表2に示す。
【0054】
比較例7
オゾン処理を施さない以外は、実施例3と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKONyフィルム基材間の接着強度を測定したが20(g/15mm)であった。結果を表3に示す。
【0055】
比較例8
オゾン処理及びコロナ処理を施す代わりに、基材との接着を促進するために、ラミネーターのインラインに設けたAC塗工装置で基材上に酢酸エチルを溶剤とするAC剤を塗工した以外は、実施例3と同様に行った。本比較例で用いたAC剤塗工装置のACコーターはプレーンロールタイプを使用したが、ラミネート速度が速いため、基材上にAC剤を均一に塗工することができなく塗工ムラが発生し、得られたラミネートフィルム物のポリエチレン膜とKONyフィルム基材間の接着にはバラツキが生じた。また、AC剤塗工装置内でAC剤が飛散するばかりでなく作業環境は悪かった。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とKONyフィルム基材間の接着強度を測定したが、測定部位によってバラツキが生じ、最低で190(g/15mm)最高で530(g/15mm)であった。結果を表3に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0003662046
【0057】
【表2】
Figure 0003662046
【0058】
【表3】
Figure 0003662046
【0059】
Figure 0003662046
【0060】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、アンカーコート剤を使用することなく接着強度に優れたガスバリヤー性積層フィルムが得られる。
また、本発明の製造方法は、高速加工が可能である。

Claims (6)

  1. 塩化ビニリデン系樹脂をコートしたガスバリヤー性プラスチック基材並びにポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種である押出ラミネート用樹脂からなるガスバリヤー性積層フィルムの製造方法であって、下記(x)コロナ放電処理工程、(y)オゾン処理工程及び(z)圧着工程より製造され、且つ、アンカーコート剤を使用しないガスバリヤー性積層フィルムの製造方法。
    (x)コロナ放電処理工程
    プラスチック基材の塩化ビニリデン系樹脂をコートした面に10(w・分/m2)以上の処理密度でコロナ放電処理を施す工程。
    (y)オゾン処理工程
    押出ラミネート樹脂を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出して溶融フィルムとなし、次いで溶融フィルムの少なくとも一面にオゾン処理を施す工程。
    (z)圧着工程
    コロナ放電処理工程で得られた、塩化ビニリデン系樹脂をコートしたガスバリヤー性プラスチック基材のコロナ処理面と、オゾン処理工程で得られたフィルムのオゾン処理面とを圧着する工程。
  2. コロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が、20(w・分/m2 )以上である請求項1記載の製造方法。
  3. 塩化ビニリデン系樹脂をコートしたガスバリヤー性プラスチック基材のベースとなるプラスチック基材が、二軸延伸ポリプロピレン系樹脂、未延伸ポリプロピレン系樹脂、二軸延伸ナイロン系樹脂、未延伸ナイロン系樹脂、二軸延伸ポリエステル系樹脂、セロファン、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂、未延伸エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂または未延伸ポリ塩化ビニル系樹脂である請求項1記載の製造方法。
  4. コロナ放電処理工程及び圧着工程を押出ラミネーターのインラインに設け、コロナ放電処理工程後の塩化ビニリデン系樹脂をコートしたガスバリヤー性プラスチック基材を直ちに圧着工程に付す請求項1記載の製造方法。
  5. 圧着工程の後に、下記熟成処理工程を有する請求項1記載の製造方法。
    熟成処理工程:圧着工程で得られた積層フィルムを、保温下、熟成する工程。
  6. 熟成温度が30℃以上かつ50℃未満である請求項5記載の製造方法。
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